説明

核医学イメージング装置及び方法

【課題】画像の精度を向上させることを可能とする核医学イメージング装置及び方法を提供すること。
【解決手段】実施の形態の核医学イメージング装置では、タイムウィンドウ設定部と、同時計数部とを備える。タイムウィンドウ設定部は、対消滅ガンマ線が放出された空間位置情報に基づいて、同時計数情報を生成するために用いられるタイムウィンドウの位置及び幅のうち少なくとも一方を設定する。同時計数部は、タイムウィンドウ設定部によって位置及び幅のうち少なくとも一方が設定されたタイムウィンドウ内で計数された二つの計数情報を同時計数として生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、核医学イメージング装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検体の生体組織における機能診断を行なうことができる核医学イメージング装置として、陽電子断層撮影装置(PET装置、PET:Positron Emission computed Tomography)が知られている。
【0003】
具体的には、PET検査では、陽電子放出核種で標識された化合物が被検体に投与される。そして、PET装置は、標識化合物から放出された陽電子が電子と結合して消滅する際に、略反対方向に放出する511keVの一対のガンマ線(対消滅ガンマ線)を、被検体の周囲に配置されたフォトンカウンティング(photon counting)方式の検出器を用いて同時計数する。そして、PET装置は、同時計数したガンマ線のデータ(同時計数情報)を演算処理することにより、PET画像の再構成を行なう。
【0004】
より詳細には、PET装置は、検出器が出力した計数結果からガンマ線の検出位置とガンマ線の検出時間(例えば、検出時刻)とガンマ線のエネルギー値とを含む計数情報を収集する。そして、PET装置は、検出時間が一定時間のタイムウィンドウ内にある2つの計数情報の組み合わせを、対消滅ガンマ線を略同時に計数した同時計数情報として生成する。そして、PET装置は、同時計数情報を形成する各計数情報に含まれる検出位置を結ぶ直線上に陽電子を放出した標識化合物があるとして、標識化合物の分布を表すPET画像を再構成する。しかしながら、従来技術においては、同時計数情報を生成するためのタイムウィンドウが一定であることにより、RIの分布によらず、消滅ガンマ線の信号も散乱線も同等にとらえていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−107995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、画像の精度を向上させることができる核医学イメージング装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の形態の画像診断装置は、ガンマ線に由来する光を計数する検出器が出力した計数結果のうち、対消滅ガンマ線を略同時に計数した二つの計数情報を同時計数情報として生成する核医学イメージング装置であって、設定手段と、同時計数情報生成手段とを備える。設定手段は、前記対消滅ガンマ線が放出された空間位置に基づいて、前記同時計数情報を生成するために用いられる時間範囲の位置及び幅のうち少なくとも一方を設定する。同時計数情報生成手段は、前記設定手段によって時間範囲の位置及び幅のうち少なくとも一方が設定された前記時間範囲内で計数された二つの計数情報を同時計数情報として生成する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るPET装置の構成を説明するための図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係る検出器モジュールを示す図である。
【図3】図3は、従来の同時計数情報の生成及び課題を説明するための図である。
【図4】図4は、第1の実施形態に係るオフセットデータ生成部の処理の一例を模式的に示す図である。
【図5】図5は、第1の実施形態に係るオフセットデータの一例を示す図である。
【図6】図6は、第1の実施形態に係る同時計数情報データに格納された同時計数情報の一例を示す図である。
【図7】図7は、第1の実施形態に係るタイムウィンドウ設定部の処理の第1の例を模式的に示す図である。
【図8】図8は、第1の実施形態に係るタイムウィンドウ設定部の処理の第2の例を模式的に示す図である。
【図9】図9は、第1の実施形態に係るタイムウィンドウ設定部の処理の第3の例を模式的に示す図である。
【図10】図10は、3次元収集に適用する場合の一例を説明するための図である。
【図11】図11は、第1の実施形態に係るPET装置による処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】図12は、第2の実施形態に係る核医学イメージング装置の構成の一例を説明するための図である。
【図13】図13は、第2の実施形態に係るタイムウィンドウデータの一例を模式的に示す図である。
【図14】図14は、第2の実施形態に係る核医学イメージング装置による処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、核医学イメージング装置であるPET(Positron Emission computed Tomography)装置を、実施形態として説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るPET装置100を示す図である。図1に示すように、第1の実施形態に係るPET装置100は、架台装置10と、コンソール装置20とを有する。架台装置10は、被検体Pに投与され、被検体Pの生体組織に選択的に取り込まれた陽電子放出核種から放出される一対のガンマ線を所定のモニタリング期間において計数する。架台装置10は、図1に示すように、天板11と、寝台12と、寝台駆動部13と、検出器モジュール14と、同時計数部15とを有する。なお、架台装置10は、図1に示すように、撮影口となる空洞を有する。
