説明

校正用治具及び校正方法

【課題】本発明の目的は、ワークの三次元形状情報を広範囲測定した際のデータ校正を良好に行うことのできる校正用治具を提供することにある。
【解決手段】回転ステージ12上のワーク24を異なる角度から分割測定した複数データを統合し該ワーク24の三次元形状情報を得る広範囲測定を行う際、該プローブ14高さを変える毎に該ステージ12に置かれ、該ステージ12回転軸情報及び該回転軸上での高さ情報を得るため該プローブ14により視野内のワーク24上の各点の位置情報が測定される校正用治具22であって、該回転軸情報を得るための互いに平行でない二平面60,62と該高さ情報を得るための高さ位置校正用特徴部位64とを備え、該平面60,62上の各点の位置情報に基づく平面60,62情報により決定される交線66が回転軸26と一致するように該ステージ12に置かれ、該部位64が所定の高さに設けられていることを特徴とする校正用治具22。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は校正用治具及び校正方法、特に非接触三次元計測装置によりワークを多視点から分割測定して得られた複数データの統合手法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、非接触でワークの形状等を測定するため、非接触プローブを備えた非接触三次元計測装置が用いられている。
非接触三次元計測では、非接触プローブが視野内において測定できる範囲には制限があり、非接触プローブの視野を越えた広範囲のワークを測定するため、広範囲測定が行われている。広範囲測定では、ワークを複数の方向から分割測定し、該分割測定された複数のデータを統合することにより、広範囲のワークの三次元形状情報を得ている。
【0003】
ところで、広範囲測定では、分割測定した複数のデータの統合精度が非常に重要である。 分割測定した複数のデータの統合を行うため、非接触プローブの測定位置またはワークの位置を検出し、その位置情報に基づき、複数のデータを統合している。
非接触プローブの測定位置とワークとの位置関係は、校正用治具を用いて、キャリブレーションにより登録している(例えば特許文献1,2参照)。校正用治具を用いることにより、ワークを複数の方向から分割測定した際の回転ステージの回転軸回りをキャリブレーションすることができる。
【0004】
【特許文献1】特開2002−328014号公報
【特許文献2】特開2002−328013号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、非接触三次元計測を行う分野では、より広範囲な測定が求められているが、従来は、これを解決することのできる適切な技術が存在しなかった。
また、より広範囲な測定を行うと、複数データの統合精度が、より重要になるが、従来方式では、満足のゆく統合精度が得られるものでなかった。このため、従来は、複数データの統合精度の面からも、より広範囲な測定が困難であった。
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、ワークを広範囲測定した際のデータ校正を良好に行うことのできる校正用治具及び校正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者が前記課題について鋭意検討を重ねた結果、より広範囲な測定を行うには、ワークと非接触プローブとの位置関係のうち、高さ位置を変えることが非常に有効であることを発見した。
ここで、従来方式、つまり特許文献1,2に記載の校正用治具を用いたのでは、回転ステージの高さの位置を登録することができなかった。
また、従来は、複数データの位置合わせを行うため、三次元測定機の測定精度を評価する際に用いられるマスターボールを用いることも考えられるが、非接触プローブの測定位置とワークとの位置関係の登録に時間を必要とし、処理の短時間化は改善の余地が残されていた。
また、従来は、データ上の形状が一致する部分をソフトウェアで解析して、複数データの位置合わせを行うことも考えられるが、精度が校正用治具やワークの形状特徴に依存したり、誤差が累積したりするので、複数データの統合精度は改善の余地が残されていた。
【0007】
さらに、本発明者が前記課題について鋭意検討を重ねた結果、非接触プローブにより異なる高さ位置からワークを分割測定して得られた複数のデータの統合精度の向上を図るためには、校正用治具に高さ位置基準を付加し、複数のデータ間に高さ位置基準による相関を持たせることにより、複数のデータの統合を高精度かつ容易に行うことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
(1)校正用治具
すなわち、前記目的を達成するために本発明にかかる校正用治具は、回転ステージ上のワークを回転することにより該ワークを異なる角度から分割測定し、該分割測定された複数のデータを統合することにより該ワークの三次元形状情報を得る広範囲測定を行う際、該非接触プローブの高さ位置を変える毎に該回転ステージ上に置かれ、該回転ステージの回転軸情報及び該回転軸上での高さ位置情報を得るため、該非接触プローブにより、該非接触プローブ視野内のワーク上の各点の位置情報が測定される校正用治具であって、
回転軸校正用特徴部位と、高さ位置校正用特徴部位と、を備えることを特徴とする。
