根の生長および菌根の生長を増進するためのL−アミノ酸含有肥料の使用
本発明は、根の生長を刺激し、より多くの細根を誘導し、根端数を増大させ、かつ/または菌根の発達を刺激するための主要な窒素供給源として、L-グルタミン、L-アスパラギンおよびL-アルギニンの群から選択されるアミノ酸を含み、場合によって無機窒素および/または適切な保存料を一緒に含む肥料の使用方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物のバイオマス分配に影響を及ぼす肥料の使用に関する。より詳細には、この肥料により、根の生長、細根の発達を刺激し、根端数および菌根の発達を増大させることができる。したがって、本発明は、根の生長、細根の発達を刺激し、根端数および菌根の発達を増大させるための肥料の使用方法を提供する。さらに、本発明は、バイオマスの根の割合を調節するための肥料の使用方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
苗条と根との間の生長分配は、それによって植物がさまざまな環境条件に順応する主要プロセスである。窒素供給がこのプロセスの主要な決定因子であることは周知である。窒素供給量が多いと、地上部の生長の方が、地下構造体の生長に比べて刺激され、一方、窒素供給量が少ないと、根の生長が増強される(図1)。この窒素供給に対する分配の強い依存は、いくつもの植物種について、一連の種々の窒素添加率について実証されている。したがって、窒素供給によって植物の構造体が変化し、ゆえに風および干ばつなどのさまざまなストレスに対する植物の抵抗性が変化する。
【0003】
植物のバイオマス分配に対する窒素の影響についての概念によれば、N供給率が高くなると、植物は窒素を取り込む必要性、ゆえに根の生長の必要性が減ることを感知するが、炭素を取り込む必要性、ゆえに苗条の生長の必要性が増すことを感知する。この窒素および炭素の利用とバイオマス分配の単純な関係は、外部刺激により、また植物体内のショ糖およびグルタミンなどの重要な代謝産物のレベルを感知することにより、制御され得る。
【0004】
植物の栽培中に、養分、特に窒素を十分に供給することが、良好な生長に必須である。上記の通り、多量の養分によって、通常、地下部よりも地上部の生長がより刺激され、したがって、商業的に栽培された植物は、十分な養分が供給されているので、苗条の質量の割合が高くアンバランスであることが多い。しかし、根の質量の割合(root mass fraction)が高い植物が、根の質量の割合が低い植物よりも優位である場合はいくつもある。一般に、屋外に移植するために予備栽培した植物または挿し木で育てた植物は、移植後に効率的に定着できるように、根の質量の割合が高くあるべきである。したがって、後で移植するために植物または実生を予備栽培するような全ての状況において、根の質量の割合が高いことが、生長および定着に対する正の因子になる。
【0005】
上記のことにより、植物の効率的な栽培は、最適な植物分配様式と両立しないと結論付けることができる。栽培中の高い生長速度の必要性は、多量のNを適用することによってのみ実現し、それによって、今度は根の生長よりも苗条の生長が刺激され、したがって不均衡な分配が導かれる。理想的には、植物の栽培条件は、効率的な生長を可能にするが、それにもかかわらず根の質量の割合を高くすべきものである。これは現在の栽培方法では実現することができない。
【0006】
この10年の間、多くの研究により、有機窒素化合物、特にアミノ酸が、植物にとって重要な窒素供給源であることが示されている。これらの研究により、畑と研究室環境の両方で、菌根植物および非菌根植物を含む一連の種々の植物種について、さらには例えばコムギ、トウモロコシ、オオムギなどいくつもの作物についても、アミノ酸の取り込みが起こることが実証されている(Lipson and Nasholm 2001)。いくつかの研究により、吸収された有機窒素化合物が、根から取り込まれた後どのように代謝されるかが実証されており、またそのような供給源由来の窒素がどのようにタンパク質中に組み込まれるかも示されている。さらに、いくつもの研究により、植物が、有機窒素化合物を生長のために使用し得ることが実証されている。したがって、アミノ酸などの有機窒素化合物が、植物に対して窒素供給源として機能し得ることは現在広く受け入れられている。
【0007】
一般に、吸収後の全ての窒素型(すなわち、無機窒素型および有機窒素型)は代謝され、したがって、植物体内に共通の窒素プールが形成され、それは植物の生長に利用可能であると考えられている。したがって、この一般知識によると、植物の根から吸収された全ての窒素型が共通の窒素プールの一部になると思われ、それによって、植物の根から吸収された窒素の全ての型が、植物体内に均一に広がるはずである。
【0008】
RU2016510におけるin vitro研究から、アミノ酸の混合物を含有するタンパク質加水分解物が、水耕法のプロセスにおいてカルスの発根および植物の生長を刺激するために使用されていることが分かる。この特許では、植物の根の生長を刺激するために純粋な天然L-アミノ酸を使用することについては何も教示されていない。
【0009】
AU659115に、少なくとも2種のタンパク質分解酵素による酵素的消化によって産生した天然L-アミノ酸を含有する肥料の製造プロセスおよび使用が開示されている。AU659115では、取り込みを増強させるための養分として小分子(アミノ酸)を用いる利点のみが論じられている。植物の根の生長を刺激するために純粋な天然L-アミノ酸を使用することについては何も教示されていない。さらに、これら2つの特許では、肥料によって植物体全体の生長を刺激することも、菌根の同時発達についても何も教示されていない。
【0010】
EP1,284,945に、植物、特に針葉樹に適した肥料が開示されている。この肥料の有利な特徴は、実質的に定常であり、したがって環境への望ましくない窒素漏出が最小限になることである。この肥料の主要な窒素供給源は、L型の塩基性アミノ酸またはその塩、特にL-アルギニンである。この文献では、根の生長および菌根の発達への刺激に関しては全く触れられていない。
【0011】
したがって、植物体全体の生長を刺激することに加えて、根の生長および/または菌根の発達を刺激する能力を有する窒素含有肥料が依然として必要とされている。
【0012】
森林再生において、種々の植物種が、屋外に植えた際に生長が遅いまたは生長開始が遅れることが観察されている。
【0013】
さらに、高い根の質量の割合および多数の根端または細根が、これらの小植物が新しい生長環境に効率的に定着するのに役立つことが推測されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】RU2016510
【特許文献2】AU659115
【特許文献3】EP1,284,945
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Smith, S. E., and D. J. Read. 1997. Mycorrhizal symbiosis, 2nd Edition. Academic Press, New York, New York, USA.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
要約すると、植物体全体の生長を損なわずに、その植物における根の質量の割合、根、根端の数および細根の数を増大させるために使用することができる肥料が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
今驚くべきことに、植物体全体の生長を刺激することに加えて、根の生長ならびに菌根の発達を誘導および刺激できる肥料の提供が可能であることが示されている。
【0018】
本発明は、根の生長を刺激するための窒素供給源として天然L-アミノ酸を含むことを特徴とする肥料の使用方法を提供する。
【0019】