【0011】
天板11は、被検体Pが横臥するベッドであり、寝台12の上に配置される。寝台駆動部13は、後述する寝台制御部61の制御のもと、寝台12を移動することにより、被検体Pを架台装置10の撮影口内に移動させる。
【0012】
検出器モジュール14は、被検体Pから放出されるガンマ線を検出するフォトンカウンティング(photon counting)方式の検出器である。図2は、第1の実施形態に係る検出器モジュール14を示す図である。検出器モジュール14は、図2に示すように、シンチレータ141と、光電子増倍管(PMT:Photomultiplier Tube)142と、ライトガイド143とを有するアンガー型の検出器である。
【0013】
シンチレータ141は、被検体Pから放出されて入射したガンマ線を可視光に変換する検出素子である。例えば、シンチレータ141は、NaIやBGOなどが、図2に示すように、2次元に配列されている。光電子増倍管142は、シンチレータ141から出力された可視光を増倍して電気信号に変換する。そして、光電子増倍管142は、図2に示すように、ライトガイド143を介して稠密に複数個配置されている。ライトガイド143は、シンチレータ141から出力された可視光を光電子増倍管142に伝達するために用いられる。例えば、ライトガイド143は、光透過性に優れたプラスチック素材などから形成される。
【0014】
なお、光電子増倍管142は、シンチレーション光を受光し光電子を発生させる光電陰極、発生した光電子を加速する電場を与える多段のダイノード、および電子の流れ出し口である陽極を有している。光電効果により光電陰極から放出された電子は、ダイノードに向って加速されてダイノードの表面に衝突し、複数の電子を叩き出す。この現象が多段のダイノードに渡って繰り返されることにより、なだれ的に電子数が増倍され、陽極での電子数は、約100万にまで達する。かかる例では、光電子増倍管142の利得率は、100万倍となる。また、なだれ現象を利用した増幅のためにダイノードと陽極との間には、通常1000ボルト以上の電圧が印加される。
【0015】
すなわち、検出器モジュール14は、ガンマ線をシンチレータ141により可視光に変換し、変換した可視光を光電子増倍管142により電気信号に変換することで、被検体Pから放出されたガンマ線の数を計数する。
【0016】
架台装置10においては、図1に示すように、複数の検出器モジュール14が、被検体Pの周囲を環状に取り囲むように配置される。また、架台装置10においては、環状検出器モジュール群が、所定の軸(被検体Pの体軸)方向に沿って複数配置される場合もある。なお、以下では、複数の検出器モジュール14をまとめて、単に検出器と記載する場合がある。すなわち、架台装置10は、陽電子核種から放出される放射線を検出するために、放射線を光に変換する複数のシンチレータ141が環状に配置された環状シンチレータ群が、被検体Pの体軸方向に沿って複数配置された検出器を有する。
【0017】
図1に戻って、同時計数部15は、各検出器モジュール14の出力結果に基づいて、陽電子から放出された一対のガンマ線の入射方向を決定するための同時計数情報を生成する。具体的には、同時計数部15は、シンチレータ141から散乱して出力された可視光を同じタイミングで電気信号に変換出力した光電子増倍管142の位置および電気信号の強度に対応する入射ガンマ線のエネルギーから重心位置を演算することで、検出器モジュール14におけるガンマ線の入射位置(シンチレータ141の位置)を決定する。また、同時計数部15は、各光電子増倍管142が出力した電気信号の強度を積分することで、検出器モジュール14に対して入射したガンマ線のエネルギー値を演算する。
【0018】
そして、同時計数部15は、検出器モジュール14の出力結果の中から、ガンマ線の入射タイミング(時間)が一定時間のタイムウィンドウ幅以内にあり、エネルギー値がともに一定のエネルギーウィンドウ幅にある組み合わせを検索(Coincidence Finding)する。例えば、4〜12nsecの時間ウィンドウ幅と、350keV〜550keVのエネルギーウィンドウ幅とが、検索条件として設定される。そして、同時計数部15は、検索した組み合わせの出力結果を、2つの消滅フォトンを同時計数した情報であるとして同時計数情報(Coincidence List)を生成する。そして、同時計数部15は、同時計数情報をPET画像再構成用のガンマ線投影データとして図1に示すコンソール装置20に送信する。なお、2つの消滅フォトンを同時計数した2つの検出位置を結ぶ線は、LOR(Line of Response)と呼ばれる。また、同時計数情報は、コンソール装置20にて生成される場合であってもよい。
【0019】
コンソール装置20は、操作者によるPET装置の操作を受け付けるとともに、架台装置10によって収集された同時計数情報からPET画像を再構成する。コンソール装置20は、図1に示すように、入力部30と、表示部40と、データ記憶部50と、寝台制御部61と、画像再構成部62と、オフセットデータ生成部63と、タイムウィンドウ設定部64と、システム制御部65とを有する。そして、コンソール装置20が有する各部は、図1に示すように、内部バスを介して接続される。
