栗きんとんの製造方法
【課題】この発明は、芋あんのデンプンの劣化を極力防止し、バットを使用せずに栗が上部に並ぶようにし、かつ処理時間を大幅に短縮することのできるきんとんの製造方法を得ることを課題とするものである。
【解決手段】寒天、食塩、糖液、水を保温性のある釜に入れて加熱しつつ混合して寒天を溶解する第一工程と、前記第一工程で得られた混合物に加糖芋あんを混合して再加熱する第二工程と、加熱を停止した後に前記第二工程で得られた混合物に栗甘露煮を混合する第三工程と、前記第三工程で得られた混合物を養生し、混合物の温度が容器への充填に適した温度まで低下させる第四工程と、適温となった混合物を容器に充填し整頓する第五工程とできんとんを製造する。
【解決手段】寒天、食塩、糖液、水を保温性のある釜に入れて加熱しつつ混合して寒天を溶解する第一工程と、前記第一工程で得られた混合物に加糖芋あんを混合して再加熱する第二工程と、加熱を停止した後に前記第二工程で得られた混合物に栗甘露煮を混合する第三工程と、前記第三工程で得られた混合物を養生し、混合物の温度が容器への充填に適した温度まで低下させる第四工程と、適温となった混合物を容器に充填し整頓する第五工程とできんとんを製造する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は工業的な量産に適した栗きんとんの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の栗きんとんの工業的な生産は以下の手順で行なわれている。
ニーダーと呼ばれる釜に適度に加糖した芋あん(通常は冷凍品)を入れ、加熱しつつ攪拌し、芋あんが加熱された時点で砂糖、寒天、食塩、水を加えて加熱しつつ攪拌し、寒天を溶解させる。次いで、砂糖を加えて前記加熱を継続しつつ攪拌し、その後糖液、水飴を加えて攪拌した後に加熱を停止する。次いで、前記混合物を冷却し、混合物に含まれる芋のダマを除去する。
前記混合物を下あん用あんと栗絡め用あんとに分け、下あん用あんはそのままパットに取る。他方栗絡め用あんはニーダーで再度攪拌しつつ加熱し、栗に絡めてパットに取る。
次いで、前記下あんを容器に敷き、その上にあんが絡められた栗を並べ、整頓する。
【0003】
上記従来の製法においては以下の問題点があった。
ア)加糖状態の冷凍芋あんを解凍する際、加熱により芋でんぷんの劣化が激しく風味が落ちる。
イ)芋あんを基準値(50〜95%程度)まで加糖するために長時間を要する。
ウ)高温で長時間加熱するために蒸発量が無視できず、糖度のばらつきが生じる。
エ)加熱時に芋あんのダマが発生するために加熱したあんを濾過して芋あんのダマを除去する必要がある。
オ)容器に層をなして供給された栗きんとんの上部に栗が並ぶようにするために、下あんを敷いた後にあんを絡めた栗を並べることが必要であり、そために下あん用のあんと栗絡め用のあんとを分けて処理する必要がある。
なお、あんを分けて処理するのは、以下に記すように充填時のあんの温度が高温のため、あんが軟らかく、分けて処理しなければ栗が下に沈んでしい見栄えが悪いためである。
カ)あんを分けて処理するために、それぞれのあんをバットに取る必要が生じる。バットにとることによる問題点は以下のとおりである。
バットには保温性がないために容器への充填作業中に温度が低下する。温度が低下するとあんが硬くなり表面が滑らかに仕上がらない。そこで当初温度を85度C程度の高温としなければならない。高温であるから、水分の蒸発が生じ糖度のばらつきを生ずる。またバットにあんが付着し材料ロスが生じる。加えて、バットにフィルムを敷いて作業を行う場合は、フィルムがゴミとなる。
【特許文献1】特開2001−231546号公報
【0004】
きんとんの製法に係る特許文献は、特開2001−231546号が存在するが、この公報に記載された発明は栗の処理に関するものであり、あんの処理をテーマとする本願発明とは全く異なる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、芋あんのでんぷんの劣化を極力防止し、バットを使用せずに栗が上部に並ぶようにし、かつ処理時間を大幅に短縮することのできる栗きんとんの製造方法を得ることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の製造方法は、寒天、食塩、糖液、水を保温性のある釜に入れて加熱しつつ混合して寒天を溶解する第一工程と、前記第一工程で得られた混合物に加糖芋あんを混合して再加熱する第二工程と、加熱を停止した後に前記第二工程で得られた混合物に栗甘露煮を混合する第三工程と、前記第三工程で得られた混合物を養生し、混合物の温度が容器への充填に適した温度まで低下させる第四工程と、適温となった混合物を容器に充填し整頓する第五工程とを備えたものである。
