説明

核酸の非特異的標的の捕捉方法

標的核酸に非特異的に結合し、捕捉プローブ上に1メンバー、固定プローブ上に1メンバーを有する、特異的結合対を介して、固定プローブに特異的に結合する捕捉プローブを用いることによって、サンプルから標的核酸を捕捉するための方法が開示される。一実施形態においては、反応混合物の溶液相において、標的核酸に非特異的に結合し、特異的結合対のメンバーの結合を介して固定プローブに特異的に結合する、捕捉プローブを含む組成物が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、米国特許法§119(e)の下、2006年8月17日に出願された仮出願第60/821,078号(この内容は、参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本開示の組成物および方法は、分子生物学に関し、より詳細には、サンプルなどの混合物から核酸を単離するための方法および組成物に関し、標的核酸を混合物の他の成分から分離するために、該方法および組成物は、標的核酸に対し非特異的にハイブリダイズする核酸オリゴマーを使用する。
【背景技術】
【0003】
多くの分子生物学処理手順、例えば、核酸のインビトロ増幅およびインビトロハイブリダイゼーションは、後続手順において有効とするように、核酸について何らかの調製を行うことを含む。核酸精製法は、サンプル中に存在する全ての核酸を単離するか、物理的特徴にもとづいて種々のタイプの核酸をサンプルから単離するか、または、特異的核酸をサンプルから単離してもよい。多くの方法は、核酸単離を完了するために、複雑な手順を含むか、強烈な薬品または条件を用いるか、または長い時間を必要とする。いくつかの方法は、それぞれが所望の標的核酸に対して特異的な特別のオリゴヌクレオチドの使用を含むが、これは、特に、一つ以上の標的核酸の単離が望まれる場合、または、所望の標的核酸の配列が未知の場合、方法の設計、最適化、および性能をより複雑にする。したがって、他のサンプル成分から対象核酸を分離するための、単純、効率的で、高速な方法が常に求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
サンプルから標的核酸を単離するための方法であって:(a)標的核酸を含むサンプルを、該標的核酸に非特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド配列から構成される非特異的捕捉プローブと混合すること、および、該標的核酸を支持体に連結するための手段を含む方法が開示される。その場合、オリゴヌクレオチド配列は、ポリU配列、GおよびTヌクレオチド、またはGおよびUヌクレオチドを含むランダムポリ(k)配列、10個以下のヌクレオチドから成る非ランダム配列によって隔てられる、二つのランダムオリゴヌクレオチド配列、10個以下のヌクレオチド塩基類縁体から成る非ランダム配列によって隔てられる、二つのランダムオリゴヌクレオチド配列、非ヌクレオチドスペーサー化合物によって隔てられる、二つのランダムオリゴヌクレオチド配列、10個以下のヌクレオチドまたはヌクレオチド塩基類縁体から成る非ランダム配列によって隔てられる、複数のランダムオリゴヌクレオチド配列、非ヌクレオチドスペーサー化合物によって隔てられる、複数のランダムオリゴヌクレオチド配列、または、少なくとも二つのGU単位から構成される、非ランダムポリGU配列である。さらに、この方法工程は、支持体、標的核酸、および非特異的捕捉プローブを含む反応混合物を、捕捉プローブと標的核酸とが非特異的にハイブリダイズして、支持体に連結されるハイブリダイゼーション複合体を形成することを可能とするハイブリダイゼーション条件下で、インキュベートすること、および、反応混合物の溶液相から支持体を分離し、支持体に連結するハイブリダイゼーション複合体を、他のサンプル成分から分離し、それによって標的核酸を、他のサンプル成分から単離することを含む。一実施態様では、支持体に標的核酸を連結させるための手段は、支持体に対する捕捉プローブの直接的付着である。別の実施態様では、支持体に標的核酸を連結させるための手段は、捕捉プローブに付着する第1特異的結合パートナー(SBP)、および、捕捉プローブが特異的に結合する、支持体に連結される第2特異的結合パートナー(SBP’)から構成される特異的結合対である。一実施態様では、SBP’は、支持体に連結される固定プローブの一部である。この方法では、混合工程は、捕捉プローブに付着するSBPを有するサンプルと、支持体に連結するSBP’とを混合することを含み、インキュベーション工程は、SBPおよびSBP’を結合して、支持体にハイブリダイゼーション複合体を連結することを含む。ある実施態様では、SBPおよびSBP’は、実質的に相補的な核酸配列であるが、一方、別のある実施態様では、SBPおよびSBP’は、非核酸成分である。この非核酸成分は、(a)受容体およびリガンドの対、(b)酵素および基質の対、(c)酵素および補因子の対、(d)酵素および補酵素の対、(e)抗体および抗原の対、(f)抗体断片および抗原の対、(g)糖およびレクチンの対、(h)リガンドおよびキレート剤の対、(i)ビオチンおよびアビジン、(j)ビオチンおよびストレプトアビジン、および(k)ニッケルおよびヒスチジンから成る群から選んでもよい。本法はさらに、分離工程の後に、支持体に連結したハイブリダイゼーション複合体から、他のサンプル成分を除去するための洗浄工程を含んでもよい。その場合、洗浄工程は、支持体に連結するハイブリダイゼーション複合体を洗浄液と混合し、次いで、支持体に連結するハイブリダイゼーション複合体を洗浄液から分離する。インキュベーション工程は、約25℃において約5分から約90分行ってもよい。方法はさらに、分離工程の後で、他のサンプル成分から単離された標的核酸の存在を検出する工程、他のサンプル成分から単離された標的核酸に含まれる配列をインビトロで増幅する工程、または、他のサンプル成分から単離された標的核酸に含まれる配列を決定する工程を含んでもよい。
【0005】
第1特異的結合パートナー(SBP)であって、支持体に連結する第2特異的結合パートナー(SBP’)に特異的に結合するパートナー、および、標的核酸に非特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド配列から構成される、非特異的捕捉プローブが開示される。その場合、オリゴヌクレオチド配列は、ポリU配列、GおよびTヌクレオチド、またはGおよびUヌクレオチドを含むランダムポリ(k)配列、10個以下のヌクレオチドから成る非ランダム配列によって隔てられる、二つのランダムオリゴヌクレオチド配列、10個以下のヌクレオチド塩基類縁体から成る非ランダム配列によって隔てられる、二つのランダムオリゴヌクレオチド配列、10個以下のヌクレオチドまたはヌクレオチド塩基類縁体から成る非ランダム配列によって隔てられる、複数のランダムオリゴヌクレオチド配列、非ヌクレオチドスペーサー化合物によって隔てられる、二つのランダムオリゴヌクレオチド配列、非ヌクレオチドスペーサー化合物によって隔てられる、二つのランダムオリゴヌクレオチド配列、非ヌクレオチドスペーサー化合物によって隔てられる、複数のランダムオリゴヌクレオチド配列、または、少なくとも二つのGU単位から構成される、非ランダムポリGU配列である。この捕捉プローブオリゴヌクレオチド配列は、約5から100ヌクレオチド長であってもよいし、ある実施態様では、約12から約25ヌクレオチド長である。このオリゴヌクレオチド配列は:(a)標準的RNA塩基および結合部、(b)標準的DNA塩基および結合部、(c)2’修飾結合部を有するRNA塩基、(d)配列の少なくとも一部は、ロックド核酸(LNA)立体配座であるDNA塩基、(e)一つ以上のヌクレオチド塩基類縁体、(f)一つ以上の脱塩基残基、(g)一つ以上の、非核酸スペーサー化合物、または(h)上記群(a)から(g)から選ばれる要素の組み合わせ、を含んでもよい。ある実施態様では、オリゴヌクレオチド配列は、標準的DNAまたはRNA塩基対形成と比べた場合、別様の塩基対形成特性を示す塩基類縁体を含む。ある実施態様では、これらの塩基類縁体は、イノシンまたは5−ニトロインドールである。オリゴヌクレオチド配列は、LNA立体配座形状、および標準的DNA立体配座であるヌクレオチドの混合物を含んでもよい。ある実施態様では、オリゴヌクレオチドは、2’修飾結合部を有するポリ(k)RNA塩基から構成される。SBP’に特異的に結合する、捕捉プローブのSBPは:(a)相補的核酸配列の対、(b)受容体およびリガンドの対、(c)酵素および基質の対、(d)酵素および補因子の対、(e)酵素および補酵素の対、(f)抗体および抗原の対、(g)抗体断片および抗原の対、(h)糖およびレクチンの対、(i)リガンドおよびキレート剤の対、(j)ビオチンおよびアビジン、(k)ビオチンおよびストレプトアビジン、および(l)ニッケルおよびヒスチジン、であってもよい特異的結合対のメンバーである。オリゴヌクレオチド配列は、該オリゴヌクレオチドの5’末端位置において、該オリゴヌクレオチドの3’末端において、または、リンカー化合物を介して、該オリゴヌクレオチドの内部位置において、SBPに連結されてもよい。ある実施態様では、オリゴヌクレオチド配列は、少なくとも一つのランダムポリ(k)配列を含むが、別のある実施態様は、ランダムポリ(k)12、ポリ(k)18、またはポリ(k)25配列を含むオリゴヌクレオチド配列を含む。好ましい捕捉プローブ実施態様は、オリゴヌクレオチド配列が、(n)−U−(n)配列、(n)−Ni−(n)配列、ただし“Ni”は5−ニトロインドールを表す、(k)−Ni−(k)配列、ただし“Ni”は5−ニトロインドールを表す、(k)−C9−C9−(k)配列、ただし“C9”は9炭素非ヌクレオチドスペーサーを表す、(k)−C9−(k)−C9−(k)配列、ただし“C9”は9炭素非ヌクレオチドスペーサーを表す、(k)12配列、(k)−U−(k)配列、(k)−U−(k)配列、(k)−T−(k)配列、(k)18配列、(k)24配列、d(GまたはT)18配列、U18配列、(GU)配列、または、“L”がロックド核酸立体配座を表す配列であって、L(k)−dT−L(k)配列、L(k)−d(k)−dT−L(k)−d(k)配列、L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−L(k)配列、L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−L(k)−d(k)配列、L(k)−dT−L(k)配列、L(k)−d(k)−dT−L(k)−d(k)配列、L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−L(k)−d(k)配列、d(k)−dT−L(k)配列、および、L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−L(k)−d(k)-L(k)配列を含む配列、である実施態様を含む。別の好ましい実施態様では、上に特定したオリゴヌクレオチド配列の内のいずれかが、捕捉プローブのSBPである、ホモポリマー核酸配列に対して連結されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0006】
発明の詳細な説明
サンプルから、対象とする標的核酸を単離するための方法であって、標的核酸を含むサンプルを、溶液相においてサンプル中の標的核酸に非特異的にハイブリダイズする捕捉プローブと混合する工程を含む方法が開示される。その場合、捕捉プローブは、好ましくは、ポリG/U配列、またはポリ(k)配列を含むポリマー配列を用いることによって、標的核酸に非特異的にハイブリダイズするポリマーオリゴヌクレオチド配列を含む。捕捉配列はさらに、好ましくは、支持体に付着される固定プローブに特異的に結合する特異的結合パートナーを介して、それを支持体に付着させるための手段を含む。溶液相において標的核酸および捕捉プローブと、任意に固定プローブ含んでもよい支持体とを含む反応混合物が作製される。この反応混合物は、捕捉プローブが標的核酸に非特異的にハイブリダイズし、固定プローブが存在する場合は、捕捉プローブと固定プローブの特異的結合パートナー同士の結合を介して固定プローブに特異的に結合する条件下で、インキュベートされる。標的核酸と、支持体に付着する捕捉プローブとを含むハイブリダイゼーション複合体は、反応混合物から分離され、標的核酸を、他のサンプル成分から単離する。
【0007】
標的核酸の非特異的捕捉のためのプローブであって、該標的核酸に非特異的にハイブリダイズする、少なくとも一つの核酸配列、および、好ましくは、支持体に付着する固定プローブ上の、別の特異的結合パートナーに特異的に結合する、少なくとも一つの特異的結合パートナーを含むことによって、捕捉プローブを支持体に付着するための手段を含むプローブが開示される。すなわち、捕捉プローブの特異的結合パートナーと、固定プローブの特異的結合パートナーとは、特異的結合対のメンバーである。捕捉プローブの好ましい実施態様は、標的核酸に非特異的にハイブリダイズする核酸配列が、少なくとも一つのポリGU配列、またはランダムポリ(k)配列、または、標的核酸に対し、核酸の標準的塩基対形成と比べ、別様の塩基対形成特性を示す、少なくとも一つの核酸類縁体を含む配列を含む実施態様を含む。
【0008】
開示の標的捕捉法は、標的核酸に対する、捕捉プローブの配列の、非特異的ハイブリダイゼーションによって、サンプルから標的核酸を単離する。その際、捕捉プローブは、標的核酸に対し、標準的塩基対形成(すなわち、G:CおよびA:T/U結合)と比べ、別様の塩基対形成特性を示す、少なくとも一つの配列を含む。標的核酸は、RNAであっても、DNAであってもよく、これらは、単一鎖形状であっても、完全にまたは部分的に2本鎖形状であってもよい。別様塩基対形成特性を有する、好ましい捕捉プローブポリマー配列は、一つ以上の、非ランダムであるか、またはランダムなポリ(k)セグメントまたは部分を含む配列で、“k”は、オリゴヌクレオチド中のグアニン(G)およびチミン(T)、またはウラシル(U)塩基である配列、一つ以上の塩基類縁体または誘導体を含む配列、および、標準的RNAまたはDNAと比べ、別様立体配座を含む配列を含む。別様塩基対形成特性を示すプローブの配列は、本明細書に記載される好ましい実施態様のいくつかによって示されるように、単一オリゴマーの中に、上記の特徴の一つ以上、例えば、別様立体配座を持つ一つ以上の残基を有するポリ(k)セグメントを含んでもよい。別様塩基対形成特性を示す捕捉プローブは、支持体に対し、直接または間接に接合されてもよい。好ましい捕捉プローブ実施態様は、該捕捉プローブを支持体に連結させるために、固定プローブ中の別の特異的結合パートナー(SBP’)に特異的に結合する特異的結合パートナー(SBP)を含む。SBPおよびSBP’は、特異的結合対のメンバーであり、これらは、特異的に結合する種々の成分のいずれであってもよい。特異的結合パートナー(SBP)に連結される、別様塩基対形成特性を持つ少なくとも一つの配列を含む捕捉プローブは、例えば、構造体、「非特異的ポリマー−SBP」、または「SBP−非特異的ポリマー」、または「SBP−ポリ(k)」、または「ポリ(k)−SBP」によって表されるように、捕捉プローブ化合物の任意の位置においてこの二つの成分を連結してもよい。捕捉プローブのSBPは、ポリマー配列のいずれの末端位置に連結されてもよいし、または、捕捉プローブポリマーの内部位置に連結されてもよい。捕捉プローブのある実施態様は、短いヌクレオチド配列、例えば、ホモポリマー配列によって連結されるか、または、非ヌクレオチドスペーサー化合物、例えば、9炭素スペーサー化合物(C−9)によって連結される、複数のランダムポリマー配列を含む。捕捉プローブのある実施態様は、標準的DNAまたはRNA結合部を含む。ただし、捕捉プローブには、種々の、非標準的結合部を含めることが可能である。ある好ましい実施態様は、捕捉プローブの中に、ロックド核酸(LNA)立体配座形状を持つ、一つ以上の塩基を含む。これは、この捕捉プローブに機能的偏倚を与え、好ましい標的核酸形、例えば、好んでDNAに結合する傾向を与える可能性がある。ある実施態様では、捕捉プローブのSBPは、固定プローブの相補配列(SBP’)に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド配列である、すなわち、特異的結合対は、実質的に相補的なオリゴヌクレオチド配列同士から構成される。別の実施態様では、捕捉プローブのSBPは、リガンド成分に特異的に結合する成分である、すなわち、二つの成分は、特異的結合対を構成する。特異的結合対の例はよく知られており、例えば、抗体または抗体断片、およびその抗原またはリガンドから構成される結合対、または、酵素およびその基質または補因子から構成される結合対、または、受容体、およびその結合パートナーまたはその類縁体から構成される結合対で、一般に、鍵と鍵穴式に機能する、任意の化合物対と称されるものであってもよい。
【0009】
開示の方法では、捕捉プローブは、試験されるサンプルなどの混合物中に存在する、一つ以上の標的核酸に非特異的にハイブリダイズし、次いで、標的核酸、および、支持体に直接または間接に付着する捕捉プローブを含むハイブリダイゼーション複合体は、混合物中の他の成分から分離される。好ましい実施態様では、捕捉プローブのランダムポリマー配列は、標的核酸(単数または複数)中に存在する一つ以上の配列に非特異的にハイブリダイズし、捕捉プローブのSBPは、支持体に付着する固定プローブのSBP’に特異的に結合する。これによって、捕捉プローブと標的核酸を含む複合体を付着させた支持体は、混合物中の他の成分から分離される。ある好ましい実施態様では、捕捉された標的核酸から他のサンプル成分をさらに除去するために、支持体に付着する複合体は洗浄される。さらに、標的核酸に対し、単離標的核酸を特定、定量、またはその他のやり方で使用するために、追加工程を実施してもよい。この追加工程は、検出工程、ハイブリダイゼーション工程、核酸増幅工程、配列決定工程などを含んでもよい。好ましい実施態様は、標的核酸、捕捉プローブ、および支持体を、任意に固定プローブと共に含む標的捕捉反応混合物を作製するために最小限の工程を使用する。反応混合物は、捕捉プローブの、標的核酸に対する非特異的ハイブリダイゼーションを可能とするよう、比較的穏やかな条件、例えば、室温で60℃まで、という条件で2時間未満インキュベートされる。
【0010】
