核の検査装置及び方法
【課題】 核を迅速に判別する。
【解決手段】 検査対象の核15に対し波長の異なる光を照射する照射手段5と、前記照射された光が前記核15によって反射した反射光を検出する検査手段7と、前記検出された反射光に基づく光反射率の特性によって前記核15を判別する判別手段9とよりなることを特徴とする。従って、前記照射手段5により核15に対し光を照射して前記核で反射させ、この反射光を前記検査手段7によって検出することができる。そして、前記反射光に基づく光反射率の特性の相違によって、核15を迅速且つ的確に判別することができる。
【解決手段】 検査対象の核15に対し波長の異なる光を照射する照射手段5と、前記照射された光が前記核15によって反射した反射光を検出する検査手段7と、前記検出された反射光に基づく光反射率の特性によって前記核15を判別する判別手段9とよりなることを特徴とする。従って、前記照射手段5により核15に対し光を照射して前記核で反射させ、この反射光を前記検査手段7によって検出することができる。そして、前記反射光に基づく光反射率の特性の相違によって、核15を迅速且つ的確に判別することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真珠核等を判別可能な核の検査装置及び方法に関する。
【0002】
真珠核には、どぶ貝が用いられているもの、シャコ貝が用いられているもの、人工核が用いられているもの等、種々のものが混在している。
【0003】
この内、シャコ貝はワシントン条約で政府の許可証がある以外は当該国からの輸出が禁止されており、シャコ貝の真珠核やシャコ貝を真珠核としている真珠を的確に判別し許可無く輸出されるのを防止する必要がある。人工核が用いられている真珠はその価値が低く、これらを的確に判別して除去し、真珠の品質を確保する必要がある。
【0004】
この場合、真珠層が形成されていない真珠核そのものであれば、その外観によっておよその判別は可能である。
【0005】
しかし、外観の目視による判別では判別精度に難点がある。また、判別すべき真珠は大量に存在し、外観の目視による判別では多数の検査員を必要とし、その員数、判別精度を考慮すると現実には判別不可能である。
【0006】
さらに、真珠層が形成された後に真珠核の材質を判別することは殆ど不可能である。
【0007】
このような問題を解決するため、真珠核に対し光を照射することによって真珠核の材質を判別する核の検査装置がある。この装置では、発光部と受光部とを対向配置し、核を透過した発光部からの光を受光部により受光することによって光透過率分布を得て光CT画像を生成する。
【0008】
しかしながら、このような装置では、真珠核の迅速な判別を行うことができなかった。
【0009】
【特許文献1】特開平10−260136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする問題点は、核を迅速に判別できない点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、核を迅速に判別するために、検査対象の核に対し波長の異なる光を照射する照射手段と、前記照射された光が前記核によって反射した反射光を検出する検査手段と、前記検出された反射光に基づく光反射率の特性によって前記核を判別する判別手段とよりなることを最も主な特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の核の検査装置は、核の材質を迅速に判別するために、検査対象の核に対し波長の異なる光を照射する照射手段と、前記照射された光が前記核によって反射した反射光を検出する検査手段と、前記検出された反射光に基づく光反射率の特性によって前記核を判別する判別手段とよりなるため、光反射率の特性の相違により核を迅速且つ的確に判別することができる。
【0013】
前記判別手段が少なくとも異なる2波長の光に対する光反射率によって前記光反射率の特性を判断する場合は、より迅速に核を判別することができる。
【0014】
前記照射手段が少なくとも紫外線及び可視光線を照射可能である場合は、紫外線と可視光線に対する光反射率の特性に基づいて、核をより迅速且つ的確に判別することができる。
【0015】
前記照射手段が少なくとも280Nm又は310Nmと400Nm又は500Nmとの波長の光を照射可能である場合は、280Nm又は310Nmと400Nm又は500Nmとの波長の光に対する光反射率の特性に基づいて、より迅速且つ的確に核を判別することができる。
【0016】
本発明の核の検査方法は、波長の異なる光に対する核の光反射率を検出し、該光反射率の特性に基づいて核を判別することを特徴とする。
【0017】
従って、光反射率の特性の相違により核を迅速且つ的確に判別することができる。
【0018】
波長の異なる光に対する核の光反射率を検出し、該光反射率の特性に基づいて核を一次判別する一次工程と、前記一次工程によって抽出した核を、交差2軸での異方性を検出することにより材質に異方性のある核と異方性の無い核とを二次判別する二次工程とを備えた場合は、一次工程で光反射率の相違によって迅速に核を大別し、さらに、かかる大別によって抽出した核のみ二次工程で交差2軸での異方性の有無によって、より詳細に核を判別することができ、より的確に核を判別することができる。
【0019】
前記二次工程の異方性の検出に、前記核の液中での浮力による回転、又は前記核の磁化率、又は前記核の光透過率、又は前記核の光反射率を用いた場合は、核の交差2軸での異方性を確実且つ迅速に検出し、核を判別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
核を迅速に判別するという目的を、光反射率の特性に基づく判別により実現した。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の実施例1に係り、核の検査装置の概略全体図である。
【0022】
図1のように、核の検査装置1は、供給手段3と、照射手段としてのランプ5と、検査手段7と、判別手段としてのコントローラ9とよりなっている。
【0023】
前記供給手段3は、周方向に回転可能な回転盤11を備えている。回転盤11の回転は、例えばモータ等によって所定時間毎に所定角度回転するようになっている。回転盤11の上面縁部には、真珠核15を保持するための凹部13が周方向に複数所定のピッチで設けられている。そして、凹部13に真珠核15を保持した状態で、回転盤11が回転することによって順次ランプ5側に真珠核15を供給可能となっている。ただし、供給手段3は省略することも可能である。
【0024】
前記ランプ5は、紫外線から可視光線・赤外線の異なる波長の光を照射する。本実施例では、190Nm〜2200Nmの波長の光を照射可能となっている。ただし、ランプ5は、280Nmと310Nmと400Nmと500Nm等のように特定波長の光のみを照射可能に構成することも可能である。このランプ5は、例えば重水素ハロゲンランプによって構成されている。ただし、例えばキセノンアークランプやキセノンフラッシュランプ等とすることも可能である。前記ランプ5は、コントローラ7に接続されており、そのコントローラ7によって照射する光の波長が制御される。前記照射する光は、参照光として前記検査手段7によって直接測定できるようになっている。
【0025】
前記検査手段7は、モノクロメータ17、検出器19、増幅器21、レコーダ23を備えている。この検査手段7は、真珠核15で反射した反射光が対物レンズ25を介してモノクロメータ17へ導入される。
【0026】
前記モノクロメータ17は、導入スリット27から前記反射光を内部へ導入するようになっている。前記導入された反射光は、特定の波長成分の単色光が取り出されて、測定光として導出スリット29から導出される。
【0027】
前記検出器19は、前記導出スリット29の外側に配置され、前記導出された前記測定光を検出する。検出器19からは、増幅器21へ信号が出力されるようになっている。
【0028】
前記増幅器21は、検出器19からの信号を増幅しレコーダ23へ出力する。
【0029】
前記レコーダ23は、増幅器21からの信号を記録する。レコーダ23は、コントローラ7に接続されており、コントローラ7へ信号を出力可能となっている。
【0030】
次に本実施例の核の検査装置の作用を核の検査方法と共に述べる。
【0031】
本実施例では、まず、一次工程において波長の異なる光に対する真珠核15の光反射率を検出し、該光反射率の特性に基づいて真珠核15を一次判別する。次いで、二次工程において、一次工程によって抽出した真珠核15を、交差2軸での異方性を検出することにより材質に異方性のある核と異方性の無い核とを二次判別する。
【0032】
前記一次工程の光反射率の測定は、紫外線から可視光線・赤外線を真珠核に照射しその反射光と参照光との比から反射率の波長依存性を測定する。すなわち、図1のように、供給手段3の回転盤11上に複数の真珠核15を保持する。この状態で、回転盤11を回転させ、順次ランプ5側に真珠核15を供給する。
【0033】
供給された真珠核15には、ランプ5によって光が照射される。光の照射は、コントローラ9によるランプ5の制御によって、波長を変化させながら行われる。これにより、紫外線から可視光線・赤外線の波長の異なる光が真珠核15に対し照射されることになる。ここで、照射される光は、予め参照光として前記検査手段7によって直接測定しコントローラ9に入力しておく。前記参照光の波長特性は、図2のようになっている。
【0034】
図2は、参照光としてのランプの波長特性を示すグラフである。図2の縦軸は光度を示し、横軸は波長を示している。
【0035】
そして、真珠核15では照射された光が反射する。この反射した反射光は、対物レンズ25を介して検査手段7のモノクロメータ17に導入される。前記反射光は、特定の波長成分の単色光が取り出されて測定光として導出スリット29から導出され、検出器19で検出される。検出器19からは、増幅器21を介してレコーダ23へ信号が出力される。これによって、レコーダ23は、測定光を記録することになる。
【0036】
前記レコーダ23からは、コントローラ9へ前記信号が出力される。従って、コントローラ9には、レコーダ23に記録された測定光が入力される。そして、コントローラ9では、入力された参照光と測定光との比から光反射率の波長依存性を測定する。
【0037】
図3は、セラミック、珊瑚、プラスチック、バイロナイト、白チョウ貝、イケチョウ貝、シミ入りどぶ貝、どぶ貝、又はシャコ貝を用いた真珠核の光反射率の測定結果を示したグラフである。図3の縦軸は反射率を示し、横軸は波長を示している。
【0038】
図3において、線分31はセラミックを、線分32は珊瑚を、線分33はプラスチックを、線分34はバイロナイト、線分35は白チョウ貝を、線分36はイケチョウ貝を、線分37はシミ入りどぶ貝を、線分38はどぶ貝を、線分39はシャコ貝をそれぞれ真珠核15に用いた場合を示している。
【0039】
図3から明らかなように、光反射率の波長特性より短波長域の光反射率の比較、例えば280Nm又は310Nmと400Nm又は500Nmにおける光反射率の比較をすると、シャコ貝の真珠核15は紫外線領域と可視光線領域との間で光吸収の差が少なく光反射率の差が少ない。
【0040】
これに対し、セラミック、珊瑚、プラスチック、バイロナイト、白チョウ貝、イケチョウ貝、シミ入りどぶ貝、どぶ貝の真珠核15は紫外線領域に特異な光吸収があり光反射率の差が大きい。従って、セラミック、珊瑚、プラスチック、バイロナイト、白チョウ貝、イケチョウ貝、シミ入りどぶ貝、どぶ貝の真珠核15は、シャコ貝の真珠核15と比較して特異な光反射率の特性を有している。
【0041】
すなわち、どぶ貝及びシミ入りどぶ貝の核は280Nm付近で大きな光吸収が見られ、白チョウ貝及びイケチョウ貝の核も280Nm付近で光吸収が見られる。この光吸収は、コンキオリン等のタンパク質の作用によるものと考えられる。これに対し、シャコ貝の核は、上記のような280Nm付近での光吸収はほとんど見られない。
【0042】
前記バイロナイトの核は310Nm付近で光吸収が見られる。前記プラスチックの核は400Nm以下で光反射が見られない。前記セラミック及び珊瑚の核は著しい光吸収は見られない。
【0043】
このため、セラミック、珊瑚、プラスチック、バイロナイト、白チョウ貝、イケチョウ貝、シミ入りどぶ貝、どぶ貝の核は、例えば280Nmや310Nm付近の1波長領域での光反射率と400Nmや500Nm付近の別の1波長領域での光反射率とから、光反射率の差が設定値より上回る特異な光反射率の特性を確認することができる。
【0044】
従って、特異な光反射率の特性を有していれば、セラミック、珊瑚、プラスチック、バイロナイト、白チョウ貝、イケチョウ貝、シミ入りどぶ貝、どぶ貝の核と判断することができ、特異な光反射率の特性を有していなければ、シャコ貝の核と判断することができる。