さらに、本発明は、菌根の発達を刺激するための窒素供給源として天然L-アミノ酸を含むことを特徴とする肥料の使用方法を提供する。
【0020】
本発明は、さらに、根の生長を刺激し、かつ/または菌根の発達を刺激するための主要窒素供給源としてL-グルタミン、L-アスパラギンおよびL-アルギニンの群から選択されるアミノ酸を含み、場合によって適切な保存料を一緒に含む、肥料の使用方法を提供する。
【0021】
さらに、根の生長を刺激し、かつ/または菌根の発達を刺激するための主要窒素供給源として天然L-アミノ酸を含む肥料の使用を開示する。
【0022】
さらに、根の生長を刺激し、かつ/または菌根の発達を刺激するための窒素供給源として、天然L-アミノ酸、特に、L-アルギニン、L-アスパラギンおよびL-グルタミンの群から選ばれる天然L-アミノ酸を含む肥料の使用を開示する。
【0023】
さらに、無機窒素も含む肥料の使用を開示する。
【0024】
さらに、L-アミノ酸は、L-アルギニン、L-アスパラギン、グリシン、L-グルタミン酸およびL-グルタミンの群から選ばれる。
【0025】
さらに、肥料中の窒素供給源の少なくとも30%(wt)、好ましくは肥料中の窒素供給源の少なくとも70%(wt)、好ましくは少なくとも85%(wt)、最も好ましくは少なくとも90%(wt)が、L-アミノ酸であり、他の窒素供給源が無機窒素化合物であり、それによりL-アミノ酸と無機窒素化合物との比に、根および苗条の生長の刺激が関連している肥料の使用を開示する。一部の例では、L-アミノ酸はL-アルギニンおよび/またはL-グルタミンである。
【0026】
バイオマスの根の割合を調節するための肥料の使用方法も開示する。
【0027】
さらに、窒素供給源としてL-アミノ酸の割合が高くなるほど、バイオマスの根の割合が高くなり、すなわち、使用する肥料中のL-アミノ酸が多くなると、屋外に移植した際に植物体にとって役立ち得る、根が多くなり、細根も多くなり、根端がさらに多くなることを開示する。
【0028】
さらに、適切な保存料も含有する、天然L-アミノ酸を含む肥料の使用を開示する。
【0029】
さらに、保存料が、安息香酸、酢酸、サリチル酸、プロピオン酸、ソルビン酸、クエン酸、またはその塩およびアレキシンプラス(alexin plus)などの保存料の群から選択される、天然L-アミノ酸を含む肥料の使用を開示する。
【0030】
さらに、固形または溶剤である、天然L-アミノ酸を含む肥料の使用を開示する。
【0031】
本発明は、根の生長を刺激するための主要窒素供給源としてL-グルタミン、L-アスパラギンおよびL-アルギニンの群から選択されるアミノ酸を含み、場合によって適切な保存料を一緒に含む肥料の使用方法も提供する。
【0032】
本発明は、天然アミノ酸を含む肥料も提供する。本発明の肥料に使用することができる天然アミノ酸は、グリシン、L-アラニン、L-バリン、L-ロイシン、L-イソロイシン、L-セリン、L-システイン、L-トレオニン、L-メチオニン、プロリン、L-アスパラギン酸、L-アスパラギン、L-グルタミン酸、L-グルタミン、L-リジン、L-アルギニン、L-ヒスチジン、L-フェニルアラニン、L-チロシンおよびL-トリプトファンである。好ましい実施形態において、アミノ酸は、グリシン、L-グルタミン酸、L-グルタミンおよびL-アルギニンの群から選ばれる。アミノ酸が、主要窒素供給源として、L-アルギニンおよびL-グルタミンの群から選ばれることが最も好ましい。肥料は、適切な保存料も含有する。
【0033】
好ましくは肥料中の窒素供給源の少なくとも30%(wt)、好ましくは肥料中の窒素供給源の少なくとも70%(wt)、好ましくは少なくとも85%(wt)、最も好ましくは少なくとも90%(wt)が、L-アルギニンおよび/またはL-グルタミンなどの天然アミノ酸である。
【0034】
さらに、この肥料の使用は、根および苗条の生長を同時に刺激するために、肥料が硝酸塩またはアンモニウムなどの無機窒素化合物も含むことを特徴とすることができる。
【0035】
さらに、無機窒素化合物の例は、硝酸塩、およびアンモニウムである。
【0036】
保存料は、安息香酸カリウム、などの安息香酸塩、酢酸、サリチル酸、プロピオン酸、ソルビン酸、クエン酸、およびアレキシンプラス(alexin plus)の群から選択されることが好ましい。安息香酸カリウムの典型的な濃度は、総計400〜3000ppm、好ましくは600〜2000ppm、最も好ましくは800〜1200ppmに達する。酢酸の典型的な濃度は、総計2000〜10000ppm、好ましくは4000〜8000ppm、最も好ましくは5000〜7000ppmに達する。サリチル酸の典型的な濃度は、総計250〜2000ppm、好ましくは500〜1500ppm、最も好ましくは800〜1200ppmに達する。プロピオン酸の典型的な濃度は、総計2000〜10000ppm、好ましくは4000〜8000ppm、最も好ましくは5000〜7000ppmに達する。ソルビン酸の典型的な濃度は、総計2500〜20000ppm、好ましくは5000〜15000ppm、最も好ましくは7500〜12500ppmに達する。アレキシンプラス(Alexin plus)(Citrox Ltd, United Kingdom)の典型的な濃度は、総計10000〜50000ppm、好ましくは20000〜40000ppm、最も好ましくは25000〜35000ppmに達する。
【0037】
肥料は、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、リン酸二水素カリウム、塩化カリウム、および微量元素の群から選択される追加成分を含有することが好ましく、微量元素は、Fe、Mn、Cu、Zn、BおよびMoの群から選択される。一般には、肥料は、2〜5%(wt)、好ましくは3〜4%(wt)の硫酸マグネシウム、1〜3%(wt)、好ましくは2〜3%(wt)の硫酸カリウム、好ましくは4〜5%(wt)のリン酸二水素カリウム、2〜5%(wt)、好ましくは3〜4%(wt)の塩化カリウムを含み得る。微量元素は、特別な微量元素組成物として加えることが好ましい。そのような組成物の例としては、LMI AB, Swedenから入手可能なMicro+がある。一般には、肥料中のMicro+の量は4〜5%(wt)である。
【0038】
ここで、添付の図を参照して本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】総バイオマスに対する苗条バイオマスの割合で表した植物のバイオマス分配に対する植物の窒素状態(生長に最適なN濃度の%)の影響を示すグラフである。A、BおよびCは、それぞれ、オウシュウトウヒ(Picea abies)、ロッジポールパイン(Pinus contorta)およびヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris)を用いた試験によるデータを参照している(Ingestad & Agren 1986より)。
【図2】シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の実生の、植物体全体および根で見られる、L-グルタミンおよび硝酸塩の取り込みによって生じた窒素含有量を示すグラフである。このグラフは、吸収されたL-グルタミンが根の生長に優先的に使用されていることを示している。
【図3】L-アルギニンの取り込みによって生じた窒素の分配を表すグラフである。3mMの硝酸塩で生長した植物に、少量(30μM)のN-15標識L-アルギニンを与えた。21日間栽培した後、植物を採取して根および苗条を分離し、続いてそれらについてN-15含有量を分析した。植物体の2種の部分内の、過剰原子%として表したN-15の量により、L-アルギニン由来の窒素が根の生長に優先的に使用されることが示されている。
【図4A】シロイヌナズナ植物のバイオマスおよび硝酸アンモニウムまたはL-グルタミンと硝酸塩のいずれかで栽培した植物の根および苗条に対するバイオマス分配(4A)を示すグラフである。
【図4B】シロイヌナズナ植物の硝酸アンモニウムまたはL-グルタミンと硝酸塩のいずれかで栽培した植物の根の質量の割合(4B)を示すグラフである。
