説明

根こぶ病の防除方法

【課題】アブラナ科根こぶ病に対する新たな防除薬剤と防除方法を提供することを目的とする。
【解決手段】(RS)-3,5-ジクロロ-N-(3-クロロ-1-エチル-1-メチル-2- オキソプロピル)-p-トルアミドを用いることを特徴とする、あぶらな科の根こぶ病を防除する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌伝染性の難防除病害である、あぶらな科の根こぶ病の防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
根こぶ病は、根こぶ病菌(Plasmodiophora brassicae)により、はくさい、キャベツおよびかぶなどのアブラナ科作物に引き起こされる病害である。該病害は土壌伝染性の難防除病害とされており、一方で効果を示す殺菌性化合物が少ない。それゆえ本病害に高い防除効果を示す病害防除剤が切望されている。
【0003】
従来、根こぶ病の防除にはフルスルファミド剤、フルアジナム剤、アミフルブロム剤などが使用されてきた。なかでも、フルスルファミド剤は、商品名「ネビジン」として三井化学アグロ(株)により、またフルアジナム剤は商品名「フロンサイド」として石原産業(株)により農薬登録されており(農薬登録番号:18210号、農薬登録番号17,559号)、その施用方法も種々検討されている(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】平成16年青森県農林総合研究センター試験成績概要集
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、フルスルファミド剤やフルアジナム剤は、圃場条件によっては初期成育の抑制などの薬害を生じることがあり、新しい病害防除剤が求められている。そこで、本発明は、アブラナ科根こぶ病に対する新たな防除方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明は、(RS)-3,5-ジクロロ-N-(3-クロロ-1-エチル-1-メチル-2- オキソプロピル)-p-トルアミドを用いることを特徴とする、あぶらな科の根こぶ病を防除する方法である。
【発明の効果】
【0007】
(RS)-3,5-ジクロロ-N-(3-クロロ-1-エチル-1-メチル-2- オキソプロピル)-p-トルアミドは公知の化合物であり(例えば特開平6-192196号)、該該化合物がイネいもち病、灰色かび病、トマト疫病およびキュウリベと病などに対する効果があることも知られている(特開平6-211765号及び特開平11-269011号)。しかし、該化合物を根こぶ病に適用した例はなく、該化合物の根こぶ病に対する効果は、上記文献からは予測することはできない。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(RS)-3,5-ジクロロ-N-(3-クロロ-1-エチル-1-メチル-2- オキソプロピル)-p-トルアミド(以下、本化合物と称する)を根こぶ病防除剤として使用するにあたっての製剤形態は必ずしも限定されるものではなく、例えば、粉剤、粒剤、細粒剤、乳剤、液剤、油剤、フロアブル剤、水和剤、顆粒水和剤、水溶剤、ドライフロアブル剤の製剤形態とすることが好適である。
【0009】
製剤の際に用いられる農薬補助剤は、安定した効力を発揮させるため、安定した状態を維持するため、及び、水等に溶かしたときの分散性を良くするため等の種々の目的で使用される。例えば、坦体(希釈剤)や、乳化剤、分散剤、湿展剤、固着剤、崩壊剤等を用いることができる。液体の坦体としては、水や、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メタノール、ブタノール、グリコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、メチルナフタレン、シクロヘキサン、動植物油、脂肪酸等を挙げることができる。また、固体の坦体としては、クレーや、カオリン、タルク、珪藻土、シリカ、炭酸カルシウム、モンモリナイト、ベントナイト、長石、石英、アルミナ、鋸屑、ニトロセルロース、デンプン、アラビアゴム等を用いることができる。
【0010】
