核酸固定用基材、核酸固定用基材の製造方法、核酸検査用デバイス、核酸検査用デバイスの製造方法、並びに核酸検査方法

【課題】核酸を検査する際に、核酸プローブ部の発色強度と発色外観に優れ、かつ核酸プローブ部以外では着色がない核酸固定用基材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基材と、該基材上の核酸固定層を含んでなる核酸固定用基材であって、該核酸固定層は、ノニオン系またはアニオン系の非吸水性樹脂と粒子を含有する組成物からなり、該核酸固定層の水との接触角は3°以上80°以下であることを特徴とする核酸固定用基材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸固定用基材、核酸固定用基材の製造方法、核酸検査用デバイス、核酸検査用デバイスの製造方法並びに核酸検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆるDNAチップに用いられる基材は、ガラス又はシリコンを原材料としている。これらの基材の表面への核酸プローブの固定化は、共有結合形成による固定化により達成される。例えば、ガラス基板の表面をシランカップリング剤で改質し、これを該シランカップリング剤の官能基1と結合可能な官能基2を有する核酸プローブと反応させる方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1には、前記の官能基1および官能基2として、アミノ基とエポキシ基、チオール基とマレイミド基などの組み合わせが開示されている。また、リソグラフィー技術などを用いて、基材上に核酸プローブを直接合成する技術なども存在する。
【0003】
また、特許文献2には、ポリプロピレン樹脂、変性ポリプロピレン樹脂並びに粒子を配合してなるDNAチップ用基板に係る発明が開示されている。
【0004】
しかしながら、上記DNAチップ用基板を用いた場合であっても、核酸の固定量は十分ではなかった。特に、DNAハイブリダイゼーションの検出系が発色反応である場合、十分に発色し得る程度まで核酸を固定することが困難であった。
【0005】
また、ナイロン(登録商標)膜をDNAチップ用基板に用いることが古くから行われている(特許文献3)。しかしながら、当該膜は膜強度が弱く、例えば、ディスペンサー等の針から吐出する装置を用いて当該膜に核酸プローブの固定を行うと、当該膜が破れてしまうという問題がある。また、固定した核酸プローブが剥離してしまうという問題も生じる。さらに、このような膜は、所望の形に成型できない問題もあった。
【0006】
【特許文献1】特開2000−270896号公報
【特許文献2】特開2003−279574号公報
【特許文献3】特開昭60ー188100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第1の課題は、核酸を検査する際に、核酸プローブ部の発色強度と発色外観に優れ、かつ核酸プローブ部以外では着色がなく、力学的強度の高い核酸固定用基材及びその製造方法を提供することにある。また、第2の課題は、前記の核酸固定用基材を用いた核酸検査用デバイス及びその製造方法を提供することにある。さらに、第3の課題は、迅速、簡便に、目視で精度よく核酸を検査する核酸検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の第1の課題を解決することができる本発明は、基材と、該基材上の核酸固定層を含んでなる核酸固定用基材であって、該核酸固定層は、ノニオン系またはアニオン系の非吸水性樹脂と粒子を含有する組成物からなり、該核酸固定層の水との接触角は3°以上80°以下であることを特徴とする核酸固定用基材に関する。また、本発明は、基材の表面に、ノニオン系またはアニオン系の非吸水性樹脂と粒子を含有する塗布液を塗布および乾燥するステップを含む、前記核酸固定用基材の製造方法に関する。
【0009】
また、第2の課題を解決することができる本発明は、前記核酸固定用基材に核酸プローブが固定された核酸検査用デバイスであって、核酸プローブは核酸固定層に固定されていることを特徴とする核酸検査用デバイスに関する。また、本発明は、前記核酸固定用基材に核酸プローブが固定された核酸検査用デバイスの製造方法であって、前記核酸固定層上に核酸プローブの水溶液を滴下し、次いで紫外線を照射するステップを含む、核酸検査用デバイスの製造方法に関する。
【0010】
さらに、第3の課題を解決することができる本発明は、前記核酸検査用デバイスを用いた核酸検査方法であって、
(1)検体DNAを採取するステップ、
(2)前記検体DNAを前記核酸プローブにハイブリダイズするステップ、及び
(3)前記ハイブリダイズしたDNAを検出するステップ、
を含むことを特徴とする核酸検査方法に関する。
【0011】
本発明の主たる態様および好ましい態様は、以下を包含する。
〔1〕基材と、該基材上の核酸固定層を含んでなる核酸固定用基材であって、該核酸固定層は、ノニオン系またはアニオン系の非吸水性樹脂と粒子を含有する組成物からなり、該核酸固定層の水との接触角は3°以上80°以下であることを特徴とする核酸固定用基材。
〔2〕前記粒子は多孔質であることを特徴とする〔1〕に記載の核酸固定用基材。
〔3〕前記粒子はシリカであることを特徴とする〔1〕〜〔2〕のいずれかに記載の核酸固定用基材。
〔4〕基材の表面に、ノニオン系またはアニオン系の非吸水性樹脂と粒子を含有する塗布液を塗布および乾燥するステップを含む、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の核酸固定用基材の製造方法。
〔5〕〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の核酸固定用基材に核酸プローブが固定された核酸検査用デバイスであって、核酸プローブは核酸固定層に固定されていることを特徴とする核酸検査用デバイス。
〔6〕前記核酸プローブは、その3’末端にポリチミンが付加されている、〔5〕に記載の核酸検査用デバイス。
〔7〕〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の核酸固定用基材に核酸プローブが固定された核酸検査用デバイスの製造方法であって、
前記核酸固定層上に核酸プローブの水溶液を滴下し、次いで紫外線を照射するステップを含む、核酸検査用デバイスの製造方法。
〔8〕前記核酸プローブは、その3’末端にポリチミンが付加されている、〔7〕に記載の核酸検査用デバイスの製造方法。
〔9〕〔5〕に記載の核酸検査用デバイスを用いた核酸検査方法であって、
(1)検体DNAを採取するステップ、
(2)前記検体DNAを前記核酸プローブにハイブリダイズするステップ、及び
(3)前記ハイブリダイズしたDNAを検出するステップ、
を含むことを特徴とする核酸検査方法。
〔10〕ハイブリダイズしたDNAを検出するステップ(3)は、発色反応に基づくことを特徴とする〔9〕に記載の核酸検査方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の核酸固定用基材は、核酸固定層に特定の組成物を用いているため、十分な量の核酸を固定することができる。そのため、前記の核酸固定用基材を用いた核酸検査用デバイスによって核酸を検査する際、迅速、簡便に、目視で精度よく核酸を検査することができる。特に、検出系が発色反応である場合、目視で容易に核酸の検出を判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の核酸固定用基材は、核酸を容易に固定することができる基材であって、基材と、該基材上の表面の一部又は全部に核酸固定層を含んでなる。
【0014】
(1)基材
本発明における基材は、核酸固定用基材の用途において、主に機械的特性を保持するための支持体である。当該基材の表面の一部又は全部に、後述する核酸固定層が形成される。
【0015】
基材としては、ガラス基板あるいは樹脂フィルム(樹脂シートも含む)などが例示できるが、これらに限定されない。ガラス基板の場合、ガラス基板へのカップリング処理などの後処理が不可欠であり、製造工程が煩雑となり、また、ガラス固有の割れやすいといった信頼性の問題もあるため、例えばガラスを基材に用いるDNAチップは、取り扱い性やコスト面で不利な場合がある。したがって、本発明においては、ロール・トゥ・ロール方式による連続生産が可能であり、価格も安く、機械的強度、取り扱い性に優れる、樹脂フィルムが基材として好適である。また、容器などのような所望の形状に成型した成型物を基材としてもよい。
【0016】
樹脂フィルムの原材料樹脂としては、工業的に汎用されている疎水性の樹脂を使用することができる。具体的には、ポリエチレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン、ポリイミド及びアクリル樹脂などが挙げられる。これらの中で、安価で、機械的強度を有し、取り扱いが容易である点から、ポリエステルが好ましい。
【0017】
本発明において、ポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸のごとき芳香族ジカルボン酸又はそのエステルと、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1、4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールのごときグリコールとを重縮合させて製造される樹脂である。
【0018】
基材としてポリエステルフィルムを用いる場合、機械的強度と寸法安定性の点から、少なくとも一軸以上に延伸された延伸ポリエステルフィルムが好ましい。特に好ましくは、二軸延伸ポリエステルフィルムである。二軸延伸方法としては、チューブラ延伸法、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法が挙げられる。この中で、平面性、寸法安定性、厚みムラ等の点から逐次二軸延伸法が好ましい。逐次二軸延伸法による延伸の具体例としては、長手方向にポリエステルのガラス転移温度の+0〜30℃で、2.0〜5.0倍にロール延伸し、引き続き、120〜150℃で倍率を1.2〜5.0倍にテンター延伸することも可能である。さらに、延伸後に220℃以上で3〜8%緩和させながら熱固定を行なう方法が挙げられる。
