説明

校正装置及び校正制御プログラム

【課題】自身に適した校正記号を用いた校正作業や再校作業を可能にする。
【解決手段】校正記号が入力可能な校正装置において、ログインユーザの属性を特定するユーザ属性特定部と、複数の校正記号セットを前記ユーザの属性に対応付けて記憶すると共に、前記複数の校正記号セット間で校正内容が共通する校正記号を対応付ける中間記号セットを記憶する記憶部と、ログインユーザの属性に対応する校正記号セットを選択する校正記号セット選択部と、第1のユーザが文書に入力した校正記号を認識して中間記号に変換し、当該中間記号を前記文書に関連付けて前記記憶部に記憶させると共に、第2のユーザがログインした場合に、前記中間記号を、前記第2のユーザの属性に応じて前記校正記号セット選択部が選択した校正記号セットの校正記号に変換し、前記文書と共に表示部に表示させる校正記号変換部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、校正装置及び校正制御プログラムに関し、特に、ユーザ属性に応じた校正記号を用いた校正を可能にする校正装置及び校正制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本などの書籍を発行する場合、著者が作成した原稿を植字して試し刷りし、この試し刷りした文書(校正刷りと呼ぶ。)に対して、校正者が内容を確認して修正箇所に校正記号を記入する校正作業を行い、この校正記号を用いて自動若しくは手動で校正を行って文書(校正済文書と呼ぶ。)を作成する。そして、別の校正者が、校正済文書と校正記号が入力された文書とを比較して校正が確実に行われているかを確認する再校作業を行い、再校後の文書(再校済文書と呼ぶ。)を印刷するといった手順で処理が行われる。
【0003】
このような校正に関して、例えば、下記特許文献1には、表記選択部が、校正辞書から、複数分野の置換え先表記に対応付けられている置換え元表記と当該置換え元表記に対応付けられている複数分野の置換え先表記とを選択し、リスト作成部が、選択された複数分野の置換え先表記ごとに、当該置換え先表記に基づいて置換え元表記を校正辞書から抽出し、当該置換え元表記と当該置換え元表記に対応付けられている置換え先表記とを含んだ表記リストを作成し、類似判定部が、複数分野の表記リスト間で一の分野の表記リストの表記群と他の分野の表記リストの表記群とが類似しているか否かを判定して、補完辞書生成部が、類似している他の分野の表記リストの表記と一の分野の表記リストの最上位の置換え先表記とを対応付けた校正補完辞書を生成することにより、カバー率の高い校正辞書を作成する文書校正支援方法が開示されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、作成された電子文書を保存するとともに、この電子文書を画像データに変換して可視化する電子文書制御手段と、電子文書制御手段からの指令に基づいて用紙上に画像データを印刷する際に、複数のICタグに対して画像データを記憶させる画像データ印刷・記憶手段と、複数のICタグ52に記憶された画像データをICタグごとに操作することにより、用紙上に印刷された文書に対して校正指示を与える校正指示手段と、校正指示手段によって操作された画像データの内容を複数のICタグから取得することにより、校正指示の内容を読み取る校正内容読取手段と、を有する文書校正装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−245308号公報
【特許文献2】特開2005−242763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、最終的な文書を作成するために校正作業と再校作業とが必要であり、上記従来技術を利用することにより校正作業を改善することができる。一方、再校作業では、校正済文書と校正記号が入力された文書との比較を行うことになるが、校正記号には様々な独自のルールが存在するため、校正者と再校者とが異なるルールの校正記号を使用する場合には、再校者は校正者が使用する校正記号を認識しなければならず、再校作業に時間がかかり、ミスが発生する可能性が高くなる。特に、複数の校正者が異なるルールの校正記号を使用する場合には、再校者は複数のルールの校正記号を見分けなければならず、再校作業に更に時間がかかり、ミスが発生する可能性がより高くなる。