【0045】
このように、2箇所以上の波長領域における光吸収の割合を比較すれば、シャコ貝とそれ以外の真珠核を大別することが可能である。
【0046】
従って、一次工程では、異なる2波長の光に対する光反射率から真珠核15の光反射率の特性を判断し該光反射率の特性に基づいて真珠核15の判別を行うため、真珠核15を迅速且つ的確に判別することができる。
【0047】
すなわち、光吸収の測定は高速での検査が可能なため、前記のようにして真珠核15の高速大別を行わせることができ、時間当たり数万個の大量検査が可能な装置を実現することができる。
【0048】
しかも、280Nm又は310Nmと400Nm又は500Nmの特定の異なる2波長の光に対する光反射率からその特性を判断するため、より迅速且つ的確に判別を行わせることができる。
【0049】
同時に、複数の波長領域における光吸収の特徴を判定することで、シャコ貝以外のどぶ貝や白チョウ貝、イケチョウ貝の他に珊瑚やセラミック、プレ明日チック等を個別に判別することができる。例えば、280Nmと400Nmと500Nm等のように異なる3つ以上の波長領域での光反射率から特性を判断することで、セラミック、珊瑚、プラスチック、バイロナイト、白チョウ貝、イケチョウ貝、シミ入りどぶ貝、どぶ貝等をそれぞれ判別することも可能である。
【0050】
なお、個々の光反射率の変化の線分全体を比較して判別することも可能である。
【0051】
次いで、一次判別された真珠核15は、適宜抽出されて二次工程が行われる。本実施例では、シャコ貝を用いた真珠核とどぶ貝を用いた真珠核とを判別する場合を例にとって説明する。
【0052】
前記二次工程では、図4,図5に示すような核の検査装置1Aが用いられる。図4は二次工程に用いられる核の検査装置の概略平面図、図5は同要部概略側面図である。
【0053】
図4、図5のように、核の検査装置1Aは、検査液槽41と、発光部を構成するランプ43,44と、受光部を構成するCCDカメラ45,46と、判別手段を構成するコントローラ9Aとからなっている。
【0054】
前記検査液槽41は、例えば光を透過する透明の材質で形成され、供給部47と、流路部49と、第1選別路部51と、第2選別路部53とからなっている。
【0055】
前記供給部47は、球形状の核として真珠核15を多数受け入れ、流路部49へ1つずつ流出供給する。
【0056】
前記流路部49は、前記真珠核15を1つずつ連続して流す。
【0057】
前記第1,第2選別路部51,53は、前記流路部49の下流端に分岐して形成されている。第1,第2選別路部51,53間に、選別ドア55が設けられている。選別ドア55は、モータ57の駆動によって、第1選別路部51閉塞状態と第2選別路部53閉塞状態とへ切り替えるように回転制御される。モータ57の駆動は、前記コントローラ9Aによって制御される。
【0058】
前記ランプ53は、検査液槽41の流路部49下面側に配置されている。ランプ53によって、流路部49の下方から上方へ光を発する。前記ランプ54は、検査液槽41の流路部49側面側に配置されている。ランプ54によって、流路部49の横方向一方から同他方へ光を発する。従って、ランプ43,44は、検査液槽41に対し縦横方向へ光を発する構成となっている。
【0059】
前記CCDカメラ45は、前記流路部49の上側で、前記ランプ53に対向配置されている。CCDカメラ45は、前記ランプ53からの光を前記真珠核15を通して受光可能となっている。CCDカメラ45の信号は、コントローラ9Aへ入力される。前記CCDカメラ46は、前記流路部49の横方向他方側で、前記ランプ54に対向配置されている。CCDカメラ46は、前記ランプ54からの光を前記真珠核15を通して受光可能となっている。CCDカメラ46の信号は、コントローラ9Aへ入力される。
【0060】
前記検査液槽41内には、前記真珠核15よりも比重の大きな毒性の少ない液体59として、例えばテトラブロモエタンが収容されている。液体59は、供給部47から、第1,第2選別路部51,53側へ流れて循環する。従って、真珠核15は、図5のように検査液槽41内で浮き、供給部47側から流路部49を通り、第1選別路部51又は第2選別路部53側へ流れる。
【0061】
前記流路部49には、前記CCDカメラ45,46に対応して、通過センサを構成する第1通過センサ発光部61及び第1通過センサ受光部63が設けられている。第1通過センサ発光部61、第1通過センサ受光部63は、前記コントローラ9Aに接続されている。
【0062】
従って、コントローラ9Aの制御による第1通過センサ発光部61の発光は、第1通過センサ受光部63で受けられ、コントローラ9Aへ受光信号が入力される。第1通過センサ発光部61と第1通過センサ受光部63との間を真珠核15が通過すると、第1通過センサ受光部63での受光量がなくなるか減少するので、コントローラ9Aにおいて真珠核15が第1通過センサ発光部61と第1通過センサ受光部63との間を通過したと検知する。
【0063】
前記流路部49の下流端側には、通過センサを構成する第2通過センサ発光部65、第2通過センサ受光部67が設けられている。第2通過センサ発光部65、第2通過センサ受光部67は、前記コントローラ9Aに接続されている。
【0064】
従って、コントローラ9Aの制御による第2通過センサ発光部65の発光は、第2通過センサ受光部67で受光され、その受光信号がコントローラ9Aへ入力される。第2通過センサ発光部65と第2通過センサ受光部67との間を真珠核15が通過すると、コントローラ9Aにおいて前記第1通過センサ発光部61及び第1通過センサ受光部63の場合と同様にして、真珠核15の通過を検出する。
【0065】
この装置1Aでは、一次工程で抽出された真珠核15が、供給部47側から多数供給され、検査液槽41を流れる液体59と共に供給部47から流路部49へ一定速度で流れる。流路部49では、まず真珠核15が第1通過センサ発光部61及び第1通過センサ受光部63間を通過することによって、通過センサ受光部29での受光が遮られ、コントローラ9Aへその信号が送られて真珠核15の通過が検出される。第1通過センサ発光部61及び第1通過センサ受光部63によって通過検出が行われるとコントローラ9Aにおいてカウントアップも同時に行われる。
【0066】
前記第1通過センサ発光部61及び第1通過センサ受光部63とCCDカメラ45との位置関係及び液体59の流速とにより、真珠核15が通過センサ発光部61及び通過センサ受光部63間に位置したとき、コントローラ9Aがランプ43,44及びCCDカメラ45,46に動作信号を送る。この動作信号により、ランプ43,44が発光し、CCDカメラ45,46は真下及び真横から真珠核15を撮像する。
【0067】
前記CCDカメラ45,46の撮像信号は、前記コントローラ9Aに入力され、後述のように真珠核15の核の材質異方性があるか否かを判別する。
【0068】
前記流路部49の下流側では、次に第2通過センサ発光部65及び第2通過センサ受光部67により真珠核15の通過検出が行われる。第2通過センサ発光部65及び第2通過センサ受光部67によって通過検出が行われるとコントローラ9Aにおいてカウントアップも同時に行われる。
【0069】
コントローラ9Aでは前記第2通過センサ発光部65及び第2通過センサ受光部67での通過検出時のカウントアップと前記第1通過センサ発光部61及び第1通過センサ受光部63での通過検出時のカウントアップとを対応させ、前記判別情報に応じてモータ23を駆動制御する。
【0070】
前記真珠核15が異方性があると判別されたときには選別ドア21が第2選別路部53側を閉塞するように回動し、真珠核15は第1選別路部51側へ流れる。真珠核15が異方性がないと判断された場合には、選別ドア55が第1選別路部51側を閉塞するように回動し、第2選別路部53側へ流れる。
【0071】
前記第1,第2選別通路51,53では、すくい取り機などによりそれぞれ核15が取り出される。液体59はそのまま循環する。
【0072】
このようにして、真珠核15の核の材質を的確に且つ連続して大量に選別し、取り出すことができる。
【0073】
前記核の検査装置1Aによる核の検査方法の二次工程は、上記のように、球形状の核の交差2軸での異方性を検出することにより、材質に異方性のある核と異方性のない核とを判別するものである。具体的には、異方性のあるどぶ貝又は白チョウ貝などと異方性のないシャコ貝などとを判別する。本実施例において、異方性の検出は、核の光透過率を用いている。
【0074】
図6は、どぶ貝を用いた核の交差2軸での光透過状態を示し、(a)は1軸方向の光透過状態図、(b)は他軸方向での光透過状態図である。すなわち、(a)は1軸方向としてX軸方向、(b)は他軸方向として直交するY軸方向に光を当てた場合を示している。
【0075】
図6のようにX軸方向に光を透過すると核は明るく見え、Y軸方向に透過すると(b)のように暗く見える。
【0076】
これに対し、図7はシャコ貝を用いた核の光透過状態を示し、(a)は1軸方向の光透過状態図、(b)は他軸方向の光透過状態図である。すなわち、(a)はX軸方向に光を当てた場合、(b)はY軸方向に光を当てた場合を示している。
【0077】
図7のように、X軸方向、Y軸方向の何れの方向に光を当てた場合についても、シャコ貝の真珠核15は光透過率の差が殆ど無かった。
【0078】
従って、図6(a),(b)の光透過率の変化と図7(a),(b)のそれとを比較することによって、どぶ貝を用いた真珠核であるのか、シャコ貝を用いた真珠核であるのか判別することができる。その他セラミックやプラスチックの人工核等も異方性がなく、同様に判別することができる。さらには、白チョウ貝を用いた真珠核であるのか、シャコ貝を用いた真珠核であるのか等も判別することができる。
【0079】
図8(a)はどぶ貝を用いた真珠核の概略断面図、(b)は同要部拡大断面図、(c)は交差板構造を示す模式図である。
【0080】
この図8のように、どぶ貝は交差板構造をしており、交差2軸XYにおいて異方性を有している。従って、筋模様に平行な方向であるX軸方向での光透過率は高く、筋模様に直交するY軸方向では光透過率が低下する。
【0081】
そして、前記のように、真珠核15を液体59に浮かべると、どぶ貝の真珠核を用いた真珠核15は、筋目が水平方向(X軸方向)となるように浮き上がり、ランプ43,44で光を当てたときにCCDカメラ45,46で撮像すると、図6(a),(b)のように光透過率の異なった2種の映像を得ることができる。図6(a)の映像は、CCDカメラ46で撮像され、図6(b)の映像は、CCDカメラ45で撮像されたものである。
【0082】
前記コントローラ9Aは、前記CCDカメラ45,46からの撮像信号により、図6(a),(b)のような映像信号の比較によりどぶ貝の真珠核、図7(a),(b)のような映像信号の比較によりそれ以外のシャコ貝等の真珠核であると判別し、前記のように真珠核15を連続的に仕分けることができる。
【0083】
なお、どぶ貝とシミ入りどぶ貝の場合は、筋模様が垂直方向(Y軸方向)となるように浮き上がる。従って、CCDカメラ45で撮像される映像は図6(a)、CCDカメラ46で撮像される映像は図6(b)となる。従って、シミ入りどぶ貝の場合も同様に判別することができる。
【0084】
本実施例では、検査液槽41で真珠核15の方向を決定し2方向のみを測定するので、早い検出を行うことができる。
【0085】
従って、一次工程によって光反射率の相違によって真珠核15を高速大別することができ、その大別により抽出した真珠核15を、二次工程において交差2軸での異方性を検出することにより材質に異方性のある核と異方性の無い核とを判別することができる。すなわち、一次工程において高速大別により抽出した真珠核15のみを、二次工程においてより詳細に判別することができ、迅速且つ的確に核15を判別することができる。
【0086】
尚、検査液槽内に液体を静止状態で収容し、検査液層内の底部側から真珠核等を浮上させると、異方性のある真珠核の場合は浮力により回転モーメントが発生し、浮上しながら回転する。この回転をCCDカメラで撮像することにより異方性のあるものと無いものとを判別することもできる。
【0087】
前記ランプ43,44及びCCDカメラ45,46は、発した光を受光できる形態のものであれば良く、CCDカメラ45,46を光検出器に代えることもできる。前記ランプ43,44及びCCDカメラ45,46を、発光素子及び受光素子の組み合わせに代えることもできる。
【0088】
前記実施例では、どぶ貝の真珠核とシャコ貝等の真珠核とを判別したが、真珠核以外に異方性のある核の材質検査に適用することもできる。この場合、異方性のある球形状の核がX軸方向又はY軸方向の一方にのみ規則的に筋等を向けて浮き上がる性質のものであれば、発行部及び受光部であるランプ43,44及びCCDカメラ45,46は、検査液槽41に対し縦横少なくとも一方に設ければ良い。
