説明

根菜収穫機

【課題】根菜収穫機の機体の前後長を短くできるようにする。
【解決手段】走行車体の左側に前後方向に設けられて、根菜を引き抜き、後上方へ搬送する抜き上げ移送装置11と、抜き上げ移送装置11の後下方に配置されて根菜の茎葉部を切断する茎葉切断装置13と、茎葉切断装置13の下方に配置されて切断後の主根に残る残葉を除去する残葉処理部8と、残葉処理後の主根を右側方へ搬送し、搬送途中で選別を行う選別コンベア部4を備える根菜収穫機において、前記残葉処理部8は、抜き上げ移送装置11の後下方で前後方向に配置して前方へ搬送しながら残葉を処理し、該残葉処理部8の前側部下方に選別コンベア部4の始端部を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人参や大根等の根菜を収穫する根菜収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から人参や大根等の根菜を収穫する自走式の根菜収穫機は公知となっている。根菜収穫機は、走行装置上の左右一側に運転席を配置し、左右他側に進行方向と平行に引き抜き搬送装置を配置し、該引き抜き搬送装置の後部下方に、葉部切断後の根菜に残る残葉処理部を前後方向に配置し、該残葉処理部の後部から左右一側へ搬送する持ち上げコンベアを配置していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−236334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記特許文献1に記載の根菜収穫機は、残葉処理部が茎葉部を切断後の根菜を後方へ搬送する構成であったために機体が後方に長くなり、旋回半径が大きくなっていた。また、持ち上げコンベアが機体の最後部に左右方向に配置されていたので、後部側の重量配分が増加し、前後重量バランスが悪化していた。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、根菜収穫機の前後長を短くし、前後重量バランスを改善できる根菜収穫機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、走行車体の左側に前後方向に設けられて、根菜を引き抜き、後上方へ搬送する抜き上げ移送装置と、抜き上げ移送装置の後下方に配置されて根菜の茎葉部を切断する茎葉切断装置と、茎葉切断装置の下方に配置されて切断後の主根に残る残葉を除去する残葉処理部と、残葉処理後の主根を右側方へ搬送し、搬送途中で選別を行う選別コンベア部を備える根菜収穫機において、前記残葉処理部は、抜き上げ移送装置の後下方で前後方向に配置して前方へ搬送しながら残葉を処理し、該残葉処理部の前側部下方に選別コンベア部の始端部を配置したものである。
【0008】
請求項2においては、前記選別コンベア部の後方に、補助作業者用座席と不良品収納コンテナの載置空間を設けたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0010】
請求項1においては、残葉処理部は前方へ根菜を搬送するので、走行車体の前後長を短くできる。また、選別コンベア部が走行車体の前後中央部に位置されるので,走行車体の前後重量バランスが向上する。また、残葉処理部の搬送長を長くでき、主根の方向が揃え易くなり残葉処理を効率よく行える。更に、残葉処理部は、根菜を前方へ搬送するため、進行方向と逆方向となり、相対的に根菜の搬送速度が遅くなり、搬送時の衝撃が緩和される。また、残葉処理部の斜めローラが操向車体の前後中央部に配置されることになり、人の手が届き難くなり安全性が向上する。
【0011】
請求項2においては、選別コンベア部に近接して不良品収納用コンテナを配置できるので、不良品は不良品収納用コンテナに収納して、選別コンベア部を流れる根菜の選別が容易に行える。また、不良品を収納したコンテナは後方への排出が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の根菜収穫機の全体側面図。
【図2】同じく平面図。
【図3】同じく正面図。
【図4】持ち上げコンベアと収穫物載せ台の後面図。
【図5】(a)は袋吊り具の後面図、(b)は袋吊り具のフック杆を下げた状態の後面図。
【図6】(a)は図5(a)におけるA−A断面図、(b)は図5(b)におけるB−B断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1から図3において、根菜を人参とした場合の根菜収穫機の全体構成から説明する。なお、F方向を前方とし、R方向を右方、L方向を左方と規定して説明する。