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、自身に適した校正記号を用いて校正作業や再校作業を行うことができる校正装置及び校正制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、校正記号が入力可能な校正装置において、ログインしたユーザの属性を特定するユーザ属性特定部と、複数の校正記号ルールに則った複数の校正記号セットを前記ユーザの属性に対応付けて記憶すると共に、前記複数の校正記号セット間で校正内容が共通する校正記号を対応付けるための中間記号セットを記憶する記憶部と、前記複数の校正記号セットの中から、ログインしたユーザの属性に対応する校正記号セットを選択する校正記号セット選択部と、第1のユーザが文書に入力した校正記号を認識して中間記号に変換し、当該中間記号を前記文書に関連付けて前記記憶部に記憶すると共に、第2のユーザがログインした場合に、前記中間記号を、前記第2のユーザの属性に応じて前記校正記号セット選択部が選択した校正記号セットの校正記号に変換し、前記文書と共に表示部に表示させる校正記号変換部と、を備えるものである。
【0009】
また、本発明は、校正記号が入力可能な校正装置で動作する校正制御プログラムであって、前記校正装置には、複数の校正記号ルールに則った複数の校正記号セットがユーザの属性に対応付けて予め記憶され、かつ、前記複数の校正記号セット間で校正内容が共通する校正記号を対応付けるための中間記号セットが予め記憶されており、前記校正装置に、第1のユーザが文書に入力した校正記号を認識して中間記号に変換し、当該中間記号を前記文書に関連付けて記憶する第1ステップ、ログインした第2のユーザの属性を特定する第2ステップ、予め記憶された前記複数の校正記号セットの中から、前記第2のユーザの属性に応じた校正記号セットを選択する第3ステップ、前記文書に関連付けて記憶された前記中間記号を前記第2のユーザの属性に応じて選択した校正記号セットの校正記号に変換し、前記文書と共に表示部に表示する第4ステップ、を実行させるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の校正装置及び校正制御プログラムによれば、自身に適した校正記号を用いて校正作業や再校作業を行うことができる。
【0011】
その理由は、校正装置(校正制御プログラム)では、校正作業に際して、文書に入力された校正記号を認識して中間記号に変換し、文書に関連付けて記憶し、再校作業に際して、その中間記号を再校者に対応する校正記号に変換し、文書と共に表示する制御を行うからである。
【0012】
これにより、校正者が再校者とは異なるルールの校正記号を用いて校正した場合でも、再校者は自身がいつも使用している校正記号で再校作業を行なうことが可能になり、校正作業や再校作業の汎用性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例に係る校正システムの構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例に係る校正装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施例に係る保持装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施例に係る校正装置の動作(校正記号のカスタマイズ処理)を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の一実施例に係る校正装置の動作(校正処理)を示すフローチャート図である。
【図6】本発明の一実施例に係る校正装置の動作(再校処理)を示すフローチャート図である。
【図7】中間記号と各校正記号との関係を示すテーブルである。
【図8】校正の手順を説明する図である。
【図9】校正記号の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図8に示すように、本などの書籍を発行する場合、まず、著者が原稿を作成すると、その原稿を植字したり原稿のデータを取り込んだりして電子データ化した後、試し刷りを行う。次に、試し刷りした文書(校正刷り)に対して校正者が内容を確認して修正箇所に校正記号を記入する校正作業を行い、この校正記号を用いて自動若しくは手動で校正を行って校正済文書を作成する。そして、校正者とは異なる再校者が、校正記号が記入された文書と校正済文書とを比較して校正が適切に行われているかを確認する再校作業を行い、再校済文書を印刷する。
【0015】
ここで、図9に示すように、校正記号は様々な独自のルールがあり、ルールに応じて校正に使用する校正記号が異なる。そのため、校正者と再校者とで使用するルールが異なる場合には、再校者は校正者が使用するルールの校正記号を認識しなければならず、再校者に高いスキルが求められると共に、再校作業に時間がかかり、ミスが発生する可能性が高くなるという問題があった。
【0016】