【0020】
入力部30は、PET装置100の操作者が各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボードなどを有する。そして、入力部30は、操作者から受け付けた指示や設定の情報を、システム制御部65に転送する。例えば、入力部30は、操作者から後述するオフセットデータを生成する際の条件や、画像補正を行なうための補正条件などを受け付ける。
【0021】
表示部40は、操作者によって参照されるモニタである。表示部40は、後述するシステム制御部65による制御に基づいて、PET画像を操作者に表示したり、入力部30を介して操作者から各種指示や各種設定などを受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。寝台制御部61は、寝台駆動部13を制御して、被検体Pを架台装置10の撮影口内に移動させる。
【0022】
データ記憶部50は、図1に示すように、同時計数情報データ51と、画像データ52と、オフセットデータ53とを有する。同時計数情報データ51は、同時計数部15が生成した同時計数情報を記憶する。画像データ52は、画像再構成部62により再構成されたPET画像を記憶する。オフセットデータ53は、オフセットデータ生成部63の処理結果を記憶する。なお、オフセットデータ53が記憶する内容については、後に詳述する。
【0023】
画像再構成部62は、同時計数部15が生成した同時計数情報(投影データ)を同時計数情報データ51から読み出して、読み出した投影データを、例えば、逐次近似法を用いることで、PET画像を再構成する。さらに、本実施例に係る画像再構成部62は、後述するタイムウィンドウ設定部64によって設定されたタイムウィンドウを用いて生成された同時計数情報からPET画像を生成する。そして、画像再構成部62は、再構成したPET画像をデータ記憶部50の画像データ52に格納する。
【0024】
オフセットデータ生成部63は、画像再構成部62によって再構成されたPET画像に基づいて、LORごとにタイムウィンドウを変化させるためのオフセットデータを生成する。なお、オフセットデータ生成部63については後述する。
【0025】
タイムウィンドウ設定部64は、オフセットデータ生成部63によって生成されたオフセットデータに基づいて、同時計数情報を生成するためのタイムウィンドウをLORごとに設定する。なお、タイムウィンドウ設定部64については後述する。
【0026】
システム制御部65は、架台装置10およびコンソール装置20の動作を制御することによって、PET装置100の全体制御を行う。具体的には、システム制御部65は、寝台12の移動や、同時計数部15による同時計数情報の収集処理を制御する。また、システム制御部65は、入力部30を介して入力された操作者からの設定情報に基づいて、画像再構成部62におけるPET画像の再構成処理を制御する。また、システム制御部65は、画像データ52が記憶するPET画像を、表示部40に表示するように制御する。
【0027】
以上、第1の実施形態に係るPET装置100の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係るPET−CT装置100は、RIの分布、或いは、検査の対象部位の位置に基づいて、タイムウィンドウを所定量移動させるオフセットを実行した後に同時計数情報を生成することにより、画像の精度を向上させる。
【0028】
ここで、同時計数情報の生成について説明する。図3は、従来の同時計数情報の生成及び課題を説明するための図である。図3においては、架台装置10の撮影口内の位置する被検体Pの断面図を示している。例えば、従来の同時計数情報の生成においては、陽電子放出核種で標識された化合物が被検体Pに静脈注射で投与される。そして、従来の同時計数情報の生成においては、化合物から放出された陽電子が電子と対消滅する際に放出されたガンマ線(対消滅ガンマ線)を検出器モジュールによって収集し、略同時に収集したガンマ線に由来する計数情報を同時計数情報として生成する。
【0029】
一例を挙げると、図3の(A)に示すように、検出器モジュール14aによって収集されたガンマ線から変換した信号Aの検出時間と、検出器モジュール14bによって収集されたガンマ線から変換した信号Bの検出時間とがタイムウィンドウ内に位置することから、信号Aに係る情報と信号Bに係る情報とを用いて同時計数情報が生成される。なお、この時、タイムウィンドウだけではなく、信号A及び信号Bそれぞれについてエネルギーウィンドウを用いた判定なども実行されている。また、タイムウィンドウの幅は、図3の(A)に示すように、例えば、4〜12nsecの間の一定時間が設定される。また、図3に示す点70は、ガンマ線が放出された位置を示している。
【0030】
従来においては、上記したように同時計数情報が生成されるが、例えば、心臓や脳などのように、検査空間内で局所的に位置する部位を検査対象とする場合においても同様に同時計数情報が生成される。すなわち、従来の同時計数情報の生成において用いられるタイムウィンドウは、検査対象の部位に関係なく一定に設定される。しかしながら、検査対象の部位が心臓や脳などの場合には、ガンマ線が放出される空間位置がLORの中央からずれた位置となるため、ガンマ線が検出器モジュールに収集される時間に時間差が生じることとなる。換言すると、従来の方法では、位置に依存せず、消滅ガンマ線の信号も散乱線も同等にとらえているため、散乱線や偶発同時計数を余分にとらえている。
【0031】