本明細書に記載される方法は、一つ以上のサンプルから異なる標的核酸を選択的に捕捉するために、平行的に、または継時的に使用してよいことが理解されよう。例えば、一つのサンプルを、異なるいくつかの部分に分割し、各部分に、異なるタイプの標的核酸を優先的に捕捉する、異なる捕捉プローブ実施態様を使用することによって、標的捕捉工程を実行してもよい。例えば、一部分については、サンプルの他の成分からDNAを優先的に分離する捕捉プローブを用いて標的捕捉を実行し、一方、別の部分については、サンプルの他の成分からRNAを優先的に分離する捕捉プローブを用いて標的捕捉を実行し、それによって、同じサンプルのRNA成分からDNAを優先的に分離するようにしてもよい。それとは別に、異なる標的核酸を優先的に分離する異なる捕捉プローブを用いることによって、サンプルを継時的に処理してもよい。例えば、サンプルの他の成分からDNAを優先的に分離する捕捉プローブを用いることによって、サンプルに対し第1標的捕捉を実行し、そのため、DNA標的が、先ず、溶液相から分離され(ペレット部分)、次いで、溶液相(上清部分)に対し、サンプルの他の成分からRNAを優先的に分離する捕捉プローブを用いることによって、第2標的捕捉を実行し、これによって、同じサンプル中に含まれるDNAおよびRNA標的が、一連の標的捕捉反応において分離される。
【0011】
捕捉プローブの好ましい実施態様は、標的核酸に非特異的にハイブリダイズする、少なくとも一つのランダムポリマー配列、および特異的結合パートナー(SBP)を含む。ある実施態様では、ランダムポリマー配列は、ポリ(k)配列であり、“k”は、オリゴヌクレオチドにおけるグアニン(G)、およびウラシル(U)またはチミン(T)塩基のランダムな組み合わせである。このランダムポリマー配列は、通常、約5から100ヌクレオチド長の範囲にあるが、好ましくは約6から約25ヌクレオチドの範囲にある。SBPは、好ましくは、固定プローブにおいて、支持体に接合される別の特異的結合パートナー(SBP’)に特異的に結合する。特異的結合対のSBPおよびSBP’は、特異的に結合する成分同士であればどのような成分であってもよく、例えば、相補的核酸配列同士、抗体−抗原対、受容体−リガンド対、酵素−基質または酵素−補酵素対、ビオチンおよびアビジンまたはストレプトアビジンなどであってもよい。捕捉プローブのランダム配列は、SBPに対し、該化合物の任意の位置において、例えば、オリゴヌクレオチドの5’または3’末端位置に、または、リンカー化合物を介して内部位置に連結されてもよい。このような成分を含む捕捉プローブは、SBP−ランダムポリマー、またはランダムポリマー−SBP、または、好ましい実施態様では、SBP−ポリ(k)またはポリ(k)−SBP構造と表されてもよい。捕捉プローブのある実施態様は、連鎖化合物において連結される複数のランダム配列、例えば、非ランダム配列または非ヌクレオチドスペーサー化合物によって連結されるランダム配列を含む。例えば、好ましい実施態様は、ランダム配列の複数のセグメントを分け隔てる、一つ以上のホモポリマー配列(例えば、dT)、または非ヌクレオチドスペーサー(例えば、C−9化合物)を含んでもよい。ある捕捉プローブは、標準的DNAまたはRNA結合部を含むが、一方、別のあるものは、捕捉ポリマーに機能的特性、例えば、特定タイプの標的核酸に対し優先的結合を実現する合成結合部を含んでもよい。例えば、捕捉プローブオリゴヌクレオチドのある実施態様は、ロックド核酸(LNA)立体配座形状、またはタンパク/ペプチド核酸(PNA)立体配座形状を持つ、一つ以上の残基、または、一つ以上の2’−メトキシまたは2’−フルオロ置換RNA残基、または、他の核酸類縁体立体配座形状を含む。好ましい実施態様は、DNA標的に対し優先的に結合する捕捉プローブのために、LNA立体配座形状を持つ一つ以上の残基を含むか、または、RNA標的に対し優先的に結合する捕捉プローブのために、一つ以上の2’−メトキシ置換RNA残基を含む。好ましい実施態様では、SBPおよびSBP’は、実質的に相補的なオリゴヌクレオチド配列同士である、すなわち、捕捉プローブは、固定プローブのSBP’配列に対し特異的にハイブリダイズするSBP配列を含む。別の好ましい実施態様では、SBPは、固定プローブのSBP’リガンド成分に特異的に結合する、非核酸成分である。
【0012】
ある実施態様では、捕捉プローブは、標的捕捉において、好ましくは、標的捕捉反応に使用される試薬混合物の一部として使用される組成物である。そのような試薬は、他の成分、例えば、固定プローブ、支持体に接合されるSBP’成分、および/または、溶液相において核酸ハイブリダイゼーションの条件を与える化学的化合物(例えば、塩、バッファー剤)を含んでもよい。捕捉プローブ試薬は、標的捕捉工程において使用される他の成分を含む、キットなどの組成物に、例えば、捕捉された標的核酸からサンプル成分を除去するための洗浄液の中に含まれてもよい。捕捉プローブ試薬は、捕捉された核酸を処理するための後続工程において使用される他の成分を含む、キットなどの組成物に、例えば、捕捉核酸に結合し、検出するための染料、捕捉核酸にハイブリダイズし、検出するための検出プローブ、または、標的核酸に結合し、標的配列のインビトロ増幅にプライマーとして作動する増幅オリゴヌクレオチドの中に含まれてもよい。好ましいキット実施態様は、捕捉プローブのSBPに対してSBP’を提供する固定プローブと共に、本明細書に記載の捕捉プローブオリゴマーを含む溶液を含む。キットは、一つを超える捕捉プローブ実施態様を含んでもよいこと、例えば、第1SBPを含む第1捕捉プローブ、および第2SBPを含む第2捕捉プローブを含んでもよいことが理解されよう。このような組成物は、種々の固定プローブを用いることによって、例えば、第1SBPに対して特異的な第1SBP’を持つ第1固定プローブ、および第2SBPに対して特異的な第2SBP’を持つ第2固定プローブを用いることによって、一つ以上のサンプルから、異なる複数の標的核酸を優先的に捕捉するのに有用である可能性がある。
【0013】
本明細書に記載の方法および組成物は、複雑な混合物、例えば、通例法によって処理されて細胞内核酸を溶液中に放出させた可能性のある、核酸または細胞から、核酸配列を精製するのに有用である。これらの組成物および方法は、多くの分子生物学過程、例えば、診断アッセイに使用されるインビトロ増幅および/または検出工程、生物学的試料の存在を検出するための法医学試験、または、環境、産業、または食品サンプルにおいて生物学的汚染を検出するためのアッセイにおいて使用するための核酸の調製に有用である。この標的捕捉法および組成物は、その中では微小成分にすぎないサンプルから標的核酸を濃縮し、検出感度を向上させる。この標的捕捉組成物および方法は、比較的穏やかな条件下で、比較的短時間で混合物から標的核酸を単離するので、種々の実験および野外条件における使用、または、手動または自動化システムによる多数サンプルのスクリーニングに好適であるという点で、特に有用である。さらに、この標的捕捉組成物および方法は、一つ以上の異なる標的核酸、例えば、様々の未知の核酸配列(例えば、様々のウィルスタイプまたはサブタイプ、様々のやり方でスプライスされた遺伝子のRNA転写物、または未知の遺伝子突然変異体)を含む可能性のあるサンプルから標的核酸を分離するのに有用である。本明細書に記載の非特異的捕捉プローブは、他のサンプル成分から、多くの異なる遺伝子サブタイプ、タイプ、突然変異体、または転写物を、各所望の標的核酸用の特異的捕捉プローブを設計、合成、または試験すること無しに、分離するのに使用し、その捕捉核酸に対し、後続工程において個別に検出、定量、またはその他のやり方で処理することが可能である。
【0014】
「サンプル」または「標本」とは、標的核酸が、成分の混合物の一部として、例えば、水中または環境サンプル、食品、法医学分析のために収集された試料、または診断試験のためのバイオプシーサンプルの一部として存在してもよい。「生物学的サンプル」とは、標的核酸を含む可能性のある生存または死亡生物から得られる任意の組織または材料、例えば、細胞、組織、細胞または組織から作製される分解物、痰、抹消血、血漿、血清、子宮頸部スワブサンプル、バイオプシー組織(例えば、リンパ節)、呼吸組織または滲出物、消化組織、尿、大便、精液、またはその他の液状体または材料を含むものを指す。サンプルは、標準法による分析用サンプルの調製に使用される場合のように、組織および/または細胞構造を物理的に破壊するように処理して、細胞内成分を、酵素、バッファー、塩、界面活性剤、およびその他の化合物を含んでもよい溶液の中に放出させてもよい。
【0015】
「核酸」とは、窒素性ヘテロ環塩基または塩基類縁体を有するヌクレオチドまたは類縁体を連結させてポリマーを形成する、マルチマー化合物、例えば、通例のRNA、DNA、混合RNA−DNA、およびその類縁体などを指す。核酸は、ヌクレオチドモノマーを連結する「バックボーン」を含むが、このバックボーンは、核酸鎖の中に、種々の結合部または立体配座、例えば、糖−ホスホジエステル結合、ホスホロチオエートまたはメチルホスホネート結合、ペプチド−核酸結合(PNA;Nielsenら、1994,Bioconj.Chem.5(1):3−7;国際公開第95/32305号)、2環フラノース単位を有するヌクレオチドモノマーが、RNA様糖立体配座の中に封じ込まれる、ロックド核酸(LNA)立体配座(Vesterら、2004,Biochemistry43(42):13233−41;Hakansson & Wengel,2001,Bioorg.Med.Chem.Lett.11(7):935−8)、または、そのような結合部の組み合わせを含む。核酸の糖成分は、リボース、デオキシリボース、または、類似化合物、例えば、2’メトキシ、または2’ハロゲン置換体を有する化合物であってもよい。窒素性塩基は、通例のDNAまたはRNA塩基(A、G、C、T、U)、塩基類縁体、例えば、イノシン、5−ニトロインダゾール、その他(The Biochemistry of the Nucleic Acids 5−36,Adamsら、ed.,11th ed.,1992;van Aerschottら、1995,Nucl.Acids Res.23(21):4363−70)、イミダゾール−4−カルボキサミド(Nairら、2001,Nucleosides Nucleotides Nucl.Acids,20(4−7):735−8)、ピリミジンまたはプリン誘導体、例えば、ピリミジン塩基修飾体6H,8H−3,4−ジヒドロピリミド[4,5−c][1,2]オキサジン−7−オン(AまたはGに結合する“P”塩基と表示されることがある)、およびプリン塩基修飾体N6−メトキシ−2,6−ジアミンプリン(CまたはTに結合する“K”塩基と表示されることがある)、ヒポキサンチン(Hillら、1998,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95(8):4258−63,Lin and Brown,1992,Nucl.Acids Res.20(19):5149−52)、2−アミノ−7−デアザ−アデニン(CおよびTと対形成する;Okamotoら、2002,Bioorg.Med.Chem.Lett.12(1):97−9)、N−4−メチルデオキシグアノシン、−4−エチル−2’−デオキシシチジン(Nguyenら、1998,Nucl.Acids Res.26(18):4249−58),4,6−ジフルオロベンジミダゾール、および2,4−ジフルオロベンゼンヌクレオシド類縁体(Klopffer & Engels,2005,Nucleosides Nucleotides Nucl.Acids,24(5−7)651−4)、ピレン官能基LNAヌクレオシド類縁体(Babu & Wengel,2001,Chem.Commun.(Camb.)20:2114−5;Hrdlickaら、2005,J.Am.Chem.Soc.127(38);13293−9)、デアザまたはアザ修飾プリンおよびピリミジン、5または6位置に置換基を有するピリミジン、および、2、6、または8位置に置換基を有するプリン、2−アミノアデニン(nA)、2−チオウラシル(sU)、2−アミノ−6−メチルアミノプリン、O−6−メチルグアニン、4−チオ−ピリミジン、4−アミノ−ピリミジン、4−ジメチルヒドラジン−ピリミジン、およびO−4−アルキル−ピリミジン(米国特許第5,378,825号;国際公開第93/13121号;Gamperら、2004、Biochem.43(31):10224−36)、および、水素結合無しに2本鎖DNAを形成する、疎水性核酸塩基(Bergerら、2000,Nucl.Acids Res.28(15):2911−4)であってもよい。多くの、誘導体および修飾体核酸塩基または類縁体が市販されている(例えば、Glen Research,Sterling,VA)。核酸は、一つ以上の「脱塩基」残基を含んでもよい、すなわち、バックボーンは、1箇所以上の位置において非窒素性塩基を含んでもよい(米国特許第5,585,481号)。核酸は、通例のRNAまたはDNA糖、塩基、および結合部のみを含んでもよいし、または、通例の成分と、置換体(例えば、2’−O−メチル結合を有する、通例のRNA塩基、または、通例の塩基および類縁体の混合物)の両方を含んでもよい。ハイブリダイゼーション複合体の安定性に影響を及ぼす可能性のある実施態様としては、PNA、2’−メトキシ、または2’−フルオロ置換RNAを含むオリゴマー、または、ハイブリダイゼーション複合体の全体電荷、電荷密度、または立体的会合に影響を及ぼす構造、例えば、荷電結合(例えば、ホスホロチオエート)、または中性基(例えば、メチルホスホネート)を含むオリゴマーが挙げられる。
【0016】
「オリゴマー」または「オリゴヌクレオチド」は、一般に、1000ヌクレオチド(nt)未満であって、約2から5ntの下限、および、約500から900ntの上限を持つサイズ範囲の核酸を指す。ある好ましいオリゴマー実施態様は、約5から15ntの下限、約50から600ntの上限を持つサイズ範囲の中にあるが、一方、別の好ましい実施態様は、約10から15ntの下限、約18から100ntの上限を持つサイズ範囲の中にある。オリゴマーは、天然供給源から精製してもよいが、任意の、公知の、酵素法または化学法によって合成することが好ましい。オリゴマーは、「ランダムポリマー」配列を含んでもよい。このランダムポリマーとは、全体長および他の特徴は実質的に同じであるが、ある指定の長さにおいて異なる塩基をランダムに組み込むことによって、例えば、DNAオリゴマーの中に四つ全ての標準的塩基(A、T、G、およびC)のランダムな組み合わせを、または、より大きなオリゴマーの、指定の一部に数塩基(UおよびG)のランダムな組み合わせを組み込むことによって合成される、オリゴマー集団を指す。得られるオリゴマーは、実際には、そのメンバーの有限数が、ランダム部分を構成する塩基の長さおよび数によって決定される、オリゴマーの集団(例えば、二つの異なる塩基を用いて合成される、6−ntランダム配列を含むオリゴマー集団における2個のオリゴマー)である。
【0017】
「捕捉プローブ」、「捕捉オリゴヌクレオチド」、または「捕捉オリゴマー」とは、標準的DNAまたはRNAに対し、別様の塩基対形成特性を示す配列を用いることによって、標的核酸に非特異的に結合し、かつ、その捕捉された標的核酸を溶液相から分離するために、該捕捉標的核酸を支持体に接合する核酸オリゴマーを指す。捕捉プローブは、捕捉標的核酸を支持体に接合するために、支持体に直接的、または間接的に接合されてもよい。好ましい捕捉プローブ実施態様は、標的核酸、および、支持体に付着する固定プローブに該捕捉プローブを接合するための特異的結合パートナー(SBP)に対し、一つ以上の、非ランダムまたはランダムポリマー部分の塩基対形成を使用する。SBPは、捕捉プローブのポリマー部分に直接的、連鎖的に接合されてもよく、あるいは、非ヌクレオチドリンカーを介して捕捉プローブ配列に接合されてもよい。「固定プローブ」は、支持体に付着されるが、捕捉プローブのSBPに特異的に結合する、特異的結合パートナー(SBP’)を含む、すなわち、SBPおよびSBP’は、特異的結合パートナーのメンバーである。好ましい捕捉プローブ実施態様は、kが、ランダム配列のGまたはT/Uである、一つ以上のポリ(k)セグメントから構成されるランダムポリマー部分を含む。好ましい捕捉プローブ実施態様は、SBPとして作動し、固定プローブのオリゴヌクレオチドに対して部分的に、または完全に相補的なオリゴヌクレオチド配列を含んでもよい、すなわち、SBPおよびSBP’は、完全に、または部分的に相補的な配列同士である。
【0018】
特異的結合パートナーは、相互に認識し、特異的に結合することが可能な、「特異的結合対」または「特異的結合パートナー組」のメンバーである。特異的結合対としては、例えば、受容体とリガンド、酵素と基質、酵素と補因子、酵素と補酵素、抗体と抗原、糖とレクチン、ビオチンとアビジンまたはストレプトアビジン、リガンドとキレート剤、ニッケルとヒスチジン、完全にか、または実質的に相補的な核酸配列同士、例えば、相補的ホモポリマー核酸配列同士などのメンバーが挙げられる。結合パートナー組の成分は、メンバーの、結合に参加する領域である。特異的結合対のメンバーは、短縮形SBPおよびSBP’によって表される場合がある。
【0019】
「固定プローブ」、「固定オリゴマー」、または「固定核酸」とは、捕捉プローブのSBPに特異的に結合し、支持体に付着する、特異的結合パートナー(SBP’)を指す。すなわち、SBP’およびSBPは、特異的に結合し、捕捉プローブと、支持体に連結する固定プローブとを接合する。固定プローブの、ある実施態様は、捕捉プローブ配列に対し完全にか、または部分的に相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドである。固定プローブおよび捕捉プローブを含む複合体は、捕捉プローブ、固定プローブ、および支持体に結合しない他のサンプル成分から、捕捉プローブに結合する標的核酸の分離をやり易くする。いずれの支持体を用いてもよく(例えば、溶液相における基質または粒子)、かつ、支持体は、種々の既知の材料(例えば、ナイロン、ニトロセルロース、ガラス、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、混合ポリマー、ポリスチレン、シランポリプロピレン、および金属)のいずれから構成されてもよい。好ましい支持体は、それに対し固定プローブが安定に、かつ直接的に(共有結合、キレート配位、またはイオン相互作用を介して)、または間接的に(リンカーを介して)接合される、磁気的に吸引可能な粒子、例えば、単分散性常磁性ビーズ(均一サイズ、5%)である。
【0020】
「分離する」、「精製する」、または「単離する」とは、サンプルの一つ以上の成分を、サンプルの、一つ以上の他の成分から選択的に取り出すこと、例えば、核酸を、その上さらに、タンパク、炭水化物、脂質、細胞破片、小器官、または無機質を含む可能性のある、全体として水性の溶液から取り出すことを指す。好ましい実施態様では、精製は、標的核酸の少なくとも約30%、より好ましくは標的核酸の少なくとも約50%、さらに好ましくは標的核酸の少なくとも約75%を取り出す。それとは別に、精製は、他のサンプル成分の少なくとも約75%、より好ましくは他のサンプル成分の少なくとも約85%、さらに好ましくは他のサンプル成分の少なくとも約90%を、標的核酸から取り除くことと見なしてもよい。
