格納式支持装置
【課題】格納ピットへ格納可能に構成した場合でも、倒れ強度を十分に確保することができると共に、長尺で大重量の被作業物を上昇下降可能に構成された格納式支持装置を提供すること。
【解決手段】格納ピットPに固定された固定フレーム10には、中間フレーム20がリニアガイド機構40(案内レール41、スライダ42)を介して上昇下降自在に支持され、中間フレーム20には、移動フレーム30がリニアガイド機構50(案内レール51、スライダ52)を介して上昇下降自在に支持される。これにより、格納ピットP内に格納可能に構成した場合でも、各フレーム10,20,30の重なり代を大きくして、倒れ強度を十分に確保することができる。また、複数の移動フレーム30が被作業物の複数の箇所を分散支持する構成であるので、長尺で大重量の被作業物であっても確実に上昇下降させることができる。
【解決手段】格納ピットPに固定された固定フレーム10には、中間フレーム20がリニアガイド機構40(案内レール41、スライダ42)を介して上昇下降自在に支持され、中間フレーム20には、移動フレーム30がリニアガイド機構50(案内レール51、スライダ52)を介して上昇下降自在に支持される。これにより、格納ピットP内に格納可能に構成した場合でも、各フレーム10,20,30の重なり代を大きくして、倒れ強度を十分に確保することができる。また、複数の移動フレーム30が被作業物の複数の箇所を分散支持する構成であるので、長尺で大重量の被作業物であっても確実に上昇下降させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、格納式支持装置に関し、特に、格納ピットへ格納可能に構成した場合でも、倒れ強度を十分に確保することができると共に、長尺で大重量の被作業物を上昇下降可能に構成された格納式支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フォークリフト等を使用して貨物を荷台に積み込み、荷台を上昇下降させる支持装置としては、例えば、特許文献1に記載の支持装置が知られている。この支持装置は、床面に出入口を開口した収納ピットと、この収納ピットの底部に配設された固定ベースと、この固定ベース上に昇降機構を介して出入口から出没可能に昇降され、貨物を搬出入する作業ベッドとを備え、作業ベッドが荷台を備えると共に、荷台には、センタピボットや駆動タイヤが荷台上面から出没自在に設けられている。
【0003】
この支持装置によれば、航空機に搬出入される貨物の荷役作業を行う航空貨物用荷役装置として構成され、例えば、荷台上にフォークリフトを直接乗り入れることで、床面と航空機との間での貨物の搬出入を行うことができる他、駆動タイヤを回転駆動することによっても、貨物の搬出入を行うことができる。
【特許文献1】特公平7−53530号公報(第2頁、図1乃至図4など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の支持装置では、作業ベッド(荷台)全体を上昇下降させる構成であるので、例えば、工場の生産設備において、20mを超えるような長尺で大重量のワーク(被作業物)を上昇下降させる場合、作業ベッド自身が大型化して重量増となるため、上昇下降駆動が極めて困難になるという問題点があった。
【0005】
これに対し、本願発明者は、上述の問題点を解決するべく鋭意検討した結果、複数の支持装置ユニットによって被作業物の複数箇所を分散支持することで、長尺で大重量の被作業物を上昇下降させる構成に想到した(本出願時において未公知)。
【0006】
この場合、工場の作業スペース上に複数の支持装置を設置すると、その分、作業スペースの面積減少を招くと共に、搬送車両の走行や各種作業の妨げとなるため、本願発明者は、床面に格納ピットを掘り、各支持装置を格納可能に構成することで、床面に作業スペースを確保し得ることを見出した。
【0007】
しかしながら、格納ピット内へ格納可能な構成とした場合には、床面上に設置する場合と比較して、格納ピットの深さ分だけ上昇下降ストロークを長くする必要があるため、その分、支持装置の倒れ強度を確保することが困難になるという問題点があった。
【0008】
一方、格納ピットの深さに制限(例えば、地下水の湧出など)を受ける場合には、その分、上昇下降ストロークを短縮しなければ、格納ピット内に装置全体を格納することができないという問題点があった。