乳化剤や分散剤としては、通常の界面活性剤を使用することが出来、例えば、高級アルコール硫酸ナトリウムや、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ラウリルベタイン等の陰イオン系界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン系界面活性剤、両イオン系界面活性剤等を用いることが出来る。また、ジアルキルスルホサクシネート等の湿展剤;カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の固着剤;リグニンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等の崩壊剤等を用いることが出来る。
【0011】
根こぶ病防除剤中の本化合物の含有量は、例えば、0.01〜99.5重量%であり、好ましくは、0.1〜90%の範囲から選ばれ、製剤形態、施用方法等の種々の条件により適宜決定すればよい。例えば、粉剤、粒剤および細粒剤では、0.1〜20重量%、好ましくは、0.5〜10重量%、乳剤、液剤、油剤およびフロアブル剤では、1〜90重量%、好ましくは、10〜40重量%、水和剤、顆粒水和剤、水溶剤およびドライフロアブル剤では、1〜90重量%、好ましくは、10〜80重量%の有効成分を含有するように製造することが好適である。
【0012】
例えば、粉剤の場合、本化合物、固形担体等を混合して、そのまま施用することができ、粒剤または細粒剤の場合には、本化合物、固形担体、及び界面活性剤等を混合して造粒することにより製造し、そのまま施用することができる。乳剤、液剤、油剤およびフロアブル剤の場合、本化合物に対して、溶剤及び界面活性剤を混合して製造することができ、更に、この乳剤、液剤、油剤およびフロアブル剤を使用に際して所定濃度に水で希釈して施用することができる。水和剤、顆粒水和剤、水溶剤およびドライフロアブル剤の場合、本化合物、固形担体、及び界面活性剤を混合して製造し、更に、この水和剤、顆粒水和剤、水溶剤およびドライフロアブル剤を使用に際して所定濃度まで水で希釈して施用することができる。各製剤形態の製造方法は上記に限定されることはなく、施用目的等に応じて当事者が適宜選択することができるものである。
【0013】
該根こぶ病防除剤には、有効成分である本化合物以外に、他の殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、植物生育調整剤、肥料、土壌改良剤等の任意の有効成分を配合してもよい。
【0014】
本化合物の施用量は、特に限定されるものではないが、例えば、作物を生育させるための媒体1000m(=10a)当たり、有効成分量として10〜600g、好ましくは100〜500g程度の施用量で用いることが出来る。作物を生育させるための該媒体としては、土壌、水、おがくず等、種々のものが包含されるが、好ましくは土壌である。
【0015】
施用の方法は特に限定されず、作物を生育させるための媒体の表面に、散布する、灌注する、混和する、又は作物を生育させるための該媒体を、該根こぶ病防除剤に浸漬する方法がある。
【0016】
該根こぶ病防除剤は、必要に応じて1種類以上の殺虫剤、殺ダニ剤、殺菌剤、殺細菌剤、または、生物的活性を示す化合物との混合剤として使用することができる。このようにして得られた混合物は幅広い活性スペクトルを有する。混合できる殺菌性有効成分化合物(一般名)の例を以下に示すが、混合できる殺菌性有効成分化合物は必ずしもこれに限定されない。
銅殺菌剤、例えば、水酸化第二銅、水酸化硫酸銅、塩基性塩化銅、有機銅、DBEDC、ノニルフェノールスルホン酸銅など;
無機殺菌剤、例えば、硫黄、石灰硫黄合剤、硫酸亜鉛、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、銀など;
有機硫黄剤、例えば、マンネブ、マンゼブ、アンバム、ポリカーバメート、プロピネブ、ジラム、チウラム、チアジアジンなど;
有機燐剤、例えば、イプロベンホス、エディフェンホス、トルクロホスメチル、ホセチルなど;
メラニン合成阻害剤、例えば、フサライド、トリシクラゾール、ピロキロン、カルプロパミド、ジクロシメット、フェノキサニルなど;
ベンゾイミダゾール系剤、例えば、チオファネートメチル、ベノミル、チアベンダゾール、ジエトフェンカルブなど;