【図5A】ヤマナラシ(Populus)植物のバイオマスおよび硝酸アンモニウムまたはL-グルタミンと硝酸塩のいずれかで栽培した植物の根および苗条に対するバイオマス分配(5A)を表すグラフである。
【図5B】ヤマナラシ(Populus)植物の硝酸アンモニウムまたはL-グルタミンと硝酸塩のいずれかで栽培した植物の根の質量の割合(5B)を表すグラフである。
【図6】ヨーロッパアカマツの根のキチン含有量を表すグラフである。植物を、窒素供給源としてアンモニウムと硝酸塩の混合物を用いて栽培したか(参照)、アンモニウムと硝酸塩を用いて栽培したが、秋に行う最終の施肥イベント後にアルギニンを与えたか(アルギニン投入)、または生長期を通して、唯一の窒素供給源としてアルギニンを用いて栽培した(アルギニン栽培)。キチンは、真菌の細胞壁の一部であり、したがって、全根系における菌根の割合を示す。
【図7A】種々の比率のL-グルタミン(Gln)の、総バイオマス生産量に対する影響(図7A)を表すグラフである。
【図7B】種々の比率のL-グルタミン(Gln)の、根の生産量に対する影響(図7B)を表すグラフである。
【図8A】L-アスパラギン(Asn)の、総バイオマス生産量に対する影響(図8A)を表すグラフである。
【図8B】L-アスパラギン(Asn)の、根の生産量に対する影響(図8B)を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
一連の実験を通して、本発明者らは、有機窒素型と無機窒素型の混合物を与えた植物において、これらの異なる型由来の窒素は不均一に分配され、これにより、植物体の他の部分よりも根において、有機窒素型由来の植物窒素がより高い率で見られることを発見した。図2に、小型のシロイヌナズナ植物に、アンモニウムと硝酸塩の混合物またはL-グルタミンと硝酸塩の混合物のいずれかを与えた実験から得られた結果を示す。図2は、植物全体について、約50%の窒素がL-グルタミンの取り込みに由来するが、これに対して根の窒素の約75%がこの窒素型由来であることを示している。逆に、植物全体の窒素の約45%は硝酸塩の取り込みに由来するが、これに対して根の窒素はたった約25%だけがこの窒素型の取り込みに由来する。同様に、シロイヌナズナ植物を硝酸塩で栽培し、ほんの少量のL-アルギニンを培養基に加えた場合(図3)、根において、苗条と比較して高割合のL-アルギニン由来窒素が見られた。したがって、これらの試験により、複数の窒素型の混合物を与えた植物では、根の生長のために有機窒素が主に使用されることが示されている。
【0041】
驚いたことに、我々は、有機窒素型と無機窒素型の混合物(この場合、L-グルタミンと硝酸塩)を与えたシロイヌナズナ植物の根の生長は、アンモニウムと硝酸塩の混合物で得られた植物の根の生長と比較して容易に刺激されることを見出した(図4Aおよび4B)。第二の実験において、異なる窒素供給源の混合物の影響をヤマナラシの実生で試験した(図5Aおよび5B)。シロイヌナズナに関しては、アンモニウムと硝酸塩を与えた植物と比較して、L-グルタミンと硝酸塩を与えた植物において、根の質量の割合の有意な増大が見られた。これらのデータによると、無機窒素型のみを与えた植物と比較して、有機窒素型と無機窒素型の混合物を与えた植物において、植物の生長が同様またはより良好であった。同時に、有機窒素型と無機窒素型の混合物を与えた植物では根の質量の割合が有意に高かった。このことは、同等またはより良好な生長において、植物を有機窒素または無機窒素と有機窒素の混合物で栽培することで、無機窒素のみを与えた植物の場合と比較して、より高い根の質量の割合が得られることを示している。
【0042】
本発明は、植物の栽培中に特定のアミノ酸を肥料として使用することで、根に対する植物のバイオマス分配を調整する可能性に関する。したがって、特定のアミノ酸が、肥料中の窒素の主要部分を形成する混合物を使用して、植物の根の生長を特異的に高め、そのようにして、産生した植物の根の質量の割合を上昇させることができる。したがって、無機窒素型が優位である混合物は、植物の苗条の質量の割合を特異的に上昇させるために使用することができる。
【0043】
多くの植物は、菌根と呼ばれる真菌との共生体を形成する。菌根は、大量の養分を与えられた植物においては発達が不十分になることが周知である(Smith, S. E., and D. J. Read. 1997. Mycorrhizal symbiosis, 2nd Edition. Academic Press, New York, New York, USA.)。菌根は植物にとって有益であり、植物のミネラル養分および水の取り込みを促進すること、ならびに植物をさまざまな病原から保護することが知られている。したがって、菌根が形成される自然条件下で植物を栽培することにより、そのような共生体の形成が可能になるはずである。しかし、上記の通り、養分を高率で添加すると、栽培植物において菌根の発達を激しく妨げる可能性があるか、菌根が発達できない可能性がある。
【0044】
菌根を形成する真菌種のいくつかは、食用の子実体(キノコ)を形成することも知られている。しかし、子実体の産生も、養分を高率で添加すると、すなわち、植物の生長を刺激するための条件を用いると、妨げられる。
【0045】
上記の、効率的な植物の栽培と菌根および食用キノコの同時発達との明らかな矛盾は、肥料への大量の窒素の添加次第でかなりの程度になる。
【0046】
さらに、根端の数および細根の数が、小植物が移植後の最初の期間を生き残るために役立つくらいの高レベルまで増大したことは全く予想外であった。
【0047】
実施例は、2種以上ではなく、1種のアミノ酸の使用に関する。肥料はin vitroでの使用および切花への使用は企図していない。
【0048】
それ故に、理想的な肥料は、植物の生長だけでなく、共生する真菌の菌根形成も刺激するべきである。さらに、理想的な肥料は、真菌子実体の産生も可能にするべきである。驚いたことに、我々は、アミノ酸で栽培した植物において、高度な生長と菌根の力強い発達の両方が見られることを発見した。菌根形成に対する刺激は、アミノ酸で育てた植物と無機窒素供給源(アンモニウムと硝酸塩)で育てたが、後でアミノ酸を与えた植物の両方で見られた。
【0049】
肥料は、少なくとも5%(wt)、少なくとも10%(wt)、少なくとも15%(wt)、少なくとも20% (wt)、少なくとも25%(wt)、少なくとも30%(wt)、少なくとも35%(wt)、少なくとも40(wt)、少なくとも45%(wt)、少なくとも50%(wt)、少なくとも55%(wt)、少なくとも60%(wt)、少なくとも65%(wt)、少なくとも70%(wt)、少なくとも75%(wt)、少なくとも80%(wt)、少なくとも85%(wt)、少なくとも90%(wt)、または少なくとも95%(wt)の窒素供給源を含むことができ、それはL-アミノ酸であり、L-アルギニンおよび/またはL-グルタミンであることが好ましい。
【実施例】
【0050】
(実験工程)
[実施例1]
シロイヌナズナにおけるアルギニン-窒素の分配
野生型のシロイヌナズナを用いて、3mMの硝酸塩および30μMのU-15N(>98% 15N)L-Argを追加し、3.6mMのMES(2N-モルホリノエタンスルホン酸)でpH5.8に緩衝させた、0.65%w/vの寒天(植物寒天、Duchefa Biochemie)、0.5%w/vのショ糖を有する、半分に薄めたムラシゲ・スクーグ(MS)培地(Murashige and Skoog, 1962)を含有する無菌寒天プレートにおいて実験を行った。植物を19日間生長させ、植物体20個を採取し、4つの同じ物の群(replicate)に分けた(すなわち、各群は植物体5個からなる)。苗条と根を分離し、根を、0.5mMのCaCl2溶液中で3回、徹底的にすすいできれいにし、表面から付着化合物を取り除いた。苗条および根を、60℃で一晩中乾燥させ、計量し、ホモジナイズした。最後に、安定同位体比質量分析装置(Europe Scientific Isotope Ratio Mass Spectrometer)を用いて試料を分析して総N含有量および総15N含有量を決定した。結果を図3に表す。