【0089】
前記判別は映像信号の比較により行ったが、光の透過率、又は反射率を直接測定して判別することもできる。
【0090】
図9は、どぶ貝又はシミ入りどぶ貝を用いた真珠核とシャコ貝を用いた真珠核との透過光の波長に応じた光透過率の測定結果を示したグラフである。透過率の測定法は、紫外光から可視光・赤外光を試料に照射しその透過光と参照光との比から透過率の波長依存性を測定した。
【0091】
図9において、線分69はどぶ貝を用いた真珠核に図8のY軸方向(筋模様から見て横)から光を当てた場合の変化を示している。線分70はどぶ貝を用いた真珠核に図8のX軸方向(筋模様から見て縦)から光を当てた場合の変化を示している。線分71はシャコ貝を用いた核に同Y軸方向(便宜上横)から光を当てた場合の変化を示している。線分72はシャコ貝を用いた真珠核に同X軸方向(便宜上縦)から光を当てた場合の変化を示している。線分73はシミ入りどぶ貝を用いたシミ入り真珠核に同Y軸方向(筋模様から見て横)から光を当てた場合の変化を示している。線分74はシミ入り真珠核に同X軸方向(筋模様から見て縦)から光を当てた場合の変化を示している。
【0092】
この図9において、透過率の波長特性より透過率異方性の比較、例えば600nmと700nmにおけるどぶ貝の線分70,69での縦横の透過率の比較と同シャコ貝の線分72,71での縦横の透過率の比較とから、その差が大きい方をどぶ貝を用いた真珠核であると判別することができる。
【0093】
なお、白チョウ貝やシミ入り真珠核等についても同様な手法で判別することができる。
【0094】
この場合も、前記のように検査液槽41で真珠核15の方向を決定し2方向のみを測定することで、早い検出を行うことができる。
【0095】
なお、透過率で判別する態様では、真珠核に白チョウ貝等の比較的透明な真珠層が薄く形成された真珠については真珠核と同様に判別することはできるが、真珠層が厚く形成された場合や、黒チョウ貝等の不透明な真珠層の真珠については判別することはできない。
【0096】
前記二次工程においても、光反射率の特性によって二次判別を行うことも可能である。図10は、どぶ貝又はシミ入りどぶ貝を用いた真珠核とシャコ貝を用いた真珠核との波長に応じた光反射率の測定結果を示したグラフである。反射率の測定法は、紫外光から可視光・赤外光を試料に照射しその反射光と参照光との比から反射率の波長依存性を測定した。
【0097】
図10において、線分75はどぶ貝を用いた真珠核に図8のY軸方向(筋模様から見て横)から光を当てた場合の変化を示している。線分76はどぶ貝を用いた真珠核に図8のX軸方向(筋模様から見て縦)から光を当てた場合の変化を示している。線分77はシャコ貝を用いた真珠核に同Y軸方向(便宜上横)から光を当てた場合の変化を示している。線分78はシャコ貝を用いた真珠核に同X軸方向(便宜上縦)から光を当てた場合の変化を示している。線分79はシミ入りどぶ貝を用いたシミ入り真珠核に同Y軸方向(筋模様から見て横)から光を当てた場合の変化を示している。線分80はシミ入り真珠核に同X軸方向(筋模様から見て縦)から光を当てた場合の変化を示している。
【0098】
この図10において、反射率の波長特性より短波長域の反射率の比較、例えば300nmと400nmにおけるどぶ貝の線分76,75での縦横の反射率の比較と同シャコ貝の線分78,77での縦横の反射率の比較とから、その差が大きい方をどぶ貝を用いた真珠核であると判別することができる。
【0099】
このように、一次工程において高速大別により抽出した真珠核15のみを、二次工程においてより詳細に判別することができ、迅速且つ的確に核を判別することができる。
【0100】
なお、シミ入り真珠核についても同様な手法で判別することができる。
【0101】
この場合も、前記のように検査液槽41で真珠核15の方向を決定し2方向のみを測定することで、早い検出を行うことができる。
【0102】
また、反射率で判別する態様では、真珠の判別はできないが、真珠に紐を通すための穴があけられた穴あき真珠の判別には有効である。この場合、真珠の穴に光ファイバーを挿入することによって反射光を受光することになる。
【0103】
本実施例では、一次工程と二次工程とを行っていたが、一次工程のみ行うことも可能である。
【0104】
本実施例の一次工程では、280Nmと400Nmとの異なる2波長に対する光反射率の特性によって真珠核15を判別していたが、異なる3波長やそれ以上の複数の波長に対する光反射率の特性によって真珠核15を判別してもよい。
【実施例2】
【0105】
図11は、本発明の実施例2に係る核の検査装置1Bの概略平面図を示している。なお、実施例1と対応する構成部分には同符号又は同符号にBを付して説明する。
【0106】
本実施例は、上記実施例1と同様に、二次工程において、交差2軸での異方性を検出することにより材質に異方性のある核と異方性の無い核とを二次判別するものである。なお、本実施例においても、どぶ貝とシャコ貝の場合を例にとって説明する。
【0107】
本実施例の核の検査装置1Bは、検査通路85と、第1,第2検査部81,83と、判別手段としてのコントローラ9Bとを備えている。
【0108】
前記検査通路85は、供給部47B、流路部49B、第1,第2選別路部51B,53Bを備えている。
【0109】
前記検査通路85では、液体によって真珠核15を流すのではなく、真珠核15を流路部49Bに沿って転がす。
【0110】
前記流路部49Bの下流端には、モータ57によって駆動される選別ドア55が実施例1同様に設けられている。
【0111】
前記第1,第2検査部81,83は、前記流路部49Bに沿って一定の間隔をおいて配置され、前記真珠核15を透過する波長の異なる光の光透過率を検出する。
【0112】
具体的には、第1,第2検査部81,83は、ランプ87,89と、受光部91,93と、干渉フィルタ95,97とからなっている。コントローラ9Bの制御によってランプ87,89が駆動されると、その光が真珠核15を通って干渉フィルタ95,97に至る。干渉フィルタ95,97では、特定の波長の光のみを通し、受光部91,93で受光される。受光部91,93の信号は、コントローラ9Bに入力される。
【0113】
前記干渉フィルタ95は、例えば、λ=600nmの波長の光のみを透過し、干渉フィルタ97は、λ=700nmの波長の光のみを通すように設定されている。
【0114】
前記コントローラ9Bにおいて、前記受光部91,93で受光される特定波長の光透過率を比較することによって、真珠核15の材質を判別する。
【0115】
前記第1,第2検査部81,83の動作タイミングは、第1通過センサ発光部61及び第1通過センサ受光部63による通過検出タイミングに応じて行われ、選別ドア55の駆動は、実施例1同様に第2通過センサ発光部65及び第2通過センサ受光部67による通過検出のタイミングに応じて行われる。なお、第1通過センサ発光部61及び第1通過センサ受光部63は、第1,第2検査部81,83のそれぞれに対応して設ける構成にすることもできる。
【0116】
そして、前記図9のように透過率変化の傾きがどぶ貝、シミ入りどぶ貝の真珠核とシャコ貝の真珠核とでは異なっている。
【0117】
従って、前記のように第1,第2検査部81,83において、真珠核15が第1,第2検査部81,83をそれぞれ通過する際にランプ87,89でそれぞれ光を当て、受光部91,93で特定の波長の光を受光することにより、コントローラ9Bにおいてどぶ貝を用いた真珠核15であるのか、シャコ貝を用いた真珠核15であるのかを連続的に判別することができる。
【0118】
従って、白チョウ貝を用いた真珠核であるか、シャコ貝を用いた真珠核であるかも連続的に判別することができる。
【0119】
このため、上記実施例1同様、一次工程において高速大別により抽出した真珠核15のみを、二次工程においてより詳細に判別することができ、迅速且つ的確に核を判別することができる。
【0120】
しかも、この判別の場合には、実施例1のように、液体を用いて流すことなく、真珠核15を流路部49B上に単に転がして移動させるだけでよいため、核の材質の判別をより迅速に行うことができる。
【0121】
判別結果によって、第1,第2選別流路部51B,53Bに選択的に流されるのは、実施例1と同様である。
【0122】
尚、前記干渉フィルタ95,97を用いることなく、半導体レーザを用い、特定の波長のレーザ光を真珠核15に当てる構成や、第1検査部91に回析格子分光器を組み込んで第1検査部91のみの構成とすることも可能である。
【0123】
図12は、本実施例の変形例を示している。この実施例では、レーザ出力部99から出力されたレーザ光を真珠核15で反射させ、受光部101で受光するようにしたものである。
【0124】
そして、前記図10のように反射率変化の傾きがどぶ貝、シミ入りどぶ貝の真珠核とシャコ貝の真珠核とでは異なっている。
【0125】
このため、第1,第2検査部81,83において検出される特定波長(例えば300nmと400nm)の光反射率を比較することによって、どぶ貝を用いた真珠核15であるのか、シャコ貝を用いた真珠核15であるのかを判別することができる。
【0126】
従って、白チョウ貝を用いた真珠核15であるのか、シャコ貝を用いた真珠核15であるのかも判別することができる。
【0127】
このため、上記実施例同様、一次工程において高速大別により抽出した真珠核15のみを、二次工程においてより詳細に判別することができ、迅速且つ的確に核を判別することができる。
【0128】
また、シャコ貝以外の人工核など等方性のある材質の核の場合も、シャコ貝と同様に取り扱うことができ、どぶ貝を用いた核であるのか、その他の材質の核であるのかを判別することができる。
【0129】
本実施例でも、真珠核に真珠層が形成されると判別できないが、真珠に紐を通すための穴があけられた穴あき真珠の判別には有効である。
【実施例3】
【0130】
図13は、本発明の実施例3に係る核の材質検査装置1Cの概略全体図を示している。
【0131】
本実施例においては、二次工程において磁化率に基づいて異方性のある核とない核とを判別するものである。なお、本実施例においても、どぶ貝とシャコ貝の場合を例にとって説明する。
【0132】
核の材質検査装置1Cは、支持手段103と、磁化率検査手段105と、判別手段としてのコントローラ9Cとよりなっている。
【0133】
前記支持手段103は、球形状の真珠核15を支持部107に着脱自在に支持し、支持部107に支持した真珠核15に振動を付与可能となっている。支持部107は非磁性体であり、例えば樹脂製中空の可撓パイプで形成されている。前記真珠核15は、支持部107先端にエアの吸引力等によって着脱自在に支持される。
【0134】
前記真珠核15に対する振動は、支持手段103の振動発生器109で行う。支持部107の端部は、前記振動発生器109に結合されている。振動発生器109は、前記コントローラ9Cに接続され、該コントローラ9Cによって駆動制御される。
【0135】
前記磁化率検査手段105は、比較試料として、小磁石コイル111、検出コイル113、比較コイル115、磁極117を備えている。
【0136】
前記小磁石コイル111は、前記ハウジング119内において、前記支持部107の端部側に取り付けられている。前記検出コイル113は、前記支持部107先端の真珠核15周囲に配置され、前記比較コイル115は、前記小磁石コイル111の周囲に配置されている。検出コイル113及び比較コイル115の出力信号は、コントローラ9Cに入力されるようになっている。前記磁極117は、コントローラ9Cによって制御される。
【0137】
この装置では、振動発生器109により支持部107先端の真珠核15を振動させながら、検出コイル113、比較コイル115からの信号によって、真珠核15の磁化率を測定することができる。この磁化率の測定は、コントローラ9Cによる磁極117の制御によって、磁界の強さを変化させることによって行う。
【0138】
この結果、図14のような測定値を得ることができた。
【0139】
図14(a),(b)はどぶ貝を核として用いた場合の検出結果、(c),(d)はシャコ貝を核として用いた場合の検出結果、(e),(f)はシミ入りどぶ貝を核として用いた場合の検出結果であり、(a),(c),(e)は1軸方向であるX軸方向の磁化変化を示すグラフ、(b),(d),(f)は他軸方向であるY軸方向の磁化変化を示すグラフである。XY軸は直交2軸であるが、どぶ貝の核及びシミ入りどぶ貝の核の場合、X軸方向を図8で説明した筋模様に平行する方向とし、Y軸方向は同筋模様に直交する方向としている。
【0140】