ジカルボキシイミド剤、例えば、イプロジオン、プロシミドンなど;
酸アミド系剤、例えば、メプロニル、フルトラニル、ボスカリド、フラメトピル、チフルザミド、メタラキシル、オキサジキシルなど;
ステロール性合成阻害剤、例えば、トリフルミゾール、プロクロラズ、ペフラゾエート、オキスポコナゾールフマル酸塩、フェナリモル、トリホリン、トリアジメホン、ビテルタノール、フェンブコナゾール、ミクロブタニル、ヘキサコナゾール、テブコナゾール、プロピコナゾールジフェノコナゾール、イプコナゾール、イミベンコナゾール、シプロコナゾール、テトラコナゾール、シメコナゾールなど;
ストロビルリン系剤、例えば、アゾキシストロビン、クレソキシムメチル、トリフロキシストロビン、メトミノストロビン、ピコキシストロビン、オリザストロビン、フルオキサストロビン、ファモキサドンなど;
アニリノピリミジン系剤、例えば、ピリメタニル、メパニピリム、シプロジニルなど;
ジカルボキシイミド系剤、例えば、プロシミドン、イプロジオンなど;
ピペラジン系剤、例えば、トリホリンなど;
ピリジナミン系剤、例えば、フルジアナムなど;
ピラゾール系剤、例えば、ペンチオピラドなど;
ベンズアミド系剤、例えば、ザリラミド、ゾキサミド、フルオピコリド、フルオピラムなど;
シアノアセトアミド系剤、例えば、シモキサニルなど;
フェニルアミド系剤、例えば、メタラキシル、メタラキシルM、オキサジキシルなど;
アニリド系剤、例えば、ボスカリドなど;
カルビノール系剤、例えば、フェナリモル、フルトリアフォルなど;
モルフォリン系剤、例えば、フェンプロピモルフ、トリデモルフなど;
シンナミック系剤、例えば、ジメトモルフ、フルモフルなど;
フェニルカーバメート系剤、例えば、ジエトフェンカルブなど;
シアノピロール系剤、例えば、フルジオキソニル、フェンピクロニルなど;
オキサゾリジノン系剤、例えば、ファモキサドン;
チアゾールカルボキサミド系剤、例えば、エタボキサムなど;
アミノアシッドカーバメート系剤、例えば、ベンチアバリカルブイソプロピルなど;
ヒドロキシアニリド系剤、例えば、フェンヘキサミドなど;
ベンゼンスルホンアミド系剤、例えば、フルスルファミドなど;
オキシムエーテル系剤、例えば、シフルフェナミド、ピリベンカルブなど;
トリアゾールピリミジン系剤、例えば、アメトクトラジンなど;
キノロン系剤、例えば、オキソリニック酸など;
マンデルアミド系剤、例えば、マンジプロパミドなど;
抗生物質系殺菌剤、例えば、カスガマイシン、ポリオキシン複合体、ポリオキシンD亜鉛塩、バリダマイシン、ミルディオマイシン、オキシテトラサイクリン、ブラストサイジンS、ストレプトマイシンなど;
天然物由来系殺菌剤、例えば、シイタケ菌糸体抽出物など。
【0017】
その他の殺菌剤として例えば、プロベナゾール、アシベンゾラルSメチル、イソプロチオラン、フェリムゾン、ジクロメジン、ペンシクロン、フルオルイミド、キャプタン、クロロタロニル、ジチアノン、フルジオキソニル、ジフルメトリム、トリアジン、フルアジナム、イミノクタジン酢酸塩、イミノクタジンアルベシル酸塩、プロパモカルブ塩酸塩、シアゾファミド、フェンヘキサミド、チアジニル、アミスルブロム、ベンチアゾール、ビテルタノール、ベンチアゾール、ビテルタノール、ホルペット、マンジプロパミド、D-D、ダゾメット、クロルピクリン、臭化メチル、メチルイソチオシアネート、クロロネブ、ブロムコナゾール、カルベンダゾール、キノキサリン系が挙げられる。
【0018】
次に、混合できる殺虫性有効成分化合物および殺ダニ性有効成分化合物(一般名)の例を以下に示すが、混合できる殺虫性有効成分化合物および殺ダニ性有効成分化合物は必ずしもこれに限定されるものではない。
有機燐剤、例えば、アセフェート、クロルピリホス、ダイアジノン、ジクロルボス、ジメトン−Sメチル、ジメトエート、ジメチルビンホス、ジスルフォトン、エチオン、フェニトロチオン、フェンチオン、イソキサチオン、マラチオン、メタミドホス、メチダチオン、ナレド、オキシデプロホス、フェンソエート、ホサロン、ピリミホスメチル、ピリダフェンチオン、プロフェノホス、プロチオホス、プロパホス、ピラクロホス、サリチオン、スルプロホス、チオメトン、テトラクロルビンホス、トリクロルホン、バミドチン等;
