根固用ブロック、根固用ブロック群及び根固め方法
【課題】 根固め効果の信頼性が高く、施工効率の良い根固用ブロックを提供する。
【解決手段】 川床6と川岸7とを掘削したスペースに設置された護岸ブロック21と川床6との間の根固め部分には、プレキャストコンクリートよりなる根固用ブロック10が設置されている。根固用ブロック10は、掘削後に残る、護岸ブロック21と川床6との間の断面が逆台形形状の根固め部分を塞ぐ形状の一対の控壁41と、控壁41に接続され、護岸ブロック21に対向する川床6の側面に沿う形状の第1側壁42と、控壁41に接続され、護岸ブロック21の外面に沿う形状の第2側壁43とから構成されている。そして、根固用ブロック10の内部には複数の割石28が投入されている。根固用ブロック10はこのように構成されているため、設置するだけで断面状態において根固め部分全体が塞がれる。従って、施工効率が向上すると共に、根固め効果の信頼性が向上する。
【解決手段】 川床6と川岸7とを掘削したスペースに設置された護岸ブロック21と川床6との間の根固め部分には、プレキャストコンクリートよりなる根固用ブロック10が設置されている。根固用ブロック10は、掘削後に残る、護岸ブロック21と川床6との間の断面が逆台形形状の根固め部分を塞ぐ形状の一対の控壁41と、控壁41に接続され、護岸ブロック21に対向する川床6の側面に沿う形状の第1側壁42と、控壁41に接続され、護岸ブロック21の外面に沿う形状の第2側壁43とから構成されている。そして、根固用ブロック10の内部には複数の割石28が投入されている。根固用ブロック10はこのように構成されているため、設置するだけで断面状態において根固め部分全体が塞がれる。従って、施工効率が向上すると共に、根固め効果の信頼性が向上する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は根固用ブロック、根固用ブロック群及び根固め方法に関し、特に、河川護岸工事の根固めに用いられる根固用ブロック、根固用ブロック群及び根固め方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図17は従来の河川護岸を示す概略断面図である。
【0003】
図を参照して、河川の川床6と川岸7とを掘削したスペースに護岸ブロック21が設置されている。護岸ブロック21は複数積み重ねるように設置されており、その法尻部(下部)には基礎コンクリート31が基礎砕石や均しコンクリート32を介して設置されている。又、護岸ブロック21の後方側には裏打コンクリート24が設置されており、更に裏打コンクリート24の後方側には裏込砕石25が設置されている。そして、掘削された川床6の側面と護岸ブロック21との間の、断面視が逆台形断面形状の部分には、埋戻し土34が締固められた状態で設置されている。
【0004】
このような河川護岸においては、埋戻し土34は締固められた状態になっているが、元の地盤に比べると緩い状態となっているため、流水や水流、濁流などによって徐々に洗掘されてしまう。従って、護岸ブロック21が崩壊する虞がある。そのため、例えば布団籠による根固め等、種々の河川護岸の根固め方法が提案されている。
【0005】
図18は布団籠によって根固めされた河川護岸を示す概略断面図である。
【0006】
尚、説明に当たっては、基本的には図17で示したものと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0007】
図を参照して、この河川護岸にあっては、埋戻し土34の上方部分に、割石等が投入された布団籠81が設置されている。そして、布団籠81内に設置された割石等は、河川によって洗掘される虞が無いため、川床6と護岸ブロック21との間の掘削した部分が洗掘される虞が低減する。従って、布団籠81が護岸ブロック21の根固めとなるため、護岸ブロック21の崩壊が防止される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような従来の根固め方法では、それなりの効果はあるが、護岸ブロックを確実に保護するものとはなっていなかった。即ち、布団籠部分を除く埋戻し土の上方部分が河川に直接接してしまうため、この部分が洗掘されてしまい、護岸ブロックを崩壊させる虞が有った。
【0009】
そして、根固め効果を向上させるべく、護岸ブロックと川床の側面との間にブロックや捨石等を敷き詰める方法も提案されているが、これらの方法は手間が掛かるものであり、施工効率の悪いものであった。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、根固め効果の信頼性が高く、施工効率の良い根固用ブロック、根固用ブロック群及び根固め方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、河川護岸工事の根固めに用いられる根固用ブロックであって、プレキャストコンクリートよりなり、掘削後に残る、護岸ブロックと川床との間の断面が逆台形形状の根固め部分を塞ぐ形状を有する控壁と、控壁に接続され、護岸ブロックに対向する川床の側面に沿う形状を有する第1側壁とを備えたものである。
【0012】
このように構成すると、根固用ブロックを設置するだけで、断面視において根固め部分が塞がれる。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、控壁に接続され、側面に対向する護岸ブロックの外面に沿う形状を有する第2側壁を更に備えたものである。
【0014】
このように構成すると、根固用ブロックは護岸ブロックに対して面で接する。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、控壁は、一対設けられるものである。
【0016】
このように構成すると、根固用ブロックの強度が向上する。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、根固用ブロックを構成する部分には、貫通穴が形成されるものである。
【0018】
このように構成すると、魚類等の水中生物が生息しやすくなる。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の構成において、第1側壁の上辺の一部が切り欠かれるものである。
【0020】
このように構成すると、魚類等の水中生物が生息しやすくなる。
【0021】
請求項6記載の発明は、河川護岸工事の根固めに用いられる根固用ブロック群であって、プレキャストコンクリートよりなり、掘削後に残る、護岸ブロックと川床との間の断面視が逆台形断面形状の根固め部分であって、護岸ブロック側のスペースを断面視の少なくとも一部で塞ぐ形状を有する第1根固用ブロックと、根固め部分であって、護岸ブロックに対向する川床の側面側のスペースを断面視の少なくとも一部で塞ぐ形状を有する第2根固用ブロックとを備えたものである。
【0022】
このように構成すると、根固め部分が広い場合でも根固用ブロックの各々がコンパクトになる。
【0023】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の構成において、根固め部分であって、第1根固用ブロックの設置と第2根固用ブロックの設置との間に生じたスペースを断面視の少なくとも一部で塞ぐ第3根固用ブロックを更に備えたものである。
【0024】