【0021】
「ハイブリダイゼーション条件」とは、完全にか、または部分的に相補的な核酸配列同士が、ハイブリダイゼーション2本鎖または複合体を形成する、累積的物理および化学条件を指す。このような条件は、当該技術分野の当業者には周知であり、ハイブリダイゼーションに関与する核酸の配列組成に基づいて予測することが可能であるか、または、通例試験を用いて経験的に決定することが可能である(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2nd ed.(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY,1989)at §§1.90−1.91,7.37-7.57,9.47-9.51,11.12−11.13,and11.45−11.57)。
【0022】
「十分に相補的」とは、ある連結核酸配列は、別の配列に対し、相補的塩基間の水素結合(例えば、G:C、A:T、またはA:U対形成)によってハイブリダイズすることが可能であることを意味する。相補配列は、その標的配列に対し、オリゴマー配列の各位置において、標準的塩基対を形成することによって相補的であってもよいし、あるいは、配列は、脱塩基残基を含む、相補的でない、一つ以上の位置を含んでもよいが、そのような配列も、その全体配列が、適切なハイブリダイゼーション条件においてはその標的配列にハイブリダイズすることが可能であるという点で、十分に相補的である。
【0023】
「核酸増幅」とは、標的核酸配列、またはその相補鎖、またはその断片(すなわち、増幅配列の長さが、完全標的核酸未満である)の複数コピーを生産する、任意の、周知のインビトロ過程を指す。このような過程の例としては、転写関連法、例えば、転写介在増幅(TMA)、NASBA法(nucleic acid sequence−based amplification)など(米国特許第5,399,491、5,554,516、5,437,990,5,130,238、4,868,105、および5,124,246号)、レプリカーゼ介在増幅(米国特許第4,786,600号)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(米国特許第4,683,195、4,683,202、および4,800,159号)、リガーゼ連鎖反応(LCR)(欧州特許出願第0320308号)、および、鎖置換増幅(SDA)(米国特許第5,422,252号)が挙げられる。
【0024】
「検出プローブ」とは、ハイブリダイゼーション条件下で、標的核酸に特異的にハイブリダイズし、該標的核酸を、直接(すなわち、プローブは、標的核酸に直接ハイブリダイズする)、または間接(すなわち、プローブは、中間構造を介して標的にハイブリダイズする)に検出することを可能にする、核酸オリゴマーを指す。検出プローブは、標的結合配列、および、その構造に寄与する他の成分を含んでもよい(米国特許第5,118,801、5,312,728、6,835,542、および6,849,412号)。
【0025】
「ラベル」とは、検出されるか、または、検出可能な信号を誘導する成分または化合物であって、検出プローブ、または検出される核酸に対し直接または間接に接合されても良い成分または化合物を指す。直接的に接合されるラベルは、共有相互作用、または非共有相互作用(例えば、水素結合、疎水性またはイオン相互作用、キレートまたは配位複合体形成)を用いてもよいし、間接的に接合されるラベルは、架橋結合成分またはリンカー(例えば、抗体またはオリゴマー)を用いてもよい。ラベルは、検出可能であればいずれの成分であってもよく、例えば、放射性核種、リガンド、酵素、酵素基質、反応基、発色団(例えば、染料、または色調を与える粒子)、発光性(生物発光、燐光、または化学発光)化合物、および蛍光化合物であってもよい。好ましいラベルは、均質アッセイにおいてすなわち、信号検出のために、結合ラベルから未結合ラベルを分離することを要することなく、検出することが可能な信号を提供する(米国特許第5,283,174、5,656,207、および5,658,737号)。好ましい均質条件下検出可能ラベルは、化学発光化合物、より好ましくはアクリジニウムエステル(AE)化合物である(米国特許第5,656,207、5,658,737、および5,639,604号)。ラベルを合成する方法、ラベルを核酸に付着させる方法、およびラベルからの信号を検出する方法は周知である(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2nd ed.第10章、および米国特許第5,658,737、5,656,207、5,547,842、5,283,174、および4,581,333号)。
【0026】
別様に定義されない限り、本明細書に使用される技術用語は、当業者によって普通に理解されるもの、または、技術文献、例えば、Dictionary of Microbiology and Molecular Biology,2nd ed.(Singletonら、1994,John Wiley & Sons,New York,NY),The Harper Collins Dictionary of Biology(Hale & Marham,1991,Harper Perennial,New York,NY)、および同様の刊行物の中に見出される定義のものと同じ意味を持つ。別様に記載されない限り、本発明に用いられるか、または考慮の対象とされる技術は、標準的な、周知の方法である。
【0027】
本明細書に開示される、非特異的標的捕捉法と違って、特異的標的捕捉法は、標的核酸の中の標的配列に特異的にハイブリダイズする配列を含む捕捉プローブを用いる(例えば、米国特許第6,110,678、6,280,952、および6,534,273号を参照されたい)。簡単に言うと、特異的標的捕捉法は、標的核酸の中の標的配列に特異的にハイブリダイズする、標的特異的配列、および、固定プローブにハイブリダイズする尾部領域から構成される捕捉プローブを用いる。この特異的標的捕捉法は、2工程ハイブリダイゼーション過程であって、第1ハイブリダイゼーション条件は、標的配列に対する、捕捉プローブの標的特異的配列の溶液相ハイブリダイゼーションを優先的に促進し、次いで、捕捉プローブ:標的核酸の複合体を維持する第2ハイブリダイゼーション条件は、支持体上の固定プローブに対する、捕捉プローブの尾部領域のハイブリダイゼーションを可能とし、そのため、支持体上に、固定プローブ、捕捉プローブ、および標的核酸から構成される複合体が形成される、過程を使用する。支持体および付着複合体は、溶液相に残留する他のサンプル成分から分離される。
【0028】
本明細書に記載される非特異的標的捕捉法は、捕捉プローブの一部の、別様塩基対形成特性(標準的DNAまたはRNA水素結合と比べ)を用いることによって、サンプル中の標的核酸に対し非特異的にハイブリダイズする捕捉プローブを利用する。この捕捉プローブは、支持体に、好ましくは、支持体上の固定プローブに特異的に結合することによって付着する。これによって、非特異的捕捉プローブと標的核酸とを含む複合体の、他のサンプル成分からの分離が可能となる。本法において使用される、好ましい捕捉プローブ実施態様は、特異的結合パートナー(SBP)に付着する、非ランダムまたはランダムポリマー配列を含む。このポリマー配列は、標的核酸に非特異的にハイブリダイズし、SBPは、固定プローブか、または支持体に付着する場合のある、特異的結合パートナー(SBP’)に結合する。非特異的捕捉プローブのある実施態様として、四つの標準的DNA塩基全て(グアニン(G)、シトシン(C)、アデニン(A)、およびチミン(T))、または、四つの標準的RNA塩基全て(G、C、A、およびウラシル(U))から構成されるランダムポリマー配列が挙げられる。ある実施態様は、ランダムポリマー配列の中に、一つ以上の塩基類縁体(例えば、イノシン、5−ニトロインドール)、または脱塩基位置を含む。好ましい実施態様は、ポリ(k)塩基から成る一つ以上の配列、すなわち、G、およびUまたはT塩基のランダム混合物(例えば、WIPO Handbook on Industrial Property Information and Documentation,Standard ST.25(1998)表1を参照されたい)を含むランダムポリマー配列を含む。GおよびU/T塩基を含む配列は、その「ゆらぎ」特性、すなわち、U/TがGまたはAに結合し、一方、GがCまたはU/Tに結合する特性に関して選ばれる。ランダムポリマー配列を持つように合成される非特異的捕捉プローブは、実際には、ランダム部分の合成中に含まれる塩基から構成される、種々のランダムポリマー配列を含む、オリゴヌクレオチドの有限集団であることが理解される。例えば、G、C、A、およびTから構成される、15ntランダムポリマー配列を含む、非特異的捕捉プローブの集団は、415個のメンバーから成る。
【0029】
本明細書に記載される非特異的捕捉プローブは、たくさんの異なる実施態様として存在してよいが、一般に、構造RP−SBP、またはSBP−RPによって表されてもよい。この文字式において、“RP”は、「ランダムポリマー」配列部分を表し、“SBP”は、「特異的結合パートナー」を表す。これらの図式的文字式において、SBPは、RPに対して直線的に表されているが、当業者であれば、SBPは、捕捉プローブのRPの任意の点で接合されてもよいことが了解されるであろう。RPが、G、およびUまたはT塩基から構成される実施態様では、非特異的捕捉プローブは、図式構造(k)−SBP、またはSBP−(k)によって表されてもよい。この式において、“k”は、RP部分のG、およびUまたはT塩基を表し、“x”は、k配列の長さ(ntで表した)を表し、“SBP”は、「特異的結合パートナー」を表す。このSBPおよび(k)配列は直線的に示されているが、SBPは、捕捉プローブに対し、任意の点で接合されてもよいことが理解されるであろう。
【0030】
非特異的捕捉プローブのSBP成分は、固定プローブの一部であってもよいSBP’に対して特異的に結合する特異的結合対のメンバーであれば、いずれのものであってもよい。SBPおよびSBP’メンバーとして好適な、特異的結合対の、ある実施態様は、受容体およびリガンドの対、酵素、および基質または補因子対、酵素および補酵素の対、抗体(または抗体断片)および抗原対、糖およびレクチンの対、ビオチン、およびアビジンまたはストレプトアビジン対、リガンドおよびキレート剤の対、ニッケルおよびヒスチジン、および、完全に、または実質的に相補的な核酸配列同士を含む。本標的捕捉法のある好ましい実施態様は、SBPおよびSBP’として、実質的に相補的な核酸配列、より好ましくは相補的ホモポリマー配列を用いる、例えば、捕捉プローブは、支持体に連結される、相補的、固定SBP’配列に対してハイブリダイズする、3’側が実質的にホモポリマーのSBP配列を含む。別のある好ましい実施態様は、SBPおよびSBP’メンバーとして、非核酸結合対を、例えば、アビジンまたはストレプトアビジンに特異的に結合するビオチンを使用する。
【0031】
非特異的捕捉プローブの実施態様は、種々の核酸立体配座の内の任意のもの、例えば、標準的DNAまたはRNAオリゴヌクレオチド、または、糖成分が置換体(例えば、2’メトキシ、または2’ハロゲン化物)を有する、一つ以上の修飾結合部を含むオリゴヌクレオチド、または、別様立体配座、例えば、ロックド核酸(LNA)またはタンパク核酸(PNA)立体配座を有する、一つ以上の位置を含むオリゴヌクレオチドを含有するように合成されてもよい。捕捉プローブ実施態様は、該捕捉プローブのランダムポリマーセグメントを接合するスペーサーとして、非ヌクレオチド化合物(例えば、C−9)を含んでもよい。非特異的捕捉プローブの好ましい実施態様は、ランダムポリマー部分が、2’メトキシ置換RNA残基、または、LNA立体配座を持つ一つ以上の残基を含むRNA残基を用いて合成されるものを含む。非特異的捕捉プローブのオリゴヌクレオチド部分に含まれる立体配座(単数または複数)の選択は、単離することを意図する標的核酸に応じて決めてよい。例えば、2’メトキシ置換RNA残基を有するランダムポリマー領域として合成される非特異的捕捉プローブは、RNA標的の捕捉には好ましいが、一方、あるLNA立体配座を伴ってランダムポリマー領域として合成されるプローブは、1本鎖DNA(ssDNA)標的を捕捉するのに好ましい。捕捉プローブのある好ましい実施態様は、複数の立体配座の組み合わせ(例えば、LNAおよびDNA)を含む。
【0032】
非特異的標的捕捉法は、実行するのに比較的早く、単純で、標的捕捉反応は僅か5分のインキュベーションしか必要としないので、通常、完了するのに1時間もかからない。要すれば実行してもよい捕捉工程、例えば、核酸をさらに精製するための捕捉核酸の洗浄を含めてもよいが、余分の時間(例えば、約20分)を要する。非特異的標的捕捉は、本明細書に記載するように、実質的に水性の溶液において、標的核酸を含むサンプルを、非標的捕捉プローブと、捕捉プローブが、その混合物において標的核酸に非特異的にハイブリダイズすることを可能とする条件下で、混合することを含む。このような条件は、短時間の高温(例えば、60℃を約15分)、次いで、室温でのインキュベーション(例えば、約20−25℃を約10から90分)を含んでもよい。ただし、全インキュベーションが室温で、実質的にさらに短くてもよい(例えば、5分)。混合物はさらに、SBP−SBP’特異的結合対を介して非特異的捕捉プローブに特異的に結合する固定プローブを含んでもよい。固定プローブは、捕捉プローブと同時に、または捕捉プローブがサンプルと混ぜ合わされる前か、または後に、混合物に導入されてもよい。ある好ましい実施態様では、固定プローブは、捕捉プローブがサンプルとインキュベートされた後に、サンプルおよび非特異的捕捉プローブの混合物の中に導入され、捕捉プローブが固定プローブに結合する前に、捕捉プローブと標的核酸が、溶液相において非特異的にハイブリダイズすることを可能とする。別の好ましい実施態様では、混合工程をできるだけ短縮するために、固定プローブは、捕捉プローブとほぼ同時に混合物の中に導入されるが、これは、自動化システムのために特に有用である。SBPとして尾部配列を有する捕捉プローブを使用する実施態様では、捕捉プローブは、固定プローブに含まれる相補配列(SBP’)に対し、核酸ハイブリダイゼーション条件下に特異的に結合し、これによって、捕捉プローブに非特異的に結合し、かつ、固定プローブを介して支持体に連結された標的核酸の、他のサンプル成分からの分離が可能となる。インキュベーションされ、捕捉プローブが、標的核酸に非特異的にハイブリダイズし、かつ、固定プローブに特異的に結合した後、固定プローブ、捕捉プローブ、および標的核酸から構成される複合体は、他のサンプル成分から分離される。これは、複合体を付着させた支持体を溶液相から分離することによって行われる。次に、必要に応じて洗浄工程(単数または複数)を実行して、複合体に付着している可能性のある、非核酸サンプル成分、複合体の成分、または支持体を除去してもよい。好ましい実施態様では、洗浄工程が実行され、その際、支持体に付着する複合体は、支持体上にハイブリダイゼーション複合体を維持する、実質的に水性の洗浄液によって洗浄され、次いで、支持体に付着する複合体が、他のサンプル成分を含む洗浄液から分離される。捕捉された標的核酸は、後続アッセイ工程が実行される前に、一つ以上の他の複合成分から分離されてもよいし、または、支持体に付着する複合体が直接後続工程(単数または複数)に使用されてもよい。後続工程としては、例えば、捕捉核酸の検出、および/または、捕捉核酸中に含まれる一つ以上の配列のインビトロ増幅が挙げられる。
【0033】
種々の条件下で設計、試験した非特異的捕捉プローブに基づいて、これらの組成物を用いる非特異的標的捕捉に関して下記の一般的結論が得られた。ランダム化GおよびU塩基を含む、非特異的捕捉プローブの方が、そのランダムG/Uポリマー部分と同数の合計ヌクレオチド数を有する、非ランダム反復(GU)配列を含むプローブよりも、標的捕捉においてより有効である。2’−メトキシRNA塩基を用いて合成される、ランダム化ポリ(k)配列を含む、非特異的捕捉プローブの方が、デオキシ結合を用いて合成される類似構造のプローブよりも標的捕捉においてより有効である。ランダム化ポリ(k)配列を含む、非特異的捕捉プローブの方が、そのランダムポリマー部分にランダム化DNAセグメント(ランダム化G、A、T、およびC塩基)を含むプローブよりも、標的捕捉においてより有効である。ランダム化ポリ(k)配列を含む、非特異的捕捉プローブの方が、同じ長さのポリ−イノシン、ポリ−U、またはランダム化CおよびA塩基(すなわち、ポリ(m)配列)を含むプローブよりも、標的捕捉においてより有効である。非特異的捕捉プローブに含まれる、一つ以上のランダムな連続配列の長さは変動してよいが、効率的標的捕捉のためには、約12nt以上のポリ(k)配列で十分である。非特異的捕捉プローブにおける、非ランダムオリゴヌクレオチドの存在、または、ランダムポリ(k)配列間の、非ヌクレオチドスペーサーの存在は、標的捕捉効率に影響を及ぼす可能性がある。ssDNA標的の捕捉において、ランダムポリ(k)配列の少なくとも一部をLNA立体配座として含む非特異的捕捉プローブは、同じ長さの、DNA立体配座の非特異的捕捉プローブよりも有効であり、かつ、LNAおよびDNA残基の混合物を含むプローブは、全てのポリ(k)配列をLNA立体配座として含むプローブよりも有効である。ランダムポリ(k)配列の少なくとも一部をLNA立体配座として含む非特異的捕捉プローブは、2本鎖DNA(dsDNA)の標的捕捉よりも、RNAおよびssDNAの捕捉に対してより有効である。ランダムポリ(k)配列の少なくとも一部をLNA立体配座として含む非特異的捕捉プローブの方が、同じ長さのランダムポリ(k)配列が、2’−メトキシRNA塩基を用いて合成される捕捉プローブよりも、RNA標的捕捉においてより有効である。これらの一般的パラメータは、意図する標的核酸、または意図するタイプの標的核酸を捕捉するための非特異的捕捉プローブ実施態様の設計、および最適化のために使用することが可能であり、所望の標的捕捉結果を与える、非特異的捕捉プローブおよび条件を選択するために、下記の実施例に記載される標準手順を用いて試験することが可能である。
【0034】
固定プローブは、標的捕捉法で使用されるハイブリダイゼーション条件において安定なものであれば、いずれの結合によって支持体に接続されてもよい。好ましい実施態様は、公知の方法、例えば、遠心、ろ過、磁気吸引、または、他の物理的または電気化学的分離によって溶液から回収することが可能な、単分散粒子の支持体を使用する。捕捉された標的核酸は、支持体の上で単離、濃縮される、すなわち、標的核酸は、初期サンプルにおける、その濃度に比べ支持体上で濃縮され、これは、その捕捉核酸を用いて実行される、後続のアッセイ工程の感度を向上させる可能性がある。
【0035】