【0009】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、格納ピットに格納可能に構成した場合でも、倒れ強度を十分に確保することができると共に、長尺で大重量の被作業物を上昇下降可能に構成された格納式支持装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、請求項1記載の格納式支持装置は、床面に出入口を開口する格納ピットの格納空間内に固定される固定フレームと、前記固定フレームに第1直線案内機構を介して上昇下降自在に支持される中間フレームと、前記中間フレームに第2直線案内機構を介して上昇下降自在に支持される移動フレームと、前記移動フレームを上昇下降駆動する駆動手段とを有する支持装置ユニットを備え、前記支持装置ユニットは、前記移動フレームが前記駆動手段によって上昇下降駆動されると、上昇行程及び下降工程の一部で前記中間フレームが前記移動フレームに従動されつつ、前記移動フレームが前記出入口から出没されると共に、前記移動フレームが最下降位置まで下降されると、前記移動フレームと前記中間フレームとが前記格納ピットの格納空間内に格納されるように構成されている。
【0011】
請求項2記載の格納式支持装置は、請求項1記載の格納式支持装置において、前記支持装置ユニットが対に配設されると共に、被作業物を搬送する搬送車両が前記対に配設された支持装置ユニットの間に入庫可能に構成されている。
【0012】
請求項3記載の格納式支持装置は、請求項2記載の格納式支持装置において、前記対に配設された支持装置ユニットは、前記移動フレーム側を互いに相手に対向させて配設されている。
【0013】
請求項4記載の格納式支持装置は、請求項2又は3に記載の格納式支持装置において、前記対に配設された支持装置ユニットが複数並設されて複数の列が形成されると共に、前記各列の前記対に配設された支持装置ユニットの間に前記搬送車両が入庫可能に構成されている。
【0014】
請求項5記載の格納式支持装置は、請求項1から4のいずれかに記載の格納式支持装置において、前記第1直線案内機構及び第2直線案内機構は、前記上昇下降の方向に沿って直線状に延設され両側部に転動体転動溝を有する案内レールと、前記案内レールの転動体転動溝に対向する転動体転動溝を有すると共にこれら両転動体転動溝の間に装填された多数の転動体を介して前記案内レールに案内されて相対移動するスライダとを備えるリニアガイド機構として構成されている。
【0015】
請求項6記載の格納式支持装置は、請求項5記載の格納式支持装置において、前記第1直線案内機構は、前記案内レールを前記中間フレームに配設すると共に、前記スライダを前記固定フレームに配設して構成され、前記固定フレームは、前記格納ピットの側壁に吊り下げ支持されている。
【0016】
請求項7記載の格納式支持装置は、請求項1から6のいずれかに記載の格納式支持装置において、前記駆動手段は、前記上昇下降の方向に軸芯を一致させ外周面に螺旋状のねじ溝を有するねじ軸と、前記ねじ軸のねじ溝に対応する螺旋状のねじ溝を内周面に有し前記ねじ軸に嵌合されたナットと、前記ナット及びねじ軸の両ねじ溝の間に転動可能に装填された多数の転動体と、前記ねじ軸を回転駆動する電動モータとを備えると共に、前記ナットが前記移動フレームに配設され、前記ねじ軸が前記電動モータにより回転駆動されることで、前記ナットを介して前記移動フレームが上昇下降するように構成されている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の格納式支持装置によれば、最下降位置にある移動フレームが駆動手段により上昇駆動されると、移動フレームは、第2直線案内機構によって案内されつつ、中間フレーム及び固定フレームに対して上昇される。移動フレームが駆動手段により更に上昇駆動され、第2直線案内機構が案内終点に達すると、移動フレームは、中間フレームを従動させつつ、即ち、第2直線案内機構及び中間フレームを介して、第1直線案内機構によって案内されつつ、固定フレームに対して上昇され、第1直線案内機構が案内終点(移動フレームが最上昇位置)に達する。その結果、移動フレームの少なくとも一部又は全部が格納ピットの出入口から床面上方に出現されると共に上昇され、かかる移動フレームによって、例えば、床面や搬送車両の荷台に載置されている被作業物を上昇移動させることができる。
【0018】
一方、最上昇位置にある移動フレームが駆動手段により下降駆動されると、移動フレームは、中間フレームを従動させつつ、即ち、第2直線案内機構及び中間フレームを介して、第1直線案内機構によって案内されつつ、固定フレームに対して下降される。移動フレームが駆動手段により更に下降駆動され、第1直線案内機構が案内終点に達すると、移動フレームは、第2直線案内機構によって案内されつつ、中間フレーム及び固定フレームに対して下降され、第2直線案内機構が案内終点(移動フレームが最下降位置)に達する。その結果、移動フレームによって上昇移動されていた被作業物が床面や搬送車両の荷台に載置されると共に、移動フレーム及び中間フレームが格納ピットの格納空間内に格納される。
【0019】
このように、本発明の格納式支持装置によれば、移動フレームを最下降位置まで下降駆動することで、移動フレーム等を格納ピットの格納空間内に格納可能に構成したので、支持装置ユニットを例えば工場の作業スペースに複数設置した場合でも、作業スペースの面積減少を回避することができると共に、各支持装置ユニットが搬送車両の走行や各種作業の妨げとなることも回避することができるという効果がある。