【0051】
[実施例2]
シロイヌナズナおよびヤマナラシにおけるバイオマスおよびグルタミン-Nの分配
野生型のシロイヌナズナを用いて、無菌寒天プレートにおいて分配試験を行った。また、ヤマナラシの場合は、等量の、窒素を含まない、0.8%w/vの寒天(植物寒天、Duchefa Biochemie)および0.5%w/vのショ糖を有し、MES緩衝液を用いてpHを5.8にした、半分に薄めたムラシゲ・スクーグ(MS)培地(Murashige and Skoog, 1962)を含有するプラスチックの箱において分配試験を行った。窒素を、NH4+とNO3-の等モル混合物として、またはL-GlnとNO3-それぞれの50%に相当する等モル混合物としてのいずれかで、どちらの混合物の場合も3mMのNに相当する総添加率で寒天に加えた。4つの標識化処理、すなわち、各N混合物に対して2つずつの標識化処理を行った。したがって、NH4NO3混合物を含むプレートの半分は標識NH4+を含有し、他の半分は標識NO3-を含有した。同様に、L-Gln:NO3-混合物を含むプレートの半分は標識L-Glnを含有し、他の半分は標識NO3-を含有した。それぞれを標識化処理するために、N供給源の1%を15Nとして投与した。無菌ろ過したL-Glnを、オートクレーブ後に寒天混合物に加えた。シロイヌナズナ植物を生長させ21日後に採取し、ヤマナラシ植物を生長させ28日後に採取した。苗条および根を60℃で一晩中乾燥させ、計量し、ホモジナイズした。最後に、安定同位体比質量分析装置(Europe Scientific Isotope Ratio Mass Spectrometer)を用いて試料を分析して総N含有量および総15N含有量を決定した。異なる植物体部分(すなわち、苗条と根)における、2種のN供給源のいずれか由来のN量を、過剰原子%15Nおよび植物体部分それぞれの総N含有量の値から計算した。2種の異なるN混合物から得た植物の根の割合を、根に存在する総植物バイオマスの百分率として計算した。シロイヌナズナについての結果を図4に表し、ヤマナラシについての結果を図5に表す。
【0052】
【表1】
【0053】
[実施例3]
ヨーロッパアカマツの菌根の評価
北スウェーデンにおいて、植物を1生長期間中、屋外で栽培した。窒素供給源として硝酸アンモニウムまたはアルギニンのいずれかを含む複合養分溶剤を植物に与えた。アルギニン栽培の実生には、生長期間中、週に1回施肥し(実生ごとに総計50mgのN)、一方、参照植物には、週に2〜3回施肥した(実生ごとに総計71.5mgのN)。アルギニン投与の実生に対しては、初秋の最終施肥イベントの後にもアルギニンのパルスを受けさせたことを除いて、参照植物と同じ処理をした。このパルスで与えられたアルギニン量は、1つの実生当たり窒素5mgに相当した。根の平均キチン含有量は、図6およびTable2(表2)で見ることができる。値は、平均値±標準評価、n=6で示されている。
【0054】
【表2】
【0055】
この結果は、アルギニンを含む肥料によって、菌根形成を示す根内のキチン含有量がかなり高くなることを明らかに示している。
【0056】
[実施例4]
典型的な肥料の組成
【0057】
【表3】
【0058】
アルギニンおよび保存料を水に加え、溶解させ、続いて、濃縮HClを滴定することによりpHを調整した。最終的なpHを決定した後、最終的に体積1000lになるまで水で希釈した。
【0059】
【表4】
【0060】
まず、塩および保存料を水に溶解させ、次いで、Micro+(LMI AB, Swedenから入手可能な微量元素組成物)を加えた。続いて、アルギニンを溶解させ、pHをHCl水溶液(37%)で3.2に調整した。最後に、水を1000lになるまで加えた。
【0061】
[実施例5]
シロイヌナズナにおける窒素型に影響される生長およびバイオマス分配
シロイヌナズナ(Arabidposis thaliana)の植物を、無菌培養基中、種々の窒素供給源を追加した培地で21日間生長させた。全ての培地の総窒素濃度は6mMであり、他のマクロ養分およびミクロ養分は全て、各処理について同量を与えた。
【0062】
図7A、7BおよびTable 3(表5)のように、L-アミノ酸であるL-グルタミンを用いた試験から、根のバイオマスと窒素供給源として加えたL-グルタミンの量との間に、明らかで予想外の相関を見ることができる。さらに、L-アミノ酸を加えた場合、無機窒素のみを加えた場合と比較して高い根の割合を見ることができる(図7B)。このことは、図8BおよびTable4(表6)に見られるように、L-アミノ酸であるL-アスパラギンを加えた場合に非常に明白である。
【0063】
図7Aおよび8Aに見られるように、種々の窒素供給源で総バイオマスは等しいにもかかわらず、図7Bおよび8Bに見られるように、予想よりも根の割合が高くなることが注目され得る。
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物のバイオマス分配に影響を及ぼす肥料の使用に関する。より詳細には、この肥料により、根の生長、細根の発達を刺激し、根端数および菌根の発達を増大させることができる。したがって、本発明は、根の生長、細根の発達を刺激し、根端数および菌根の発達を増大させるための肥料の使用方法を提供する。さらに、本発明は、バイオマスの根の割合を調節するための肥料の使用方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
苗条と根との間の生長分配は、それによって植物がさまざまな環境条件に順応する主要プロセスである。窒素供給がこのプロセスの主要な決定因子であることは周知である。窒素供給量が多いと、地上部の生長の方が、地下構造体の生長に比べて刺激され、一方、窒素供給量が少ないと、根の生長が増強される(図1)。この窒素供給に対する分配の強い依存は、いくつもの植物種について、一連の種々の窒素添加率について実証されている。したがって、窒素供給によって植物の構造体が変化し、ゆえに風および干ばつなどのさまざまなストレスに対する植物の抵抗性が変化する。
【0003】
植物のバイオマス分配に対する窒素の影響についての概念によれば、N供給率が高くなると、植物は窒素を取り込む必要性、ゆえに根の生長の必要性が減ることを感知するが、炭素を取り込む必要性、ゆえに苗条の生長の必要性が増すことを感知する。この窒素および炭素の利用とバイオマス分配の単純な関係は、外部刺激により、また植物体内のショ糖およびグルタミンなどの重要な代謝産物のレベルを感知することにより、制御され得る。
【0004】
植物の栽培中に、養分、特に窒素を十分に供給することが、良好な生長に必須である。上記の通り、多量の養分によって、通常、地下部よりも地上部の生長がより刺激され、したがって、商業的に栽培された植物は、十分な養分が供給されているので、苗条の質量の割合が高くアンバランスであることが多い。しかし、根の質量の割合(root mass fraction)が高い植物が、根の質量の割合が低い植物よりも優位である場合はいくつもある。一般に、屋外に移植するために予備栽培した植物または挿し木で育てた植物は、移植後に効率的に定着できるように、根の質量の割合が高くあるべきである。したがって、後で移植するために植物または実生を予備栽培するような全ての状況において、根の質量の割合が高いことが、生長および定着に対する正の因子になる。
【0005】
上記のことにより、植物の効率的な栽培は、最適な植物分配様式と両立しないと結論付けることができる。栽培中の高い生長速度の必要性は、多量のNを適用することによってのみ実現し、それによって、今度は根の生長よりも苗条の生長が刺激され、したがって不均衡な分配が導かれる。理想的には、植物の栽培条件は、効率的な生長を可能にするが、それにもかかわらず根の質量の割合を高くすべきものである。これは現在の栽培方法では実現することができない。
【0006】
