説明

核酸分子の検出方法

【課題】試料中の少なくとも2種の互いに異なる核酸分子の同時検出方法の提供。
【解決手段】第1工程において多重PCRが行なわれ、第2工程においてマイクロアレイに固定化されたプローブとのハイブリダイゼーション反応が行なわれる。次に、ハイブリダイゼーションしたPCR生成物が検出され所望により定量され、ハイブリダイゼーション反応に適用されるプローブは互いに異なる核酸にそれぞれ特異的にハイブリダイゼーションするものであり、多くとも互いに2℃、好ましくは多くとも互いに1℃異なる融解点を有する、検出方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料中の互いに異なる少なくとも2種の核酸分子を同時に検出する方法であって、第1工程において多重PCRを行ない、第2工程においてマイクロアレイ上に固定化されたプローブを用いてハイブリダイゼーション反応を行ない、その後、ハイブリダイゼーションしたPCR生成物を検出し、所望により定量する方法、ならびに多重PCR生成物をハイブリダイゼーションさせるためのマイクロアレイおよび多重PCR生成物をハイブリダイゼーションさせるためのセット、ならびに試料中の少なくとも2種の互いに異なる核酸分子を同時に検出するためのキットに関する。
【背景技術】
【0002】
試料中の核酸分子の検出は、非常に多くの領域で、例えば、医学の領域で、品質チェックや研究において行なわれている。試料中の少なくとも2種の互いに異なる核酸分子を検出する必要が頻繁にあり、20、50、100種またはそれ以上の互いに異なる核酸分子を検出する必要がよくある。時間および費用の理由から、1つの試料中の異なる核酸分子を同時に検出することが望ましい。核酸分子の検出に関する一連の刊行物があり、検出を行なうための種々の方法が開示されている。
【0003】
特許文献1には、生物学的試料中の細菌または抗生物質耐性をそれぞれ検出する方法が記載されている。第1の方法によれば、数種の抗生物質耐性の検出のために多重PCRが行なわれる。増幅生成物の検出の例として、アガロースゲル電気泳動、蛍光分極法および蛍光標識手段による検出が述べられている。試料中の検索すべき配列のさらなる第2の検出方法としてハイブリダイゼーション法が記載されており、ハイブリダイゼーションは65℃で行なわれ、試料と特的の標的DNAとのハイブリダイゼーションは2種のヌクレオチド配列間の高度な同一性を示すものである。
【0004】
特許文献2には、マイクロアレイ上でヌクレオチド配列をハイブリダイゼーションさせる方法が記載されている。20℃ないし75℃の間の温度がハイブリダイゼーション温度として示されている。標的ヌクレオチドの例として、多重PCRの増幅生成物が述べられている。
【0005】
特許文献3によれば、特定のヌクレオチド配列がPCRにより増幅され、その後、増幅生成物がハイブリダイゼーションにより検出される。好ましい具体例として、多重PCRが行なわれている。ストリンジェント条件を調節することにより特異的に検出を行なうことができる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件として、特定のハイブリダイゼーションを可能にする温度が述べられている。ハイブリダイゼーションを行なう温度の例として、50℃ないし55℃が示されている。
【0006】
特許文献4はヌクレオチド配列の検出方法に関するものであり、該方法において、多重PCRの後にハイブリダイゼーションによる検出が行なわれる。例えば、ハイブリダイゼーションは55℃の温度で行なわれる。
【0007】
特許文献5は抗生物質耐性細菌株の同定方法に関するものであり、該方法において遺伝子がPCRにより増幅され、ハイブリダイゼーションプローブにより検出される。そのようなことを行なう場合、ハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーションしたDNAの融解点よりも20℃低いようなストリンジェントな条件下で行なう必要がある。好ましくは、類似の融解点を有するようにオリゴヌクレオチドを選択し、かくして同じハイブリダイゼーション混合物中の数種の遺伝子を同じ条件下で試験できるようにする。さらに、例として、オリゴヌクレオチドマイクロアレイ上でのハイブリダイゼーションが記載されている。ハイブリダイゼーション温度としては、45℃ないし60℃の温度が示されている。
【0008】
しかしながら、これらすべての上記方法は、特異性および同時検出可能な核酸分子の最大数に限度があるという欠点を有している。これらの方法のいくつかにおいて、多重PCRが最初の工程で行なわれ、それにより数種のヌクレオチド配列の同時増幅をすることができる。しかしながら、その後の種々のヌクレオチド配列の検出が問題である。なぜなら、この方法によれば、多数のヌクレオチド配列を同時に特異的に検出することが不可能だからである。ハイブリダイゼーション反応がPCR反応の後に行なわれるならば、特異的でストリンジェントなハイブリダイゼーション条件を各ヌクレオチド配列に合わせなくてはならず、長い配列よりも短い配列の場合には低い温度に合わせなくてはならない。例えば、特許文献2参照。しかしながら、そのことにより、同時検出可能なヌクレオチド配列数が減少する。特許文献5において、例えば、類似の融解点を有するオリゴヌクレオチドを選択して、同じハイブリダイゼーション混合物中の数種の遺伝子を試験できるようにすることが示唆されているが、最大でも8種のオリゴヌクレオチドが1のアレイ上で試験されているにすぎない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5994066号