前記加糖芋あんは、無糖芋あんにその重量の50〜95%の砂糖を加え、芋ダマを除去したものとすることが好ましい。そして保温性のある釜としては二重釜を使用することが好ましい。
前記第五工程における「整頓」とは、栗を容器に充填された混合物の上部に位置させることをいい、前記第四工程における「容器への充填に適した温度」とは、混合物を容器に充填した後に整頓したときに、栗が上部に保持される程度の粘度となる温度をいう。この温度は使用する栗の重量によって異なる。
【0007】
前記第一工程における加熱は寒天の溶解温度である95度C以上とし、第二工程における加熱は寒天の再溶解及び芋あんの殺菌のために80〜85度C程度とし、第四工程における養生後の温度は60〜70度Cとすることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
寒天、食塩、糖液、水を保温性のある釜に入れて加熱しつつ混合して寒天を溶解する第一工程において、溶解された寒天と食塩、糖液、水の混合物が得られる。次いで前記第一工程で得られた混合物に加糖芋あんを混合して再加熱する第二工程において、前記寒天などの混合物に芋あんが混合される。このとき寒天は既に溶解されているので加熱温度は芋あんの殺菌に必要な80度ないし85度C程度で足りる。
加熱を停止した後に前記第二工程で得られた混合物に栗甘露煮を混合し(第三工程)、次いで前記第三工程で得られた混合物を養生する(第四工程)。前記養生は混合物から糖液を出して混合物全体を馴染ませることをいう。養生過程において混合物の温度は次第に低下する。混合物の温度が低下して容器への充填に適した状態となった後に混合物を容器に充填する。
混合物を容器に充填した後に栗が上部に位置するように整頓すると、芋あんが栗を支持しえる粘度を有するために栗が沈むことなく上部に維持される。また、混合物は保温性のある釜の中にあるので、充填作業中における温度の低下は少なく、充填作業の間、芋あんの粘度は一定の範囲に保持される。
【0009】
この発明の効果を上記従来の工程と比較して示すと以下のとおりである。
ア)従来においては10%程度の加糖状態の冷凍芋あんを20度C程度で解凍する際、芋でんぷんの劣化が激しく風味が落ちるという問題があったが、この発明においては20度C程度の温度域における解凍作業はなく、かつ加糖芋あんを使用するので、でんぷんの劣化が少なく風味も維持される。
イ)加糖芋あんを使用するので芋あんを基準値(50〜95%程度)まで加糖する時間は不要であり、作業ラインにおける工程時間が短縮される。
ウ)芋あん混合後は高温での加熱がなく、蒸発による糖度の変化はほとんど発生せず、芋あんが焼けることも防止され均一な色目の芋あんが得られる。
オ)混合物を容器に充填した後に栗が上部に位置するように整頓すると、芋あんが栗を支持しえる粘度を有するために栗が沈むことなく上部に維持されるので、芋あんを下あん用と栗絡め用とに分けて処理する必要がない。したがって、バットの使用は不要である。
カ)保温性のある釜を使用し、釜から直接容器に充填するので、充填作業中の蒸発により糖度が変化することもない。
以上の結果、効率よく均一な栗きんとんを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
二重釜に寒天0.1Kg、食塩0.006Kg、糖液3.5Kg、水0.8Kgを投入し、95度C以上に加熱し攪拌する。寒天が溶解した後、冷凍の加糖芋あん50Kgを前記二重釜に投入する。冷凍芋あんの投入によって前記混合物の温度が低下するので、85度Cまで加熱して15〜20分間攪拌して混合する。この課程において加糖芋あんの殺菌が行われる。なお、寒天は初期溶解温度は95度C以上であるが、再溶解温度は80度C〜85度C程度であるので、冷凍芋あんの投入によって寒天がゲル化しても85度Cまでの加熱により再溶解する。
前記加糖芋あんは、芋あんにその重量の80%の砂糖を加糖し芋のダマを除去したものである。
その後加熱を停止し、栗甘露煮を前記二重釜に投入して前記、混合する。栗甘露煮の投入により温度が70度C程度まで低下する。次いで混合物を養生する。この時の芋あんの糖度は57°Bx程度である。
【0012】
上記により得られた栗入りの芋あん混合物を、二重釜から直接スプーンなどの充填器具を用いて容器に充填し、次いで整頓作業として栗1個ずつ手作業で見栄えよく並べ、芋あんの上部に位置させる。この発明においては芋あんの粘度が栗を支持しえる程度であるから、芋あんの上部に位置した栗は沈むことなく上部位置に保持される。