この10年の間、多くの研究により、有機窒素化合物、特にアミノ酸が、植物にとって重要な窒素供給源であることが示されている。これらの研究により、畑と研究室環境の両方で、菌根植物および非菌根植物を含む一連の種々の植物種について、さらには例えばコムギ、トウモロコシ、オオムギなどいくつもの作物についても、アミノ酸の取り込みが起こることが実証されている(Lipson and Nasholm 2001)。いくつかの研究により、吸収された有機窒素化合物が、根から取り込まれた後どのように代謝されるかが実証されており、またそのような供給源由来の窒素がどのようにタンパク質中に組み込まれるかも示されている。さらに、いくつもの研究により、植物が、有機窒素化合物を生長のために使用し得ることが実証されている。したがって、アミノ酸などの有機窒素化合物が、植物に対して窒素供給源として機能し得ることは現在広く受け入れられている。
【0007】
一般に、吸収後の全ての窒素型(すなわち、無機窒素型および有機窒素型)は代謝され、したがって、植物体内に共通の窒素プールが形成され、それは植物の生長に利用可能であると考えられている。したがって、この一般知識によると、植物の根から吸収された全ての窒素型が共通の窒素プールの一部になると思われ、それによって、植物の根から吸収された窒素の全ての型が、植物体内に均一に広がるはずである。
【0008】
RU2016510におけるin vitro研究から、アミノ酸の混合物を含有するタンパク質加水分解物が、水耕法のプロセスにおいてカルスの発根および植物の生長を刺激するために使用されていることが分かる。この特許では、植物の根の生長を刺激するために純粋な天然L-アミノ酸を使用することについては何も教示されていない。
【0009】
AU659115に、少なくとも2種のタンパク質分解酵素による酵素的消化によって産生した天然L-アミノ酸を含有する肥料の製造プロセスおよび使用が開示されている。AU659115では、取り込みを増強させるための養分として小分子(アミノ酸)を用いる利点のみが論じられている。植物の根の生長を刺激するために純粋な天然L-アミノ酸を使用することについては何も教示されていない。さらに、これら2つの特許では、肥料によって植物体全体の生長を刺激することも、菌根の同時発達についても何も教示されていない。
【0010】
EP1,284,945に、植物、特に針葉樹に適した肥料が開示されている。この肥料の有利な特徴は、実質的に定常であり、したがって環境への望ましくない窒素漏出が最小限になることである。この肥料の主要な窒素供給源は、L型の塩基性アミノ酸またはその塩、特にL-アルギニンである。この文献では、根の生長および菌根の発達への刺激に関しては全く触れられていない。
【0011】
したがって、植物体全体の生長を刺激することに加えて、根の生長および/または菌根の発達を刺激する能力を有する窒素含有肥料が依然として必要とされている。
【0012】
森林再生において、種々の植物種が、屋外に植えた際に生長が遅いまたは生長開始が遅れることが観察されている。
【0013】
さらに、高い根の質量の割合および多数の根端または細根が、これらの小植物が新しい生長環境に効率的に定着するのに役立つことが推測されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】RU2016510
【特許文献2】AU659115
【特許文献3】EP1,284,945
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Smith, S. E., and D. J. Read. 1997. Mycorrhizal symbiosis, 2nd Edition. Academic Press, New York, New York, USA.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
要約すると、植物体全体の生長を損なわずに、その植物における根の質量の割合、根、根端の数および細根の数を増大させるために使用することができる肥料が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
今驚くべきことに、植物体全体の生長を刺激することに加えて、根の生長ならびに菌根の発達を誘導および刺激できる肥料の提供が可能であることが示されている。
【0018】
本発明は、根の生長を刺激するための窒素供給源として天然L-アミノ酸を含むことを特徴とする肥料の使用方法を提供する。
【0019】
さらに、本発明は、菌根の発達を刺激するための窒素供給源として天然L-アミノ酸を含むことを特徴とする肥料の使用方法を提供する。
【0020】
本発明は、さらに、根の生長を刺激し、かつ/または菌根の発達を刺激するための主要窒素供給源としてL-グルタミン、L-アスパラギンおよびL-アルギニンの群から選択されるアミノ酸を含み、場合によって適切な保存料を一緒に含む、肥料の使用方法を提供する。
【0021】
さらに、根の生長を刺激し、かつ/または菌根の発達を刺激するための主要窒素供給源として天然L-アミノ酸を含む肥料の使用を開示する。
【0022】
さらに、根の生長を刺激し、かつ/または菌根の発達を刺激するための窒素供給源として、天然L-アミノ酸、特に、L-アルギニン、L-アスパラギンおよびL-グルタミンの群から選ばれる天然L-アミノ酸を含む肥料の使用を開示する。
【0023】
さらに、無機窒素も含む肥料の使用を開示する。
【0024】
さらに、L-アミノ酸は、L-アルギニン、L-アスパラギン、グリシン、L-グルタミン酸およびL-グルタミンの群から選ばれる。
【0025】
さらに、肥料中の窒素供給源の少なくとも30%(wt)、好ましくは肥料中の窒素供給源の少なくとも70%(wt)、好ましくは少なくとも85%(wt)、最も好ましくは少なくとも90%(wt)が、L-アミノ酸であり、他の窒素供給源が無機窒素化合物であり、それによりL-アミノ酸と無機窒素化合物との比に、根および苗条の生長の刺激が関連している肥料の使用を開示する。一部の例では、L-アミノ酸はL-アルギニンおよび/またはL-グルタミンである。
【0026】
バイオマスの根の割合を調節するための肥料の使用方法も開示する。
【0027】
さらに、窒素供給源としてL-アミノ酸の割合が高くなるほど、バイオマスの根の割合が高くなり、すなわち、使用する肥料中のL-アミノ酸が多くなると、屋外に移植した際に植物体にとって役立ち得る、根が多くなり、細根も多くなり、根端がさらに多くなることを開示する。
【0028】
さらに、適切な保存料も含有する、天然L-アミノ酸を含む肥料の使用を開示する。
【0029】
さらに、保存料が、安息香酸、酢酸、サリチル酸、プロピオン酸、ソルビン酸、クエン酸、またはその塩およびアレキシンプラス(alexin plus)などの保存料の群から選択される、天然L-アミノ酸を含む肥料の使用を開示する。
【0030】
さらに、固形または溶剤である、天然L-アミノ酸を含む肥料の使用を開示する。
【0031】
本発明は、根の生長を刺激するための主要窒素供給源としてL-グルタミン、L-アスパラギンおよびL-アルギニンの群から選択されるアミノ酸を含み、場合によって適切な保存料を一緒に含む肥料の使用方法も提供する。
【0032】
本発明は、天然アミノ酸を含む肥料も提供する。本発明の肥料に使用することができる天然アミノ酸は、グリシン、L-アラニン、L-バリン、L-ロイシン、L-イソロイシン、L-セリン、L-システイン、L-トレオニン、L-メチオニン、プロリン、L-アスパラギン酸、L-アスパラギン、L-グルタミン酸、L-グルタミン、L-リジン、L-アルギニン、L-ヒスチジン、L-フェニルアラニン、L-チロシンおよびL-トリプトファンである。好ましい実施形態において、アミノ酸は、グリシン、L-グルタミン酸、L-グルタミンおよびL-アルギニンの群から選ばれる。アミノ酸が、主要窒素供給源として、L-アルギニンおよびL-グルタミンの群から選ばれることが最も好ましい。肥料は、適切な保存料も含有する。
【0033】