このように構成すると、根固め部分が更に広い場合でも容易に対応出来る。
【0025】
請求項8記載の発明は、河川護岸工事の根固め方法であって、河川の川床及び川岸を掘削する工程と、掘削された川岸に沿って護岸ブロックを設置する工程と、掘削された川床と護岸ブロックとの間の断面視が逆台形断面形状の根固め部分に、これを断面視の少なくとも一部で塞ぐ形状のコンクリートブロックを設置する工程と、設置されたコンクリートブロックの内部に割石を投入する工程とを備えたものである。
【0026】
このように構成すると、根固め部分の断面視の少なくとも一部がコンクリートブロックによって塞がれる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、根固用ブロックを設置するだけで、断面視において根固め部分が塞がれるため、施工効率が向上し、根固め効果の信頼性が向上する。
【0028】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、根固用ブロックは護岸ブロックに対して面で接するため、設置状態がより安定する。
【0029】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、根固用ブロックの強度が向上するため、設置状態の信頼性が向上する。
【0030】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、魚類等の水中生物が生息しやすくなるため、環境にやさしい構造となる。
【0031】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、魚類等の水中生物が生息しやすくなるため、環境にやさしい構造となる。
【0032】
請求項6記載の発明は、根固め部分が広い場合でも根固用ブロックの各々がコンパクトになるため、設置効率が向上し、根固め部分が広い場合でも対応出来る。
【0033】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の効果に加えて、根固め部分が更に広い場合でも容易に対応出来るため、使い勝手が向上する。
【0034】
請求項8記載の発明は、根固め部分の断面視の少なくとも一部がコンクリートブロックによって塞がれるため、護岸工事の工期が短縮化され、根固め効果の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の第1の実施の形態による根固用ブロックを用いた河川護岸を示す概略断面図である。
【図2】図1で示した根固用ブロックの斜視図である。
【図3】図1で示した根固用ブロックを長手方向に複数並べた斜視図である。
【図4】図1で示した根固用ブロックを用いた河川護岸工事の根固め方法の手順を示した概略工程図である。
【図5】この発明の第2の実施の形態による根固用ブロックを用いた河川護岸を示す概略断面図である。
【図6】図5で示した根固用ブロックの斜視図である。
【図7】図5で示した根固用ブロックを長手方向に複数並べた斜視図である。
【図8】この発明の第3の実施の形態による根固用ブロックの斜視図である。
【図9】図8で示した根固用ブロックを長手方向に複数並べた斜視図である。
【図10】第1の根固用ブロック群を用いた河川護岸を示す概略断面図である。
【図11】第4の実施の形態による根固用ブロックの斜視図である。
【図12】図10で示した第1の根固用ブロック群の斜視図である。
【図13】第2の根固用ブロック群を用いた河川護岸を示す概略断面図である。
【図14】第5の実施の形態による根固用ブロックの斜視図である。
【図15】第6の実施の形態による根固用ブロックの斜視図である。
【図16】図1で示した根固用ブロックを用いた既設河川護岸の根固め方法の手順を示した概略工程図である。
【図17】従来の河川護岸を示す概略断面図である。
【図18】従来の他の河川護岸を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1はこの発明の第1の実施の形態による根固用ブロックを用いた河川護岸を示す概略断面図であり、図2は図1で示した根固用ブロックの斜視図であり、図3は図1で示した根固用ブロックを長手方向に複数並べた斜視図である。
【0037】
まず、図1を参照して、河川の川床6と川岸7とを掘削したスペースに複数の護岸ブロック21が設置されている。護岸ブロック21は上下及び左右(図の紙面を直交する方向)に複数積み重ねるように設置されており、その法尻部には基礎コンクリート31が基礎砕石や均しコンクリート32を介して設置されている。又、護岸ブロック21の後方側には裏打コンクリート24が設置されており、更に裏打コンクリート24の後方側には裏込砕石25が設置されている。そして、護岸ブロック21と川床6との間の根固め部分には、プレキャストコンクリートよりなる根固用ブロック10と、根固用ブロック10の下部に設置された埋戻し土35とが配置されている。尚、上述した護岸ブロック21及び根固用ブロック10等は、河川における両岸又は片岸において設置されている。
【0038】
次に、根固用ブロック10の形状について説明する。
【0039】
図1及び図2を参照して、根固用ブロック10は、上述した掘削後に残る、護岸ブロック21と川床6との間の断面が逆台形形状の根固め部分を塞ぐ形状の一対の控壁41a、41bと、控壁41a、41bに接続され、護岸ブロック21に対向する川床6の側面に沿う形状の第1側壁42と、控壁41a、41bに接続され、護岸ブロック21の外面に沿う形状の第2側壁43とから構成されている。又、控壁41a、41bの各々には、その中央部に貫通穴46が形成されている。そして、このように形成された根固用ブロック10は、図1で示す設置状態において、その内部に複数の割石28が投入されている。
【0040】
そして、根固用ブロック10はプレキャストコンクリートによって、このように構成されているため、設置するだけで、図1で示す断面状態において根固め部分全体が塞がれる。従って、施工効率が向上すると共に、その内部に投入された割石28によって重量的に安定する。又、割石28は、控壁41a、41bによって長手方向が仕切られているため、不用意に移動する虞が無いので、護岸ブロック21に対する根固め効果の信頼性が向上する。
【0041】
又、根固用ブロック10は第2側壁43を備えているため、設置状態において護岸ブロック21に対して面で接することになる。従って、根固用ブロック10の設置状態がより安定する。
【0042】
更に、根固用ブロック10は一対の控壁41a、41bを備えているため、根固用ブロック10全体の強度が向上する。従って、根固用ブロック10の設置状態の信頼性が向上する。
【0043】
更に、控壁41a、41bの中央部には貫通穴46が形成されているため、魚類等の水中生物が貫通穴46を通って移動することが出来る。従って、設置状態において魚類等の水中生物が生息しやすくなるため、環境にやさしい構造となる。
【0044】
次に、図3を参照して、図2で示した根固用ブロック10a〜10cは、図1で示す設置状態においては、長手方向(図1の紙面を直交する方向)に複数並べて設置されている。即ち、根固用ブロック10a〜10cの第1側壁42a〜42cを長手方向に整列させると共に、第2側壁43a〜43cを長手方向に整列させて並べる。すると、河川に応じた長手方向に長い根固め部分においても容易に対応することが出来る。