本明細書に記載される標的捕捉法は、非特異的捕捉プローブはサンプル中の1種類以上の核酸に結合するので、同じサンプルから、二つ以上の標的核酸を同時に単離するために使用してもよい。ある実施態様では、非特異的捕捉プローブは、核酸(例えば、DNAおよびRNA)の混合物を含むサンプルから、ある特定タイプの核酸(例えば、RNA)を優先的に捕捉するのに使用するよう設計、選択してもよい。ある実施態様では、非特異的捕捉プローブは、該捕捉プローブが、異なる固定プローブに選択的に結合するように設計することによって、混合物から選択的に取り出し可能となるようにしてもよい。すなわち、固定プローブは、混合物に導入され、次いで、捕捉プローブおよび標的核酸を含む付着複合体によって分離される。例えば、DNAおよびRNA混合物においてRNAに優先的に結合する、第1非特異的捕捉プローブは、第1支持体上の第1固定SBP’に、第1SBPを介して結合し、DNAおよびRNA混合物においてDNAに優先的に結合する、第2非特異的捕捉プローブは、第2支持体上の第2固定SBP’に、第2SBPを介して結合してもよい。次に、付着複合体によって、第1および第2次支持体を、アッセイシステムの異なる領域に選択的に移動させるか、または、あるアッセイ中の異なる時点で選択的に取り出すことによって、サンプルのRNA成分を、同じサンプルのDNA成分から選択的に分離することが可能である。それぞれの使用のための、非特異的捕捉プローブの最適構造および条件を決定するための方法は、下記の実施例に記載される。
【0036】
非特異的標的捕捉の効率を試験するためにモデルシステムが用いられる。このシステムでは、RNA(Chlamydia trachomatis rRNA)およびDNA(合成オリゴヌクレオチド)標的核酸の捕捉のために、異なる種々の捕捉プローブおよび条件が用いられる。典型的試験では、既知の濃度の、検出可能なマーカーで標識された標的核酸(例えば、標識プローブ)を、実質的に水性溶液(例えば、塩およびキレート剤を含むバッファー液)と混合して調製した。実質的に水性の溶液中に、既知量の、試験される、非特異的標的捕捉プローブ、および、支持体(例えば、磁気粒子)に付着した、既知量の固定プローブを含む試薬と、サンプルの一部を混合して、標的捕捉混合物を作製する。非特異的捕捉プローブ、標的核酸、および、支持体に付着する固定プローブから構成される捕捉複合体の形成を可能とするために、この標的捕捉混合物を、指定の温度(単数または複数)で指定の時間(単数または複数)インキュベートした。次に、支持体上の複合体を、溶液相から分離した。溶液相の残留部分を除去するために、必要に応じて支持体上の複合体を洗浄し、支持体上の複合体を、洗浄液から分離した。支持体と会合するラベルが検出され、標的捕捉効率の測定値を提供する、すなわち、他のサンプル成分から分離される、標的核酸量の定量値を提供する。支持体上の複合体から最初に分離される、溶液相と会合するラベルも検出され、標的捕捉工程後も依然として溶液中に滞在する、標識標的核酸の測定値を提供する。異なる複数の非特異的捕捉プローブおよび条件が互いに比較できるように、最少数の成分を含むよう、モデルシステムは設計されるけれども、標的捕捉混合物には、追加のオリゴヌクレオチド、例えば、ヘルパーオリゴヌクレオチド(米国特許第5,030,557号、Hoganら)、および/または増幅プライマーを、標的捕捉混合物に含めてもよいことが理解されよう。
【0037】
ある場合、比較のために、標的核酸に特異的にハイブリダイズする特異的標的捕捉プローブを、既知の過程にしたがって用いることによって、サンプルに対し標的捕捉を実行する。その過程は、その標的核酸に対する、特異的捕捉プローブのハイブリダイゼーションを可能とする第1インキュベーション、および、その特異的捕捉プローブ中の相補配列に対する、固定オリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションを可能とする第2インキュベーションを含む(米国特許第6,110,678号、Weisburgら)。通常、この特異的標的捕捉過程は、検出プローブによって標識される標的核酸を含むサンプルを、その標的核酸に特異的に結合する捕捉プローブ(例えば、1.75pmoles)、および、常磁性粒子に、カルボジイミド化学(Lundら、1988,Nuc.Acids Res.16:10861−10880)によって付着させた、約100 :gの固定プローブ(例えば、0.7−1.05Fの磁気粒子(Seradyne))に付着させたdT14プローブ)と混合し、この混合物を55−60℃において約15−30分、次いで、室温で5−15分インキュベートし、捕捉プローブと標的核酸との、次いで、固定プローブと、捕捉プローブ:標的核酸複合体との継時的ハイブリダイゼーションを可能とする。磁場を印加することによって、複合体を付着させた粒子は、容器の一部において溶液相から分離され(米国特許第4,895,650号)、上清が除去される。粒子は、洗浄液(例えば、室温で1ml)に縣濁され、この磁気分離工程が繰り返される。
【0038】
非特異的標的捕捉プローブは、当該技術分野で周知の、標準的インビトロ法によって合成される(Caruthersら、Methods in Enzymology,vol.154,p.287(1987);米国特許第5,252,723号、Bhatt;国際公開第92/07864号、Klemら)。合成オリゴヌクレオチドは、標準的RNA塩基および結合部、DNA塩基および結合部、2’メトキシ結合を有するRNA塩基、LNA立体配座、または、そのような構造体の組み合わせを含むオリゴヌクレオチドを有するDNA塩基を用いて作製される。あるオリゴヌクレオチドは、非ヌクレオチドスペーサー(例えば、C−9)、または核酸類縁体(例えば、イノシン、または5−ニトロインドール)を含むように合成される。捕捉プローブの非特異的部分は、通常、ランダムな“k”残基の一つ、または一連の位置、すなわちRNA塩基であればGまたはU、あるいは、DNAまたはLNA塩基であればGまたはTの、一つ、または一連の位置を含む。別様に指示しない限り、ランダムなk残基は、等量のGおよびU塩基、またはGおよびT塩基を含む混合物を用いて合成される。非特異的プローブの多くの実施態様は、標的核酸に非特異的にハイブリダイズする非特異的配列を含む5’部分、および、通常dTdA30、またはdA30配列で構成される3’DNA「尾部」配列を含む。この尾部部分は、支持体に付着するポリdTオリゴマーに対して相補的であり、そのため、捕捉プローブは(標的核酸を結合させたものも、そうでないものも)、支持体と会合され、標的捕捉混合物の溶液相から分離される。非特異的捕捉プローブに付着するものであれば、いずれの「尾部」配列であっても、すなわち、非核酸性特異的結合パートナー(SBP)であってもよいこと、支持体上の選ばれた特異的結合パートナー(SBP’)は、SBPに対する特異的結合対のメンバーであることが理解されよう。
【0039】
本明細書に記載される非特異的捕捉プローブの実施態様は、5’から3’方向に向かうオリゴヌクレオチド成分の構造を簡略化するために下記の命名法を用いる。ランダムなGまたはU/T塩基から成る一つ以上の残基を含むオリゴヌクレオチドは、用語“(k)”を用いる。この用語において、“k”は、GおよびU、またはGおよびTのランダムな組み合わせを表し、“x”は、GおよびU、またはGおよびT塩基のランダムな組み合わせにおける位置の数を示す。オリゴヌクレオチドが標準的RNAバックボーンを用いる場合、用語はさらに、GおよびU塩基のランダムな組み合わせにおけるRNAを表示するために“r”を、例えば、r(k)を含めてもよい。一方、オリゴマーが、2’−メトキシ結合のバックボーンを有するRNA塩基を用いる場合、用語はさらに、GおよびU塩基のランダムな組み合わせの修飾型結合を表示するために“2’−Omer”を、例えば、2’−Ome−(k)を含んでもよい。オリゴヌクレオチドが、標準的DNA結合を用いる場合、用語は、GおよびT塩基のランダムな組み合わせにおけるDNAを表示するために“d”を、例えば、d(k)を含んでもよく、一方、オリゴマーが、ロックド核酸(LNA)立体配座を有するDNA塩基を用いる場合、用語は、GおよびT塩基のランダムな組み合わせにおけるLNA立体配座を表示するために“L”を、例えば、L(k)を含んでもよい。異なる種々の部分の組み合わせから構成されるオリゴヌクレオチドは、その全体構造を定義するために、これらの用語の一つ以上を含んでもよい。例えば、5’から3’方向において、標準的DNA結合を有する6個のランダムなGおよびT、標準的DNA結合を有する3個のT塩基、および、標準的DNA結合を有する5個のランダムなGおよびT塩基(k塩基)は、d(k)−dT−d(k)のように簡略化されると考えられる。もう一例挙げると、5’から3’方向に、LNA結合を有する、5個のランダムなGおよびT塩基、DNA結合を有する3個のA塩基、および、DNA結合を有する、4個のランダムなGおよびT塩基から構成されるオリゴヌクレオチドは、L(k)−dA−d(k)のように簡略化されると考えられる。もう一例挙げると、5’から3’方向に、2’−メトキシ結合を有する、10個のランダムなGおよびU塩基、および、標準的DNA結合を有する15個のA塩基の3’尾部から構成されるオリゴヌクレオチドは、2’−Ome−(k)10−dA30と簡略化されると考えられる。
【0040】
少数の場合では、比較的複雑な構造の合成オリゴヌクレオチドは、意図される構造に基づくオリゴヌクレオチドの予想分子量(M.W.)と比較して、合成オリゴヌクレオチドの実際の分子量を定量することによって調べられる。例えば、16308Dの予想M.W.を有する、L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−L(k)−dTdA30(配列番号18)の構造体を生産するために合成される、二つの異なるバッチのオリゴヌクレオチドは、16263Dおよび16248DのM.W.を有することが判明した。これよりもやや低いM.W.測定値は、集団の中の少数のオリゴヌクレオチドが、T/G混合物ではなく、主にTを有することを意味する。
【0041】
標的捕捉プローブおよび条件の相対的効率は、捕捉プローブ、標的核酸、および、支持体に付着する固定プローブを含む複合体が、混合物から分離された後、捕捉標的に結合する検出プローブから発せられる信号を測定することによって定量される。検出プローブは、標的核酸の任意の地点に付着させてよいが、試験されるモデルシステムにおいてサンプル中の標的核酸を標識する際の、簡便および一貫性のために、検出プローブは、サンプル作製過程において、標的核酸に特異的にハイブリダイズされる。当業者であれば、捕捉標的核酸は、他の標準的核酸検出法、例えば、捕捉の前または後に、標的核酸に染料を結合することによって、または、標的核酸に直接検出可能なラベル(例えば、放射性ラベル)を組み込むことによって検出してもよいことを了解するであろう。
【0042】
モデルシステムにおいて種々の標的核酸とともに種々の捕捉プローブを用いることによって得られる結果に基づくと、非特異的捕捉プローブは、同じ条件下でも、種々の効率で作動する。これは、非特異的捕捉プローブの構造が、ある特定タイプの標的核酸に対する相対的アフィニティーに影響することを示す。これらの所見に基づいて、当業者であれば、あるタイプの標的核酸を選別する捕捉反応の効率を偏倚させるように、例えば、RNA標的ではなく、DNA標的を優先的に捕捉するように反応を偏倚させるように、標的捕捉プローブを設計し、最適化することが可能であろう。本明細書に記載される方法を用い、当業者であれば、種々の、異なるが、構造的には関連する捕捉プローブを設計し、ある特定タイプの標的核酸の効率的捕捉のために、捕捉反応を最適化するよう、それらの捕捉プローブを試験することが可能であろう。
【0043】
実施例は、開示の非特異的標的捕捉法および組成物の実施態様を記載するために含まれる。下記に記載されるアッセイにおいて一般的に使用される試薬は下記の通りであるが、分子生物学分野の当業者であれば、記載される反応および試験の基本工程を実行するために、たくさんの、別の試薬が入手可能であることを了解されるであろう。サンプル輸送試薬:110mM ラウリル硫酸リチウム(LLS)、15mM NaHPO、15mM NaHPO、1mM EDTA、1mM EGTA、pH6.7。標的捕捉試薬(TCR):250mM HEPES、1.88M LiCl、310mM LiOH、100mM EDTA、pH6.4、および250Fg/mlの常磁性粒子((dT)14オリゴマーを共有的に結合させた、0.7−1.05F粒子、Sera−Mag(商標)MG−CM)。洗浄液:10mM HEPES、150mM NaCl、1mM EDTA、0.3%(v/v)エタノール、0.02%(w/v)メチルパラベン、0.01%(w/v)プロピルパラベン、および0.1%(v/v)ラウリル硫酸ナトリウム、pH7.5。ハイブリダイゼーション試薬:100mM コハク酸、2%(w/v)LLS、100mM LiOH、15mM アルドリチオール−2、1.2M LiCl、20mM EDTA、および3.0%(v/v)エタノール、pH4.7。選択試薬:600mM ホウ酸、182.5mM NaOH、1%(v/v)オクトキシノール(TRITON(登録商標)X−100)、pH8.5またはpH9.2、ハイブリダイズしない検出プローブオリゴマー上のAEラベルを加水分解するため。検出試薬は、検出試薬I:1mM 硝酸および32mM H、および検出試薬II:1.5M NaOHを含む。これは、AEラベルから化学発光を誘起するためである(米国特許第5,283,174、5,656,744、および5,658,737号を参照されたい)。
【0044】
捕捉された標的核酸は、分子生物学に精通する当業者に周知される、核酸を検出するものであれば、いずれのプロセスを用いて検出してもよい。例えば、捕捉核酸は、核酸全般に特異的に結合するか、または、特定形態の核酸に選択的に結合する染料を用いて検出してもよい。特異的核酸は、捕捉核酸中の標的配列に特異的にハイブリダイズする検出プローブを結合させることによって検出してもよいし、あるいは、捕捉核酸中の標的配列は、インビトロ核酸増幅によって処理して該捕捉核酸の一部を増幅し、次いで、検出してもよい。実施例に記載されるモデルシステムでは、サンプル中の標的核酸は、一般に、標的捕捉前に、それを特異的検出プローブにハイブリダイズすることによって標識する。この特異的検出プローブは、別の文書(米国特許第5,658,737号の、コラム25、27−46行、およびNelsonら、1996,Biochem.35:8429−8438の8432を参照されたい)に詳述される周知の方法を用い、均一システムにおいて化学発光信号(相対的明度単位、または“RLU”で表される)を誘起するアクリジニウムエステル(AE)化合物によって標識される。
【実施例】
【0045】
(実施例1)
RNAの非特異的標的捕捉
本実施例は、RNAの捕捉において、種々の非特異的標的捕捉プローブの効率を明らかにする。試験は、既知量のChlamydia trachomatis rRNA(16Sおよび23S rRNAの混合物)を用いて実行した。捕捉前に、該rRNA中の配列に対して相補的な標識検出プローブにハイブリダイズさせて、その標的rRNAを標識した。典型的には、試験サンプルを調製するために、200fmoleのrRNAを、ハイブリダイゼーション試薬に溶解した1pmoleのAE標識にハイブリダイズさせ(0.04mlにおいて60℃で60分)、次いで、室温(RT)に冷却し、0.3mlのハイブリダイゼーション試薬で希釈した。プローブ標識標的核酸混合物の分液(10Fl)を、0.5mlの実質的に水性の溶液(0.2mlのサンプル輸送試薬、0.2mlの水、および0.1mlの、ポリdT固定プローブを有する50Fgの磁気粒子を含むTCR)、および20pmoleの非特異的捕捉プローブと混合した。標的核酸に対し非特異的捕捉プローブを付着させ、相補的固定プローブに対し非特異的捕捉プローブの3’尾部をハイブリダイズさせるために、この混合物をインキュベートした。反応容器の外側に磁場を印加することによって溶液相から磁気粒子を分離し(ペレット部分)、上清を取り出し、保存した。ペレット部分において付着複合体を有する磁気粒子は、必要に応じて洗浄し(1mlの洗浄液でRTにおいて)、前と同様に、洗浄液から分離してペレット状とした。ペレット部分において複合体を付着させた磁気粒子は、0.1mlのバッファー水溶液に縣濁し、0.1mlの保存上清部分を、別に50Fgの磁気粒子と混合して、信号検出のための比較上清分液とした。60℃で10分間インキュベートして、検出プローブ上の、標的核酸に結合していないAEラベルを加水分解させたペレットと上清サンプルの両方に選別試薬(0.2ml)を加えた。次に続いて、標的核酸に結合したプローブ上に残留するAEラベルから化学発光を誘起するために検出試薬を加え、相対的明度単位(RLU)信号を、光度計(LEADER(登録商標)、Gen−Probe Incorporated)で、ほぼ以前に記載された通りに(米国特許第5,283,174および5,656,744号、Arnoldら、および、米国特許第5,658,737号、Nelsonら、カラム25、27−46行;Nelsonら、1996,Biochem.35:8429−8438、8432ページ)測定した。
【0046】
第1組の試験では、非特異的捕捉プローブは、RNA塩基と2’−メトキシ結合から構成される、5’非特異的標的捕捉配列、および、dTdA30の、3’−DNA尾部配列を有し、それらは、下記の構造:
(n)−U−(n)dTdA30(配列番号1)、
(n)−Ni−(n)dTdA30(配列番号2)、前式において“Ni”は5−ニトロインドールを表し、
(n)−Ni−(k)−(n)dTdA30(配列番号3)、前式において“Ni”は5−ニトロインドールを表す、
によって示される。
【0047】
標的捕捉試験は、前述のように、60℃で15分、次いでRTで90分のインキュベーションを用いて実行した。陰性コントロールは同様に処理されたが、標的捕捉プローブを含んでおらず、陽性コントロールは、以前に記載された通り、標識rRNAプローブ中の標的配列に特異的にハイブリダイズする配列を含む、特異的標的捕捉プローブを用いた。表1は、これらの試験で得られた結果を示し、上清およびペレット部分で検出されたRLUを、それぞれ、カラム2および3に示し、ペレットにおいて捕捉された標的核酸のパーセント計算値をカラム4に示す。これらの結果から、ランダム化6マー間に5−ニトロインドールスペーサーを含む、二つの非特異的捕捉プローブの間では、ランダム化k・6マー(G/U)を含むプローブの方が、ランダム化n・6マー(G、A、C、およびU)を含む非特異的捕捉プローブよりも、より効率的にRNAを捕捉すること、および、三つのU塩基によって連結される、ランダム化n・6マーを含む捕捉プローブは、ランダム化k・6マーを含むプローブと同程度に標的を捕捉することが示された。
【0048】
【表1】