また、校正者が校正作業の途中で交代し、前任者とは異なるルールの校正記号を入力した場合は、再校者は、同じ文書でありながら、文書の途中から異なる校正記号を理解しチェックすることになり、再校作業に更に時間がかかり、ミスが発生する可能性も高くなる。さらに、再校者が再校作業の途中で交代した場合にも、再校作業を引き継いだ再校者は、校正者が使用した校正記号に加えて前任の再校者が使用した校正記号も理解しなければならず、上記問題がより顕著に現れる。
【0017】
そこで、本発明の一実施の形態では、複数のルールに従った複数の校正記号が混在する場合であっても、再校者が確実に再校作業を行えるようにするために、校正作業に際して、校正者が文書に記入した校正記号を認識して一旦中間記号に変換し、文書に関連付けて記憶しておき、再校作業に際して、その中間記号を再校者に対応する校正記号に変換し、文書と共に表示する制御を行う。
【0018】
具体的には、手書きにて校正記号が入力可能な校正装置において、複数の校正記号ルールに則った複数の校正記号セットをユーザの属性に対応付けて記憶すると共に、複数の校正記号セット間で校正内容が共通する校正記号を対応付けるための情報(交通記号セット)を記憶しておき、文書に校正記号を入力した場合、校正者のユーザ属性に対応する校正記号セットに基づいて校正記号を認識し、その校正記号を中間記号に変換し、文書に関連付けて記憶するようにする。また、校正記号が入力された文書を閲覧する場合には、中間記号を閲覧者に応じた校正記号セットに変換し、文書と共に表示するようにする。
【0019】
これにより、異なるルールに基づく複数の校正記号が混在する場合であっても、再校者は自身に適した校正記号を利用することができ、再校者のスキルによらずに再校作業を確実に実行することができ、汎用性の高い校正装置を提供することができる。
【実施例】
【0020】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係る校正装置及び校正制御プログラムについて、図1乃至図7を参照して説明する。図1は、本実施例の校正システムの構成を模式的に示す斜視図であり、図2は、校正装置の構成を示すブロック図、図3は、保持装置の構成を示すブロック図である。また、図4乃至図6は、本実施例の校正装置の動作を示すフローチャート図であり、図7は、中間記号と各校正記号との関係を示すテーブルである。
【0021】
図1に示すように、本実施例の校正システム10は、文書の校正作業や再校作業を行うための校正装置20(本実施例では、表示部を備えた情報表示装置とする。)と、校正装置20を挿抜可能に保持する保持装置40と、保持装置40を載置する装置(本実施例では、校正刷りや校正済文書、再校済文書などを印刷する画像形成装置50とする。)と、により構成される。
【0022】
なお、本実施例では、校正装置20として情報表示装置を使用するが、校正装置20は校正作業に際して校正記号が入力可能であり、再校作業に際して校正記号が表示可能な装置であればよく、例えば、コンピュータ装置などとしてもよい。また、校正刷りや校正済文書、再校済文書などを印刷する必要がない場合は、画像形成装置50を省略することも可能である。また、校正装置20が画像形成装置50と直接、データの交信を行うことができる場合は、保持装置40を省略することも可能である。以下、校正装置20と保持装置40について詳細に説明する。
【0023】
[校正装置]
校正装置20は、電子ペーパーや電子ブック、薄型のコンピュータ装置などの表示デバイスを備えた装置であり、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)21、メモリ22、表示コントローラ23、表示部(電子ペーパー)24、操作部(タッチパネル)25、手書き入力部(タブレット)26、通信部27、電池28、装着検出部29、データ復号化部30、校正記号変換部31、ユーザ属性特定部32、校正記号セット選択部33などを備える。
【0024】
CPU21は、メモリ22から読み出した各種プログラムを実行し、各部の動作を制御する。メモリ22は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などで構成され、CPU21で動作する各種プログラムや、校正装置20の動作を制御するための設定情報、ログインのためのユーザ情報、表示部24に表示させる文書データ、表示画面を構成する表示データなどの各種データを記憶する。そして、CPU21とメモリ22とで制御部が構成される。
【0025】
また、メモリ22は、ユーザやユーザグループを特定する情報(ユーザ属性と呼ぶ。)に対応付けられた複数の校正記号セット(図では校正記号セット1〜3)、複数の校正記号セット間で校正内容が共通する校正記号を互いに対応付けるために使用する中間記号セットなどを記憶する。
【0026】
