説明

核酸トランスフェクション用のジスルフィド結合したポリエチレングリコール/ペプチドコンジュゲート

本発明は、インビボ及びインビトロで核酸を細胞内に効率的にトランスフェクトすることを可能にする、一般式(I)の本発明のポリマーキャリア分子及びその変形、核酸と本発明のポリマーキャリア分子とによって形成されたポリマーキャリアカーゴ複合体に関し、更に、こうした本発明のポリマーキャリア分子及び本発明のポリマーキャリアカーゴ複合体の調製法に関する。本発明は、また、様々な疾患の治療用の薬剤として、更にこうした疾患の治療用の医薬組成物の調製において、この本発明のポリマーキャリア分子及び本発明のポリマーキャリアカーゴ複合体を応用、並びに使用する方法を提供する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式(I)で表されるポリマーキャリア分子:
L−P−S−[S−P−S]−S−P−L
[式中、
及びPは、互いに異なっているか又は同一であり、直鎖又は分枝鎖の親水性ポリマー鎖を表し、P及びPはそれぞれ、要素Pと縮合してジスルフィド結合を形成することが可能な少なくとも1個の−SH部分を提示し、前記直鎖又は分枝鎖の親水性ポリマー鎖は、互いに独立して、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ−N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、ポリ−2−(メタクリロイルオキシ)エチルホスホリルコリン、ポリ(ヒドロキシアルキルL−アスパラギン)、ポリ(2−(メタクリロイルオキシ)エチルホスホリルコリン)、ヒドロキシエチルデンプン、又はポリ(ヒドロキシアルキルL−グルタミン)から選択され、前記親水性ポリマー鎖は、約1kDa〜約100kDaの分子量を示し、
は、アミノ酸約3個〜約100個の長さを有するカチオン性若しくはポリカチオン性のペプチド又はタンパク質であるか、又は
約0.5kDa〜約30kDaの分子量を有するカチオン性又はポリカチオン性のポリマーであり、
各Pは、他の要素P、又は要素P及びPの少なくともいずれかと縮合してジスルフィド結合を形成することが可能な少なくとも2個の−SH部分を提示し、
−S−S−は、(可逆的)ジスルフィド結合であり、
Lは、存在してもしなくてもよい任意のリガンドであり、他方のLと独立して、RGD、トランスフェリン、葉酸塩、シグナルペプチド若しくはシグナル配列、局在化シグナル若しくは配列、核局在化シグナル若しくは配列(NLS)、抗体、細胞貫通ペプチド、TAT、受容体のリガンド、サイトカイン、ホルモン、成長因子、小分子、炭水化物、マンノース、ガラクトース、合成リガンド、受容体の小分子のアゴニスト、阻害剤若しくはアンタゴニスト、及びRGDペプチド模倣類似体から選択することができ、
nは、約1〜50の範囲から選択され、好ましくは約1、2、3、4若しくは5〜10の範囲、より好ましくは約1、2、3若しくは4〜9の範囲にある整数である。]。
【請求項2】
前記ポリマーキャリア分子が更にアミノ酸要素(AA)を含み、xが約1〜100の範囲から選択される整数である、請求項1に記載のポリマーキャリア分子。
【請求項3】
前記アミノ酸要素(AA)が、芳香族アミノ酸要素、親水性アミノ酸要素、親油性アミノ酸要素、弱塩基性アミノ酸要素、シグナルペプチド、局在化シグナル若しくは配列、核局在化シグナル若しくは配列、細胞貫通ペプチド、治療活性を有するタンパク質若しくはペプチド、抗原若しくは抗原性エピトープ、腫瘍抗原、病原性抗原(動物抗原、ウイルス抗原、原生動物抗原、細菌抗原、アレルギー性抗原)、自己免疫性抗原若しくは更なる抗原、アレルゲン、抗体、免疫賦活性タンパク質若しくはペプチド、抗原特異的T細胞受容体、又は、特定の(治療)用途に適した他のタンパク質若しくはペプチドを含む、請求項2に記載のポリマーキャリア分子。
【請求項4】
前記アミノ酸要素(AA)が、混合繰り返しアミノ酸要素[(AA)として存在し、zが約1〜30の範囲から選択される整数である、請求項2又は3に記載のポリマーキャリア分子。
【請求項5】
式(I)が、次式(Ia):
L−P−S−{[S−P−S][S−(AA)−S]}−S−P−L
[式中、x、z、S、L、AA、P、P及びPは上記に定義されたものであり、