【0019】
また、樹脂フィルムは、単層のフィルムであっても、2層以上の積層フィルムであってもかまわない。2層以上の積層フィルムの場合、生産性の点から、各層の原料を別々の押出機から押出し、1つのダイスに導き未延伸シートを得た後、少なくとも1軸に配向させる、いわゆる共押出法により製造される積層フィルムが最も好ましい。
【0020】
樹脂フィルムは、透明樹脂フィルムと隠蔽性のある白色樹脂フィルムのいずれも使用可能であるが、本発明では、発色系を用いた核酸の検査をする際の、発色鮮明性の点から、基材として隠蔽性のある白色フィルムを用いることが好ましい。好ましい白色フィルムは、反射色差計Lab表示で、L値が8以上、a値が−10以上10以下、b値が−10以上10以下、または、全光線透過率が13%以下の機能を有するフィルムである。反射色差計はカラーメーター(日本電色工業製、ZE2000)、全光線透過率はヘイズメーター(日本電色工業製、NDH2000)を用いて測定することができる。
【0021】
白色樹脂フィルムとしては、フィルム内部に空洞や粒子を含有する白色フィルムあるいはシートが挙げられる。内部に空洞を含有させる方法としては、例えば、熱可塑性樹脂と、該熱可塑性樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂、または/および粒子を多数含有する未延伸フィルムを、少なくとも1軸方向に配向することにより、フィルム内部において非相溶樹脂又は粒子の周囲に微細な空洞を多数含有させる方法が好適である。
【0022】
例えば、熱可塑性樹脂がポリエステルの場合には、非相溶樹脂としては、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、あるいはそれらの共重合体、混合体が好適に用いられる。
【0023】
フィルム中に含有させ得る粒子としては、例えば、シリカ、カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化チタン、架橋アクリル粒子、架橋ポリスチレン粒子等が例示される。これらの粒子の中で、隠蔽性に優れる酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛が好ましい。
【0024】
樹脂フィルム中には、用途に応じて、ワックスなどの潤滑剤、着色材、蛍光増白剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを含有させてもよい。特に、蛍光増白剤を含有させると、白色度がさらに向上するので好ましい。また、白色顔料以外に、黒色顔料、又は茶色顔料を併用すると、隠蔽性がさらに向上する。
【0025】
樹脂フィルムの厚みは、例えば、25μmから250μmの範囲が好ましい。フィルムの厚みを前記の範囲にすることにより、フィルムに適度な腰が与えられ、例えば核酸検査用デバイスを製造する際の取り扱い性に優れ、またカールも起こりにくくなる。
【0026】
(2)アンカーコート層
本発明においては、このような樹脂フィルムの片面に核酸固定層を形成し、核酸固定用基材を製造することができる。さらに、核酸固定層と樹脂フィルムとの密着性の向上や、耐水性の向上を目的として、アンカーコート層を設けることが好ましい。
【0027】
アンカーコート層を主に構成する樹脂としては、例えばポリウレタン、アクリル樹脂、共重合ポリエステル、ポリエチレンイミン、ポリアミド、またはそれらの混合物を使用することができる。樹脂フィルムがポリエステルフィルムの場合には、核酸固定層と樹脂フィルムとの密着性の点から、共重合ポリエステルを用いることが好ましい。
【0028】
本発明においては、アンカーコート層を形成させる塗布液に架橋剤を混合し、塗布液を樹脂フィルムに塗布、乾燥させた後、熱により樹脂を架橋させることが好ましい。アンカーコート層を構成する樹脂を熱により架橋させることにより、アンカーコート層の耐水性を向上させ、樹脂フィルムとの密着性を向上させることができる。さらに、核酸固定層とアンカーコート層の間でも架橋反応が起こり、核酸固定層の耐水性を向上させることが可能となる。架橋剤としては、メラミン、尿素ホルマリン、イソシアネート、エポキシ等が挙げられる。架橋反応が早いイソシアネート系の架橋剤が好ましく、より好ましくは塗液の安定性が得られるブロック型イソシアネートである。
【0029】
ブロック型イソシアネートは、イソシアネート化合物のフリーのイソシアネート基をブロック剤によってブロック化してなる化合物である。
【0030】
ブロック剤としては、フェノール、クレゾールなどのフェノール系ブロック剤、ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、メチルエチルケトキシム、メチルイソブチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシムなどのオキシム系ブロック剤、アセトアニリド、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタムなどの酸アミド系ブロック剤、マロン酸ジメチル、アセト酢酸メチルなどの活性メチレン系ブロック剤、ブチルメルカプタンなどのメルカプタン系ブロック剤、コハン酸イミド、マレイン酸イミドなどのイミド系ブロック剤、イミダゾール、2−メチルイミダゾールなどのイミダゾール系ブロック剤、尿素、チオ尿素などの尿素系ブロック剤、ヒドラジン、エチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジン等のヒドラジン系ブロック剤、N−フェニルカルバミン酸フェニル等のカルバミン酸系ブロック剤、ジフェニルアミン、アニリン等のアミン系ブロック剤、エチレンイミン、ポリエチレンイミンなどのイミン系ブロック剤などが挙げられる。
【0031】
ブロック化する前のポリイソシアネート化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネートもしくはトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの如き脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシリレンジイソシアネートもしくはイソホロンジイソシアネートの如き環状脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネートもしくは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの如き芳香族ジイソシアネート類の如き有機ジイソシアネートそれ自体、またはこれらの各有機ジイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等との付加物、あるいは上記した如き各有機ジイソシアネート同志の環化重合体、更にはイソシアネート・ビウレット体等が挙げられる。黄変等の問題が少ない脂肪族系のポリイソシアネート化合物が好ましい。
【0032】
アンカーコート層を形成する塗布液中に含有させる架橋剤の量は、例えば、樹脂100質量部に対して架橋剤10質量部から100質量部とすることが好ましい。さらに好ましくは、5質量部から50質量部である。また、アンカーコート層を構成する樹脂の活性水素に対して過剰に架橋剤を添加することにより、アンカーコート層内で自己架橋体を形成させるとともに、核酸固定層を構成するノニオン系樹脂あるいはアニオン系樹脂と架橋反応を行わせることが好ましい。また、アンカーコート層を形成する塗布液中に、それぞれの架橋剤、もしくは硬化剤の反応を促進する効果を有する触媒を適宜、添加することが好ましい。また、自己架橋タイプの架橋剤であれば単独で使用しても構わない。
【0033】
アンカーコート層中には、滑り性の改善などを目的として、各種の粒子を含有させてよい。例えば、シリカ、カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化チタン、等の無機粒子、アクリル、ナイロン、スチレン、ポリエステル、ベンゾグアナミン・ホルマリン縮合物、等の有機粒子が挙げられる。
【0034】
さらに、アンカーコート層には各種の目的で、界面活性剤、帯電防止剤、蛍光染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤等を含有させてよい。
【0035】
アンカーコート層を設ける方法としては、例えば、グラビアコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレイコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式などが適用できる。
【0036】
アンカーコート層を塗布する段階としては、フィルムの延伸前に塗布する方法、縦延伸後に塗布する方法、配向処理の終了したフィルム表面に塗布する方法などのいずれの方法も可能であるが、フィルムを配向処理する前に塗工するインラインコート方式が好ましい。インラインコート方式により、コストを低減でき、かつ、熱固定処理時の熱により架橋反応が促進され、樹脂フィルムと核酸固定層の密着性がより向上する。
【0037】
本発明の核酸固定用基材は、その表面の一部又は全部に核酸固定層を有する。当該核酸固定層は、基材表面に形成される樹脂組成物からなる層であって、核酸を固定し得る機能を有する。当該核酸固定層は、ノニオン系またはアニオン系の非吸水性樹脂と、粒子を含有する組成物からなる。なお、アニオン系樹脂とノニオン系樹脂は併用してもよい。
【0038】
(3)核酸固定層
本発明において、核酸固定層はノニオン系またはアニオン系の非吸水性樹脂と粒子を含有する組成物からなる。
【0039】
本発明において、非吸水性樹脂とは、常温の水に対して溶解せず、かつ、常温の水を樹脂固体に対して10質量%以上、より好ましくは5質量%以上吸水しない樹脂を意味する。吸水性の評価は、樹脂固体を常温で24時間浸漬したときの体積の変化を測定する方法を用いる。
【0040】
核酸固定層を構成する樹脂としては、例えばポリウレタン、アクリル樹脂、共重合ポリエステル、ポリエチレンイミン、ポリアミドなどのホモポリマーまたはコポリマー、あるいはそれらの混合物が挙げられるが、本発明では、ノニオン変性またはアニオン変性した非吸水性樹脂のみが適用可能である。特に、ノニオン系のポリウレタンは、核酸プローブとの固定性がよく、好適である。