この測定結果のように、どぶ貝を真珠核15に用いた場合、シャコ貝を真珠核15に用いた場合には、反磁性の特性を示し、シミ入りどぶ貝を真珠核15に用いた場合には、常磁性の特性を示した。材質に異方性を有するどぶ貝を真珠核15に用いた場合には、支持部15に対する支持状態を変えて測定した結果に違いが見られた。
【0141】
具体的には、(a),(b)の比較では、(a)の0点から3段目まで上がったときの値が(b)の同4段目の値と等しくなっており、(e)では0点から3段目に至った値が(f)の0点から2.5段目に至った値に一致している。この結果から明らかなように、どぶ貝の真珠核15では、前記X軸方向、Y軸方向での磁化率の測定値に変化が現れた。これに対し、シャコ貝を真珠核15に用いた(c),(d)の測定結果では、何れも同じ値を示し、測定値に違いを見ることができなかった。
【0142】
この結果、図2の支持部15に対する真珠核15の支持方向を異ならせて磁化を測定し、前記のように磁化率の変化が現れた場合にはどぶ貝を用いた真珠核15であると判別し、違いが見られない場合にはシャコ貝を用いた真珠核15であると判別することができる。
【0143】
同様に、白チョウ貝を用いた真珠核15である、シャコ貝を用いた真珠核15であるかも判別することができる。
【0144】
従って、上記実施例1同様、一次工程において高速大別により抽出した真珠核15のみを、二次工程においてより詳細に判別することができ、迅速且つ的確に核を判別することができる。
【0145】
この場合、実施例1の検査液槽41の場合と同様に、真珠核15を液体に浮かせ、その方向を決定してから2方向のみを測定すると、早い検出を行うことができる。
【0146】
図15は真珠核の周りに真珠層を形成した真珠について測定した結果を示し、(a),(b)は黒蝶貝を真珠核に用いた真珠の検出結果であり、(c),(d)はシャコ貝を真珠核に用いた真珠の検出結果であり、(a),(c)は1軸方向であるX軸方向の磁化変化を示すグラフであり、(b),(d)は他軸方向であるY軸方向の磁化変化の検出結果を示すグラフである。
【0147】
この場合も、実施例1の検査液槽41の場合と同様に、真珠を液体に浮かせ、その方向を決定してから2方向のみを測定すると、早い検出を行うことができる
この図15の測定結果においても、黒蝶貝を真珠核に用いた黒蝶真珠の場合には、材質の異方性によって(a),(b)の測定結果に違いが見られ、シャコ貝を真珠核に用いた真珠の場合には、(c),(d)のように違いが見られなかった。
【0148】
図16は、前記図14、図15の測定結果をもとに、支持部15に対する支持状態の変更による磁化率の比を数値として示した図表である。尚、図16では、白チョウ貝を真珠核として用いた白チョウ真珠についても数値を加えている。
【0149】
図16で、磁化率縦横比は、支持部15にX軸、Y軸方向の取付状態を変更して測定した結果の比である。この結果、どぶ貝核(どぶ貝の真珠核)は、磁化率縦横比15.6〜83.0%、シミ入りどぶ貝核(シミ入りどぶ貝の真珠核)は13.1〜65.6%、白チョウ真珠は34.40%、黒蝶真珠は9.20%であるのに対し、シャコ貝核(シャコ貝の真珠核)は1.4〜8.4%、シャコ貝核真珠は1.25〜2.62%であった。この検出値の違いに基づきシャコ貝核あるいはシャコ貝核真珠を明確に区別し、判別することができる。
【0150】
この結果、前記コントローラ7により図14、図15のような検出結果を読み込み、前記のように比較することでシャコ貝の真珠核、人工核など等方性のある核を異方性のある核に対して判別することができる。
【実施例4】
【0151】
図17は、実施例4に係る核の検査装置1Dの概略全体平面図を示している。
【0152】
本実施例の核の検査装置1Dは、外側コイル121と、第1,第2検査コイル123,125と、可動位置決め体121と、判別手段としてのコントローラ9Dとからなっている。
【0153】
前記外側コイル121は、低周波発電機127に接続されている。前記第1,第2検査コイル123,125は、互いに逆向きに巻回されて前記外側コイル121内に配置され、コントローラ9D側の平衡回路に接続されている。コントローラ9Dは、電圧を測定し、測定電圧が検出磁化となっている。
【0154】
前記可動位置決め体121は、球形状の真珠核15を支持し、該真珠核15を第1,第2検査コイル123,125内に配置、移動させ得る構成となっている。可動位置決め体129は、支持フレーム131を備えている。支持フレーム131に連結シャフト133が連結されている。連結シャフト133は、図外のリニア駆動部などによって駆動されるようになっている。連結シャフト133を介して支持フレーム131を移動させ、真珠核15を第1検査コイル123内又は第2検査コイル125内に配置、移動させることができる。
【0155】
前記コントローラ9Dは、連結シャフト133を操作して前記第1,第2検査コイル123,125の一方に前記真珠核15を位置決めたとき、同他方の磁化の検出値が零になるように調整する。この零調整後に第1,第2検査コイル123,125の他方の磁化の検出値が零になる位置(中心対称位置で、図17の鎖線図示の位置)に真珠核15を移動させる。該位置で検出した真珠核15の交差2軸での磁化に基づいて、該真珠核15の材質を判別する。
【0156】
前記交差2軸での磁化の検出は、真珠核15を支持フレーム131上で回転させ、図8で示すX軸、Y軸の向きをフレーム131上で変更することにより実行される。
【0157】
図18、図19は、前記可動位置決め体129の回転駆動部134を示し、図18は支持フレーム131先端側の断面図、図19は図18のSA−SA矢視における断面図である。
【0158】
図18、図19のように、支持フレーム131上には、受け皿135が設けられている。支持フレーム131の下面側に支持された軸137にゴムローラ139が取り付けられている。ゴムローラ139の外周部は、支持フレーム131及び受け皿135を貫通して、真珠核15に接している。軸137は、図外の駆動部に連結されている。
【0159】
従って、駆動部の駆動によって、軸137が回転すると、ゴムローラ139が連動する。ゴムローラ139が回転すると、これに接する真珠核15も回転し、回転前に真珠核15のX軸が上下方向に向いていたとき回転により同横方向に向けることができる。
【0160】
判別に際しては、図17において、まず零点調整を行う。例えば、コントローラ9Dの駆動信号により連結シャフト133を軸方向駆動させる。この駆動によって支持フレーム131を介し真珠核15を第2検査コイル125内に位置させ、第1検査コイル123側の検出磁化が零となるように調整する。この調整はコントローラ9Dの制御で行われ、第1検査コイル123側の検出磁化が零となる位置は、コントローラ9Dにより記憶される。
【0161】
次に、コントローラ9Dの制御で連結シャフト133の軸方向駆動を戻す。この駆動の戻しで支持フレーム131を介し真珠核15を第1検査コイル123内の磁化零の位置に配置する。このとき第1検査コイル123側は、反対の磁界となっているため、差分の磁化が検出される。
【0162】
この検出を、前記回転駆動部134の駆動によって真珠核15を回転させ、そのXY軸方向を変えて測定する。コントローラ9Dは、この測定値の比率を比較することによって異方性のあるどぶ貝を用いた真珠核15か、等方性のシャコ貝等を用いた真珠核15かを判別する。
【0163】
図20は、磁化の異方性を示す形状指数を表すグラフである。
【0164】
図20において、点141は、どぶ貝を真珠核とした場合の測定比率から求めた形状指数であり、点143は、どぶ貝の真珠核を用いた真珠の測定比率から求めた形状指数であり、点145は、シャコ貝を真珠核とした場合の測定比率から求めた形状指数である。
【0165】
この図20の結果のように、シャコ貝を真珠核とした場合には、形状指数がある一定範囲内に集約する。このため、シャコ貝以外のどぶ貝を用いた真珠核と、シャコ貝を用いた真珠核とを明確に区別し、判別することができる。
【0166】
従って、上記実施例1同様、一次工程において高速大別により抽出した真珠核15のみを、二次工程においてより詳細に判別することができ、迅速且つ的確に核を判別することができる。
【0167】
尚、本発明の核の検査方法及び装置において、上記各実施例で真珠核を判別するのに用いたものは、真珠層を形成した後の真珠の真珠核、或いは真珠以外に用いる核、同被覆材で被覆された核の材質を検査することに用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】核の検査装置の概略全体図である(実施例1)。
【図2】参照光としてのランプの波長特性を示すグラフである(実施例1)。
【図3】セラミック、珊瑚、プラスチック、バイロナイト、白チョウ貝、イケチョウ貝、シミ入りどぶ貝、どぶ貝、又はシャコ貝を用いた真珠核の光反射率の測定結果を示したグラフである(実施例1)。
【図4】二次工程に用いられる核の検査装置の概略平面図である(実施例1)。
【図5】次工程に用いられる核の検査装置の要部概略側面図である(実施例1)。
【図6】どぶ貝を用いた核の交差2軸での光透過状態を示し、(a)は1軸方向の光透過状態図、(b)は他軸方向での光透過状態図である(実施例1)。
【図7】シャコ貝を用いた核の光透過状態を示し、(a)は1軸方向の光透過状態図、(b)は他軸方向の光透過状態図である(実施例1)。
【図8】(a)はどぶ貝を用いた真珠核の概略断面図、(b)は同要部拡大断面図、(c)は交差板構造を示す模式図である(実施例1)。
【図9】核の光透過率と波長との関係を示すグラフである(実施例1)。
【図10】核の光反射率と波長との関係を示すグラフである(実施例1)。
【図11】本発明に係る核の検査装置の概略平面図である(実施例2)。
【図12】変形例に係る要部概略図である(実施例2)。
【図13】本発明に係る核の検査装置の概略全体図である(実施例3)。
【図14】(a),(b)はどぶ貝を核として用いた場合の検出結果、(c),(d)はシャコ貝を核として用いた場合の検出結果、(e),(f)はシミ入りどぶ貝を核として用いた場合の検出結果であり、(a),(c),(e)は1軸方向での磁力の変化を示すグラフ、(b),(d),(f)は他軸方向での磁力変化を示すグラフである(実施例3)。
【図15】(a),(b)は黒蝶貝を核に用いた真珠の検出結果であり、(c),(d)はシャコ貝を核に用いた真珠の検出結果であり、(a),(c)は1軸方向の磁力変化を示すグラフであり、(b),(d)は他軸方向の磁力変化の検出結果を示すグラフである(実施例3)。
【図16】各材質の核による磁化率縦横比を示す図表である(実施例3)。
【図17】本発明に係る核の検査装置の概略全体平面図である(実施例4)。
【図18】回転駆動部を示す断面図である(実施例4)。
【図19】図18のSA−SA矢視方向から見た回転駆動部を示す断面図である(実施例4)。
【図20】磁化の測定比率から求めた形状指数を示すグラフである(実施例4)。
【符号の説明】
【0169】
1 検査装置
5 ランプ(照射手段)
7 検査手段
9 コントローラ(判別手段)
15 真珠核
【技術分野】
【0001】
本発明は、真珠核等を判別可能な核の検査装置及び方法に関する。
【0002】
真珠核には、どぶ貝が用いられているもの、シャコ貝が用いられているもの、人工核が用いられているもの等、種々のものが混在している。
【0003】
この内、シャコ貝はワシントン条約で政府の許可証がある以外は当該国からの輸出が禁止されており、シャコ貝の真珠核やシャコ貝を真珠核としている真珠を的確に判別し許可無く輸出されるのを防止する必要がある。人工核が用いられている真珠はその価値が低く、これらを的確に判別して除去し、真珠の品質を確保する必要がある。
【0004】
この場合、真珠層が形成されていない真珠核そのものであれば、その外観によっておよその判別は可能である。
【0005】
しかし、外観の目視による判別では判別精度に難点がある。また、判別すべき真珠は大量に存在し、外観の目視による判別では多数の検査員を必要とし、その員数、判別精度を考慮すると現実には判別不可能である。
【0006】
さらに、真珠層が形成された後に真珠核の材質を判別することは殆ど不可能である。
【0007】
このような問題を解決するため、真珠核に対し光を照射することによって真珠核の材質を判別する核の検査装置がある。この装置では、発光部と受光部とを対向配置し、核を透過した発光部からの光を受光部により受光することによって光透過率分布を得て光CT画像を生成する。
【0008】
しかしながら、このような装置では、真珠核の迅速な判別を行うことができなかった。
【0009】
