説明

核酸配列決定のためのプローブおよび使用方法

核酸分子の配列決定のためのナノプローブおよびナノプローブを使用するための方法を提供する。特定の例において、該プローブは、重合剤と、標的核酸分子内の相補的ヌクレオチドと特異的に結合することによって、リンカーから分離することなく、核酸分子の鋳型鎖に可逆的に結合することができる化学的部分を有する、1つまたは複数の分子リンカーとを含む。標的核酸分子内の相補的ヌクレオチドとリンカー上の化学的部分との可逆的な結合は、相補的ヌクレオチドとリンカー上の化学的部分との対合を示す特性シグナルの放出によって示される。かかる化学的部分の1つの例は、非加水分解性ヌクレオチド類似体である。特定の例において、重合剤および化学的部分は、化学的部分の特定の型を特徴とする供与体フルオロフォア、および受容体フルオロフォアなどのタグに関連する。



Notice: Undefined index: DEJ in /mnt/www/gzt_disp.php on line 298

【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸分子を配列決定するためのプローブであって、
標的核酸分子に結合すること、および相補的ヌクレオチドが相補的核酸分子に組み込まれるように、伸長する前記相補的核酸分子の合成を促進することができる、活性部位を有する重合剤と、
前記重合剤上で離間している1つまたは複数の分子リンカーであって、前記リンカーのうちの1つ以上は、前記標的核酸分子内の相補的ヌクレオチドに特異的に結合することによって、前記リンカーから分離することなく、前記標的核酸分子に可逆的に結合することができる化学的部分を有しており、前記標的核酸分子内の相補的ヌクレオチドと前記リンカー上の前記化学的部分との特異的結合は、相補的ヌクレオチドと前記リンカー上の前記化学的部分との対合を示す特性シグナルの放出によって示される、1つまたは複数の分子リンカー
とを含む、プローブ。
【請求項2】
前記化学的部分がヌクレオチド類似体を含む、請求項1記載のプローブ。
【請求項3】
前記ヌクレオチド類似体が非加水分解性ヌクレオチド類似体を含む、請求項2記載のプローブ。
【請求項4】
前記非加水分解性ヌクレオチド類似体が、非加水分解性ヌクレオチド三リン酸類似体を含む、請求項2記載のプローブ。
【請求項5】
前記非加水分解性ヌクレオチド三リン酸類似体が、非加水分解性であるα−β結合を有する非加水分解性ヌクレオチド三リン酸類似体を含む、請求項4記載のプローブ。
【請求項6】
前記化学的部分がモノヌクレオチドである、請求項1記載のプローブ。
【請求項7】
前記モノヌクレオチドが、塩基、3’リボース炭素、2’リボース炭素、またはαリン酸上の前記リンカーに結合される、請求項6記載のプローブ。
【請求項8】
前記1つまたは複数の分子リンカーが、少なくとも4つの独立したリンカーを含み、それぞれが、前記標的核酸分子内の異なるヌクレオチドに特異的に結合することができる、異なるヌクレオチド類似体を有する、請求項2記載のプローブ。
【請求項9】
前記1つまたは複数の分子リンカーが分岐構造を形成し、それぞれの分岐が、前記標的核酸分子内の異なるヌクレオチドに特異的に結合することができる異なるヌクレオチド類似体を有する、請求項2記載のプローブ。
【請求項10】
前記分岐構造が少なくとも4つの分岐を含み、それぞれの分岐が、前記標的核酸分子内の異なるヌクレオチドに特異的に結合することができる異なるヌクレオチド類似体を有する、請求項9記載のプローブ。
【請求項11】
前記重合剤がタグに関連し、前記ヌクレオチド類似体のそれぞれが、前記リンカーが有する特定のヌクレオチド類似体を識別するタグに関連し、前記重合剤に関連する前記タグと、前記ヌクレオチド類似体に関連する前記タグとの相互作用が、前記標的核酸分子内の相補的ヌクレオチドとの前記リンカー上の前記ヌクレオチド類似体の対合を示す前記特性シグナルの放出を誘発する、請求項2記載のプローブ。
【請求項12】
前記重合剤に関連する前記タグが、それぞれのヌクレオチド類似体に関連する前記タグにより供与体−受容体の対を形成し、それによって、前記供与体−受容体の対の相互作用が、前記特性シグナルの放出を刺激する、請求項11記載のプローブ。
【請求項13】