a+b=nであり、ただし、
nは上記に定義されたものであり、好ましくは約1、2、3、4若しくは5〜10の範囲にあり、
aは、整数bとは独立して約1〜50の範囲から選択される、好ましくは約1、2、3、4若しくは5〜10の範囲にある整数であり、
bは、整数aとは独立して約1〜50の範囲から選択される、好ましくは約1、2、3、4若しくは5〜10の範囲にある整数であり、
単一の要素[S−P−S]及び[S−(AA)−S]が、前記下位式{[S−P−S][S−(AA)−S]}中に任意の順序で存在する。]
で表されるように改変される、請求項2から4のいずれかに記載のポリマーキャリア分子。
【請求項6】
要素Pが、プロタミン、ヌクレオリン、スペルミン又はスペルミジン、ポリ−L−リシン(PLL)、塩基性ポリペプチド、ポリアルギニン、細胞貫通ペプチド(CPP)、キメラCPP、トランスポータン、又はMPGペプチド、HIV−結合ペプチド、Tat、HIV−1 Tat(HIV)、Tat−由来ペプチド、オリゴアルギニン、ペネトラチンファミリーのメンバー、ペネトラチン、アンテナペディア由来ペプチド(特にドロソフィラ・アンテナペディア由来のもの)、pAntp、pIslなど、抗微生物剤由来CPP、ブフォリン−2、Bac715−24、SynB、SynB(1)、pVEC、hCT−由来ペプチド、SAP、MAP、KALA、PpTG20、高プロリン含量ペプチド、ロリゴマー(Loligomere)、高アルギニン含量ペプチド、カルシトニンペプチド、FGF、ラクトフェリン、ヒストン、VP22由来又は類似体ペプチド、HSV、VP22(単純ヘルペス)、MAP、KALA又はタンパク質トランスダクションドメイン(PTD)、PpT620、高プロリン含量ペプチド、高リシン含量ペプチド、Pep−1、L−オリゴマー、カルシトニンペプチドから選択されるカチオン性又はポリカチオン性ペプチドである、請求項1から5のいずれかに記載のポリマーキャリア分子。
【請求項7】
要素Pの−SH部分がシステインによって与えられる、請求項1から6のいずれかに記載のポリマーキャリア分子。
【請求項8】
要素Pが、式(IIb):
Cys{(Arg);(Lys);(His);(Orn);(Xaa)}Cys
[式中、
l+m+n+o+x=8〜15であり、且つ、Arg、Lys、His及びOrnの全含有量がオリゴペプチドの全アミノ酸の少なくとも10%に相当するものとして、l、m、n又はoは、互いに独立して0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15から選択される任意の数であってよく、Xaaは、Arg、Lys、His又はOrnを除く天然又は非天然アミノ酸から選択される任意のアミノ酸であってよく、xは、Xaaの全含有量がオリゴペプチドの全アミノ酸の90%を越えないものとして、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14から選択される任意の数であってよい。]のカチオン性ペプチドを含むペプチドから選択される、請求項1から7のいずれかに記載のポリマーキャリア分子。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載のポリマーキャリア分子と、核酸とから形成されるポリマーキャリアカーゴ複合体。
【請求項10】
核酸が、本発明のポリマーキャリア分子:核酸のモル比が約5〜10,000となるように与えられる、請求項9に記載のポリマーキャリアカーゴ複合体。
【請求項11】
核酸が、DNA若しくはRNA、コーディング核酸、コーディングDNA、コーディングRNA、コーディングmRNA、siRNA、免疫賦活性核酸、免疫賦活性CpG核酸、又は免疫賦活性RNA(isRNA)である、請求項9又は10に記載のポリマーキャリアカーゴ複合体。
【請求項12】
核酸が、治療活性を有するタンパク質若しくはペプチド、腫瘍抗原、病原性抗原、動物抗原、ウイルス抗原、原生動物抗原、細菌抗原、アレルギー性抗原、自己免疫性抗原を含む抗原、アレルゲン、抗体、免疫賦活性タンパク質若しくはペプチド、又は抗原特異的T細胞受容体をコードする、請求項9から11のいずれかに記載のポリマーキャリアカーゴ複合体。
【請求項13】
請求項1から8のいずれかに記載のポリマーキャリア分子を調製する方法であって、
