説明

核磁気共鳴用プローブ

【課題】RFコイルの構成部品であるボビンの磁化率を雰囲気の磁化率と同じになるように調整し、核磁気共鳴分光システムの分解能の低下を防ぐ。
【解決手段】ボビン1の母材を、例えば石英ガラスで構成し、母材とは正負が反対となる磁化率の金属箔膜3、例えばクロム(Cr)を張り合わせる。母材と金属泊の単位体積当たりの総磁化率(SI単位系)は、雰囲気の物質の磁化率(SI単位系)と同じになるようにする。これにより、RFコイル2のボビン1と雰囲気物質の接する箇所から誤差磁場の発生を抑え、核磁気共鳴分光用検出コイルの分解能の低下を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核スピンを有する原子核を含むサンプルの核磁気共鳴(NMR)信号を検出する核磁気共鳴用プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
NMR信号を検出するには、サンプルに静磁場を印加する必要がある。NMR信号は静磁場の大きさに比例するので、NMR信号の受信感度を上げるためには、強磁場下にサンプルを設置する必要がある。また、NMR計測では、高いスペクトル分解能、すなわち、NMR信号をスペクトル表示した際のスペクトル線幅が広がらないことが望ましい。スペクトル線幅が狭いことは、サンプルおよびそれからのNMR信号を検出するRF(ラジオ周波数)コイルの近辺の磁場が均一であることを意味する。
【0003】
NMR計測では、サンプルおよび核磁気共鳴分光用検出コイル付近の磁場の大きさを強くし、さらに均一化することが要求される。磁場を均一化する要求は、RFコイル付近の部品に、RFコイル付近の磁化率に近い材料を用いることで対処される。しかし現実にはどの材料もRFコイル付近の雰囲気の磁化率とは異なり、RFコイル付近のすべての部品は、高磁場中で不均一な磁場を作る原因となっている。以後、RFコイルを含む全ての部品が高磁場中で作る不均一磁場を誤差磁場と呼ぶ。
【0004】
特許文献1、2には、RFコイルを磁化率がゼロ、もしくは、雰囲気の空気などの磁化率と等しくなるように常磁性材料と反磁性材料をある比率で合わせることで、誤差磁場の発生を抑える開示がある。即ち、非磁性化した材料をRFコイルの導線として用いることで、誤差磁場の発生を抑えている。また、特許文献3には、サンプル管を極力薄くし、サンプル管が発生する誤差磁場を抑えることで、NMR検出の際の分解能を上げる開示がある。即ち、NMR計測に必要な部品の材料の体積を極力減らすことで、誤差磁場の発生を抑えている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−266828号公報
【特許文献2】特開2001−194440号公報
【特許文献3】特開平07−84022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術では、RFコイルの巻き軸となるボビンが発生させる不均一磁場については、それを打ち消す磁場補正コイルの補正磁場に依存するのみで、材料を非磁性化するといった対策が取られていない。
【0007】
コイルボビンの材料として、一般に石英ガラスが用いられる。石英ガラスは反磁性体であり、その磁化率は−13.8ppmである。空気の磁化率は、+0.38ppmである。つまり、石英ガラスと空気の磁化率の差は14ppm程度となり、石英ガラスと空気の境界面では7T(テスラ)という大きさの磁場の下で100μT程度の誤差磁場が発生する。この誤差磁場の影響がRFコイルの感度領域に及んだ場合、磁場補正コイルを用いて誤差磁場をキャンセルしなければならない。しかし、磁場補正コイルによる補正磁場の大きさ、形状は限られており、ボビンの形状は磁場補正コイルの出力能力に依存することになる。例えばボビンは、その端部で発生する誤差磁場の影響を避けるために、短くすることが出来ないといった制限が生じる。