好ましくは肥料中の窒素供給源の少なくとも30%(wt)、好ましくは肥料中の窒素供給源の少なくとも70%(wt)、好ましくは少なくとも85%(wt)、最も好ましくは少なくとも90%(wt)が、L-アルギニンおよび/またはL-グルタミンなどの天然アミノ酸である。
【0034】
さらに、この肥料の使用は、根および苗条の生長を同時に刺激するために、肥料が硝酸塩またはアンモニウムなどの無機窒素化合物も含むことを特徴とすることができる。
【0035】
さらに、無機窒素化合物の例は、硝酸塩、およびアンモニウムである。
【0036】
保存料は、安息香酸カリウム、などの安息香酸塩、酢酸、サリチル酸、プロピオン酸、ソルビン酸、クエン酸、およびアレキシンプラス(alexin plus)の群から選択されることが好ましい。安息香酸カリウムの典型的な濃度は、総計400〜3000ppm、好ましくは600〜2000ppm、最も好ましくは800〜1200ppmに達する。酢酸の典型的な濃度は、総計2000〜10000ppm、好ましくは4000〜8000ppm、最も好ましくは5000〜7000ppmに達する。サリチル酸の典型的な濃度は、総計250〜2000ppm、好ましくは500〜1500ppm、最も好ましくは800〜1200ppmに達する。プロピオン酸の典型的な濃度は、総計2000〜10000ppm、好ましくは4000〜8000ppm、最も好ましくは5000〜7000ppmに達する。ソルビン酸の典型的な濃度は、総計2500〜20000ppm、好ましくは5000〜15000ppm、最も好ましくは7500〜12500ppmに達する。アレキシンプラス(Alexin plus)(Citrox Ltd, United Kingdom)の典型的な濃度は、総計10000〜50000ppm、好ましくは20000〜40000ppm、最も好ましくは25000〜35000ppmに達する。
【0037】
肥料は、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、リン酸二水素カリウム、塩化カリウム、および微量元素の群から選択される追加成分を含有することが好ましく、微量元素は、Fe、Mn、Cu、Zn、BおよびMoの群から選択される。一般には、肥料は、2〜5%(wt)、好ましくは3〜4%(wt)の硫酸マグネシウム、1〜3%(wt)、好ましくは2〜3%(wt)の硫酸カリウム、好ましくは4〜5%(wt)のリン酸二水素カリウム、2〜5%(wt)、好ましくは3〜4%(wt)の塩化カリウムを含み得る。微量元素は、特別な微量元素組成物として加えることが好ましい。そのような組成物の例としては、LMI AB, Swedenから入手可能なMicro+がある。一般には、肥料中のMicro+の量は4〜5%(wt)である。
【0038】
ここで、添付の図を参照して本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】総バイオマスに対する苗条バイオマスの割合で表した植物のバイオマス分配に対する植物の窒素状態(生長に最適なN濃度の%)の影響を示すグラフである。A、BおよびCは、それぞれ、オウシュウトウヒ(Picea abies)、ロッジポールパイン(Pinus contorta)およびヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris)を用いた試験によるデータを参照している(Ingestad & Agren 1986より)。
【図2】シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の実生の、植物体全体および根で見られる、L-グルタミンおよび硝酸塩の取り込みによって生じた窒素含有量を示すグラフである。このグラフは、吸収されたL-グルタミンが根の生長に優先的に使用されていることを示している。
【図3】L-アルギニンの取り込みによって生じた窒素の分配を表すグラフである。3mMの硝酸塩で生長した植物に、少量(30μM)のN-15標識L-アルギニンを与えた。21日間栽培した後、植物を採取して根および苗条を分離し、続いてそれらについてN-15含有量を分析した。植物体の2種の部分内の、過剰原子%として表したN-15の量により、L-アルギニン由来の窒素が根の生長に優先的に使用されることが示されている。
【図4A】シロイヌナズナ植物のバイオマスおよび硝酸アンモニウムまたはL-グルタミンと硝酸塩のいずれかで栽培した植物の根および苗条に対するバイオマス分配(4A)を示すグラフである。
【図4B】シロイヌナズナ植物の硝酸アンモニウムまたはL-グルタミンと硝酸塩のいずれかで栽培した植物の根の質量の割合(4B)を示すグラフである。
【図5A】ヤマナラシ(Populus)植物のバイオマスおよび硝酸アンモニウムまたはL-グルタミンと硝酸塩のいずれかで栽培した植物の根および苗条に対するバイオマス分配(5A)を表すグラフである。
【図5B】ヤマナラシ(Populus)植物の硝酸アンモニウムまたはL-グルタミンと硝酸塩のいずれかで栽培した植物の根の質量の割合(5B)を表すグラフである。
【図6】ヨーロッパアカマツの根のキチン含有量を表すグラフである。植物を、窒素供給源としてアンモニウムと硝酸塩の混合物を用いて栽培したか(参照)、アンモニウムと硝酸塩を用いて栽培したが、秋に行う最終の施肥イベント後にアルギニンを与えたか(アルギニン投入)、または生長期を通して、唯一の窒素供給源としてアルギニンを用いて栽培した(アルギニン栽培)。キチンは、真菌の細胞壁の一部であり、したがって、全根系における菌根の割合を示す。
【図7A】種々の比率のL-グルタミン(Gln)の、総バイオマス生産量に対する影響(図7A)を表すグラフである。
【図7B】種々の比率のL-グルタミン(Gln)の、根の生産量に対する影響(図7B)を表すグラフである。
【図8A】L-アスパラギン(Asn)の、総バイオマス生産量に対する影響(図8A)を表すグラフである。
【図8B】L-アスパラギン(Asn)の、根の生産量に対する影響(図8B)を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
一連の実験を通して、本発明者らは、有機窒素型と無機窒素型の混合物を与えた植物において、これらの異なる型由来の窒素は不均一に分配され、これにより、植物体の他の部分よりも根において、有機窒素型由来の植物窒素がより高い率で見られることを発見した。図2に、小型のシロイヌナズナ植物に、アンモニウムと硝酸塩の混合物またはL-グルタミンと硝酸塩の混合物のいずれかを与えた実験から得られた結果を示す。図2は、植物全体について、約50%の窒素がL-グルタミンの取り込みに由来するが、これに対して根の窒素の約75%がこの窒素型由来であることを示している。逆に、植物全体の窒素の約45%は硝酸塩の取り込みに由来するが、これに対して根の窒素はたった約25%だけがこの窒素型の取り込みに由来する。同様に、シロイヌナズナ植物を硝酸塩で栽培し、ほんの少量のL-アルギニンを培養基に加えた場合(図3)、根において、苗条と比較して高割合のL-アルギニン由来窒素が見られた。したがって、これらの試験により、複数の窒素型の混合物を与えた植物では、根の生長のために有機窒素が主に使用されることが示されている。
【0041】
驚いたことに、我々は、有機窒素型と無機窒素型の混合物(この場合、L-グルタミンと硝酸塩)を与えたシロイヌナズナ植物の根の生長は、アンモニウムと硝酸塩の混合物で得られた植物の根の生長と比較して容易に刺激されることを見出した(図4Aおよび4B)。第二の実験において、異なる窒素供給源の混合物の影響をヤマナラシの実生で試験した(図5Aおよび5B)。シロイヌナズナに関しては、アンモニウムと硝酸塩を与えた植物と比較して、L-グルタミンと硝酸塩を与えた植物において、根の質量の割合の有意な増大が見られた。これらのデータによると、無機窒素型のみを与えた植物と比較して、有機窒素型と無機窒素型の混合物を与えた植物において、植物の生長が同様またはより良好であった。同時に、有機窒素型と無機窒素型の混合物を与えた植物では根の質量の割合が有意に高かった。このことは、同等またはより良好な生長において、植物を有機窒素または無機窒素と有機窒素の混合物で栽培することで、無機窒素のみを与えた植物の場合と比較して、より高い根の質量の割合が得られることを示している。