【特許文献2】米国特許第6045996号
【特許文献3】米国特許第5614388号
【特許文献4】米国特許第5846783号
【特許文献5】WO98/48041 A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
よって、これらの方法は、例えば、抗生物質耐性の検出のような、数種または多数の核酸を検出する方法を行なうには適さない。かかる検出方法としては、ほんの少しのオリゴヌクレオチドの同時検出に限られた方法では不十分であり、実施、特にスクリーニングに労力が必要であり、時間がかかる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
それゆえ、本発明の目的は、多数の核酸分子を同時に検出して、試料中の特定の各オリゴヌクレオチドまたは遺伝子を迅速に、費用面からも有効に、そして労力を減らして検出することができる方法を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1はゲル電気泳動を用いた、全部で12種のABR標的のPCR生成物の分離を示す。
【図2】図2はABRチップのマイクロアレイのレイアウトを示す。
【図3】図3は試験コースのダイヤグラムを示す。
【図4】図4はABRチップ上の対照ハイブリダイゼーションを示す。
【図5】多重増幅後のABRチップ検出結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の最初の方法は、ハイブリダイゼーション反応に用いられるプローブが各場合において互いに異なる核酸分子に特異的にハイブリダイゼーションするものであり、多くとも互いに2℃、好ましくは多くとも互いに1℃異なる融解温度(T)を有することを特徴とする。ハイブリダイゼーション反応に使用するプローブの融解温度が多くとも互いに2℃、あるいは好ましくは多くとも互いに1℃異なるという事実により、1つの試料中の多数の核酸分子を同時検出することがはじめて可能になった。なぜなら、温度ならびに塩濃度、pH等に関して同じ条件がすべてのプローブのハイブリダイゼーション反応のために調節されるからである。融解温度Tは(例えば、塩濃度のごとき一定のパラメーターが与えられた場合に)全分子の半分がらせん状態になる温度と定義される。
【0014】
ほとんどすべての核酸分子に関して特定の融解温度を有する配列を提供することが可能である。
【0015】
配列の融解点を算定する1の可能な方法は、市販ソフトウェア「Gene Runner 3.0」((著作権) 1994, Hastings Software, Inc.)によるものである。このソフトウェアは、種々の方法/アルゴリズムによりTの決定を可能にする。本願明細書中の記述は、Breslauer et al. (Proc. Natl. Acad. Science 83: 3746-3750, Predicting DNA duplex stability from the base sequence)による、いわゆる「nearest-neighbor thermodynamic melting temperature」法の値である。計算用のパラメーターは、例えば、塩濃度660mMおよび試料濃度7.5pMであってもよい。同時ハイブリダイゼーション実験用の数種のプローブのTの決定に関しては、それは決定的で絶対的な値ではないが(塩濃度およびDNA濃度により高くも低くもなりうる)、選択された方法(すなわち、15ないし30塩基の長さを有するプローブに関しては、「thermodynamic one」)および互いに関連する個々のプローブのTに関する値である。このようにして、試験されるべき核酸分子または遺伝子のそれぞれに関して、ハイブリダイゼーションすべき配列、すなわち「ハイブリダイゼーション配列」を算出し選択することができ、特異的プローブを調製することができる。
【0016】
本発明の範囲内において、核酸分子により、例えば、特定の遺伝子、遺伝子またはゲノムの部分、mRNAまたはmRNAの部分等である配列の部分が理解されうる。
【0017】
本発明の用語「多重PCR」は、同時に少なくとも2種の互いに異なる核酸分子が増幅されるPCR、すなわち、異なるプライマーの助けを借りて、1の反応において異なる配列を同時に増幅しうるPCRと理解すべきである。
【0018】
「マイクロアレイ」は、多数のプローブが高密度に固定化されており、同じ条件下で同時に多数の核酸分子とハイブリダイゼーションできる担体であると理解すべきである。通常は、マイクロアレイをDNA分子の検出に使用するが、マイクロアレイはすでにペプチドの検出にも使用されている。マイクロアレイの助けを借りて、インビトロでのDNA診断が実質的に単純化されて、複雑な試験を1の作業工程で非常に迅速に行なうことができる。なぜなら、数千種の特別に設計されたオリゴヌクレオチドを比較的小型のマイクロアレイに固定化できるからである。例えば、マイクロアレイ上でのハイブリダイゼーションは、数万種の遺伝子の同時試験を可能にする。一連の異なるマイクロアレイはすでにヌクレオチド配列の検出に使用されており、当業者は広範な異なるパラメーターを選択することができる(Lockhart et al., Nature Biotechnology, vol. 14, December 1996, pp. 1675-1679参照)。
【0019】
本発明の範囲内において、例えば、固定化されるプローブの数、長さおよび配列に応じてマイクロアレイの材料、サイズ、構造等を適応させ、変更することが可能である。
【0020】
