説明

核酸の細胞内伝達のための方法

本発明は、単離された生物学的組織又は器官への、少なくとも1の単離された裸の核酸の細胞内伝達のための方法において、少なくとも以下の段階、a/該組成器又は器官を有効量の少なくとも1の活性コルチコステロイドと接触させる段階、及びb/段階aにおいて処理された該組織又は器官を有効量の少なくとも1の単離された裸の核酸と接触させる段階、を含み、該段階a/は5分間〜2時間の期間、実行され、直ちに段階b/が行われる上記方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞内伝達方法、より特に動物細胞への核酸の細胞内伝達を改良する方法に関する。本発明は、本発明の使用、本発明の新規な方法を実施するために有用であるキット及び組成物にもまた関する。より特に、本発明は、個体の眼球への核酸の細胞内伝達を改良するための方法に向けられる。本発明は、遺伝子治療、特に目の遺伝子治療に有用である新規な方法、使用、キット及び組成物にもまた関する。
【0002】
遺伝子治療は、細胞に核酸を効率的に伝達する能力を必要とする。
【0003】
細胞への核酸の細胞内伝達又はトランスフェクションは、典型的には細胞がコンピテントであること、即ち、その細胞膜に一時的な孔又は「穴」を有し、物質の取り込みを許すことを要求する。ある細胞は、バクテリアのように生まれつきコンピテントであるが、多くの他の細胞は、動物細胞のように、低位にコンピテントである又はコンピテントでない。
【0004】
生まれつきコンピテントである細胞は、裸の単離された核酸を取り込み得るが、低位にコンピテントである又はコンピテントでない細胞は、コンピテントにされる必要がある。例えば、目の組織の細胞、例えば網膜の細胞、RPE/脈絡膜複合体(RPE/choroid complex)又は神経上皮(neuroepithelia)は、コンピテントでない細胞であること、及び裸の核酸をトランスフェクトするのが非常に困難であることが公知である。
【0005】
これまで、コンピテントでない細胞に核酸を伝達又はトランスフェクトするためのたくさんの方法が提案されてきた。これらの技術は、化学的、生物学的、機械的、又は物理的技術として分類され得る。
【背景技術】
【0006】
先行技術において公知である化学的技術の例として、リン酸カルシウムの使用、リポソームを製造するカチオン性脂質の使用、ビロソームの使用又はポリマー、例えばポロキサミン、ポリエチレンイミン又はDEAEデキストランの使用を挙げ得る。
【0007】
生物学的技術の例として、アデノウィルスの使用を挙げ得る。
【0008】
物理的又は機械的技術の例として、熱処理(冷気への暴露)、超音波を使用する超音波穿孔法、トランスフェクトされるべき細胞又は組織への電場の印加である電気穿孔法、磁気性ナノ粒子を使用する磁気でアシストされるトランスフェクション、高度に焦点を合わされたレーザーを使用して細胞膜に穴を一時的に創設する光学的トランスフェクション、又は不活性な固体、通常は金、のナノ粒子を使用する遺伝子銃技術を挙げ得る。
【0009】
これらの技術のいくつかを組み合わせること、例えばポリマーと電気穿孔法の使用、もまた可能であり得る。
【0010】
非常に有用ではあるが、これらの技術は多くの不便さ、例えば、伝達されるべき核酸の種類又はトランスフェクトされるべき細胞の種類に従っての繊細な調整が必要であること、で損なわれる。さらに、いくつかの技術、特に化学的又は生物学的技術は、毒性効果を本質的に伴い得、又はトランスフェクトされるべき細胞を、その表現形を大幅に変形して、変え得る。その結果、これらの技術のほとんどは、ヒト又は動物の遺伝子治療において受け入れられていない。
【0011】
さらに、上記の技術のいくつかは、小さい又は新しく誕生した動物の目(小さな眼球)の組織の細胞トランスフェクションに有用であることが分かったが、大人の目の組織又はヒトの眼球のサイズの眼球においてはずっと低効率であることが分かった。
【0012】
さらに、目の特定の領域においては、目の病気及び不具合の遺伝子治療の主な問題は治療的又は予防的に有効な濃度で目に核酸を伝達することにおける困難さである。特に、炎症反応の誘発なしに目に核酸を導入することが問題であり得る。
【0013】
従って、目の中の最終分化した又は非増殖細胞、特にヒトの細胞、をトランスデュースする手段の欠如がある。
【0014】
最近、本発明者らは、国際公開第2006/123248号において、目の組織の細胞に核酸物質を伝達する新規な電気穿孔技術を提案した。非常の有用であるが、この技術は、実施するのが困難であり得、かつ特に生体内での状況の場合、実行されるのに高度な技術及び訓練を要求する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
即ち、効果的な方法を提供するための上記の試みにもかかわらず、細胞に核酸を伝達し、目の病気、特に目の中の病気、を治療するための新規なアプローチに対する長年にわたり望まれ、かつ急を要する必要性がまだある。
【0016】
使用するのに容易であり、単純であり、手軽である、裸の核酸の細胞内伝達のための新規な方法に対する需要もある。
【0017】
非コンピテント細胞、特に目の組織からの細胞、への裸の核酸の細胞内伝達を効率的に増加させ得る新規な方法への需要がある。
【0018】
インビトロ、エクスビボ、又はインビボにおける目の組織の細胞への裸の核酸の細胞内伝達を効率的に増加させ得る新規な方法への需要がある。
【0019】
大人の目の組織、特に大人の網膜の細胞への裸の核酸の細胞内伝達を効率的に増加させ得る新規な方法への需要もまたある。
【0020】
インビトロ、エクスビボ又はインビボにおける使用のための非毒性である又は低下された又は許容される毒性を有し、かつ特に炎症段階をもたらさない新規な方法に対する需要がある。
【0021】
実施するのに費用効果的である新規な方法に対する需要がある。
【0022】
本発明は、それらの需要を満たすことを目的として有する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明者らは、裸の核酸を特に目の領域に伝達するための新規な方法を今、開発した。
【0024】
従って、一つの実施態様に従うと、本発明は、動物の細胞への少なくとも1の単離された裸の核酸の細胞内伝達のための方法において、少なくとも以下の段階、
a/該動物の細胞を有効量の少なくとも1の活性コルチコステロイドと接触させる段階、及び
b/段階a/において処理された該動物の細胞を有効量の少なくとも1の単離された裸の細胞と接触させる段階、
を含み、該段階a/は5分間〜2時間の範囲の時間の期間の間、実行され、直ちに段階b/が行われる、
方法に関する。
【0025】
好ましくは、動物の細胞は、単離された動物の細胞、特に単離された生物学的組織又は器官の形で用意されたもの、であり得る。
【0026】
別の実施態様に従うと、本発明は、生物学的組織又は器官への少なくとも1の単離された裸の核酸の細胞内伝達のための方法において、該方法が少なくとも1の以下の段階:
a/該生物学的組織又は器官を有効量の少なくとも1の活性コルチコステロイドと接触させる段階、及び
b/段階a/において処理された該生物学的組織又は器官を有効量の少なくとも1の単離された裸の細胞と接触させる段階;
を含み、該段階a/は5分間〜2時間の範囲の時間の期間の間、実行され、直ちに段階b/が行われる
方法に関する。
【0027】
本発明の範囲において、表現「時間の期間の間」は、細胞、組織又は器官がコルチコステロイドと接触されている又はコルチコステロイドの存在下にある時間の長さを意味することが意図される。インビボ用途の場合、それは、治療される個体及びコルチコステロイドの薬力学性を考慮して、後者が示された時間の間、個体のターゲット細胞が、コルチコステロイドと接触されるのに適切な手段によりかつ量で投与されることを意味する。
【0028】
驚いたことに、本発明者らは実施例の部に開示されるように、裸の単離された核酸の適用の前において、5分間〜2時間、細胞又は組織、特に非コンピテント細胞又は組織、例えば目の組織、より特に網膜、RPE/脈絡膜複合体又は毛様筋、を、コルチコイド、特にトリアムシノロン、例えば酢酸トリアムシノロン又はアネコルタブ、例えばアネコルタブアセトニド、で処理することは、トランスフェクションのための化学的、生物学的、機械的又は物理的方法の使用に訴える必要なしに、非コンピテント細胞又は組織への核酸の細胞内伝達の劇的な改良をもたらすことを観察した。
【0029】
本発明者らは、裸の単離された核酸の適用の前において、5分間〜2時間、低位にコンピテントである細胞、例えば横紋筋の細胞、を、コルチコイド、特にデキサメタゾン、に暴露することが、トランスフェクションのための化学的、生物学的、機械的又は物理的方法の使用に訴える必要なしに、それらの細胞への核酸の細胞内伝達の劇的な改良をもたらすことをもまた観察した。
【0030】
細胞内遺伝子伝達のための種々の方法におけるコルチコステロイド又はグルココルチコイドの使用が記載されている。それらは、遺伝子発現を増加させるためには、米国特許第6,656,916号におけるように遺伝子伝達の段階の後に、又はパークら(Invest.Ophtalmol.Vis.Sci.2008年、第49巻、第399頁)におけるように、遺伝子のアデノウィルス伝達に関連する炎症反応を減らすための遺伝子伝達の段階の数日前に使用される。ステロイドもまた、投与に関連する炎症を減少し、かつCMVプロモーターの活性を強化して、遺伝子発現を増加させるためにアデノウィルスの投与の前に使用されることが提案された(国際公開第2008/069942号パンフレット)。グルココルチコイドもまた、遺伝子の取り込み又はポリエチレンイミン、リン酸カルシウム、アデノウィルス又はリポソームでトランスフェクトされたDNAの発現を強化するために提案された(Bernasconiら,FEBS Lett.,1997年,第419巻:第103頁;Braunら,FEBS Lett.,1999年,第454巻:第277頁;Wisemanら,遺伝子治療,2001年,第8巻:第1562頁)。