ここで、前記回転軸校正用特徴部位は、前記回転ステージの回転軸情報を得るためのものとする。
また、前記高さ位置校正用特徴部位は、前記回転軸上での回転ステージからの高さ位置情報を得るためのものとする。
そして、前記回転軸校正用特徴部位は、互いに平行でない二の回転軸校正用測定平面よりなる。前記非接触プローブにより測定された、該二の回転軸校正用測定平面上の各点の位置情報に基づく該二の回転軸校正用測定平面情報により決定される交線が、前記回転ステージの回転軸と一致するように、該回転ステージ上に置かれる。
また、前記高さ位置校正用特徴部位が、前記校正用治具での回転ステージへの設置面から、所定の高さ位置のところに設けられている。
【0009】
<高さ位置校正用測定球>
なお、本発明にかかる校正用治具において、前記高さ位置校正用特徴部位が、一の高さ位置校正用測定球であることが好適である。
ここで、前記高さ位置校正用測定球は、前記非接触プローブにより該高さ位置校正用測定球上の各点の位置情報を測定して得られた、該高さ位置校正用測定球の中心の位置情報に基づき、前記回転軸上での回転ステージからの高さ位置情報を得るためのものとする。
【0010】
<高さ位置校正用測定平面>
また、本発明にかかる校正用治具において、前記高さ位置校正用特徴部位が、一の高さ位置校正用測定平面であることが好適である。
ここで、前記高さ位置校正用測定平面は、前記二の回転軸校正用測定平面に平行でなく、該二の回転軸校正用測定平面に隣接する。前記非接触プローブにより、該高さ位置校正用測定球上の各点の位置情報を測定して得られた、該二の回転軸校正用測定平面情報及び一の高さ位置校正用測定平面情報により決定される交点の位置情報に基づき、前記回転軸上での回転ステージからの高さ位置情報を得るためのものとする。
【0011】
(2)校正方法
また、前記目的を達成するために本発明にかかる校正方法は、回転ステージ上のワークを回転することにより該ワークを異なる角度から分割測定し、該分割測定された複数のデータを統合することにより該ワークの三次元形状情報を得る広範囲測定を行う際、該分割測定された複数のデータを統合するための、該回転ステージの回転軸情報及び該回転軸上での回転ステージからの高さ位置情報を得る校正方法であって、
校正用治具測定工程と、高さ位置変更工程と、回転軸校正用パラメータ取得工程と、高さ位置校正用パラメータ取得工程と、回転軸位置合わせ工程と、高さ位置合わせ工程と、を備えることを特徴とする。
ここで、前記校正用治具測定工程は、前記非接触プローブの高さ位置を一定にした状態で、前記回転軸情報及び高さ位置情報を得るための校正用治具が置かれた回転ステージを回転することにより、非接触プローブが該校正用治具を異なる角度測定し、該非接触プローブの視野内の該校正用治具の、回転軸校正用特徴部位上の各点の位置情報及び高さ位置校正用特徴部位上の各点の位置情報を得る。
また、前記高さ位置変更工程は、前記非接触プローブの高さ位置を変更する。
前記ワーク測定工程は、前記非接触プローブの高さ位置を一定にした状態で、前記ワークが置かれた回転ステージを回転することにより、該非接触プローブ該ワークを異なる回転角度から測定し、該非接触プローブの視野内のワーク上の各点の位置情報を得る。
前記回転軸校正用パラメータ取得工程は、前記非接触プローブの高さ位置変更前に前記校正用治具上の各点の位置情報を測定して得られた回転軸情報と、該非接触プローブの高さ位置変更後に該校正用治具上の各点の位置情報を測定して得られた回転軸情報とを一致させるための、回転軸校正用パラメータを求める。
前記高さ位置校正用パラメータ取得工程は、前記非接触プローブの高さ位置変更前に前記校正用治具上の各点の位置情報を測定して得られた高さ位置情報と、該非接触プローブの高さ位置変更後に該校正用治具上の各点の位置情報を測定して得られた高さ位置情報とを一致させるための、高さ位置校正用パラメータを求める。
前記回転軸位置合わせ工程は、前記回転軸校正用パラメータに基づき、前記非接触プローブの高さ位置変更前に前記ワーク上の各点の位置情報を測定して得られたデータと、該非接触プローブの高さ位置変更後に該ワーク上の各点の位置情報を測定して得られたデータとの、回転軸回りの位置合わせを行う。
前記高さ位置合わせ工程は、前記高さ位置校正用パラメータに基づき、前記非接触プローブの高さ位置変更前に前記ワーク上の各点の位置情報を測定して得られたデータと、該非接触プローブの高さ位置変更後に該ワーク上の各点を測定して得られたデータとの、高さ位置の位置合わせを行う。
そして、前記非接触プローブの高さ位置を変える毎に、前記校正用治具測定工程、前記ワーク測定工程、前記回転軸校正用パラメータ取得工程、前記高さ位置校正用パラメータ取得工程、前記回転軸位置合わせ工程、及び前記高さ位置合わせ工程を行う。
また、前記校正用治具は、前記回転軸校正用特徴部位が、互いに平行でない二の回転軸校正用測定平面よりなり、該二の回転軸校正用測定平面上の各点の位置情報に基づく該二の回転軸校正用測定平面情報により決定される交線が該回転ステージの回転軸と一致するように該回転ステージに置かれ、また該回転ステージに該校正用治具が置かれた際、前記高さ位置校正用特徴部位が、該回転ステージから所望の高さに位置するように、該校正用治具での回転ステージへの設置面から、所定の高さ位置のところに設けられているものを用いる。
【0012】
<高さ位置校正用測定球>