例えば、図3の(B)に示すように、心臓を検査対象とする場合においては、ガンマ線が放出された位置70がLORの中央80からずれた位置にあるため、位置70で放出されたガンマ線が検出器モジュール14a及び14bそれぞれに収集される時間に時間差が生じる。その結果、例えば、検出器モジュール14aによって収集されたガンマ線に由来する信号と、他の検出器モジュールによって収集されたガンマ線に由来する信号とを用いて同時計数情報を生成する場合がある。
【0032】
そこで、開示の技術では、検査対象の部位が心臓や脳などのように、ガンマ線が放出される空間位置がLORの中央からずれた位置にある場合に、位置情報を用いることより散乱線や偶発同時計数を減らして、真の消滅ガンマ線の信号を増やすことにより、画像の精度を向上させることを可能にする核医学イメージング装置を提供することを目的とする。
【0033】
上記した目的を達成するために、第1の実施形態に係るPET装置100は、同時計数部15によって生成された同時計数情報に対して、検査対象の部位の空間位置を考慮して新たに設定したタイムウィンドウにより再度同時計数の判定を行い、該判定により同時計数だと判定した同時計数情報を用いてPET画像を生成する。上記した処理について、以下で詳述する。
【0034】
図1に戻って、画像再構成部62は、同時計数部15によって生成された同時計数情報を用いて、PET画像を再構成する。ここで、画像再構成部62は、すべての同時計数情報を用いてもよいし、同時計数情報の一部だけを用いる場合であってもよい。
【0035】
オフセットデータ生成部63は、対消滅ガンマ線を略同時に計数した計数情報から生成された同時計数情報に基づいて再構成されたPET画像においてRIが高頻度で分布する空間位置を取得し、取得した空間位置に基づいて、対消滅ガンマ線を検出した一組の検出器を結ぶ線ごとの所定の時間幅の補正量を示す補正データを生成する。
【0036】
具体的には、オフセットデータ生成部63は、まず、画像再構成部62によって再構成されたPET画像からRIが高頻度で分布する空間位置を取得する。なお、このときの再構成は、オフセットなしであり、タイムウィンドウもオフセット有りのデータを変換する場合よりも広めにとる。そして、オフセットデータ生成部63は、同時計数情報データ51に記憶された同時計数情報に含まれるLORの情報と、PET画像から取得したRIが高頻度で分布する空間位置とを用いて、LORごとにタイムウィンドウのオフセット量を対応付けたオフセットデータを生成する。
【0037】
図4は、第1の実施形態に係るオフセットデータ生成部63の処理の一例を模式的に示す図である。図4においては、架台装置10の撮影口内の位置する被検体Pの断面図を示している。例えば、オフセットデータ生成部63は、図4の(A)に示すように、画像再構成部62によって生成されたPET画像からRIが高頻度で分布する空間位置90を取得する。
【0038】
そして、オフセットデータ生成部63は、取得した空間位置90と同時計数情報のLORの情報とを用いて、オフセットデータを生成する。例えば、オフセットデータ生成部63は、図4の(B)に示すように、検出器モジュール14aと検出器モジュール14bとを結ぶLOR1と空間位置90とを用いて、以下に示すようにオフセットデータを生成する。まず、オフセットデータ生成部63は、取得した空間位置90上をLOR1が通過するか否かを判定する。そして、オフセットデータ生成部63は、LOR1が空間位置90上を通過することから、LOR1と空間位置90との交点81を算出する。
【0039】
その後、オフセットデータ生成部63は、算出した交点81とLORの中央80との距離82に基づいてオフセットデータを生成し、生成したオフセットデータをデータ記憶部50のオフセットデータ53に格納する。図5は、第1の実施形態に係るオフセットデータの一例を示す図である。例えば、オフセットデータ生成部63は、図5に示すように、「LOR1」と「14a−14b=1」とを対応付けたオフセットデータを生成して、データ記憶部50のオフセットデータ53に格納する。上記した情報は、LOR1のタイムウィンドウを検出器モジュール14aによって収集されたガンマ線から変換した信号側に「1」シフトさせることを意味している。同様に、オフセットデータ生成部63は、図5に示すように、「LOR2」と「14c−14d=0」とを対応付けたオフセットデータを生成して、データ記憶部50のオフセットデータ53に格納する。なお、「LOR2」は、図4の(B)に示すように、空間位置90上を通過していないので、シフト量が「0」となっている。
【0040】
図1に戻って、タイムウィンドウ設定部64は、対消滅ガンマ線が放出された空間位置に基づいて、同時計数情報を生成するために用いられる時間範囲の位置及び幅のうち少なくとも一方を設定する。具体的には、タイムウィンドウ設定部64は、対消滅ガンマ線を検出した一組の検出器を結ぶ線ごとに、当該線上における当該対消滅ガンマ線が放出された位置に基づいて時間範囲の位置を設定する。より具体的には、タイムウィンドウ設定部64は、オフセットデータ生成部63によって生成されたオフセットデータに基づいて、同時計数情報を生成した際のタイムウィンドウの位置をずらす。
【0041】
すなわち、タイムウィンドウ設定部64は、オフセットデータ53に格納されたオフセットデータを参照し、同時計数情報データ51に格納された同時計数情報ごとのタイムウィンドウを設定する。ここで、同時計数情報について説明する。図6は、第1の実施形態に係る同時計数情報データ51に格納された同時計数情報の一例を示す図である。
【0042】