カーバメイト剤、例えば、アラニカルブ、ベンダイオカルブ、ベンフラカルブ、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、エチオフェンカルブ、フェノブカルブ、フラチオカルブ、イソプロカルブ、メソミル、メトルカルブ、ピリミカルブ、プロポクスル、チオジカルブ等;
有機塩素剤、例えば、アルドリン、クロルデン、DDT、エンドサルファン、リンデン等;
ピレスロイド剤、例えば、アクリナトリン、アレスリン、ビフェントリン、シクロプロトリン、シフルトリン、シハロトリン、シフェノトリン、シペルメトリン、エトフェンプロックス、フェンプロパトリン、フェンバレレート、フルシトリネート、フルフェンプロックス、フルバリネート、フラメトリン、ハロフェンプロックス、イミプロトリン、ペルメトリン、フェノトリン、プラレトリン、ピレトリン、レスメトリン、シラフルオフェン、テフルトリン、トラロメトリン、トランスフルスリン等;
ネオニコチノイド剤、例えば、アセタミプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、イミダクロプリド、ニテンピラム、チアクロプリド、チアメトキサム等;
フェニルベンゾイルウレア剤等の昆虫成長制御剤、例えば、クロロフルアズロン、ジフルベンズロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、テフルベンズロン、トリフルムロン、ブプロフェジン、クロマフェノジド、ハロフェノジド、メトキシフェノジド、テブフェノジド、シロマジン等;
幼若ホルモン剤、例えば、ジオフェノラン、フェノキシカルブ、ヒドロプレン、メソプレン、ピリプロキシフェン等;
微生物により生産される殺虫性物質等例えば、アバメクチン、エマメクチンベンゾエート、イベルメクチン、レピメクチン、ミルベメクチン、ネマデクチン、ニッコーマイシン、スピネトラム、スピノサドー、BT剤等;
天然物由来の殺虫性物質等例えば、アナバシン、アザジラクチン、デグエリン、脂肪酸グリセリド、ヒドロキシプロピルデンプン、大豆レシチン、ニコチン、ノルニコチン、オレイン酸ナトリウム、マシン油、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、なたね油、ロテノン等;
その他の殺虫剤として例えば、アセトプロール、ベンスルタップ、カルタップ、チオシクラム、クロラントラニリプロール、クロルフェナピル、ジアフェンチウロン、エチプロール、フィプロニル、フロニカミド、フルベンジアミド、ヒドラメチルノン、インドキサカルブ、メタフルミゾン、メタアルデヒド、硫酸ニコチン、ピメトロジン、ピリダリル、ピリフルキナゾン、スピロテトラマト、トルフェンピラド、トリアザメート等;
殺ダニ剤、例えば、アセキノシル、アミトラズ、アゾシクロチン、ベンゾメート、ビフェナゼート、ビナパクリル、フェニソブロモレート、クロフェンテジン、シエノピラフェン、シフルメトフェン、水酸化トリシクロヘキシルスズ、ジコホル、ジエノクロル、エトキサゾール、フェナザフロル、フェナザキン、酸化フェンブタスズ、フェノチオカルブ、フェンピロキシメート、フルアクリピリム、ヘキシチアゾクス、ピリミジフェン、ポリナクチン複合体、プロパルギル、ピリダベン、スピロジクロフェン、スピロメシフェン、テブフェンピラド、テトラジホン等;
殺線虫剤、例えば、リン化アルミニウム、ベンクロチアズ、カズサホス、エトプロホス、ホスチアゼート、イミシアホス、塩酸レバミゾール、メスルフェンホス、カーバム、メチルイソシアネート、酒石酸モランテル、オキサミル等。
【0019】
又、植物成長調節作用を有する化合物として、例えば1-ナフチルアセトアミド、4-CPA、ベンジルアミノプリン、ブトルアリン、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、過酸化カルシウム、硫酸カルシウム、クロルメコート、コリン、シアナミド、シクラニリド、ダミノジット、デシルアルコール、ジクロルプロップ、エテホン、エチクロゼート、フルルプリミドール、ホルクロルフェニュロン、ジベレリン、インドール酪酸、マレイン酸ヒドラジドカリウム、メフェンピル、メピコートクロリド、オキシン硫酸塩、パクロブトラゾール、パラフィン、プロヘキサジオンカルシウム塩、プロヒドロジャスモン、チジアズロン、トリネキサパックエチル、ウニコナゾールP、ワックス等と混合して使用することもできる。