【0045】
次に、このような根固用ブロック10を用いた河川護岸工事の根固め方法について説明する。
【0046】
図4は図1で示した根固用ブロックを用いた河川護岸工事の根固め方法の手順を示した概略工程図である。
【0047】
まず(1)を参照して、河川の水を堰き止めた状態で、川床6及び川岸7の斜線で示す部分を掘削する。
【0048】
次に(2)を参照して、掘削された部分の表面を整形し、下部に基礎砕石や均しコンクリート32を介して基礎コンクリート31を設置する。
【0049】
次に(3)を参照して、基礎コンクリート31上に護岸ブロック21aを自重によって自立するように設置する。そして、設置された護岸ブロック21aの後方側に、図示しないスペーサーを介して型枠29aを設置し、更にその後方側に裏込砕石25aを護岸ブロック21aの高さの半分の位置まで投入して転圧する。その後、護岸ブロック21aと型枠29aとの間のスペースに裏打コンクリート24aを裏込砕石25aの高さまで投入し、裏打コンクリート24aが硬化する前に型枠29aを取り外す。
【0050】
次に(4)を参照して、裏打コンクリート24aが硬化した後、護岸ブロック21a上に護岸ブロック21bを自重によって自立するように設置する。その後、護岸ブロック21aと同様に、護岸ブロック21bの後方側に型枠29bを設置し、更にその後方側に裏込砕石25bを護岸ブロック21bの高さの半分の位置まで投入して転圧する。その後、護岸ブロック21a、21bと型枠29bとの間のスペースに裏打コンクリート24bを裏込砕石25bの高さまで投入し、型枠29bを取り外して裏打コンクリート24bを硬化させる。
【0051】
次に(5)を参照して、護岸ブロック21a、21bが設置された途中の状態で、掘削された川床6と護岸ブロック21a、21bとの間の断面が逆台形断面形状の根固め部分の下方部分に、埋戻し土35を投入してこれを締固める。その後、埋戻し土35上の根固め部分に、図1で示したプレキャストコンクリートよりなる根固用ブロック10を設置する。根固用ブロック10の形状は、埋戻し土35を除く逆台形断面形状の根固め部分に合致するため、設置作業は極めて容易となる。
【0052】
次に(6)を参照して、設置された根固用ブロック10の内部全体に複数の割石28を投入する。その後、(4)で示した手順を繰り返すと、護岸ブロック21が川岸7の上端まで積み上げられる。即ち、図1で示した設置状態となり、河川護岸工事の根固めが完了する。
【0053】
このように、根固用ブロック10を設置し、内部に複数の割石28を投入するだけで根固めが完了するため、河川護岸工事の工期が短縮化されると共に、根固め効果の信頼性が向上する。
【0054】
図5はこの発明の第2の実施の形態による根固用ブロックを用いた河川護岸を示す概略断面図であり、図6は図5で示した根固用ブロックの斜視図であり、図7は図5で示した根固用ブロックを長手方向に複数並べた斜視図である。
【0055】
尚、説明に当たっては、基本的には第1の実施の形態によるものと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0056】
これらの図を参照して、この実施の形態による根固用ブロック11にあっては、第2側壁を有していない。そして、設置状態においては、控壁41a、41bにおける第1側壁42と反対側の部分が護岸ブロック21に接するように設置されている。そのため、根固め効果に影響を及ぼすこと無く、根固用ブロック11の全体のコンクリート量が削減されるため、コスト的に有利な根固用ブロック11となる。
【0057】
尚、図5で示す設置状態においては、第1の実施の形態と同様に、図7で示すように根固用ブロック11a〜11cが長手方向に整列して並べられている。
【0058】
図8はこの発明の第3の実施の形態による根固用ブロックの斜視図であり、図9は図8で示した根固用ブロックを長手方向に複数並べた斜視図である。
【0059】
尚、説明に当たっては、基本的には第1の実施の形態によるものと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0060】
これらの図を参照して、この実施の形態による根固用ブロック12にあっては、第2側壁44の形状が異なっている。即ち、第2側壁44は控壁41a、41bの間にのみ設けられている。従って、設置状態においては、第2側壁44が護岸ブロックに面で接するにも関わらず、図1で示した根固用ブロック10と比較して、全体のコンクリート量が削減されている。従って、コスト的に有利な根固用ブロック12となる。
【0061】
更に、根固用ブロック12にあっては、第1側壁42の上辺の一部に切り欠き48が形成されている。そのため、魚類等の水中生物が切り欠き48を通って移動することが出来る。従って、魚類等の水中生物が生息しやすくなるため、環境にやさしい構造となる。
【0062】
尚、設置状態においては、第1の実施の形態と同様に、図9で示すように根固用ブロック12a〜12cが長手方向に整列して並べられている。
【0063】
図10は第1の根固用ブロック群を用いた河川護岸を示す概略断面図であり、図11は第4の実施の形態による根固用ブロックの斜視図であり、図12は図10で示した第1の根固用ブロック群の斜視図である。
【0064】
これらの図を参照して、護岸ブロック21と川床6との間の根固め部分に設置された根固用ブロック群18は、根固め部分の護岸ブロック21側に設置された、第1根固用ブロックである、図8で示した根固用ブロック12と、根固め部分の川床6側に設置された、第2根固用ブロックである根固用ブロック13と、根固用ブロック12と根固用ブロック13との間に設置された、第3根固用ブロックである根固用ブロック13と同一形状の根固用ブロック14とから構成されている。そして、根固用ブロック12〜14の各々の内部には割石28が投入されると共に、各々の下部には埋戻し土35が締固められた状態で設置されている。
【0065】
次に、根固用ブロック13の形状について説明するが、基本的には第2の実施の形態による根固用ブロックと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0066】
根固用ブロック13においては、控壁41a、41bの形状が異なっている。即ち、控壁41a、41bの第1側壁42側の側辺と、これに対向する側辺とが平行状態となっている。尚、上述した通り、根固用ブロック14は根固用ブロック13と同一形状に形成されている。
【0067】
従って、図12で示すように、長手方向に整列した根固用ブロック12a〜12cの後方側に根固用ブロック14a〜14cを隙間無く設置することが出来る。更に、根固用ブロック14a〜14cの後方側に根固用ブロック13a〜13cを隙間無く設置することが出来る。
【0068】
そして、このように設置することによって、根固用ブロック群18が形成されている。そのため、護岸ブロック21の設置傾斜が緩いような時に生じる、根固め部分が広い場合であっても、根固用ブロック12〜14の各々がコンパクトになる。そのため、根固用ブロック12〜14の各々の設置効率が向上すると共に、根固め部分が広い場合でも容易に対応することが出来る。
【0069】
又、根固用ブロック12と根固用ブロック13との間に根固用ブロック14が設置されているため、根固め部分が更に広い場合でも、根固用ブロック14を増やすことにより容易に対応することが出来る。そのため、使い勝手が向上する。