【0041】
カチオン系樹脂を用いる場合には、核酸検査後の核酸プローブ固定部の発色が低下するほか、核酸プローブ固定部以外で着色し、核酸検査用デバイスとして適さない。このような現象が発現するメカニズムは明確ではないが、下記のように推察している。
【0042】
(i)核酸固定層のカチオン部と、核酸プローブに含まれるポリチミンとの固定性が非常に強い。
(ii)そのため、核酸プローブ固定部の単位面積あたりの固定量が低下し、発色性が低下する。
(iii)その結果、核酸プローブ洗浄時に残った核酸プローブが固定部以外(バックグランド)に固定され、核酸プローブ固定部以外で着色が発生する。
【0043】
本発明におけるアニオン系樹脂は、アニオン性基を有する化合物であれば特に限定されず、公知のものが使用可能である。例えば、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、スチレン、スチレン誘導体、アクリル酸のアルキルエステル、メタクリル酸のアルキルエステルなどの疎水性モノマーと、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸及びその脂肪族アルコールエステル、マレイン酸、フマール酸、アクリク酸、メタクリル酸、イタコン酸、及びそれらの誘導体等の親水性モノマーとからなる共重合体、及びそれらの塩が挙げられる。
【0044】
本発明において、核酸固定相を構成する樹脂には、カチオン系樹脂は含まれない、ここで、カチオン系樹脂とは、カチオン性基を有する化合物である。カチオン性基としては、アミン、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリン等が挙げられる。重合成分として少なくともカチオンサイトとビニル性不飽和結合基を有するモノマーを含むポリマーや、ポリマーに付加反応でカチオンサイトを結合させたポリマーであってもよい。
【0045】
本発明において、ノニオン系樹脂とは、アニオン性基、あるいはカチオン性基を持たない化合物で、特に限定されるものではなく、公知のものが使用可能である。例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートまたはそれらの(共)重合体)などが挙げられる。
【0046】
しかしながら、本発明で核酸固定層に用いる樹脂は、ノニオン系樹脂あるいはアニオン系の樹脂であるだけでは不十分である。該樹脂が非吸水性であることにより、核酸プローブの発色外観に優れ、かつ核酸プローブ以外の着色が少ないという効果が発現される。
【0047】
本発明において、核酸固定層を構成する樹脂組成物は、ノニオン系樹脂あるいはアニオン系の非吸水性樹脂以外に、さらに粒子を含有する。核酸固定層に粒子を含有させることによって、核酸固定層の表面に凹凸が形成され、核酸固定層の表面積が増加する。その結果、核酸プローブが固定する面積を増加させることができる。さらに、この表面に形成された凹凸によって、滑り性が付与されるため、核酸固定用基材にキズが入らず、これによる検査不良が防げる。粒子の形状として、例えば、球状、塊状、板状、繊維状、あるいはフレーク状が挙げられる。中でも、上記ノニオン系またはアニオン系の非吸水性樹脂への分散性の点から、塊状または球状の粒子が好ましい。
【0048】
粒子の種類としては、無機粒子、有機粒子、有機・無機複合粒子が挙げられる。
無機粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、非晶質ゼオライト粒子、アナターゼ型の二酸化チタン、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ、カオリン、タルク、クレーなどが挙げられる。
【0049】
有機粒子としては、(メタ)アクリル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂などが挙げられる。これらの有機粒子のなかでも、架橋ポリメチルメタクリレート粒子、架橋ポリスチレン粒子、または共重合からなる架橋粒子などの架橋構造を有する耐熱性高分子粒子、あるいはベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、などの熱硬化性樹脂からなる耐熱性有機粒子が好ましい。
また、シリカ・アクリル複合化合物などの有機・無機複合粒子も用いることができる。これらの粒子はアンカーコート層に含有させる粒子として用いてもよい。
【0050】
また、核酸固定層に含有させる粒子は、多孔質であることがさらに好ましい。特に好ましくは、多孔質のシリカ粒子である。
【0051】
本発明において、多孔質粒子とは、細孔容積が0.4ml/g以上の粒子を意味する。一方、非多孔質粒子とは、細孔容積が0.4ml/g未満の粒子を意味する。
【0052】
粒子の細孔容積は、0.4ml/g以上2.0ml/g以下が好ましく、特に好ましくは下限が0.8ml/g、上限が1.3ml/g以下である。粒子の細孔容積が0.4ml/g以上の粒子を用いることにより、核酸プローブの固定性が良好になる。一方、細孔容積が2.0ml/g以下の粒子を用いることにより、核酸固定用基材の製造時や取り扱い時に、核酸固定層の膜強度の低下を抑制して、核酸固定層からの粒子の脱落を防止することができる。本発明において、細孔容積は、粒子を乾燥させた後、ガス吸脱着アナライザー(コールター社製、オムニソープ369)を用いて、窒素吸脱着法により測定する。
【0053】
粒子の平均粒径は、ノニオン系またはアニオン系の非吸水性樹脂における分散性の点から、0.5μm以上10.0μm以下が好ましい。粒子の平均粒径は、下限が1.0μm、上限が8.0μmがさらに好ましい。平均粒径が0.5μm以上の粒子を用いることにより、核酸固定層の表面に効率よく凹凸を形成させることができる。そのため、単位面積当たりの核酸プローブの固定量が増加するとともに、核酸固定層の膜強度の低下を抑制して、核酸固定層からの粒子の脱落を防止することができる。一方、平均粒径が10μm以下の粒子を用いることにより、核酸固定層の表面が粗面化しすぎるのを抑制でき、核酸検査後の核酸プローブ固定部の発色外観を良好にすることができる。本発明において平均粒径は、コールターカウンター(コールター社製、マルチサイザーII型)を用いて、粒子を膨潤させない溶媒に分散させて測定した。
【0054】
核酸固定層中の粒子の含有量は、核酸固定層を構成する樹脂組成物に対して19質量%以上80質量%以下が好ましい。特に好ましい粒子の含有量は、下限が35質量%、上限が65質量%である。核酸固定層を構成する樹脂組成物に対して、粒子の含有量を19質量%以上とすることにより、核酸固定層の表面に効率よく凹凸を形成させることができ、単位面積当たりの核酸プローブの固定量を増加させることができる。そのため、本発明で要求される発色反応を目視で確認することが容易になる。一方、核酸固定層を構成する樹脂組成物に対して、粒子の含有量を80質量%以下とすることにより、核酸固定層の膜強度の低下を抑制し維持し、核酸固定層からの粒子の脱落を防止することができる。
【0055】
本発明は、核酸固定用基材の製造方法に関する。本発明の核酸固定用基材の製造方法は、基材の表面に、ノニオン系またはアニオン系の非吸水性樹脂と、粒子を含有する組成物からなる核酸固定層を形成するステップを含む。
【0056】
基材の表面に核酸固定層を形成する方法は、基材の表面と核酸固定層との親和性を考慮して当業者が適宜選択することができる。例えば、溶融押し出し法や、溶媒等で希釈した液を塗布する塗布法などがある。生産性の点から、塗布法が好適である。
【0057】
核酸固定層を塗布法で形成する際には、塗布時のレベリング性の向上、塗布液の脱泡を目的に、界面活性剤を含有させることが好ましい。ノニオン系あるいはアニオン系の界面活性剤が好適であり、例えば、シリコン系、アセチレングリコール系、又はフッ素系の界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤は、核酸固定層への核酸プローブの固定性が極度に低下しない程度に、核酸固定層を形成する塗布液に含有させることが好ましい。
【0058】
シリコン系界面活性剤としては、例えば、ジメチルシリコーン、アミノシラン、アクリルシラン、ビニルベンジルシラン、ビニルベンジシルアミノシラン、グリシドシラン、メルカプトシラン、ジメチルシラン、ポリジメチルシロキサン、ポリアルコキシシロキサン、ハイドロジエン変性シロキサン、ビニル変性シロキサン、ビトロキシ変性シロキサン、アミノ変性シロキサン、カルボキシル変性シロキサン、ハロゲン化変性シロキサン、エポキシ変性シロキサン、メタクリロキシ変性シロキサン、メルカプト変性シロキサン、フッ素変性シロキサン、アルキル基変性シロキサン、フェニル変性シロキサン、アルキレンオキシド変性シロキサンなどが挙げられる。
【0059】
アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4、7−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールにエチレンオキサイドを付加したものなどが挙げられる。
【0060】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、4フッ化エチレン、パーフルオロアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルスルホン酸アミド、パーフルオロアルキルスルホン酸ナトリウム、パーフルオロアルキルカリウム塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルアミノスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルアルキル化合物、パーフルオロアルキルアルキルベタイン、パーフルオロアルキルハロゲン化物などが挙げられる。
【0061】
核酸固定層に他の機能を付与するために、核酸プローブの固定能力及び他の物性を損なわない程度の範囲で、各種の添加剤を含有させることができる。前記添加剤としては、例えば、蛍光染料、蛍光増白剤、可塑剤、紫外線吸収剤、顔料分散剤、抑泡剤、消泡剤、防腐剤、帯電防止剤等が挙げられる。
【0062】