【0014】
自走式根菜収穫機は、左右のクローラを備える走行装置2上に機体フレーム1を設けて走行車体とし、該機体フレーム1上に、抜き上げ作業部3と残葉処理部8と選別コンベア部4と収穫物載せ台5と運転操作部6を装設して構成される。
【0015】
前記機体フレーム1の右前部上に運転操作部6が配置され、該運転操作部6の左側の機体フレーム1上に抜き上げ作業部3が前後方向に配置される。抜き上げ作業部3の後下方に残葉処理部8が前後方向に配置され、該残葉処理部8の前側方に選別コンベア部4の左側が配置される。運転操作部6は作業者が着座する運転席18や操向操作する操向レバー19や作業操作レバー等が配設される。
【0016】
前記運転操作部6の後部に選別コンベア部4が左右方向に配置され、該選別コンベア部4は前記抜き上げ作業部3の前後中途部の下方から機体右側方に延設される。選別コンベア部4は左側を中心に上下回動可能に構成される。該選別コンベア部4の右側下方に収穫物載せ台5が配置され、前記機体フレーム1の右側より上下回動可能に側方へ突出するように配設されている。前記選別コンベア部4の後方の機体フレーム1上には、選別作業を行う補助者が座る補助作業者用座席7が設けられている。つまり、運転操作部6と補助作業者用座席7の間に選別コンベア部4が配置される。
【0017】
前記抜き上げ作業部3は、サブソイラ9と茎葉分捌整姿装置10と抜き上げ移送装置11と肩揃え装置12と茎葉切断装置13と排葉装置14と等を備え、搬送フレーム16に取り付けられている。抜き上げ作業部3は、機体フレーム1の後部上に左右方向に設けた回動支点部15を支点にして、上下回動するように成されている。つまり、搬送フレーム16は枠状に構成されて、後下部が、前記機体フレーム1の後部上に固定したブラケット1aに水平横向きに支持した回動支点部15に枢支され、該回動支点部15を中心にして上下回動可能に構成されている。また、回動支点部15の前方の機体フレーム1と搬送フレーム16との間には油圧シリンダ17が介装されて、抜き上げ作業部3を昇降可能に構成している。
【0018】
茎葉分捌整姿装置10は、抜き上げ移送装置11の前部の右側に配置され水平横向きに突出する横回しタインを備えた茎葉掻き込み機構20と、茎葉掻き込み機構20の前面より前方に突出したガイド体21と、抜き上げ移送装置11の前部の左側に配置され縦回しタインを備えた分葉機構22とで構成されている。茎葉分捌整姿装置10は、ガイド体21によって既収穫側に広がった葉茎を持ち上げるとともに、収穫する根菜の葉茎と、未収穫側の根菜の葉茎とを分葉機構22で分け捌き、分け捌かれた収穫する根菜の葉茎を茎葉掻き込み機構20によって抜き上げ移送装置11の挟持移送路11aの始端部に掻き込むように構成されている。
【0019】
サブソイラ9は、刃体9aと揺動アーム9bとを備えて、左右一対の側面視L字状に形成された刃体9a・9aを上下に揺動させて、圃場中の根菜の両側の土を軟らかくするものである。サブソイラ9の刃体9aの後部が揺動アーム9bに固定され、該揺動アーム9bの前部が抜き上げ移送装置11の搬送フレーム16の前側に枢支され、揺動アーム9bの後部が偏心軸に連結されている。こうして、左右の刃体9a・9aの先端を根菜の条の両側の土中に挿入し、作業時に偏心軸を回転駆動することにより、刃体9a・9aが振動させられて根菜の周囲土を軟らかくして、抜き上げ移送装置11により容易に抜き上げられるようにしている。
【0020】
抜き上げ移送装置11は、搬送フレーム16の前斜部に前低後高に設けられ、根菜の茎葉部を挟持して上後方へ搬送しながら根菜を抜き上げて、後方へ搬送するものである。抜き上げ移送装置11は、搬送フレーム16の前斜部の後側に左右一対配設される駆動プーリ24・24と、搬送フレーム16の前斜部の前側に左右一対配設される従動プーリ25・25と、駆動プーリ24・24と従動プーリ25の間に適宜間隔をあけて回転自在に支持されるガイドプーリと、駆動プーリ24・24と従動プーリ25とガイドプーリに巻回される無端体で構成される搬送ベルト27・27等を備える。
【0021】
前記左右の搬送ベルト27・27の対向面間に前記挟持移送路11aが形成され、該挟持移送路11aが、左方のクローラの外縁より外側において、平面視で車体の進行方向と平行状となるように位置するものとなっている。
【0022】