前記供与体−受容体の対が、前記受容体が反応して前記特性シグナルを放出する刺激を放出する外部刺激を与えることによって刺激される供与体を含む、請求項12記載のプローブ。
【請求項14】
それぞれのタグがフルオロフォアを含む、請求項11記載のプローブ。
【請求項15】
前記リンカーが有する特定のヌクレオチド類似体を識別する前記タグのそれぞれが、一意的な放出シグナルを放出する1つまたは複数のフルオロフォアを含む、請求項11記載のプローブ。
【請求項16】
前記1つまたは複数の分子リンカーが4つの分子リンカーを含み、それぞれが、前記リンカーから分離することなく前記標的核酸分子の鋳型鎖に可逆的に結合することができる異なる化学的部分と、それぞれの化学的部分に関連する受容体タグとを有し、ここで前記受容体タグが、前記リンカーが有する前記特定の化学的部分を識別し、前記重合剤が供与体タグに関連し、前記標的核酸分子への前記化学的部分の可逆的結合が、前記リンカーが有する前記化学的部分の識別性を示す前記受容体タグの特性シグナルの放出を誘発するように、前記供与体および受容体タグを十分に接近させる、請求項1記載のプローブ。
【請求項17】
前記1つまたは複数の分子リンカーが、前記分子リンカーの絡み合いを抑制するために十分な距離をおいて前記重合剤の周囲に離間し、前記分子リンカーが、前記重合剤の前記活性部位に到達するほど十分に長い、請求項1記載のプローブ。
【請求項18】
前記分子リンカーが線状ポリマーを含む、請求項17記載のプローブ。
【請求項19】
前記ポリマーが核酸を含む、請求項18記載のプローブ。
【請求項20】
前記1つまたは複数の分子リンカーが、前記標的核酸分子の非存在下で、前記重合剤および前記化学的部分との実質上の絡み合いを回避するように、前記重合剤および前記化学的部分を互いに十分な距離をおいて維持する、請求項1記載のプローブ。
【請求項21】
前記分子リンカーの少なくとも一部は、前記標的核酸分子の非存在下で、前記重合剤と前記化学的部分との相互作用を減少させるように十分な剛性を有する、請求項1記載のプローブ。
【請求項22】
前記標的核酸分子の非存在下で、前記重合剤と前記化学的部分との相互作用を減少させるように十分な剛性を有する前記分子リンカーの少なくとも一部が、分子ロッドを含む、請求項21記載のプローブ。
【請求項23】
前記分子リンカーが、テザー(tether)、分子ロッド、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1記載のプローブ。
【請求項24】
前記分子ロッドが、少なくとも10ヌクレオチドの二本鎖DNA(dsDNA)を含む、請求項23記載のプローブ。
【請求項25】
十分な剛性を有する前記分子リンカーが、分子ロッドによって連結される少なくとも2つのテザーを含む、請求項24記載のプローブ。
【請求項26】
前記テザーが、ポリエチレングリコール(PEG)を含む、請求項23記載のプローブ。
【請求項27】
前記テザーがEGから成る、請求項26記載のプローブ。
【請求項28】
前記テザーが長さが187Å未満である、請求項26記載のプローブ。
【請求項29】
前記分子ロッドが40ヌクレオチドのdsDNA分子を含む、請求項24記載のプローブ。
【請求項30】
前記dsDNA分子が10〜150のヌクレオチドを含む、請求項24記載のプローブ。
【請求項31】
前記重合剤が、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、リボソーム、または逆転写酵素を含む、請求項1記載のプローブ。
【請求項32】
前記重合剤が、供与体フルオロフォアに関連する逆転写酵素を含む、請求項31記載のプローブ。
【請求項33】
前記標的核酸分子がDNAであり、かつ前記重合剤がDNAまたはRNAポリメラーゼである、請求項31記載のプローブ。
【請求項34】
前記標的核酸分子がRNAであり、かつ前記重合剤が逆転写酵素である、請求項31記載のプローブ。
【請求項35】
前記重合剤がDNAポリメラーゼIのクレノウフラグメントである、請求項31記載のプローブ。
【請求項36】
標的核酸分子に結合すること、および相補的ヌクレオチドが相補的核酸分子に組み込まれるように、伸長する前記相補的核酸分子の合成を促進することができる活性部位と、