【0020】
ここで、支持装置ユニットを格納ピット内に格納可能な構成とする場合、床面上に設置する場合と比較して、移動フレームの床面からの上昇位置を同じレベルとするためには、格納ピットの深さ分だけ上昇下降ストロークをより長くする必要があり、その分、被作業物を支持する際の倒れ強度を確保することが困難になる。
【0021】
これに対し、本発明の格納式支持装置によれば、移動フレームと固定フレームとの間に中間フレームを配設すると共に、この中間フレームが上昇行程及び下降工程のそれぞれ一部で移動フレームに従動する構成としたので、倒れ強度を十分に確保して、重量物の上昇下降を可能とすることができるという効果がある。
【0022】
即ち、支持装置ユニットを格納ピット内に格納可能な構成とするためには、移動フレームの高さ寸法を格納ピット(格納空間)の深さ寸法以上に高く(長く)することはできない。また、固定フレームに対して移動フレームのみが上昇下降する(即ち、中間フレームを省略する)構成にあっては、移動フレームの高さ寸法は、移動フレームを固定フレームが支持するための支持寸法(即ち、移動フレームと固定フレームとの高さ寸法方向における重なり代)と、床面から移動フレームが上昇可能な上昇寸法(即ち、被作業物を床面から持ち上げ可能な高さ寸法)との合算値となる。
【0023】
そのため、移動フレームの高さ寸法(即ち、格納ピットの深さ寸法)を10と仮定した場合に、倒れ強度を確保するべく、例えば、上記支持寸法を5に設定すると、上記上昇寸法が5となるため、被作業物を持ち上げ可能な高さ寸法が不足する。一方、被作業物を持ち上げ可能な高さ寸法を確保するべく、例えば、上記上昇寸法を9に設定すると、上記支持寸法が1となり、両フレームの重なり代が不足するため、倒れ強度の低下を招き、重量物の上昇下降駆動が不可能となる。
【0024】
これに対し、本発明の格納式支持装置によれば、上述のように、移動フレームと固定フレームとの間に中間フレームを従動可能に配設したので、これら移動フレームと中間フレームとの高さ寸法をそれぞれ10に設定し、合計20を使用することができる。
【0025】
即ち、固定フレームに対する中間フレームの上記支持寸法を5に、中間フレームに対する移動フレームの上記支持寸法を5に、それぞれ設定した場合でも、中間フレーム自体の上記上昇寸法を5とし、かつ、中間フレームに対する移動フレームの相対的な上記上昇寸法を5とすることができるので、移動フレームの合計としての上記上昇寸法を10とすることができる。
【0026】
よって、被作業物の床面からの持ち上げ可能高さを十分に確保しつつも、倒れ強度の大幅な向上を図り、重量物の上昇下降を可能とすることができる。言い換えれば、被作業物を持ち上げ可能な高さ寸法が同一であれば、格納ピットの深さ寸法をより浅くすることができるので、格納ピットの深さ寸法に制限を受ける場合(例えば、地下水が漏出する場合)でも、支持装置ユニットを設置することができる。
【0027】
請求項2記載の格納式支持装置によれば、請求項1記載の格納式支持装置の奏する効果に加え、支持装置ユニットを対に配設すると共に、被作業物を搬送する搬送車両を前記対に配設された支持装置ユニットの間に入庫可能に構成したので、被作業物の受け渡しを、例えば、無人の搬送車両を用いて自動化することができ、これにより、被作業物の受け渡しを安全に行うことができるという効果がある。
【0028】
即ち、比較的大型の製品を製造する工場では、工場内を複数の作業スペースに区画し、例えば、第1の作業スペース上で被作業物に対して第1の作業工程を実施し、次いで、被作業物を第1の作業スペース上から第2の作業スペース上に搬送して第2の作業工程を実施する。そして、被作業物を所定の作業スペース上に順次搬送させつつ、所定の作業工程を順次実施することで、製品を製造する。
【0029】
この場合、被作業物の搬送、即ち、各作業スペース間での被作業物の受け渡しには、従来、クレーンを使用することが一般的であった。しかしながら、クレーンによる搬送では、人為的な作業となるため危険が伴い、安全な搬送作業が困難であった。
【0030】
これに対し、本発明の格納式支持装置によれば、例えば、他の作業スペースから被作業物を搬送車両により搬入する場合には、搬送車両を対に配設された支持装置ユニットの間に入庫させ、搬送車両の車高を下げることにより、被作業物を移動フレーム上に載置する(或いは、両移動フレームを上昇駆動することで、被作業物を搬送車両の荷台上から持ち上げる)。そして、搬送車両を出庫させた後に、両移動フレームを下降駆動する。これにより、被作業物を床面(作業スペース)に載置して、各種作業工程を実施することができる。なお、移動フレーム(支持装置ユニット)は格納ピット内に格納されるので、作業スペースの面積減少や各種作業の妨げとなることが回避される。
【0031】