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、RFコイルのボビンによる不均一磁場を打ち消し、RFコイル付近の磁場を強くし、かつ均一化する核磁気共鳴分光用検出コイルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、サンプルの核磁気共鳴信号を検出する核磁気共鳴用プローブにおいて、サンプルの核スピンからの核磁気共鳴信号を受信するRFコイルと、前記RFコイルの巻き軸であるボビンと、前記ボビンに設けられボビン母材が持つ磁化率と逆極性となる金属材とを含み、前記ボビンの磁化率が雰囲気中の磁化率と等しくなるように構成したことを特徴とする。
【0010】
また、前記ボビンに対し、前記RFコイルと前記金属材の一方を円筒状のボビン内側、他方をボビン外側に設けたことを特徴とする。あるいは、前記ボビンに対し、前記RFコイルと前記金属材をボビン外側に設け、かつ前記RFコイルと前記金属材間に絶縁材を施したことを特徴とする。
【0011】
また、前記ボビンの上下方向をy軸、その直交方向をz軸とし、該z軸の方向に貫通穴を設けたことを特徴とする。
【0012】
本発明では、ボビンに反磁性体である石英ガラスを用いた場合、その表面に常磁性の金属を薄く均一に貼り付けることで、ボビンの磁化率を測定空間の雰囲気の磁化率と同じにすることが出来る。
【0013】
また、前記ボビンにサファイアや、酸化アルミや窒化アルミなどを主成分とするセラミックスを用いた場合、それらは反磁性体であるので、ボビンの表面に常磁性の金属を薄く均一に貼り付けることで、ボビンの磁化率を測定空間の雰囲気の磁化率と同じにすることが出来る。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ボビンを非磁性化することで、不均一磁場の発生を限りなくゼロに近づけることができ、ボビンに起因する磁場誤差を低下し、検出コイルの分解能の低下を抑制する効果がある。また、ボビンの形状や大きさの自由度を高め、ボビンを短くすることや、貫通穴を設けることも可能になる。貫通穴は、たとえばサンプル管に直接、光を当てることを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、NMR計測装置の全体構成図を示す。図1の拡大図は、プローブの先端部分の構成図で、本発明に係る核磁気共鳴分光用検出コイルのプローブ内での配置を示す。超伝導磁石10は、NMR計測に必要な強磁場を与える装置である。また、超伝導磁石10は、一般に、サンプル15が置かれる超伝導磁石の中心付近の磁場均一度を1ppm程度に補正する補正コイルを備えている。室温シムコイル磁石11は、超伝導磁石10の補正コイルで補正できなかった誤差磁場や、プローブ12やサンプル15(サンプル管14)を超伝導磁石内に挿入後にサンプル14付近で発生する誤差磁場を、1ppb程度に補正するための装置である。
【0016】
図1の計測コンソール13や計測機器20は、室温シムコイル磁石11の制御や、NMR信号を取得する際のRF送信機やRF受信機の制御を行うための装置である。図1の拡大図で示されるRFコイル2は、サンプルに核磁気共鳴を促すための電磁波を照射し、また、サンプルからの核磁気共鳴信号を受信するための装置である。RFコイル2は、一般に、ボビン1に取り付けられ、ボビン1を介してプローブ12に設置される。
【0017】
RFコイル2は、プローブ12内に設置された図示しない共振回路と電気的に接続される。一般に、1つのRFコイル2と共振回路の組み合わせで、同時に2つの共振がとれるように共振回路が組まれる。つまり、一つのRFコイルで、同時に2種の核のNMR信号を受信することが出来る。なお、本発明の核磁気共鳴分光用検出コイルは、ボビンを巻き枠としてRFコイルを巻きつけ、あるいは接着される組み合わせを指す。
【0018】