一方では、単に核酸分子を検出すること、すなわち、試料中にそれらが存在するか否かを試験することが可能であり、この試験はイエス/ノーの結果を提供するであろう。しかしながら、本発明によれば、試料中の核酸分子の量を定量することも可能であり、このことを、マイクロアレの使用により非常に高い特異性で行なうことができる。このためには、当業者に知られたいすれの検出方法を用いてもよく、例えば、化学的、酵素的、物理化学的方法または抗原−抗体結合法を用いてもよい。検出すべき核酸を標識することができ、例えば、放射性、蛍光または化学発光分子にて標識することができる。これらの検出方法は当業者に非常によく知られており、それゆえ、ここで詳述する必要はなく、個々の方法は検出すべき核酸分子ならびに生成物を検出するのかあるいは定量するのかによって選択される。
【0021】
自体公知の方法によりプローブの調製を行なう。
【0022】
プローブの融解温度差が互いに小さくなればなるほど、核酸分子がより特異的に検出されるようになる。なぜなら、非常に特異的なハイブリダイゼーションを確実ならしめるが、完全には相補的でない配列のハイブリダイゼーションを可能にしないようにこのハイブリダイゼーション条件を調節できるからである。そのことにより、偽陽性の危険性のみならず偽陰性の危険性が低下あるいは完全に除去される。
【0023】
ハイブリダイゼーション配列、すなわちプローブとハイブリダイゼーションする配列よりも長い配列を有する核酸分子が増幅されるようにプライマーおよびプローブを選択することができる。しかしながら、ハイブリダイゼーション配列、すなわち個々のプローブがハイブリダイゼーションする配列のみからなる核酸分子のみを増幅することもできる。
【0024】
好ましくは、本発明によれば、試料中の少なくとも6種、好ましくは少なくとも8種、特に好ましくは少なくとも12種の互いに異なる核酸分子が同時に検出される。試料中の検出される互いに異なる核酸分子の数は個々の場合に依存し、特に上限はない。
【0025】
特に好ましくは、抗生物質耐性遺伝子中に含まれる核酸分子を検出する。多数の抗生物質耐性遺伝子が知られており、一般的に、抗生物質含有栄養培地上で長期にわたるエラーを生じやすい微生物の増殖試験を行ない、その後、生菌を調べることにより検出方法が実行される。遺伝子増幅およびその後のハイブリダイゼーションによる助けを借りて抗生物質耐性を同定する方法がすでに記載されているけれども(WO98/48041 A2参照)、特異性を減じることなく、1の試料の数種の抗生物質耐性遺伝子を同時に試験することは可能ではない。本発明の方法を用いれば、試料中の無制限の種類の抗生物質耐性遺伝子を検出するとこが今や可能となり、そのことは病院の分野で特に重要である。なぜなら、抗生物質耐性細菌株の蓄積がそこで起こるであろうからである。すべての標準的なDNA単離法が機能を有する。いずれの場合にも、より小型の分子(例えばプラスミドのような)を同時精製してエピソームにコードされた耐性を失わないようにすることを確実にすべきである。
【0026】
核酸分子として、それぞれの遺伝子に特異的であり、他の遺伝子にはない、抗生物質耐性遺伝子由来の配列の部分を選択する。このようにして、偽陽性の試験結果をよりうまく防止することができる。
【0027】
好ましくは、抗生物質耐性遺伝子はベータ−ラクタマーゼblaZ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、fosB蛋白、アデニンメチラーゼermC、aacA−aphDアミノグリコシド耐性、3’,5’−アミノグリコシドホスホトランスフェラ−ゼaphA−3、mecR、ペニシリン結合蛋白PBP2’、アミノグリコシド−3’−アデニルトランスフェラーゼaadA、テトラサイクリン耐性蛋白tetC、DHFR DfrAおよびD−Ala:D−AlaリガーゼvanBに関する遺伝子からなる群より選択される。これらのものはしばしば抗生物質耐性を引き起こし、いくつかの医学的な困難性を引き起こすものであり、よって、これらの抗生物質耐性に対して迅速かつ非常に特異的な試験方法を提供することが特に重要である。これらの上記抗生物質耐性のすべてを1の試料中で同時に試験しうること、すなわち、これらの各抗生物質耐性遺伝子に対してそれぞれ特異的な核酸分子を多重PCRにおいて同時に増幅させ、その後マイクロアレイ上のプローブとハイブリダイゼーションさせ、少なくとも1種の各プローブが各核酸分子、すなわち各抗生物質耐性遺伝子に特異的なものであることが特に好適である。
【0028】
ハイブリダイゼーション反応が30〜80℃、好ましくは40〜70℃、特に好ましくは55〜65℃で行われるのが特に好ましい。ハイブリダイゼーション温度はプローブの融解温度に応じて調節され、本発明によれば、各ハイブリダイゼーション反応に関して算出され調節することができ、ハイブリダイゼーション反応の間、温度を一定に保つことが特に重要である。55ないし65℃の間に温度を調節することが本発明の方法にとり特に適したものであることが示されている。なぜなら、この温度範囲において、プローブは、特に特異性および長さに関して、本発明の方法に特に十分に適した融解温度を有するからである。
【0029】