絡み合いを抑制するために前記重合剤上で離間している1つまたは複数の分子リンカーであって、それぞれのリンカーが、前記標的核酸分子内の相補的ヌクレオチドに特異的に結合することによって、前記リンカーから分離することなく核酸分子の前記鋳型鎖に可逆的に結合することができる異なる非加水分解性ヌクレオチド類似体を有している、1つまたは複数の分子リンカーと、
核酸分子の前記鋳型鎖に可逆的に結合することができる前記リンカーが有する前記非加水分解性ヌクレオチド類似体を識別するそれぞれの非加水分解性ヌクレオチド類似体に関連するタグと、
前記リンカーが有する前記非加水分解性ヌクレオチド類似体を識別する特性シグナルを放出するために、前記非加水分解性ヌクレオチド類似体に関連する前記タグと相互に作用する前記ポリメラーゼに関連するタグ
とを含む、重合剤。
【請求項37】
標的核酸分子の核酸配列を決定する方法であって、
オリゴヌクレオチドプライマーと、前記標的核酸分子内の相補的ヌクレオチドとハイブリダイズし、前記鋳型核酸分子に可逆的に結合する前記化学的部分を置換することによって、伸長している核酸分子に組み込むことができる加水分解性ヌクレオチドの混合物との存在下で、前記標的核酸分子を請求項1記載のプローブに曝露する工程と、
相補的ヌクレオチドと前記分子リンカー上の前記化学的部分との対合を示す複数の前記特性シグナルの放出を含む、一連のシグナルの放出を検出する工程
とを含む、方法。
【請求項38】
前記重合剤がタグに関連し、前記化学的部分のそれぞれもまた、前記リンカーが有する特定の化学的部分を識別するタグに関連し、前記重合剤に関連する前記タグと、前記化学的部分に関連する前記タグとの相互作用が、相補的ヌクレオチドと前記リンカー上の前記化学的部分との対合を示す前記特性シグナルの放出を誘発する、請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記重合剤に関連する前記タグが、供与体フルオロフォアを含み、特定の化学的部分を識別する前記タグが、1つまたは複数の受容体フルオロフォアを含み、前記重合剤と、前記標的核酸分子内の前記相補的ヌクレオチドに特異的に結合する前記化学的部分との相互作用が、供与体フルオロフォアによって前記受容体フルオロフォアの励起が可能となるように、前記受容体フルオロフォアを前記供与体フルオロフォアに接近させる、請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記シグナルを検出する工程が、前記受容体フルオロフォアから放出される蛍光性シグナルを検出する工程を含むか、または前記供与体フルオロフォアから放出される蛍光性シグナル内の減少を検出する工程を含む、請求項39記載の方法。
【請求項41】
一連のシグナルの前記放出が核酸配列に変換される、請求項37記載の方法。
【請求項42】
一連のシグナルの前記放出が発光共鳴エネルギー移動(LRET)または蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)によって生成される、請求項37記載の方法。
【請求項43】
相補的ヌクレオチドと前記リンカー上の前記化学的部分との対合を示す前記特性シグナルを放出するために、前記供与体フルオロフォアを励起して前記1つまたは複数の受容体フルオロフォアを励起するシグナルを放出する工程をさらに含む、請求項39記載の方法。
【請求項44】
前記供与体フルオロフォアが緑色蛍光タンパク質(GFP)である、請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記受容体フルオロフォアが、BODIPY、フルオレセイン、ローダミングリーン、オレゴングリーン、またはそれらの誘導体である、請求項43記載の方法。
【請求項46】
前記供与体フルオロフォアが発光分子によって励起される、請求項39記載の方法。
【請求項47】
前記供与体フルオロフォアがGFPであり、かつ前記発光分子が化学発光エクオリンである、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記供与体フルオロフォアが発光分子である、請求項39記載の方法。
【請求項49】
前記発光分子がエクオリンである、請求項48記載の方法。
【請求項50】