【特許文献1】特開平10−260136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする問題点は、核を迅速に判別できない点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、核を迅速に判別するために、検査対象の核に対し波長の異なる光を照射する照射手段と、前記照射された光が前記核によって反射した反射光を検出する検査手段と、前記検出された反射光に基づく光反射率の特性によって前記核を判別する判別手段とよりなることを最も主な特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の核の検査装置は、核の材質を迅速に判別するために、検査対象の核に対し波長の異なる光を照射する照射手段と、前記照射された光が前記核によって反射した反射光を検出する検査手段と、前記検出された反射光に基づく光反射率の特性によって前記核を判別する判別手段とよりなるため、光反射率の特性の相違により核を迅速且つ的確に判別することができる。
【0013】
前記判別手段が少なくとも異なる2波長の光に対する光反射率によって前記光反射率の特性を判断する場合は、より迅速に核を判別することができる。
【0014】
前記照射手段が少なくとも紫外線及び可視光線を照射可能である場合は、紫外線と可視光線に対する光反射率の特性に基づいて、核をより迅速且つ的確に判別することができる。
【0015】
前記照射手段が少なくとも280Nm又は310Nmと400Nm又は500Nmとの波長の光を照射可能である場合は、280Nm又は310Nmと400Nm又は500Nmとの波長の光に対する光反射率の特性に基づいて、より迅速且つ的確に核を判別することができる。
【0016】
本発明の核の検査方法は、波長の異なる光に対する核の光反射率を検出し、該光反射率の特性に基づいて核を判別することを特徴とする。
【0017】
従って、光反射率の特性の相違により核を迅速且つ的確に判別することができる。
【0018】
波長の異なる光に対する核の光反射率を検出し、該光反射率の特性に基づいて核を一次判別する一次工程と、前記一次工程によって抽出した核を、交差2軸での異方性を検出することにより材質に異方性のある核と異方性の無い核とを二次判別する二次工程とを備えた場合は、一次工程で光反射率の相違によって迅速に核を大別し、さらに、かかる大別によって抽出した核のみ二次工程で交差2軸での異方性の有無によって、より詳細に核を判別することができ、より的確に核を判別することができる。
【0019】
前記二次工程の異方性の検出に、前記核の液中での浮力による回転、又は前記核の磁化率、又は前記核の光透過率、又は前記核の光反射率を用いた場合は、核の交差2軸での異方性を確実且つ迅速に検出し、核を判別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
核を迅速に判別するという目的を、光反射率の特性に基づく判別により実現した。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の実施例1に係り、核の検査装置の概略全体図である。
【0022】
図1のように、核の検査装置1は、供給手段3と、照射手段としてのランプ5と、検査手段7と、判別手段としてのコントローラ9とよりなっている。
【0023】
前記供給手段3は、周方向に回転可能な回転盤11を備えている。回転盤11の回転は、例えばモータ等によって所定時間毎に所定角度回転するようになっている。回転盤11の上面縁部には、真珠核15を保持するための凹部13が周方向に複数所定のピッチで設けられている。そして、凹部13に真珠核15を保持した状態で、回転盤11が回転することによって順次ランプ5側に真珠核15を供給可能となっている。ただし、供給手段3は省略することも可能である。
【0024】
前記ランプ5は、紫外線から可視光線・赤外線の異なる波長の光を照射する。本実施例では、190Nm〜2200Nmの波長の光を照射可能となっている。ただし、ランプ5は、280Nmと310Nmと400Nmと500Nm等のように特定波長の光のみを照射可能に構成することも可能である。このランプ5は、例えば重水素ハロゲンランプによって構成されている。ただし、例えばキセノンアークランプやキセノンフラッシュランプ等とすることも可能である。前記ランプ5は、コントローラ7に接続されており、そのコントローラ7によって照射する光の波長が制御される。前記照射する光は、参照光として前記検査手段7によって直接測定できるようになっている。
【0025】
前記検査手段7は、モノクロメータ17、検出器19、増幅器21、レコーダ23を備えている。この検査手段7は、真珠核15で反射した反射光が対物レンズ25を介してモノクロメータ17へ導入される。
【0026】
前記モノクロメータ17は、導入スリット27から前記反射光を内部へ導入するようになっている。前記導入された反射光は、特定の波長成分の単色光が取り出されて、測定光として導出スリット29から導出される。
【0027】
前記検出器19は、前記導出スリット29の外側に配置され、前記導出された前記測定光を検出する。検出器19からは、増幅器21へ信号が出力されるようになっている。
【0028】
前記増幅器21は、検出器19からの信号を増幅しレコーダ23へ出力する。
【0029】
前記レコーダ23は、増幅器21からの信号を記録する。レコーダ23は、コントローラ7に接続されており、コントローラ7へ信号を出力可能となっている。
【0030】
次に本実施例の核の検査装置の作用を核の検査方法と共に述べる。
【0031】
本実施例では、まず、一次工程において波長の異なる光に対する真珠核15の光反射率を検出し、該光反射率の特性に基づいて真珠核15を一次判別する。次いで、二次工程において、一次工程によって抽出した真珠核15を、交差2軸での異方性を検出することにより材質に異方性のある核と異方性の無い核とを二次判別する。
【0032】
前記一次工程の光反射率の測定は、紫外線から可視光線・赤外線を真珠核に照射しその反射光と参照光との比から反射率の波長依存性を測定する。すなわち、図1のように、供給手段3の回転盤11上に複数の真珠核15を保持する。この状態で、回転盤11を回転させ、順次ランプ5側に真珠核15を供給する。
【0033】
供給された真珠核15には、ランプ5によって光が照射される。光の照射は、コントローラ9によるランプ5の制御によって、波長を変化させながら行われる。これにより、紫外線から可視光線・赤外線の波長の異なる光が真珠核15に対し照射されることになる。ここで、照射される光は、予め参照光として前記検査手段7によって直接測定しコントローラ9に入力しておく。前記参照光の波長特性は、図2のようになっている。
【0034】
図2は、参照光としてのランプの波長特性を示すグラフである。図2の縦軸は光度を示し、横軸は波長を示している。
【0035】
そして、真珠核15では照射された光が反射する。この反射した反射光は、対物レンズ25を介して検査手段7のモノクロメータ17に導入される。前記反射光は、特定の波長成分の単色光が取り出されて測定光として導出スリット29から導出され、検出器19で検出される。検出器19からは、増幅器21を介してレコーダ23へ信号が出力される。これによって、レコーダ23は、測定光を記録することになる。
【0036】
前記レコーダ23からは、コントローラ9へ前記信号が出力される。従って、コントローラ9には、レコーダ23に記録された測定光が入力される。そして、コントローラ9では、入力された参照光と測定光との比から光反射率の波長依存性を測定する。
【0037】
図3は、セラミック、珊瑚、プラスチック、バイロナイト、白チョウ貝、イケチョウ貝、シミ入りどぶ貝、どぶ貝、又はシャコ貝を用いた真珠核の光反射率の測定結果を示したグラフである。図3の縦軸は反射率を示し、横軸は波長を示している。
【0038】
図3において、線分31はセラミックを、線分32は珊瑚を、線分33はプラスチックを、線分34はバイロナイト、線分35は白チョウ貝を、線分36はイケチョウ貝を、線分37はシミ入りどぶ貝を、線分38はどぶ貝を、線分39はシャコ貝をそれぞれ真珠核15に用いた場合を示している。
【0039】
図3から明らかなように、光反射率の波長特性より短波長域の光反射率の比較、例えば280Nm又は310Nmと400Nm又は500Nmにおける光反射率の比較をすると、シャコ貝の真珠核15は紫外線領域と可視光線領域との間で光吸収の差が少なく光反射率の差が少ない。
【0040】
これに対し、セラミック、珊瑚、プラスチック、バイロナイト、白チョウ貝、イケチョウ貝、シミ入りどぶ貝、どぶ貝の真珠核15は紫外線領域に特異な光吸収があり光反射率の差が大きい。従って、セラミック、珊瑚、プラスチック、バイロナイト、白チョウ貝、イケチョウ貝、シミ入りどぶ貝、どぶ貝の真珠核15は、シャコ貝の真珠核15と比較して特異な光反射率の特性を有している。
【0041】
すなわち、どぶ貝及びシミ入りどぶ貝の核は280Nm付近で大きな光吸収が見られ、白チョウ貝及びイケチョウ貝の核も280Nm付近で光吸収が見られる。この光吸収は、コンキオリン等のタンパク質の作用によるものと考えられる。これに対し、シャコ貝の核は、上記のような280Nm付近での光吸収はほとんど見られない。
【0042】
前記バイロナイトの核は310Nm付近で光吸収が見られる。前記プラスチックの核は400Nm以下で光反射が見られない。前記セラミック及び珊瑚の核は著しい光吸収は見られない。
【0043】
このため、セラミック、珊瑚、プラスチック、バイロナイト、白チョウ貝、イケチョウ貝、シミ入りどぶ貝、どぶ貝の核は、例えば280Nmや310Nm付近の1波長領域での光反射率と400Nmや500Nm付近の別の1波長領域での光反射率とから、光反射率の差が設定値より上回る特異な光反射率の特性を確認することができる。
【0044】
従って、特異な光反射率の特性を有していれば、セラミック、珊瑚、プラスチック、バイロナイト、白チョウ貝、イケチョウ貝、シミ入りどぶ貝、どぶ貝の核と判断することができ、特異な光反射率の特性を有していなければ、シャコ貝の核と判断することができる。
【0045】
このように、2箇所以上の波長領域における光吸収の割合を比較すれば、シャコ貝とそれ以外の真珠核を大別することが可能である。
【0046】
従って、一次工程では、異なる2波長の光に対する光反射率から真珠核15の光反射率の特性を判断し該光反射率の特性に基づいて真珠核15の判別を行うため、真珠核15を迅速且つ的確に判別することができる。
【0047】
すなわち、光吸収の測定は高速での検査が可能なため、前記のようにして真珠核15の高速大別を行わせることができ、時間当たり数万個の大量検査が可能な装置を実現することができる。
【0048】
しかも、280Nm又は310Nmと400Nm又は500Nmの特定の異なる2波長の光に対する光反射率からその特性を判断するため、より迅速且つ的確に判別を行わせることができる。
【0049】
同時に、複数の波長領域における光吸収の特徴を判定することで、シャコ貝以外のどぶ貝や白チョウ貝、イケチョウ貝の他に珊瑚やセラミック、プレ明日チック等を個別に判別することができる。例えば、280Nmと400Nmと500Nm等のように異なる3つ以上の波長領域での光反射率から特性を判断することで、セラミック、珊瑚、プラスチック、バイロナイト、白チョウ貝、イケチョウ貝、シミ入りどぶ貝、どぶ貝等をそれぞれ判別することも可能である。
【0050】
なお、個々の光反射率の変化の線分全体を比較して判別することも可能である。
【0051】
次いで、一次判別された真珠核15は、適宜抽出されて二次工程が行われる。本実施例では、シャコ貝を用いた真珠核とどぶ貝を用いた真珠核とを判別する場合を例にとって説明する。
【0052】
前記二次工程では、図4,図5に示すような核の検査装置1Aが用いられる。図4は二次工程に用いられる核の検査装置の概略平面図、図5は同要部概略側面図である。
【0053】
図4、図5のように、核の検査装置1Aは、検査液槽41と、発光部を構成するランプ43,44と、受光部を構成するCCDカメラ45,46と、判別手段を構成するコントローラ9Aとからなっている。
【0054】
前記検査液槽41は、例えば光を透過する透明の材質で形成され、供給部47と、流路部49と、第1選別路部51と、第2選別路部53とからなっている。
【0055】
前記供給部47は、球形状の核として真珠核15を多数受け入れ、流路部49へ1つずつ流出供給する。
【0056】
前記流路部49は、前記真珠核15を1つずつ連続して流す。
【0057】
前記第1,第2選別路部51,53は、前記流路部49の下流端に分岐して形成されている。第1,第2選別路部51,53間に、選別ドア55が設けられている。選別ドア55は、モータ57の駆動によって、第1選別路部51閉塞状態と第2選別路部53閉塞状態とへ切り替えるように回転制御される。モータ57の駆動は、前記コントローラ9Aによって制御される。