特に正確な検出のためには、ハイブリダイゼーション反応を非常にストリンジェントな条件下で行なうことが有利である。このことは、非常に相補的な配列に対してはハイブリダイゼーションするが、2〜3個のヌクレオチドが異なる配列に対してはハイブリダイゼーションしないように、ハイブリダイゼーション条件が調節されることを意味する。完全に相補的な配列のみが互いに結合するが、1個のヌクレオチドのみが異なる配列は結合しないようなハイブリダイゼーション条件が選択されるのが特に有利である。このようにうして、試料中の非常に特異的な核酸分子の検出を確実ならしめ、偽陽性の結果を生じない方法が提供される。反応混合物中の温度およびイオン強度を選択することにより、非常にストリンジェントな条件を調節する。例えば、ハイブリダイゼーション温度をプローブの融解温度よりも5ないし10℃低く調節する。ハイブリダイゼーション温度に応じて所望イオン強度またはpHによりバッファー(複数も可)を選択する。
【0030】
好ましくは、標識されたプライマーを用いて多重PCRを行なう。このようにして、増幅されたPCR生成物が、ハイブリダイゼーション反応後に検出可能な標識を有することが確実となる。すでに述べたように、標識が分子中に含まれていてもよく、標識は化学的、物理化学的または酵素的に検出可能なシグナルであり、例えば、蛍光、発光、放射活性等を測定することにより、発色反応によって決定および定量されうるものである。
【0031】
特に好ましい方法のためには、「+」および「−」の鎖を分離した後にハイブリダイゼーション反応を行なうのが適当である。そのことにより、プローブと同一の配列を有する鎖が、これらのプローブと競争して個々の鎖分子に結合することを回避する。そのような競争は、特に定量的検出の場合において疑わしい結果を招くであろう。「+」および「−」の個々の鎖を分離することにより、プローブに相補的な個々の鎖がのみハイブリダイゼーション混合物中に存在することとなる。
【0032】
そのようにする場合、多重PCRの後にプローブと同一の配列を有する「+」の個々の鎖を分離することが特に有利である。このようにして、プローブに相補的な配列を有する「−」の個々の鎖がハイブリダイゼーション混合物中に残り、その結果、その後すぐにハイブリダイゼーション反応を行なうことができる。
【0033】
特に有利な分離方法は、好ましくはそれぞれの5’末端において、物質に、特に少なくとも1個のビオチン分子にカップリングされたプライマーを「+」の個々の鎖の伸長に用いることを特徴とする。該物質は「+」の個々の鎖の分離を確実ならしめるものである。このようにして、「+」の個々の鎖をPCRの増幅工程において変化させて、方法にさらなる中間工程を挟むことなく、それらの完全な分離が特異的に確実にされるようにする。このようにして、「−」の個々の鎖も分離されるという危険性が除去される。ビオチンは容易にDNAにカップリングでき、特異的に分離できるので、特に適している。
【0034】
この目的のために、「+」の個々の鎖の伸長のためのプライマーにビオチン分子をカップリングさせることは特に好適である。「+」の個々の鎖は、ビーズに結合したストレプトアビジンにより、多重PCR後に分離される。ビーズを用いることにより、広い面積のストレプトアビジンを試料に導入することが可能となり、そのことにより、ビオチン分子が完全にストレプトアビジンに結合するであろう。さらにそのうえ、ビーズを用いることにより、さらにストレプトアビジン−ビオチン化合物が試料から分離されることが確実となる。そのために使用されるビーズは自体公知であり、例えば、ガラスでできていてもよく、あるいは磁性コアを有するものであってもよい。
【0035】
好ましくは、精製工程がハイブリダイゼーション工程に先行する。このようにして、ハイブリダイゼーションを妨害する可能性のある物質がハイブリダイゼーション混合物から除去され、この精製工程は「+」の個々の鎖の分離中または分離後に置かれてもよい。例えば、精製を、DNAの沈殿およびバッファー中へのDNAの再採取により行なってもよい。
【0036】
さらなる態様によれば、本発明は、上記の本発明方法のいずれかによる多重PCR生成物をハイブリダイゼーションさせるためのマイクロアレイに関する。検出すべき互いに異なる核酸分子にそれぞれ特異的にハイブリダイゼーションする少なくとも2種、好ましくは少なくとも6種、特に好ましくは少なくとも12種のプローブがその表面に結合され、それらは多くとも互いに2℃、好ましくは多くとも互いに1℃異なる融解温度を有する。マイクロアレイおよびプローブに関し、その定義は方法に関する説明のところですでに示しており、それらをここに適用する。さらに、マイクロアレイに結合されるプローブの数は検出すべき核酸分子の数に依存するであろう。もちろん、検出すべき核酸分子とハイブリダイゼーションしないさらなるプローブをマイクロアレイに結合させて負の試験としてもよい。重要なことは、すでに上で説明したように、プローブの融解温度が多くとも互いに2℃、好ましくは、多くとも互いに1℃異なることである。そのことにより、プローブに相補的な配列を有するすべての核酸分子がプローブに同等に特異的にかつ強固にハイブリダイゼーションするような条件をハイブリダイゼーション反応に関して調節できることが確実となる。
【0037】
好ましくは、プローブを、200ないし300μm、特に好ましくは240μmの直径を有するスポットとして、マイクロアレイ表面に結合させる。このような直径を有するスポットは本発明の上記方法に特に好適であり、ハイブリダイゼーション反応後の検出により特に明確かつミスのない結果が得られることが見出された。1のスポットはそれぞれ1のタイプのプローブ、すなわち同じ配列を有するプローブである。もちろん、並行試験として、同じタイプのプローブをマイクロアレイ上の数個のスポットに置いてもよい。
【0038】
さらにそのうえ、スポットが互いに100ないし500μm、好ましくは200ないし300μm、特に好ましくは280μmの距離を有するのが有利である。このようにして、スポットの最大数がマイクロアレイ上に提供されることが確実となるであろう。検出手順において種々のスポットを明確に識別することが同時に可能であり、かくして、プローブと結合核酸分子とが検出される。