【0042】
本発明は、植物の栽培中に特定のアミノ酸を肥料として使用することで、根に対する植物のバイオマス分配を調整する可能性に関する。したがって、特定のアミノ酸が、肥料中の窒素の主要部分を形成する混合物を使用して、植物の根の生長を特異的に高め、そのようにして、産生した植物の根の質量の割合を上昇させることができる。したがって、無機窒素型が優位である混合物は、植物の苗条の質量の割合を特異的に上昇させるために使用することができる。
【0043】
多くの植物は、菌根と呼ばれる真菌との共生体を形成する。菌根は、大量の養分を与えられた植物においては発達が不十分になることが周知である(Smith, S. E., and D. J. Read. 1997. Mycorrhizal symbiosis, 2nd Edition. Academic Press, New York, New York, USA.)。菌根は植物にとって有益であり、植物のミネラル養分および水の取り込みを促進すること、ならびに植物をさまざまな病原から保護することが知られている。したがって、菌根が形成される自然条件下で植物を栽培することにより、そのような共生体の形成が可能になるはずである。しかし、上記の通り、養分を高率で添加すると、栽培植物において菌根の発達を激しく妨げる可能性があるか、菌根が発達できない可能性がある。
【0044】
菌根を形成する真菌種のいくつかは、食用の子実体(キノコ)を形成することも知られている。しかし、子実体の産生も、養分を高率で添加すると、すなわち、植物の生長を刺激するための条件を用いると、妨げられる。
【0045】
上記の、効率的な植物の栽培と菌根および食用キノコの同時発達との明らかな矛盾は、肥料への大量の窒素の添加次第でかなりの程度になる。
【0046】
さらに、根端の数および細根の数が、小植物が移植後の最初の期間を生き残るために役立つくらいの高レベルまで増大したことは全く予想外であった。
【0047】
実施例は、2種以上ではなく、1種のアミノ酸の使用に関する。肥料はin vitroでの使用および切花への使用は企図していない。
【0048】
それ故に、理想的な肥料は、植物の生長だけでなく、共生する真菌の菌根形成も刺激するべきである。さらに、理想的な肥料は、真菌子実体の産生も可能にするべきである。驚いたことに、我々は、アミノ酸で栽培した植物において、高度な生長と菌根の力強い発達の両方が見られることを発見した。菌根形成に対する刺激は、アミノ酸で育てた植物と無機窒素供給源(アンモニウムと硝酸塩)で育てたが、後でアミノ酸を与えた植物の両方で見られた。
【0049】
肥料は、少なくとも5%(wt)、少なくとも10%(wt)、少なくとも15%(wt)、少なくとも20% (wt)、少なくとも25%(wt)、少なくとも30%(wt)、少なくとも35%(wt)、少なくとも40(wt)、少なくとも45%(wt)、少なくとも50%(wt)、少なくとも55%(wt)、少なくとも60%(wt)、少なくとも65%(wt)、少なくとも70%(wt)、少なくとも75%(wt)、少なくとも80%(wt)、少なくとも85%(wt)、少なくとも90%(wt)、または少なくとも95%(wt)の窒素供給源を含むことができ、それはL-アミノ酸であり、L-アルギニンおよび/またはL-グルタミンであることが好ましい。
【実施例】
【0050】
(実験工程)
[実施例1]
シロイヌナズナにおけるアルギニン-窒素の分配
野生型のシロイヌナズナを用いて、3mMの硝酸塩および30μMのU-15N(>98% 15N)L-Argを追加し、3.6mMのMES(2N-モルホリノエタンスルホン酸)でpH5.8に緩衝させた、0.65%w/vの寒天(植物寒天、Duchefa Biochemie)、0.5%w/vのショ糖を有する、半分に薄めたムラシゲ・スクーグ(MS)培地(Murashige and Skoog, 1962)を含有する無菌寒天プレートにおいて実験を行った。植物を19日間生長させ、植物体20個を採取し、4つの同じ物の群(replicate)に分けた(すなわち、各群は植物体5個からなる)。苗条と根を分離し、根を、0.5mMのCaCl2溶液中で3回、徹底的にすすいできれいにし、表面から付着化合物を取り除いた。苗条および根を、60℃で一晩中乾燥させ、計量し、ホモジナイズした。最後に、安定同位体比質量分析装置(Europe Scientific Isotope Ratio Mass Spectrometer)を用いて試料を分析して総N含有量および総15N含有量を決定した。結果を図3に表す。
【0051】
[実施例2]
シロイヌナズナおよびヤマナラシにおけるバイオマスおよびグルタミン-Nの分配
野生型のシロイヌナズナを用いて、無菌寒天プレートにおいて分配試験を行った。また、ヤマナラシの場合は、等量の、窒素を含まない、0.8%w/vの寒天(植物寒天、Duchefa Biochemie)および0.5%w/vのショ糖を有し、MES緩衝液を用いてpHを5.8にした、半分に薄めたムラシゲ・スクーグ(MS)培地(Murashige and Skoog, 1962)を含有するプラスチックの箱において分配試験を行った。窒素を、NH4+とNO3-の等モル混合物として、またはL-GlnとNO3-それぞれの50%に相当する等モル混合物としてのいずれかで、どちらの混合物の場合も3mMのNに相当する総添加率で寒天に加えた。4つの標識化処理、すなわち、各N混合物に対して2つずつの標識化処理を行った。したがって、NH4NO3混合物を含むプレートの半分は標識NH4+を含有し、他の半分は標識NO3-を含有した。同様に、L-Gln:NO3-混合物を含むプレートの半分は標識L-Glnを含有し、他の半分は標識NO3-を含有した。それぞれを標識化処理するために、N供給源の1%を15Nとして投与した。無菌ろ過したL-Glnを、オートクレーブ後に寒天混合物に加えた。シロイヌナズナ植物を生長させ21日後に採取し、ヤマナラシ植物を生長させ28日後に採取した。苗条および根を60℃で一晩中乾燥させ、計量し、ホモジナイズした。最後に、安定同位体比質量分析装置(Europe Scientific Isotope Ratio Mass Spectrometer)を用いて試料を分析して総N含有量および総15N含有量を決定した。異なる植物体部分(すなわち、苗条と根)における、2種のN供給源のいずれか由来のN量を、過剰原子%15Nおよび植物体部分それぞれの総N含有量の値から計算した。2種の異なるN混合物から得た植物の根の割合を、根に存在する総植物バイオマスの百分率として計算した。シロイヌナズナについての結果を図4に表し、ヤマナラシについての結果を図5に表す。
【0052】
【表1】
【0053】
[実施例3]
ヨーロッパアカマツの菌根の評価
北スウェーデンにおいて、植物を1生長期間中、屋外で栽培した。窒素供給源として硝酸アンモニウムまたはアルギニンのいずれかを含む複合養分溶剤を植物に与えた。アルギニン栽培の実生には、生長期間中、週に1回施肥し(実生ごとに総計50mgのN)、一方、参照植物には、週に2〜3回施肥した(実生ごとに総計71.5mgのN)。アルギニン投与の実生に対しては、初秋の最終施肥イベントの後にもアルギニンのパルスを受けさせたことを除いて、参照植物と同じ処理をした。このパルスで与えられたアルギニン量は、1つの実生当たり窒素5mgに相当した。根の平均キチン含有量は、図6およびTable2(表2)で見ることができる。値は、平均値±標準評価、n=6で示されている。
【0054】
【表2】
【0055】
この結果は、アルギニンを含む肥料によって、菌根形成を示す根内のキチン含有量がかなり高くなることを明らかに示している。
【0056】
[実施例4]
典型的な肥料の組成
【0057】
【表3】
【0058】