第2組の試験では、非特異的捕捉プローブは、RNA塩基と2’−メトキシ結合から構成される、5’非特異的標的捕捉配列、および、3’dTdA30配列を有し、それらは、下記の構造:
(l)12−dTdA30(配列番号4)、前式において“l”はイノシンを表し、
(k)-C9−C9−(k)−dTdA30(配列番号5)、前式において“C9”は、9炭素非ヌクレオチドスペーサーを表し、
(k)−C9−(k)−C9−(k)−dTdA30(配列番号6)、前式において“C9”は、9炭素非ヌクレオチドスペーサーを表す、
によって示される。
【0049】
標的捕捉試験は、前述のように行った。ただし、インキュベーションは、60℃で15分、次いでRTで60分とした。表2は、前述のように表示された、これらの試験の結果を示す。これらの結果から、C9スペーサーを含む、二つの非特異的捕捉プローブの間では、二つのk・6マーを有するプローブ、および三つのk・6マーを含むプローブの両方とも、rRNAを効率的に捕捉したが、ポリイノシンプローブは、RNA標的捕捉において非効率的であることが示された。
【0050】
【表2】

第3組の試験では、配列番号5および6の、C9含有非特異的捕捉プローブを同様に試験した。ただし、インキュベーションは、60℃で15分、次いでRTで15分とした。これらの実験において、RNA捕捉の効率は、陽性コントロールの79%捕捉、および陰性コントロール(0%捕捉)と比べ、配列番号5の捕捉プローブでは32%、配列番号6の捕捉プローブでは50.7%であった。
【0051】
(実施例2)
RNAの非特異的標的捕捉
本実施例は、標的捕捉インキュベーションを室温で10から30分とすることを除いて、実施例1の記載と実質的に同様に実行されるアッセイにおいて、種々の異なる捕捉プローブを用い、rRNAに対する非特異的標的捕捉の効率を明らかにする。使用した非特異的捕捉プローブは全て、RNA塩基および2’−メトキシ結合、および3’DNA尾部配列を用いて合成した。
【0052】
第1組の試験では、配列番号5および6の、C9−含有非特異的捕捉プローブを、RT30分のインキュベーションを用いて試験したところ、RNA捕捉の効率は、陽性コントロールの53%捕捉、および陰性コントロールの1.3%捕捉と比べ、配列番号5の捕捉プローブで71%であり、配列番号6の捕捉プローブで89.5%であった。これらの結果は、RNAの効率的、非特異的標的捕捉には、60℃のインキュベーションは必要ないことを示す。
【0053】
第2組の標的捕捉においても、RT30分でインキュベーションし、配列番号5の非特異的捕捉プローブを、他の、三つの非特異的捕捉プローブと比較した。それらは、下記:
(k)12−dTdA30(配列番号7)、
(k)−U−(k)−dTdA30(配列番号8)、および、
(k)−U−(k)−dTdA30(配列番号9)
に示される構造を有する。
【0054】
表3は、実施例1に記載されるように表示して、これらの試験の結果を示す。これらの結果は、全てRTで標的RNAを捕捉する、異なる非特異的捕捉プローブ設計の、相対的効率を示す。
【0055】
【表3】