肩揃え装置12は、抜き上げ移送装置11の後部下方に配置されて、根菜の茎葉部と主根の境界部分、所謂、肩部を揃えるものである。肩揃え装置12は、左右のガイド杆が茎葉の付け根側の太さの左右間隔であって、後側が徐々に抜き上げ移送装置11の下面より下方へ離れる方向に配置される。このように構成することで、主根の上部がガイド杆によって下方へ押し下げられて、肩部が揃えられるのである。
【0023】
茎葉切断装置13は、根菜の茎葉部の根元部を切断するものであり、肩揃え装置12の後端から茎葉部を挟持搬送する搬送部と搬送部の後部の下面に円板状の切断刃とを有し、搬送部の後部で切断刃の回転により肩が揃えられた茎葉部の根元が切断される。
【0024】
排葉装置14は、切断された根菜の茎葉部を操向車体後方に排出するものである。排葉装置14は、左右の挟持移送無端帯30・30と排出ガイド板31からなる。挟持移送無端帯30・30は、茎葉切断装置13の上方で、抜き上げ移送装置11の後端から操向車体後端部まで前後水平方向に配設される。排出ガイド板31は挟持移送無端帯30・30の後部下方から右斜め下方に延設される。但し、排出ガイド板31は角度調節可能として排出位置を変更可能に構成している。こうして、挟持移送無端帯30・30の回転により切断後の茎葉部が挟持されて後方へ搬送され、挟持移送無端帯30・30の後部から排出ガイド板31により茎葉部を車体後部の未収穫側から離れるように圃場上に落下させられる。
【0025】
残葉処理部8は、前記茎葉切断装置13で切断することができなかった茎葉を除去するものである。つまり、根菜の茎葉の外葉が枯れたり萎れたりすると、地面に沿って垂れ下がり茎葉分捌整姿装置10で引き上げることができなくなる。そして、この外葉は搬送ベルト27・27で挟持されずに搬送されることになり、茎葉切断装置13で切断することができないことがある。この枯れたり萎れたりした茎葉を除去するために、残葉処理部8が茎葉切断装置13の下方から前方に延設されている。
【0026】
残葉処理部8は、平ベルト35と斜めローラ36からなり、機体フレーム1に支持されている。そして、平ベルト35の後部は茎葉切断装置13の下方に位置し、平ベルト35の前端は運転操作部6の後部に位置し、選別コンベア部4の前端と略同じ位置に配置される。平ベルト35の前部上に配置されて、斜めローラ36の右側が前方に左側が後方となるように平ベルト35の左右幅よりも長くなるように配置される。斜めローラ36の右端下方に選別コンベア部4の左端が位置するように配設される。
【0027】
平ベルト35の回転方向は平ベルト35の上面が前方に移動するように回転され、斜めローラ36が側面視で逆方向に回転するようにしている。こうして、茎葉切断装置13で切断された主根が平ベルト35の後部上に落下され、平ベルト35により前方へ搬送されると斜めローラ36に当り、転がりながら右斜め前方へ搬送される。この時、茎葉部が斜めローラ36と平ベルト35との間に挟まり引きちぎられるのである。このようして、除去された残葉は平ベルト35の前端から圃場上に落下するように放出され、主根は斜めローラ36にガイドされて選別コンベア部4の左側に落下される。
【0028】
選別コンベア部4は、持ち上げコンベア40と袋吊り具50とを備える。
持ち上げコンベア40は、左側が前記残葉処理部8の終端側部、つまり、残葉処理部8の前右側下方に配置され、左側を回動支点として右側が昇降可能に構成されている。持ち上げコンベア40を構成するコンベアフレーム41の右側に袋吊り具50が設けられて収納袋(フレコンバッグ)59を吊り下げ可能に構成している。
【0029】
前記持ち上げコンベア40は、運転操作部6の後方で左右方向に配置されており、図4に示すように、前後のコンベアフレーム41・41間の左側に駆動軸42を架設して、該駆動軸42上に駆動スプロケット43・43を固設している。前後のコンベアフレーム41・41間の右側に従動軸44を架設して、該従動軸44上に従動スプロケット45・45を固設している。
【0030】
駆動スプロケット43・43と従動スプロケット45・45との間にチェーン46・46が巻回され、前後のチェーン46・46間に搬送ローラ47・47・・・とスラット48・48・・・がそれぞれ所定間隔あけて架設されている。つまり、持ち上げコンベア40はスラットコンベアより構成されており、スラット48とスラット48との間の搬送ローラ47・47・・・上に根菜を載置して搬送する構成としている。
【0031】