また、他の作業スペースに被作業物を搬出する場合には、両移動フレームを上昇駆動させ、被作業物を床面から持ち上げて支持する。そして、対に配置された支持装置ユニットの間に搬送車両を入庫させ、搬送車両の車高を上げる(或いは、両移動フレームを下降駆動する)。これにより、被作業物を搬送車両の荷台上に載置することができるので、搬送車両を出庫させ、被作業物を他の作業スペースに搬出することができる。なお、移動フレーム(支持装置ユニット)は格納ピット内に格納されるので、作業スペースの面積減少や搬送車両の走行の妨げとなることが回避される。
【0032】
このように、本発明の格納式支持装置によれば、被作業物の搬出入を無人の搬送車両を用いて自動化することができるので、被作業物の受け渡し作業の安全を確保することができる。
【0033】
また、対に配置された支持装置ユニットの間に搬送車両を入庫させることができるので、搬送車両の荷台上に載置された被作業物を両移動フレームの中央に位置させることができる。これにより、被作業物を両側から均等に支持することができるので、かかる被作業物の上昇下降及び支持を安定した状態で行うことができる。
【0034】
請求項3記載の格納式支持装置によれば、請求項2記載の格納式支持装置の奏する効果に加え、対に配設された支持装置ユニットは、移動フレーム側を互いに相手に対向させて配設されているので、中間フレームに阻害されることなく、移動フレームを搬送車両により近接させることができるという効果がある。その結果、移動フレームにより被作業物を支持する際の支持位置に自由度を持たせることができるという効果がある。
【0035】
また、移動フレーム側を互いに相手に対向させる配置であれば、搬送車両の乗り入れ領域(入庫領域)が格納ピット領域と重なることを回避することができるので、床面(格納ピットの天井面)の強度を別途補強する等の作業を不要として、設置コストの削減を図ることができるという効果がある。
【0036】
請求項4記載の格納式支持装置によれば、請求項2又は3に記載の格納式支持装置の奏する効果に加え、対に配設された支持装置ユニットを複数並設して複数の列を形成すると共に、各列の対に配設された支持装置ユニットの間に搬送車両を入庫可能に構成したので、被作業物が長尺で大重量に構成される場合であっても、かかる被作業物の上昇下降及び支持を行うことができるという効果がある。
【0037】
即ち、従来の支持装置のように、作業ベッド(荷台)全体を上昇下降させる構成では、例えば、20mを超えるような長尺で大重量の被作業物を上昇下降させようとすると、作業ベッド自身が大型化して重量増となるため、上昇下降駆動が極めて困難になる。
【0038】
これに対し、本発明の格納式支持装置によれば、対に配設された支持装置ユニットが複数の列を形成する構成であるので、被作業物が長尺で大重量であっても、かかる被作業物の複数箇所を分散支持して、その上昇下降及び支持を確実に行うことができる。
【0039】
その結果、被作業物が長尺で大重量であっても、その被作業物の受け渡しを無人の搬送車両を用いて自動化することができ、これにより、被作業物の受け渡しを安全に行うことができる。
【0040】
また、本発明の格納式支持装置のように、対に配設された支持装置ユニットで複数の列を形成する構成であれば、被作業物の大きさに応じた効率的な上昇下降及び支持を行うことができるという効果がある。
【0041】
例えば、対に配設された支持装置ユニットを6列配置した場合に、被作業物の長さ寸法が短い場合には、全ての支持装置ユニットを稼働させる必要はなく、被作業物の長さ寸法に応じた支持装置ユニットのみ(例えば3列分のみ)を上昇下降駆動することで、無駄な上昇下降駆動を抑制して、消費エネルギーや制御コストの削減を図ることができる。
【0042】
また、このように、被作業物の長さ寸法等に応じて稼働する支持装置ユニットを適宜変更することができれば、工場の作業工程においては、大小異なる寸法の被作業物を混在させることができる。これにより、工場設備(支持装置)の組み替え等を行うことを不要として、設備コストの削減を図ることができる。
【0043】
請求項5記載の格納式支持装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載の格納式支持装置の奏する効果に加え、第1直線案内機構及び第2直線案内機構は、案内レールと、その案内レールに転動体を介して案内されて相対移動するスライダとを備えるリニアガイド機構として構成されているので、支持装置ユニット全体としての構造を簡素化して製品コストを抑制することができるという効果がある。
【0044】
更に、リニアガイド機構として構成することで、固定フレームに対して中間フレーム及び移動フレームを、上昇下降方向には高精度に案内しつつ、上昇下降方向と異なる方向には強固に拘束することができるので、支持装置ユニット全体としての倒れ強度の大幅な向上を図ることができるという効果がある。
【0045】