【0031】
しかし、現在まで、非コンピテント細胞又は低位にコンピテントな細胞への単離された裸の核酸のそのような伝達を強化するために、コルチコステロイド、特にグルココルチコイド、は提案されていない。
【0032】
本発明内において、表現「単離された裸の核酸」は、核酸の細胞内伝達のために使用される、合成の、生合成の、化学的な、生物学的な又は機械的な剤、例えばカチオン性ポリマー、リポソーム、アデノウィルス、又は金の粒子、と結合されていない、又は混合されていない、又はそれらを含まない核酸分子を意味することが意図される。従って、裸の核酸は、動物細胞へ入ることに有利に働くために使用されることのできる部分との相互作用がない核酸である。
【0033】
本発明内において、用語「動物」は、ヒトを含む動物界又は後世動物亜界の多細胞真核生物を意味することが意図される。
【0034】
本発明内において、表現「有効量」は、この物質に関連するある効果を達成するために必要な該物質の少なくとも最小量を意味することが意図される。
【0035】
一つの実施態様に従うと、本発明の方法は、核酸の細胞内伝達のために使用される化学的、生物学的、機械的又は物理的技術の使用を含まず、本発明に従うコルチコステロイドの使用はこれらのカテゴリーのいずれにも入らないことが意図される。
【0036】
別の実施態様に従うと、本発明の方法は、炎症プロセスを減少させること又はコルチコステロイドにより誘発される薬学的反応を通じて遺伝子発現を活性化することを含まない。
【0037】
別の実施態様に従うと、本発明の方法は、CMVプロモーターの活性を強化することを含まない。
【0038】
別の実施態様に従うと、本発明は、特に遺伝子治療のための、動物の細胞に単離された裸の少なくとも1の核酸の細胞内伝達のためのキットにおいて、
a/少なくとも1のコルチコステロイド、
b/少なくとも1の単離された裸の細胞、及び
c/5分間〜2時間、該コルチコステロイドで該動物を処理する第一段階、及び、該処理された動物の細胞を該単離された裸の核酸と接触させる第二段階、該第二段階は、該第一段階の直後に行われる、を含む少なくとも1の指示
を含む該キットにもまた関する。
【0039】
別の実施態様に従うと、本発明は、特に遺伝子治療のための、単離された裸の核酸の個体への細胞内伝達を促進するための活性成分としての医薬品組成物の製造のために少なくとも1のコルチコステロイドを使用する方法において、該医薬品組成物は、該個体に該単離された裸の核酸を投与する5分間〜2時間前に、該個体に投与されることを意図されている該方法にもまた関する。
【0040】
別の実施態様に従うと、本発明は、特に遺伝子治療のための、単離された裸の核酸の個体への細胞内伝達を促進するための活性成分としての医薬品組成物におけるコルチコステロイドであって、該医薬品組成物は、該個体に該単離された裸の核酸を投与する5分〜2時間前に、該個体に投与されることを意図されているところの、該コルチコステロイドに関する。
【0041】
その利点の一つに従うと、本発明は、非コンピテント又は低位にコンピテントな細胞への単離された裸の核酸の細胞内伝達を改良するための、新規であり、効率的であり、かつ使用するのが容易である方法を提供する。
【0042】
本発明内において、生物学的組織若しくは器官化又は動物細胞に関する、表現「非コンピテント」又は「低位にコンピテント」は、それらの組織又は細胞が、トランスフェクトされることができない又はインビトロ、エクスビボ、又はインビボで核酸をトランスフェクトするために通常、実施されるトランスフェクションのための化学的、生物学的、機械的、又は物理的方法に訴えることなしでは、十分な収率でトランスフェクトされることができないことを意味することを意図する。
【0043】
その別の利点に従うと、本発明は、非コンピテント又は低位にコンピテントな細胞への単離された裸の核酸の細胞内伝達を改良するための費用効果的な方法をもまた提供する。
【0044】
その別の利点に従うと、本発明の方法は、獣医学又は医学の業務において周知かつ受け入れられているコルチコステロイド、特にグルココルチコイド、を用い得る。
【0045】
その別の利点に従うと、本発明の方法は、全く毒性がない又は弱い毒性があり得るか又は核酸の細胞内伝達のための化学的、生物学的、機械的又は物理的補助処理の使用を必要とする方法と比較して、副作用が全くない又は獣医学又は医学の業務においてよく受け入れられている副作用と関連づけられ得る。
【0046】
方法
本発明に従う方法は、少なくとも1の動物細胞、特に単離された動物細胞、又は1の生物学的組織、特に1の単離された生物学的組織、を、有効量の少なくとも1のコルチコステロイドと接触させる少なくとも1の第一段階a/を含む。
【0047】
好ましい実施態様において、トランスフェクトされるべき動物細胞は、生物学的組織又は器官の形で用意され得る。
【0048】
一つの実施態様に従うと、段階a/の時間の期間は、10〜90分、特に10〜60分、特に15〜45分、より特に15〜30分の範囲であり得る。
【0049】
ただちに、さらに段階a/に、該動物の細胞又は生物学的組織を、有効量の少なくとも1の単離された裸の核酸と接触させる第二の段階b/が実行される。
【0050】
本発明内において、段階a/及び段階b/に関する用語「直ちに」は、段階a/が完了すると段階b/が、なんらの中間段階なしに行われることを意味することが意図される。当業者は、段階a/と階b/との間に、動物細胞又は生物学的組織が、時間の経過及び/又は追加の中間段階として理解されない段階b/を実行するために必要とされるある量の操作に付され得ることを当然、理解する。
【0051】
段階a/又はb/において、接触の段階は、当該技術において公知である任意の適切な方法に従って実行され得る。
【0052】
例えば、トランスフェクトされる細胞又は組織が培養プレート上にあるとき、接触の段階は、コルチコステロイドを含む第一の溶液の該細胞又は組織への施与、それから、第一の溶液を洗浄し又はしないで、核酸を含む第二の溶液の施与により実行され得る。
【0053】
トランスフェクトされる細胞又は組織が動物、例えばヒト、の体の一部、特にヒトの目であるとき、接触の段階は、例えばコルチコステロイドを含む第一の溶液を該細胞又は組織を含む該動物の体の一部に注射し、それから、核酸を含む第二の溶液を例えば注射することにより接触させることにより実行され得る。
【0054】
一つの実施態様に従うと、処理される動物の細胞又は生物学的組織が目にあるときには、コルチコステロイド及び核酸は、経結膜的な、経強膜的な、経角膜的な、眼球内的な(好ましくは、手術中に)又は内視鏡的な経路により投与され得る。
【0055】
投与は、硝子体切除の間に行われ得る。
【0056】
投与は、注射、特に唯一の注射サイト又は複数の注射サイト、により行われ得る。
【0057】
注射は、当該技術において任意の公知の方法及びデバイスを使用して行われ得る。特に、注射は、マイクロファインシリンジ、特に30Gの針100μmのマイクロファインシリンジを使用して、目において行われ得る。
【0058】
別の実施態様に従うと、目の組織と接触させる段階は、コルチコステロイド及び核酸を目の表面の上に噴霧又は点滴することによっても行われ得る。
【0059】
別の実施態様に従うと、接触の段階は、経口投与、粘膜投与、例えば鼻又は直腸投与、又は皮膚の上へのコルチコステロイド及び核酸の施与による局所投与により行われ得る。
【0060】
本発明の別の面は、機能的に不足している内因性の遺伝子を置換するための(若しくは代わりに作用するための)又は正すための、ホストに治療ポリペプチドを生産する能力を与えるための、所望されない遺伝子生成物の抑制を起こすための、又は免疫反応を刺激するための方法、特に遺伝子治療のための方法に関する。
【0061】
別の実施態様においては、本発明は、例えば病気、特に目の病気を研究するため又は該病気を治療することのできる化合物をスクリーニングするためのモデルとして機能し得る細胞、組織、器官、又は動物を得るための、細胞、特に眼細胞、への核酸の伝達に関する。
【0062】
上記の方法、治療的又は予防的な方法の恩恵を受ける(beneficiate)個体は、任意の動物、特に任意の哺乳類、好ましくは、任意の病気、例えば目の病気又は目の疾患を患っている又は患い得る個体であり得、該個体は核酸での処理から恩恵を受け得る。
【0063】
即ち、本発明は、種々の病気、特に目の病気又は目の損傷、目の炎症性の病気、貧血症、増殖性の病気(例えば新血管形成又はグリアの病気)、神経変性の病気及び緑内障を含むがそれらに限定されない病気を予防する又は治療するための、本発明の方法の使用に関する。
【0064】
本発明のさらなる目的は、目の組織又は細胞において、タンパク質、特に個体の目の組織又は細胞において治療的又は予防的なタンパク質、を製造する方法において、該タンパク質をエンコードしている核酸を該目の組織又は細胞に投与することを含み、該核酸は、少なくとも以下の段階、
a/該目の組織又は細胞を有効量の少なくとも1の活性コルチコステロイドと接触させる段階、及び
b/段階a/において処理された該目の組織又は細胞を、該タンパク質をエンコードしている、有効量の少なくとも1の単離された裸の核酸と接触させる段階、
該段階a/は5分間〜2時間、実行され、直ちに段階b/が行われ、
該タンパク質が発現される、
を含む方法に従って目の組織又は細胞に伝達される、該方法である。
【0065】
一つの実施態様に従うと、該目の組織又は細胞は単離された組織又は細胞である。
【0066】
本発明は、個体の目に核酸を投与することを含む、目の病気又は目の損傷に対して、個体を守る方法において、該核酸は、少なくとも以下の段階、
a/該目の組織又は細胞を有効量の少なくとも1の活性コルチコステロイドと接触させる段階、及び
b/段階a/において処理された該目の組織又は細胞を、有効量の少なくとも1の単離された裸の核酸と接触させる段階;
該段階a/は5分間〜2時間、実行され、直ちに段階b/が行われ、目を目の病気から保護する、