例えば、同時計数情報データ51には、図6に示すように、「検出位置:P1」と、「時間:T1」と、「検出器モジュール:14a」と、「エネルギー:E1」とが対応付けられた計数情報と、「検出位置:P10」と、「時間:T10」と、「検出器モジュール:14b」と、「エネルギー:E10」とが対応付けられた計数情報とがさらに対応付けられた同時計数情報が格納される。
【0043】
タイムウィンドウ設定部64は、例えば、図5に示すオフセットデータを参照して、図6に示す同時係数情報の同時計数を判定したタイムウィンドウを設定する。すなわち、タイムウィンドウ設定部64は、図5に示すオフセットデータから、図6に示す同時係数情報に対応するオフセットデータ「LOR1、14a−14b=1」を取得して、タイムウィンドウを設定する。
【0044】
ここで、タイムウィンドウ設定部64による処理について、図7〜図9を用いて説明する。図7は、第1の実施形態に係るタイムウィンドウ設定部64の処理の第1の例を模式的に示す図である。図7においては、図4の(B)に示す検出器モジュール14aによって収集されたガンマ線に由来する信号Aと、検出器モジュール14bによって収集されたガンマ線に由来する信号Bとがタイムウィンドウによって同時計数の判定が行われる際の状態を示す。すなわち、図7の(A)に示すように、RIが高頻度で分布する空間位置90がLOR1の中央80からずれた位置にある場合のタイムウィンドウ設定部64による処理の一例を示す。
【0045】
例えば、図7の(A)に示すような場合、タイムウィンドウ設定部64は、消滅ガンマ線の到達が早い側の信号のウィンドウを狭くするようにタイムウィンドウをずらす。例えば、タイムウィンドウ設定部64は、図7の(B)に示す信号Aと信号Bとの中央に中心が位置するタイムウィンドウを、図7の(C)に示すように、オフセットデータのシフト量に基づいてシフトさせる。すなわち、タイムウィンドウ設定部64は、図7の(C)の矢印83に示すように、消滅ガンマ線の到達が早い検出器モジュール14aによって検出された信号A側のウィンドウが狭くなるように、タイムウィンドウをオフセットデータのシフト量「1」(図5参照)だけシフトさせる。
【0046】
図8は、第1の実施形態に係るタイムウィンドウ設定部64の処理の第2の例を模式的に示す図である。図8においては、図7の(A)に示すように、RIが高頻度で分布する空間位置90がLOR1の中央80からずれた位置にある際に、検出器モジュール14aに到達する消滅ガンマ線の到達時間が遅い場合について示す。上記した場合、タイムウィンドウ設定部64は、図8の(A)に示す信号Aと信号Bとの中央に中心が位置するタイムウィンドウを、図8の(B)に示すように、オフセットデータのシフト量に基づいてシフトさせる。すなわち、タイムウィンドウ設定部64は、図8の(B)の矢印84に示すように、消滅ガンマ線の到達が遅い検出器モジュール14aによって検出された信号A側のウィンドウが狭くなるように、タイムウィンドウをオフセットデータのシフト量「1」の符号を「−(マイナス)」にした「−1」分シフトさせる。
【0047】
図9は、第1の実施形態に係るタイムウィンドウ設定部64の処理の第3の例を模式的に示す図である。図9においては、RIが高頻度で分布する空間位置90とLOR1の中央80の位置とがずれていない場合のタイムウィンドウ設定部64による処理の一例を示す。例えば、仮に、図9の(A)に示すように、空間位置90とLOR1の中央80の位置とがずれていない場合には、オフセットデータに記憶されるシフト量は「0」となる。従って。タイムウィンドウ設定部64は、図9の(B)に示す信号Aと信号Bとの中央に中心が位置するタイムウィンドウを、図9の(C)に示すように、シフトさせずに、そのまま設定する。
【0048】
システム制御部65は、タイムウィンドウ設定部64によって設定されたタイムウィンドウ内で計数された二つの計数情報を同時計数として生成させる。具体的には、システム制御部65は、一組の検出器によってそれぞれ検出された対消滅ガンマ線が、タイムウィンドウ設定部64によって設定されたタイムウィンドウ内で収集されていた場合に、当該一組の検出器によってそれぞれ検出された対消滅ガンマ線に由来する計数情報を同時計数情報として生成させる。
【0049】
例えば、システム制御部65は、図7の(C)に示すように、タイムウィンドウ設定部64によってタイムウィンドウが矢印83だけシフトされ後においてもタイムウィンドウから信号A及び信号Bが外れなかった場合に、信号Aと信号Bとを用いて生成された同時計数情報を画像再構成に用いるように制御する。すなわち、画像再構成部62は、図6に示す「検出位置:P1、時間:T1、検出器モジュール:14a、エネルギー:E1」と「検出位置:P10、時間:T10、検出器モジュール:14b、エネルギー:E10」とが対応付けられた同時計数情報を用いてPET画像を再構成する。
【0050】
一方、タイムウィンドウ設定部64によってシフトされたタイムウィンドウから信号A又は信号Bが外れた場合には、システム制御部65が、信号Aと信号Bとを用いて生成された同時計数情報を誤った同時計数情報であるとして画像再構成に用いないように制御する。すなわち、画像再構成部62は、図6に示す「検出位置:P1、時間:T1、検出器モジュール:14a、エネルギー:E1」と「検出位置:P10、時間:T10、検出器モジュール:14b、エネルギー:E10」とが対応付けられた同時計数情報を用いずにPET画像を再構成する。
【0051】