【0058】
前記ランプ53は、検査液槽41の流路部49下面側に配置されている。ランプ53によって、流路部49の下方から上方へ光を発する。前記ランプ54は、検査液槽41の流路部49側面側に配置されている。ランプ54によって、流路部49の横方向一方から同他方へ光を発する。従って、ランプ43,44は、検査液槽41に対し縦横方向へ光を発する構成となっている。
【0059】
前記CCDカメラ45は、前記流路部49の上側で、前記ランプ53に対向配置されている。CCDカメラ45は、前記ランプ53からの光を前記真珠核15を通して受光可能となっている。CCDカメラ45の信号は、コントローラ9Aへ入力される。前記CCDカメラ46は、前記流路部49の横方向他方側で、前記ランプ54に対向配置されている。CCDカメラ46は、前記ランプ54からの光を前記真珠核15を通して受光可能となっている。CCDカメラ46の信号は、コントローラ9Aへ入力される。
【0060】
前記検査液槽41内には、前記真珠核15よりも比重の大きな毒性の少ない液体59として、例えばテトラブロモエタンが収容されている。液体59は、供給部47から、第1,第2選別路部51,53側へ流れて循環する。従って、真珠核15は、図5のように検査液槽41内で浮き、供給部47側から流路部49を通り、第1選別路部51又は第2選別路部53側へ流れる。
【0061】
前記流路部49には、前記CCDカメラ45,46に対応して、通過センサを構成する第1通過センサ発光部61及び第1通過センサ受光部63が設けられている。第1通過センサ発光部61、第1通過センサ受光部63は、前記コントローラ9Aに接続されている。
【0062】
従って、コントローラ9Aの制御による第1通過センサ発光部61の発光は、第1通過センサ受光部63で受けられ、コントローラ9Aへ受光信号が入力される。第1通過センサ発光部61と第1通過センサ受光部63との間を真珠核15が通過すると、第1通過センサ受光部63での受光量がなくなるか減少するので、コントローラ9Aにおいて真珠核15が第1通過センサ発光部61と第1通過センサ受光部63との間を通過したと検知する。
【0063】
前記流路部49の下流端側には、通過センサを構成する第2通過センサ発光部65、第2通過センサ受光部67が設けられている。第2通過センサ発光部65、第2通過センサ受光部67は、前記コントローラ9Aに接続されている。
【0064】
従って、コントローラ9Aの制御による第2通過センサ発光部65の発光は、第2通過センサ受光部67で受光され、その受光信号がコントローラ9Aへ入力される。第2通過センサ発光部65と第2通過センサ受光部67との間を真珠核15が通過すると、コントローラ9Aにおいて前記第1通過センサ発光部61及び第1通過センサ受光部63の場合と同様にして、真珠核15の通過を検出する。
【0065】
この装置1Aでは、一次工程で抽出された真珠核15が、供給部47側から多数供給され、検査液槽41を流れる液体59と共に供給部47から流路部49へ一定速度で流れる。流路部49では、まず真珠核15が第1通過センサ発光部61及び第1通過センサ受光部63間を通過することによって、通過センサ受光部29での受光が遮られ、コントローラ9Aへその信号が送られて真珠核15の通過が検出される。第1通過センサ発光部61及び第1通過センサ受光部63によって通過検出が行われるとコントローラ9Aにおいてカウントアップも同時に行われる。
【0066】
前記第1通過センサ発光部61及び第1通過センサ受光部63とCCDカメラ45との位置関係及び液体59の流速とにより、真珠核15が通過センサ発光部61及び通過センサ受光部63間に位置したとき、コントローラ9Aがランプ43,44及びCCDカメラ45,46に動作信号を送る。この動作信号により、ランプ43,44が発光し、CCDカメラ45,46は真下及び真横から真珠核15を撮像する。
【0067】
前記CCDカメラ45,46の撮像信号は、前記コントローラ9Aに入力され、後述のように真珠核15の核の材質異方性があるか否かを判別する。
【0068】
前記流路部49の下流側では、次に第2通過センサ発光部65及び第2通過センサ受光部67により真珠核15の通過検出が行われる。第2通過センサ発光部65及び第2通過センサ受光部67によって通過検出が行われるとコントローラ9Aにおいてカウントアップも同時に行われる。
【0069】
コントローラ9Aでは前記第2通過センサ発光部65及び第2通過センサ受光部67での通過検出時のカウントアップと前記第1通過センサ発光部61及び第1通過センサ受光部63での通過検出時のカウントアップとを対応させ、前記判別情報に応じてモータ23を駆動制御する。
【0070】
前記真珠核15が異方性があると判別されたときには選別ドア21が第2選別路部53側を閉塞するように回動し、真珠核15は第1選別路部51側へ流れる。真珠核15が異方性がないと判断された場合には、選別ドア55が第1選別路部51側を閉塞するように回動し、第2選別路部53側へ流れる。
【0071】
前記第1,第2選別通路51,53では、すくい取り機などによりそれぞれ核15が取り出される。液体59はそのまま循環する。
【0072】
このようにして、真珠核15の核の材質を的確に且つ連続して大量に選別し、取り出すことができる。
【0073】
前記核の検査装置1Aによる核の検査方法の二次工程は、上記のように、球形状の核の交差2軸での異方性を検出することにより、材質に異方性のある核と異方性のない核とを判別するものである。具体的には、異方性のあるどぶ貝又は白チョウ貝などと異方性のないシャコ貝などとを判別する。本実施例において、異方性の検出は、核の光透過率を用いている。
【0074】
図6は、どぶ貝を用いた核の交差2軸での光透過状態を示し、(a)は1軸方向の光透過状態図、(b)は他軸方向での光透過状態図である。すなわち、(a)は1軸方向としてX軸方向、(b)は他軸方向として直交するY軸方向に光を当てた場合を示している。
【0075】
図6のようにX軸方向に光を透過すると核は明るく見え、Y軸方向に透過すると(b)のように暗く見える。
【0076】
これに対し、図7はシャコ貝を用いた核の光透過状態を示し、(a)は1軸方向の光透過状態図、(b)は他軸方向の光透過状態図である。すなわち、(a)はX軸方向に光を当てた場合、(b)はY軸方向に光を当てた場合を示している。
【0077】
図7のように、X軸方向、Y軸方向の何れの方向に光を当てた場合についても、シャコ貝の真珠核15は光透過率の差が殆ど無かった。
【0078】
従って、図6(a),(b)の光透過率の変化と図7(a),(b)のそれとを比較することによって、どぶ貝を用いた真珠核であるのか、シャコ貝を用いた真珠核であるのか判別することができる。その他セラミックやプラスチックの人工核等も異方性がなく、同様に判別することができる。さらには、白チョウ貝を用いた真珠核であるのか、シャコ貝を用いた真珠核であるのか等も判別することができる。
【0079】
図8(a)はどぶ貝を用いた真珠核の概略断面図、(b)は同要部拡大断面図、(c)は交差板構造を示す模式図である。
【0080】
この図8のように、どぶ貝は交差板構造をしており、交差2軸XYにおいて異方性を有している。従って、筋模様に平行な方向であるX軸方向での光透過率は高く、筋模様に直交するY軸方向では光透過率が低下する。
【0081】
そして、前記のように、真珠核15を液体59に浮かべると、どぶ貝の真珠核を用いた真珠核15は、筋目が水平方向(X軸方向)となるように浮き上がり、ランプ43,44で光を当てたときにCCDカメラ45,46で撮像すると、図6(a),(b)のように光透過率の異なった2種の映像を得ることができる。図6(a)の映像は、CCDカメラ46で撮像され、図6(b)の映像は、CCDカメラ45で撮像されたものである。
【0082】
前記コントローラ9Aは、前記CCDカメラ45,46からの撮像信号により、図6(a),(b)のような映像信号の比較によりどぶ貝の真珠核、図7(a),(b)のような映像信号の比較によりそれ以外のシャコ貝等の真珠核であると判別し、前記のように真珠核15を連続的に仕分けることができる。
【0083】
なお、どぶ貝とシミ入りどぶ貝の場合は、筋模様が垂直方向(Y軸方向)となるように浮き上がる。従って、CCDカメラ45で撮像される映像は図6(a)、CCDカメラ46で撮像される映像は図6(b)となる。従って、シミ入りどぶ貝の場合も同様に判別することができる。
【0084】
本実施例では、検査液槽41で真珠核15の方向を決定し2方向のみを測定するので、早い検出を行うことができる。
【0085】
従って、一次工程によって光反射率の相違によって真珠核15を高速大別することができ、その大別により抽出した真珠核15を、二次工程において交差2軸での異方性を検出することにより材質に異方性のある核と異方性の無い核とを判別することができる。すなわち、一次工程において高速大別により抽出した真珠核15のみを、二次工程においてより詳細に判別することができ、迅速且つ的確に核15を判別することができる。
【0086】
尚、検査液槽内に液体を静止状態で収容し、検査液層内の底部側から真珠核等を浮上させると、異方性のある真珠核の場合は浮力により回転モーメントが発生し、浮上しながら回転する。この回転をCCDカメラで撮像することにより異方性のあるものと無いものとを判別することもできる。
【0087】
前記ランプ43,44及びCCDカメラ45,46は、発した光を受光できる形態のものであれば良く、CCDカメラ45,46を光検出器に代えることもできる。前記ランプ43,44及びCCDカメラ45,46を、発光素子及び受光素子の組み合わせに代えることもできる。
【0088】
前記実施例では、どぶ貝の真珠核とシャコ貝等の真珠核とを判別したが、真珠核以外に異方性のある核の材質検査に適用することもできる。この場合、異方性のある球形状の核がX軸方向又はY軸方向の一方にのみ規則的に筋等を向けて浮き上がる性質のものであれば、発行部及び受光部であるランプ43,44及びCCDカメラ45,46は、検査液槽41に対し縦横少なくとも一方に設ければ良い。
【0089】
前記判別は映像信号の比較により行ったが、光の透過率、又は反射率を直接測定して判別することもできる。
【0090】
図9は、どぶ貝又はシミ入りどぶ貝を用いた真珠核とシャコ貝を用いた真珠核との透過光の波長に応じた光透過率の測定結果を示したグラフである。透過率の測定法は、紫外光から可視光・赤外光を試料に照射しその透過光と参照光との比から透過率の波長依存性を測定した。
【0091】
図9において、線分69はどぶ貝を用いた真珠核に図8のY軸方向(筋模様から見て横)から光を当てた場合の変化を示している。線分70はどぶ貝を用いた真珠核に図8のX軸方向(筋模様から見て縦)から光を当てた場合の変化を示している。線分71はシャコ貝を用いた核に同Y軸方向(便宜上横)から光を当てた場合の変化を示している。線分72はシャコ貝を用いた真珠核に同X軸方向(便宜上縦)から光を当てた場合の変化を示している。線分73はシミ入りどぶ貝を用いたシミ入り真珠核に同Y軸方向(筋模様から見て横)から光を当てた場合の変化を示している。線分74はシミ入り真珠核に同X軸方向(筋模様から見て縦)から光を当てた場合の変化を示している。
【0092】
この図9において、透過率の波長特性より透過率異方性の比較、例えば600nmと700nmにおけるどぶ貝の線分70,69での縦横の透過率の比較と同シャコ貝の線分72,71での縦横の透過率の比較とから、その差が大きい方をどぶ貝を用いた真珠核であると判別することができる。
【0093】
なお、白チョウ貝やシミ入り真珠核等についても同様な手法で判別することができる。
【0094】
この場合も、前記のように検査液槽41で真珠核15の方向を決定し2方向のみを測定することで、早い検出を行うことができる。
【0095】
なお、透過率で判別する態様では、真珠核に白チョウ貝等の比較的透明な真珠層が薄く形成された真珠については真珠核と同様に判別することはできるが、真珠層が厚く形成された場合や、黒チョウ貝等の不透明な真珠層の真珠については判別することはできない。
【0096】
前記二次工程においても、光反射率の特性によって二次判別を行うことも可能である。図10は、どぶ貝又はシミ入りどぶ貝を用いた真珠核とシャコ貝を用いた真珠核との波長に応じた光反射率の測定結果を示したグラフである。反射率の測定法は、紫外光から可視光・赤外光を試料に照射しその反射光と参照光との比から反射率の波長依存性を測定した。
【0097】