を含む方法に従って、該目の組織又は該目の細胞に伝達される、該方法にもまた関する。
【0067】
本発明のさらに別の特徴は、個体の目に核酸を投与することを含む、個体を冒す目の病気又は目の損傷を治療する方法において、該核酸が少なくとも以下の段階、
a/該目の組織又は細胞を有効量の少なくとも1の活性コルチコステロイドと接触させる段階、及び
b/段階a/において処理された該目の組織又は細胞を、有効量の少なくとも1の単離された裸の核酸と接触させる段階、
該段階a/は5分間〜2時間、実行され、直ちに段階b/が行われる、
を含む方法に従って目の組織又は目の細胞へ伝達される、該方法である。
【0068】
生物学的組織及び動物の細胞
特定の実施態様に従うと、本発明に適する、動物の細胞又は生物学的組織は、非コンピテント細胞又は組織又は低位にコンピテントな細胞又は組織であり得る。
【0069】
特に、本発明において考慮される動物の細胞又は生物学的組織は、非コンピテントな細胞又は組織であり得る。
【0070】
一つの実施態様に従うと、トランスフェクトされるべき生物学的組織又は器官は、好ましくは非コンピテント細胞を含む。
【0071】
非コンピテント又は低位にコンピテントな細胞又は組織の例として、目の組織、網膜細胞、RPE/脈絡膜複合体細胞、毛様筋細胞、角膜細胞、ニューロン細胞、特に大人の動物からのもの、を挙げ得る。
【0072】
好ましい実施態様に従うと、本発明に適する動物細胞は、平滑筋細胞、特に毛様筋細胞、横毛筋細胞、網膜細胞、RPE/脈絡膜複合体細胞、ニューロン細胞、皮膚上皮細胞、真皮細胞、血管内皮細胞、角膜内皮細胞、角膜上皮細胞、グリアの網膜細胞、光受容体細胞、ケラトサイト、及び上皮肺細胞からなる群から選択され得る。
【0073】
別の好ましい実施態様に従うと、本発明に適する生物学的組織は、平滑筋組織、特に毛様筋、横毛筋、網膜組織、RPE/脈絡膜複合体組織、脳組織、皮膚上皮組織、真皮組織、血管内皮、角膜内皮、角膜上皮、グリアの網膜組織、光受容体組織、ケラトサイトを含む組織、及び上皮肺組織からなる群から選択され得る。
【0074】
好ましい実施態様に従うと、本発明に適する動物細胞は、平滑筋細胞、特に毛様筋細胞、網膜脂肪、RPE/脈絡膜複合体細胞、角膜内皮細胞、角膜上皮細胞、グリアの網膜細胞、及び光受容体細胞からなる群から選択され得る。
【0075】
より好ましい実施態様に従うと、本発明に適する動物細胞は、平滑筋細胞、特に毛様筋細胞、網膜細胞、及びRPE/脈絡膜複合体細胞からなる群から選択され得る。
【0076】
好ましい実施態様に従うと、本発明に適する動物細胞は、分化した、非増殖細胞、より特に大人の動物からの細胞であり得る。
【0077】
別の好ましい実施態様に従うと、本発明に適する生物学的組織又は器官は、平滑筋、特に毛様筋、網膜組織、RPE/脈絡膜複合体組織、角膜内皮、角膜上皮、グリアの角膜組織、又は光受容体組織からなる群から選択され得る。
【0078】
一つの実施態様に従うと、上で説明したように、本発明はインビトロ、エクスビボ、又はインビボで実施され得る。
【0079】
本発明に適する動物の細胞又は生物学的組織は、本発明の方法に従ってインビトロ又はインビボで処理された細胞から採取され、次にそれらが採取されたところの動物に戻されるか又は別の組織適合動物にトンランスフェクトされてもよい。
【0080】
本発明の好ましい実施態様に従うと、任意の眼細胞、特に網膜細胞、RPE/脈絡膜複合体細胞、毛様体組織からの又は外眼筋からの細胞が、動物から採取され、成長され若しくは細胞培養においてではなく(grown or not in cell culture)、本発明に従うエクスビボの核酸伝達に付され、展開され又は数においてではなく(expanded or not in number)、次に該動物に又は別の動物又は別の組織適合動物に再移植され得る。
【0081】
別の実施態様に従うと、動物細胞又は生物学的組織は、本発明に従ってインビボで処理され得る。
【0082】
インビトロ、エクスビボで又はインビボで本発明に従って処理され得る動物の例として、ヒト、任意の家畜例えば犬又は猫、又は任意の経済的価値のある動物、例えば家畜、魚、家禽、又は研究で使用する物例えばラット、マウス又は類人猿を挙げ得る。
【0083】
一つの実施態様に従うと、本発明において考慮される動物は、ヒト、特に目の病気を患っているヒトであり得る。
【0084】
コルチコステロイド
コルチコステロイドは、副腎皮質において製造されるステロイドホルモンの種類であり、化学構造に基づいて、一般的に4つの種類に分類される。
【0085】
本発明に従って使用され得るコルチコステロイドとして、医療業、獣医業又は実験的実施における使用に適する任意のコルチコステロイド又はその誘導体、特に疎水性コルチコステロイドを挙げ得る。
【0086】
好ましい実施態様に従って、本発明に有用であるコルチコステロイドは、特にグルココルチコイド、より特に合成グルココルチコイドであり得る。
【0087】
本発明において、本発明のコルチコステロイドに関する用語「誘導体」は、該エステルの、生理学的又は薬学的に許容される塩又はエステル、特にその使用が獣医学業又は医学業において正当性が認められている塩又はエステルを意味する。
【0088】
本発明内において使用され得るコルチコステロイドの塩として、酸又は塩基基の添加により得られる、任意の薬学的に許容可能なもの、例えば酸基の場合、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、リン酸ナトリウム、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酸性酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマール酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、蟻酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩又はパモ酸塩(即ち、l,l’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフト酸塩))、パルミチン酸塩、又は塩基基の場合、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛及びジエタノールアミンを挙げ得る。
【0089】
特に、本発明のために有用であるコルチコステロイドの塩として、コルチコステロイドのリン酸ナトリウム塩を挙げ得る。
【0090】
本発明内において使用され得るコルチコステロイドのエステルとして、C〜C、特にC〜Cのカルボン酸とのコルチコステロイドのエステル、特に酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、ピバリン酸エステル、ジプロピオン酸エステル、吉草酸エステル、カプロン酸エステル又はアセトニドを挙げ得る。
【0091】
本発明にとって有用であり得るコルチコステロイドの中で、ハイドロコルチゾン、コルチゾン、チクソコルトール、コルチコステロン、プレドニソロン、プレドニソン、トリアムシノロン、モメタソン、アムシノニド、ブデソニド、デソニド、フルオシノニド、フルオシノロン、ハルシノニド、ベタメタゾン、デキサメタゾン、アクロメタゾン、プレドニカルベート、クロベタソン、クロベタソール、フルオコルトロン、フルプレドニデン、フルオメトロン、アネコルタブ、それらの誘導体、及びそれらの混合物を挙げ得る。
【0092】
本発明にとって有用であるコルチコステロイドの誘導体の例として、酢酸ハイドロコルチゾン、ハイドロコルチゾン−17−ブチレート、ハイドロコルチゾン−17−バレレート、酢酸コルチゾン、ピバリン酸チクソコルトール、メチルプレドニソロン、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド、ベタメタゾンリン酸ナトリウム、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、デキサメタゾンリン酸ナトリウム、ジプロピオン酸アクロメタゾン、クロベタゾン−17−ブチレート、クロベタゾール−17−プロピオネート、カプロン酸フルオコルトロン、ピバリン酸フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン、酢酸アネコルタブ、及びそれらの混合物を挙げ得る。
【0093】
特定の実施態様に従うと、本発明に有用な生物学的組織又は器官は、平滑筋、特に毛様筋、網膜組織、RPE/脈絡膜複合体組織からなる群から選択され、コルチコステロイドは、トリアムシノロン、アネコルタブ、それらの誘導体、特にトリアムシノロンアセトニド又は酢酸アネコルタブ及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0094】
特定の実施態様に従うと、本発明に適するコルチコステロイドは、コルチコステロン、プレドニソロン、トリアムシノロン、特にトリアムシノロンアセトニド、フルオシノロン、デキサメタゾン特にデキサメタゾンリン酸ナトリウム、フルオメトロン、アネコルタブ特に酢酸アネコルタブ、それらの誘導体及びそれらの混合物から選択され得る。
【0095】
特定の実施態様に従うと、本発明に適する生物学的組織又は器官は、横毛筋であり得、コルチコステロイドは、デキサメタゾン及びその誘導体からなる群から選択され、特にデキサメタゾンリン酸ナトリウムである。
【0096】
好ましい実施態様に従うと、本発明に適するコルチコステロイドは、トリアムシノロン、アネコルタブ、それらの誘導体、特にトリアムシノロンアセトニド又は酢酸アネコルタブ、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0097】
特定の実施態様に従うと、本発明に適する動物細胞は、平滑筋細胞特に毛様筋細胞、網膜細胞、RPE/脈絡膜複合体細胞からなる群から選択され得、コルチコステロイドは、トリアムシノロン、アネコルタブ、それらの誘導体、特にトリアムシノロンアセトニド又は酢酸アネコルタブ、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0098】