【0070】
図13は第2の根固用ブロック群を用いた河川護岸を示す概略断面図であり、図14は第5の実施の形態による根固用ブロックの斜視図であり、図15は第6の実施の形態による根固用ブロックの斜視図である。
【0071】
尚、説明に当たっては、根固め部分の形状及び構造以外は第1の根固用ブロック群と同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0072】
これらの図を参照して、この河川護岸においては、川床6の側面が垂直となるように逆台形断面形状の根固め部分が形成されている。そして、根固用ブロック群19は、第1根固用ブロックである根固用ブロック15と、川床6側に設置された第2根固用ブロックである根固用ブロック16と、根固用ブロック15と根固用ブロック16との間に設置された、第3根固用ブロックである、根固用ブロック16と同一形状の根固用ブロック17とから構成されている。
【0073】
ここで、根固用ブロック15の形状について説明するが、基本的には第3の実施の形態による根固用ブロックと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0074】
図13及び図14を参照して、根固用ブロック15においては、第1側壁42の形状が異なっている。即ち、第1側壁42が垂直となるように控壁41a、41bに接続されている。
【0075】
次に、根固用ブロック16の形状について説明するが、基本的には第5の実施の形態による根固用ブロックと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0076】
図13及び図15を参照して、根固用ブロック16においては、第2側壁を有していないと共に、控壁41a、41bの形状が異なっている。即ち、控壁41a、41bが矩形状となるように形成されている。尚、上述した通り、根固用ブロック17は、根固用ブロック16と同一形状に形成されている。
【0077】
そして、このように形成された根固用ブロック15〜17を、第1の根固用ブロック群と同様に整列させると、第2の根固用ブロック群19が形成される。そのため、設置状態においては、図13で示すような川床6の側面が垂直となるよう根固め部分において、容易に対応することが出来る。
【0078】
次に、既設の護岸ブロックが設置された河川において、濁流などによって川床が洗掘された場合における本発明による根固用ブロックの利用方法について説明する。
【0079】
図16は図1で示した根固用ブロックを用いた既設河川護岸の根固め方法の手順を示した概略工程図である。
【0080】
まず(1)を参照して、既設の護岸ブロック21a、21bが設置された河川において、二点鎖線で示した従来の川床ラインから川床61が濁流などによって洗掘された状態となっている。そのため、図で示すように、特に護岸ブロック21aの根固め工が必要となる。
【0081】
次に(2)を参照して、河川の水を堰き止めた状態で、川床61の護岸ブロック21a側の斜線で示す逆台形状部分を掘削して整地する。その後、掘削された部分に図1で示した根固用ブロック10を設置し、その内部に図示しない割石を投入する。
【0082】
次に(3)を参照して、設置された根固用ブロック10と従来の川床ラインとの間における護岸ブロック21a側に、図示しない型枠を用いてコンクリート62を打設する。その後、残りの洗掘された部分に土砂63又は割石などを投入する。すると、既設の護岸ブロック21aの根固めが完了すると共に、河川の川床61が従来のラインの高さまで回復する。
【0083】
このように、根固用ブロック10は、既設の護岸ブロック21a、21bに対しても適用出来ると共に、根固め箇所の上部又は下部に適用することが出来る。又、既設の護岸ブロック21a、21bに対して、所謂根継用としての利用が可能となる。
【0084】
尚、上記の各実施の形態では、護岸ブロックの形状及び設置状態を特定しているが、河川護岸に用いられるものであれば、護岸ブロックは他の形状及び設置状態であっても良い。
【0085】
又、上記の各実施の形態では、控壁は一対設けられているが、控壁はブロック単体に対して少なくとも1つ設けられていれば良い。
【0086】
更に、上記の各実施の形態では、控壁には1つの貫通穴が形成されているが、貫通穴は無くても良く、あるいは複数の貫通穴を形成しても良い。又、控壁に限らず、第1側壁又は第2側壁に貫通穴が形成されていても良い。
【0087】
更に、上記の各実施の形態では、控壁は根固め部分の断面形状に基づいて形成されているが、掘削された川床と護岸ブロックとの間の断面視が逆台形断面形状の根固め部分を塞ぐ形状であれば、他の形状に形成されていても良い。
【0088】
更に、上記の各実施の形態では、設置状態における根固用ブロックの内部には割石が投入されているが、土砂やコンクリートなどが投入されていても良い。又は、例えば根固用ブロックの下層をコンクリートで構成し、上層を割石や土砂などで構成する組合せとしても良い。そして、根固用ブロック内にコンクリートを投入した場合、根固用ブロックは残存型枠のような役目を果たすことになる。
【0089】
更に、上記の第1及び第2の根固用ブロック群では、第1根固用ブロックと第2根固用ブロックとの間に第3根固用ブロックが設置されているが、根固め部分の形状によっては、第3根固用ブロックは無くても良く、あるいは2個以上の第3根固用ブロックを設置しても良い。
【符号の説明】
【0090】
6…川床
7…川岸
10〜17…根固用ブロック
18、19…根固用ブロック群
21…護岸ブロック
28…割石
41…控壁
42、52…第1側壁
43、44…第2側壁
46…貫通穴
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【技術分野】
【0001】
この発明は根固用ブロック、根固用ブロック群及び根固め方法に関し、特に、河川護岸工事の根固めに用いられる根固用ブロック、根固用ブロック群及び根固め方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図17は従来の河川護岸を示す概略断面図である。
【0003】
図を参照して、河川の川床6と川岸7とを掘削したスペースに護岸ブロック21が設置されている。護岸ブロック21は複数積み重ねるように設置されており、その法尻部(下部)には基礎コンクリート31が基礎砕石や均しコンクリート32を介して設置されている。又、護岸ブロック21の後方側には裏打コンクリート24が設置されており、更に裏打コンクリート24の後方側には裏込砕石25が設置されている。そして、掘削された川床6の側面と護岸ブロック21との間の、断面視が逆台形断面形状の部分には、埋戻し土34が締固められた状態で設置されている。
【0004】
このような河川護岸においては、埋戻し土34は締固められた状態になっているが、元の地盤に比べると緩い状態となっているため、流水や水流、濁流などによって徐々に洗掘されてしまう。従って、護岸ブロック21が崩壊する虞がある。そのため、例えば布団籠による根固め等、種々の河川護岸の根固め方法が提案されている。
【0005】
図18は布団籠によって根固めされた河川護岸を示す概略断面図である。
【0006】
尚、説明に当たっては、基本的には図17で示したものと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0007】