第3組の試験では、同じ非特異的捕捉プローブ(配列番号5、7、8、および9)を用いてrRNAの標的捕捉を実行した。ただし、インキュベーションはRT10分で行った。これらの試験の結果を表4に示す。表3のものと比べたこれらの結果から、RTにおけるより長いインキュベーションでは、やや大きな標的捕捉が得られるが、著明な標的捕捉は、RT僅か10分でも起こることが示された。二つのk・6マーを連結するUを含むプローブと、二つのk・6マーを連結するUを含むプローブの捕捉効率に関する、表4の結果の比較は、Uスペーサーを有するプローブの方がより効率的であることを示す。上記およびその他の結果に基づくと、一般に、より短いスペーサー(例えば、3nt、または一つのC−9スペーサー)を含む捕捉プローブの方が、同様の構造を持つ、より長いスペーサー(例えば、6nt、または二つの隣接C−9スペーサー)を含むプローブよりも効率的である。
【0056】
【表4】

(実施例3)
HIV−1標的RNAの標的捕捉
本実施例は、HIV配列を捕捉するための、二つの異なる非特異的標的捕捉プローブの使用を示す。これらのプローブは、HIV−1のプロテアーゼコード遺伝子およびRT4遺伝子の部分に対応する合成RNA配列であった。試験は、両標的核酸に対し個別に行った。すなわち、クローンされたプロテアーゼおよびRT4配列から調製される、既知量のインビトロRNA転写体(681ntプロテアーゼ転写体、および471ntRT4転写体)を用い、これらを、捕捉される前に、標的rRNA中の配列に対して相補的な標識検出プローブに、特異的、個別的にハイブリダイズさせた。試験サンプルを調製するために、200fmoleの標的RNAを、ハイブリダイゼーション試薬に溶解したAE標識検出プローブと特異的にハイブリダイズさせ(0.04mlにおいて60℃で60分)、室温(RT)に冷却し、0.3mlのハイブリダイゼーション試薬で希釈した。このプローブ−標識標的RNA混合物の分液(10Fl)を、0.5mlの実質的に水性の溶液(0.2mlのサンプル輸送試薬、0.2mlの水、および0.1mlの、ポリdT固定プローブを有する50Fgの磁気粒子を含むTCR)、および20pmoleの非特異的捕捉プローブと混合した。標的核酸に対し非特異的捕捉プローブを付着させ、固定プローブに対し捕捉プローブの3’尾部をハイブリダイズさせるために、この混合物をRTで30分インキュベートした。磁場を印加することによって溶液相から、複合体を付着させた磁気粒子(ペレット部分)を分離し、上清を保存した。ペレット部分を洗浄し(0.5mlのサンプル輸送試薬でRTにおいて)、前と同様に分離してペレット部分を作製し、これを、RLUの検出のために、0.1mlのバッファー水溶液と混合した。RLU検出のために、保存上清の一部(0.1ml)を50Fgの磁気粒子と混合した。RLU検出のための各混合物に、選択試薬(0.2ml)を加え、混合物を60℃で10分間インキュベートし、次いで、検出試薬と混合し、実施例1に記載の通りに化学発光(RLU)の検出を行った。
【0057】
これらの試験で用いた非特異的捕捉プローブは、(k)12−dTdA30(配列番号7)、および、(k)−C9−(k)−C9−(k)−dTdA30(配列番号6)であった。陰性コントロールは、試験サンプルと同様に処理したが、その混合物は捕捉プローブを含んでいなかった。表5は、二つの非特異的捕捉プローブが共に、混合物からHIV−1標的RNAを捕捉することにおいて有効であることを示す、試験結果を示す。
【0058】
【表5】

(実施例4)
非特異的捕捉プローブを用いる標的捕捉の反応速度
本実施例は、非特異的捕捉プローブを用いる標的捕捉が、RTにおいて効率的で、顕著な捕捉が、僅か2−5分で起こることを示す。これらの試験は、種々の期間(1−60分)インキュベーションしたことを除き、実質的に、実施例2に記載する通りに行った。インキュベーション後、ペレット部分を単離し、捕捉標的RNAからの信号(RLU)を測定し、標的捕捉の相対的効率の継時変化を求めた。
【0059】
第1組の試験では、下記の非特異的捕捉プローブ(反応当たり20pmole)を用いて、検出プローブ標識rRNA標的を捕捉した。捕捉プローブは全て、非特異的部分にはRNA塩基および2’−メトキシ結合、および3’DNA尾部を伴って合成された:(k)12−dTdA30(配列番号7)、(k)18−dTdA30(配列番号11)、および(k)24−dTdA30(配列番号12)。標的捕捉混合物は、RTで、1、2、5、10、および20分インキュベートし、次いで、ペレット部分を単離し、信号を測定した。関連試験では、同じ非特異的捕捉プローブ、および、5’非特異的部分に、2’−メトキシ結合RNA塩基、および、DNAおよびLNA立体配座の混合体としてポリA残基を含む3’尾部を伴って合成された(k)18捕捉プローブ(配列番号13、図式では、(k)18−dTdALAdALAdALAdALAdALAdALAdALAdALAdALAdAとなり、これは、表6では(k)18−dT/L(A30)に短縮される)を同じ条件下に試験した。ただし、インキュベーションは18分であった。これらの試験の全てにおいて、陰性コントロールは、標的捕捉混合物中に捕捉プローブが含まれなかったことを除いては、試験サンプルと同様に処理した。陰性コントロールは、標的の1.4から1.9%に相当するRLU信号をもたらした。これらの試験の結果を表6に示す。結果から、最大捕捉は、18−20分のインキュベーション後に観察されるが、顕著な捕捉が、室温において、僅か1−2分のインキュベーション後に観察されること、および、3’尾部におけるLNA立体配座の存在は、非特異的標的捕捉の効率を改善しないことが明らかにされた。
【0060】
【表6】

第2組の試験では、第1組試験と同じ非特異的捕捉プローブ、および、(G/T)18−dTdA30(配列番号14)で示されるように、ランダムなGおよびT塩基から成る18−nt部分を含み、2’−メトキシ結合および3’DNA尾部を伴って合成された、もう一つの非特異的捕捉プローブを用いて、同じrRNA標的を捕捉した。この標的捕捉混合物は、RTで5および60分インキュベートされ、次いで、そのペレット部分が単離され、信号が測定された。同様に処理されるが、捕捉プローブを含まない陰性コントロールは、ペレット部分において、5分のインキュベーション後1078RLU、60分のインキュベーション後2160RLUを与えた。非特異的捕捉プローブを用いて実行した反応の試験結果を表7に示す。この結果から、最大捕捉は、60分のインキュベーション後に観察されるが、RT5分のインキュベーション後でも顕著な捕捉が観察されることが明らかにされた。
【0061】
【表7】

第3組の試験では、ランダムG/U配列またはランダムG/T配列のいずれかとして、2’−メトキシ結合を伴って合成される、18−ntの5’部分、および3’DNA尾部を有する非特異的捕捉プローブを用いて、同じrRNA標的を捕捉した。この標的捕捉混合物は、RTで0から50分インキュベートされ、次いで、そのペレット部分が単離され、信号が測定された。これらの試験の結果を表8に示す。この結果から、最大捕捉は、50分のインキュベーション後に観察されるが、RT1−2分のインキュベーション後でも顕著な捕捉が観察され、かつ、全ての時点において、ランダムG/T配列を含む捕捉プローブの方が、ランダムG/U配列を含む捕捉プローブよりも、やや効率的に捕捉することが明らかにされた。
【0062】
【表8】