別の特定の実施態様に従うと、本発明に適する動物細胞は、横毛筋細胞であり得、コルチコステロイドは、デキサメタゾン及びその誘導体特にデキサメタゾンリン酸ナトリウムからなる群から選択され得る。
【0099】
本発明内において使用されるコルチコステロイドの投与レベルは、核酸の所望される細胞内伝達を得るために有効である活性成分の量を得るように適合され得る。
【0100】
具体的な投与レベルは、種々の因子例えば細胞、組織又は処置される個体のタイプに依存することが理解されるべきである。
【0101】
個体に関しては、具体的な投与レベルは、種々のパラメーター、例えば体重、一般的な健康、性別、食べ物、時、吸収及び排出の速度、他の薬品との組み合わせ、治療される病気の重症度に依存する。
【0102】
それらの因子すべて及びパラメーターは、当業者に周知であり、コルチコステロイドの特定の必要とされる具体的な投与レベルは、日常的な試行錯誤により決定され得る。
【0103】
一つの実施態様に従うと、コルチコステロイドは、本発明に従ってインビトロ又はエクスビボで、1ng/ml〜20mg/ml、特に1μg/ml〜10mg/ml、より特に0.5mg/ml〜5mg/mlの範囲の有効量で使用され得る。
【0104】
一つの実施態様に従うと、コルチコステロイドは、本発明に従ってインビボで、1ng/kg〜100mg/kg、特に100μg/kg〜50mg/kg、より特に0.5mg/kg〜5mg/kgの範囲の有効量で使用され得る。
【0105】
核酸
本発明において使用される核酸は、関心のある、即ち生物学的性質を示す任意の核酸であり得る。
【0106】
核酸は、デオキシリボ核酸(DNA)分子、例えばcDNA,gDNA,合成DNA、人工DNA,組み換えDNA等、又はリボ核酸(RNA)分子、例えばmRNA,tRNA,iRNA,siRNA,miRNA,shRNA、触媒的RNA,アンチセンスRNA,ウィルスRNA,及びペプチド核酸、及びそれらの混合物であり得る。
【0107】
核酸は、単鎖の又は複数鎖の核酸であり得、好ましくは二重鎖の核酸である。
【0108】
本発明のために適する核酸は、ハイブリッド配列又は合成若しくは半合成配列を含み得る。それは、当業者に公知の任意の技術により、特にスクリーニングライブラリーにより、化学合成により、又は生合成起源から、又はウィルスから又は真核性若しくは原核性の生物から抽出され、又はスクリーニングライブラリーにより得られた配列の化学的又は酵素的修飾を含む混合法により得られ得る。
【0109】
一つの実施態様に従うと、本発明のために有用な核酸は、動物細胞への遺伝子の発現のために適する任意の要素、例えば制御要素、例えばプロモーター領域、恒常的な(constitutive)、制御された、誘導可能な、又は組織特異的なもの、転写停止シグナル、分泌配列、複写の起源又は核内局在シグナル配列(nuclear localization signal sequence)を含み得る。
【0110】
好ましい実施態様に従うと、本発明のために有用な核酸は、動物の目、特にヒトの目、への遺伝子の発現のために適する任意の要素、例えば、毛様体組織又は細胞において、外眼筋若しくは細胞において、網膜細胞において、又はRPE/脈絡膜複合体細胞において、発現を許す及び/又は促進する配列を含み得る。
【0111】
さらに、本発明のために有用な核酸は、核酸の転写の結果(どの組織への転移、発現の継続時間(duration)等)を選択し、測定し、及び監視することにおいて有用である選択可能なマーカーを含み得る。発現のシステムのタイプ及び本発明における使用のために使用又は適合され得るレポーター遺伝子は、当該技術において周知であり、実施例において記載されるように、ルシフェラーゼの活性、β−ガラクトシダーゼ活性又は緑の蛍光タンパク質活性をコードしている遺伝子であり得る。
【0112】
本発明に従う核酸は、任意のサイズの任意のヌクレオチド配列を含み得る。即ち、核酸は、10,20,30,40又は50〜100,200,300,400又は500の塩基を有する単純なオリゴヌクレオチドから600,700,800,900,1000〜10000,20000,30000、100000、1000,000又は100000000又は1000000000の塩基を有する大きな分子、例えばエクソン及び/又はイントロン及び/又は任意のサイズの制御要素(小さいもの又は大きいもの)、任意のサイズの遺伝子、例えば大きなサイズのもの、又は例えば染色体、まで、サイズにおいて変動し得、プラスミド、エピソーム、ウィルスのゲノム、ファージ、酵母人工染色体、ミニ染色体又はアンチセンス分子であり得る。
【0113】
特に好ましい実施態様において、ポリヌクレオチドは、生物学的活性を有するものをエンコードする、二重鎖、環状DNA、例えばプラスミド、である。
【0114】
核酸は、任意の慣用の組み換えDNA技術、例えば増幅、原核生物又は真核性のホスト細胞における培養、精製等、に従って製造及び生産され得る。組み換えDNA技術のテクニックは、当業者に周知である。組み換え分子のクローニング及び発現のための一般的な方法は、Maniatisら(分子クローニング、コールドスプリングハーバー研究所、1982年)において記載されている。
【0115】
一つの実施態様に従うと、本発明に有用な核酸は、天然、切り取られた(truncated)、人工の、キメラの、又は組み換えの生物学的に活性な物質をエンコードする任意の核酸であり得る。
【0116】
生物学的に活性な好ましい物質は、任意の、目のための活性物質、即ち眼細胞に有利な効果を発揮できる物質であり得る。それは、内因性の物質の欠乏を補う、又は過剰な内因性物質を減少させることのできる物質であり得る。あるいは、それは細胞に新たな性質を与える物質であり得る。それは、眼細胞の機能、形態、活性及び/又は代謝に影響を与えることのできる、例えばアンチセンス配列又はペプチドであり得る。
【0117】
本発明に適する核酸の中には、生物学的に活性なポリペプチド又はタンパク質、例えば酵素、血液誘導体、ホルモン、リンホカイン、サイトカイン、ケモカイン、抗炎症性因子、成長因子、栄養因子、神経栄養因子、造血因子、血管由来因子、アンチ血管因子、メタロプロテイナーゼの阻害剤、アポトーシスの調節遺伝子、凝固因子、それらのレセプター特に可溶性レセプター、レセプター又は接着タンパク質のアゴニスト又はアンタゴニストであるペプチド、抗原、抗体、それらのフラグメント及び/又は誘導体、及び細胞の他の本質的な成分をエンコードする核酸がある。
【0118】
種々の網膜由来の神経栄養因子は、分解する光受容体細胞を救出する能力を有し、本発明に従う方法を通して伝達され得る。好ましい生物学的活性剤は、VEGF、アンギオゲニン、アンギオポイエチン−1、DeM、酸性又は塩基性の線維芽細胞成長因子(aFGF及びbFGF)、FGF−2,フォリスタチン,顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF),ヘパトサイト成長因子(HGF),散乱係数(SF),レプチン,ミッドカイン,胎盤成長因子(PGF),血小板由来内皮細胞増殖因子(PD−ECGF)、血小板由来成長因子―BB(PDGF−BB),プレイオトロフィン(PTN)、プログラヌリン、プロライフェリン、形質転換成長因子−アルファ(TGF−アルファ)、形質転換成長因子−ベータ(TFG−ベータ)、腫瘍壊死因子−アルファ(TNF−アルファ)、血管内皮成長因子(VEGF)、血管透過性因子(VPF),CNTF,BDNF,GDNF,PEDF,NT3,BFGF,アンギオポイエチン、エフリン、EPO,NGF,IGF,GMF,aFGF,NT5,Gax,成長ホルモン、アルファ−1−アンチトリプシン、カルシトニン、レプチン、アポリポプロテイン、ビタミンの生合成のための酵素、ホルモン若しくはニューロメディエイター、ケモカイン、サイトカイン、例えばIL−1,IL−8,IL−10,IL−12,IL−13,これらの受容体、該受容体のいずれかをブロックする抗体、TIMP例えばTIMP−1,TIMP−2,TIMP−3,TIMP−4,アンギオアレスチン、エンドスタチン例えばエンドスタチンXVIII及びエンドスタチンXV、ATF,アンギオスタチン、エンドスタチン及びアンギオスタチンの融合タンパク、マトリックスメタロプロテイナーゼ−2のC−末端ヘモペクシンドメイン、ヒトプラスミノゲンのクリングル5ドメイン、ヒトプラスミノゲンのエンドスタチンとクリングル5ドメインとの融合タンパク、胎盤リボヌクレアーゼインヒビター、プラスミノゲンアクティベーターインヒビター,血小板因子−4(PF4),プロラクチンフラグメント、プロライフェリン関連タンパク質(PRP),アンチアンギオジェニック・アンチスロンビンIII,軟骨由来のインヒビター(CDI),CD59補体フラグメント,バスキュロスタチン,バスソタチン(カルレチクリン・フラグメント),スロンボスポンジン,フィブロネクチン、特にフィブロネクチン・フラグメント・グロ−ベータ、ヘパリナーゼ、ヒト染色体のゴナドトロピン(hCG),インターフェロンアルファ/ベータ/ガンマ、インターフェロン誘導タンパク質(IP−10),インターフェロンガンマにより誘導されたモノカイン(Mig),インターフェロン−アルファ誘導タンパク質10(IP10),Mig及びIP10の融合タンパク質,可溶性Fms−様チロシンキナーゼ1(FLT−1)受容体、キナーゼ・インサート・ドメイン受容体(KDR),アポトーシスの制御因子例えばBcl−2,Bad,Bak,Bax,Bik,Bcl−Xショートアイソフォーム及びGax,それらのフラグメント又は誘導体などから選択され得る。
【0119】