充填作業を行う栗入りの芋あん混合物は二重釜に入っているので、通常45〜60分を要する充填作業中に温度が極端に低下することはなく、容器毎のばらつきがなく均一な栗きんとんが得られる。
前記整頓作業の後、計量、冷却、検品、仕上げ(包装など)を経て製品となる。
【0013】
上記において、材料を二重釜に投入する第一工程の開始から第四工程における養生の終了までの所要時間は約40分である。そして、二重釜で一度に製造される栗入り芋あん混合物の充填作業に要する時間は約45〜60分である。
したがって、二重釜1を2台用意することにより、1台の二重釜で製造された栗入り芋あん混合物の充填作業と平行して他の1台の二重釜で栗入り芋あんを製造するならば、1組数人の充填者グループ2が2台の二重釜を担当して、待ち時間のロスを少なくして充填作業を行うことができる(図3参照)。
なお、従来におけるニーダーへの材料投入からバット取り終了までは約1時間半を要していた。
【産業上の利用可能性】
【0014】
この発明は、冷凍芋あんの解凍後に寒天などを混合した従来手法と逆に、寒天などを混合した後に加糖芋あんを混合したので、芋あんのでんぷんの劣化が防止され、芋あんを栗が沈下しない粘度の状態で容器に充填することにより従来重宝で行われていたバット取りが不要となるなど、効率的に均一かな栗きんとんを製造し得るものであり、産業上の利用可能性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明のフローチャート
【図2A】従来技術の前半工程のフローチャート
【図2B】従来技術の後半工程のフローチャート
【図3】この発明において2台の釜を用いた場合の説明図
【符号の説明】
【0016】
1 二重釜
2 充填者グループ
【技術分野】
【0001】
この発明は工業的な量産に適した栗きんとんの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の栗きんとんの工業的な生産は以下の手順で行なわれている。
ニーダーと呼ばれる釜に適度に加糖した芋あん(通常は冷凍品)を入れ、加熱しつつ攪拌し、芋あんが加熱された時点で砂糖、寒天、食塩、水を加えて加熱しつつ攪拌し、寒天を溶解させる。次いで、砂糖を加えて前記加熱を継続しつつ攪拌し、その後糖液、水飴を加えて攪拌した後に加熱を停止する。次いで、前記混合物を冷却し、混合物に含まれる芋のダマを除去する。
前記混合物を下あん用あんと栗絡め用あんとに分け、下あん用あんはそのままパットに取る。他方栗絡め用あんはニーダーで再度攪拌しつつ加熱し、栗に絡めてパットに取る。
次いで、前記下あんを容器に敷き、その上にあんが絡められた栗を並べ、整頓する。
【0003】
上記従来の製法においては以下の問題点があった。
ア)加糖状態の冷凍芋あんを解凍する際、加熱により芋でんぷんの劣化が激しく風味が落ちる。
イ)芋あんを基準値(50〜95%程度)まで加糖するために長時間を要する。
ウ)高温で長時間加熱するために蒸発量が無視できず、糖度のばらつきが生じる。
エ)加熱時に芋あんのダマが発生するために加熱したあんを濾過して芋あんのダマを除去する必要がある。
オ)容器に層をなして供給された栗きんとんの上部に栗が並ぶようにするために、下あんを敷いた後にあんを絡めた栗を並べることが必要であり、そために下あん用のあんと栗絡め用のあんとを分けて処理する必要がある。
なお、あんを分けて処理するのは、以下に記すように充填時のあんの温度が高温のため、あんが軟らかく、分けて処理しなければ栗が下に沈んでしい見栄えが悪いためである。
カ)あんを分けて処理するために、それぞれのあんをバットに取る必要が生じる。バットにとることによる問題点は以下のとおりである。
バットには保温性がないために容器への充填作業中に温度が低下する。温度が低下するとあんが硬くなり表面が滑らかに仕上がらない。そこで当初温度を85度C程度の高温としなければならない。高温であるから、水分の蒸発が生じ糖度のばらつきを生ずる。またバットにあんが付着し材料ロスが生じる。加えて、バットにフィルムを敷いて作業を行う場合は、フィルムがゴミとなる。
【特許文献1】特開2001−231546号公報
【0004】
きんとんの製法に係る特許文献は、特開2001−231546号が存在するが、この公報に記載された発明は栗の処理に関するものであり、あんの処理をテーマとする本願発明とは全く異なる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、芋あんのでんぷんの劣化を極力防止し、バットを使用せずに栗が上部に並ぶようにし、かつ処理時間を大幅に短縮することのできる栗きんとんの製造方法を得ることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の製造方法は、寒天、食塩、糖液、水を保温性のある釜に入れて加熱しつつ混合して寒天を溶解する第一工程と、前記第一工程で得られた混合物に加糖芋あんを混合して再加熱する第二工程と、加熱を停止した後に前記第二工程で得られた混合物に栗甘露煮を混合する第三工程と、前記第三工程で得られた混合物を養生し、混合物の温度が容器への充填に適した温度まで低下させる第四工程と、適温となった混合物を容器に充填し整頓する第五工程とを備えたものである。