表示コントローラ23は、表示部24を駆動し、表示を制御する。表示部24は、透明な液体の中で浮動する微粒子を電界負荷によって移動させて表示を行う電子ペーパー(EPD:Electrophoretic Display)や液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(electroluminescence)表示装置等からなり、校正前の文書(校正刷り)や校正済文書などを表示する。
【0027】
操作部25は、ボタンやスイッチ、表示部24上に透明電極が格子状に配置された感圧式のタッチパネルなどである。タッチパネルでは、手指やタッチペン等で押下された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置信号を操作信号としてCPU21に出力する。
【0028】
手書き入力部26は、表示部24上で記入した軌跡(ここでは校正記号)を電子データとして出力するタブレットなどである。なお、表示部24上の位置を特定する方法は特に限定されず、例えば、表示部24上に表示された符号パターン(例えば、アノト(登録商標)パターン)を認識して表示部24上の位置を特定する方法、表示部24周囲の所定の位置に設置された機器と通信して表示部24上の位置を特定する方法などを用いることができる。また、本実施例では、操作部25とは別に手書き入力部26を設けているが、操作部25が表示部24上で記入した軌跡を認識できる場合は、手書き入力部26を省略することができる。また、本実施例では、手書き入力部26により校正記号が入力される構成とするが、文書を印刷した用紙に校正記号を記入し、その用紙をスキャナで読み取って校正記号を入力する構成とすることもでき、その場合も手書き入力部26を省略することができる。
【0029】
通信部27は、保持装置40と接続するためのインターフェースであり、有線通信や無線通信、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)などを利用して、保持装置40との通信を確立し、文書データの送受信及び表示データの送受信を行う。
【0030】
電池28は、保持装置40の校正装置充電部から供給される電力によって充電され、校正装置20の各部を駆動するための電力を供給する。
【0031】
装着検出部29は、校正装置20が保持装置40に装着されたことを検出する。検出の方法は特に限定されず、例えば、電池28と保持装置40の校正装置充電部とが接続されたか否かで装着を検出したり、校正装置20に設けた電極と保持装置40に設けた電極とが電気的に接続されたか否かで装着を検出したり、校正装置20の底部に自重によってON/OFFする電気接点を設け、この電気接点のON/OFFによって装着を検出したりすることができる。
【0032】
データ復号化部30は、保持装置40を介して画像形成装置50から送信される文書データが暗号化されている場合に、表示部24で表示可能なデータに復号する。
【0033】
校正記号変換部31は、ログインした校正者のユーザ属性に応じた校正記号セットを参照して手書き入力部26で入力された校正記号を認識し、中間記号セットを参照してその校正記号を中間記号に変換し、文書データに関連付けてメモリ22に記憶する。また、ログインした再校者のユーザ属性に応じた校正記号セットを参照して、メモリ22に記憶された中間記号を再校者に対応する校正記号に変換し、文書と共に表示部24に表示させる。
【0034】
ユーザ属性特定部32は、操作部25により入力されたユーザIDやパスワードなどのユーザ情報に基づいてユーザ属性を特定する。
【0035】
校正記号セット選択部33は、メモリ22に記憶された複数の校正記号セットの中から、ユーザ属性特定部32で特定されたユーザ属性に対応する校正記号セットを選択する。
【0036】
なお、図2では、校正記号変換部31、ユーザ属性特定部32、校正記号セット選択部33をハードウェアとして構成しているが、制御部(CPU21)を校正記号変換部31、ユーザ属性特定部32、校正記号セット選択部33として機能させる校正制御プログラムとして構成し、当該校正制御プログラムを制御部(CPU21)上で実行させる構成してもよい。
【0037】
[保持装置]
保持装置40は、校正装置20を保持する機構と、校正装置20とデータ通信を行う機能と、必要に応じて、校正装置20の電池28を充電する機能とを備えた装置であり、画像形成装置50の本体や付属品(例えば、本体と分離した給紙部や後処理部など)に固定される。
【0038】
この保持装置40は、図3に示すように、CPU41、メモリ42、校正装置用通信部43、データ暗号化部44、校正装置充電部45、校正装置検出部46、視認可能表示エリア設定部47、画像形成装置用通信部48、電源49などを備える。
【0039】
CPU41は、メモリ42から読み出した各種プログラムを実行し、各部の動作を制御する。メモリ42は、ROMやRAMなどで構成され、CPU41で動作する各種プログラムや、保持装置40の動作を制御するための設定情報、校正装置20に表示させる文書データなどの各種データを記憶する。そして、CPU41とメモリ42とで制御部が構成される。