一つの実施態様に従うと、本発明に有用な核酸は、遺伝子発現を下向き調節するためのアンチセンス核酸であり得る。本発明のアンチセンス核酸は、内因性の目の活性物質又は対応するメッセンジャーRNAをエンコードする核酸と特異的にハイブリッドすることのできる核酸フラグメントであり得る。これらのアンチセンス核酸は、合成のオリゴヌクレオチドであり得るが、その安定性及び選択性を改善するために修飾されていてもよい。アンチセンス核酸は、細胞にけるその発現が、例えば内因性の目の活性物質をエンコードするmRNAの全部または一部に対して相補的であるmRNAを製造するDNA配列であってもよい。アンチセンス核酸は、内因性の目の活性物質をエンコードする核酸の全部又は一部の発現により反対方向に製造され得る。アンチセンスの長さは、内因性の目の活性物質の発現を下方制御又はブロックすることができるならば、任意の長さが本発明の実施において適切である。好ましくは、アンチセンスの配列は長さにおいて少なくとも20のヌクレオチドであり得る。
【0120】
実施態様に従うと、本発明のために適切な、単離された裸の核酸は、cDNA,gDNA,合成DNA,人工DNA,組み換えDNA,mRNA,tRNA,siRNA,miRNA,shRNA,触媒RNA,アンチセンスRNA,ウィルスRNA,又はペプチド核酸及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0121】
キット
本発明は、動物の細胞への、特に遺伝子治療のための、少なくとも1の単離された裸の核酸の細胞内伝達のためのキットにおいて、
a/少なくとも1のコルチコステロイド、
b/少なくとも1の単離された裸の核酸、及び
c/5分間〜2時間、該コルチコステロイドで該動物の細胞を処理する第一段階、及び、該処理された動物の細胞を該単離された裸の核酸と接触させる第二段階、該第二段階は、該第一段階の直後に行われる、を含む少なくとも1の指示、
を含む上記キットにもまた関する。
【0122】
指示は、書面、動画又は音声の形であってもよく、又は紙、電子媒体に含まれていてもよく、又は別の源、例えばウェブサイト又は参照マニュアル、への参照としてでさえされていてもよい。
【0123】
キット内において、成分は別々に梱包されている又は含まれていてもよい。
【0124】
他の成分、例えば添加剤、キャリア−、他の医薬品または補助剤、及び投与又は注射デバイスもまたキットに供給されていてもよい。
【0125】
特定の実施態様に従うと、本発明に適する指示は、該コルチコステロイドで処理されるのに適する動物の細胞のリストをさらに言及していてもよい。
【0126】
好ましい実施態様に従うと、挙げられ得る細胞は目の組織からの細胞、より特に上記したものであり得る。
【0127】
一つの実施態様に従うと、本発明のキットは、目の病気を予防する又は治療するためのキットであり得る。
【0128】
使用及び組成物
本発明は、個体において、特に遺伝子治療のために、単離された裸の核酸の細胞内伝達を促進するための活性剤として、医薬品組成物の製造のために少なくとも1のコルチコステロイドを使用することにもまた関する。
【0129】
本発明は、個体において、特に遺伝子治療のために、単離された裸の核酸の細胞内伝達を促進するための活性剤としての医薬品組成物におけるコルチコステロイドにおいて、該医薬品組成物は単離された裸の核酸を個体に投与する5分間〜2時間前に、該個体に投与されることを意図されている該コルチコステロイドに関する。
【0130】
本発明の組成物は、目の病気の治療又は予防のために有用であり得る。
【0131】
本発明の意味内において、用語「予防すること」「予防する」又は「予防」は、ある事象の発生のリスクの減少を意味することが意図される。本発明においてより特に考慮されるある事象は、目の病気であり得る。
【0132】
本発明の組成物は、任意の薬学的に両立する又は生理学的に許容されるキャリアー、添加剤又は希釈剤、好ましくは無菌のもの、を含み得、特に中性から少し酸性の、等張性の、緩衝食塩水、水性又は油性の溶液又は懸濁物、より特にショ糖、トレハロース、界面活性剤、タンパク質及びアミノ酸から選択され得る。
【0133】
薬学的に両立する又は生理学的に許容されるキャリアー、添加剤又は希釈剤、は、適切な分散、湿潤化、懸濁化、鎮静化、等張性又は粘度形成剤、安定化剤、保存剤、及び適切な緩衝剤を使用して配合されて、等張性溶液を形成し得る。
【0134】
本発明に適する核酸は、核酸が裸の形であるなら、当該技術において公知の組成物の任意の形で製造され得る。
【0135】
好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、眼への投与のために意図され得る。
【0136】
一つの実施態様に従うと、単純な水溶液の粘度より高い粘度を有する組成物が、例えば目の吸収を増加させるために、該配合物を分配するときの変動を減らすために、懸濁物又はエマルションの成分の物理的分離を減少させるために、及び/又はさもなければ目のフォミュレーションを改良するために、所望される。本発明に有用な粘度構築剤は、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース又は当業者に公知の他の剤を含み得る。そのような剤は、典型的には、約0.01〜約2重量%のレベルにおいて使用される。
【0137】
一つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物又は方法は、目の病気及び不具合を予防する及び/又は治療することを意図され得る。
【0138】
本発明において考慮され得る目の病気及び不具合の例として、目の増殖性の病気、目の神経変性の病気、例えば任意のタイプの阻害された網膜のジストロフィー、目の感染症、目又は眼内の炎症の病気、例えば結膜炎、角膜炎、内皮炎、ぶどう膜炎、脈絡膜炎、網膜炎、網脈絡膜炎、前部及び中間部ぶどう膜炎、及び炎症性の目のニューロパシー、網膜退化、特に遺伝的な網膜のジストロフィー又は網膜色素変性、周辺網膜退化、黄斑退化、例えば乾燥した年齢に関連する黄斑退化、局部貧血及び新血管形成増殖病、例えば網膜症、特に未熟児の網膜症及び糖尿病性の網膜症、網膜の血管の病気、目の局部貧血症、及び他の血管の異状,年齢に関係する黄斑退化を伴う黄斑浮腫、糖尿病性の網膜症,目の中の炎症又は網膜のジストロフィー、脈絡膜の異常及び腫瘍、硝子体の異常,グリアの増殖、例えば増殖性の硝子体の網膜症、及びグリアの増殖例えば増殖性の硝子体の網膜症及び糖尿病性の前網膜の血管形成に関連するグリアの増殖、血管形成,緑内障,開放隅角緑内障,新血管の緑内障,網膜前膜ともまた呼ばれる黄斑ひだ,網膜の皺,前黄斑線維,及びセロハン黄斑障害等を挙げ得る。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】プラスミド及び分析された化学剤の硝子体内(IVT)注射(図IA)又はプラスミドの硝子体内エレクトロトランスファー(ET)(図IB及びIC)のためにそれぞれ使用されたデバイスを示す。 IVT注射は、300μmのマイクロファインシリンジ(参照番号320837,0.3mL,U−100,BD)上で30Gの針を使用して行われた。 硝子体内のETは、イリジウム/プラチナ(10/90)電極を使用して行われた。カソードは、眼球に嵌るように貝殻のようにキャストされ、目の下に置かれた。アノードは、ハーフリムの形であり、目の上側部分と接触に置かれた。エレクトロトランスファー発生器は、各80V及び20ミリ秒の持続時間(5Hz)の8つの断続的なパルスを送るようにセットされた(パルス間隔は80ミリ秒)。
【図2】プラスミドpVAX2−Luc(0.45%NaClの10μl中の30μg)のIVT注射の30分前に、20mg/mlにおけるコルチコステロイドの薬学的特殊品KENACORT(商標)(活性剤としてのトリアムシノロンアセトニド(TA)及び添加剤としてのポリソルベート80)、2.5mg/mlにおけるインドシアニングリーン、又は0.2mg/mlにおけるポリソルベート80の10μlをIVT前注射し、プラスミドのIVT注射直後に、ガス注射又はETの適用[8×(80V;20ミリ秒;5Hz)],又は両者の組み合わせが行われたときの、神経網膜(図2A)及びRPE脈絡膜複合体(図2B)における裸のプラスミドの細胞内伝達及び遺伝子の発現を示す。発光は、カウント/秒(CPS)で表わされる。結果は、4つの独立した実験の平均±semとして表わされる。
【図3】裸のプラスミドpVAX2−Luc(0.45%NaClの10μl中の10μg)のみを若しくは20mg/mlにおけるKENACORT(商標)の10μlと同時にIVT注射する、又は該プラスミドのみのIVT注射の30分前にKENACORT(商標)のIVT前注射が先行される、又は該プラスミドのみのIVT注射の直後にETの適用[8×(80V;20ミリ秒;5Hz)]が行われる、又はKENACORT(商標)のIVT前注射が先行され続いてETの適用が行われたときの、神経網膜(図3A)及びRPE−脈絡膜複合体(図3B)における該裸のプラスミドの細胞内伝達及び遺伝子の発現を示す。発光は、カウント/秒(CPS)で表わされる。結果は、6つの独立した実験の平均±semとして表わされる。
【図4】プラスミドpEGFPCl(0.45%NaClの10μl中の10μg)のみのIVT注射の前30分に20mg/mlにおいてKENACORT(商標)の10μlのIVT前注射が先行された、裸のプラスミドのIVT注射、又は裸のプラスミドのIVT注射の直後にETの適用[8×(80V;20ミリ秒;5Hz)]が行われたときの、該裸のプラスミドの網膜(retina)及び虹彩(iris)における細胞内伝達及び遺伝子の発現を示す。蛍光顕微鏡(ライカ、スイス)で写真が取得され、数値のマイクロ写真はトランスフェクション後7日目に全てのセクションについて一定の露出時間で撮影された。画像は2回繰り返された実験の代表である。
【図5】裸のプラスミドpVAX2−hTNFR/mIgG 1(0.45%NaClの10μl中の30μg)の筋肉内注射の前60分における、20mg/ml(10μl)における、デキサメタゾン(DEX),トリアムシノロンアセトニド(TA)又はKENACORT(商標)の筋肉内前注射の、平滑筋、毛様筋における裸のプラスミドの細胞内伝達及び遺伝子の発現を示す。コルチコステロイドの前注射が先行せずに、プラスミドの筋肉内注射直後に適用されたETが、対照として行われる。発光は、カウント/秒(CPS)で表わされる。結果は、4つの独立した実験の平均±semとして表わされる。