本発明において、基材上に核酸固定層を設ける方法としては、溶媒、粒子、樹脂を含有する核酸固定層の形成に用いる塗布液を、基材上に塗布および乾燥する方法が好適である。
溶媒として、ノニオン系またはアニオン系の非吸水性樹脂への粒子の分散性の点から、水とイソプロピルアルコール(IPA)の混合液が好ましい。水とIPAとの混合比率は、質量比(水/IPA)で10/90〜90/10の範囲が好ましく、30/70〜70/30の範囲がより好ましい。水/IPAの混合比率を、質量比(水/IPA)で90/10以下とすることにより、樹脂中の粒子の分散性が良好になる。一方、水/IPAの混合比率を、質量比(水/IPA)で10/90以上とすることにより、核酸固定層の膜強度の低下を抑制することができる。
【0063】
核酸固定層の形成に用いる前記の塗布液は、固形分濃度が3質量%以上30質量%以下であり、かつ、粘度が3cps以上500cps以下であることが好ましい。塗布液の固形分濃度が低すぎると、塗布量が多くなるため乾燥不良が生じやすい。また、塗布液の固形分濃度が高すぎると、塗布液の粘度が高くなりすぎるため撹拌不良が生じやすい。また、塗布液の粘度が低すぎると、塗布面を均一に塗工することができず、塗布液の粘度が高すぎると、レベリング性の不良や脱泡性の不良によりコート外観が不良になる。塗布液の粘度は20℃に塗布液を調節し、東京計器製のB型粘度計(BL)を用いて、ローター回転数60rpmにて測定した。
【0064】
基材の表面に核酸固定層を形成する塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ラングミュア−ブロジェット法、ロールコート法及びマイクログラビア法などを用いた塗布法が好適である。特に、樹脂フィルムの片面に核酸固定層を形成させる際には、製造コストが安価である点から、ロールコート法またはマイクログラビア法が好ましい。
【0065】
核酸固定層を形成する塗布液を塗布した後、塗布層(核酸固定層)を乾燥する方法として、例えば、乾燥工程を2段階以上に分け、初期の乾燥段階では緩やかに乾燥し、後期の乾燥段階で強く乾燥する方法を用いることが好ましい。初期乾燥の段階で、急速に塗布層を乾燥させると、塗布層の表面が荒れる場合や、核酸検出時に発色不良等の支障をきたす場合がある。
【0066】
核酸固定層の乾燥後の塗布量は、例えば、0.1g/m以上20g/m以下が好ましい。乾燥後の塗布量を0.1g/m以上とすることにより、核酸プローブの固定不良を抑制することができる。一方、乾燥後の塗布量が20g/mを超える場合には、コスト的に不利になるばかりか、カット性等に問題が発生する場合がある。
【0067】
本発明において、核酸検査後の核酸プローブの発色強度、発色外観等の点から、核酸固定層の二次元平均表面粗さ(Ra)が0.05μm以上0.35μm以下となるように、核酸固定層の表面の粗さを調整することが好ましい。核酸固定層の二次元平均表面粗さ(Ra)は、下限が0.08μm、上限が0.30μmであることがさらに好ましい。
【0068】
核酸固定層のRaを上記範囲内とするためには、粒子の平均粒径、含有量、更には核酸固定層の厚みにより調整できる。粒子は、平均粒径が大きいほど、あるいは含有量が多いほど、Raは高くなる。また、同じ平均粒径の粒子であっても、粒子の比重が小さいほど、同じ質量でも粒子の数は多くなり、Raを高くすることができる。さらに、粒子の平均粒径dと核酸固定層の厚みtの比(d/t)が高いほど、核酸固定層中に存在する各粒子が表面凹凸を形成させることに寄与できるため、Raも高くなる。
【0069】
表面粗さの測定には、各種の公知の方法があるが、本発明における表面粗さは、JIS−B0601に準じて、カットオフ値を0.08mmとして、二次元平均表面粗さ(Ra、μm)を、測定長さ0.4mmで5回測定し、その5回の測定値の平均から求めた数値である。
【0070】
本発明において、核酸固定層の表面における水の接触角が3°以上80°以下であることが重要である。核酸固定層の表面における水の接触角を80°以下とすることにより、核酸プローブが核酸固定層に固定する際のハジキを抑制することができる。そのため、核酸プローブの固定性が向上し、核酸プローブ部の発色強度が大きくなる。一方、核酸固定層の表面における水の接触角を3°以上とすることにより、核酸プローブの固定性が安定がし、核酸検査後の発色外観が良好になる。
【0071】
核酸固定層の水の接触角を上記範囲とするためには、核酸固定層に含有させる粒子の種類、平均粒径、含有量、あるいは核酸固定層を形成する塗布液に含有させる界面活性剤や添加剤の種類、含有量を調整することができる。粒子が親水性基を有する場合、平均粒径が大きいほど、あるいは含有量が多いほど、水の接触角が小さくなる。一方、粒子が疎水性基を有する場合、平均粒径が大きいほど、あるいは含有量が多いほど、水の接触角が大きくなる。界面活性剤や添加剤については、そのHLB値が大きいものほど水の接触角が小さくなり、そのHLB値が小さいものほど水の接触角が大きくなる。なお、HLBとはアメリカのAtlas Powder社のW.C.Griffinが、Hydorophil Lyophile Balanceと名付けた特性値であり、界面活性剤の分子中に含まれる親水基と親油基のバランスを特性値として指標化した値である。このHLB値が小さいほど、親油性が高いことを意味し、HLB値が大きいほど親水性が高いことを意味する。
【0072】
水の接触角は、常温(20℃±5℃)下で、FACE接触角計(協和界面化学株式会社製、CA−X型)により測定した値である。
【0073】
核酸固定用基材の形状としては、例えば、基板、容器、フィルター、フィルム及びチューブなどが挙げられる。これら中でも、後述する核酸固定用デバイスに用いる点から、基板及びフィルムが好ましい。また、樹脂製基材の大きさなどは、当業者により適宜設計することができる。例えば、検出を容易にする点から、検出する面はある程度の面積が必要である。例えば、成形体が長方形状のフィルムまたは板状素材である場合、上記表面の面積は、取り扱いが容易である点から、通常は40〜1000mm、好ましくは60〜300mmである。
【0074】
更に、核酸固定用基材の核酸固定層と反対の面には各種の目的で、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤、蛍光染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤等を添加した層を積層し、各種機能を付与してもよい。
【0075】
本発明は、本発明の核酸固定用基材に核酸プローブを固定化した核酸検査用デバイス及びその製造方法にも関する。当該核酸検査用デバイスとは、いわゆるDNAチップ及び核酸マイクロアレイを含む概念であって、特定配列の核酸が存在するか否かを特定するための検査用のデバイスをいう。
【0076】
核酸プローブの固定化は、上記核酸固定用基材に、予め調製した核酸プローブを含む水溶液を滴下し、乾燥することにより行うことができる。核酸含有水溶液の滴下は、(i)スポッッティング装置を用いる方法、(ii)インクジェット方式で吐出する方法、又は(iii)ディスペンサー装置を用いて線状に塗布する方法等を採用することができる。乾燥は、例えば、自然乾燥にて行う。
【0077】
固定化する核酸プローブとしては、DNA、RNAおよびPNA(ペプチド核酸)などを用いることができる。これら中でも製造コストが安価であり、使用頻度が高い点から一本鎖のDNAを用いることが好ましい。核酸プローブの調製方法としては、核酸自動合成機による合成であってもよいし、mRNAからの逆転写であってもよい。
【0078】
上記核酸プローブの塩基配列などは、使用目的などにより当業者が適宜設計することができる。例えば、合成オリゴヌクレオチドプローブを用いる場合、そのプローブの長さは、通常は10〜30塩基、好ましくは12〜26塩基程度に設計することができる。
【0079】
さらに、上記核酸プローブの核酸固定層への固定化量を向上させるために、上記核酸プローブの末端にハイブリダイズ反応に影響しない無関係な塩基配列を25〜800塩基ほど付加することが好ましい。上記無関係な塩基配列としては、例えば、ポリアデニン、ポリグアニン及びポリチミンなどが主に挙げられる。これら中でも核酸プローブの固定化率が向上する点からポリチミンが好ましい。このポリチミンの付加は、例えば、ターミナルトランスフェラーゼを用いた付加反応により達成される。
【0080】
加えて、上記核酸プローブの核酸固定層への固定化量を向上させるために、乾燥時に紫外線を照射することが好ましい。紫外線の照射条件は、例えば、250〜350nmの波長で、5000〜8000μw/cmで1〜10分間照射する。
【0081】
また、核酸プローブの固定後、非特異吸着の頻度を低下させる点で、洗浄またはブロッキング処理を行うことが好ましい。
【0082】
本発明は、さらに上記核酸検出用デバイスを用いた核酸検出方法にも関する。本発明の核酸検出方法は、主に、
(1)検体DNAを採取するステップ;
(2)該検体DNAを前記核酸プローブにハイブリダイズするステップ;及び
(3)該ハイブリダイズしたDNAを検出するステップ
を含む。以下、各工程について順次説明する。
【0083】
(1)検体DNAを採取するステップ
まず、目的の検体DNAを調製する。動物の生体試料から検体DNAを抽出する。生体試料とは、血液、唾液または毛髪などが挙げられる。好ましくは、血球細胞、表皮細胞および粘膜細胞などの各種ヒト細胞である。生体試料から検体DNAを抽出する方法は、公知の方法で行うことができ、例えばフェノール抽出法、グアニジンチオシナネート抽出法およびバナジルリボヌクレオシド複合抽出法などが挙げられる。
【0084】
次に、好ましくは、上記抽出されたゲノムDNAから検出すべき特定の塩基配列を増幅する。核酸を増幅する手法としては、例えば、PCR法、LAMP法およびICAN法などが挙げられる。これら中でも試薬のコストが安価である点から、PCR法が好ましい。
【0085】
上記PCR法は、主に
(I)2本鎖の検体DNAを92〜95℃、30秒〜1分間の反応条件で熱処理することにより1本鎖にする変性工程、
(II)前記1本鎖の検体DNAのそれぞれに50〜65℃を20秒〜1分間の反応条件で、少なくとも2種類の増幅プライマーを結合させることによりPCRの反応開始点となる2本鎖部分を作製するアニール工程、及び