請求項6記載の格納式支持装置によれば、請求項5記載の格納式支持装置の奏する効果に加え、第1直線案内機構は、案内レールを中間フレームに配設すると共に、スライダを固定フレームに配設して構成され、固定フレームは、格納ピットの側壁に吊り下げ支持されているので、固定フレームの高さ寸法を短くして、その分、材料コストの削減を図ることができるという効果がある。その結果、格納式支持装置全体としての製品コストの削減を図ることができる。
【0046】
即ち、固定フレームに案内レールを配設した場合には、中間フレームを格納ピットの底部まで案内可能とするべく、固定フレームの高さ寸法(案内レールの長さ寸法)を格納ピットの深さ寸法と同等に形成することを要する。これに対し、固定フレームにスライダを配設する構成であれば、固定フレームの上方部にスライダが配設されていても、中間フレームを格納ピットの底部まで案内することができる。
【0047】
そして、固定フレームが格納ピットの側壁に吊り下げ支持されていれば、固定フレームの下方部(即ち、スライダよりも下方側)を不要とすることができるので、かかる不要分を省略することで、材料コストの削減を図ることができるのである。
【0048】
請求項7記載の格納式支持装置によれば、請求項1から6のいずれかに記載の格納式支持装置の奏する効果に加え、駆動手段は、ねじ軸と、ナットと、それらナット及びねじ軸の両ねじ溝に装填される転動体と、ねじ軸を回転駆動する電動モータとを備えると共に、ナットが移動フレームに配設されているので、ねじ軸を電動モータにより回転駆動することで、ナットを介して移動フレームを上昇下降させることができる。
【0049】
これにより、支持装置ユニットが対に配設された場合、更には、対に配設された支持装置ユニットが複数並設されて複数の列が形成されている場合において、これら複数の支持装置ユニットを同時に上昇下降させる場合でも、各支持装置ユニットの同期精度を確保することができる。これにより、複数の支持装置ユニット1により被作業物を複数の支持点で分散支持する場合でも、被作業物Wの変形等を招くことなく、かかる被作業物を安定した状態で上昇下降させることができる。
【0050】
即ち、駆動手段を油圧シリンダ等の油圧式で構成すると、複数の支持装置ユニットにより被作業物を複数の支持点で分散支持しつつ上昇させる場合に、被作業物の重量が大きく作用する箇所では支持装置ユニット(駆動手段)が踏ん張って上昇駆動を遅らせてしまい、被作業物の重量が比較的作用しない箇所における駆動手段から先に上昇駆動を進行させようとするので、各支持装置ユニットの同期精度の悪化を招く。この同期精度の悪化は、被作業物の変形を招く。特に、長尺で大重量の被作業物Wにおいては自重による変形が顕著となる。
【0051】
これに対し、本発明の格納式支持装置によれば、駆動手段を上述のように構成したので、各支持装置ユニットの同期精度を確保することができ、これにより、被作業物を上昇下降及び支持する際には、かかる被作業物が変形することを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施の形態における格納式支持装置100を示す部分断面図である。また、図2(a)は、支持装置ユニット1の側面図であり、図2(b)は、図2(a)の矢印IIb方向から視た支持装置ユニット1の正面図である。また、図3は、図2(a)の矢印III方向から視た支持装置ユニット1の上面図である。
【0053】
なお、図1は、図10の矢印I方向から格納式支持装置100を視た図に対応する。また、図1から図3では、格納ピットPが凹設される土台部bのみが断面視されると共に、支持装置ユニット1が最上昇位置まで上昇駆動された状態が図示されている。
【0054】
まず、図1から図3を参照して、格納式支持装置100の概略構成について説明する。格納式支持装置100は、例えば、工場の生産現場において、搬送車両AGVとの間で被作業物(例えば、航空機用翼)の受け渡しを行うと共に、搬送車両AGVから受け取った被作業物の床面fへの取り降ろし、及び、床面fから搬送車両AGVへの被作業物の積み込みを行うための装置である(図12及び図13参照)。
【0055】
この格納式支持装置100は、図1に示すように、支持装置ユニット1が対に配設され、この対に配設された支持装置ユニット1の間に搬送車両AGVを入庫可能に構成されている。なお、対に配設された支持装置ユニット1は搬送車両AGVの走行方向(図1紙面垂直方向)に沿って複数が並設されており、これにより、複数の列を形成している(図10参照)。
【0056】
支持装置ユニット1は、図1から図3に示すように、床面fに出入口90を開口する格納ピットPの格納空間91内に配設されており、出入口90から出没可能に構成されると共に格納可能に構成されている(図9参照)。
【0057】