【0040】
校正装置用通信部43は、1又は複数の校正装置20と接続するためのインターフェースであり、有線通信や無線通信、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)などを利用して、各々の校正装置20との通信を確立する。
【0041】
データ暗号化部44は、必要に応じて、画像形成装置50から取得した文書データを暗号化する。
【0042】
校正装置充電部45は、電源49の電力を1又は複数の校正装置20の電池28に供給し、電池28を充電する。
【0043】
校正装置検出部46は、校正装置20の装着を検出すると共に、複数の校正装置20が装着された場合に、ユーザが正対する方向から視認可能な校正装置20を特定する。校正装置20の装着や位置を検出する方法は特に限定されず、例えば、校正装置充電部45と校正装置20の電池28とが接続されたか否かで装着や位置を検出したり、保持装置40の各スロットに設けた電極と校正装置20に設けた電極とが電気的に接続されたか否かで装着や位置を検出したり、保持装置40の各スロットの底部に校正装置20の自重によってON/OFFする電気接点を設け、この電気接点のON/OFFによって装着や位置を検出したりすることができる。
【0044】
視認可能表示エリア設定部47は、保持装置40及び校正装置20の構造に基づいて、保持装置40から露出している校正装置20の表示部24の領域を設定する。
【0045】
画像形成装置用通信部48は、画像形成装置50と接続するためのインターフェースであり、有線通信や無線通信、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)などを利用して、画像形成装置50との通信を確立し、文書データの送受信及び表示データの送受信を行う。
【0046】
電源49は、保持装置40の各部を駆動するための電力を供給する。
【0047】
次に、上記構成の校正装置20の動作について説明する。まず、各ユーザが校正記号セットをカスタマイズして登録する手順について、図4のフローチャート図を参照して説明する。
【0048】
まず、ユーザが、校正装置20の操作部25を操作してユーザIDやパスワードなどのユーザ情報を入力すると、制御部は、入力されたユーザ情報に基づいてログイン処理を行う(S101)。
【0049】
次に、ユーザ属性特定部32は、ユーザ情報に基づいてユーザ属性を特定し(S102)、校正記号セット選択部33は、メモリ22に記憶した複数の校正記号セットの中からユーザ属性に対応する校正記号セットを選択する(S103)。
【0050】
そして、ユーザが校正記号セット内から、修正対象の校正記号Noを選択すると、制御部は、選択された校正記号Noの校正記号を表示部24に表示させる(S104)。そして、ユーザがエディター等を用いて校正記号を修正若しくは校正記号を新たに入力すると、制御部は、修正若しくは入力された校正記号をユーザ属性に関連付けて、新たな校正記号セットとしてメモリ22に記憶する(S105)。
【0051】
次に、上記手法でカスタマイズされた校正記号セットを用いて校正作業を行う手順について、図5のフローチャート図を参照して説明する。
【0052】
前記と同様に、ユーザが、校正装置20の操作部25を操作してユーザ情報を入力すると、制御部は、入力されたユーザ情報に基づいてログイン処理を行い(S201)、ユーザ属性特定部32は、ユーザ情報に基づいてユーザ属性を特定し(S202)、校正記号セット選択部33は、ユーザ属性に対応する校正記号セットを選択する(S203)。
【0053】
次に、制御部は、表示部24に校正対象となる文書(校正刷り)を表示させ、手書き入力部26により、ユーザに校正記号を入力させる(S204)。なお、ここでは、表示部24に校正対象となる文書を表示させ、手書き入力部26により、ユーザに校正記号を入力させる構成としたが、画像形成装置50で印刷した校正刷りに校正記号を記入させた後、校正記号が記入された校正刷りをスキャナなどで読み取る構成としてもよい。
【0054】
次に、校正記号変換部31は、S203で選択した校正記号セットを参照して、入力された校正記号を認識した後(S205)、中間記号セットを参照して、認識した校正記号を中間記号セットの中間記号Noに変換する(S206)。
【0055】
例えば、図7に示すように、複数の校正記号セットの校正記号が校正内容(校正記号の意味)に従って配列されており、校正内容毎に番号(中間記号No)が割り振られているとすると、校正者が使用する校正記号セットが図9の校正記号セット1であり、入力された校正記号が「字間をあける」ことを指示する記号の場合は、その校正記号に対応する中間記号Noである「2」に変換する。