NMR計測器の仕様は、例えば、水素(H)核、重水素(D)核、炭素13(C)核、窒素15(N)核の4種の核の核磁気共鳴信号を、一つのプローブ12で計測できることが要求される。よって、図1の拡大図にあるプローブ12のように、2つのRFコイル2a,2bが設置された場合、例えば内側のRFコイル2aでH核とD核のNMR信号を受信し、外側のRFコイルでC核とN核のNMR信号を受信する仕様となる。
【0019】
以上の説明は、1つのプローブ12内に、2つのRFコイル2とボビン1、即ち核磁気共鳴分光用検出コイルが設置される場合である。また、一つのプローブ12内に1つの核磁気共鳴分光用検出コイルが設置される場合もある。本発明は1つの核磁気共鳴分光用検出コイルに適用する場合も、2つのコイルに適用する場合も、誤差磁場の発生を抑える効果については同じである。以下では、説明を簡略化するために、1つの核磁気共鳴分光用検出コイルを対象として説明する。
【実施例1】
【0020】
図2は、本発明にかかる非磁性化したボビンを備えた核磁気共鳴分光用検出コイルの実施例1を示したものである。本実施例の核磁気共鳴分光用検出コイルはボビン1、RFコイル2、ボビン1に張り合わせる金属薄膜3から構成される。
【0021】
核磁気共鳴分光用検出コイルの雰囲気は、空気などの気体ガスや真空で、雰囲気の磁化率とは、それらの磁化率のことを指す。ボビン1の材料には、ガラス、水晶、サファイア、セラミックスなどが用いられる。ボビン1の形状は円筒状で直径は5mmから20mm程度で、厚みは100μmから2mm程度である。コイル2は、電気伝導度の良い超伝導や常伝導の材料と、雰囲気の磁化率と等しくなるように別の金属材料を張り合わせて、構成される。または、蒸着、スパッタリング、無電解鍍金などの方法で、ボビン1に金属薄膜2を付け、構成される。金属薄膜3は、ボビン1の材料のもつ磁化率とは正負が逆である材料のものが選択される。
【0022】
金属薄膜3の厚みd(金属薄膜)は、
d(金属薄膜)=d(ボビン)×χ(ボビン)/χ(金属薄膜)
から求められる。ここで、d(ボビン)はボビン2の厚さであり、χ(ボビン)はボビン2の材料の磁化率(SI単位系)であり、χ(金属薄膜)は金属薄膜3の磁化率(SI単位系)である。
【0023】
図3は、図2で示す検出コイルの構成に寸法の一例を示したものである。ボビン1は10Φの石英ガラスの円筒型とし、ボビンの円筒の上下方向をy軸とし、それに垂直な方向をz軸としている。コイル2には厚さが50μmの金属材料を用い、ボビン1の内側に貼り付けている。金属薄膜3にはボビン1の材料のもつ磁化率とは正負が逆であるクロム材を厚さ14.44μmに貼り付け、コイル2を十分にカバーするようにしている。
【0024】
この検出コイルのz軸に沿って7T(テスラ)の磁場をかけたとする。RFコイル2は金属薄膜3により、磁化率が雰囲気の磁化率と同じになるように補正されており、誤差磁場を発生することがない。
【0025】
図4はコイルの円筒中心軸上に現れる誤差磁場の大きさを示す。図4には、図3の検出コイルで、ボビンの磁化率を補償する金属薄膜3がある場合(実線)と、金属薄膜3がない場合(点線)の誤差磁場を示している。
【0026】
点線は、ボビン1が母材のみの場合に発生する円筒中心軸上の誤差磁場を数値計算で求めたものである。ボビン1の磁化率の補償を全く施さない場合は、最大0.7μT程度の誤差磁場を発生することを示している。一方、ボビン1の磁化率を金属薄膜3によって補償した場合は、誤差磁場の発生がほとんど無いことが分かる。つまり、コイルを巻きつけたボビンの反対側に金属箔を設けた核磁気共鳴分光用検出コイルは、ボビンの磁化率を補償し、誤差磁場の発生を抑えるので、NMR信号の分解能を確保する効果がある。
【実施例2】
【0027】
図5は実施例2を説明する図である。実施例1と異なる点は、ボビン1に対して、磁化率を補償するための金属薄膜3を内側としたことである。RFコイル2はボビン1の外側に貼り付け、RFコイル3が金属薄膜2と電気的に接触することを防止している。