【0039】
好ましくは、マイクロアレイはガラス、合成材料または膜でできている。これらの材料はマイクロアレイに特に適することがわかっている。
【0040】
プローブがマイクロアレイの表面に共有結合されるのが特に好適である。このようにして、プローブ−マイクロアレイ結合の離脱ならびにハイブリダイゼーションおよび洗浄工程における疑わしい結果の発生を無くしてマイクロアレイへのプローブの強固な結合が確実となる。マクロアレイがガラスでできている場合、例えば、第1級アミノ基は、シフ塩基形成下においてガラス表面の遊離アルデヒド基と反応しうる。
【0041】
プローブが、15ないし25ヌクレオチド、好ましくは20ヌクレオチドを含むハイブリダイゼーション配列を有することが適切であることがわかった。すでに上で説明したように、ハイブリダイゼーション配列により、検出すべき核酸分子がハイブリダイゼーションするであろう配列が理解される。もちろん、プローブをハイブリダイゼーション配列よりも長くしてもよいが、プローブをさらに長くすると、他の核酸分子との望ましくない結合が生じる可能性があり、そのことは結果を疑わしくする。それゆえ、プローブ(マイクロアレイ表面への結合に必要な部分を除く)がハイブリダイゼーション配列のみからなることが有利である。15ないし25ヌクレオチド、好ましくは20ヌクレオチドの長さが適切であることがわかった。なぜなら、この長さの範囲において、上記方法に関して必要な融解温度を有するハイブリダイゼーション配列を見出すことが可能だからである。この長さは特異的結合を可能にするに十分であり、また他のDNA分子が検出すべき核酸分子と一致した同じ配列を有する危険性を排除するに十分である。
【0042】
好ましくは、プローブは、マイクロアレイに結合するdT10配列をそれぞれの5’末端に有する。このようにして、マイクロアレイとハイブリダイゼーション配列との間の距離を十分なものとして、ハイブリダイゼーション配列が核酸分子に自由にアクセスできるようにする。Tの数は、例えば5ないし15、好ましくは10である。
【0043】
抗生物質耐性遺伝子の同時検出のために、ハイブリダイゼーション配列として、プローブが配列番号:25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35および36からなる群より選択される配列を含むことが適切である。これらの配列は、細菌株中に特に頻繁に存在する抗生物質耐性遺伝子中に存在するものであり、医学的に重要である。これらは、ベータ−ラクタマーゼblaZ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、fosB蛋白、アデニン−メチラーゼermC、aacA−aphDアミノグリコシダーゼ耐性、3’,5’−アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼaphA−3、mecR、ペニシリン結合蛋白PBP2’、アミノグリコシダーゼー3’−アデニルトランスフェラーゼaadA、テトラサイクリン耐性蛋白tetC、DHFR DfrAおよびD−Ala:D−AlaリガーゼvanB抗生物質耐性遺伝子であり、多くとも互いに約1℃異なる融解温度を有する。
【0044】
さらなる態様によれば、本発明は、上記の本発明方法のいずれかによる多重PCR生成物をハイブリダイゼーションさせるためのセットに関し、該セットは少なくとも2種、好ましくは6種、特に好ましくは少なくとも12種のプローブを含み、それぞれが検出すべき互いに異なる核酸分子と特異的にハイブリダイゼーションするものであり、互いに(すなわち、試験中のそれぞれの他のプローブ分子/検出核酸のペアーとは)多くとも2℃、好ましくは互いに多くとも1℃異なる融解温度を有するものである。プローブをバッファーに溶解してもよい。さらにそのうえ、セットはいくつかの容器を含んでいてもよく、1の容器には同じ配列を有するプローブが入っていてもよい。これにより、同じ配列のプローブをマイクロアレイ上の1のスポットに適用することが可能である。もちろん、1の容器中に互いに異なる配列を有する2種またはそれ以上のプローブを入れてもよい。
【0045】
好ましくは、プローブは15ないし25ヌクレオチド、好ましくは20ヌクレオチドを含むハイブリダイゼーション領域を有する。
【0046】
さらにそのうえ、各プローブがそれらの5’末端においてdT配列を有することが適切であり、好ましくは、Tの数は5ないし15、例えば10である。
【0047】
各プローブがそれらのハイブリダイゼーション領域において配列番号:25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35および36からなる群より選択される配列を有することが特に有利である。
【0048】
もう1つの態様によれば、本発明は、試料中の少なくとも2種の互いに異なる核酸分子を同時に検出するためのキットに関し、該キットは、
・上記の本発明のマイクロアレイ
・検出すべき核酸分子の特異的増幅のためのプライマーを入れた少なくとも1の容器
・所望により、上記の本発明のセット。容器は同じ配列を有するプライマーを含んでいてもよく、核酸分子の増幅のためのプライマーペアーを含んでいてもよく、あるいは数種の互いに異なる核酸分子の増幅のための数種のプライマーペアーを含んでいてもよい。しかしながら、プライマーは特定濃度で提供されるべきである。もちろん、キットはさらに上記方法を実行するためのプロトコルを記載した使用説明書ならびに増幅反応、ハイブリダイゼーション反応および検出に必要なさらなるバッファー、塩、溶液等を含んでいてもよい。