上述した例では、被検体Pの断面を例に挙げて説明したが、開示の技術はこれに限定されるものではなく、例えば、第1の実施形態に係るPET装置100は、被検体の体軸方向を含めた3次元収集に適用することも可能である。図10は、3次元収集に適用する場合の一例を説明するための図である。例えば、PET装置100は、図10に示すように、検出器モジュール14eと検出器モジュール14fとによって収集された信号により生成されたLORについて、タイムウィンドウを設定し、信号の同時計数を再度判定することが可能である。
【0052】
また、上述した例では、同時計数部15によって生成された同時計数情報に対して、新たに設定したタイムウィンドウにより同時計数を判定し、2つの信号がタイムウィンドウ内にある場合に、同時計数として採用する例を説明した。しかしながら、開示の技術は、これに限定されるものではなく、例えば、タイムウィンドウをシフトさせた際に、タイムウィンドウ内でペアリングされた信号を用いて同時計数情報を生成することも可能である。
【0053】
このように、第1の実施形態に係るPET装置100は、検査対象部位の位置情報に応じてタイムウィンドウをシフトさせることにより、TOF(Time Of Flight)のような複雑な機能を用いることなくノイズの低減及び分解能の向上を実現することができ、画像の精度を向上させることを可能にする。
【0054】
次に、図11を用いて、第1の実施形態に係る核医学イメージング装置の処理について説明する。図11は、第1の実施形態に係るPET装置100による処理の手順を示すフローチャートである。図11に示すように、第1の実施形態に係るPET装置100においては、同時計数部15が、計数情報を収集する(ステップS101)。
【0055】
そして、同時計数部15が同時計数情報を生成し、画像再構成部62が同時計数部15によって生成された同時計数情報を用いてPET画像を再構成する(ステップS102)。続いて、オフセットデータ生成部63が、画像再構成部62によって再構成されたPET画像に基づいて、RIが高頻度で分布する空間位置を特定して(ステップS103)、LORごとにタイムウィンドウのシフト量が対応付けられたオフセットデータを生成する(ステップS104)。
【0056】
そして、タイムウィンドウ設定部64が、オフセットデータ生成部63によって生成されたオフセットデータを参照して、LORごとにタイムウィンドウを設定する(ステップS105)。その後、システム制御部65が、タイムウィンドウ設定部64によって設定されたタイムウィンドウを用いて同時計数を判定して、2つの信号がタイムウィンドウ内にある場合に、同時計数情報として生成する(ステップS106)。
【0057】
そして、システム制御部65が、偶発同時計数を除外するためのランダム補正などの補正処理を実行させ(ステップS107)、画像再構成部62にPET画像を再構成させ(ステップS108)、処理を終了する。
【0058】
上述したように、第1の実施形態によれば、タイムウィンドウ設定部64は、対消滅ガンマ線が放出された空間位置に基づいて、同時計数情報を生成するために用いられるタイムウィンドウを設定する。そして、システム制御部65は、タイムウィンドウ設定部64によって設定されたタイムウィンドウ内で計数された二つの計数情報を同時計数情報として生成する。従って、第1の実施形態に係るPET装置100は、検査対象の空間位置に応じてタイムウィンドウを設定することができ、画像の精度を向上させることを可能にする。
【0059】
また、第1の実施形態によれば、タイムウィンドウ設定部64は、対消滅により発生した二つのガンマ線の軌跡を示すLORごとに、当該LOR上における当該対消滅ガンマ線が放出された位置に基づいてタイムウィンドウを設定する。そして、システム制御部65は、一組の検出器によってそれぞれ検出された対消滅ガンマ線が、タイムウィンドウ設定部64によって設定されたタイムウィンドウ内で収集されていた場合に、当該一組の検出器によってそれぞれ検出された対消滅ガンマ線に由来する計数情報の一組を採用することで同時計数情報を生成させる。従って、第1の実施形態に係るPET装置100は、ノイズの低減及び分解能の向上を実現でき、画像の精度を向上させることを可能にする。
【0060】
また、第1の実施形態によれば、オフセットデータ生成部63は、対消滅ガンマ線を略同時に計数した計数情報から生成された同時計数情報に基づいて再構成されたPET画像において陽電子放出核種が高頻度で分布する空間位置を取得し、取得した空間位置に基づいて、LORごとにタイムウィンドウを補正するための補正量を示すオフセットデータを生成する。そして、タイムウィンドウ設定部64は、オフセットデータ生成部63によって生成されたオフセットデータに基づいて、同時計数情報を生成した際のタイムウィンドウの位置をずらす。従って、第1の実施形態に係るPET装置100は、既存の技術を利用して適切なタイムウィンドウを設定することができ、画像の精度を容易に向上させることを可能にする。
【0061】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、検査対象の位置に応じてタイムウィンドウをシフトさせる場合について説明した。第2の実施形態では、検査対象の位置に応じてタイムウィンドウの幅を変化させる場合について説明する。具体的には、第2の実施形態に係る核医学イメージング装置は、TOF機能を利用して、視野内の周方向におけるガンマ線が放出された位置を特定し、特定した位置に応じてタイムウィンドウの幅を変化させることで、視野内の周辺部における感度の低下を抑制する。
【0062】