なお、本発明にかかる校正方法において、前記校正用治具測定工程では、前記校正用治具として、前記高さ位置校正用特徴部位が、一の高さ位置校正用測定球であるものを用いており、
前記高さ位置合わせ工程は、前記校正用治具の高さ位置校正用測定球の中心の位置情報により決定される、前記回転軸上での回転ステージからの高さ位置情報に基づき、前記非接触プローブにより異なる高さ位置からワークを測定して得られた複数のデータの高さ位置の位置合わせを行うことが好適である。
【0013】
<高さ位置校正用測定平面>
また、本発明にかかる校正方法において、前記校正用治具測定工程では、前記校正用治具として、前記高さ位置校正用特徴部位が、前記二の回転軸校正用測定平面に隣接する、一の高さ位置校正用測定平面であるものを用いており、
前記高さ位置合わせ工程は、前記二の回転軸校正用測定平面情報及び一の高さ位置校正用測定平面情報の交点位置情報により決定される、回転軸上での回転ステージからの高さ位置情報に基づき、前記非接触プローブにより異なる高さ位置からワーク上の各点の位置情報を測定して得られた複数のデータの高さ位置の位置合わせを行うことが好適である。
【0014】
本発明にかかる校正方法においては、前記非接触プローブの高さ位置を前記高さ位置変更工程前の高さ位置に一定にした状態で前記校正用治具測定工程及び前記ワーク測定工程を順に行い、
前記高さ位置変更工程後に、前記非接触プローブの高さ位置を該高さ位置変更工程後の高さ位置に一定にした状態で、前記ワーク測定工程及び前記校正用治具測定工程を順に行うことが好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる校正方法によれば、非接触プローブの高さ位置を変える毎に回転ステージの回転軸情報及び該回転軸上での高さ位置情報を得るため、高さ位置校正用特徴部位が設けられた校正用治具を異なる角度から測定する治具測定工程を備えることとした。この結果、本発明においては、ワークの三次元形状情報を広範囲測定した際のデータ校正を、高精度に且つ容易に行うことができる。
また、本発明にかかる校正方法によれば、前記高さ位置変更工程前に前記校正用治具測定工程及び前記ワーク測定工程を順に行い、該高さ位置変更後に前記ワーク測定工程及び前記校正用治具測定工程を順に行うことにより、ワークの三次元形状情報を広範囲測定した際のデータ校正を、より高精度に且つ容易に行うことができる。
【0016】
本発明においては、前記校正用治具が、高さ位置校正用特徴部位を備えることとしたので、ワークの三次元形状情報を広範囲測定した際のデータ校正が、高精度に且つ容易に行われる。
なお、本発明においては、校正用治具の高さ位置校正用特徴部位が一の測定球ないし測定平面であることにより、回転ステージからの高さ位置情報を高精度に且つ容易に得ることができるので、ワークの三次元形状情報を広範囲測定した際のデータ校正を、より高精度に且つ容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面に基づき本発明の好適な一実施形態について説明する。
図1には本発明の一実施形態にかかる校正方法が適用される非接触三次元計測装置の概略構成が示されている。なお、同図(A)は非接触三次元計測装置の全体図、同図(B)は該非接触三次元計測装置の要部拡大図である。
同図(A)に示す非接触三次元計測装置10は、回転ステージ12と、非接触プローブ14と、高さ位置変更手段16と、データ処理装置18とを備える。
【0018】
ここで、回転ステージ12は、ベース20に回転自在に設けられ、校正用治具22又はワーク24が置かれる。回転ステージ12は、回転軸26を中心に回転し、回転角度θを角度分解能Δθピッチでデータ処理装置18に出力する。
【0019】
また、非接触プローブ14は、所定の視野をもち、回転ステージ12が所定の回転角度、回転する毎に、視野内に入る校正用治具22部位又はワーク24部位を測定し、視野内に入る校正用治具22部位上の各点の位置情報又はワーク24部位上の各点の位置情報を得る。非接触プローブ14により得られるデータは、校正用治具22又はワーク24上の各点の位置情報であり、つまり校正用治具22又はワーク24の三次元形状情報を、三次元座標情報をもつ離散的な点群データとして得ている。そして、校正用治具22又はワーク24上の各点の位置情報に基づき、校正用治具22又はワーク24の三次元形状情報が、データ処理装置18によるデータ処理により求められる。
非接触プローブ14により得られたデータは、回転ステージ12からの回転角度情報と共に、データ処理装置18に記憶される。
なお、本実施形態においては、三次元形状情報の測定原理として、例えば特許文献1等に記載の光切断法を用いている。すなわち、本実施形態においては、非接触プローブ14が、光出射手段28及びCCDカメラ30(位置センサ)を含む。そして、光出射手段28からのスリット光の校正用治具22又はワーク24への投光角度と、CCDカメラ30での校正用治具22又はワーク24からの反射光の受光位置との位置関係から、三角測量の原理に基づいて、非接触プローブ14と校正用治具22又はワーク24上の被測定部位間の距離を測定している。このようなスリット光による校正用治具22又はワーク24上のスキャンを、非接触プローブ14の視野内の校正用治具22部位又はワーク24部位に対して行うことにより、該視野内での校正用治具22又はワーク24の三次元形状情報を求めている。
【0020】