【0049】
マイクロアレイはすでにその上に固定化されたプローブを含んでいてもよい。プローブを含むセットはマイクロアレイとは別個に提供されてもよく(マイクロアレイがブランクの場合、すなわち、マイクロアレイが結合プローブを含まない場合)、あるいはマイクロアレイの統合された成分であってもよい。
【0050】
好ましくは、キットは、陽性試料として、検出すべき少なくとも1種のヌクレオチド分子を入れた少なくとも1の容器を含んでいてもよい。またさらに、容器は同じ配列を有する核酸分子を含んでいてもよく、数個の容器がキット中に提供されてもよく、数種の互いに異なる配列を有する核酸分子を1の容器中に提供することも可能である。例えば、キットが抗生物質耐性遺伝子の検出のために提供される場合、キットは、陽性試料として、配列番号:25ないし配列番号:36のハイブリダイゼーション配列を有する配列を持つ核酸分子を提供するものであってもよい。
【0051】
さらにキットが、ビーズに結合したストレプトアビジンを容器中に含んでいることが特に好適である。このことは、例えばビオチンにカップリングしたプライマーを用いることにより、「+」または「−」の個々の鎖がビオチンにカップリングする場合に、増幅された「+」と「−」の個々の鎖の分離を可能にする。
【0052】
以下において、実施例ならびに図面を参照して本発明をさらに詳細に説明するが、それは本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0053】
1.リファレンス「ABR標的」の遺伝子合成
いずれの「タイプ株(type strains)」も利用できず、あるいは取り扱う微生物に安全性の問題があったため(bio-safetyレベル2またはそれ以上)、インビトロでの遺伝子合成により一連の抗生物質耐性(ABR)配列を調製した。表1にすべての標的をまとめてあり、番号を付した。対照耐性はベクターに由来し、チップの確認に最初に役立つ。これらの標的に関し、プローブがABRチッププロトタイプ上に提供される。
【0054】
【表1】

【0055】
表2はプロトタイプ用に開発されたPCRプライマーの配列およびPCR生成物の長さを示す。図1において12種すべてのPCR生成物がアガロースゲル電気泳動後に観察されうる。
【0056】
表2

番号 名称 PCRプライマー(配列番号) PCR生成物

1 PBP2 1+2 423bp
2 KanR 3+4 532bp
3 MecR 5+6 517bp
4 DhfrA 7+8 279bp
5 StrR 9+10 549bp
6 VanB 11+12 498bp
7 MlsR 13+14 564bp
8 AmpR 15+16 219bp
9 CmR 17+18 247bp
10 TetR 19+20 245bp
11 FosB 21+22 304bp
12 AacA 23+24 497bp
【0057】
2.マイクロアレイの設計
問題としている抗生物質耐性(ABR)遺伝子の利用可能な(PCR)核酸分子それぞれに関し、バイオインフォマチック標準法により非常に特異的なDNAプローブを配置した。通常は、ソフトウェア「Gene Runner 3.0」((著作権) 1994, Hastings Software, Inc.)を用いた。PCRおよびHybプライマー選択には、「プライマー3」(Steve Rozen & Helen J. Skaletsky (1998))を用いた。相同性検索およびデータベースクロスチェックには、「Fasta3」(W. R. Pearson and D. J. Lipman (1988), "Improved Tools for Biological Sequence Analysis", PNAS 85: 2444-2448, W. R. Pearson (1990), "Rapid and Sensitive Sequence Comparison with FASTP and FASTA" Methods in Enzymology 183: 63-98)を用いた。並置比較(アラインメント)には、「ClustalX 1.8」(Thompson, J. D., Gibson, T. J., Plewniak, F., Jeanmougin, F. and Higgins, D. G. (1997), The ClustalX windows interface: flexible strategies for multiple sequence alignment aided by quality analysis tools. Nucleic Acids Research, 24: 4876-4882)を用いた。他の可能なABR標的との潜在的なクロスハイブリダイゼーションを排除できるという事実に特に注意を払った。さらなるEMBLおよびGenbankデータベース検索を用いて、個々のプローブが誤って「外来」配列とハイブリダイゼーションしないことを確実にした。プローブをPCRフラグメントのA/T豊富領域中に局在化させて、dsPCR生成物とのハイブリダイゼーションの間における最適条件を確保した。この例における最適条件とは、より容易に変性する(なぜなら、例えば、A/T豊富領域中だから)dsDNA中の領域をプローブが「認識」する場合に、通常にはハイブリダイゼーションがより効率的であることを意味する。
【0058】
各プローブは65℃±1℃のT値を有し、チップ表面とハイブリダイゼーション配列(表3参照)との間のスペーサー配列としてさらなるdT10配列を5’末端に有する。すべてのオリゴヌクレオチドを5’(CH−NH修飾を付して合成し、逆相クロマトグラフィーHPLCプロトコルにて精製した。プローブを1mMの濃度に調節し、MTプレート中−20℃で保存した。