この支持装置ユニット1は、図1から図3に示すように、格納空間91内に固定される固定フレーム10と、その固定フレーム10にリニアガイド機構40を介して上昇下降自在に支持される中間フレーム20と、その中間フレーム20にリニアガイド機構40を介して上昇下降自在に支持される移動フレーム30と、その移動フレーム30を上昇下降駆動する駆動装置60とを主に備えている。
【0058】
リニアガイド機構40は、固定フレーム10と中間フレーム20とを連結する連結機構としての役割と、固定フレーム10に対する中間フレーム20の上昇下降を案内する案内機構としての役割とを併せ持つ部位であり、図1から図3に示すように、中間フレーム20に配設される2本の案内レール41と、固定フレーム10に配設される4個のスライダ42とを備えている。
【0059】
同様に、リニアガイド機構50は、中間フレーム20と移動フレーム30とを連結する連結機構としての役割と、中間フレーム20に対する移動フレーム30の相対的な上昇下降を案内する案内機構としての役割とを併せ持つ部位であり、図1から図3に示すように、中間フレーム20に配設される2本の案内レール51と、移動フレーム30に配設される4個のスライダ52とを備えている。
【0060】
なお、各案内レール41,51は、中間フレーム20及び移動フレーム30の上昇下降方向(図2上下方向)に沿って直線状に延設され、その両側部には、転動体転造溝(図示せず)が前記上昇下降方向に沿って延設されている。この転動体転造溝に対応して、各スライダ42,52の内側部にも転動体転動溝(図示せず)が延設されており、これら両転動体転動溝の間には、多数の転動体が装填されている。
【0061】
これにより、各スライダ42,52は、多数の転動体を介して、各案内レール41,51に案内されて相対移動される。その結果、中間フレーム20は、リニアガイド機構40を介して、固定フレーム10に対して上昇下降自在とされ、移動フレーム30は、リニアガイド機構50を介して、中間フレーム20に対して相対的に上昇下降自在とされる。
【0062】
駆動装置60は、移動フレーム30を上昇下降駆動するための装置であり、図1から図3に示すように、ねじ軸61と、そのねじ軸61に嵌合されるナット62(図7及び図8参照)と、ねじ軸61を回転駆動させるための電動モータ63とを主に備えている。
【0063】
この駆動装置60によれば、ねじ軸61を電動モータ63により回転駆動することで、ナット62を介して移動フレーム30を上昇下降させることができる。なお、上昇下降動作の詳細構成については後述する(図8参照)。
【0064】
次いで、図4及び図5を参照して、支持装置ユニット1を構成する固定フレーム10について説明する。図4は、固定フレーム10の上面図である。また、図5(a)は、図4のV−V線における固定フレーム10の側断面図であり、図5(b)は、図5(a)の矢印Vb方向から視た固定フレーム10の正面図である。
【0065】
固定フレーム10は、上述したように、格納ピットPの格納空間91内に固定される部材であり、図4及び図5に示すように、本体部11と、その本体部11を格納ピットP内に支持固定する支持固定部12と、本体部11にスライダ42を固定するスライダ固定部13とを主に備えて構成されている。
【0066】
本体部11は、固定フレーム10の骨格をなす部位であり、図5(a)及び図5(b)に示すように、鉄鋼材料から側面視逆L字状かつ正面視矩形枠状に構成されている。即ち、本体部11は、図4に示すように、その背面側(図4左側)から一対の延設部が延設されており、これにより、本体部11の上面視形状が略コ字状とされている。
【0067】
本体部31の背面側には、図5(a)に示すように、下端部(図5a下側端)と延設端部(図5(a)左側端)とを接続する補強部11aが配設されており、これにより、本体部11の剛性強度が確保されている。
【0068】
本体部31の上面側(図4紙面手前側)には、図4及び図5に示すように、モータ保持部71が配設されている。このモータ保持部71は、電動モータ63等を保持固定するための部位であり(図8参照)、鉄鋼材料から平板状に構成されている。
【0069】
本体部31の下面側(図5下側)には、図5に示すように、支持柱72が配設され、支持柱72の下端(図5下側)には、ねじ軸保持部73が配設されている。また、本体部31の正面側(図5(a)右側)には、図4及び図5に示すように、変換機構保持部74が配設されている。
【0070】
支持柱72は、ねじ軸保持部73を格納ピットPの底部に位置させるための部材であり、鉄鋼材料から円柱状に構成され、図5に示すように、本体部31の下面から格納ピットPの底面近傍まで延設されている。
【0071】
ねじ軸保持部73は、ねじ軸61を回転可能に保持するための部位であり、図5に示すように、支持柱72の下端(図5下側)に配設されている。ねじ軸保持部73の上面には、ボールベアリング(図示せず)が配設され、このボールベアリングを介して、ねじ軸61がねじ軸保持部73に回転可能に保持される(図8参照)。
【0072】