図10において、線分75はどぶ貝を用いた真珠核に図8のY軸方向(筋模様から見て横)から光を当てた場合の変化を示している。線分76はどぶ貝を用いた真珠核に図8のX軸方向(筋模様から見て縦)から光を当てた場合の変化を示している。線分77はシャコ貝を用いた真珠核に同Y軸方向(便宜上横)から光を当てた場合の変化を示している。線分78はシャコ貝を用いた真珠核に同X軸方向(便宜上縦)から光を当てた場合の変化を示している。線分79はシミ入りどぶ貝を用いたシミ入り真珠核に同Y軸方向(筋模様から見て横)から光を当てた場合の変化を示している。線分80はシミ入り真珠核に同X軸方向(筋模様から見て縦)から光を当てた場合の変化を示している。
【0098】
この図10において、反射率の波長特性より短波長域の反射率の比較、例えば300nmと400nmにおけるどぶ貝の線分76,75での縦横の反射率の比較と同シャコ貝の線分78,77での縦横の反射率の比較とから、その差が大きい方をどぶ貝を用いた真珠核であると判別することができる。
【0099】
このように、一次工程において高速大別により抽出した真珠核15のみを、二次工程においてより詳細に判別することができ、迅速且つ的確に核を判別することができる。
【0100】
なお、シミ入り真珠核についても同様な手法で判別することができる。
【0101】
この場合も、前記のように検査液槽41で真珠核15の方向を決定し2方向のみを測定することで、早い検出を行うことができる。
【0102】
また、反射率で判別する態様では、真珠の判別はできないが、真珠に紐を通すための穴があけられた穴あき真珠の判別には有効である。この場合、真珠の穴に光ファイバーを挿入することによって反射光を受光することになる。
【0103】
本実施例では、一次工程と二次工程とを行っていたが、一次工程のみ行うことも可能である。
【0104】
本実施例の一次工程では、280Nmと400Nmとの異なる2波長に対する光反射率の特性によって真珠核15を判別していたが、異なる3波長やそれ以上の複数の波長に対する光反射率の特性によって真珠核15を判別してもよい。
【実施例2】
【0105】
図11は、本発明の実施例2に係る核の検査装置1Bの概略平面図を示している。なお、実施例1と対応する構成部分には同符号又は同符号にBを付して説明する。
【0106】
本実施例は、上記実施例1と同様に、二次工程において、交差2軸での異方性を検出することにより材質に異方性のある核と異方性の無い核とを二次判別するものである。なお、本実施例においても、どぶ貝とシャコ貝の場合を例にとって説明する。
【0107】
本実施例の核の検査装置1Bは、検査通路85と、第1,第2検査部81,83と、判別手段としてのコントローラ9Bとを備えている。
【0108】
前記検査通路85は、供給部47B、流路部49B、第1,第2選別路部51B,53Bを備えている。
【0109】
前記検査通路85では、液体によって真珠核15を流すのではなく、真珠核15を流路部49Bに沿って転がす。
【0110】
前記流路部49Bの下流端には、モータ57によって駆動される選別ドア55が実施例1同様に設けられている。
【0111】
前記第1,第2検査部81,83は、前記流路部49Bに沿って一定の間隔をおいて配置され、前記真珠核15を透過する波長の異なる光の光透過率を検出する。
【0112】
具体的には、第1,第2検査部81,83は、ランプ87,89と、受光部91,93と、干渉フィルタ95,97とからなっている。コントローラ9Bの制御によってランプ87,89が駆動されると、その光が真珠核15を通って干渉フィルタ95,97に至る。干渉フィルタ95,97では、特定の波長の光のみを通し、受光部91,93で受光される。受光部91,93の信号は、コントローラ9Bに入力される。
【0113】
前記干渉フィルタ95は、例えば、λ=600nmの波長の光のみを透過し、干渉フィルタ97は、λ=700nmの波長の光のみを通すように設定されている。
【0114】
前記コントローラ9Bにおいて、前記受光部91,93で受光される特定波長の光透過率を比較することによって、真珠核15の材質を判別する。
【0115】
前記第1,第2検査部81,83の動作タイミングは、第1通過センサ発光部61及び第1通過センサ受光部63による通過検出タイミングに応じて行われ、選別ドア55の駆動は、実施例1同様に第2通過センサ発光部65及び第2通過センサ受光部67による通過検出のタイミングに応じて行われる。なお、第1通過センサ発光部61及び第1通過センサ受光部63は、第1,第2検査部81,83のそれぞれに対応して設ける構成にすることもできる。
【0116】
そして、前記図9のように透過率変化の傾きがどぶ貝、シミ入りどぶ貝の真珠核とシャコ貝の真珠核とでは異なっている。
【0117】
従って、前記のように第1,第2検査部81,83において、真珠核15が第1,第2検査部81,83をそれぞれ通過する際にランプ87,89でそれぞれ光を当て、受光部91,93で特定の波長の光を受光することにより、コントローラ9Bにおいてどぶ貝を用いた真珠核15であるのか、シャコ貝を用いた真珠核15であるのかを連続的に判別することができる。
【0118】
従って、白チョウ貝を用いた真珠核であるか、シャコ貝を用いた真珠核であるかも連続的に判別することができる。
【0119】
このため、上記実施例1同様、一次工程において高速大別により抽出した真珠核15のみを、二次工程においてより詳細に判別することができ、迅速且つ的確に核を判別することができる。
【0120】
しかも、この判別の場合には、実施例1のように、液体を用いて流すことなく、真珠核15を流路部49B上に単に転がして移動させるだけでよいため、核の材質の判別をより迅速に行うことができる。
【0121】
判別結果によって、第1,第2選別流路部51B,53Bに選択的に流されるのは、実施例1と同様である。
【0122】
尚、前記干渉フィルタ95,97を用いることなく、半導体レーザを用い、特定の波長のレーザ光を真珠核15に当てる構成や、第1検査部91に回析格子分光器を組み込んで第1検査部91のみの構成とすることも可能である。
【0123】
図12は、本実施例の変形例を示している。この実施例では、レーザ出力部99から出力されたレーザ光を真珠核15で反射させ、受光部101で受光するようにしたものである。
【0124】
そして、前記図10のように反射率変化の傾きがどぶ貝、シミ入りどぶ貝の真珠核とシャコ貝の真珠核とでは異なっている。
【0125】
このため、第1,第2検査部81,83において検出される特定波長(例えば300nmと400nm)の光反射率を比較することによって、どぶ貝を用いた真珠核15であるのか、シャコ貝を用いた真珠核15であるのかを判別することができる。
【0126】
従って、白チョウ貝を用いた真珠核15であるのか、シャコ貝を用いた真珠核15であるのかも判別することができる。
【0127】
このため、上記実施例同様、一次工程において高速大別により抽出した真珠核15のみを、二次工程においてより詳細に判別することができ、迅速且つ的確に核を判別することができる。
【0128】
また、シャコ貝以外の人工核など等方性のある材質の核の場合も、シャコ貝と同様に取り扱うことができ、どぶ貝を用いた核であるのか、その他の材質の核であるのかを判別することができる。
【0129】
本実施例でも、真珠核に真珠層が形成されると判別できないが、真珠に紐を通すための穴があけられた穴あき真珠の判別には有効である。
【実施例3】
【0130】
図13は、本発明の実施例3に係る核の材質検査装置1Cの概略全体図を示している。
【0131】
本実施例においては、二次工程において磁化率に基づいて異方性のある核とない核とを判別するものである。なお、本実施例においても、どぶ貝とシャコ貝の場合を例にとって説明する。
【0132】
核の材質検査装置1Cは、支持手段103と、磁化率検査手段105と、判別手段としてのコントローラ9Cとよりなっている。
【0133】
前記支持手段103は、球形状の真珠核15を支持部107に着脱自在に支持し、支持部107に支持した真珠核15に振動を付与可能となっている。支持部107は非磁性体であり、例えば樹脂製中空の可撓パイプで形成されている。前記真珠核15は、支持部107先端にエアの吸引力等によって着脱自在に支持される。
【0134】
前記真珠核15に対する振動は、支持手段103の振動発生器109で行う。支持部107の端部は、前記振動発生器109に結合されている。振動発生器109は、前記コントローラ9Cに接続され、該コントローラ9Cによって駆動制御される。
【0135】
前記磁化率検査手段105は、比較試料として、小磁石コイル111、検出コイル113、比較コイル115、磁極117を備えている。
【0136】
前記小磁石コイル111は、前記ハウジング119内において、前記支持部107の端部側に取り付けられている。前記検出コイル113は、前記支持部107先端の真珠核15周囲に配置され、前記比較コイル115は、前記小磁石コイル111の周囲に配置されている。検出コイル113及び比較コイル115の出力信号は、コントローラ9Cに入力されるようになっている。前記磁極117は、コントローラ9Cによって制御される。
【0137】
この装置では、振動発生器109により支持部107先端の真珠核15を振動させながら、検出コイル113、比較コイル115からの信号によって、真珠核15の磁化率を測定することができる。この磁化率の測定は、コントローラ9Cによる磁極117の制御によって、磁界の強さを変化させることによって行う。
【0138】
この結果、図14のような測定値を得ることができた。
【0139】
図14(a),(b)はどぶ貝を核として用いた場合の検出結果、(c),(d)はシャコ貝を核として用いた場合の検出結果、(e),(f)はシミ入りどぶ貝を核として用いた場合の検出結果であり、(a),(c),(e)は1軸方向であるX軸方向の磁化変化を示すグラフ、(b),(d),(f)は他軸方向であるY軸方向の磁化変化を示すグラフである。XY軸は直交2軸であるが、どぶ貝の核及びシミ入りどぶ貝の核の場合、X軸方向を図8で説明した筋模様に平行する方向とし、Y軸方向は同筋模様に直交する方向としている。
【0140】
この測定結果のように、どぶ貝を真珠核15に用いた場合、シャコ貝を真珠核15に用いた場合には、反磁性の特性を示し、シミ入りどぶ貝を真珠核15に用いた場合には、常磁性の特性を示した。材質に異方性を有するどぶ貝を真珠核15に用いた場合には、支持部15に対する支持状態を変えて測定した結果に違いが見られた。
【0141】
具体的には、(a),(b)の比較では、(a)の0点から3段目まで上がったときの値が(b)の同4段目の値と等しくなっており、(e)では0点から3段目に至った値が(f)の0点から2.5段目に至った値に一致している。この結果から明らかなように、どぶ貝の真珠核15では、前記X軸方向、Y軸方向での磁化率の測定値に変化が現れた。これに対し、シャコ貝を真珠核15に用いた(c),(d)の測定結果では、何れも同じ値を示し、測定値に違いを見ることができなかった。
【0142】
この結果、図2の支持部15に対する真珠核15の支持方向を異ならせて磁化を測定し、前記のように磁化率の変化が現れた場合にはどぶ貝を用いた真珠核15であると判別し、違いが見られない場合にはシャコ貝を用いた真珠核15であると判別することができる。
【0143】
同様に、白チョウ貝を用いた真珠核15である、シャコ貝を用いた真珠核15であるかも判別することができる。
【0144】
従って、上記実施例1同様、一次工程において高速大別により抽出した真珠核15のみを、二次工程においてより詳細に判別することができ、迅速且つ的確に核を判別することができる。
【0145】
この場合、実施例1の検査液槽41の場合と同様に、真珠核15を液体に浮かせ、その方向を決定してから2方向のみを測定すると、早い検出を行うことができる。
【0146】
図15は真珠核の周りに真珠層を形成した真珠について測定した結果を示し、(a),(b)は黒蝶貝を真珠核に用いた真珠の検出結果であり、(c),(d)はシャコ貝を真珠核に用いた真珠の検出結果であり、(a),(c)は1軸方向であるX軸方向の磁化変化を示すグラフであり、(b),(d)は他軸方向であるY軸方向の磁化変化の検出結果を示すグラフである。
【0147】
この場合も、実施例1の検査液槽41の場合と同様に、真珠を液体に浮かせ、その方向を決定してから2方向のみを測定すると、早い検出を行うことができる
この図15の測定結果においても、黒蝶貝を真珠核に用いた黒蝶真珠の場合には、材質の異方性によって(a),(b)の測定結果に違いが見られ、シャコ貝を真珠核に用いた真珠の場合には、(c),(d)のように違いが見られなかった。
【0148】
図16は、前記図14、図15の測定結果をもとに、支持部15に対する支持状態の変更による磁化率の比を数値として示した図表である。尚、図16では、白チョウ貝を真珠核として用いた白チョウ真珠についても数値を加えている。
【0149】