【図6】裸のプラスミドの平滑筋、毛様筋への細胞内伝達及び次の、目の媒体における遺伝子の発現を示す。20mg/ml(10μl)におけるトリアムシノロンアセトニド(TA)又は酢酸アネコルタブの筋肉内前注射は、裸のプラスミドpGLuc(0.45%NaClの10μl中の15μg)の筋肉内注射の前、45分に、実行された。トランスフェクションなし又はコルチコステロイドの代わりの水が対照として使用された。発光は、カウント/秒(CPS)で表わされる。結果は、4〜6の独立した実験の平均±semとして表わされる。
【図7】裸のプラスミドpVAXl−LacZ(0.45%NaClの100μl中の100μg)の筋肉内注射の前15〜30分に、20mg/ml(100μl)におけるデキサメタゾン(DEX)又はトリアムシノロンアセトニド(TA)の筋肉内前注射の、横毛筋、ラットの前脛骨筋における裸のプラスミドの細胞内伝達及び遺伝子の発現を示す。コルチコイドの代わりの水が対照として使用された。ベータ−ガラクトシダーゼを発現する細胞は、比色分析剤X−galで染色された。写真が、数値化されたカメラ(クールピクス;ニコン、フナック、パリ、フランス)で、トランスフェクションから5日後に撮影された。画像は2回繰り返された実験の代表である。
【図8】裸のプラスミドpVAX2−Luc(0.45%NaClの30μl中の30μg)の筋肉内注射の前30〜45分において、2又は20mg/ml(30μl)におけるデキサメタゾン(DEX)又はトリアムシノロンアセトニド(TA)の筋肉内前注射の、マウスの横毛筋,前脛骨筋、における裸のプラスミドの細胞内伝達及び遺伝子の発現を示す。発光は、カウント/秒/ml/タンパク質のmg(CPS/ml/mg)で表わされる。結果は、3つの独立した実験の平均±semとして表わされる。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0140】
本発明において「1」は、他に明記されない限り、「少なくとも1」を意味することが意図される。
【0141】
本発明において、「〜と〜との間」及び「〜から〜まで」の表現で述べられる値の範囲は、下限及び上限を含む。
【0142】
本発明の他の面及び利点は、以下の実施例において記載され、該実施例は例として見られるべきであり、本願の範囲を制限しない。
【0143】
実施例
本発明において、発明者らは追加の化学的若しくは生物学的ベクター又は物理的技術の必要なしに、非コンピテント又は低位にコンピテントな細胞又は組織に、裸の単離された核酸を特異的にトランスファーする、新規な細胞内伝達方法を設計した。緑の蛍光タンパク(GFP)、ルシフェラーゼ(Luc)、ベータ−ガラクトシダーゼ又はhTNFR−Is/mIgGlキメラタンパク質をエンコードするプラスミドが使用されて、トランスフェクション後の遺伝子発現を追跡し、感染させた。
【0144】
物質及び方法
動物
6〜7週齢の150〜200gのメスのルイスラット(エレヴァージュ ジャンヴィエール、ル ジェネスト サン アイル フランス)又は1歳の、株C56BL6J p50のヌルマウスが使用された。実験は、目及び視覚研究における動物の使用のためのARVO声明に従って行われた。
【0145】
ラット及びマウスは、試験への包含の前、1週間、維持された。ラットはケタミン(75mg/kg)(Virbac,France)及びラルガクチル(0.5mg/kg)(Sanofi−Aventis,France)の筋肉内注射で実験のために麻酔をかけられた。ただし、トランスフェクション実験中は、ケタミン及びラルガクチル注射は、腹腔内で行われた。マウスは腹腔内のペントバルビタール注射(40mg/kg)で麻酔をかけられた。実験の終わりに、ラット及びマウスは、ペントバルビタールの過剰投与により殺された。
【0146】
分析された器官に従って、目は摘出されるか、骨格筋が除去された。
【0147】
化学試薬
本実験において使用されたコルチコステロイドは、薬学的特殊品のKENACORT(商標)、デキサメタゾン(DEX),トリアムシノロンアセトニド(TA)及び合成コルチコイド酢酸アネコルタブ(AA)であった。これらのコルチコイドはフランス国、ファラヴィエール、サン−クエンチン、シグマ−アルドリッチから、そしてDEX及びTAはアルコン(フォートワース、テキサス、USA)から得られた。コルチコイドステロイドは水で希釈され2又は20mg/mlの濃度で使用された。IVT注射及び毛様筋における注射には、10μlの体積が使用された。骨格筋における注射には、マウス及びラットにおいてそれぞれ30μl及び100μlの体積が使用された。
【0148】
着色剤インドシアニングリーンが得られ、水中で2.5mg/mlにおいて使用された。
【0149】
ポリソルベート80(薬学的特殊品KENACORT(商標)における添加剤)(ロシュ)が得られ、水中で0.2mg/mlにおいて使用された。
【0150】
本実験で使用された等体積のフッ素化されたガスはC2F6及びSF6であった。
【0151】
プラスミド
pVAX2は、プロモーターがpCMVβプラスミドプロモーターにより置きかえられているpVAXlプラスミド(インビトロジェン)からなる。pCMVP(クロンテク)がEcoRIで消化され、次に、Klenowフラグメントにより平滑末端化され、最後にBamHIにより消化された。得られた、CMVプロモーターに対応する629bpのフラグメントはアガロースゲル電気泳動後に精製された。このプロモーターは、Hindl−BamHI pVAXlフラグメントにリゲートされて、pVAX2を与えた。
【0152】
pVAX2−Lucは、CMVベータ−プロモーターの制御下で、サイトソルのホタルのルシフェラーゼプラスタンパク質をエンコードする4.6kbのプラスミドベクターである。
【0153】
プラスミドpVAX2 hTNFR−Is/mlgGlは、ヒトTNF−a可溶性レセプタータイプI(hTNFR−Is)のキメラタンパクをエンコードする4.3kbプラスミドであり、免疫グロブリンGI(IgGI)のFc部分に結合されて、pVAX2骨格へクローン化される。このキメラタンパク質は、天然の単量体の等価のhTNFR−Isに比較してより長い半減期を有する。
【0154】
プラスミドpEGFP−Clは、CMVプロモーター(クローンテク、パロアルト、CA)の制御下での、サイトソルのグリーンフルオレセント遺伝子を担持する4.7kbのプラスミドである。
【0155】
pVAXl−LacZはCMVプロモーター(インビトロジェン、カールスバド、CA,USA)の制御下でのLacZ遺伝子レポーターを含む6.1kbのプラスミドである。
【0156】
pGLucは、CMVプロモーター(ラックスバイオテクノロジー)の制御下での、分泌されたGaussiaルシフェラーゼタンパク質をエンコードする5.8kbのプラスミドである。
【0157】
プラスミドは大腸菌の中で成長し、カラム上で精製された(エンドフリーのプラスミドギガキット、キアゲン、クルタブーフ、フランス)。エンドトキシンフリーのプラスミドは期待される濃度において0.45%NaClにおいて希釈された。
注射
【0158】
目の硝子体の体液における硝子体内(IVT)の注射(図1A)又は毛様筋の一時的な上四分円への筋肉内注射(temporal superior quadrant of the ciliary muscle)は、300μmのマイクロシリンジ(BDバイオサイエンス、ル・ポン・ド・クレ、フランス)上で30Gの針を使用して行われた。縁への後ろの強膜の下に位置する毛様筋に到達するために、毛様筋内注射が貫通された角膜の切断を通しておこなわれた。針が縁を横断するとき、それは1mmの距離のために少し深く挿入され、溶液が注射された。
【0159】
ラットの前脛骨筋又は前肢の筋肉における筋肉内注射は1mlのシリンジ(テルモ、ドミニクダッチャー、ブルマス、フランス)上で25Gの針を使用して行われた。マウスの前脛骨筋における筋肉内注射は、300μlのマイクロファインシリンジ(BDバイオサイエンス)上で30Gの針で行われた。
【0160】
エレクトロトランスファー(ET)
毛様筋のエレクトロトランスファーのために使用されたプロトコルは、国際公開第2006/123243号パンフレットに記載されており、該公報は、参照により本明細書に取り込まれる。
【0161】
簡単に述べると、毛様筋のエレクトロトランスファーのために、目は露出され、手術用シートを使用して固定された(held in position)。2mmにおいて裸にされており、その長さの残りにおいてシリコーンを有しているイリジウム/プラチナ電極(直径500μm)が角膜のトンネルとカソードを通して挿入された。アノードのリターン電極は、毛様体を覆うラットの強膜の表面に正確に嵌るように設計されている長さ5mm及び幅2.5mmの、イリジウム/プラチナの0.3mmの厚さのシートからなる。
【0162】
硝子体内のエレクトロトランスファーの実験のために、毛様筋ETのために上が露出されるように(as above−exposed)外科的に準備された。ガラス体内のETはイリジウム/プラチナ電極を使用して行われた。カソードは眼球に嵌るように貝殻様にキャスト成形され、目の下に置かれた。アノードは、ハーフリムの形で、目の上部と接触された。
【0163】
エレクトロトランスファー発生器は、上記のシステムを使用して15ボルト(毛様筋)又は80ボルト(硝子体内)及び20ミリ秒の各持続時間の8つの断続的なパルス(パルス間は180ミリ秒)が伝達されるようにセットされた。この電界の強度は、臨床的に検出可能な構造の破壊又は組織の火傷を起こさなかった。
【0164】
GFP組織化学