高さ位置変更手段16は、ベース20に設けられ、非接触プローブ14の高さ位置を変えるため、非接触プローブ14を鉛直方向に移動する。
【0021】
データ処理装置18は、記憶機構32と、校正用パラメータ取得機構34と、統合機構36とを備える。
ここで、記憶機構32は、データ記憶手段38と、校正用パラメータ記憶手段40と、統合データ記憶手段42とを備える。
データ記憶手段38は、非接触プローブ14からのデータを、測定時の回転ステージの回転角度情報と共に記憶する。
また、校正用パラメータ記憶手段40は、校正用パラメータ取得機構34により求められた校正用パラメータを記憶する。
統合データ記憶手段42は、統合機構36により得られた統合データを記憶する。
【0022】
校正用パラメータ取得機構34は、回転軸校正用パラメータ取得手段44と、高さ位置校正用パラメータ取得手段46とを備える。
ここで、回転軸校正用パラメータ取得手段44は、非接触プローブ14の高さ位置変更前に非接触プローブ14により校正用治具22上の各点の位置情報を測定して得られたデータの回転軸情報と、非接触プローブ14の高さ位置変更後に非接触プローブ14により校正用治具22上の各点の位置情報を測定して得られたデータの回転軸情報とを一致させるための、回転軸校正用パラメータを求める。これを、校正用パラメータ記憶手段40に登録しておく。
また、高さ位置校正用パラメータ取得手段46は、非接触プローブ14の高さ位置変更前に非接触プローブ14により校正用治具22上の各点の位置情報を測定して得られたデータの回転軸上での回転ステージ12からの高さ位置情報と、非接触プローブ14の高さ位置変更後に非接触プローブ14により校正用治具22上の各点の位置情報を測定して得られたデータの回転軸上での回転ステージ12からの高さ位置情報とを一致させるための、高さ位置校正用パラメータを求める。これを、校正用パラメータ記憶手段40に登録しておく。
【0023】
統合機構36は、回転軸位置合わせ手段48と、高さ位置合わせ手段50とを備える。
ここで、回転軸位置合わせ手段48は、前記回転軸校正用パラメータに基づき、非接触プローブ14の高さ位置変更前にワーク24上の各点の位置情報を測定して得られたデータと、非接触プローブ14の高さ位置変更後にワーク24上の各点の位置情報を測定して得られたデータとの、回転ステージの回転軸回りの位置合わせを行う。
また、高さ位置合わせ手段50は、前記高さ位置校正用パラメータに基づき、非接触プローブ14の高さ位置変更前にワーク24上の各点の位置情報を測定して得られたデータと、非接触プローブ14の高さ位置変更後にワーク24上の各点の位置情報を測定して得られたデータとの、回転軸上での回転ステージ12からの高さ位置の位置合わせを行う。
【0024】
同図(B)には本発明の一実施形態にかかる校正用治具の概略構成が示されている。
同図に示す校正用治具22は、二の回転軸校正用測定平面60,62と、一の高さ位置校正用測定球(高さ位置校正用特徴部位)64とを備えている。
二の回転軸校正用測定平面60,62は、非接触プローブ14により得られるデータ上において回転ステージの回転軸情報を得るためのものとする。二の回転軸校正用測定平面60,62は、互いに平行でない二の平面よりなり、非接触プローブ14により測定される二の回転軸校正用測定平面60,62上の各点の位置情報に基づく、該二の回転軸校正用測定平面情報により決定される一の交線66が、回転ステージ12の回転軸26と一致するように、回転ステージ12に校正用治具22が置かれる。
【0025】
一の高さ位置校正用測定球64は、非接触プローブ14により得られたデータの回転軸上での高さ位置情報、つまり回転ステージからの高さ位置情報を得るためのものとする。この高さ位置校正用測定球64は、校正用治具22が回転ステージ12に置かれた際、回転ステージ12からの高さ位置が所望の高さ位置となるように、校正用治具22での回転ステージへの設置面からの高さ位置が、所定の高さ位置のところに設けられている。本実施形態においては、高さ位置校正用測定球64は、非接触プローブ14により位置校正用測定球64上の各点の位置情報を測定して得られた位置校正用測定球64の中心の位置情報に基づき、回転ステージ12の回転軸26上での、回転ステージ12からの高さ位置情報を得るためのものとする。
【0026】
そして、同図に示す校正用治具22は、非接触プローブ14の高さ位置を変える毎に、回転ステージ12に置かれ、各データでの回転ステージの回転軸情報及び回転軸上での高さ位置情報を得る際に用いられる。非接触プローブ14により校正用治具22上の各点の位置情報を測定する際は、二の回転軸校正用測定平面60,62、及び一の高さ位置校正用測定球64が非接触プローブ14の視野内に入る範囲内で、回転ステージ12を回転する。
【0027】
なお、本実施形態において、校正用治具22は、寸法が既知のものであり、三次元座標系の絶対長さを補正する役目も果たす。すなわち、校正用治具22として寸法が既知のものを用いることにより、非接触三次元計測装置10により得られたデータを、校正用治具22の既知の寸法データに近づけることができる。
【0028】
本実施形態にかかる校正方法が適用される非接触三次元計測装置10、及び本実施形態にかかる校正方法を行うための校正用治具22は概略以上のように構成され、以下にその作用について説明する。
すなわち、本実施形態においては、校正用治具22に、二の回転軸校正用測定平面60、62、一の高さ位置校正用測定球64を設けている。