図を参照して、この河川護岸にあっては、埋戻し土34の上方部分に、割石等が投入された布団籠81が設置されている。そして、布団籠81内に設置された割石等は、河川によって洗掘される虞が無いため、川床6と護岸ブロック21との間の掘削した部分が洗掘される虞が低減する。従って、布団籠81が護岸ブロック21の根固めとなるため、護岸ブロック21の崩壊が防止される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような従来の根固め方法では、それなりの効果はあるが、護岸ブロックを確実に保護するものとはなっていなかった。即ち、布団籠部分を除く埋戻し土の上方部分が河川に直接接してしまうため、この部分が洗掘されてしまい、護岸ブロックを崩壊させる虞が有った。
【0009】
そして、根固め効果を向上させるべく、護岸ブロックと川床の側面との間にブロックや捨石等を敷き詰める方法も提案されているが、これらの方法は手間が掛かるものであり、施工効率の悪いものであった。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、根固め効果の信頼性が高く、施工効率の良い根固用ブロック、根固用ブロック群及び根固め方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、河川護岸工事の根固めに用いられる根固用ブロックであって、プレキャストコンクリートよりなり、掘削後に残る、護岸ブロックと川床との間の断面が逆台形形状の根固め部分を塞ぐ形状を有する控壁と、控壁に接続され、護岸ブロックに対向する川床の側面に沿う形状を有する第1側壁とを備えたものである。
【0012】
このように構成すると、根固用ブロックを設置するだけで、断面視において根固め部分が塞がれる。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、控壁に接続され、側面に対向する護岸ブロックの外面に沿う形状を有する第2側壁を更に備えたものである。
【0014】
このように構成すると、根固用ブロックは護岸ブロックに対して面で接する。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、控壁は、一対設けられるものである。
【0016】
このように構成すると、根固用ブロックの強度が向上する。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、根固用ブロックを構成する部分には、貫通穴が形成されるものである。
【0018】
このように構成すると、魚類等の水中生物が生息しやすくなる。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の構成において、第1側壁の上辺の一部が切り欠かれるものである。
【0020】
このように構成すると、魚類等の水中生物が生息しやすくなる。
【0021】
請求項6記載の発明は、河川護岸工事の根固めに用いられる根固用ブロック群であって、プレキャストコンクリートよりなり、掘削後に残る、護岸ブロックと川床との間の断面視が逆台形断面形状の根固め部分であって、護岸ブロック側のスペースを断面視の少なくとも一部で塞ぐ形状を有する第1根固用ブロックと、根固め部分であって、護岸ブロックに対向する川床の側面側のスペースを断面視の少なくとも一部で塞ぐ形状を有する第2根固用ブロックとを備えたものである。
【0022】
このように構成すると、根固め部分が広い場合でも根固用ブロックの各々がコンパクトになる。
【0023】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の構成において、根固め部分であって、第1根固用ブロックの設置と第2根固用ブロックの設置との間に生じたスペースを断面視の少なくとも一部で塞ぐ第3根固用ブロックを更に備えたものである。
【0024】
このように構成すると、根固め部分が更に広い場合でも容易に対応出来る。
【0025】
請求項8記載の発明は、河川護岸工事の根固め方法であって、河川の川床及び川岸を掘削する工程と、掘削された川岸に沿って護岸ブロックを設置する工程と、掘削された川床と護岸ブロックとの間の断面視が逆台形断面形状の根固め部分に、これを断面視の少なくとも一部で塞ぐ形状のコンクリートブロックを設置する工程と、設置されたコンクリートブロックの内部に割石を投入する工程とを備えたものである。
【0026】
このように構成すると、根固め部分の断面視の少なくとも一部がコンクリートブロックによって塞がれる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、根固用ブロックを設置するだけで、断面視において根固め部分が塞がれるため、施工効率が向上し、根固め効果の信頼性が向上する。
【0028】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、根固用ブロックは護岸ブロックに対して面で接するため、設置状態がより安定する。
【0029】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、根固用ブロックの強度が向上するため、設置状態の信頼性が向上する。
【0030】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、魚類等の水中生物が生息しやすくなるため、環境にやさしい構造となる。
【0031】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、魚類等の水中生物が生息しやすくなるため、環境にやさしい構造となる。
【0032】
請求項6記載の発明は、根固め部分が広い場合でも根固用ブロックの各々がコンパクトになるため、設置効率が向上し、根固め部分が広い場合でも対応出来る。
【0033】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の効果に加えて、根固め部分が更に広い場合でも容易に対応出来るため、使い勝手が向上する。
【0034】
請求項8記載の発明は、根固め部分の断面視の少なくとも一部がコンクリートブロックによって塞がれるため、護岸工事の工期が短縮化され、根固め効果の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の第1の実施の形態による根固用ブロックを用いた河川護岸を示す概略断面図である。
【図2】図1で示した根固用ブロックの斜視図である。
【図3】図1で示した根固用ブロックを長手方向に複数並べた斜視図である。
【図4】図1で示した根固用ブロックを用いた河川護岸工事の根固め方法の手順を示した概略工程図である。
【図5】この発明の第2の実施の形態による根固用ブロックを用いた河川護岸を示す概略断面図である。
【図6】図5で示した根固用ブロックの斜視図である。
【図7】図5で示した根固用ブロックを長手方向に複数並べた斜視図である。
【図8】この発明の第3の実施の形態による根固用ブロックの斜視図である。
【図9】図8で示した根固用ブロックを長手方向に複数並べた斜視図である。
【図10】第1の根固用ブロック群を用いた河川護岸を示す概略断面図である。
【図11】第4の実施の形態による根固用ブロックの斜視図である。