前記加糖芋あんは、無糖芋あんにその重量の50〜95%の砂糖を加え、芋ダマを除去したものとすることが好ましい。そして保温性のある釜としては二重釜を使用することが好ましい。
前記第五工程における「整頓」とは、栗を容器に充填された混合物の上部に位置させることをいい、前記第四工程における「容器への充填に適した温度」とは、混合物を容器に充填した後に整頓したときに、栗が上部に保持される程度の粘度となる温度をいう。この温度は使用する栗の重量によって異なる。
【0007】
前記第一工程における加熱は寒天の溶解温度である95度C以上とし、第二工程における加熱は寒天の再溶解及び芋あんの殺菌のために80〜85度C程度とし、第四工程における養生後の温度は60〜70度Cとすることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
寒天、食塩、糖液、水を保温性のある釜に入れて加熱しつつ混合して寒天を溶解する第一工程において、溶解された寒天と食塩、糖液、水の混合物が得られる。次いで前記第一工程で得られた混合物に加糖芋あんを混合して再加熱する第二工程において、前記寒天などの混合物に芋あんが混合される。このとき寒天は既に溶解されているので加熱温度は芋あんの殺菌に必要な80度ないし85度C程度で足りる。
加熱を停止した後に前記第二工程で得られた混合物に栗甘露煮を混合し(第三工程)、次いで前記第三工程で得られた混合物を養生する(第四工程)。前記養生は混合物から糖液を出して混合物全体を馴染ませることをいう。養生過程において混合物の温度は次第に低下する。混合物の温度が低下して容器への充填に適した状態となった後に混合物を容器に充填する。
混合物を容器に充填した後に栗が上部に位置するように整頓すると、芋あんが栗を支持しえる粘度を有するために栗が沈むことなく上部に維持される。また、混合物は保温性のある釜の中にあるので、充填作業中における温度の低下は少なく、充填作業の間、芋あんの粘度は一定の範囲に保持される。
【0009】
この発明の効果を上記従来の工程と比較して示すと以下のとおりである。
ア)従来においては10%程度の加糖状態の冷凍芋あんを20度C程度で解凍する際、芋でんぷんの劣化が激しく風味が落ちるという問題があったが、この発明においては20度C程度の温度域における解凍作業はなく、かつ加糖芋あんを使用するので、でんぷんの劣化が少なく風味も維持される。
イ)加糖芋あんを使用するので芋あんを基準値(50〜95%程度)まで加糖する時間は不要であり、作業ラインにおける工程時間が短縮される。
ウ)芋あん混合後は高温での加熱がなく、蒸発による糖度の変化はほとんど発生せず、芋あんが焼けることも防止され均一な色目の芋あんが得られる。
オ)混合物を容器に充填した後に栗が上部に位置するように整頓すると、芋あんが栗を支持しえる粘度を有するために栗が沈むことなく上部に維持されるので、芋あんを下あん用と栗絡め用とに分けて処理する必要がない。したがって、バットの使用は不要である。
カ)保温性のある釜を使用し、釜から直接容器に充填するので、充填作業中の蒸発により糖度が変化することもない。
以上の結果、効率よく均一な栗きんとんを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
二重釜に寒天0.1Kg、食塩0.006Kg、糖液3.5Kg、水0.8Kgを投入し、95度C以上に加熱し攪拌する。寒天が溶解した後、冷凍の加糖芋あん50Kgを前記二重釜に投入する。冷凍芋あんの投入によって前記混合物の温度が低下するので、85度Cまで加熱して15〜20分間攪拌して混合する。この課程において加糖芋あんの殺菌が行われる。なお、寒天は初期溶解温度は95度C以上であるが、再溶解温度は80度C〜85度C程度であるので、冷凍芋あんの投入によって寒天がゲル化しても85度Cまでの加熱により再溶解する。
前記加糖芋あんは、芋あんにその重量の80%の砂糖を加糖し芋のダマを除去したものである。
その後加熱を停止し、栗甘露煮を前記二重釜に投入して前記、混合する。栗甘露煮の投入により温度が70度C程度まで低下する。次いで混合物を養生する。この時の芋あんの糖度は57°Bx程度である。
【0012】