【0059】
表3
番号 名称 配列(配列番号) T

1 PBP2 25 64.8℃
2 KanR 26 65.1℃
3 MecR 27 64.8℃
4 DhfrA 28 65.5℃
5 StrR 29 63.7℃
6 VanB 30 64.4℃
7 MlsR 31 64.9℃
8 AmpR 32 65.4℃
9 CmR 33 64.9℃
10 TetR 34 65.9℃
11 FosB 35 64.2℃
12 AacA 36 65.0℃

Co BSreverse 37 65.9℃
hCo AT−M33 38 65.3℃
【0060】
3.アレイのレイアウト
プローブをガラス表面に共有結合させ、それを行なう場合に、シフ塩基の形成下において5’第1級アミノ基がガラス表面の遊離アルデヒド基と反応する(「シリル化スライド(Silylated Slides)」, CEL Associstes)。スポッター(Affymetrix 417 Arrayer)を用いてプローブをガラス担体に適用した。それを行なう場合に、良好な再現性およびスポットの一貫性を求めてスポットするプロトコルを最適化した。hits/dotを用いて3xSSC 0.1% SDS中でスポッティングを行なった。スポットは約240μmの直径を有し、スポット間距離280μmでマイクロアレイ上に適用される。各スポットにつき2つのレプリカが存在する。チップを有効ならしめるために、典型的なパターン(「ガイドドット」)とした対照プローブ(Bluescriptポリリンカー配列)および陰性対照(ブランク値、いわゆる「バッファードット」)を適用する。
【0061】
図2は、ABRチップのアレイのレイアウトを示す。12種のABR標的の位置はそれぞれの番号(No.)で示される。「ガイドドット」は黒色であり、「バッファードット」は白色であり、異種対照の位置は灰色でマークされている。
【0062】
4.チップの有効化および対照ハイブリダイゼーション
対照プローブセットを用いて、まず第1にマイクロアレイ上でのハイブリダイゼーション条件を最適化する。マイクロアレイ上の6つのスポットは、BSポリリンカー−特異的配列を有する対照プローブを含む。15x15mm(2.25mm2)のカバースリップ下、SSARCバッファー中7μlの体積中で、3’末端Cy5−dCTP標識オリゴヌクレオチド(BSrevco,5’AAGCTCACTGGCCGTCGTTTTAAA,配列番号:39)を用いて、55℃で1時間ハイブリダイゼーションを行なった。
【0063】
標準的なプロトコル(2xSSC 0.1% SDS、次いで、0.2xSSC 0.1% SDS、次いで、0.2xSSC、そして最後に0.1xSSC、各2分)に従ってチップを洗浄した。次いで、適当なレーザー出力および適当なPMT電圧調節を行なって共焦点蛍光スキャナー(Affymetrix 418 Array Scanner)でガラス担体をスキャンした。
【0064】
図3に、ABRチップ上の対照ハイブリダイゼーションを示す。それぞれの各特異的標的(No.1からNo.12まで)を一種ずつ用いて全部で12の個々に行なったハイブリダイゼーション実験の結果が、「ガイドドット」対照とともに見られる(左から右へ、それぞれ、No.1からNo.3、No.4からNo.6、No.7からNo.9、およびNo.10からNo.12)。
【0065】
5.ABRチッププロトタイプを用いたパイロットスタディー
ABRチップの最初の機能試験において、3つの異なる各ABR標的および2つの対照標的(アンピシリンNo.8およびテトラサイクリンNo.10)につき、2つの異なる試料混合物(「MixA」および「MixB」)を用意した。「MixA」は対照標的のほかにカナマイシン(aphA−3 No.2)、トリメトプリム(dhfrA No.4)およびゲンタマイシン(aacA No.12)を含んでいた。「MixB」は対照標的のほかにバンコマイシン(vanB No.6)、エリストマイシン(ermC No.7)およびフォスフォマイシン(fosB No.11)を含んでいた。合成鋳型を用いて鋳型量の正確な調節をできるかぎり行なった。標準的なPCR条件下で多重増幅を35サイクル行ない、プローブと同一である「+」の個々の鎖の増幅用のプライマーをビオチン分子にカップリングさせた。プローブに相補的な配列を有する「−」の個々の鎖用のプライマーをマーカー分子5’Cy−5にカップリングさせた。反応物を精製し、dynabeads上でアルカリ変性させることにより個々の鎖を単離し、SSARCバッファー中、55℃で1時間、ABRプロトタイプアレイ上でハイブリダイゼーションさせた(図4参照)。
【0066】
A)PCR(個々の反応物中の対照)
・25μlの体積:
1.0μlの鋳型(3fmol/μl)
1.0μlのプライマー プラス (25μM)5’−ビオチン[VBC-GENOMICS]
1.0μlのプライマー マイナス (25μM)5’−Cy5[VBC-GENOMICS]
2.5μlのHotStarTMバッファー(10x)[Qiagen]
0.5μlのdNTPs(10mM)[Roche]
0.1μlのHotStarTMTaq DNAポリメラーゼ[Qiagen]
aqua bidestで25μlにする
・サイクリング:15分 95℃、 30x[30秒 95℃、 20秒 60℃、 40秒 72℃] 10分 72℃
・QIAquickTMPCR-PurificationキットによるPCR反応物の精製
【0067】
B)多重PCR
・50μlの体積