(III)70〜75℃を20秒〜5分間の反応条件で、DNAポリメラーゼを用いて核酸伸張反応を行う鎖伸張工程
からなる。この(I)〜(III)の工程を20〜40回繰り返すことで、核酸を増幅する。
【0086】
上記PCR法に用いられるプライマー対は、上記抽出されたゲノムDNAとアニーリングすることができ、上記特定の塩基配列を含む核酸を増幅しうる塩基配列を有し、その重合度は15〜40塩基程度のものであればよい。前記プライマーは、上記核酸プローブと同様自動合成機などで合成することができる。
【0087】
さらに、上記プライマーの末端に検出物質又は当該検出物質と結合可能なリンカー物質を修飾する。検出物質とは、目視での判定を可能とする反応系に用いる物質をいう。例えば、放射性同位体(RI)標識(RI標識法を可能とする物質)、可視光を発光する蛍光物質(蛍光標識法を可能とする物質)及び発色反応を可能とする酵素(酵素発色法を可能とする物質)などが挙げられる。これら中でも、目視での判定が容易である点から、酵素発色法を可能とする物質が好ましい。上記酵素発色法を可能とする物質とは、いわゆるアルカリホスファターゼおよびペルオキシダーゼなど酵素である。
【0088】
リンカー物質は、上記プライマーに検出物質を結合させるための物質をいう。その結合態様は、例えば、共有結合、イオン結合、水素結合、ジスルフィド結合および配位結合などの化学的結合並びに後述するハイブリダイズ反応に影響を及ぼさない抗原−抗体結合などの生化学的結合を可能とする結合が挙げられる。これらの中でも核酸の検出においてビオチン修飾プライマー及びストレプトアビジン修飾アルカリホスファターゼを用いたNBT/BCIP法を実施可能とする、アビジン−ビオチン結合が好ましい。つまり、別途用意したストレプトアビジン修飾の酵素を上記プライマー末端のビオチンと結合させることにより、間接的に上記プライマーに検出物質を結合させることができる。
【0089】
(2)検体DNAを前記核酸プローブにハイブリダイズするステップ
次に、増幅された検体DNAを、本発明の核酸検出用デバイスと接触させ、ハイブリダイズ反応を行う。ハイブリダイズ反応の条件は、核酸固定用デバイスに存在する核酸プローブの熱変性温度による。例えば、当該核酸プローブの熱変性温度が、55.0〜75.0℃程度である場合、61.5〜62.5℃が一般的である。
【0090】
(3)ハイブリダイズしたDNAを検出するステップ
そして、核酸固定用デバイスに存在する核酸プローブとハイブリダイズ反応を検出する。例えば、上記プライマーの末端にRI標識をした場合は、オートラジオグラフィーにより検出することができる。可視光を発光する蛍光物質を修飾した場合は、それぞれの蛍光標識に適した励起波長の光を照射し、その発光(可視光)を目視で確認することができる。さらに、発色反応を可能とする酵素標識の場合、各酵素の基質を添加して発色させることにより目視で確認することができる。上記検出方法の中でも、測定が容易である点から、酵素を用いた発色(酵素発色法)が好ましい。
【0091】
上記酵素発色法に用いる場合、プライマーに修飾する検出物質としては、上述したアルカリホスファターゼが挙げられ、前記アルカリホスファターゼの基質としてp−ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)および5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸p−トルイジン塩(BCIP)の併用が挙げられる。この発色法は、いわゆるNBT/BICP法と称する方法である。その発色の程度は、目視、CCDカメラおよびデンシトメーターなどより判定することができるが、特段の事情がない限り目視判定で十分である。
【実施例】
【0092】
次に、本発明の実施例及び比較例を示す。また、本発明で使用した特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通りである。
【0093】
(1)表面粗さ
JIS−B0601に準じ、表面粗度計(東京精密製、SURFCOM304−B)を用いて、カットオフ値を0.08mmとして、二次元平均表面粗さ(Ra;単位μm)を評価長さ0.4mmで5回測定し、その平均から求めた。
【0094】
(2)接触角
水の接触角は、温度20℃、相対湿度50%の雰囲気下で試料を24時間放置後、FACE接触角計(協和界面化学株式会社製、CA−X型)を用いて、滴下1分後における蒸留水との接触角を測定した。なお、各試料につき5回測定を行い、測定値の最大値、最小値を除いた3つの測定値の平均値を接触角とした。また、測定時に滴下した蒸留水が核酸固定用基材に吸水、または、広がりすぎて測定不能になった場合は、接触角0.0°とする。
【0095】
(3)核酸プローブ固定部の発色強度
核酸検査完了直後の核酸プローブ固定部の発色強度を、マクベス濃度計(マクベス社製、TR−927)を用いて測定した。なお、各試料につき3点測定を行い、その平均値を発色強度とした。ここで得られた測定値は、目視による核酸プローブ固定部の発色有無の評価から、0.27以上であれば核酸プローブ固定部が十分な発色していると判断する。
【0096】
(4)核酸プローブ固定部の発色外観
核酸プローブ固定部の発色外観を目視で観察し、下記の判断基準でランク付けを行った。
○:核酸プローブ固定部全体で均一な発色が見られる。
△:核酸プローブ固定部の一部で発色不良が見られる。
×:核酸プローブ固定部の半分以上で発色不良が見られる。
【0097】
(5)核酸プローブ固定部以外(バックグランド)の着色
核酸プローブ固定部以外の着色を目視で観察し、下記の判断基準でランク付けを行った。
○:着色が見られない。
×:着色が見られる。
【0098】
(6)核酸固定層の膜強度
学振式堅牢度試験機(RT−200、大栄化学精器製作所製)にて、核酸固定用基材と黒台紙を用いて、核酸固定層面が黒台紙に向き合うように設置し、100gの荷重を掛けながら3往復させて、核酸固定層と黒台紙を擦りあわせた。その後、黒台紙を目視で観察し、擦った部分に白いものが観察された場合、粒子の脱落があると判断し、下記の判断基準でランク付けを行った。
○:粒子の脱落は無く、膜強度は強くて良好である。
△:粒子の脱落が若干あるものの、本発明では十分な膜強度は満たしている。
×:粒子の脱落があり、膜強度は弱くて不良である。
【0099】
実施例1
(核酸固定用基材)
空洞含有白色ポリエステルフィルム(東洋紡績製、K1212;厚さ75μm、全光線透過率8.0%)の片面に、下記の塗布液A(固形分濃度:3質量%)を乾燥後の塗布量が0.3g/m になるようにマイクログラビア方式で連続的に塗布し、100℃で10m/秒の熱風下を10秒間、次いで150℃で15m/秒の熱風下で20秒間通過させて、核酸固定層を積層させた核酸固定用基材を得た。
(核酸固定層用の塗布液A)
・イオン交換水 57.78質量%
・イソプロピルアルコール 38.52質量%
・ノニオン系性樹脂 1.00質量%
(三井化学ポリウレタン製、タケラックW635、固形分濃度35質量%;1液型ポリウレタンディスパージョン)
・シリカ粒子 1.50質量%
(富士シリシア製、サイリシア450:粒径8.1μm、細孔容積1.26ml/g)
・シリコン系界面活性剤 1.20質量%
(ダウコーニング社製、FSアンチフォーム82:HLB2.9)
【0100】
(核酸固定評価)
上記で製造した核酸固定用基材の核酸固定層上における核酸の固定量を評価した。固定に用いた核酸(以下、固定確認用核酸と称する)は、20量体のポリアデニンであって、3’末端にポリチミンを、5’末端にビオチンを結合させた核酸である。
【0101】
固定確認用核酸は、以下のように製造した。具体的には、20量体のポリアデニンであって、5’末端にビオチンを結合させた核酸(SIGMA GENOSYS社提供)を、Tris−EDTAに100μmol/lとなるように溶解した溶液を調製した。次に、3’末端にポリチミンを付加するために、ターミナルトランスフェラーゼ(30unit/μl、Promega)0.8μl、デオキシチミジン三リン酸(10pmol/μl)4μl、固定確認用核酸溶液4μl、上記製品添付の緩衝液4μl、及び、精製水7.2μlを加え、37℃で4時間、70℃で10分間反応させることで、ポリチミン付加された20量体のポリアデニン、つまり、固定確認用核酸(平均400bp長)10pmol/μlを得た。
【0102】
上記固定確認用核酸の固定は、以下のように行った。まず、上記のポリチミンを付加反応後の液を、1.0pmol/μlとなるように、10× SSC緩衝液で希釈した溶液を調製した。次に、当該溶液を、温度20℃、相対湿度50%の雰囲気下で、本実施例で得られた核酸固定用基材の核酸固定層上に0.5μl滴下した後、1時間自然乾燥を行った。その後、UV照射器(SPECTRONICS社製EB−280C)を用いて2分間UV照射し固定後、1×SSCにて10分間洗浄し、その後1時間以上放置乾燥させて、固定確認用核酸を固定した核酸固定用基材を作製した。
【0103】
得られた固定確認用核酸を固定した核酸固定用基材を液温45℃のハイブリダイズ液の中で30分間振とうさせた。ハイブリダイズ液は、ラウリル硫酸ナトリウム(0.01w/v%)、塩化ナトリウム(1.8w/v%)及びクエン酸ナトリウム(1.0w/v%)からなる溶液(1ml)である。尚、この工程は、いわゆるハイブリダイズ反応を行っていないが、ハイブリダイズ反応を行う時と同じ条件下に晒すことにより、固定確認用核酸が剥がれることがないかを確認するために行っている。その後、液温45℃のハイブリダイズ液洗浄し、さらに、液温45℃のハイブリダイズ液を加え、10分間振とうした。その後、液温20℃のリンス液で洗浄し、液温20℃のアルカリホスファターゼ標識ストレプトアビジン溶液を加え、30分間振とうさせることにより、核酸固定用基材の核酸固定層上に固定した固定確認用核酸のビオチンにアルカリホスファターゼ修飾ストレプトアビジンを反応させた。リンス液は、塩化ナトリウム(8g/l)、リン酸水素二ナトリウム・12水和物(2.88g/l)、リン酸二水素カリウム(0.2g/l)、塩化カリウム(0.2g/l)、アジ化ナトリウム(1g/l)、Triton X−100(2.5ml/l)からなる溶液(1ml)である。その後、液温20℃のリンス液で洗浄し、液温20℃の基質希釈液で前処理した後、液温20℃の基質液で30分間振とうさせ、上記行程で反応させたアルカリホスファターゼ修飾ストレプトアビジンと発色反応をさせた。基質希釈液は、トリスアミノメタン(12g/l)、塩化マグネシウム・六水和物(10g/l)、塩化ナトリウム(5.8g/l)、アジ化ナトリウム(1g/l)からなる溶液である。基質液は、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)および5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸 p−トルイジン塩(BCIP)を33mg/ml、17mg/mlになるように、ジメチルホルムアミドと精製水を9:1の割合で混合した液で溶解した液を、基質希釈液にて100倍希釈した溶液である。