前記重合剤がGFP−ポリメラーゼである、請求項39記載の方法。
【請求項51】
前記プローブが基板に固定されている、請求項37記載の方法。
【請求項52】
前記重合剤がリンカーによって前記基板に固定されている、請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記リンカーが、ストレプトアビジン−ビオチン、ヒスチジン−Ni、S−タグ−S−タンパク質、またはグルタチオン−グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)である、請求項52記載の方法。
【請求項54】
前記標的核酸分子または前記オリゴヌクレオチドプライマーが基板に固定されている、請求項37記載の方法。
【請求項55】
実質上同時に複数の配列決定反応を行う工程と、前記複数の配列決定反応から一連のシグナルを検出する工程とを含む、請求項37記載の方法。
【請求項56】
複数の重合剤、標的核酸分子、またはオリゴヌクレオチドプライマーが、所定のパターンで前記基板に直接的または間接的に固定され、一連のシグナルを検出する工程が、そのようなパターン内の所定の位置に対応する核酸分子と前記シグナルとを相関させる工程をさらに含む、請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記重合剤、標的核酸分子、またはオリゴヌクレオチドプライマーが、規則的なアレイにエッチングされたチャネル内で、前記所定のパターンで前記基板に固定される、請求項56記載の方法。
【請求項58】
前記重合剤、標的核酸分子、またはオリゴヌクレオチドプライマーが、基板上に液滴をマイクロピペットで滴下することによって、前記所定のパターンで前記基板に固定される、請求項56記載の方法。
【請求項59】
基板上に液滴をマイクロピペットで滴下する前記工程が、手動または自動アレイヤーを使用して行われる、請求項56記載の方法。
【請求項60】
一連のシグナルが電荷結合素子(CCD)カメラによって検出され、前記核酸配列に変換される、請求項37記載の方法。
【請求項61】
一連のシグナルがコンピュータ可読媒体に保存される、請求項37記載の方法。
【請求項62】
前記標的核酸分子が、対象から取得された生体試料に存在している、請求項37記載の方法。
【請求項63】
前記標的核酸分子が細胞内に存在し、前記鋳型核酸分子をオリゴヌクレオチドプライマーおよび前記プローブに曝露する工程が、前記オリゴヌクレオチドプライマーおよび前記プローブの前記細胞への導入を含む、請求項37記載の方法。
【請求項64】
前記細胞が対象内に存在し、前記オリゴヌクレオチドプライマーおよび前記プローブの前記細胞への導入が、前記オリゴヌクレオチドプライマーおよび前記プローブの対象への投与を含む、請求項63記載の方法。
【請求項65】
前記標的核酸鎖が、疾病に関連する1つまたは複数の突然変異を含む、請求項37記載の方法。
【請求項66】
高ストリンジェンシー条件下で前記標的核酸配列に特異的にハイブリダイズするプライマーをさらに含むプローブであって、前記プライマーが、分子リンカーを介して前記重合剤に結合される、請求項1記載のプローブ。
【請求項67】
前記重合剤が重合剤−Tus融合タンパク質を含み、前記分子リンカーがter配列を含む、請求項1記載のプローブ。
【請求項68】
前記ヌクレオチド類似体に関連する前記タグが、エラーの検出および修正を可能にする、コード化したフルオロフォアの集まりである、請求項11記載のプローブ。

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2009−519041(P2009−519041A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545768(P2008−545768)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/047534
【国際公開番号】WO2007/070572
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.UNIX
2.JAVA
【出願人】(506161522)アメリカ合衆国 (4)
【Fターム(参考)】