ここで、視野内の周辺部における感度の低下について説明する。対消滅により発生する2つのガンマ線は、ほぼ正反対の方向に放出される。ここで、視野内の中央付近で対消滅が生じた場合には、ほとんどのガンマ線が対向する検出器によって収集される。しかしながら、視野内の周辺部付近で対消滅が生じた場合には、対向していない検出器の方向に2つのガンマ線が放出されることがあり、ガンマ線の収集効率が低下するために同時計数される計数情報が少なくなり、感度が低下する。そこで、第2の実施形態に係る核医学イメージング装置は、視野内の周方向の位置に応じてタイムウィンドウの幅を変化させることで、同時計数される計数情報を増加させて感度の低下を抑止する。具体的には、第2の実施形態に係る核医学イメージング装置は、視野内の中心部付近では、タイムウィンドウの幅を狭くし、周辺にいくほどタイムウィンドウの幅を広くする。
【0063】
まず、第2の実施形態に係る核医学イメージング装置の構成を説明する。図12は、第2の実施形態に係るPET装置200の構成の一例を説明するための図である。図12に示すように、PET装置200は、第1の実施形態に係るPET装置100と比較して、コンソール装置20aに較正部66とタイムウィンドウデータ54とを有する点、及び、タイムウィンドウ設定部64による処理内容が異なる。以下、これらを中心に説明する。
【0064】
タイムウィンドウデータ54は、後述するタイムウィンドウ設定部64の処理によって生成されたタイムウィンドウデータを記憶する。図13は、第2の実施形態に係るタイムウィンドウデータの一例を模式的に示す図である。例えば、タイムウィンドウデータ54は、図13に示すように、領域R1からR4までの各領域でタイムウィンドウの幅を変化させる旨の情報をタイムウィンドウデータとして記憶する。ここで、タイムウィンドウデータは、図13に示すように、視野の中心から周辺部に向けて徐々に幅を広げたタイムウィンドウの情報をタイムウィンドウデータとして記憶する。なお、領域ごとのタイムウィンドウの幅は、管理者によって任意に決定される。
【0065】
較正部66は、陽電子から放出された一対のガンマ線を検出した一組の検出器の空間位置と、該一組の検出器によって一対のガンマ線が検出された一組の検出時間とを用いて、該LOR上に該陽電子の空間位置を推測する。具体的には、較正部66は、TOF機能を有し、一組の検出器によってガンマ線が検出された一組の検出時間から検出時間差を算出し、算出した時間差と、該一組の検出器の位置とに基づいて、LORごとにガンマ線が放出された空間位置を推測したTOF情報を生成する。
【0066】
タイムウィンドウ設定部64は、タイムウィンドウデータ54に格納されたタイムウィンドウデータと、較正部66によって推測されたガンマ線の空間位置とを用いて、タイムウィンドウの幅を設定する。具体的には、タイムウィンドウ設定部64は、較正部66によって生成されたTOF情報を収集し、収集したTOF情報を用いて、LORごとに視野内の中央の位置からガンマ線が放出された位置までの距離を算出する。そして、タイムウィンドウ設定部64は、算出した距離とタイムウィンドウデータとを照合して、LORごとにタイムウィンドウの幅を決定し、決定した幅のタイムウィンドウを設定する。
【0067】
例えば、タイムウィンドウ設定部64は、較正部66によって推測されたガンマ線の放出位置が図11に示す領域R4であった場合には、幅が最も広いタイムウィンドウを設定する。そして、同時計数部15は、タイムウィンドウ設定部64によって設定されたタイムウィンドウを用いて、計数情報から再度同時計数情報を生成する。
【0068】
上述した例では、被検体Pの断面を例に挙げて説明したが、開示の技術はこれに限定されるものではなく、例えば、第2の実施形態に係るPET装置200は、被検体の体軸方向を含めた3次元収集に適用することも可能である。かかる場合には、ガンマ線が放出された空間位置から視野の中心までの距離以外に、LORの体軸方向の長さも考慮して、タイムウィンドウの幅が設定される。
【0069】
このように、第2の実施形態に係るPET装置200は、ガンマ線が放出された空間位置に応じてタイムウィンドウの幅を変化させることで、同時計数される計数情報を増加させて感度の低下を抑止する。その結果、第2の実施形態に係るPET装置200は、画像の精度を向上させることを可能にする。
【0070】
次に、図14を用いて、第2の実施形態に係るPET装置200による処理について説明する。図14は、第2の実施形態に係るPET装置200による処理を説明するためのフローチャートである。
【0071】
図14に示すように、第2の実施形態に係るPET装置200においては、同時計数部15が、計数情報を収集する(ステップS201)。そして、タイムウィンドウ設定部64が、較正部66によって生成されたTOF情報を収集し(ステップS202)、タイムウィンドウデータを参照して(ステップS203)、LORごとのタイムウィンドウを設定する(ステップS204)。
【0072】
その後、同時計数部15が、タイムウィンドウ設定部64によって設定されたタイムウィンドウを用いて、計数情報から同時計数情報を生成する(ステップS205)。そして、システム制御部65が、偶発同時計数を除外するためのランダム補正などの補正処理を実行させ(ステップS206)、画像再構成部62にPET画像を再構成させ(ステップS207)、処理を終了する。
【0073】