【0104】
核酸検査を実施し、目視評価をした結果、核酸プローブ固定部の発色強度は強く、発色外観も良好であった。また、核酸プローブ固定部以外の着色は見られなかった。具体的な物性を表1に示す。
【0105】
実施例2
実施例1において、核酸固定層を形成する塗液を塗布液Bにしたこと以外は実施例1と同様にして核酸固定用基材を得た。(核酸固定層用の塗布液B)
・イオン交換水 57.78質量%
・イソプロピルアルコール 38.52質量%
・ノニオン系樹脂 1.00質量%
(三井化学ポリウレタン製、タケラックW635、固形分濃度35質量%;1液型ポリウレタンディスパージョン)
・シリカ粒子 1.50質量%
(富士シリシア製、サイリシア450:粒径8.1μm、細孔容積1.26ml/g)
・シリコン系界面活性剤 1.20質量%
(ダウコーニング社製、DC57:HLB6.7)
【0106】
得られた核酸固定用基材は、実施例1と同様に評価した結果、核酸プローブ固定部の発色強度は強く、発色外観も良好であった。また、核酸プローブ固定部以外の着色は見られなかった。具体的な物性を表1に示す。
【0107】
実施例3
実施例1において、核酸固定層を形成する塗液を塗布液Cにしたこと以外は実施例1と同様にして核酸固定用基材を得た。
(核酸固定層用の塗布液C)
・イオン交換水 57.78質量%
・イソプロピルアルコール 38.52質量%
・ノニオン系樹脂 1.00質量%
(三井化学ポリウレタン製、タケラックW635、固形分濃度35質量%;1液型ポリウレタンディスパージョン)
・シリカ粒子 1.50質量%
(富士シリシア製、サイリシア450:粒径8.1μm、細孔容積1.26ml/g)
・シリコン系界面活性剤 1.20質量%
(ダウコーニング社製、ペインタッド54:HLB1.0)
【0108】
得られた核酸固定用基材は、実施例1と同様に評価した結果、核酸プローブ固定部の発色強度は強く、発色外観も良好であった。また、核酸プローブ固定部以外の着色は見られなかった。具体的な物性を表1に示す。
【0109】
実施例4
実施例1において、核酸固定層を形成する塗液を塗布液Dにしたこと以外は実施例1と同様にして核酸固定用基材を得た。
(核酸固定層用の塗布液D)
・イオン交換水 57.57質量%
・イソプロピルアルコール 38.38質量%
・ノニオン系樹脂 1.50質量%
(三井化学ポリウレタン製、タケラックW635、固形分濃度35質量%;1液型ポリウレタンディスパージョン)
・シリカ粒子 0.75質量%
(富士シリシア製、サイリシア450:粒径8.1μm、細孔容積1.26ml/g)
・シリコン系界面活性剤 1.80質量%
(ダウコーニング社製、FSアンチフォーム82:HLB2.9)
【0110】
得られた核酸固定用基材は、実施例1と同様に評価した結果、核酸プローブ固定部の発色強度は強く、発色外観も良好であった。また、核酸プローブ固定部以外の着色は見られなかった。具体的な物性を表1に示す。
【0111】
実施例5
実施例1において、核酸固定層を形成する塗液を塗布液Eにしたこと以外は実施例1と同様にして核酸固定用基材を得た。
(核酸固定層用の塗布液E)
・イオン交換水 58.03質量%
・イソプロピルアルコール 38.69質量%
・ノニオン系樹脂 0.40質量%
(三井化学ポリウレタン製、タケラックW635、固形分濃度35質量%;1液型ポリウレタンディスパージョン)
・シリカ粒子 2.40質量%
(富士シリシア製、サイリシア450:粒径8.1μm、細孔容積1.26ml/g)
・シリコン系界面活性剤 0.48質量%
(ダウコーニング社製、FSアンチフォーム82:HLB2.9)
【0112】
得られた核酸固定用基材は、実施例1と同様に評価した結果、核酸プローブ固定部の発色強度は強く、発色外観も良好であった。また、核酸プローブ固定部以外の着色は見られなかった。具体的な物性を表1に示す。
【0113】
実施例6
実施例1において、核酸固定層を形成する塗液を塗布液Fにしたこと以外は実施例1と同様にして核酸固定用基材を得た。
(核酸固定層用の塗布液F)
・イオン交換水 58.07質量%
・イソプロピルアルコール 38.72質量%
・ノニオン系樹脂 0.30質量%
(三井化学ポリウレタン製、タケラックW635、固形分濃度35質量%;1液型ポリウレタンディスパージョン)
・シリカ粒子 2.55質量%
(富士シリシア製、サイリシア450:粒径8.1μm、細孔容積1.26ml/g)
・シリコン系界面活性剤 0.36質量%
(ダウコーニング社製、FSアンチフォーム82:HLB2.9)
【0114】
得られた核酸固定用基材は、実施例1と同様に評価した結果、核酸プローブ固定部の発色強度は強く、発色外観も良好であった。また、核酸プローブ固定部以外の着色は見られなかった。具体的な物性を表1に示す。
【0115】
実施例7
実施例1において、核酸固定層を形成する塗液を塗布液Gにしたこと以外は実施例1と同様にして核酸固定用基材を得た。
(核酸固定層用の塗布液G)
・イオン交換水 57.78質量%
・イソプロピルアルコール 38.52質量%
・ノニオン系樹脂 1.00質量%
(三井化学ポリウレタン製、タケラックW635、固形分濃度35質量%;1液型ポリウレタンディスパージョン)
・シリカ粒子 1.50質量%
(富士シリシア製、サイリシア420:粒径2.9μm、細孔容積1.25ml/g)
・シリコン系界面活性剤 1.20質量%
(ダウコーニング社製、FSアンチフォーム82:HLB2.9)
【0116】
得られた核酸固定用基材は、実施例1と同様に評価した結果、核酸プローブ固定部の発色強度は強く、発色外観も良好であった。また、核酸プローブ固定部以外の着色は見られなかった。具体的な物性を表1に示す。
【0117】
実施例8
実施例1において、核酸固定層を形成する塗液を塗布液Hにしたこと以外は実施例1と同様にして核酸固定用基材を得た。
(核酸固定層用の塗布液H)
・イオン交換水 57.78質量%
・イソプロピルアルコール 38.52質量%
・ノニオン系樹脂 1.00質量%
(三井化学ポリウレタン製、タケラックW635、固形分濃度35質量%;1液型ポリウレタンディスパージョン)
・シリカ粒子 1.50質量%
(富士シリシア製、サイリシア470:粒径13.9μm、細孔容積1.25ml/g)
・シリコン系界面活性剤 1.20質量%
(ダウコーニング社製、FSアンチフォーム82:HLB2.9)
【0118】
得られた核酸固定用基材は、実施例1と同様に評価した結果、核酸プローブ固定部の発色強度は強く、発色外観も良好であった。また、核酸プローブ固定部以外の着色は見られなかった。具体的な物性を表1に示す。
【0119】
実施例9
実施例1において、核酸固定層を形成する塗液を塗布液Iにしたこと以外は実施例1と同様にして核酸固定用基材を得た。
(核酸固定層用の塗布液I)
・イオン交換水 57.78質量%
・イソプロピルアルコール 38.52質量%
・アニオン系樹脂 1.00質量%
(東洋紡績製、MD−1250;スルホン酸基含有共重合ポリエステル)
・シリカ粒子 1.50質量%
(富士シリシア製、サイリシア450:粒径8.1μm、細孔容積1.26ml/g)
・シリコン系界面活性剤 1.20質量%
(ダウコーニング社製、FSアンチフォーム82:HLB2.9)
【0120】
得られた核酸固定用基材は、実施例1と同様に評価した結果、核酸プローブ固定部の発色強度は強く、発色外観も良好であった。また、核酸プローブ固定部以外の着色は見られなかった。具体的な物性を表1に示す。
【0121】
実施例10
実施例1において、核酸固定層を形成する塗液を塗布液Jにしたこと以外は実施例1と同様にして核酸固定用基材を得た。
(核酸固定層用の塗布液J)
・イオン交換水 57.78質量%
・イソプロピルアルコール 38.52質量%
・ノニオン系樹脂 0.50質量%
(三井化学ポリウレタン製、タケラックW635、固形分濃度35質量%;1液型ポリウレタンディスパージョン)
・アニオン系樹脂 0.50質量%
(東洋紡績製、MD−1250;スルホン酸基含有共重合ポリエステル)
・シリカ粒子 1.50質量%
(富士シリシア製、サイリシア450:粒径8.1μm、細孔容積1.26ml/g)
・シリコン系界面活性剤 1.20質量%
(ダウコーニング社製、FSアンチフォーム82:HLB2.9)
【0122】
得られた核酸固定用基材は、実施例1と同様に評価した結果、核酸プローブ固定部の発色強度は強く、発色外観も良好であった。また、核酸プローブ固定部以外の着色は見られなかった。具体的な物性を表1に示す。
【0123】
実施例11
実施例1において、核酸固定層を形成する塗液を塗布液Kにしたこと以外は実施例1と同様にして核酸固定用基材を得た。
(核酸固定層用の塗布液K)
・イオン交換水 57.78質量%
・イソプロピルアルコール 38.52質量%
・ノニオン系樹脂 1.00質量%
(三井化学ポリウレタン製、タケラックW635、固形分濃度35質量%;1液型ポリウレタンディスパージョン)
・アクリル粒子 1.50質量%
(日本触媒製、エポスターMA1006:粒径6.3μm)
・シリコン系界面活性剤 1.20質量%
(ダウコーニング社製、FSアンチフォーム82:HLB2.9)
【0124】
得られた核酸固定用基材は、実施例1と同様に評価した結果、核酸プローブ固定部の発色強度は強く、発色外観も良好であった。また、核酸プローブ固定部以外の着色は見られなかった。具体的な物性を表1に示す。
【0125】
比較例1
核酸固定層を形成していない空洞含有白色ポリエステルフィルム(東洋紡績製、K1212、厚さ75μm、全光線透過率8.0%)に実施例1と同様に評価した結果、核酸プローブ固定部の発色強度は弱く、核酸検査用デバイスとしては不適であった。核酸プローブ固定部の発色外観は良好で、核酸プローブ固定部以外の着色は見られなかった。具体的な物性を表1に示す。