変換機構保持部74は、ねじ軸61を回転させる回転軸変換部65を保持固定するための部位であり(図8参照)、図4及び図5に示すように、鉄鋼材料から平板状に構成されている。なお、変換機構保持部74の板面には、図4に示すように、孔部が穿設され、ねじ軸保持部73に保持されたねじ軸73が挿通可能に構成されている。
【0073】
支持固定部12は、上述したように、本体部11を格納ピットP内に支持固定するための部位であり、図4及び図5に示すように、本体部11の幅方向(図4上下方向)端面に配設される立設壁部12aと、その立設壁部12bから外方へ向けて張り出す張出壁部12bと、これら両壁部12a,12bを連結する連結リブ12cとを備えると共に、これら各部材12a〜12cが鉄鋼材料から構成されている。
【0074】
図4及び図5に示すように、格納ピットPの格納空間91は、出入口90側(図5(b)上側)の幅寸法が拡幅され、この拡幅により、段差部91aが形成されている。この段差部91a内には、支持固定部12の立設壁部12aから張り出した張出壁部12bが入り込んでいる。
【0075】
また、格納ピットPの段差部91aには、図5(b)に示すように、締結ボルト92が上方へ向けて立設されている。この締結ボルト92は、基部が土台部bに埋設固定されると共に、中間部には、支持固定部12の張出壁部12bが締結ナット93により締結固定されている。
【0076】
締結ボルト92は、各段差部91aに2本ずつ合計4本が埋設され、図4に示すように、張出壁部12bの長手方向(図4左右方向)両端に締結されている。その結果、固定フレーム10は、締結ボルト92を介して、格納ピットPの格納空間91内に4点で吊り下げ支持されている。
【0077】
このように、本実施の形態では、締結ボルト92を介して固定フレーム10を吊り下げ支持する構成としたので、締結ナット93の締結位置を変更することで、固定フレーム10の高さ位置や水平度を容易に調整することができる。その結果、設置コストの削減を図ることができる。
【0078】
スライダ固定部13は、上述したように、本体部11にスライダ42を固定するための部位であり、図4及び図5に示すように、鉄鋼材料から細幅の板状体に構成されている。スライダ固定部13は、その長手方向を中間フレーム20の上昇下降方向(図5(b)上下方向)に沿わせつつ、本体部11の正面側(図5(b)紙面手前側)に一対が配設されている。
【0079】
スライダ固定部13の長手方向(図5(b)上下方向)両端部には、図5に示すように、スライダ42が配設されている。スライダ42は、上述したように、中間フレーム20の背面側(図6(a)左側)に配設される案内レール41と共にリニアガイド機構40を構成するための部材であり(図2参照)、図示しない転動体を介して、案内レール41に案内されて相対移動する。
【0080】
ここで、4個のスライダ42の内の図5上下方向に隣接するもの同士は、図5(a)に示すように、離間寸法L1だけ離間されている。この離間寸法L1は、固定フレーム10が中間フレーム20を支持するための支持寸法(即ち、固定フレーム10と中間フレーム10との高さ方向における重なり代、図9参照)に対応する。なお、格納ピットP(格納空間91)は、深さ寸法Dで床面fから凹設されている。
【0081】
次いで、図6を参照して、支持装置ユニット1を構成する中間フレーム20について説明する。図6(a)は、中間フレーム20の上面図であり、図6(b)は、図6(a)の矢印VIa方向から視た中間フレーム20の側面図であり、図6(c)は、図6(a)の矢印VIb方向から視た中間フレーム20の正面図である。
【0082】
中間フレーム20は、上述したように、背面側(図4左側)が固定フレーム10にリニアガイド機構40を介して上昇下降自在に支持されると共に、正面側(図4右側)にリニアガイド機構50を介して移動フレーム30が上昇下降自在に支持される部材であり、図6に示すように、本体部21と、係合張出部22とを主に備えて構成されている。
【0083】
本体部21は、中間フレーム20の骨格をなす部位であり、図6(b)及び図6(c)に示すように、鉄鋼材料から側面視I字状かつ正面視矩形枠状に構成されている。但し、正面視矩形枠状に構成された本体部21の枠内には、図6(c)に示すように、連結部21aが短辺と水平に配設され、この連結部21aにより本体部21の長辺が互いに連結されている。
【0084】
図6に示すように、本体部21には、その背面側(図6(a)左側)に一対の案内レール41が配設されると共に、正面側(図6(a)右側)にも更に一対の案内レール51が配設されている。これら各案内レール41,51は、本体部21の長辺に沿って、即ち、中間レール20の上昇下降方向に沿って配設されている。
【0085】
案内レール41,51は、上述したように、固定フレーム10及び移動フレーム30に配設されるスライダ42,52と共にリニアガイド機構40,50を構成するための部材であり(図2参照)、図示しない転動体を介して、スライダ42,52を案内して相対移動させる。