アルギニンおよび保存料を水に加え、溶解させ、続いて、濃縮HClを滴定することによりpHを調整した。最終的なpHを決定した後、最終的に体積1000lになるまで水で希釈した。
【0059】
【表4】
【0060】
まず、塩および保存料を水に溶解させ、次いで、Micro+(LMI AB, Swedenから入手可能な微量元素組成物)を加えた。続いて、アルギニンを溶解させ、pHをHCl水溶液(37%)で3.2に調整した。最後に、水を1000lになるまで加えた。
【0061】
[実施例5]
シロイヌナズナにおける窒素型に影響される生長およびバイオマス分配
シロイヌナズナ(Arabidposis thaliana)の植物を、無菌培養基中、種々の窒素供給源を追加した培地で21日間生長させた。全ての培地の総窒素濃度は6mMであり、他のマクロ養分およびミクロ養分は全て、各処理について同量を与えた。
【0062】
図7A、7BおよびTable 3(表5)のように、L-アミノ酸であるL-グルタミンを用いた試験から、根のバイオマスと窒素供給源として加えたL-グルタミンの量との間に、明らかで予想外の相関を見ることができる。さらに、L-アミノ酸を加えた場合、無機窒素のみを加えた場合と比較して高い根の割合を見ることができる(図7B)。このことは、図8BおよびTable4(表6)に見られるように、L-アミノ酸であるL-アスパラギンを加えた場合に非常に明白である。
【0063】
図7Aおよび8Aに見られるように、種々の窒素供給源で総バイオマスは等しいにもかかわらず、図7Bおよび8Bに見られるように、予想よりも根の割合が高くなることが注目され得る。
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
根の生長を刺激するための窒素供給源として天然L-アミノ酸を含むことを特徴とする肥料の使用。
【請求項2】
菌根の発達を刺激するための窒素供給源として天然L-アミノ酸を含むことを特徴とする肥料の使用。
【請求項3】
根の生長および/または菌根の発達を刺激するための窒素供給源としての天然L-アミノ酸が、L-アルギニン、L-アスパラギン、およびL-グルタミンの群から選ばれることを特徴とする、請求項1から2のいずれか一項に記載の肥料の使用。
【請求項4】
肥料が、硝酸塩またはアンモニウムなどの無機窒素化合物も含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の肥料の使用。
【請求項5】
肥料中の窒素供給源の少なくとも30%(wt)、好ましくは肥料中の窒素供給源の少なくとも70%(wt)、好ましくは少なくとも85%(wt)、最も好ましくは少なくとも90%(wt)が、L-アミノ酸であり、他の窒素供給源が無機窒素含有化合物であり、それによりL-アミノ酸と無機窒素含有化合物との比に対して、根および苗条の生長の刺激が関連していることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の肥料の使用。
【請求項6】
L-アミノ酸が、L-アルギニン、L-アスパラギン、グリシン、L-グルタミン酸およびL-グルタミンの群から選ばれることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の肥料の使用。
【請求項7】
肥料が、適切な保存料をも含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の天然L-アミノ酸を含む肥料の使用。
【請求項8】
保存料が、安息香酸カリウムなどの安息香酸塩、酢酸、サリチル酸、プロピオン酸、ソルビン酸、クエン酸、およびアレキシンプラス(alexin plus)の群から選択されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の天然L-アミノ酸を含む肥料の使用。
【請求項9】
肥料が固形であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の天然L-アミノ酸を含む肥料の使用。
【請求項10】
肥料が溶剤であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の天然L-アミノ酸を含む肥料の使用。
【請求項1】
根の生長を刺激するための窒素供給源として天然L-アミノ酸を含むことを特徴とする肥料の使用。
【請求項2】
菌根の発達を刺激するための窒素供給源として天然L-アミノ酸を含むことを特徴とする肥料の使用。
【請求項3】
根の生長および/または菌根の発達を刺激するための窒素供給源としての天然L-アミノ酸が、L-アルギニン、L-アスパラギン、およびL-グルタミンの群から選ばれることを特徴とする、請求項1から2のいずれか一項に記載の肥料の使用。
【請求項4】
肥料が、硝酸塩またはアンモニウムなどの無機窒素化合物も含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の肥料の使用。
【請求項5】
肥料中の窒素供給源の少なくとも30%(wt)、好ましくは肥料中の窒素供給源の少なくとも70%(wt)、好ましくは少なくとも85%(wt)、最も好ましくは少なくとも90%(wt)が、L-アミノ酸であり、他の窒素供給源が無機窒素含有化合物であり、それによりL-アミノ酸と無機窒素含有化合物との比に対して、根および苗条の生長の刺激が関連していることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の肥料の使用。
【請求項6】
L-アミノ酸が、L-アルギニン、L-アスパラギン、グリシン、L-グルタミン酸およびL-グルタミンの群から選ばれることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の肥料の使用。
【請求項7】
肥料が、適切な保存料をも含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の天然L-アミノ酸を含む肥料の使用。
【請求項8】
保存料が、安息香酸カリウムなどの安息香酸塩、酢酸、サリチル酸、プロピオン酸、ソルビン酸、クエン酸、およびアレキシンプラス(alexin plus)の群から選択されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の天然L-アミノ酸を含む肥料の使用。
【請求項9】
肥料が固形であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の天然L-アミノ酸を含む肥料の使用。
【請求項10】
肥料が溶剤であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の天然L-アミノ酸を含む肥料の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【公表番号】特表2011−507788(P2011−507788A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539389(P2010−539389)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【国際出願番号】PCT/SE2008/051537
【国際公開番号】WO2009/082351
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(509159171)スヴェトリー・テクノロジーズ・アーベー (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【国際出願番号】PCT/SE2008/051537
【国際公開番号】WO2009/082351
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(509159171)スヴェトリー・テクノロジーズ・アーベー (6)
【Fターム(参考)】
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