【0028】
ここで、磁化率を補償したボビンを、内側にある材料と外側にある材料から構成される筒と考える。すると、金属薄膜3をボビン1の内側に貼り付けるか、外側に貼り付けるかの違いは、内側にある材料と外側にある材料のそれぞれの磁化率の正負の関係が変わるだけである。つまり、ボビンの磁化率を金属薄膜によって補償するとすれば、金属薄膜を内側にするか外側にするかに本質な違いはなく、実施例2によってもボビンの磁化率を補償し、かつ、誤差磁場の発生を抑えることで、NMR信号の分解能を確保する効果が得られる。
【実施例3】
【0029】
図6は実施例3を説明する図である。実施例3の特徴は、ボビン1の外側の表面に磁化率を補正するため金属薄膜3を貼り付け、次に貼り付けるRFコイル2と金属皮膜3の絶縁を取るために、ポリイミドなどの絶縁膜4を塗布している。絶縁膜4により、RFコイル2や金属薄膜3は、ボビンの外側へ貼り付けることが可能となり、実施例1や実施例2のように、コイルまたは金属薄膜をボビンの内側に貼り付ける際の困難がない。
【0030】
また、絶縁膜4は金属薄膜3が空気と接触することを防止する。よって、金属皮膜3が酸化し易く、且つ、酸化によって磁化率の補正能力が低下するのを防止できる。
【実施例4】
【0031】
図7は実施例4を説明する図である。実施例4の特徴は、実施例3と似ており、RFコイル2cに絶縁膜4を塗布した構造である。実施例3のように、RFコイル2cや金属薄膜4がボビン1の外側につく構造となるので、組み立てが容易になる。
【0032】
図8は実施例4の変形例を説明する図である。図7と図8の違いは、図7がRFコイル2cの線材の形状が薄膜形状であるのに対し、図8のRFコイル2dの線材が丸線形状である。
【実施例5】
【0033】
次に本発明の他の実施例を説明する。図9は、ボビンに貫通穴を設ける構成を示している例である。貫通穴8は、例えば直径5mm程度で、ボビン1の材料は石英ガラスである。ボビン1の磁化率を補正する金属薄膜3はクロムである。ボビン1に設けた貫通穴8はz軸の方向を向いている。
【0034】
図10は、図9の検出コイルのz軸に沿って、7T(テスラ)の磁場をかけたときの、コイルの円筒中心軸上に現れる誤差磁場の大きさを示す。ボビン1の磁化率を補償する金属薄膜3がある場合(実線)と、金属薄膜3がない場合(点線)の誤差磁場を示している。金属薄膜3がない場合はボビン1に直径5mmの貫通穴をあけると、10μTの大きさで表される誤差磁場が発生する。一方、金属薄膜3によりボビン1の磁化率を補償した場合は、直径5mmの貫通穴を開けた場合にも殆ど誤差磁場が発生せず、NMR信号の分解能を確保できる効果がある。
【0035】
図11は、実施例5の応用例を示す構成図である。ボビン1の貫通穴8を通して、光などをサンプル管14に照射し、サンプル15からの透過光や散乱光を直接受ける構成である。この構成では、発光部からサンプル管14まで、あるいはサンプル管14から受光部まで光を遮るものがない。したがって、サンプル15に、テラヘルツ波、赤外線、可視光線、紫外線、X線やレーザー光線やメーザー光線などの電波や光を照射し、その透過光や散乱光などを受光する場合で、かつ同時にNMR信号を受信したい場合に有効な構造となる。
【0036】
従来技術でもボビンに貫通穴を設けることは可能であるが、誤差磁場が発生するので、NMR信号の分解能が下がる。しかし、本発明の検出コイルは金属薄膜によってボビンの磁化率を補正しているので、NMR信号の分解能は高く保持され、同時にサンプルに強い光を照射することが可能になる。これにより、NMR計測と光による計測の同時計測が可能になる。
【実施例6】
【0037】
図12は、本発明の他の実施例によるサンプルの温度管理の説明図である。NMR計測では、サンプル15の温度管理が重要であり、温調ガス30を流すことでサンプル15の温度を調整している。温調ガス30はボビン1にあけられた複数の穴8から流入30aし、下方や上方へと流出30bする。