図16で、磁化率縦横比は、支持部15にX軸、Y軸方向の取付状態を変更して測定した結果の比である。この結果、どぶ貝核(どぶ貝の真珠核)は、磁化率縦横比15.6〜83.0%、シミ入りどぶ貝核(シミ入りどぶ貝の真珠核)は13.1〜65.6%、白チョウ真珠は34.40%、黒蝶真珠は9.20%であるのに対し、シャコ貝核(シャコ貝の真珠核)は1.4〜8.4%、シャコ貝核真珠は1.25〜2.62%であった。この検出値の違いに基づきシャコ貝核あるいはシャコ貝核真珠を明確に区別し、判別することができる。
【0150】
この結果、前記コントローラ7により図14、図15のような検出結果を読み込み、前記のように比較することでシャコ貝の真珠核、人工核など等方性のある核を異方性のある核に対して判別することができる。
【実施例4】
【0151】
図17は、実施例4に係る核の検査装置1Dの概略全体平面図を示している。
【0152】
本実施例の核の検査装置1Dは、外側コイル121と、第1,第2検査コイル123,125と、可動位置決め体121と、判別手段としてのコントローラ9Dとからなっている。
【0153】
前記外側コイル121は、低周波発電機127に接続されている。前記第1,第2検査コイル123,125は、互いに逆向きに巻回されて前記外側コイル121内に配置され、コントローラ9D側の平衡回路に接続されている。コントローラ9Dは、電圧を測定し、測定電圧が検出磁化となっている。
【0154】
前記可動位置決め体121は、球形状の真珠核15を支持し、該真珠核15を第1,第2検査コイル123,125内に配置、移動させ得る構成となっている。可動位置決め体129は、支持フレーム131を備えている。支持フレーム131に連結シャフト133が連結されている。連結シャフト133は、図外のリニア駆動部などによって駆動されるようになっている。連結シャフト133を介して支持フレーム131を移動させ、真珠核15を第1検査コイル123内又は第2検査コイル125内に配置、移動させることができる。
【0155】
前記コントローラ9Dは、連結シャフト133を操作して前記第1,第2検査コイル123,125の一方に前記真珠核15を位置決めたとき、同他方の磁化の検出値が零になるように調整する。この零調整後に第1,第2検査コイル123,125の他方の磁化の検出値が零になる位置(中心対称位置で、図17の鎖線図示の位置)に真珠核15を移動させる。該位置で検出した真珠核15の交差2軸での磁化に基づいて、該真珠核15の材質を判別する。
【0156】
前記交差2軸での磁化の検出は、真珠核15を支持フレーム131上で回転させ、図8で示すX軸、Y軸の向きをフレーム131上で変更することにより実行される。
【0157】
図18、図19は、前記可動位置決め体129の回転駆動部134を示し、図18は支持フレーム131先端側の断面図、図19は図18のSA−SA矢視における断面図である。
【0158】
図18、図19のように、支持フレーム131上には、受け皿135が設けられている。支持フレーム131の下面側に支持された軸137にゴムローラ139が取り付けられている。ゴムローラ139の外周部は、支持フレーム131及び受け皿135を貫通して、真珠核15に接している。軸137は、図外の駆動部に連結されている。
【0159】
従って、駆動部の駆動によって、軸137が回転すると、ゴムローラ139が連動する。ゴムローラ139が回転すると、これに接する真珠核15も回転し、回転前に真珠核15のX軸が上下方向に向いていたとき回転により同横方向に向けることができる。
【0160】
判別に際しては、図17において、まず零点調整を行う。例えば、コントローラ9Dの駆動信号により連結シャフト133を軸方向駆動させる。この駆動によって支持フレーム131を介し真珠核15を第2検査コイル125内に位置させ、第1検査コイル123側の検出磁化が零となるように調整する。この調整はコントローラ9Dの制御で行われ、第1検査コイル123側の検出磁化が零となる位置は、コントローラ9Dにより記憶される。
【0161】
次に、コントローラ9Dの制御で連結シャフト133の軸方向駆動を戻す。この駆動の戻しで支持フレーム131を介し真珠核15を第1検査コイル123内の磁化零の位置に配置する。このとき第1検査コイル123側は、反対の磁界となっているため、差分の磁化が検出される。
【0162】
この検出を、前記回転駆動部134の駆動によって真珠核15を回転させ、そのXY軸方向を変えて測定する。コントローラ9Dは、この測定値の比率を比較することによって異方性のあるどぶ貝を用いた真珠核15か、等方性のシャコ貝等を用いた真珠核15かを判別する。
【0163】
図20は、磁化の異方性を示す形状指数を表すグラフである。
【0164】
図20において、点141は、どぶ貝を真珠核とした場合の測定比率から求めた形状指数であり、点143は、どぶ貝の真珠核を用いた真珠の測定比率から求めた形状指数であり、点145は、シャコ貝を真珠核とした場合の測定比率から求めた形状指数である。
【0165】
この図20の結果のように、シャコ貝を真珠核とした場合には、形状指数がある一定範囲内に集約する。このため、シャコ貝以外のどぶ貝を用いた真珠核と、シャコ貝を用いた真珠核とを明確に区別し、判別することができる。
【0166】
従って、上記実施例1同様、一次工程において高速大別により抽出した真珠核15のみを、二次工程においてより詳細に判別することができ、迅速且つ的確に核を判別することができる。
【0167】
尚、本発明の核の検査方法及び装置において、上記各実施例で真珠核を判別するのに用いたものは、真珠層を形成した後の真珠の真珠核、或いは真珠以外に用いる核、同被覆材で被覆された核の材質を検査することに用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】核の検査装置の概略全体図である(実施例1)。
【図2】参照光としてのランプの波長特性を示すグラフである(実施例1)。
【図3】セラミック、珊瑚、プラスチック、バイロナイト、白チョウ貝、イケチョウ貝、シミ入りどぶ貝、どぶ貝、又はシャコ貝を用いた真珠核の光反射率の測定結果を示したグラフである(実施例1)。
【図4】二次工程に用いられる核の検査装置の概略平面図である(実施例1)。
【図5】次工程に用いられる核の検査装置の要部概略側面図である(実施例1)。
【図6】どぶ貝を用いた核の交差2軸での光透過状態を示し、(a)は1軸方向の光透過状態図、(b)は他軸方向での光透過状態図である(実施例1)。
【図7】シャコ貝を用いた核の光透過状態を示し、(a)は1軸方向の光透過状態図、(b)は他軸方向の光透過状態図である(実施例1)。
【図8】(a)はどぶ貝を用いた真珠核の概略断面図、(b)は同要部拡大断面図、(c)は交差板構造を示す模式図である(実施例1)。
【図9】核の光透過率と波長との関係を示すグラフである(実施例1)。
【図10】核の光反射率と波長との関係を示すグラフである(実施例1)。
【図11】本発明に係る核の検査装置の概略平面図である(実施例2)。
【図12】変形例に係る要部概略図である(実施例2)。
【図13】本発明に係る核の検査装置の概略全体図である(実施例3)。
【図14】(a),(b)はどぶ貝を核として用いた場合の検出結果、(c),(d)はシャコ貝を核として用いた場合の検出結果、(e),(f)はシミ入りどぶ貝を核として用いた場合の検出結果であり、(a),(c),(e)は1軸方向での磁力の変化を示すグラフ、(b),(d),(f)は他軸方向での磁力変化を示すグラフである(実施例3)。
【図15】(a),(b)は黒蝶貝を核に用いた真珠の検出結果であり、(c),(d)はシャコ貝を核に用いた真珠の検出結果であり、(a),(c)は1軸方向の磁力変化を示すグラフであり、(b),(d)は他軸方向の磁力変化の検出結果を示すグラフである(実施例3)。
【図16】各材質の核による磁化率縦横比を示す図表である(実施例3)。
【図17】本発明に係る核の検査装置の概略全体平面図である(実施例4)。
【図18】回転駆動部を示す断面図である(実施例4)。
【図19】図18のSA−SA矢視方向から見た回転駆動部を示す断面図である(実施例4)。
【図20】磁化の測定比率から求めた形状指数を示すグラフである(実施例4)。
【符号の説明】
【0169】
1 検査装置
5 ランプ(照射手段)
7 検査手段
9 コントローラ(判別手段)
15 真珠核
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の核に対し波長の異なる光を照射する照射手段と、
前記照射された光が前記核によって反射した反射光を検出する検査手段と、
前記検出された反射光に基づく光反射率の特性によって前記核を判別する判別手段とよりなることを特徴とする核の検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の核の検査装置であって、
前記判別手段は、少なくとも異なる2波長の光に対する光反射率によって前記光反射率の特性を判断することを特徴とする核の検査装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の核の検査装置であって、
前記照射手段は、少なくとも紫外線及び可視光線を照射可能であることを特徴とする核の検査装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の核の検査装置であって、
前記照射手段は、少なくとも280Nm又は310Nmと400Nm又は500Nmとの波長の光を照射可能であることを特徴とする核の検査装置。
【請求項5】
波長の異なる光に対する核の光反射率を検出し、該光反射率の特性に基づいて核を判別することを特徴とする核の検査方法。
【請求項6】
波長の異なる光に対する核の光反射率を検出し、該光反射率の特性に基づいて核を一次判別する一次工程と、前記一次工程によって抽出した核を、交差2軸での異方性を検出することにより材質に異方性のある核と異方性の無い核とを二次判別する二次工程とを備えたことを特徴とする核の検査方法。
【請求項7】
請求項6記載の核の検査方法であって、
前記異方性の検出は、前記核の液中での浮力による回転、又は前記核の磁化率、又は前記核の光透過率、又は前記核の光反射率を用いたことを特徴とする核の検査方法。
【請求項1】
検査対象の核に対し波長の異なる光を照射する照射手段と、
前記照射された光が前記核によって反射した反射光を検出する検査手段と、
前記検出された反射光に基づく光反射率の特性によって前記核を判別する判別手段とよりなることを特徴とする核の検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の核の検査装置であって、
前記判別手段は、少なくとも異なる2波長の光に対する光反射率によって前記光反射率の特性を判断することを特徴とする核の検査装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の核の検査装置であって、
前記照射手段は、少なくとも紫外線及び可視光線を照射可能であることを特徴とする核の検査装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の核の検査装置であって、
前記照射手段は、少なくとも280Nm又は310Nmと400Nm又は500Nmとの波長の光を照射可能であることを特徴とする核の検査装置。
【請求項5】
波長の異なる光に対する核の光反射率を検出し、該光反射率の特性に基づいて核を判別することを特徴とする核の検査方法。
【請求項6】
波長の異なる光に対する核の光反射率を検出し、該光反射率の特性に基づいて核を一次判別する一次工程と、前記一次工程によって抽出した核を、交差2軸での異方性を検出することにより材質に異方性のある核と異方性の無い核とを二次判別する二次工程とを備えたことを特徴とする核の検査方法。
【請求項7】
請求項6記載の核の検査方法であって、
前記異方性の検出は、前記核の液中での浮力による回転、又は前記核の磁化率、又は前記核の光透過率、又は前記核の光反射率を用いたことを特徴とする核の検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2006−208204(P2006−208204A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−20969(P2005−20969)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(899000057)学校法人日本大学 (650)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(899000057)学校法人日本大学 (650)
【Fターム(参考)】
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