【0056】
次に、校正記号変換部31は、校正記号の位置情報とその校正記号に対応する中間記号Noとを文書に関連付けて、メモリ22や保持装置40のメモリ42、画像形成装置50の記憶部などに記憶する(S207)。
【0057】
なお、ここでは、中間記号として数字を用いているが、中間記号は数字に限らず、校正記号に対応付けが可能な情報であればよい。また、上記フローでは、校正者がログインし、ユーザ属性に基づいてその校正者の校正記号セットを選択し、選択した校正記号セットを参照して校正記号を認識し、中間記号に変換する構成としたが、全ての校正記号セットを参照して校正記号を認識して中間記号に変換する構成としてもよく、その場合は、S201〜S203のステップを省略することもできる。
【0058】
次に、上記フローで記憶された文書と中間記号とを用いて再校作業を行う手順について、図6のフローチャート図を参照して説明する。
【0059】
前記と同様に、ユーザが、校正装置20の操作部25を操作してユーザ情報を入力すると、制御部は、入力されたユーザ情報に基づいてログイン処理を行い(S301)、ユーザ属性特定部32は、ユーザ情報に基づいてユーザ属性を特定し(S302)、校正記号セット選択部33は、ユーザ属性に対応する校正記号セットを選択する(S303)。
【0060】
次に、校正記号変換部31は、再校する文書とその文書に対応する中間記号及び位置情報とをメモリ22や保持装置40のメモリ42、画像形成装置50の記憶部などから読み出し(S304)、校正記号セット選択部33が選択した校正記号セットを参照して、各々の中間記号をその校正記号セット内の校正記号に変換する(S305)。
【0061】
例えば、図7に示すような対応関係において、再校者が使用する校正記号セットが図9の校正記号セット2であり、中間記号が「2」の場合は、その中間記号に対応する校正記号である「#」に変換する。
【0062】
なお、ここでは中間記号に対応する校正記号が存在するものとして説明したが、中間記号に対応する校正記号がない場合も考えられる。そのような場合は、校正記号変換部31は、校正記号に代えて中間記号を表示してもよいし、中間記号に対応する校正記号がないことを示す情報やその校正記号の意味を示す情報を表示してもよいし、中間記号から変換可能な他の校正記号セットの校正記号を表示してもよい。また、次回の再校作業において同様の問題が生じないようにするために、校正記号変換部31は、中間記号の変換元の校正記号の一覧を表示部24に表示し、校正記号セットをカスタマイズできるようにしてもよい。
【0063】
次に、校正記号変換部31は、再校する文書に、中間記号から変換した校正記号を合成して、表示部24に表示させる(S306)。そして、再校者は、校正済文書と表示部24に表示された校正記号とを比較して再校作業を行う。
【0064】
このように、校正装置(校正制御プログラム)は、校正作業に際して、ログインした校正者が記入した校正記号を認識して中間記号に変換し、文書に関連付けて記憶し、再校作業に際して、中間記号を、ログインした再校者に対応する校正記号に変換し、文書と共に表示するため、異なるルールに基づく複数の校正記号が混在する場合であっても、再校者のスキルによらずに再校作業を確実に実行することができる。
【0065】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、その構成や制御は適宜変更可能である。
【0066】
例えば、上記実施例では、同じ校正装置20で校正作業と再校作業とを行う構成としたが、校正作業と再校作業とを別々の校正装置20を用いて行ってもよい。その場合は、校正作業に際して、校正装置20は校正前文書と中間記号とを関連付けて外部(例えば、保持装置40や画像形成装置50、他の装置)に記憶し、再校作業に際して、校正装置20は外部から校正前文書と中間記号とを読み出すようにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、校正記号が入力/表示可能な校正装置及び当該校正装置で動作する校正制御プログラムに利用可能である。
【符号の説明】
【0068】
10 校正システム
20 校正装置
21 CPU
22 メモリ
23 表示コントローラ
24 表示部
25 操作部
26 手書き入力部
27 通信部
28 電池
29 装着検出部
30 データ復号化部
31 校正記号変換部
32 ユーザ属性特定部
33 校正記号セット選択部
40 保持装置
41 CPU
42 メモリ
43 校正装置用通信部
44 データ暗号化部
45 校正装置充電部
46 校正装置検出部
47 視認可能表示エリア設定部
48 画像形成装置用通信部
49 電源
50 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