【図12】図10で示した第1の根固用ブロック群の斜視図である。
【図13】第2の根固用ブロック群を用いた河川護岸を示す概略断面図である。
【図14】第5の実施の形態による根固用ブロックの斜視図である。
【図15】第6の実施の形態による根固用ブロックの斜視図である。
【図16】図1で示した根固用ブロックを用いた既設河川護岸の根固め方法の手順を示した概略工程図である。
【図17】従来の河川護岸を示す概略断面図である。
【図18】従来の他の河川護岸を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1はこの発明の第1の実施の形態による根固用ブロックを用いた河川護岸を示す概略断面図であり、図2は図1で示した根固用ブロックの斜視図であり、図3は図1で示した根固用ブロックを長手方向に複数並べた斜視図である。
【0037】
まず、図1を参照して、河川の川床6と川岸7とを掘削したスペースに複数の護岸ブロック21が設置されている。護岸ブロック21は上下及び左右(図の紙面を直交する方向)に複数積み重ねるように設置されており、その法尻部には基礎コンクリート31が基礎砕石や均しコンクリート32を介して設置されている。又、護岸ブロック21の後方側には裏打コンクリート24が設置されており、更に裏打コンクリート24の後方側には裏込砕石25が設置されている。そして、護岸ブロック21と川床6との間の根固め部分には、プレキャストコンクリートよりなる根固用ブロック10と、根固用ブロック10の下部に設置された埋戻し土35とが配置されている。尚、上述した護岸ブロック21及び根固用ブロック10等は、河川における両岸又は片岸において設置されている。
【0038】
次に、根固用ブロック10の形状について説明する。
【0039】
図1及び図2を参照して、根固用ブロック10は、上述した掘削後に残る、護岸ブロック21と川床6との間の断面が逆台形形状の根固め部分を塞ぐ形状の一対の控壁41a、41bと、控壁41a、41bに接続され、護岸ブロック21に対向する川床6の側面に沿う形状の第1側壁42と、控壁41a、41bに接続され、護岸ブロック21の外面に沿う形状の第2側壁43とから構成されている。又、控壁41a、41bの各々には、その中央部に貫通穴46が形成されている。そして、このように形成された根固用ブロック10は、図1で示す設置状態において、その内部に複数の割石28が投入されている。
【0040】
そして、根固用ブロック10はプレキャストコンクリートによって、このように構成されているため、設置するだけで、図1で示す断面状態において根固め部分全体が塞がれる。従って、施工効率が向上すると共に、その内部に投入された割石28によって重量的に安定する。又、割石28は、控壁41a、41bによって長手方向が仕切られているため、不用意に移動する虞が無いので、護岸ブロック21に対する根固め効果の信頼性が向上する。
【0041】
又、根固用ブロック10は第2側壁43を備えているため、設置状態において護岸ブロック21に対して面で接することになる。従って、根固用ブロック10の設置状態がより安定する。
【0042】
更に、根固用ブロック10は一対の控壁41a、41bを備えているため、根固用ブロック10全体の強度が向上する。従って、根固用ブロック10の設置状態の信頼性が向上する。
【0043】
更に、控壁41a、41bの中央部には貫通穴46が形成されているため、魚類等の水中生物が貫通穴46を通って移動することが出来る。従って、設置状態において魚類等の水中生物が生息しやすくなるため、環境にやさしい構造となる。
【0044】
次に、図3を参照して、図2で示した根固用ブロック10a〜10cは、図1で示す設置状態においては、長手方向(図1の紙面を直交する方向)に複数並べて設置されている。即ち、根固用ブロック10a〜10cの第1側壁42a〜42cを長手方向に整列させると共に、第2側壁43a〜43cを長手方向に整列させて並べる。すると、河川に応じた長手方向に長い根固め部分においても容易に対応することが出来る。
【0045】
次に、このような根固用ブロック10を用いた河川護岸工事の根固め方法について説明する。
【0046】
図4は図1で示した根固用ブロックを用いた河川護岸工事の根固め方法の手順を示した概略工程図である。
【0047】
まず(1)を参照して、河川の水を堰き止めた状態で、川床6及び川岸7の斜線で示す部分を掘削する。
【0048】
次に(2)を参照して、掘削された部分の表面を整形し、下部に基礎砕石や均しコンクリート32を介して基礎コンクリート31を設置する。
【0049】
次に(3)を参照して、基礎コンクリート31上に護岸ブロック21aを自重によって自立するように設置する。そして、設置された護岸ブロック21aの後方側に、図示しないスペーサーを介して型枠29aを設置し、更にその後方側に裏込砕石25aを護岸ブロック21aの高さの半分の位置まで投入して転圧する。その後、護岸ブロック21aと型枠29aとの間のスペースに裏打コンクリート24aを裏込砕石25aの高さまで投入し、裏打コンクリート24aが硬化する前に型枠29aを取り外す。
【0050】
次に(4)を参照して、裏打コンクリート24aが硬化した後、護岸ブロック21a上に護岸ブロック21bを自重によって自立するように設置する。その後、護岸ブロック21aと同様に、護岸ブロック21bの後方側に型枠29bを設置し、更にその後方側に裏込砕石25bを護岸ブロック21bの高さの半分の位置まで投入して転圧する。その後、護岸ブロック21a、21bと型枠29bとの間のスペースに裏打コンクリート24bを裏込砕石25bの高さまで投入し、型枠29bを取り外して裏打コンクリート24bを硬化させる。
【0051】
次に(5)を参照して、護岸ブロック21a、21bが設置された途中の状態で、掘削された川床6と護岸ブロック21a、21bとの間の断面が逆台形断面形状の根固め部分の下方部分に、埋戻し土35を投入してこれを締固める。その後、埋戻し土35上の根固め部分に、図1で示したプレキャストコンクリートよりなる根固用ブロック10を設置する。根固用ブロック10の形状は、埋戻し土35を除く逆台形断面形状の根固め部分に合致するため、設置作業は極めて容易となる。
【0052】
次に(6)を参照して、設置された根固用ブロック10の内部全体に複数の割石28を投入する。その後、(4)で示した手順を繰り返すと、護岸ブロック21が川岸7の上端まで積み上げられる。即ち、図1で示した設置状態となり、河川護岸工事の根固めが完了する。
【0053】
このように、根固用ブロック10を設置し、内部に複数の割石28を投入するだけで根固めが完了するため、河川護岸工事の工期が短縮化されると共に、根固め効果の信頼性が向上する。
【0054】
図5はこの発明の第2の実施の形態による根固用ブロックを用いた河川護岸を示す概略断面図であり、図6は図5で示した根固用ブロックの斜視図であり、図7は図5で示した根固用ブロックを長手方向に複数並べた斜視図である。
【0055】
尚、説明に当たっては、基本的には第1の実施の形態によるものと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0056】
これらの図を参照して、この実施の形態による根固用ブロック11にあっては、第2側壁を有していない。そして、設置状態においては、控壁41a、41bにおける第1側壁42と反対側の部分が護岸ブロック21に接するように設置されている。そのため、根固め効果に影響を及ぼすこと無く、根固用ブロック11の全体のコンクリート量が削減されるため、コスト的に有利な根固用ブロック11となる。