(実施例5)
種々の設計の非特異的捕捉プローブによる標的捕捉
本実施例は、非特異的捕捉プローブの、多くの異なる実施態様が、rRNA標的核酸の捕捉において有効であること、および、アッセイ性能を最適化するために、種々の捕捉プローブの試験の使用が可能であることを明らかにする。本実施例に記載される試験は、標的として検出プローブ標識rRNAを、標的捕捉混合物のRTインキュベーションを用いる点で、実施例2に記載されるやり方とほぼ同様にして実行した。
【0063】
第1組の試験では、非特異的捕捉プローブは全て、dTdA30の3’DNA尾部を含み、5’非特異的部分には種々の異なる構造を持つように合成された。その構造は、下記:
(k)18−dTdA30(配列番号11)、5’部分は、RNA塩基および2’−メトキシ塩基によって合成される;
d(k)-dT−d(k)−dTdA30(配列番号10)、5’部分は、DNAのみによって合成される;
L(k)−dT−L(k)−dTdA30(配列番号15)、5’部分は、LNAおよびDNAとして合成される;および、
L(k)−d(k)−dT−L(k)−d(k)−dTdA30(配列番号16)、5’部分は、LNAおよびDNAとして合成される、
に記載する通りである。配列番号11の捕捉プローブは、種々の割合のGおよびU塩基(50:50、70:30、および30:70)を用いて合成した。これは、効率的RNA標的捕捉には、どの特定のランダム混合物が好ましいかを決定するためであった。標的捕捉混合物は、別々に、20pmoleの非特異的捕捉プローブを含み、RTで20分インキュベートし、次いで、標的捕捉後、ペレット部分に関連する信号を定量するために、実施例2に記載するように処理した。陰性コントロールは、混合物が捕捉プローブを含まないことを除いては同様に処理したが、上清部分では38267RLUを、ペレット部分では1379RLUを与えた。これらの試験の結果を表9に示す。この結果から、非特異的捕捉プローブの、種々の立体配座の働きは、異なる相対的効率を示すことが明らかにされた。G:U=50:50または30:70となるように合成された、GおよびU塩基のランダムな組み合わせは、G:U=70:30となるように合成されたものよりも、より有効であった(表9の2列目から4列目を比較せよ)。類似の構造を持つが、LNA残基によって作製された捕捉プローブの方が、DNA残基による、対応捕捉プローブよりも有効であった(表9の5列目および6列目を比較せよ)。
【0064】
【表9】

本実施例の第1組試験と同じ標的核酸および標的捕捉条件を用いて実行された、第2組の試験では、全て2’−メトキシ結合によって合成された18−nt非特異的領域を含み、全て3’DNA尾部を有する、種々の非特異的捕捉プローブが比較された。k18部分が、50:50、70:30、および30:70比率の混合物を用いて合成される、(k)18−dTdA30(配列番号11)の捕捉プローブを、U18−dTdA30(配列番号17)の捕捉プローブと比較した。これらの試験の結果は、標的rRNA捕捉におけるこれらの捕捉プローブの相対的効率を示した。ポリU含有捕捉プローブは、もっとも効率が低く(3.5%捕捉)、G:U=70:30を用いて作製した、ポリk含有捕捉プローブは効率的であり(41%捕捉)、G:U=50:50および30:70を用いて作製した、ポリk含有捕捉プローブはもっとも効率的であった(それぞれ、73%および65%捕捉)。したがって、比較試験は、非特異的標的捕捉のためのプローブ設計を最適化するために使用することが可能である。
【0065】
(実施例6)
種々の量の非特異的捕捉プローブによる標的捕捉
本実施例は、反応に含まれる非特異的捕捉プローブの最適量を決定することによって、標的捕捉反応を最適化することが可能であることを示す。これらの試験は、ほぼ、実施例2に記載される反応混合物および条件を用いて行った。ただし、反応当たり、種々の量(例えば、1−60pmole)の非特異的捕捉プローブを用いた。標的捕捉反応は、RTで10−25分インキュベートし、次いで、ペレット部分を分離し、捕捉効率を、ペレット部分のRLUを検出することによって測定した。
【0066】
第1組の実験では、種々の立体配座を有する、18−ntの非特異的領域を含む非特異的捕捉プローブを合成し、比較した。第1立体配座は、5’部分ではRNA塩基および2’−メトキシ結合によって、3’尾部ではDNAとして合成した(k)18−dTdA30(配列番号11)であり、第2立体配座は、5’部分ではLNAおよびDNA立体配座のDNA塩基によって、3’尾部ではDNAとして合成したL(k)−d(k)−L(k)−d(k)−L(k)−dTdA30(配列番号18)であった。これら二つの捕捉プローブを、同じrRNA標的を用い、ただし、別々に、反応当たり、1、2、5、10、15、20、30、および60pmoleの捕捉プローブを用い、RTで10分インキュベートして試験した。表10に示す、これらの試験結果は、反応当たり約15−30pmoleの捕捉プローブが使用された場合、捕捉はもっとも効率的であり、バックボーンに2’−メトキシ結合を有する捕捉プローブの方が、DNAおよびLNA残基を有する立体配座よりもやや効率的であることを示す。
【0067】
【表10】

第2組の試験では、5’部分においてRNA塩基および2’−メトキシ結合によって合成された立体配座(k)18−dTdA30(配列番号11)を有する非特異的捕捉プローブを、5’部分においてDNAおよびLNAを、ただし、L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−dTdA30(配列番号19)として含む立体配座と比較した。いずれのプローブも3’DNA尾部を含んでいた。捕捉プローブを、反応当たり、1、2、5、10、15、20、40、および60pmoleで使用し、RTで15分インキュベーションしたことを除いては、反応は、本実施例の第1組試験の記載とほぼ同様に行った。これらの試験の結果を表11に示す。これらの結果から、いずれの立体配座も、RNA標的を効率的に捕捉するが、試験した濃度範囲の最低部分では、LNA含有捕捉プローブの方が、捕捉がやや効率的に行われることが示された。
【0068】
【表11】

別の一組の試験が、二つの異なる濃度の、DNAおよびLNA残基を含むK18捕捉プローブを用い同様にして行われた。一方の立体配座は、L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−L(k)−dTdA30(配列番号18)であり、他方は、L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−dTdA30(配列番号19)であり、反応当たり、0、1、2、5、10、15、20、40、および60pmoleの捕捉プローブを用い、RTで10分インキュベートして前述のように試験した。この二つの立体配座による標的捕捉は、1−60pmole範囲において同様に実行されたが(配列番号18プローブでは15から50%捕捉、配列番号19プローブでは21から65%捕捉)、捕捉は、反応当たり、15−40pmole範囲のプローブにおいて、もっとも効率的であった(第1プローブでは45から50%、第2プローブでは58から65%)。別の試験で、同じ標的rRNA、および同じ範囲の量の捕捉プローブを用いたが、ただしRTで25分インキュベートした。これらの試験では、1−60pmole範囲では、配列番号18プローブは、16から87%の標的を捕捉したが、配列番号19プローブは、27から100%の標的を捕捉し、いずれのプローブにおいてももっとも効率的捕捉は、10−60pmole範囲に見られた。
【0069】
非特異的k18捕捉プローブ(配列番号11)、共に、2’−メトキシ結合を有する非特異的5’領域、および3’DNA尾部から成る、二つの異なる立体配座を用いて、同様の一組の試験を実行した。一つは、RNA塩基(等モルのGおよびU、配列番号20)、および、一つは、DNA塩基(等モルのGおよびT、配列番号14)によって合成した。反応当たり、0、1、2、5、10、15、20、30、および60pmoleの捕捉プローブを用い、RTで10分インキュベートして前述のように試験した。この二つの捕捉プローブによる捕捉は、1−60pmole範囲では同様に実行されたが(G/Uプローブでは15から85%捕捉、G/Tプローブでは21から90%捕捉)、捕捉は、反応当たり、15−30pmole範囲のプローブにおいて、もっとも効率的であった(G/Uプローブでは78から85%、G/Tプローブでは86から90%)。
【0070】
(GU)−dTdA30(配列番号21)および(G/U)18−dTdA30(配列番号20)で、共に、RNA塩基および2’−メトキシ結合を有する5’領域を伴って合成される非特異的プローブを比較するために、同様の試験を行った。この二つの捕捉プローブを、同じ標的rRNAについて、別々に、反応当たり、0、1、2、5、10、15、20、40、および60pmoleの捕捉プローブを用い、RTで25分インキュベートすることによって試験した。この二つの捕捉プローブによる標的捕捉は、1−60pmole範囲では同様に実行されたが(配列番号20プローブでは17から96%捕捉、配列番号21プローブでは7から91%捕捉)、捕捉は、反応当たり、10−40pmole範囲のプローブにおいて、もっとも効率的であった(配列番号20プローブでは87から96%、配列番号21プローブでは75から91%)。
【0071】
(実施例7)
非特異的捕捉プローブによるDNA標的の標的捕捉
本実施例は、非特異的標的捕捉プローブが、サンプルから標的DNAを効率的に捕捉することを示す。標的DNAは、配列番号22:CCTCCATTCCGTTACCAACAGAACTGGAGGCGGTACAATGGGTCTTGTCATCCGGTAAAGGCCAAATATACGAGCATCAACATATGTACTTATGTATGTATCTACTATATACATACATATGTACATATATGAATACCATCAGTCTGTGCAGTから成る合成1本鎖によるssDNA、または、配列番号22のssDNAを、相補的検出プローブとのハイブリダイゼーションに利用可能な、一部のssDNA鎖を留める相補鎖(配列番号23)とハイブリダイズさせることによって作製される、実質的にdsDNAのいずれかである。このssDNAまたはdsDNAを、標識プローブにハイブリダイズさせることによって標識した(0.04ml溶液において200fmolの標的DNAを、1pmoleのAE標識プローブに60℃で1時間ハイブリダイズさせ、次いで、0.4mlのバッファー水溶液で希釈した)。標的捕捉反応液は、0.2mlのサンプル輸送バッファー、0.2mlの水、および0.1mlの、磁気粒子に固定したポリdTを含むTCR、および、試験対象となる20pmoleの捕捉プローブを含む0.5mlと混合した、プローブ標識標的DNAの分液(0.01ml)を含んでいた。実質的に、実施例1の記載の通りに、この標的捕捉反応液をRTで1時間インキュベートし、次いで処理して捕捉複合体をペレット状にし、捕捉複合体を一度洗浄(0.5ml洗浄液)し、RLUを検出した。
【0072】
第1組の試験では、使用される非特異的捕捉プローブは、下記:
(k)18−dTdA30(配列番号11)、5’部分は、RNA塩基および2’−メトキシ塩基によって合成される;
d(k)-dT−d(k)−dTdA30(配列番号10)、5’部分は、DNAのみによって合成される;
L(k)−dT−L(k)−dTdA30(配列番号24)、5’部分は、LNAおよびDNAとして合成される;および、
L(k)−d(k)−dT−L(k)−d(k)−dTdA30(配列番号25)、5’部分は、LNAおよびDNAとして合成される、
の内の全てまたは二つである。陰性コントロールは、同様に処理されるサンプルであるが、標的捕捉反応混合物が捕捉プローブをまったく含まない。これらの試験の結果を表12に示す。これらの結果は、ssDNAは、非特異的標的プローブによって捕捉することが可能であること、および、プローブの構造は、捕捉効率に影響を及ぼすことを示す。
【0073】
【表12】

もう一組の試験では、異なる立体配座の、種々の量(1−40pmole)のk18捕捉プローブを用いて、ssDNAの標的捕捉を前述のように実行した。一つの立体配座は、2’−メトキシRNA基によって合成される5’非特異的部分、および3’DNA尾部を有する、(k)18−dTdA30(配列番号11)であり、もう一つの立体配座は、LNAおよびDNA残基で構成される5’非特異的部分、および3’DNA尾部を有するL(k)−d(k)−L(k)−d(k)−L(k)−dTdA30(配列番号18)であった。陰性コントロールは同様に処理されたが、捕捉プローブを含んでいなかった。標的捕捉反応液をRTで10分インキュベートし、残余のアッセイ工程は、前述の通りであった。表13に示す試験結果から、LNA/DNA捕捉プローブの方が、ssDNAの非特異的捕捉において、オリゴマーのバックボーンにおいてRNA残基と2’−メトキシ結合を有するk18捕捉プローブよりも効率的であることが明らかになった。両捕捉プローブにおいて、捕捉は、反応当たり、15−40pmole範囲の捕捉プローブで効率的であった。
【0074】
【表13】

次の一組の試験では、異なるLNA/DNA立体配座を持つ、二つのk18捕捉プローブを、種々の量(1−60pmole)の捕捉プローブを用いて試験した。試験した、二つの立体配座は、L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−L(k)−dTdA30(配列番号18)、およびL(k)−d(k)−L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−dTdA30(配列番号19)であった。標的はssDNAであり、ほぼ前述通りの方法を用い、RTで20分インキュベートした標的捕捉反応混合物において捕捉した。これらの試験の結果を表14に示す。この結果は、捕捉効率は、捕捉プローブのLNA/DNA構造に影響されることを示す。
【0075】
【表14】