pEGFP−Clのトランスフェクション後8日目において、目は除核され、4%のパラホルムアルデヒドにおいて1時間固定され、lxPBSにおいてすすがれ、OCT(最適切断温度)化合物に埋め込まれ、低温切断された(8μm)。矢状の10μmの薄片が行われた(光学軸に平行)。薄片は、蛍光顕微鏡(ライカ、スイス)で調べられ、たくさんのマイクロ写真が全ての薄片について一定の露出で撮影された。
【0165】
ルシフェラーゼ活性のインビトロ測定
pVAX2−lucの眼内注射を受けたラットは、処理後7日目に殺された。目は除核され、作動する顕微鏡下で解剖され、神経網膜及びRPE/脈絡膜複合体は除去され、液体窒素中で瞬間凍結され、試験されるまで−80℃において保存された。
【0166】
毛様筋においてpGLucの注射を受けたラットは、処理後7日目において殺された。眼内の流動体は除核された目の上で回収され、遠心分離により浄化され、上澄みは、試験されるまで−20℃において貯蔵された。
【0167】
前脛骨筋においてpVAX2−lucの注射を受けたマウスは、処理後7日目において殺された。前脛骨筋は除去され、液体窒素中で瞬間凍結され、試験されるまで−80℃において保存された。
【0168】
次に、組織の試料は、プロテアーゼ阻害剤カクテル(ベーリンガー、マンハイム、ドイツ)(50mlにつき1の錠剤)を補強された細胞培養溶解試薬(プロメガ、シャルボニエール、フランス)の0.3ml(ラットの神経網膜及びRPE/脈絡膜複合体)又は1.0ml(マウスの前脛骨筋)中でホモジェナイズされた。15000g及び4℃において10分間遠心分離された後、組織の溶解物の上澄みが回収された。
【0169】
ルシフェラーゼの活性は、白96ウェルプレートに入れられた10μlの試料(組織溶解物の上澄み又は目の流動体)上で分析された。
【0170】
検出器は、Wallac Victorの発光計(EG&G ワラック、エヴリー、フランス)であり、該発光計は、試料(それぞれ、組織溶解物の上澄み又は目の流動体)に50μlのルシフェラーゼ分析基質又はGaussia ルシフェラーゼ分析基質(プロメガ)を添加し、10秒間に試料により出される光の総和を示す。結果は毎秒のカウント(cps)又はタンパク質のcps/ml/mgにおいて、全試料について与えられる。
【0171】
hTNFR−ls/mlgG1プラスミドエレクトロトランスファーの効果
目の媒体におけるhTNFR−Isの生産は、毛様筋へのpVAX2 hTNFR−Is/mlgGlの注射後7日目において評価された。右及び左の目からの目の媒体が得られ、各目について別々に評価された。反対側、処理されていない目、からの目の媒体がhTNFR−Isのレベルの対照として使用された。
【0172】
hTNFR−Is受容体のレベルはヒトの受容体タイプI特別キット(デュオセット、R&Dシステム、アビングドン、イギリス)を使用して、製造業者の指示に従って、ELISAにより測定された。
【0173】
前脛骨筋におけるベータガラクトシダーゼ
脛骨前部骨格筋においてpVAXl−LacZの注射を受けたラットは、処理から5日目において殺された。該骨格筋は除去され、リン酸塩で緩衝された生理食塩水(PBS)中の2%のホルムアルデヒド及び0.2%のグルタールアルデヒドにおいて4℃において1時間固定された。それらは、PBSにおいて3回すすがれ、5mMのK3Fe(CN)6、5mMのK4Fe(CN)6、2mMのMgCl2,及び0.02%のNP−40を含むPBSにおいて、1mg/mlのlX−gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドイルガラクトピラノシド;シグマ−アルドリッチ,サンクエンチン−ファラヴィエール、フランス)とともに室温において終夜インキュベーションされた。PBSで洗浄した後、筋肉の外側からの直接イメージングが、数値化されたカメラ(numerized camera)(クールピクス:ニコン、フナック、パリ、フランス)を使用して実行された。
【0174】
統計的解析
結果は、平均±平均の標準偏差(SEM)として表現される。データーは、ノンパラメトリックなマン−ホイットニーU試験を使用して比較された。P<0.05が統計的に有意であると考えられる。
【0175】
実施例1
KENACORT(商標)は、硝子体内の(IVT)注射の後の網膜への裸のプラスミドの伝達及び遺伝子発現を改良する
神経網膜及びRPE−脈絡膜複合体の細胞、及び一般的な目の細胞はトランスフェクトすることが非常に困難であり、裸の核酸に関して非コンピテントであることが公知である(他の細胞、例えば横毛筋細胞と対照的である)。これらの細胞は補助的なトランスフェクション技術、核酸のトランスフェクションを許す、例えば化学的又は生物学的なベクター又はエレクトロトランスファーを必要とすることが公知である。
【0176】
裸のプラスミドpVAX2−Lucの、RPE−脈絡膜複合体のガス注射又はエレクトロトランスファーに誘発された細胞内伝達への種々の化学剤の効果及び神経網膜におけるルシフェラーゼの遺伝子発現が評価された。
【0177】
0.45%NaClの10μl中の30μgの裸のpVAX2−Lucが、麻酔をかけられたラットの一方の目に硝子体内に注射され(反対側の目は対照として使用された)、ただちにガス注射(C2F6又はSF6)又はETの適用[8x(80V;20ミリ秒;5Hz)]又は両者の組み合わせが行われた。
【0178】
いくつかの実験において、該プラスミドの投与の30分前に、両方の目が、10μlの、インドシアニングリーン(2.5mg/ml)、ポリソルベート80(0.2mg/ml)又はKENACORT(商標)(20mg/ml)のIVT注射により前処理された。
【0179】
該処理後7日目において、該動物は殺され、目は除核され、光学顕微鏡下で解剖され、神経網膜及びRPE−脈絡膜複合体を単離し、ルシフェラーゼの発光が測定された。
【0180】
神経網膜において、KENACORT(商標)は、ガス注射により誘発された細胞トランスフェクションの効率においては少しの増加を誘発し、ET又はガス注射及びETで誘発されたトランスフェクションの効率においては劇的な改良を誘発した(図2A)。対照的にインドシアニングリーン又はポリソルベート80は、低位に効果的であることが分かった(図2A)。
【0181】
RPE−脈絡膜複合体においては、KENACORT(商標)は、ガス注射又はET又はガス注射及びETにより誘発された細胞トランスフェクションの効率においては顕著な増加を誘発した(図2B)。対照的にポリソルベート80又はインドシアニングリーンは、ガス注射の効率を改良するには低位に効果的であることが分かったが、それらは、ETの効率をある程度、改良した(図2B)。
【0182】
実施例2
コルチコステロイドによる前処理は、裸のプラスミドの細胞内伝達及び遺伝子発現を誘発することができる
0.45%NaClの10μl中の10μgの裸のpVAX2−Lucが麻酔をかけられたラットの一方の目の硝子体内に注射された(反対側の目は対照として使用された)。
【0183】
プラスミドの注射は、a)単独で、b)10μlのKENACORT(商標)との組み合わせ(20mg/ml)において、c)30分前に、KENACORT(商標)のIVT注射に先行されて、d)ただちにETの適用[8x(80V;20ミリ秒;5Hz)]が行われて、又はe)30分前に、KENACORT(商標)のIVT注射に先行され、かつただちにETが行われて、実行された。
【0184】
対照として、処理されていない目、PBSで処理された目、又はKENACORT(商標)のみで処理された目が採用された。
【0185】
該処理後7日目に、該動物は殺され、目が除核され、光学顕微鏡下で解剖され、神経網膜及びRPE−脈絡膜複合体を単離し、ルシフェラーゼの発光が測定された。
【0186】
図3A及び3Bにより示されるように、30分前に、KENACORT(商標)の注射に先行されたpVAX2−LucのIVT注射は、神経網膜並びにRPE−脈絡膜複合体においてルシフェラーゼの劇的な発現を誘発した。KENACORT(商標)で得られた発現のレベルは、神経網膜においてETにより得られた発現のレベルと同等であったが、RPE−脈絡膜複合体においてはETよりずっとすぐれていた。
【0187】
両方の方法の組み合わせ、コルチコステロイドの前処理及びET,は発現の優れたレベルに到らなかった。
【0188】
対照的に、裸のプラスミドのみ、又はKENACORT(商標)と同時のIVT注射はルシフェラーゼの発現を誘発しなかった。
【0189】
これらの結果は、コルチコステロイドでの目の細胞の短い前処理は、裸の単離された核酸が効率的にトランスフェクトされ、天然では非コンピテント細胞へと発現されることを許すことを示唆する。
【0190】
実施例3
コルチコステロイドでの予備処理又は続いてETが行われた後のpEGFPClのトランスフェクションに続く、網膜及び虹彩におけるEGFPの発現の位置確認
0.45%のNaCl中の10μlにおける裸のpEGFPClの10μgが麻酔をかけられたラットの一方の目の硝子体内に注射された(反対側の目は対照として使用された)。
【0191】
プラスミドの注射は、a)30分前に10μlのKENACORT(商標)(20mg/ml)のIVT注射に先行されるか、又はb)ただちにETの適用[8x(80V;20ミリ秒;5Hz)]が行われる。
【0192】
トランスフェクトの後8日目に、両目が除核され、4%のパラホルムアルデヒドにおいて1時間固定され、1×PBSですすがれ、OCT化合物に埋め込まれ、低温切断された(10μm)。切片は、蛍光顕微鏡(ライカ、スイス)下で調べられ、たくさんのマイクロ写真が全ての切片について一定の露出で撮影された。
【0193】
図4により示されるように、裸のpEGFPClの注射の30分前のIVT前注射KENACORT(商標)は、ETでのトランスフェクションに比較して網膜及び虹彩におけるEGFPの、改良されかつ局在化された発現を誘発した。
【0194】
実施例4
コルチコステロイドの筋肉内前注射に付された毛様筋のトランスフェクションにおける、水性体液中のhTNFR−Is/mlgGlキメラタンパク質の細胞内伝達及び発現の改良
【0195】