【0057】
尚、図5で示す設置状態においては、第1の実施の形態と同様に、図7で示すように根固用ブロック11a〜11cが長手方向に整列して並べられている。
【0058】
図8はこの発明の第3の実施の形態による根固用ブロックの斜視図であり、図9は図8で示した根固用ブロックを長手方向に複数並べた斜視図である。
【0059】
尚、説明に当たっては、基本的には第1の実施の形態によるものと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0060】
これらの図を参照して、この実施の形態による根固用ブロック12にあっては、第2側壁44の形状が異なっている。即ち、第2側壁44は控壁41a、41bの間にのみ設けられている。従って、設置状態においては、第2側壁44が護岸ブロックに面で接するにも関わらず、図1で示した根固用ブロック10と比較して、全体のコンクリート量が削減されている。従って、コスト的に有利な根固用ブロック12となる。
【0061】
更に、根固用ブロック12にあっては、第1側壁42の上辺の一部に切り欠き48が形成されている。そのため、魚類等の水中生物が切り欠き48を通って移動することが出来る。従って、魚類等の水中生物が生息しやすくなるため、環境にやさしい構造となる。
【0062】
尚、設置状態においては、第1の実施の形態と同様に、図9で示すように根固用ブロック12a〜12cが長手方向に整列して並べられている。
【0063】
図10は第1の根固用ブロック群を用いた河川護岸を示す概略断面図であり、図11は第4の実施の形態による根固用ブロックの斜視図であり、図12は図10で示した第1の根固用ブロック群の斜視図である。
【0064】
これらの図を参照して、護岸ブロック21と川床6との間の根固め部分に設置された根固用ブロック群18は、根固め部分の護岸ブロック21側に設置された、第1根固用ブロックである、図8で示した根固用ブロック12と、根固め部分の川床6側に設置された、第2根固用ブロックである根固用ブロック13と、根固用ブロック12と根固用ブロック13との間に設置された、第3根固用ブロックである根固用ブロック13と同一形状の根固用ブロック14とから構成されている。そして、根固用ブロック12〜14の各々の内部には割石28が投入されると共に、各々の下部には埋戻し土35が締固められた状態で設置されている。
【0065】
次に、根固用ブロック13の形状について説明するが、基本的には第2の実施の形態による根固用ブロックと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0066】
根固用ブロック13においては、控壁41a、41bの形状が異なっている。即ち、控壁41a、41bの第1側壁42側の側辺と、これに対向する側辺とが平行状態となっている。尚、上述した通り、根固用ブロック14は根固用ブロック13と同一形状に形成されている。
【0067】
従って、図12で示すように、長手方向に整列した根固用ブロック12a〜12cの後方側に根固用ブロック14a〜14cを隙間無く設置することが出来る。更に、根固用ブロック14a〜14cの後方側に根固用ブロック13a〜13cを隙間無く設置することが出来る。
【0068】
そして、このように設置することによって、根固用ブロック群18が形成されている。そのため、護岸ブロック21の設置傾斜が緩いような時に生じる、根固め部分が広い場合であっても、根固用ブロック12〜14の各々がコンパクトになる。そのため、根固用ブロック12〜14の各々の設置効率が向上すると共に、根固め部分が広い場合でも容易に対応することが出来る。
【0069】
又、根固用ブロック12と根固用ブロック13との間に根固用ブロック14が設置されているため、根固め部分が更に広い場合でも、根固用ブロック14を増やすことにより容易に対応することが出来る。そのため、使い勝手が向上する。
【0070】
図13は第2の根固用ブロック群を用いた河川護岸を示す概略断面図であり、図14は第5の実施の形態による根固用ブロックの斜視図であり、図15は第6の実施の形態による根固用ブロックの斜視図である。
【0071】
尚、説明に当たっては、根固め部分の形状及び構造以外は第1の根固用ブロック群と同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0072】
これらの図を参照して、この河川護岸においては、川床6の側面が垂直となるように逆台形断面形状の根固め部分が形成されている。そして、根固用ブロック群19は、第1根固用ブロックである根固用ブロック15と、川床6側に設置された第2根固用ブロックである根固用ブロック16と、根固用ブロック15と根固用ブロック16との間に設置された、第3根固用ブロックである、根固用ブロック16と同一形状の根固用ブロック17とから構成されている。
【0073】
ここで、根固用ブロック15の形状について説明するが、基本的には第3の実施の形態による根固用ブロックと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0074】
図13及び図14を参照して、根固用ブロック15においては、第1側壁42の形状が異なっている。即ち、第1側壁42が垂直となるように控壁41a、41bに接続されている。
【0075】
次に、根固用ブロック16の形状について説明するが、基本的には第5の実施の形態による根固用ブロックと同一であるため、その相違点を中心に説明する。
【0076】
図13及び図15を参照して、根固用ブロック16においては、第2側壁を有していないと共に、控壁41a、41bの形状が異なっている。即ち、控壁41a、41bが矩形状となるように形成されている。尚、上述した通り、根固用ブロック17は、根固用ブロック16と同一形状に形成されている。
【0077】
そして、このように形成された根固用ブロック15〜17を、第1の根固用ブロック群と同様に整列させると、第2の根固用ブロック群19が形成される。そのため、設置状態においては、図13で示すような川床6の側面が垂直となるよう根固め部分において、容易に対応することが出来る。
【0078】
次に、既設の護岸ブロックが設置された河川において、濁流などによって川床が洗掘された場合における本発明による根固用ブロックの利用方法について説明する。
【0079】
図16は図1で示した根固用ブロックを用いた既設河川護岸の根固め方法の手順を示した概略工程図である。
【0080】
まず(1)を参照して、既設の護岸ブロック21a、21bが設置された河川において、二点鎖線で示した従来の川床ラインから川床61が濁流などによって洗掘された状態となっている。そのため、図で示すように、特に護岸ブロック21aの根固め工が必要となる。
【0081】
次に(2)を参照して、河川の水を堰き止めた状態で、川床61の護岸ブロック21a側の斜線で示す逆台形状部分を掘削して整地する。その後、掘削された部分に図1で示した根固用ブロック10を設置し、その内部に図示しない割石を投入する。
【0082】
次に(3)を参照して、設置された根固用ブロック10と従来の川床ラインとの間における護岸ブロック21a側に、図示しない型枠を用いてコンクリート62を打設する。その後、残りの洗掘された部分に土砂63又は割石などを投入する。すると、既設の護岸ブロック21aの根固めが完了すると共に、河川の川床61が従来のラインの高さまで回復する。