【0126】
比較例2
実施例1において、核酸固定層を形成する塗液を塗布液Lにしたこと以外は実施例1と同様にして核酸固定用基材を得た。
(核酸固定層用の塗布液L)
・イオン交換水 57.78質量%
・イソプロピルアルコール 38.52質量%
・ノニオン系樹脂 1.00質量%
(三井化学ポリウレタン製、タケラックW635、固形分濃度35質量%;1液型ポリウレタンディスパージョン)
・シリカ粒子 1.50質量%
(富士シリシア製、サイリシア450)
・シリコン系界面活性剤 1.20質量%
(ダウコーニング社製、ペインタッド32:HLB12.1)
【0127】
得られた核酸固定用基材は、実施例1と同様に評価した結果、核酸プローブ固定部の発色強度は強いが、発色外観は不良で、核酸検査用デバイスとしては不適であった。核酸プローブ固定部以外の着色は見られなかった。具体的な物性を表1に示す。
【0128】
比較例3
実施例1において、核酸固定層を形成する塗液を塗布液Mにしたこと以外は実施例1と同様にして核酸固定用基材を得た。
(核酸固定層用の塗布液M)
・イオン交換水 56.79質量%
・イソプロピルアルコール 37.86質量%
・ノニオン系樹脂 1.00質量%
(三井化学ポリウレタン製、タケラックW635、固形分濃度35質量%;1液型ポリウレタンディスパージョン)
・シリカ粒子 1.50質量%
(富士シリシア製、サイリシア450:粒径8.1μm、細孔容積1.26ml/g)
・シリコン系界面活性剤 1.20質量%
(ダウコーニング社製、DC56:HLB0.0)
【0129】
得られた核酸固定用基材は、実施例1と同様に評価した結果、核酸プローブ固定部の発色強度は強いが、発色外観は不良で、核酸検査用デバイスとしては不適であった。核酸プローブ固定部以外の着色は見られなかった。具体的な物性を表1に示す。
【0130】
比較例4
実施例1において、核酸固定層を形成する塗液を塗布液Nにしたこと以外は実施例1と同様にして核酸固定用基材を得た。
(核酸固定層用の塗布液N)
・イオン交換水 57.36質量%
・イソプロピルアルコール 38.24質量%
・ノニオン系樹脂 2.00質量%
(三井化学ポリウレタン製、タケラックW635、固形分濃度35質量%;1液型ポリウレタンディスパージョン)
・シリコン系界面活性剤 2.40質量%
(ダウコーニング社製、FSアンチフォーム82:HLB2.9)
【0131】
得られた核酸固定用基材は、実施例1と同様に評価した結果、核酸プローブ固定部の発色強度は弱く、発色外観も不良で、核酸検査用デバイスとしては不適であった。核酸プローブ固定部以外の着色は見られなかった。具体的な物性を表1に示す。
【0132】
比較例5
実施例1において、核酸固定層を形成する塗液を塗布液Oにしたこと以外は実施例1と同様にして核酸固定用基材を得た。
(核酸固定層用の塗布液O)
・イオン交換水 57.78質量%
・イソプロピルアルコール 38.52質量%
・カチオン系樹脂 1.00質量%
(センカ製、CP103;ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド))
・シリカ粒子 1.50質量%
(富士シリシア製、サイリシア450:粒径8.1μm、細孔容積1.26ml/g)
・シリコン系界面活性剤 1.20質量%
(ダウコーニング社製、FSアンチフォーム82:HLB2.9)
【0133】
得られた核酸固定用基材は、実施例1と同様に評価した結果、核酸プローブ固定部の発色強度は弱く、発色外観も不良であった。また、核酸プローブ固定部以外の着色も見られ、核酸検査用デバイスとしては不適であった。具体的な物性を表1に示す。
【0134】
比較例6
実施例1において、核酸固定層を形成する塗液を塗布液Pにしたこと以外は実施例1と同様にして核酸固定用基材を得た。
(核酸固定層用の塗布液P)
・イオン交換水 57.78質量%
・イソプロピルアルコール 38.52質量%
・ノニオン系樹脂 0.50質量%
(三井化学ポリウレタン製、タケラックW635、固形分濃度35質量%;1液型ポリウレタンディスパージョン)
・カチオン系樹脂 0.50質量%
(センカ製、CP103;ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド))
・シリカ粒子 1.50質量%
(富士シリシア製、サイリシア450:粒径8.1μm、細孔容積1.26ml/g)
・シリコン系界面活性剤 1.20質量%
(ダウコーニング社製、FSアンチフォーム82:HLB2.9)
【0135】
得られた核酸固定用基材は、実施例1と同様に評価した結果、核酸プローブ固定部の発色強度は弱く、発色外観も不良であった。また、核酸プローブ固定部以外の着色も見られ、核酸検査用デバイスとしては不適であった。具体的な物性を表1に示す。
【0136】
比較例7
実施例1において、核酸固定層を形成する塗液を塗布液Qにしたこと以外は実施例1と同様にして核酸固定用基材を得た。
(核酸固定層用の塗布液Q)
・イオン交換水 57.78質量%
・イソプロピルアルコール 38.52質量%
・吸水性樹脂(PVA) 1.00質量%
(日本合成化学製、GH−17R)
・シリカ粒子 1.50質量%
(富士シリシア製、サイリシア450:粒径8.1μm、細孔容積1.26ml/g)
・シリコン系界面活性剤 1.20質量%
(ダウコーニング社製、FSアンチフォーム82:HLB2.9)
【0137】
得られた核酸固定用基材は、実施例1と同様に評価した結果、核酸プローブ固定部の発色強度は弱く、発色外観も不良で、核酸検査用デバイスとしては不適であった。核酸プローブ固定部以外の着色は見られなかった。具体的な物性を表1に示す。
【0138】
比較例8
核酸ブロッティング用メンブレン(GEヘルスケアバイオサイエンス社製、Hybond−N+)に実施例1と同様に評価した結果、核酸プローブ固定部の発色強度は強く、発色外観も良好であった。しかし、核酸プローブ固定部以外の着色が見られ、核酸検査用デバイスとしては不適であった。このようになった原因は核酸ブロッティング用メンブレンに吸水性があることが挙げられる。また、核酸ブロッティング用メンブレンのカタログにはメンブレン表面にポジティブチャージ処理がなされていることが記載されており、おそらくメンブレン表面にカチオン性基が付与されているものと推測される。具体的な物性を表1に示す。
【0139】
実施例12
(核酸検査用デバイス)
実施例9で製造した核酸固定用基材の核酸固定層上に核酸プローブを固定することにより、核酸検査用デバイスを製造した。核酸プローブは、下記配列番号1に示された塩基配列を有し、3’末端にポリチミンを結合させた核酸と、下記配列番号2に示された塩基配列を有し、3’末端にポリチミンを結合させた核酸である。下記配列番号2に示された塩基配列は、ヒトゲノムDNAの第1エクソンと第2エクソンの間のイントロン領域内に存在するエストロゲン受容体対立遺伝子(XbaI多型)のうち、制限酵素XbaIにより切断される配列(X型)を検出することができる配列である。一方、下記配列番号3に示された塩基配列は、XbaI多型のうち、制限酵素XbaIにより切断されない配列(x型)を検出することができる配列である。
【0140】
配列番号1:tctggagttg ggatga 16
配列番号2:gtggtctaga gttggg 16
【0141】
核酸プローブは、以下のように製造した。具体的には、下記配列番号2に示された塩基配列を有する核酸のTris−EDTA溶液(50μmol/l、SIGMA GENOSYS社提供)をそれぞれ用意した。次に、3’末端にポリチミンを付加するために、ターミナルトランスフェラーゼ(30unit/μl、Promega)0.8μl、デオキシチミジン三リン酸(10pmol/μl)4μl、上記配列番号1に示された塩基配列を有する核酸を含む溶液4μl、上記製品添付のBuffer4μl、及び、精製水7.2μlを加え、37℃で4時間、70℃で10分間反応させることで、ポリチミン付加された配列番号2の核酸プローブ(平均400bp長)2pmol/μlを製造した。配列番号2の核酸プローブについても同様に製造した。
【0142】
上記配列番号1及び2の核酸プローブの固定は、以下のように行った。まず、上記のポリチミンを付加反応後の液を、配列番号1の核酸プローブは0.07μmol/lとなるように、配列番号2の核酸プローブは0.05μmol/lとなるように、10× SSC緩衝液で希釈した溶液を調製した。次に、当該溶液を、温度20℃、相対湿度50%の雰囲気下で、実施例9で得られた核酸固定用基材の核酸固定層上に0.5μl滴下し、1時間自然乾燥を行った。尚、核酸固定基材は、縦4mm、横16mmの長方形であり、当該基材は、縦4mm、横4mmの領域を1つの領域として、横1列に4つの区画を形成させた。そして、左から2番目の区画には、マーカーを、3番目の区画には、配列番号2のプローブを、4番目の区画には、配列番号3のプローブを滴下した。マーカーとしては、固定確認用核酸と同じもの、つまり、20量体のポリアデニンであって、3’末端にポリチミンを、5’末端にビオチンを結合させた核酸を用いた。その後、UV照射器(SPECTRONICS社製EB−280C)を用いて2分間UV照射し固定後、1× SSCにて10分間洗浄し、その後1時間以上放置乾燥させて、核酸検査用デバイスを作製した。核酸検査用デバイスは、3枚製造した。
【0143】
(ゲノムDNAの増幅)
XX型、Xx型並びにxx型の検体のゲノムDNAを配列番号3に示された塩基配列を有するフォワードプライマーおよび配列番号4に示された塩基配列を有し、かつ5’末端にビオチンを結合させたリバースプライマー、およびTaq DNAポリメラーゼ(東洋紡社製)を用いたPCR法により、XbaI多型を含む塩基配列の増幅をそれぞれ行った。PCRの反応条件は、変性過程を94℃、5分、その後、変性過程を94℃、30秒、アニール過程を55℃、20秒、鎖伸長過程を72℃、20秒とし、この工程を30サイクルおこない、その後、伸長過程を72℃、10分間行い増幅した。
【0144】
配列番号3:gttccaaatg tcccagccgt 20
配列番号4:cctgcaccag aatatgttac c 21
【0145】
(核酸検出方法)