こうして、残葉処理部8から根菜を受け継ぎ、持ち上げコンベア40により右斜め上方に搬送して収納袋59へ収納するのである。
【0032】
また、残葉処理部8の右下方の持ち上げコンベア40の始端部に、前後方向に回動支点軸となる駆動軸42が設けられている。この駆動軸42を支点として持ち上げコンベア40の下流側(右側)が上下方向に昇降自在になるように配置されている。つまり、選別コンベア部4は駆動軸42を中心に上下回動可能としている。
【0033】
以上のように、走行車体の左側に前後方向に設けられて、根菜を引き抜き、後上方へ搬送する抜き上げ移送装置11と、抜き上げ移送装置11の後下方に配置されて根菜の茎葉部を切断する茎葉切断装置13と、茎葉切断装置13の下方に配置されて切断後の主根に残る残葉を除去する残葉処理部8と、残葉処理後の主根を右側方へ搬送し、搬送途中で選別を行う選別コンベア部4を備える根菜収穫機において、前記残葉処理部8は、抜き上げ移送装置11の後下方で前後方向に配置して前方へ搬送しながら残葉を処理し、該残葉処理部8の前側部下方に選別コンベア部4の始端部を配置したものである。
【0034】
上記構成により、残葉処理部8は前方へ根菜を搬送するので、走行車体の前後長を短くできる。また、選別コンベア部4が走行車体の前後中央部に位置されるので,走行車体の前後重量バランスが向上する。また、残葉処理部8の搬送長を長くでき、主根の方向が揃え易くなり残葉処理を効率よく行える。更に、残葉処理部8は、根菜を前方へ搬送するため、進行方向と逆方向となり、相対的に根菜の搬送速度が遅くなり、搬送時の衝撃が緩和される。また、残葉処理部8の斜めローラ36が操向車体の前後中央部に配置されることになり、人の手が届き難くなり平ベルト35と斜めローラ36に手が挟まることを防止でき安全性が向上する。
【0035】
持ち上げコンベア40の中途部下面と機体フレーム1との間には、アクチュエータの一例である持ち上げコンベア用昇降シリンダ37が介装されている。該昇降シリンダ37の一側のピストンロッド先端部はコンベアフレーム41・41間の下面に固設した支持ステー38に回動自在に取り付けられている。また、昇降シリンダ37の他側の基部は、機体フレーム1に回動自在に枢着されている。該昇降シリンダ37の伸縮作動によって持ち上げコンベア40を昇降作動させるように構成されている。該昇降シリンダ37を昇降操作するための操作具となる昇降スイッチ49が、持ち上げコンベア40の後上部と運転操作部6の後部に配置されている。
【0036】
持ち上げコンベア40の昇降操作は、収穫作業の開始時は、最も下げた位置まで下降させて、持ち上げコンベア40終端から落下する高さを低くして、根菜が落下の衝撃により傷まないようし、収納袋59内に堆積する高さに合わせて、昇降スイッチ49を操作して持ち上げコンベア40を上昇させるのである。
【0037】
前記袋吊り具50は、収納袋59の上部に設ける掛止具59aを引っ掛けて吊り下げるためのものである。図4、図5、図6に示すように、袋吊り具50は、吊り下げアーム51と支持ブラケット52とフック杆53・53等を備え、選別コンベア部4の終端に配置される。袋吊り具50は、選別コンベア部4の右側の前後両側に配設されて、収納袋59の上部4隅の4箇所を吊り下げるようにしている。
【0038】
吊り下げアーム51は、帯板状が図2に示すように平面視で略L字状に折り曲げ形成されて、先端側が収納袋59の幅に合わせられるようにしている。吊り下げアーム51の一端は上下回動可能に持ち上げコンベア40の右側に支持され、該吊り下げアーム51の他端に支持ブラケット52を介してフック杆53が支持される。
【0039】
具体的には、吊り下げアーム51の一端となる左側は、コンベアフレーム41の右側に前後方向に設けられた支持軸を兼用した従動軸44に上下回動自在に支持される。こうして支持軸の部品点数を減少している。該従動軸44の左方のコンベアフレーム41からはストッパーピン54が突設され、吊り下げアーム51の左上部が当接するように配設されている。こうして、吊り下げアーム51がコンベアフレーム41と略平行となるように斜め右上方に突出した位置に保持されるようにしている。また、非作業時には、吊り下げアーム51は従動軸44を中心に左方向に回転して、下面がストッパーピン54と当接させる。こうして、袋吊り具50を機体内方向へ移動させた収納位置に保持できるようにしている。
【0040】