上記により得られた栗入りの芋あん混合物を、二重釜から直接スプーンなどの充填器具を用いて容器に充填し、次いで整頓作業として栗1個ずつ手作業で見栄えよく並べ、芋あんの上部に位置させる。この発明においては芋あんの粘度が栗を支持しえる程度であるから、芋あんの上部に位置した栗は沈むことなく上部位置に保持される。
充填作業を行う栗入りの芋あん混合物は二重釜に入っているので、通常45〜60分を要する充填作業中に温度が極端に低下することはなく、容器毎のばらつきがなく均一な栗きんとんが得られる。
前記整頓作業の後、計量、冷却、検品、仕上げ(包装など)を経て製品となる。
【0013】
上記において、材料を二重釜に投入する第一工程の開始から第四工程における養生の終了までの所要時間は約40分である。そして、二重釜で一度に製造される栗入り芋あん混合物の充填作業に要する時間は約45〜60分である。
したがって、二重釜1を2台用意することにより、1台の二重釜で製造された栗入り芋あん混合物の充填作業と平行して他の1台の二重釜で栗入り芋あんを製造するならば、1組数人の充填者グループ2が2台の二重釜を担当して、待ち時間のロスを少なくして充填作業を行うことができる(図3参照)。
なお、従来におけるニーダーへの材料投入からバット取り終了までは約1時間半を要していた。
【産業上の利用可能性】
【0014】
この発明は、冷凍芋あんの解凍後に寒天などを混合した従来手法と逆に、寒天などを混合した後に加糖芋あんを混合したので、芋あんのでんぷんの劣化が防止され、芋あんを栗が沈下しない粘度の状態で容器に充填することにより従来重宝で行われていたバット取りが不要となるなど、効率的に均一かな栗きんとんを製造し得るものであり、産業上の利用可能性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明のフローチャート
【図2A】従来技術の前半工程のフローチャート
【図2B】従来技術の後半工程のフローチャート
【図3】この発明において2台の釜を用いた場合の説明図
【符号の説明】
【0016】
1 二重釜
2 充填者グループ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寒天、食塩、糖液、水を保温性のある釜に入れて加熱しつつ混合して寒天を溶解する第一工程と、
前記第一工程で得られた混合物に加糖芋あんを混合して加熱する第二工程と、
加熱を停止した後に前記第二工程で得られた混合物に栗甘露煮を混合する第三工程と、
前記第三工程で得られた混合物を養生する第四工程と、
その後容器に充填し整頓する第五工程とを備えた、
栗きんとんの製造方法
【請求項2】
第一工程における加熱温度は95度C以上とした、請求項1記載の栗きんとんの製造方法
【請求項3】
第二工程における加熱温度は寒天の再溶解温度とした、請求項1記載の栗きんとんの製造方法
【請求項4】
第四工程における養生温度は60〜70Cとした、請求項1記載の栗きんとんの製造方法
【請求項1】
寒天、食塩、糖液、水を保温性のある釜に入れて加熱しつつ混合して寒天を溶解する第一工程と、
前記第一工程で得られた混合物に加糖芋あんを混合して加熱する第二工程と、
加熱を停止した後に前記第二工程で得られた混合物に栗甘露煮を混合する第三工程と、
前記第三工程で得られた混合物を養生する第四工程と、
その後容器に充填し整頓する第五工程とを備えた、
栗きんとんの製造方法
【請求項2】
第一工程における加熱温度は95度C以上とした、請求項1記載の栗きんとんの製造方法
【請求項3】
第二工程における加熱温度は寒天の再溶解温度とした、請求項1記載の栗きんとんの製造方法
【請求項4】
第四工程における養生温度は60〜70Cとした、請求項1記載の栗きんとんの製造方法
【図3】
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図1】
【図2A】
【図2B】
【公開番号】特開2007−117051(P2007−117051A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−316693(P2005−316693)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(391043413)石井食品株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(391043413)石井食品株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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