上記で増幅したそれぞれのDNA溶液10μlに、水酸化ナトリウム(5M)、エチレンジアミン四酢酸(0.05M)の溶液(10μl)を加えてよく攪拌し、5分間放置して、増幅したそれぞれのDNAを1本鎖に変性した。次に、この溶液及び本実施例で製造した核酸検査用デバイスを、液温45℃のハイブリダイズ液に添加し、30分間振とうさせた。ハイブリダイズ液は、ラウリル硫酸ナトリウム(0.01w/v%)、塩化ナトリウム(1.8w/v%)及びクエン酸ナトリウム(1.0w/v%)からなる溶液(1ml)である。その後、液温45℃のハイブリダイズ液で洗浄し、液温45℃のハイブリダイズ液を加え、10分間振とうした。その後、液温20℃のリンス液で洗浄し、液温20℃のアルカリホスファターゼ標識ストレプトアビジン溶液を加え、30分間振とうさせることにより、核酸固定用基材の核酸固定層上に固定した各核酸プローブのビオチンにアルカリホスファターゼ修飾ストレプトアビジンを反応させた。その後、液温20℃のリンス液で洗浄し、液温20℃の基質液希釈液で前処理した後、液温20℃の基質液で30分間振とうさせ、上記工程で反応させたアルカリホスファターゼ修飾ストレプトアビジンと発色反応をさせた。
【0146】
その結果を図1〜3に示す。図1は、本実施例で製造した核酸検査用デバイスを用いて、XX型の検体のゲノムDNAを検査した結果である。左から2区画目におけるマーカーを固定したスポットと、左から3区画目における配列番号2の核酸プローブを固定したスポットが発色しているのに対し、左から4区画目における配列番号3の核酸プローブを固定したスポットは、発色していないのがわかる。図2は、本実施例で製造した核酸検査用デバイスを用いて、Xx型の検体のゲノムDNAを検査した結果である。左から2区画目におけるマーカーを固定したスポットと、左から3区画目における配列番号2の核酸プローブを固定したスポットと、左から4区画目における配列番号3の核酸プローブを固定したスポットが発色しているのがわかる。図3は、本実施例で製造した核酸検査用デバイスを用いて、xx型の検体のゲノムDNAを検査した結果である。左から2区画目におけるマーカーを固定したスポットと、左から4区画目における配列番号3の核酸プローブを固定したスポットが発色しているのに対し、左から3区画目における配列番号2の核酸プローブを固定したスポットは、発色していないのがわかる。以上のことから、本実施例の核酸検査用デバイスを用いて検体の遺伝子多型を検査できることが明らかとなった。
【0147】
実施例13
(核酸検査用デバイス)
実施例1で製造した核酸固定用基材の核酸固定層上に核酸プローブを固定することにより、核酸検査用デバイスを製造した。核酸プローブは、下記配列番号5に示された塩基配列を有し、3’末端にポリチミンを結合させた核酸と、下記配列番号6に示された塩基配列を有し、3’末端にポリチミンを結合させた核酸である。下記配列番号5に示された塩基配列は、ヒトゲノムDNAのMTHFR遺伝子第5エクソン領域内に存在する多型(HinfI多型)のうち、制限酵素HinfIにより切断される配列(V型)を検出することができる配列である。一方、下記配列番号6に示された塩基配列は、HinfI多型のうち、制限酵素HinfIにより切断されない配列(A型)を検出することができる配列である。
【0148】
配列番号5:gcgggagtcg attt 14
配列番号6:cgggagccga tttcat 16
【0149】
核酸プローブの製造は、実施例12の例に従って製造した。
【0150】
上記配列番号2及び3の核酸プローブの固定は、以下のように行った。当該溶液を、温度120℃、相対湿度50%の雰囲気下で、実施例1で得られた核酸固定用基材の核酸固定層上に0.5μl滴下し、1時間自然乾燥を行った。尚、核酸固定基材は、縦4mm、横16mmの長方形であり、当該基材は、縦4mm、横4mmの領域を1つの領域として、横1列に4つの区画を形成させた。そして、左から2番目の区画には、マーカーを、3番目の区画には、配列番号5のプローブを、4番目の区画には、配列番号6のプローブを滴下した。マーカーは、実施例12と同じものを使用した。その後、温度120℃、相対湿度50%の雰囲気下で、30分間乾燥させて、核酸検査用デバイスを作製した。核酸検査用デバイスは、3枚製造した。
【0151】
(ゲノムDNAの増幅)
AA型、AV型並びにVV型の検体のゲノムDNAを配列番号7に示された塩基配列を有するフォワードプライマーおよび配列番号8に示された塩基配列を有し、かつ5’末端にビオチンを結合させたリバースプライマー、およびTaq DNAポリメラーゼ(東洋紡社製)を用いたPCR法により、HinfI多型を含む塩基配列の増幅をそれぞれ行った。PCRの反応条件は、変性過程を94℃、5分、その後、変性過程を94℃、30秒、アニール過程を55℃、20秒、鎖伸長過程を72℃、20秒とし、この工程を30サイクルおこない、その後、伸長過程を72℃、10分間行い増幅した。
【0152】
配列番号7:tgtcatccct attggcaggt 20
配列番号8:tcacaaagcg gaagaatgtg 20
【0153】
(核酸検出方法)
核酸の検出は、実施例12と同様に行った。
【0154】
その結果を図4〜6に示す。図4は、本実施例で製造した核酸検査用デバイスを用いて、VV型の検体のゲノムDNAを検査した結果である。左から2区画目におけるマーカーを固定したスポットと、左から3区画目における配列番号5の核酸プローブを固定したスポットが発色しているのに対し、左から4区画目における配列番号6の核酸プローブを固定したスポットは、発色していないのがわかる。図5は、本実施例で製造した核酸検査用デバイスを用いて、AV型の検体のゲノムDNAを検査した結果である。左から2区画目におけるマーカーを固定したスポットと、左から3区画目における配列番号5の核酸プローブを固定したスポットと、左から4区画目における配列番号6の核酸プローブを固定したスポットが発色しているのがわかる。図6は、本実施例で製造した核酸検査用デバイスを用いて、AA型の検体のゲノムDNAを検査した結果である。左から2区画目におけるマーカーを固定したスポットと、左から4区画目における配列番号6の核酸プローブを固定したスポットが発色しているのに対し、左から3区画目における配列番号5の核酸プローブを固定したスポットは、発色していないのがわかる。以上のことから、本実施例の核酸検査用デバイスを用いて検体の遺伝子多型を検査できることが明らかとなった。
【0155】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0156】
本発明の核酸固定用基材は、必要十分量の核酸を固定することができる。そして、当該基材に核酸プローブを固定して製造された核酸検出用デバイスは、特に目視で検査を可能とする反応系に用いるのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】実施例12で製造した核酸検査用デバイスを用いてXX型の遺伝子多型を有する検体を検査したときの結果を示す図である。
【図2】実施例12で製造した核酸検査用デバイスを用いてXx型の遺伝子多型を有する検体を検査したときの結果を示す図である。
【図3】実施例12で製造した核酸検査用デバイスを用いてxx型の遺伝子多型を有する検体を検査したときの結果を示す図である。
【図4】実施例13で製造した核酸検査用デバイスを用いてVV型の遺伝子多型を有する検体を検査したときの結果を示す図である。
【図5】実施例13で製造した核酸検査用デバイスを用いてAV型の遺伝子多型を有する検体を検査したときの結果を示す図である。
【図6】実施例13で製造した核酸検査用デバイスを用いてAA型の遺伝子多型を有する検体を検査したときの結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材上の核酸固定層を含んでなる核酸固定用基材であって、該核酸固定層は、ノニオン系またはアニオン系の非吸水性樹脂と粒子を含有する組成物からなり、該核酸固定層の水との接触角は3°以上80°以下であることを特徴とする核酸固定用基材。
【請求項2】
前記粒子は多孔質であることを特徴とする請求項1に記載の核酸固定用基材。
【請求項3】
前記粒子はシリカであることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の核酸固定用基材。
【請求項4】
基材の表面に、ノニオン系またはアニオン系の非吸水性樹脂と粒子を含有する塗布液を塗布および乾燥するステップを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の核酸固定用基材の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の核酸固定用基材に核酸プローブが固定された核酸検査用デバイスであって、核酸プローブは核酸固定層に固定されていることを特徴とする核酸検査用デバイス。
【請求項6】
前記核酸プローブは、その3’末端にポリチミンが付加されている、請求項5に記載の核酸検査用デバイス。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれかに記載の核酸固定用基材に核酸プローブが固定された核酸検査用デバイスの製造方法であって、
前記核酸固定層上に核酸プローブの水溶液を滴下し、次いで紫外線を照射するステップを含む、核酸検査用デバイスの製造方法。
【請求項8】
前記核酸プローブは、その3’末端にポリチミンが付加されている、請求項7に記載の核酸検査用デバイスの製造方法。
【請求項9】
請求項5に記載の核酸検査用デバイスを用いた核酸検査方法であって、
(1)検体DNAを採取するステップ、
(2)前記検体DNAを前記核酸プローブにハイブリダイズするステップ、及び
(3)前記ハイブリダイズしたDNAを検出するステップ、
を含むことを特徴とする核酸検査方法。
【請求項10】
ハイブリダイズしたDNAを検出するステップ(3)は、発色反応に基づくことを特徴とする請求項9に記載の核酸検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−92592(P2009−92592A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265530(P2007−265530)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【Fターム(参考)】