このように、前記吊り下げアーム51の一端は、選別コンベア部4を構成するコンベアフレーム41に対して上下回動可能に支持されるので、選別コンベア部4が下方に回動された時に、吊り下げアーム51が他の物に当たっても上方に回動して逃げることができ、袋吊り具50、または、被当接物は損傷を受けることがない。また、吊り下げアーム51は上方から機体内側方向へ回動して収納することができるようになり、袋吊り具50が機体側方へ突出することがなく路上走行時等に邪魔にならない。
【0041】
吊り下げアーム51の他端となる右側には、支持ブラケット52が支持軸55を介して回転自在に支持される。なお、前後の吊り下げアーム51・51に取り付けられる支持ブラケット52とフック杆53・53は、前後対称に構成されているため、後側の支持ブラケット52とフック杆53・53について説明する。
【0042】
支持ブラケット52は前後二枚の板体52a・52bを合わせて構成され、上部中央に前記吊り下げアーム51の他端に枢支させるための支持軸55が前後方向に支持される。支持ブラケット52の下部左右両側には支持ピン56・56を前後方向に支持されている。該支持ピン56・56にフック杆53・53の一端が回動自在に支持されている。フック杆53・53の一端は前後二枚の板体52a・52bの間に配置される。
フック杆53は板状の一端に支持ピン56を挿入するための支持孔を開口し、他側に収納袋59の掛止具59aを引っ掛けるためのフック部53aが形成されている。
【0043】
また、支持ブラケット52の後板体52bには操作具57が支持され、該操作具57の一端によりフック杆53・53の回動を規制し、他端を把手としている。つまり、操作具57は棒材が側面視L状に折り曲げ形成され、一端が支持ブラケット52の後板体52bに付設したガイド部52cに前後方向に摺動可能に支持され、該操作具57の一端にはバネ58が外嵌されて、一端が後板体52bを貫通して前板体52aの後面に当接するように付勢されている。この操作具57の一端の配置位置は、支持ブラケット52の左右中央であって、上下方向で支持ピン56と支持軸55の間位置に配置される。また、フック杆53・53の一端は支持ブラケット52の左右中央よりも反対側に長く延設して、フック杆53・53の一端の上面が前記操作具57の一端に当接するように配設されている。こうして、フック杆53・53の左右中央側は操作具57の一端に当接して回動が規制されて、略水平方向に維持される。
【0044】
そして、操作具57の他端側を持ってバネ58の付勢力に抗して後方へ引っ張ると、フック杆53・53の一端から操作具57が外れ、フック杆53・53の他端は自重により下方へ回動する。このとき、フック杆53・53の他端の上部は、図5(b)、図6(b)に示すように支持ブラケット52の折り曲げ部52dがストッパーとなりその内面に当接し、フック杆53・53の他側のフック部53a・53aが下がり、フック杆53・53が下方へ傾斜した状態となる。つまり、収納袋59内に根菜がいっぱいになると、フック部53aに引っ掛けられた収納袋59の掛止具59aは緊張状態になっていて外し難いが、操作具57を引っ張り操作して、フック杆53・53の一端と操作具57との当接を解除すると、フック部53a・53aが下方に回動されて掛止具59a・59aを容易に外せるようにしている。即ち、左右のフック杆53・53の中央側で折れ曲がるため、フック部53a・53aの間隔が狭くなって緩められ、フック杆53・53自体を外すことなく容易に掛止具59a・59aを外すことができるのである。このとき、フック杆53・53の下方への回動は、ストッパーで停止されて鉛直となる位置まで下方に下がらず、収納袋59内の根菜に当り傷つくこともない。更に、収納袋59の付け替えが終了すると、操作具57の一端はバネ58により付勢され、フック杆53・53に当接しているだけなので、フック杆53・53を手で上方に持ち上げるだけで、元の位置で操作具57の一端側が押し込まれてフック杆53・53は掛止され、元の水平位置を維持することができる。
【0045】
このように、前記吊り下げアーム51の他端には、支持ブラケット52を介して収納袋59の掛止具59aを引っ掛けるためのフック杆53・53が取り付けられ、該フック杆53は、一端が支持ブラケット52に上下回動可能に支持され、他端が前記掛止具59aを引っ掛けるフック部53aが形成されるので、収納袋59に根菜が満杯になって、フック部53aより収納袋59を外す時に、フック杆53を下方に回動することにより容易に外すことができる。
【0046】