そして、本実施形態においては、非接触三次元計測装置10により、校正用治具22の回転軸校正用測定平面60,62上の各点の位置情報及び高さ位置校正用測定球64上の各点の位置情報を三次元計測することにより、データの回転ステージ12上の各点の三次元位置情報、つまり回転軸情報と該回転軸上での高さ位置情報を高精度に且つ容易に得ることができる。
したがって、本実施形態においては、ワーク24を異なる角度から分割測定し、複数のデータを得た際、各データ上での回転ステージの三次元位置情報に基づき、複数のデータの位置合わせを高精度に且つ容易に行うことができる。これにより、本実施形態においては、より広範囲な測定を、高精度に且つ容易に行うことができる。
【0029】
以下、前記本実施形態の作用について、より具体的に説明する。
図2〜4には本発明の一実施形態にかかる校正方法の処理手順を示すフローチャートが示されている。
図2においては、同図(A)に示されるような第一校正用治具測定工程(S10)と、同図(B)に示されるような第一ワーク測定工程(S12)とを備える。
【0030】
同図(A)に示されるような第一校正用治具測定工程(S10)では、まず校正用治具22を回転テーブル12上に設置する。
すなわち、校正用治具測定工程(S10)では、二の回転軸校正用測定平面60,62により決定される交線66が、回転ステージ12の回転軸26と一致するように、校正用治具22が回転ステージ12上に置かれる。
ここで、校正用治具22において、各回転軸校正用測定平面60,62は、法線方向が平行でなく、所定の角度をなすように設定されている。このため、校正用治具22は、二の回転軸校正用測定平面60,62を延長させると、鉛直方向に平行な交線66上で交差する。
また、二の回転軸校正用測定平面60,62が非接触プローブ14から測定可能な水平向きとなるように、校正用治具22が、回転ステージ12上に置かれる。
【0031】
次に、第一校正用治具測定工程(S10)では、校正用治具22を測定する。
すなわち、校正用治具測定工程(S10)では、校正用治具22が置かれた回転ステージ12を回転することにより、非接触プローブ14が校正用治具22を異なる回転角度から測定し、校正用治具22の回転軸校正用特徴部位60,62上の各点の位置情報、及び高さ位置校正用特徴部位64上の各点の位置情報を測定し、データを得ている。
回転ステージ12による校正用治具22の所定角度毎の回転と非接触プローブ14による校正用治具22の測定とを繰り返し行うことにより、非接触プローブ14が第一の高さ位置にある状態において、校正用治具22の一回転分のデータを得ている。
【0032】
次に、同図(B)に示されるような第一ワーク測定工程(S12)では、回転ステージ12から校正用治具22を取り外し、ワーク24を回転ステージ12上に設置する。
第一ワーク測定工程(S12)では、非接触プローブ14の高さ位置を前記第一の高さ位置に一定にした状態で、ワーク24の一回転分の測定を行う。すなわち、ワーク測定工程(S12)では、ワーク24が置かれた回転ステージ12を所定の回転角度毎、回転し、異なる回転角度から、ワーク24上の各点の位置情報を測定し、データを得る。
ここで、回転ステージ12によるワーク24の所定角度毎の回転と非接触プローブ14によるワーク24の測定とを繰り返し行うことにより、非接触プローブ14が第一の高さ位置にある状態において、ワーク24の一回転分についての複数データを得ることができる。
【0033】
ここで、従来方式では、ワークの回転のみで広範囲測定を行っていたのに対し、本実施形態では、より広範囲な測定を行うため、さらに、非接触プローブの高さ位置を変えている。また、より広範囲な測定を高精度に且つ容易に行うためには、複数のデータの統合精度が非常に重要である。前記従来方式では、満足のゆく統合精度が得られなかったので、さらに非接触プローブの高さ位置を変えて、広範囲測定を行うことは事実上、困難であった。
これに対し、本実施形態では、校正用治具に高さ位置基準を付加し、ワークを異なる高さ位置から測定して得られた複数のデータ間に校正用治具の高さ位置基準による相関を持たせることにより、ワークを異なる高さ位置から測定して得られた複数のデータの統合を高精度に且つ容易に行うことができる。
【0034】
以下に、本実施形態において特徴的な高さ位置方向の校正方法について、具体的に説明する。
図3においては、高さ位置変更工程(S14)と、同図(A)に示されるような第二ワーク測定工程(S12´)と、同図(B)に示されるような第二校正用治具測定工程(S10´)とを備える。
高さ位置変更工程(S14)では、非接触プローブ14を鉛直方向に移動することにより、非接触プローブ14の高さ位置を、第一の高さ位置から、第二の高さ位置に変更する。
【0035】
同図(A)に示されるような第二ワーク測定工程(S12´)では、非接触プローブ14の高さ位置を第二の高さ位置に一定にした状態で、回転ステージ12を回転し、ワーク24の一回転分の測定を行う。
ここで、回転ステージ12によるワーク24の所定角度毎の回転と非接触プローブ14によるワーク24の測定とを繰り返し行うことにより、非接触プローブ14が第二の高さ位置にある状態において、ワーク24の一回転分のデータを得ることができる。
【0036】
次に、同図(B)に示されるような第二校正用治具測定工程(S10´)では、ワーク24に代えて、校正用治具22を、回転ステージ12に設置する。