【0038】
サンプルから観測されるNMR信号が温度依存性を持つ場合、サンプルの上下方向に温度勾配を生じると、NMRスペクトルが広がり分解能が下がる。このため、サンプル15の温度管理を行う場合、サンプルの上下方向に温度勾配を生じさせないことが必要になる。
【0039】
図13は、ボビンの磁化率の補正を行っていない従来技術の例で、温調ガス30を下方から上方向に流している。温調ガス30は、サンプル管14やサンプル15と熱交換をしながら上方向へ放出される。このとき、サンプル15が対流を起こさない条件にある場合、サンプルは上下方向に熱勾配をもつことになる。
【0040】
しかし、本実施例の場合は、温調ガス30がボビン1に開けられた複数の穴8から、同時にサンプル管14に放出される。よって、図13の場合よりも、サンプル15やサンプル管14に温度勾配勾配を生じさせない構造となる。
【実施例7】
【0041】
図14は、本発明のさらに他の実施例を説明する図で、RFコイルの引き出し線の配線を示している。図1の全体構成図にも示したように、本実施例のRFコイル2はサンプル管14を軸として内側2aと外側2bにある。この場合、引き出し線40は、サンプル15やサンプル管14に近いところに配線されると、NMR信号の感度や分解能に影響することがある。それは、引き出し線40がサンプル15の不要な信号を拾うことや、引き出し線の作る誤差磁場がサンプル15に影響を与えることによる。また、引き出し線は、感度を落さないために可能な限り短くする方がよい。
【0042】
図14では、RFコイル2aの引き出し線40はRFコイル2bのボビン1bにあけた穴9を通して配線している。ボビン1bに引き出し線40を貫通させるには、当然、ボビン1bに引き出し線40が通る大きさの穴9が必要となる。ボビン1bの磁化率が補正されていない場合、このような穴9を設けると、それが誤差磁場発生の原因となってNMR信号の分解能を下げることになる。
【0043】
しかし、本実施例では、ボビン1bの磁化率を補正する金属薄膜3を設けているので、穴9を設けても誤差磁場の発生は抑えられる。即ち、ボビン1の磁化率を補正する構成によって、引き出し線40の配線を外側のボビンに設けた穴を通すことで、NMR信号の感度や分解能への影響を防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明が適用されるNMR計測装置の構成図。
【図2】本発明に係る実施例1の検出コイルの断面図。
【図3】実施例1の検出コイルの1例の詳細図。
【図4】実施例1と従来技術の磁場誤差を示すグラフ。
【図5】本発明に係る実施例2の検出コイルの断面図。
【図6】本発明に係る実施例3の検出コイルの断面図。
【図7】本発明に係る実施例4の検出コイルの断面図。
【図8】実施例4の変形例による検出コイルの断面図。
【図9】本発明に係る実施例5の検出コイルの詳細断面図。
【図10】実施例5と従来技術の磁場誤差を示すグラフ。
【図11】実施例5の一つの応用例を示す説明図。
【図12】本発明に係る実施例6の検出コイルと温調の構成図。
【図13】従来の検出コイルと温調の構成図。
【図14】本発明に係る実施例6の検出コイルと引き出し線の構成図。
【符号の説明】
【0045】
1…ボビン、2…RFコイル、3…金属薄膜、4…絶縁膜、5…石英ガラス、6…クロム薄膜、8…貫通穴、9…穴、10…超伝導磁石、11…室温シムコイル磁石、12…プローブ、13…計測コンソール、14…サンプル管、15…サンプル、20…計測機器、30…温調ガスの流れ、40…引き出し線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルの核磁気共鳴信号を検出する核磁気共鳴用プローブにおいて、