【0020】
本化合物を適用できる作物は、あぶらな科の作物であり、例えば、あぶらな、かぶ、からしな、カリフラワー、キャベツ、こまつな、しろな、タアサイ、だいこん、たかな、チンゲンサイ、のざわな、はくさい、パクチョイ、ブロッコリー、みずなが挙げられるが必ずしもこれに限定されない。
【0021】
[実施例]
以下、本発明を実施例(製剤例及び試験例)により詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【0022】
まず、製剤例を示す。なお、以下において部は重量部を表す。
<製剤例1:乳剤>
本発明の化合物(10部)、キシレン(60部)、N−メチル−2−ピロリドン(20部)及びソルポール3005X(非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤の混合物、東邦化学工業株式会社、商品名)(10部)を均一に混合溶解して、乳剤を得た。
【0023】
<製剤例2:水和剤−1>
本発明の化合物(20部)、ニップシールNS-K(ホワイトカーボン、東ソー・シリカ株式会社、商品名)(20部)、カオリンクレー(カオリナイト、竹原化学工業株式会社、商品名)(20部)、サンエキスP−252(リグニンスルホン酸ナトリウム、日本製紙ケミカル株式会社、商品名)( 5部)及びルノックスP−65L(アルキルアリルスルホン酸塩、東邦化学工業株式会社、商品名)(5部)をエアーミルにて均一に混合粉砕して、水和剤を得た。
【0024】
<製剤例3:水和剤−2>
本発明の化合物(20部)、ニップシールNS-K(20部)、カオリンクレー(50部)、ルノックス1000C(ナフタレンスルホン酸塩縮合物、東邦化学工業株式会社、商品名)(5部)及びソルポール5276(非イオン性界面活性剤、東邦化学工業株式会社、商品名)(5部)をエアーミルにて均一に混合粉砕して、水和剤を得た。
【0025】
<製剤例4:フロアブル剤−1>
予め混合しておいたプロピレングリコール(5部)、ソルポール7933(アニオン性界面活性剤、東邦化学工業株式会社、商品名)(5部)、水(50部)に本発明の化合物(20部)を分散させ、スラリー状混合物とし、次にこのスラリー状混合物を、ダイノミル(シンマルエンタープライゼス社)で湿式粉砕した後、予めキサンタンガム(0.2部)を水(19.8部)によく混合分散させたものを添加し、フロアブル剤を得た。
【0026】
<製剤例5:フロアブル剤−2>
本発明の化合物(20部)、ニューカルゲンFS-26(ジオクチルスルホサクシネートとポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルの混合物、竹本油脂株式会社、商品名)(5部)、プロピレングリコール(8部)、水(50部)を予め混合しておき、このスラリー状混合物を、ダイノミル(シンマルエンタープライゼス社)で湿式粉砕した。次にキサンタンガム(0.2部)を水(16.8部)によく混合分散させゲル状物を作成し、粉砕したスラリーと十分に混合して、フロアブル剤を得た。
【0027】
<製剤例6:粉剤>
本発明の化合物0.5部、クレー95部、ホワイトカーボン4.5部をラボミルLM-05(株式会社ダルトン社)を用いて粉砕・混合することで粉剤を得た。
【0028】
<製剤例7:粉剤>
本発明の化合物5部、クレー粉末80部、珪藻土粉末15部をラボミルLM-05(株式会社ダルトン社)を用いて粉砕・混合することで粉剤を得た。
【0029】
<製剤例8:粒剤>
小型ニーダーに本発明の化合物0.5部、クレー67.1部、サンエキスP−252(リグニンスルホン酸ナトリウム、日本製紙ケミカル)1.8部、エアロールCT−1L(ジアルキルスルホコハク酸Na約70%溶液、東邦化学)0.6部、ベントナイト30部を順次投入し、20分間混合した後、水道水50mlを加えて10分間練り合わせた。練合物を押出型造粒機(粒径0.8mm)で造粒したのち整粒し、流動層乾燥機で乾燥後、目的とする粒剤450gを得た。
【0030】
<試験例>
次に、本化合物を、ハクサイ根こぶ病に対して施用した試験例を示す。なお、本化合物と比較対照用に、フルアジナム(以下「化合物1」とする)を用いた。
【0031】
<試験例1 >