すなわち、第二校正用治具測定工程(S10´)では、非接触プローブ14の高さ位置を第二の高さ位置に一定にした状態で、回転ステージ12を回転し、校正用治具22の一回転分の測定を行う。
ここで、回転ステージ12による校正用治具22の所定角度毎の回転と非接触プローブ14による校正用治具22の測定とを繰り返し行うことにより、非接触プローブ14が第二の高さ位置にある状態において、校正用治具22の一回転分の複数データを得ることができる。
【0037】
図4においては、校正用パラメータ取得工程(S16)と、統合工程(S18)とを備える。
校正用パラメータ取得工程(S16)は、回転軸校正用パラメータ取得工程(S20)と、高さ位置校正用パラメータ取得工程(S22)とを備える。
回転軸校正用パラメータ取得工程(S20)では、回転軸校正用パラメータを求める。ここで、回転軸校正用パラメータは、非接触プローブ14の高さ位置変更前に校正用治具22上の各点の位置情報を測定して得られた回転軸情報と、非接触プローブ14の高さ位置変更後に校正用治具22上の各点の位置情報を測定して得られた回転軸情報とを一致させるためのものとする。
高さ位置校正用パラメータ取得工程(S22)では、高さ位置校正用パラメータを求める。ここで、高さ位置校正用パラメータは、非接触プローブ14の高さ位置変更前に校正用治具22上の各点の位置情報を測定して得られた回転軸上での高さ位置情報と、非接触プローブ14の高さ位置変更後に校正用治具22上の各点の位置情報を測定して得られた回転軸上での高さ位置情報とを一致させるためのものとする。
【0038】
統合工程(S18)では、回転軸位置合わせ工程(S24)と、高さ位置合わせ工程(S26)とを備える。
回転軸位置合わせ工程(S24)では、前記回転軸校正用パラメータに基づき、非接触プローブ14の高さ位置変更前にワーク24上の各点の位置情報を測定して得られたデータと、非接触プローブ14の高さ位置変更後にワーク24上の各点の位置情報を測定して得られたデータとの、回転軸回りの位置合わせを行う。
高さ位置合わせ工程(S26)では、前記高さ位置校正用パラメータに基づき、非接触プローブ14の高さ位置変更前にワーク24上の各点の位置情報を測定して得られたデータと、非接触プローブ14の高さ位置変更後にワーク24上の各点の位置情報を測定して得られたデータとの、高さ位置の位置合わせを行う。
このようにして、本実施形態においては、ワークを異なる角度及び高さ位置から測定して得られた複数のデータを一のデータに統合することにより、非接触プローブ14の視野よりも広範囲のワーク所望部位の三次元形状情報を生成している。
【0039】
以上説明したように本実施形態においては、ワーク24の回転によりワークを異なる角度から分割測定し、分割測定された複数のデータを統合し、ワークの三次元形状情報を得る広範囲測定を行う際、非接触プローブ14の高さ位置を変える毎に、回転ステージ12に校正用治具22を置いて、ワーク24と同様の広範囲測定を行っている。本実施形態においては、校正用治具22を用いることにより、非接触プローブ14の高さ位置を変えた際のデータ校正を高精度に且つ容易に行うことができるので、広範囲測定を、より高精度に且つ容易に行うことができる。
【0040】
ここで、本実施形態においては、非接触プローブ14の高さ位置の変更前後で、ワーク24を回転ステージ12に設置したままなので、ワーク24を回転ステージ12に設置し直した場合に比較し、回転ステージに対するワーク24の位置再現性が確実に得られるので、非接触プローブ14により、異なる高さ位置からワークを測定して得られた複数データの統合が、より高精度に且つ容易に行うことができる。
【0041】
また、本実施形態においては、高さ位置校正用測定球64を備えた校正用治具22を用いるので、作業性、使い勝手の向上が図られる。すなわち、本実施形態では、校正用治具22が、高さ位置校正用測定球64を備えることにより、回転ステージ12からの高さ位置情報の取得を低価格で実現することができる。また、本実施形態では、高額な校正用治具を用いることなく、また短時間で校正を実施することができるので、作業工数を低減することができる。
【0042】
変形例
(1)校正用治具
前記構成では、校正用治具の高さ位置校正用特徴部位として測定球を用いた例について説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、図5に示されるような一の測定平面を用いることも好ましい。前記図1と対応する部分には符号100を加えて示し説明を省略する。
同図に示す校正用治具122は、高さ位置校正用特徴部位として、一の高さ位置校正用測定平面164を用いている。
ここで、高さ位置校正用測定平面164は、校正用治具122が回転ステージ112上に置かれた際に上向きとなる。この高さ位置校正用測定平面164は、二の回転軸校正用測定平面160,162に平行でなく、二の回転軸校正用測定平面160,162に隣接する。また、この高さ位置校正用測定平面164は、三の測定平面160,162,164により決定される一の交点170の位置情報に基づき、データ上で回転ステージ112からの高さ位置情報を得るためのものとする。本実施形態においては、非接触プローブにより測定された三の測定平面160,162,164上の各点の位置情報に基づき、該三の測定平面情報が求められる。該三の測定平面情報に基づき、該三の測定平面により決定される一の交点の位置情報が求められる。