また、前記支持ブラケット52には、フック杆53の一端に当接して水平に維持する操作具57と、下方の回動を規制するストッパーが設けられるので、フック杆の回動を操作具57により容易に操作できるともに、ストッパーで下方への回動を規制できる。
【0047】
前記持ち上げコンベア40の後方には、補助作業者用座席7が配置されて、補助作業が補助作業者用座席7に着座して、持ち上げコンベア40により搬送される途中で収穫物を選別できるようにしている。前記補助作業者用座席7は持ち上げコンベア40の後方右側に配置され、左側には不良品を収納するためのコンテナの載置空間39が形成されている。つまり、載置空間39は、持ち上げコンベア40の後方であって、補助作業者用座席7と残葉処理部8(抜き上げ移送装置11)との間に形成されている。そして、載置空間39の後方は開放されているため、不良品収納コンテナは後方に容易に降ろすことが可能となっている。
【0048】
このように、前記選別コンベア部4の後方に、補助作業者用座席7と不良品収納コンテナの載置空間39が設けられるため、選別コンベア部4に近接して不良品収納用のコンテナを配置でき、不良品は不良品収納用コンテナに収納して、選別コンベア部4を流れる根菜の選別が容易に行える。また、不良品を収納したコンテナは後方への排出が容易にできる。また、補助作業者は抜き上げ作業部3や選別コンベア部4よりできるだけ離れた位置に着座できるため、埃等がかかることを低減できる。
【0049】
また、前記選別コンベア部4の終端下方、つまり、袋吊り具50の下方には、収穫物載せ台60が機体フレーム1に対して上下回動可能に配置されている。
【0050】
収穫物載せ台5は、支持台61と昇降台62と昇降シリンダ63等を備える。支持台61は四角形の枠状に形成され上下方向に立てた状態で左右方向に延設される。支持台61の左下部が、運転操作部6の後側部において前後方向の支持軸を介して機体フレーム1に対して上下に回動可能に支持される。つまり、収穫物載せ台5は上方に回動することにより収納状態とすることができる。支持台61の後下部に左右方向の支持軸を介して昇降台62の前部が回動可能に支持されている。昇降台62は平面視略四角形状に形成されて、昇降台62の左前部と支持台61との間に昇降シリンダ63が介装されている。
【0051】
前記昇降シリンダ63は、収穫物載せ台5の機体内側前部に配置されている。つまり、昇降シリンダ63は支持台61の左側後部に上下方向に配置され、ピストンロッド先端が昇降台62に連結されている。こうして、昇降シリンダ63が収納袋59の排出に邪魔にならず、また、収穫物載せ台5を上方に回動して収納する時に邪魔にならないようにしている。
【0052】
そして、該昇降シリンダ63を昇降操作する昇降スイッチ64が運転操作部6に配置され、詳しくは、昇降スイッチ64は図2に示すように、運転席18後部の持ち上げコンベア用昇降スイッチ49近傍に配置されている。そして、収納袋59が収穫物(主根)でいっぱいになると、袋吊り具50より外して、昇降シリンダ63を作動させて昇降台62の後側を下げることにより、容易に収納袋59を収穫物載せ台60から降ろすことができるのである。
【符号の説明】
【0053】
4 選別コンベア部
8 残葉処理部
11 抜き上げ移送装置
13 茎葉切断装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体の左側に前後方向に設けられて、根菜を引き抜き、後上方へ搬送する抜き上げ移送装置と、
抜き上げ移送装置の後下方に配置されて根菜の茎葉部を切断する茎葉切断装置と、
茎葉切断装置の下方に配置されて切断後の主根に残る残葉を除去する残葉処理部と、
残葉処理後の主根を右側方へ搬送し、搬送途中で選別を行う選別コンベア部を備える根菜収穫機において、
前記残葉処理部は、抜き上げ移送装置の後下方で前後方向に配置して前方へ搬送しながら残葉を処理し、
該残葉処理部の前側部下方に選別コンベア部の始端部を配置したことを特徴とする根菜収穫機。
【請求項2】
前記選別コンベア部の後方に、補助作業者用座席と不良品収納コンテナの載置空間を設けたことを特徴とする請求項1に記載の根菜収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−183020(P2012−183020A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48167(P2011−48167)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】