a)本明細書において定義される要素Pとしての少なくとも1種類のカチオン性若しくはポリカチオン性のペプチド又はタンパク質、及び請求項1〜8のいずれかに記載の要素Pとしての少なくとも1種類のカチオン性若しくはポリカチオン性のポリマーの少なくともいずれかと、場合により少なくとも1種類の他の要素(AA)とを提供し、これらの要素を、好ましくは塩基性環境中、好ましくは酸素又は穏やかな酸化的条件を与える更なる開始剤の存在下で混合し、これにより、これらの要素を、縮合重合又は重縮合においてジスルフィド結合を介して互いに縮合及び重合することにより、繰り返し要素H−[S−P−S]−H又はH{[S−P−S][S−(AA)−S]}Hを得る工程と、
b)請求項1〜8のいずれかに記載のリガンドL及びアミノ酸要素(AA)の少なくともいずれかによって場合により修飾される、請求項1〜8のいずれかに記載の親水性ポリマーP及びPの少なくともいずれかを提供する工程と、
c)工程b)にしたがって提供された親水性ポリマーP及びPの少なくともいずれかを、工程a)にしたがって提供された繰り返し要素H−[S−P−S]−H又はH{[S−P−S][S−(AA)−S]}Hと約2:1の比で混合し、通常、これにより縮合重合又は重縮合反応を停止させ、式(I)又は(Ia)で表される本発明のポリマーキャリア分子を得る工程と、
d)場合により、工程c)にしたがって得られたポリマーキャリア分子を精製する工程と、
e)場合により、本明細書において定義される核酸を、工程c)又はd)にしたがって得られたポリマーキャリアに加え、前記核酸を、工程c)又はd)にしたがって得られたポリマーキャリアと複合化することによって、請求項9から12のいずれかに記載のポリマーキャリアカーゴ複合体を得る工程と、を含む方法。
【請求項14】
請求項9から12のいずれかに記載のポリマーキャリアカーゴ複合体と、場合により、薬学的に許容される担体及びビヒクルの少なくともいずれかとを含む、医薬組成物又はワクチン。
【請求項15】
薬剤として使用するための、請求項1から8のいずれかに記載のポリマーキャリア分子、又は請求項9から12のいずれかに記載のポリマーキャリアカーゴ複合体。
【請求項16】
癌若しくは腫瘍疾患、感染症、好ましくは(ウイルス、細菌、又は原生動物による)感染症、自己免疫疾患、アレルギー若しくはアレルギー性疾患、単一遺伝子性疾患すなわち(遺伝性)疾患若しくは遺伝子疾患一般、遺伝的背景を有し、定義された遺伝子欠損によって一般に引き起こされ、メンデルの法則にしたがって遺伝する疾患、心血管疾患、神経疾患、呼吸器系の疾患、消化器系の疾患、皮膚の疾患、筋骨格障害、結合組織の疾患、新生物、免疫不全症、内分泌、栄養、及び代謝疾患、眼疾患及び耳疾患から選択される疾患の予防、治療、及び改善の少なくともいずれかにおいて使用するための、請求項9から12のいずれかに記載の核酸を有する請求項1から8のいずれかに記載のポリマーキャリア分子、又は請求項9から12のいずれかに記載のポリマーキャリアカーゴ複合体。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図2】
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【図3】
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【図16】
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【公表番号】特表2013−515674(P2013−515674A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527240(P2012−527240)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005438
【国際公開番号】WO2011/026641
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(509014386)キュアバック ゲーエムベーハー (11)
【氏名又は名称原語表記】CUREVAC GMBH
【住所又は居所原語表記】Paul−Ehrlich−Str.15,72076 Tuebingen,Germany
【Fターム(参考)】