【0083】
このように、根固用ブロック10は、既設の護岸ブロック21a、21bに対しても適用出来ると共に、根固め箇所の上部又は下部に適用することが出来る。又、既設の護岸ブロック21a、21bに対して、所謂根継用としての利用が可能となる。
【0084】
尚、上記の各実施の形態では、護岸ブロックの形状及び設置状態を特定しているが、河川護岸に用いられるものであれば、護岸ブロックは他の形状及び設置状態であっても良い。
【0085】
又、上記の各実施の形態では、控壁は一対設けられているが、控壁はブロック単体に対して少なくとも1つ設けられていれば良い。
【0086】
更に、上記の各実施の形態では、控壁には1つの貫通穴が形成されているが、貫通穴は無くても良く、あるいは複数の貫通穴を形成しても良い。又、控壁に限らず、第1側壁又は第2側壁に貫通穴が形成されていても良い。
【0087】
更に、上記の各実施の形態では、控壁は根固め部分の断面形状に基づいて形成されているが、掘削された川床と護岸ブロックとの間の断面視が逆台形断面形状の根固め部分を塞ぐ形状であれば、他の形状に形成されていても良い。
【0088】
更に、上記の各実施の形態では、設置状態における根固用ブロックの内部には割石が投入されているが、土砂やコンクリートなどが投入されていても良い。又は、例えば根固用ブロックの下層をコンクリートで構成し、上層を割石や土砂などで構成する組合せとしても良い。そして、根固用ブロック内にコンクリートを投入した場合、根固用ブロックは残存型枠のような役目を果たすことになる。
【0089】
更に、上記の第1及び第2の根固用ブロック群では、第1根固用ブロックと第2根固用ブロックとの間に第3根固用ブロックが設置されているが、根固め部分の形状によっては、第3根固用ブロックは無くても良く、あるいは2個以上の第3根固用ブロックを設置しても良い。
【符号の説明】
【0090】
6…川床
7…川岸
10〜17…根固用ブロック
18、19…根固用ブロック群
21…護岸ブロック
28…割石
41…控壁
42、52…第1側壁
43、44…第2側壁
46…貫通穴
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川護岸工事の根固めに用いられる根固用ブロックであって、
プレキャストコンクリートよりなり、
掘削後に残る、護岸ブロックと川床との間の断面が逆台形形状の根固め部分を塞ぐ形状を有する控壁と、
前記控壁に接続され、前記護岸ブロックに対向する前記川床の側面に沿う形状を有する第1側壁とを備えた、根固用ブロック。
【請求項2】
前記控壁に接続され、前記側面に対向する前記護岸ブロックの外面に沿う形状を有する第2側壁を更に備えた、請求項1記載の根固用ブロック。
【請求項3】
前記控壁は、一対設けられる、請求項1又は請求項2記載の根固用ブロック。
【請求項4】
前記根固用ブロックを構成する部分には、貫通穴が形成される、請求項1から請求項3のいずれかに記載の根固用ブロック。
【請求項5】
前記第1側壁の上辺の一部が切り欠かれる、請求項1から請求項4のいずれかに記載の根固用ブロック。
【請求項6】
河川護岸工事の根固めに用いられる根固用ブロック群であって、
プレキャストコンクリートよりなり、
掘削後に残る、護岸ブロックと川床との間の断面視が逆台形断面形状の根固め部分であって、前記護岸ブロック側のスペースを断面視の少なくとも一部で塞ぐ形状を有する第1根固用ブロックと、
前記根固め部分であって、前記護岸ブロックに対向する前記川床の側面側のスペースを断面視の少なくとも一部で塞ぐ形状を有する第2根固用ブロックとを備えた、根固用ブロック群。
【請求項7】
前記根固め部分であって、前記第1根固用ブロックの設置と前記第2根固用ブロックの設置との間に生じたスペースを断面視の少なくとも一部で塞ぐ第3根固用ブロックを更に備えた、請求項6記載の根固用ブロック群。
【請求項8】
河川護岸工事の根固め方法であって、
河川の川床及び川岸を掘削する工程と、
前記掘削された川岸に沿って護岸ブロックを設置する工程と、
前記掘削された川床と前記護岸ブロックとの間の断面視が逆台形断面形状の根固め部分に、これを断面視の少なくとも一部で塞ぐ形状のコンクリートブロックを設置する工程と、
前記設置されたコンクリートブロックの内部に割石を投入する工程とを備えた、河川護岸工事の根固め方法。
【請求項1】
河川護岸工事の根固めに用いられる根固用ブロックであって、
プレキャストコンクリートよりなり、
掘削後に残る、護岸ブロックと川床との間の断面が逆台形形状の根固め部分を塞ぐ形状を有する控壁と、
前記控壁に接続され、前記護岸ブロックに対向する前記川床の側面に沿う形状を有する第1側壁とを備えた、根固用ブロック。
【請求項2】
前記控壁に接続され、前記側面に対向する前記護岸ブロックの外面に沿う形状を有する第2側壁を更に備えた、請求項1記載の根固用ブロック。
【請求項3】
前記控壁は、一対設けられる、請求項1又は請求項2記載の根固用ブロック。
【請求項4】
前記根固用ブロックを構成する部分には、貫通穴が形成される、請求項1から請求項3のいずれかに記載の根固用ブロック。
【請求項5】
前記第1側壁の上辺の一部が切り欠かれる、請求項1から請求項4のいずれかに記載の根固用ブロック。
【請求項6】
河川護岸工事の根固めに用いられる根固用ブロック群であって、
プレキャストコンクリートよりなり、
掘削後に残る、護岸ブロックと川床との間の断面視が逆台形断面形状の根固め部分であって、前記護岸ブロック側のスペースを断面視の少なくとも一部で塞ぐ形状を有する第1根固用ブロックと、
前記根固め部分であって、前記護岸ブロックに対向する前記川床の側面側のスペースを断面視の少なくとも一部で塞ぐ形状を有する第2根固用ブロックとを備えた、根固用ブロック群。
【請求項7】
前記根固め部分であって、前記第1根固用ブロックの設置と前記第2根固用ブロックの設置との間に生じたスペースを断面視の少なくとも一部で塞ぐ第3根固用ブロックを更に備えた、請求項6記載の根固用ブロック群。
【請求項8】
河川護岸工事の根固め方法であって、
河川の川床及び川岸を掘削する工程と、
前記掘削された川岸に沿って護岸ブロックを設置する工程と、
前記掘削された川床と前記護岸ブロックとの間の断面視が逆台形断面形状の根固め部分に、これを断面視の少なくとも一部で塞ぐ形状のコンクリートブロックを設置する工程と、
前記設置されたコンクリートブロックの内部に割石を投入する工程とを備えた、河川護岸工事の根固め方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−7386(P2012−7386A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144385(P2010−144385)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(593070321)
【出願人】(599140448)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(593070321)
【出願人】(599140448)
【Fターム(参考)】
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