x μlの鋳型(x fmol/μl)
6.0μlのプライマー「カクテル」 プラス (各25μM)5’−ビオチン [VBC-GENOMICS]
6.0μlのプライマー「カクテル」 マイナス (各25μM)5’−Cy5 [VBC-GENOMICS]
5.0μlのHotStarTMバッファー(10x)[Qiagen]
1.0μlのdNTPs(10mM)[Roche]
0.2μlのHotStarTMTaq DNAポリメラーゼ[Qiagen]
aqua bidestで50μlにする
・サイクリング:15分 95℃、 35x[30秒 95℃、 20秒 55℃、 40秒 72℃] 10分 72℃
・QIAquickTMPCR-PurificationキットによるPCR反応物の精製
【0068】
C)1本鎖の単離
・20μlのDynabeads(10μg/μl)[Roche]を200μlの1xTSバッファーで2回洗浄する
・8μlの6xTSバッファー中に取る
・40μlのPCR反応物とともに37℃で30分インキュベーションする
・Dynabeadsを200μlの1xTSバッファーで2回洗浄する
・DNAを20μlの0.2N NaOHで室温にて5分間、2回変性させる
・120μlの90%EtOH/0.3M NaOAcで沈殿させる。
(20分 −20℃、16500rpmにて4℃で30分)
・ペレットを70%EtOHで洗浄し、乾燥させ、ついで、14μlのSSARCバッファー中に取る
【0069】
D)ハイブリダイゼーション
・0.1μlのBSrevco-Cy5(1μM)を含むSSARCバッファー中のハイブリダイゼーション試料7μlを98℃で3分間変性させ、ついで、即座に氷上に置く
・15x15mmカバースリップ下で55℃で1時間ハイブリダイゼーションさせる
・スライドを洗浄する(2xSSC 0.1% SDS 5分 室温、0.2xSSC 5分 室温、0.2xSSC 5分 室温、0.1xSSC 2分 室温)
・スライドをスキャンする
【0070】
E)バッファー
・TSバッファー:100mM Tris−Cl、pH7.6、150mM NaCl;オートクレーブしたもの
・SSARCバッファー:4xSSC、0.1%(w/v)サルコシル;0.2μmのフィルターで濾過したもの
・SSCバッファー:20x:3M NaCl、0.3Mクエン酸三ナトリウム(2水和物),pH7.0
チップを洗浄し、スキャンした。
【0071】
図5は、2つの異なる合成標的および2つの対照標的の多重増幅およびその後のABRチップ検出を示す。左に「MixA」、右に「MixB」を示す。蛍光スキャンの「疑わしい色」の像が見られ、それぞれABR標的の正しい配分とともに陰性であった。図5からわかるように、正しい標的の明確な配分が2つの異なる試料混合物において可能である。このことは、本発明によれば、12種の核酸分子の同時検出は曖昧さのない結果を生じることを示すものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の少なくとも6種の互いに異なる核酸分子の同時検出方法であって、第1工程において多重PCRが行なわれ、第2工程においてマイクロアレイ上に固定化されたプローブを用いて、増幅された配列とのハイブリダイゼーション反応が行なわれ、その上にハイブリダイゼーションしたPCR生成物が検出され、ハイブリダイゼーション反応に使用されるプローブは各場合において互いに異なる核酸分子の増幅された配列に特異的にハイブリダイゼーションするものであり、互いに多くとも2℃異なる融解温度を有するものである方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法による多重PCRの生成物をハイブリダイゼーションさせるためのマイクロアレイであって、検出すべき互いに異なる増幅された核酸分子の配列にそれぞれ特異的にハイブリダイゼーションする少なくとも6種のプローブがその表面に結合されており、該プローブが多くとも互いに2℃異なる融解温度を有することを特徴とするマイクロアレイ。
【請求項3】
請求項1項記載の方法による多重PCRの生成物をハイブリダイゼーションさせるためのセットであって、少なくとも6種のプローブを含み、該プローブが検出すべき互いに異なる増幅された核酸分子の配列に特異的にハイブリダイゼーションするものであり、該プローブが多くとも互いに2℃異なる融解温度を有することを特徴とするセット。
【請求項4】
試料中の少なくとも6種の互いに異なる核酸分子を同時に検出するためのキットであって、
・請求項2記載のマイクロアレイ、および
・検出すべき核酸分子の特異的増幅のためのプライマーの入った少なくとも1つの容器
を含むことを特徴とするキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−101652(P2011−101652A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288416(P2010−288416)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【分割の表示】特願2002−570758(P2002−570758)の分割
【原出願日】平成14年3月1日(2002.3.1)
【出願人】(503318965)オーストリアン・リサーチ・センターズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング−アーエルツェー (2)
【氏名又は名称原語表記】Austrian Research Centers GmbH−ARC
【Fターム(参考)】