毛様平滑筋細胞もまた裸のプラスミドに関して非コンピテント細胞であることが公知である、目の組織の細胞である。これらの細胞は、補助的トランスフェクション技術、例えば核酸のトランスフェクションを許す化学的又は生物学的ベクター又はエレクトロトランスファーを必要とすることが公知である。
【0196】
0.45%のNaCl中の10μlにおける裸のpVAX2−hTNFR−Is/mIgGlの30μgが麻酔をかけられたラットの一方の目の毛様筋に注射された(反対側の目は対照として使用された)。
【0197】
プラスミド注射は、60分前に10μlのKENACORT(商標)(20mg/ml)又はデキサメタゾン(DEX,20mg/ml),又はトリアムシノロンアセトニド(TA,20mg/ml)の筋肉内注射により先行されるか、又はただちにETの適用[8x(15V;20ミリ秒;5Hz)]が行われた。
【0198】
プラスミドのみ及びコルチコステロイドの前注射により先行されずにプラスミドの筋肉内注射直後に適用されたETが対照として採用された。
【0199】
図5により示されるように、TAは、裸のプラスミドのみの注射と比較されたとき、目の水性体液におけるhTNFR−Isの発現のレベルを劇的に改良することができた。発現の得られたレベルは、ETで得られたものに匹敵した。
【0200】
実施例5
TA又はAAの筋肉内前注射に付された毛様筋のトランスフェクションにおける、細胞内伝達及び、水性体液中におけるルシフェラーゼの発現の改良
【0201】
0.45%のNaCl中の10μlにおける裸のpGLucの15μgが麻酔をかけられたラットの一方の目の毛様筋に注射された(反対側の目は対照として使用された)。
【0202】
プラスミドの注射は、45分前に、合成コルチコステロイドである、トリアムシノロンアセトニド(TA,20mg/ml)又は酢酸アネコルタブ(AA,20mg/ml)、10μlの筋肉内注射により先行された。
【0203】
注射なし又は水の前注射が、対照として行われた。
【0204】
図6及び下の表Iにより示されるように、TA及びAAは、裸のプラスミドのみの注射に比較されたとき、水性体液におけるルシフェラーゼの発現のレベルを劇的に改良することができた。
【0205】
【表1】

【0206】
実施例6
TA又はAAでの筋肉内前注射に付されたラット又はマウスの前脛骨筋(横毛筋)における細胞内伝達及びルシフェラーゼの発現
【0207】
0.45%のNaCl中の100又は30μlにおけるpVAX1−LacZの100μg又は裸のpVAX2−Lucの30μgがラットの脛骨前部筋又はマウスの脛骨前部筋にそれぞれ注射された。
【0208】
ラットにおいて、プラスミドの注射は、15〜30分前に、2又は20mg/mlにおけるトリアムシノロンアセトニド(TA)又はデキサメタゾン(DEX)の100μlの筋肉内注射により先行された。
【0209】
マウスにおいて、プラスミドの注射は、30分前に、2又は20mg/mlにおけるトリアムシノロンアセトニド(TA)又はデキサメタゾン(DEX)又は4mg/mlにおける可溶性DEXの30μlの筋肉内注射により先行された。
【0210】
水による前注射が対照として行われた。
【0211】
図7及び8及び下の表IIにより示されるように、DEXによる前処理は、それらの筋肉におけるベータ−ガラクトシダーゼ及びルシフェラーゼの遺伝子発現を劇的に改良した。
【0212】
【表2】

【図1A)】

【図1B)】

【図1C)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離された生物学的組織又は器官への、少なくとも1の単離された裸の核酸の細胞内伝達のための方法において、少なくとも以下の段階、
a/該組成器又は器官を有効量の少なくとも1の活性コルチコステロイドと接触させる段階、及び
b/段階a/において処理された該組織又は器官を有効量の少なくとも1の単離された裸の核酸と接触させる段階、
を含み、該段階a/は5分間〜2時間の期間、実行され、直ちに段階b/が行われる
上記方法。
【請求項2】
段階a/の期間が、10〜90分、特に10〜60分、特に15〜45分、より特に15〜30分である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該生物学的組織又は器官が非コンピテント細胞を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
該単離された組織又は器官が、平滑筋組織特に毛様筋、横毛筋、網膜組織、RPE/脈絡膜複合体組織、脳組織、皮膚上皮、真皮、血管内皮、角膜内皮、角膜上皮、グリアの網膜組織、光受容体細胞、ケラトサイトを含む組織、及び上皮肺組織からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組織。
【請求項5】
該コルチコステロイドが、ハイドロコルチゾン、コルチゾン、チクソコルトール、コルチコステロン、プレドニソロン、プレドニソン、トリアムシノロン、モメタソン、アムシノニド、ブデソニド、デソニド、フルオシノニド、フルオシノロン、ハルシノニド、ベタメタゾン、デキサメタゾン、アクロメタゾン、プレドニカルベート、クロベタソン、クロベタソール、フルオコルトロン、フルプレドニデン、フルオメトロン、アネコルタブ、それらの誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
該単離された組織又は器官が、平滑筋組織特に毛様筋、網膜組織、RPE/脈絡膜複合体組織からなる群から選択され、該コルチコステロイドが、トリアムシノロン、アネコルタブ、それらの誘導体、特にトリアムシノロンアセトニド又は酢酸アネコルタブ、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
該単離された組織又は器官が、横毛筋であり、該コルチコステロイドが、デキサメタゾン及びその誘導体、特にデキサメタゾンリン酸ナトリウム塩からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
該単離された裸の核酸が、cDNA,gDNA,合成DNA、人工DNA,組み換えDNA、mRNA,tRNA,siRNA,miRNA,shRNA、触媒的RNA,アンチセンスRNA,ウィルスRNA,ペプチド核酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
動物の細胞への、特に遺伝子治療のための、少なくとも1の単離された裸の核酸の細胞内伝達のためのキットにおいて、
a/少なくとも1のコルチコステロイド、
b/少なくとも1の単離された裸の細胞、及び
c/5分間〜2時間、該コルチコステロイドで該動物を処理する第一段階、及び、該処理された動物の細胞を該単離された裸の核酸と接触させる第二段階、該第二段階は、該第一段階の直後に行われる、を含む少なくとも1の指示、
を含む上記キット。
【請求項10】
該指示が、該コルチコステロイドで処理されるのに適する動物の細胞のリストをさらに言及している、請求項9に記載のキット。
【請求項11】
個体において、特に遺伝子治療のための、単離された裸の核酸の細胞内伝達を促進するための活性剤としての医薬品組成物の製造のために、少なくとも1のコルチコステロイドを使用する方法において、該医薬品組成物は単離された裸の核酸を個体に投与する5分間〜2時間前に、該個体に投与されることを意図されている方法。
【請求項12】
該組成物が目への投与のために意図されている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該組成物が、目の増殖性の病気、目の神経変性の病気、例えば任意のタイプの阻害された網膜のジストロフィー、目の感染症、目又は眼内の炎症の病気、例えば結膜炎、角膜炎、角膜内皮炎、ぶどう膜炎、脈絡膜炎、網膜炎、網脈絡膜炎、前部及び中間部ぶどう膜炎、及び炎症性の目のニューロパシー、網膜退化、特に遺伝的な網膜のジストロフィー又は網膜色素変性、周辺網膜退化、黄斑退化、例えば乾燥年齢に関連する黄斑退化、局部貧血及び新血管増殖性の病気、例えば網膜症、特に未熟児の網膜症及び糖尿病性の網膜症、網膜の血管の病気、目の局部貧血症、及び他の血管の異状,年齢に関係する黄斑退化を伴う黄斑浮腫、糖尿病性の網膜症,眼内の炎症又は網膜のジストロフィー、脈絡叢の異常及び腫瘍、硝子体の異常,グリアの増殖例えば増殖性の硝子体の網膜症及び糖尿病性の前網膜の血管形成に関連するグリアの増殖、血管形成,緑内障,開放隅角緑内障,新血管の緑内障,網膜前膜ともまた呼ばれる黄斑ひだ,網膜の皺,前黄斑線維,及びセロハン黄斑障害から選択される病気を予防する及び/又は治療すること意図されている、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
該コルチコステロイドが、トリアムシノロン、アネコルタブ、及びそれらの誘導体、特にトリアムシノロンアセトニド又は酢酸アネコルタブ及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
個体において、特に遺伝子治療のための、単離された裸の核酸の細胞内伝達を促進するための活性剤としての医薬品組成物におけるコルチコステロイドであって、該医薬品組成物は該単離された裸の核酸を該個体に投与する5分間〜2時間前に、該個体に投与されることを意図されている、上記コルチコステロイド。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−516980(P2013−516980A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548525(P2012−548525)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050174
【国際公開番号】WO2011/089541
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(511214495)ユニヴェルシテ パリ デカルト (3)
【Fターム(参考)】