サンプルの核スピンからの核磁気共鳴信号を受信するRFコイルと、前記RFコイルの巻き軸であるボビンと、前記ボビンに設けられボビン母材が持つ磁化率と逆極性となる金属材とを含み、前記ボビンの磁化率が雰囲気中の磁化率と等しくなるように構成したことを特徴とする核磁気共鳴用プローブ。
【請求項2】
請求項1において、前記ボビンに対し、前記RFコイルと前記金属材の一方を円筒状のボビン内側、他方をボビン外側に設けたことを特徴とする核磁気共鳴用プローブ。
【請求項3】
請求項1において、前記ボビンに対し、前記RFコイルと前記金属材をボビン外側に設け、かつ前記RFコイルと前記金属材間に絶縁材を施したことを特徴とする核磁気共鳴用プローブ。
【請求項4】
請求項1−3の何れかにおいて、前記金属材は金属薄膜、前記RFコイルは金属薄膜または線材によって形成されることを特徴とする核磁気共鳴用プローブ。
【請求項5】
請求項1−4の何れかにおいて、前記ボビンの上下方向をy軸、その直交方向をz軸とし、該z軸の方向に貫通穴を設けたことを特徴とする核磁気共鳴用プローブ。
【請求項6】
請求項1−5の何れかにおいて、前記ボビンを石英ガラス、前記金属材をクロム(Cr)によって構成したことを特徴とする核磁気共鳴用プローブ。
【請求項7】
サンプルの核磁気共鳴信号を検出する核磁気共鳴用プローブにおいて、
サンプルの核スピンからの核磁気共鳴信号を受信するRFコイルと、前記RFコイルの巻き軸であるボビンと、前記ボビンに設けられボビン母材が持つ磁化率と逆極性となる金属材とを含み、前記ボビンの磁化率が雰囲気中の磁化率と等しくなるように構成し、
前記ボビンの上下方向をy軸、その直交方向をz軸とし、該z軸の方向に貫通穴を設け、該貫通穴の一方の側に発光部、他方の側に受光部を設けたことを特徴とする核磁気共鳴用プローブ。
【請求項8】
請求項7において、前記発光部はテラヘルツ波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、レーザー光線またはメーザー光線を前記サンプルに照射することを特徴とする核磁気共鳴用プローブ。
【請求項9】
検出コイル内にサンプル管を配置し、サンプルの核磁気共鳴信号を検出する核磁気共鳴用プローブにおいて、
サンプルの核スピンからの核磁気共鳴信号を受信するRFコイルと、前記RFコイルの巻き軸であるボビンと、前記ボビンに設けられボビン母材が持つ磁化率と逆極性となる金属材とを含み、前記ボビンの磁化率が雰囲気中の磁化率と等しくなるように構成し、
前記ボビンの上下方向をy軸、その直交方向をz軸とし、該z軸の方向に複数の貫通穴を設け、前記サンプル管の温度調整のために前記複数の貫通穴を通して温調用流体を流す構成としたことを特徴とする核磁気共鳴用プローブ。
【請求項10】
検出コイル内にサンプル管を配置し、サンプルの核磁気共鳴信号を検出する核磁気共鳴用プローブにおいて、
前記検出コイルは、サンプルの核スピンからの核磁気共鳴信号を受信するRFコイルと、前記RFコイルの巻き軸であるボビンと、前記ボビンに設けられボビン母材が持つ磁化率と逆極性となる金属材とを含み、前記ボビンの磁化率が雰囲気中の磁化率と等しくなるように構成し、
このように構成した検出コイルを前記サンプル管に対して二重に配置し、その内側のRFコイルの引き出し線を、外側のボビンにあけた穴を通して引き出す構成としたことを特徴とする核磁気共鳴用プローブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−255991(P2007−255991A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−78703(P2006−78703)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度文部科学省、新方式NMR分析技術の開発(新方式NMRシステム技術の開発)委託研究、産業再生法第30条の適用を受けるもの
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)