同図に示されるように、校正用治具122が、高さ位置校正用特徴部位として、前記測定平面164を備えることにより、前記測定球を備えた校正用治具と同様、非接触プローブにより得られるデータから、回転ステージ112からの高さ位置情報を高精度に且つ容易に得ることができる。
【0043】
(2)校正方法
前記構成では、非接触プローブが異なる二の高さ位置からワークを測定した例について説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、非接触プローブが異なる三以上の高さ位置からワークを測定することもできる。
また、非接触プローブが異なる二の高さ位置からワークを測定する際、前記各工程を前記実施形態以外の順番で行うことも可能であるが、非接触プローブを第一高さ位置に一定にした状態で校正用治具測定工程及びワーク測定工程を順に行い、次に非接触プローブを第一高さ位置から第二高さ位置に変える位置変更工程を行った後に、非接触プローブを第二高さ位置に一定にした状態でワーク測定工程及び校正用治具測定工程を順に行うことが非常に好ましい。
すなわち、非接触プローブが異なる二の高さ位置からワークを広範囲測定する際、回転ステージ上にワークを設置した状態で、非接触プローブが異なる二の高さ位置からワークを測定することができる。この結果、回転ステージに対しワークの設置し直しをした場合に比較し、回転ステージに対するワークの位置再現性が非常に高いものとなる。これにより、非接触プローブが異なる二の高さ位置からワークを広範囲測定する際、回転ステージに対するワークの位置再現性の悪影響を確実に排除することができるので、該ワークの広範囲測定を高精度に行うことができるからである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態にかかる校正方法が適用される非接触三次元計測装置の概略構成の説明図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる校正方法における、高さ位置変更工程前の校正用治具測定工程及びワーク測定工程の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態にかかる校正方法における、高さ位置変更工程、該高さ位置変更工程後のワーク測定工程及び校正用治具測定工程の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態にかかる校正方法における、パラメータ取得工程及び統合工程の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】前記図1に示した校正用治具の好適な変形例である。
【符号の説明】
【0045】
10 非接触三次元計測装置
12 回転ステージ
14 非接触プローブ
16 高さ位置変更手段
22 校正用治具
44 回転軸校正用パラメータ取得手段
46 高さ位置校正用パラメータ取得手段
48 回転軸位置合わせ手段
50 高さ方向位置合わせ手段
60,62 回転軸校正用測定平面(回転軸校正用特徴部位)
64 高さ位置校正用測定球(高さ位置校正用特徴部位)
122 校正用治具
160,162 回転軸校正用測定平面(回転軸校正用特徴部位)
164 高さ位置校正用測定平面(高さ位置校正用特徴部位)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ステージ上のワークを回転することにより該ワークを異なる角度から分割測定し、該分割測定された複数のデータを統合することにより該ワークの三次元形状情報を得る広範囲測定を行う際、非接触プローブの高さ位置を変える毎に、該回転ステージ上に設置され、該回転ステージの回転軸情報及び該回転軸上での高さ位置情報を得るため、該非接触プローブにより視野内のワーク上の各点の位置情報が測定される校正用治具であって、
前記回転ステージの回転軸情報を得るための回転軸校正用特徴部位と、
前記回転軸上での回転ステージからの高さ位置情報を得るための高さ位置校正用特徴部位と、
を備え、前記回転軸校正用特徴部位は、互いに平行でない二の回転軸校正用測定平面よりなり、前記非接触プローブにより測定される該二の回転軸校正用測定平面上の各点の位置情報に基づく該二の回転軸校正用測定平面情報により決定される交線が、前記回転ステージの回転軸と一致するように、該回転ステージ上に設置され、
また、前記高さ位置校正用特徴部位が、前記校正用治具での回転ステージへの設置面から、所定の高さ位置のところに設けられていることを特徴とする校正用治具。
【請求項2】
請求項1記載の校正用治具において、
前記高さ位置校正用特徴部位が、一の高さ位置校正用測定球であり、
前記非接触プローブが前記高さ位置校正用測定球上の各点の位置情報を測定して得られた、該高さ位置校正用測定球の中心の位置情報に基づき、前記高さ位置情報が得られることを特徴とする校正用治具。
【請求項3】
請求項1記載の校正用治具において、
前記高さ位置校正用特徴部位が、二の回転軸校正用測定平面に平行でなく、該二の回転軸校正用測定平面に隣接する、一の高さ位置校正用測定平面であり、
前記非接触プローブが前記二の回転軸校正用測定平面上の各点の位置情報及び前記一の高さ位置校正用測定平面上の各点の位置情報を測定して求められた、該二の回転軸校正用測定平面情報及び該一の高さ位置校正用測定平面情報の交点の位置情報に基づき、前記高さ位置情報が得られることを特徴とする校正用治具。