黒土500gに根こぶ病を発病した根の粉砕物15gを加え混和し、汚染土壌を作成した。
上記製剤例6に準じて調製した粉剤を汚染土壌に混和処理した後、容積が500ml(10cm×10cm×5cm)のプラスチックポットに充填した。その後1カップあたり2粒のはくさいの種子を播種し、これをガラス温室で管理した。処理40日後に表1に示した基準の発病度を調査し、その結果に基づき防除価を算出した。なお、試験は3連制で行った。結果を表2に示す。
【表1】


防除価 (%)= [1 −(処理区発病度 / 無処理区発病度)] ×100

【表2】

【0032】
<試験例2>
黒土500gに根こぶ病を発病した根の粉砕物15gを加え混和し、汚染土壌を作成した。
容積が500ml(10cm×10cm×5cm)のプラスチックポットに充填した。上記製剤例2に準じて調製した水和剤を脱塩水で希釈して所定濃度の希釈液を作成した。この希釈液を、スプレーガンを用い、土壌表面(10cm×10cm)に散布した後、全体を混和した。その後1カップあたり2粒のはくさいの種子を播種し、これをガラス温室で管理した。試験例1と同様に、処理40日後に発病度を調査し、その結果に基づき防除価を算出した。なお、試験は3連制で行った。結果を表3に示す。
【表3】

【0033】
<試験例3>
黒土500gに根こぶ病を発病した根の粉砕物15gを加え混和し、汚染土壌を作成した。
容積が500ml(10cm×10cm×5cm)のプラスチックポットに充填した。上記製剤例2に準じて調製した水和剤を脱塩水で希釈して所定濃度の希釈液を作成した。この希釈液を、メスピペットを用い、土壌に灌注し、処理した土壌を混和した。その後1カップあたり2粒のはくさいの種子を播種し、これをガラス温室で管理した。試験例1と同様に、処理40日後に発病度を調査し、その結果に基づき防除価を算出した。なお、試験は3連制で行った。結果を表4に示す。
【表4】

上記実施例で示したとおり、(RS)-3,5-ジクロロ-N-(3-クロロ-1-エチル-1-メチル-2- オキソプロピル)-p-トルアミドは種々の形態に製剤化することができ、また、顕著に優れた防除価を示した。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の方法は、あぶらな科の根こぶ病を防除するのに大変有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(RS)-3,5-ジクロロ-N-(3-クロロ-1-エチル-1-メチル-2- オキソプロピル)-p-トルアミドを用いることを特徴とする、あぶらな科の根こぶ病を防除する方法。
【請求項2】
(RS)-3,5-ジクロロ-N-(3-クロロ-1-エチル-1-メチル-2- オキソプロピル)-p-トルアミドを、作物を生育させるための媒体1000m当たり10g〜600gの濃度で、施用することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
該施用が、作物を生育させるための媒体の表面に散布することにより行なわれることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
該施用が、作物を生育させるための媒体の表面に灌注することにより行なわれることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項5】
該施用が、作物を生育させるための媒体を、(RS)-3,5-ジクロロ-N-(3-クロロ-1-エチル-1-メチル-2- オキソプロピル)-p-トルアミドを含む製剤に浸漬することにより行なわれることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項6】
作物を生育させるための媒体が土壌である、請求項1〜5記載のいずれか1項記載の方法。

【公開番号】特開2013−87059(P2013−87059A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225845(P2011−225845)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(511247242)ゴーワン カンパニー エルエルシー. (1)
【Fターム(参考)】