校正記号が入力可能な校正装置において、
ログインしたユーザの属性を特定するユーザ属性特定部と、
複数の校正記号ルールに則った複数の校正記号セットを前記ユーザの属性に対応付けて記憶すると共に、前記複数の校正記号セット間で校正内容が共通する校正記号を対応付けるための中間記号セットを記憶する記憶部と、
前記複数の校正記号セットの中から、ログインしたユーザの属性に対応する校正記号セットを選択する校正記号セット選択部と、
第1のユーザが文書に入力した校正記号を認識して中間記号に変換し、当該中間記号を前記文書に関連付けて前記記憶部に記憶させると共に、第2のユーザがログインした場合に、前記中間記号を、前記第2のユーザの属性に応じて前記校正記号セット選択部が選択した校正記号セットの校正記号に変換し、前記文書と共に表示部に表示させる校正記号変換部と、を備える、ことを特徴とする校正装置。
【請求項2】
前記校正記号変換部は、前記校正記号を変換した前記中間記号と、前記校正記号を入力した前記文書上の位置を特定する位置情報と、を前記文書に関連付けて記憶し、前記中間記号から変換された前記校正記号を、前記位置情報で特定される前記文書上の位置に表示させる、ことを特徴とする請求項1に記載の校正装置。
【請求項3】
前記校正記号変換部は、校正記号に変換できなかった中間記号の変換元の校正記号の一覧を表示する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の校正装置。
【請求項4】
前記校正記号は編集可能であり、編集された校正記号を含む校正記号セットはログインしたユーザの属性に対応付けて前記記憶部に記憶される、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の校正装置。
【請求項5】
校正記号が入力可能な校正装置において、
複数の校正記号ルールに則った複数の校正記号セットと、前記複数の校正記号セット間で校正内容が共通する校正記号を対応付けるための中間記号セットと、を記憶する記憶部と、
文書に入力された校正記号を認識して中間記号に変換し、当該中間記号を前記文書に関連付けて、前記記憶部若しくは通信ネットワークで接続可能な他の装置に記憶させる校正記号変換部と、を備えることを特徴とする校正装置。
【請求項6】
校正記号が表示可能な校正装置において、
ログインしたユーザの属性を特定するユーザ属性特定部と、
複数の校正記号ルールに則った複数の校正記号セットを前記ユーザの属性に対応付けて記憶すると共に、前記複数の校正記号セット間で校正内容が共通する校正記号を対応付けるための中間記号セットを記憶する記憶部と、
前記複数の校正記号セットの中から、ログインしたユーザの属性に対応する校正記号セットを選択する校正記号セット選択部と、
文書に関連付けて予め記憶された中間記号を取得し、前記中間記号をログインしたユーザの属性に応じて前記校正記号セット選択部が選択した校正記号セットの校正記号に変換し、前記文書と共に表示部に表示させる校正記号変換部と、を備えることを特徴とする校正装置。
【請求項7】
校正記号が入力可能な校正装置で動作する校正制御プログラムであって、
前記校正装置には、複数の校正記号ルールに則った複数の校正記号セットがユーザの属性に対応付けて予め記憶され、かつ、前記複数の校正記号セット間で校正内容が共通する校正記号を対応付けるための中間記号セットが予め記憶されており、
前記校正装置に、
第1のユーザが文書に入力した校正記号を認識して中間記号に変換し、当該中間記号を前記文書に関連付けて記憶する第1ステップ、
ログインした第2のユーザの属性を特定する第2ステップ、
予め記憶された前記複数の校正記号セットの中から、前記第2のユーザの属性に応じた校正記号セットを選択する第3ステップ、
前記文書に関連付けて記憶された前記中間記号を前記第2のユーザの属性に応じて選択した校正記号セットの校正記号に変換し、前記文書と共に表示部に表示する第4ステップ、を実行させる、ことを特徴とする校正制御プログラム。
【請求項8】
前記第1ステップでは、前記校正記号を変換した前記中間記号と、前記校正記号を入力した前記文書上の位置を特定する位置情報と、を前記文書に関連付けて記憶し、
前記第4ステップでは、前記中間記号から変換された前記校正記号を、前記位置情報で特定される前記文書上の位置に表示する、ことを特徴とする請求項7に記載の校正制御プログラム。
【請求項9】
前記校正装置に、更に、
校正記号に変換できなかった中間記号の変換元の校正記号の一覧を表示するステップを実行させる、ことを特徴とする請求項7又は8に記載の校正制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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