【請求項4】
回転ステージ上のワークを回転することにより該ワークを異なる角度から分割測定し、該分割測定された複数のデータを統合することにより該ワークの三次元形状情報を得る広範囲測定を行う際、該分割測定された複数のデータを統合するための、該回転ステージの回転軸情報及び該回転軸上での回転ステージからの高さ位置情報を得るための校正方法であって、
前記非接触プローブの高さ位置を一定にした状態で、前記回転軸情報及び高さ位置情報を得るための校正用治具が置かれた回転ステージを回転することにより、該非接触プローブが該校正用治具を異なる角度から測定し、該非接触プローブ視野内の該校正用治具の、回転軸校正用特徴部位上の各点の位置情報及び高さ位置校正用特徴部位上の各点の位置情報を得る校正用治具測定工程と、
前記非接触プローブの高さ位置を一定にした状態で、前記ワークが置かれた回転ステージを回転することにより、該非接触プローブが該ワークを異なる回転角度から測定し、該非接触プローブの視野内のワーク上の各点の位置情報を得るワーク測定工程と、
前記非接触プローブの高さ位置を変更する高さ位置変更工程と、
前記非接触プローブの高さ位置変更前に前記校正用治具上の各点の位置情報を測定して得られた回転軸情報と、該非接触プローブの高さ位置変更後に該校正用治具上の各点の位置情報を測定して得られた回転軸情報とを一致させるための、回転軸校正用パラメータを求める回転軸校正用パラメータ取得工程と、
前記非接触プローブの高さ位置変更前に前記校正用治具上の各点の位置情報を測定して得られた高さ位置情報と、該非接触プローブの高さ位置変更後に該校正用治具上の各点の位置情報を測定して得られた高さ位置情報とを一致させるための、高さ位置校正用パラメータを求める高さ位置校正用パラメータ取得工程と、
前記回転軸校正用パラメータに基づき、前記非接触プローブの高さ位置変更前に前記ワーク上の各点の位置情報を測定して得られたデータと、該非接触プローブの高さ位置変更後に該ワーク上の各点の位置情報を測定して得られたデータとの、回転軸回りの位置合わせを行う回転軸位置合わせ工程と、
前記高さ位置校正用パラメータに基づき、前記非接触プローブの高さ位置変更前に前記ワーク上の各点の位置情報を測定して得られたデータと、該非接触プローブの高さ位置変更後に該ワーク上の各点を測定して得られたデータとの、高さ位置の位置合わせを行う高さ位置合わせ工程と、
を備え、前記非接触プローブの高さ位置を変える毎に、前記校正用治具測定工程、前記ワーク測定工程、前記回転軸校正用パラメータ取得工程、前記高さ位置校正用パラメータ取得工程、前記回転軸位置合わせ工程、及び前記高さ位置合わせ工程を行い、
また、前記校正用治具は、前記回転軸校正用特徴部位が、互いに平行でない二の回転軸校正用測定平面よりなり、該二の回転軸校正用測定平面上の各点の位置情報に基づく該二の回転軸校正用測定平面情報により決定される交線が該回転ステージの回転軸と一致するように、該回転ステージに置かれ、また、該回転ステージに該校正用治具が置かれた際、前記高さ位置校正用特徴部位が、該回転ステージから所望の高さに位置するように、該校正用治具での回転ステージへの設置面から、所定の高さ位置のところに設けられているものを用いることを特徴とする校正方法。
【請求項5】
請求項1記載の校正方法において、
前記校正用治具測定工程では、前記校正用治具として、前記高さ位置校正用特徴部位が、一の高さ位置校正用測定球であるものを用いており、
前記高さ位置合わせ工程は、前記校正用治具の高さ位置校正用測定球の中心の位置情報により決定される、回転軸上での回転ステージからの高さ位置情報に基づき、前記非接触プローブにより、異なる高さ位置からワークを測定して得られた複数のデータの高さ位置の位置合わせを行うことを特徴とする校正方法。
【請求項6】
請求項1記載の校正方法において、
前記校正用治具測定工程では、前記校正用治具として、前記高さ位置校正用特徴部位が、前記二の回転軸校正用測定平面に隣接する、一の高さ位置校正用測定平面であるものを用いており、
前記高さ位置合わせ工程は、前記二の回転軸校正用測定平面及び一の高さ位置校正用測定平面の交点位置の情報により決定される、回転軸上での回転ステージからの高さ位置情報に基づき、前記非接触プローブにより異なる高さ位置からワーク上の各点の位置情報を測定して得られた複数のデータの高さ位置の位置合わせを行うことを特徴とする校正方法。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれかに記載の校正方法において、
前記非接触プローブの高さ位置を、前記高さ位置変更工程前の高さ位置に一定にした状態で、前記校正用治具測定工程及び前記ワーク測定工程を順に行い、
前記高さ位置変更工程後に、前記非接触プローブの高さ位置を該高さ位置変更工程後の高さ位置に一定にした状態で、前記ワーク測定工程及び前記校正用治具測定工程を順に行うことを特徴とする校正方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−122065(P2009−122065A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298999(P2007−298999)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】