直前に記載した試験と同じ条件を用いて、種々のLNA/DNA立体配座のk18非特異的捕捉プローブを、反応当たり、1−60pmoleの捕捉プローブを用い、ssDNA標的捕捉について試験した。L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−L(k)−dTdA30(配列番号18)は、1−60pmole範囲において4から66%のssDNAを捕捉したが、効率的捕捉(54−66%)は、15−60pmole範囲において見られた。立体配座L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−dTdA30(配列番号26)の捕捉プローブは、1−60pmole範囲において2から62%のssDNAを捕捉したが、効率的捕捉(49−62%)は、15−60pmole範囲において見られた。両プローブとももっとも効率的な捕捉は、40pmoleが反応に含まれる場合に見られた。
【0076】
もう一組の試験では、異なる立体配座の、(k)12、(k)18、または(k)25非特異的配列を有する非特異的捕捉プローブを用いてssDNA標的を捕捉した。各プローブは、反応当たり20pmoleを用い、前述のように個別に試験したが、ただし、RTで30分インキュベートした。下記の(k)12捕捉プローブを試験した:
d(k)−dT−L(k)−dTdA30(配列番号27)、
L(k)−dT−L(k)−dTdA30(配列番号15)、および、
L(k)−d(k)−dT−L(k)−d(k)−dTdA30(配列番号25)。
【0077】
この三つの(k)12プローブを、下記の(k)18および(k)25捕捉プローブと比較した:
L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−L(k)−dTdA30(配列番号18)、および、
L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−L(k)−dTdA30(配列番号28、(k)25プローブ)。
【0078】
これらの五つの捕捉プローブの内、(k)18および(k)25捕捉プローブが、ssDNAの捕捉においてもっとも有効であった(それぞれ、74%および77%)。試験した三つの(k)12プローブの内、LNAをまったく含まない最初のもの(配列番号27)は、DNA標的捕捉において、有効性が最低であったが(0.5%)、一方、LNAを含む二つのプローブは、ssDNAの捕捉において、より有効であった(配列番号15プローブでは15%、配列番号25プローブでは42%)。ssDNA捕捉について同じ方法を用いて行った、上記およびその他の試験の結果に基づいて、種々のLNA/DNA立体配座のk18非特異的捕捉プローブの相対的効率を、下記のリストに示すように求めた。リストでは、もっとも有効な捕捉プローブを最初に掲げた:(1)L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−dTdA30、(2)L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−L(k)−dTdA30、(3)L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−dTdA30、(4)L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−L(k)−dTdA30、および(5)L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−dTdA30。一般に、LNAおよびDNA立体配座の混合体を含む、非特異的捕捉プローブの方が、同じ長さの、DNA立体配座を持つ捕捉プローブ、または、非特異部分に2’−メトキシ結合を有するRNA塩基を用いて合成した捕捉プローブよりも、ssDNA標的捕捉においてより効率的であった。
【0079】
(実施例8)
非核酸特異的結合パートナーの使用による非特異的標的捕捉
本実施例は、核酸ではないが、支持体に付着する固定プローブである、第2特異的結合パートナー(SBP’)に特異的に結合する第1特異的結合パートナー(SBP)を含む非特異的捕捉プローブによる非特異的標的捕捉を実証する。この実証は、SBPが、標的核酸に対する非特異的結合領域を含むオリゴヌクレオチドに付着するビオチンであり、SBP’が、磁気粒子に付着するストレプトアビジンであるモデルシステムを用いて実行した(ストレプトアビジン結合DYNABEAD(登録商標)、Invitrogen Corp.,Carlsbad,CA)。このモデルシステムは、実施例1および2に記載する通りに調製したrRNA標的を使用する。非特異的捕捉プローブは、(k)18−dT−ビオチン(配列番号29)であり、5’部分はRNA塩基および2’−メトキシ結合を用い、3’末端にはビオチンを付着させて合成した。標的捕捉反応液は、0.2mlのサンプル輸送バッファー、0.2mlの水、および0.1mlのTCRと混合され、かつ、ビオチンおよびストレプトアビジンの特異的結合対を介して、ストレプトアビジン結合磁気ビーズに特異的に結合する、ビオチン誘導体捕捉プローブを含む、プローブ標識rRNA(実施例1に記載)の分液(0.01ml)を含んでいた。この標識捕捉反応液をRTで20分インキュベートし、次いで処理して、実施例1に記載するように捕捉複合体をペレット状にし、ペレット部分を、0.5ml洗浄液で一度洗浄し、ペレット部分を前述のように分離した。次に、標識rRNAに付着するAE標識プローブからの化学発光信号を、実施例1に記載する通りに検出した。上清部分の信号も検出した。これは246310RLUであった。この実験の結果を表15に示す。この表から、特異的結合対を介して支持体に付着する非特異的捕捉プローブによって仲介される標的捕捉は、RNA標的を捕捉し、もっとも効率的な捕捉は、約60−120Fgのストレプトアビジン結合粒子を用いた場合に見られることが示される。
【0080】
【表15】

第2試験では、前述のものと同じ材料を用いて、標的捕捉混合物をRTで2から60分インキュベートし、次いで、支持体上の複合体を溶液相から分離し、前述の、残余工程を実行することによって、捕捉の時間的変化を検出した。これらの反応は全て、ビオチン誘導体形成捕捉プローブに付着した、100Fgのストレプトアビジン結合磁気粒子を用いて行った。標的捕捉の時間的進行は、表16に示す結果によって示される。この結果から、僅か6分でも効率的捕捉があり、最大捕捉は60分に起こることが示された。
【0081】
【表16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルから標的核酸を単離するための方法であって:
標的核酸を含むサンプルを、該標的核酸に非特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド配列から構成される非特異的捕捉プローブ、および、該標的核酸を支持体に連結するための手段と混合する工程であって、該オリゴヌクレオチド配列が:
ポリU配列、
GおよびTヌクレオチド、またはGおよびUヌクレオチドを含むランダムポリ(k)配列、
10個以下のヌクレオチドから成る非ランダム配列によって隔てられる、二つのランダムオリゴヌクレオチド配列、
10個以下のヌクレオチド塩基類縁体から成る非ランダム配列によって隔てられる、二つのランダムオリゴヌクレオチド配列、
非ヌクレオチドスペーサー化合物によって隔てられる、二つのランダムオリゴヌクレオチド配列、
10個以下のヌクレオチドまたはヌクレオチド塩基類縁体から成る非ランダム配列によって隔てられる、複数のランダムオリゴヌクレオチド配列、
非ヌクレオチドスペーサー化合物によって隔てられる、複数のランダムオリゴヌクレオチド配列、および、
少なくとも二つのGU単位から構成される、非ランダムポリGU配列、からなる群より選択される、工程、
該支持体、該標的核酸、および該非特異的捕捉プローブを含む反応混合物を、該捕捉プローブと該標的核酸とが非特異的にハイブリダイズして、該支持体に連結されるハイブリダイゼーション複合体を形成することを可能とするハイブリダイゼーション条件下で、インキュベートする工程、ならびに、
該反応混合物の溶液相から該支持体を分離し、該支持体に連結する該ハイブリダイゼーション複合体を、他のサンプル成分から分離し、それによって該標的核酸を、他のサンプル成分から単離する工程、
を含む、方法。
【請求項2】
前記支持体に前記標的核酸を連結するための前記手段が、該支持体に対する前記捕捉プローブの直接的付着である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記支持体に前記標的核酸を連結するための前記手段が、該支持体に連結される第2特異的結合パートナー(SBP’)に特異的に結合する、前記捕捉プローブに付着する第1特異的結合パートナー(SBP)から構成される特異的結合対である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記SBP’が、前記支持体に連結される固定プローブの一部である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記混合工程が、前記サンプルを、前記捕捉プローブに付着する前記SBP、および前記支持体に連結する前記SBP’と混合することを含み、前記インキュベーション工程が、該SBPおよび該SBP’を結合して、該支持体に前記ハイブリダイゼーション複合体を連結することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記SBPおよび前記SBP’が、実質的に相補的な核酸配列である、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記SBPおよび前記SBP’が、非核酸成分である、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記非核酸成分が:
(a)受容体およびリガンドの対、(b)酵素および基質の対、(c)酵素および補因子の対、(d)酵素および補酵素の対、(e)抗体および抗原の対、(f)抗体断片および抗原の対、(g)糖およびレクチンの対、(h)リガンドおよびキレート剤の対、(i)ビオチンおよびアビジン、(j)ビオチンおよびストレプトアビジン、および(k)ニッケルおよびヒスチジンからなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記分離工程の後に、前記支持体に連結した前記ハイブリダイゼーション複合体から、他のサンプル成分を除去するための洗浄工程をさらに含み、該洗浄工程は、該支持体に連結する該ハイブリダイゼーション複合体を洗浄液と混合し、次いで、該支持体に連結する該ハイブリダイゼーション複合体を該洗浄液から分離する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記インキュベーション工程が、約25℃において約5分から約90分行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記分離工程の後に、他のサンプル成分から単離された前記標的核酸の存在を検出する工程、他のサンプル成分から単離された前記標的核酸に含まれる配列をインビトロで増幅する工程、または、他のサンプル成分から単離された前記標的核酸に含まれる配列を決定する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
支持体に連結する第2特異的結合パートナー(SBP’)に特異的に結合する第1特異的結合パートナー(SBP)、および、標的核酸に非特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド配列を含む、非特異的捕捉プローブであって、該オリゴヌクレオチド配列が:
ポリU配列、
GおよびTヌクレオチド、またはGおよびUヌクレオチドを含むランダムポリ(k)配列、
10個以下のヌクレオチドから成る非ランダム配列によって隔てられる、二つのランダムオリゴヌクレオチド配列、
10個以下のヌクレオチド塩基類縁体から成る非ランダム配列によって隔てられる、二つのランダムオリゴヌクレオチド配列、
10個以下のヌクレオチドまたはヌクレオチド塩基類縁体から成る非ランダム配列によって隔てられる、複数のランダムオリゴヌクレオチド配列、
非ヌクレオチドスペーサー化合物によって隔てられる、二つのランダムオリゴヌクレオチド配列、
非ヌクレオチドスペーサー化合物によって隔てられる、複数のランダムオリゴヌクレオチド配列、および、
少なくとも二つのGU単位から構成される、非ランダムポリGU配列、
からなる群より選択される、非特異的捕捉プローブ。
【請求項13】
前記オリゴヌクレオチド配列が、約5から100ヌクレオチド長である、請求項12に記載の捕捉プローブ。
【請求項14】
前記オリゴヌクレオチド配列が、約12から約25ヌクレオチド長である、請求項12に記載の捕捉プローブ。
【請求項15】
前記オリゴヌクレオチド配列が:(a)標準的RNA塩基および結合部、(b)標準的DNA塩基および結合部、(c)2’修飾結合部を有するRNA塩基、(d)配列の少なくとも一部が、ロックド核酸(LNA)立体配座であるDNA塩基、(e)一つ以上のヌクレオチド塩基類縁体、(f)一つ以上の脱塩基残基、(g)一つ以上の、非核酸スペーサー化合物、または(h)上記群(a)から(g)から選ばれる要素の組み合わせ、を含む、請求項12に記載の捕捉プローブ。
【請求項16】
前記塩基類縁体が、標準的DNAまたはRNA塩基対形成と比べた場合、別様の塩基対形成特性を示す、請求項15に記載の捕捉プローブ。
【請求項17】
前記塩基類縁体が、イノシンまたは5−ニトロインドールである、請求項16に記載の捕捉プローブ。
【請求項18】
前記オリゴヌクレオチド配列が、LNA立体配座であるヌクレオチド、および標準的DNA立体配座であるヌクレオチドの混合物を含む、請求項15に記載の捕捉プローブ。
【請求項19】
ポリ(k)塩基が、2’修飾結合部を有するRNA塩基である、請求項15に記載の捕捉プローブ。
【請求項20】
前記SBP’に特異的に結合する前記SBPが:(a)相補的核酸配列の対、(b)受容体およびリガンドの対、(c)酵素および基質の対、(d)酵素および補因子の対、(e)酵素および補酵素の対、(f)抗体および抗原の対、(g)抗体断片および抗原の対、(h)糖およびレクチンの対、(i)リガンドおよびキレート剤の対、(j)ビオチンおよびアビジン、(k)ビオチンおよびストレプトアビジン、および(l)ニッケルおよびヒスチジン、からなる群より選択される特異的結合対のメンバーである、請求項12に記載の捕捉プローブ。
【請求項21】
前記オリゴヌクレオチド配列が、該オリゴヌクレオチドの5’末端位置、該オリゴヌクレオチドの3’末端位置、または、リンカー化合物を介して該オリゴヌクレオチドの内部位置において、前記SBPに連結される、請求項12に記載の捕捉プローブ。
【請求項22】
前記オリゴヌクレオチド配列が、少なくとも一つのランダムポリ(k)配列を含む、請求項12に記載の捕捉プローブ。
【請求項23】
前記オリゴヌクレオチド配列が、ランダムポリ(k)12、ポリ(k)18、またはポリ(k)25配列を含む、請求項12に記載の捕捉プローブ。
【請求項24】
前記オリゴヌクレオチド配列が:
(n)−U−(n)
(n)−Ni−(n)、ただし“Ni”は5−ニトロインドールを表す、
(k)−Ni−(k)、ただし“Ni”は5−ニトロインドールを表す、
(k)−C9−C9−(k)、ただし“C9”は9炭素非ヌクレオチドスペーサーを表す、
(k)−C9−(k)−C9−(k)、ただし“C9”は9炭素非ヌクレオチドスペーサーを表す、
(k)12
(k)−U−(k)
(k)−U−(k)
(k)−T−(k)
(k)18
(k)24
d(GまたはT)18
L(k)−dT−L(k)
L(k)−d(k)−dT−L(k)−d(k)
18
L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−L(k)
L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−L(k)−d(k)
(GU)
L(k)−dT−L(k)
L(k)−d(k)−dT−L(k)−d(k)
L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−L(k)−d(k)
d(k)−dT−L(k)、および、
L(k)−d(k)−L(k)−d(k)−L(k)−d(k)-L(k)
からなる群より選択される、請求項12に記載の捕捉プローブ。
【請求項25】
前記オリゴヌクレオチド配列が、前記SBPである、ホモポリマー核酸配列に対して接合される、請求項24に記載の捕捉プローブ。

【公表番号】特表2009−545323(P2009−545323A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523046(P2009−523046)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/074990
【国際公開番号】WO2008/016988
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(500506530)ジェン−プロウブ インコーポレイテッド (58)
【Fターム(参考)】