上述したように、第2の実施形態によれば、較正部66は、対消滅ガンマ線を検出した一組の検出器の空間位置と、該一組の検出器によって一対の対消滅ガンマ線が検出された一組の検出時間とを用いて、当該一対の対消滅ガンマ線の軌跡を示すLOR上に該陽電子の空間位置を推測する。そして、タイムウィンドウ設定部64は、較正部66によって推測された陽電子の空間位置に基づいて、LORごとのタイムウィンドウの幅を変化させる。そして、同時計数部15は、タイムウィンドウ設定部64によって幅が変化されたタイムウィンドウを用いて同時計数情報を生成する。従って、第2の実施形態に係るPET装置200は、ガンマ線が放出された空間位置に応じてタイムウィンドウの幅を変化させることで、同時計数される計数情報を増加させて感度の低下を抑止することができ、画像の精度を向上させることを可能にする。
【0074】
(第3の実施形態)
さて、これまで第1及び第2の実施形態について説明したが、上述した第1及び第2の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0075】
上述した第1及び第2の実施形態では、核医学イメージング装置としてPET装置を用いる場合について説明した。しかしながら、開示の技術はこれに限定されるものではなく、例えば、核医学イメージング装置としてPET−CT装置やPET−MR装置を用いる場合であってもよい。かかる場合には、CT装置やMRI装置によって生成された形態画像から検査対象の部位の位置を特定する場合であってもよい。すなわち、PET画像を再構成することなく、オフセットデータ生成部63は、CT画像又はMR画像を用いてオフセットデータを生成する。
【0076】
なお、上記した実施の形態は例示であり、発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0077】
以上説明したとおり、第1〜3の実施形態によれば、画像の精度を向上させることを可能にする。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0079】
10 架台装置
15 同時計数部
20 コンソール装置
62 画像再構成部
63 オフセットデータ生成部
64 タイムウィンドウ設定部
65 システム制御部
66 較正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガンマ線に由来する光を計数する検出器が出力した計数結果のうち、対消滅ガンマ線を略同時に計数した二つの計数情報を同時計数情報として生成する核医学イメージング装置であって、
前記対消滅ガンマ線が放出された空間位置に基づいて、前記同時計数情報を生成するために用いられる時間範囲の位置及び幅のうち少なくとも一方を設定する設定手段と、
前記設定手段によって位置及び幅のうち少なくとも一方が設定された前記時間範囲内で計数された二つの計数情報を同時計数情報として生成する同時計数情報生成手段と、
を備えたことを特徴とする核医学イメージング装置。
【請求項2】
前記設定手段は、対消滅により発生した二つのガンマ線の軌跡を示す線ごとに、当該線上における当該対消滅ガンマ線が放出された位置に基づいて前記時間範囲を設定し、
前記同時計数情報生成手段は、一組の検出器によってそれぞれ検出された前記対消滅ガンマ線が、前記設定手段によって設定された前記時間範囲内で収集されていた場合に、当該一組の検出器によってそれぞれ検出された対消滅ガンマ線に由来する計数情報の一組を採用することで同時計数情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の核医学イメージング装置。
【請求項3】
対消滅ガンマ線を略同時に計数した計数情報から生成された同時計数情報に基づいて再構成されたPET画像において陽電子放出核種が高頻度で分布する空間位置を取得し、取得した空間位置に基づいて、前記軌跡を示す線ごとに前記時間範囲の位置を補正するための補正量を示す補正データを生成する補正データ生成手段をさらに備え、
前記設定手段は、前記補正データ生成手段によって生成された補正データに基づいて、前記同時計数情報を生成した際の前記時間範囲の位置をずらすことを特徴とする請求項2に記載の核医学イメージング装置。
【請求項4】
前記対消滅ガンマ線を検出した一組の検出器の空間位置と、当該一組の検出器によって一対の対消滅ガンマ線が検出された一組の検出時間とを用いて、当該一対の対消滅ガンマ線の軌跡を示す線上に該陽電子の空間位置を推測する推測手段をさらに備え、
前記設定手段は、前記推測手段によって推測された陽電子の空間位置に基づいて、前記時間範囲の幅を変化させ、
前記同時計数情報生成手段は、前記設定手段によって変化された時間範囲の幅を用いて前記同時計数情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の核医学イメージング装置。
【請求項5】
ガンマ線に由来する光を計数する検出器が出力した計数結果のうち、対消滅ガンマ線を略同時に計数した二つの計数情報を同時計数情報として生成する核医学イメージング装置によって実行される核医学イメージング方法であって、
前記対消滅ガンマ線が放出された空間位置に基づいて、前記同時計数情報を生成するために用いられる時間範囲の位置及び幅のうち少なくとも一方を設定する設定工程と、
前記設定工程によって位置及び幅のうち少なくとも一方が設定された前記時間範囲内で計数された二つの計数情報を同時計数として生成する同時計数情報生成工程と、
を含んだことを特徴とする核医学イメージング方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−113714(P2013−113714A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260156(P2011−260156)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】