【0086】
なお、案内レール41,51は、図6(b)及び図6(c)に示すように、本体部21の下端から上端まで延設されると共に、長さ寸法L2に設定されている。この長さ寸法L2は、上述した格納ピットPの深さ寸法D(図5(a)参照)よりも若干小さな値とされている。
【0087】
係合張出部22は、移動フレーム30の係合受部32(図7参照)に係合することで、中間フレーム20を移動フレーム30の上昇下降に従動させるための部位である。この係合張出部22は、図6に示すように、本体部21の上面側(図6(a)紙面手前側)に配設されると共に、本体部21の正面側(図6(a)右側)に張り出して形成されている。
【0088】
例えば、移動フレーム30の上昇工程において、移動フレーム30が中間フレーム20に対して上昇され、リニアガイド機構50が案内終点に達すると(図9(c)参照)、中間フレーム20の係合張出部22が移動フレーム30の係合受部30に係合される。これにより、中間フレーム20が移動フレーム30の上昇に従動される(図9(d)及び図9(e)参照)。
【0089】
次いで、図7を参照して、支持装置ユニット1を構成する移動フレーム30について説明する。図7(a)は、移動フレーム30の上面図であり、図7(b)は、図7(a)の矢印VIIa方向から視た移動フレーム30の側面図であり、図7(c)は、図7(a)の矢印VIIb方向から視た移動フレーム30の正面図である。
【0090】
移動フレーム30は、上述したように、中間フレーム20の正面側(図6右側)にリニアガイド機構50を介して上昇下降自在に支持される部材であり、図7に示すように、本体部31と、係合受部32と、ナット保持部33とを主に備えて構成されている。
【0091】
本体部31は、移動フレーム30の骨格をなす部位であり、図7(b)及び図7(c)に示すように、鉄鋼材料から側面視I字状かつ正面視矩形枠状に構成されている。但し、正面視矩形枠状に構成された本体部31の枠内には、図7(c)に示すように、連結部31aが短辺と水平に配設され、この連結部31aにより本体部31の長辺が互いに連結されている。
【0092】
なお、移動フレーム30の高さ寸法(図7(c)上下方向寸法)は、中間フレーム20の高さ寸法(即ち、案内レール41,51の長さ寸法L2)と同じ寸法値に設定されている。
【0093】
本体部31の背面側(図7(a)左側)には、スライダ52が配設されている。スライダ52は、上述したように、中間フレーム20の正面側(図6(a)右側)に配設される案内レール51と共にリニアガイド機構50を構成するための部材であり(図2参照)、図示しない転動体を介して、案内レール51に案内されて相対移動する。
【0094】
ここで、4個のスライダ52の内の図7(c)上下方向に隣接するもの同士は、図7(b)に示すように、離間寸法L3だけ離間されている。この離間寸法L3は、中間フレーム20が移動フレーム30を支持するための支持寸法(即ち、中間フレーム10と移動フレーム30との高さ方向における重なり代、図9参照)に対応する。
【0095】
なお、本実施の形態では、スライダ52の離間寸法L3がスライダ42の離間寸法L1(図5参照)と同じ寸法値に設定されている。また、これら離間寸法L1,L3は、案内レール41,51の長さ寸法L2の半分の寸法値に設定されている(L1=L3=0.5L2)。
【0096】
係合受部32は、上述したように、中間フレーム20を移動フレーム30の上昇下降に従動させるために、中間フレーム20の係合張出部22(図6参照)に係合する部位であり、図7に示すように、連結部31aに配設されると共に、本体部21の背面側(図7(a)左側)に張り出して形成されている。
【0097】
ナット保持部33は、ナット62を保持固定するための部位であり、鉄鋼材料から平板状に構成され、本体部31の下端側壁(図7(a)上側及び図7(b)下側)に配設されると共に、本体部31の背面側(図7(a)左側)に張り出して形成されている。なお、ナット保持部33の2辺には、図7に示すように、連結リブ33aが配設され、剛性強度が確保されている。
【0098】
次いで、図8を参照して、支持装置ユニット1を構成する駆動装置60について説明する。図8は、支持装置ユニット1を模式的に示した側面図である。
【0099】
なお、図8では、図面を簡素化して理解を容易とするために、固定フレーム10が断面視されると共に、中間フレーム20の図示が省略されている。また、上昇状態及び下降状態にある2形態の移動フレーム30が2点鎖線を用いて図示されている。
【0100】
駆動装置60は、上述したように、移動フレーム30を上昇下降駆動するための装置であり、図8に示すように、ねじ軸61と、そのねじ軸61に嵌合されるナット62と、ねじ軸61を回転駆動するための電動モータ63とを主に備えている。
【0101】
ねじ軸61は、外周面に螺旋状のねじ溝(図示せず)を有する軸状体であり、図8に示すように、移動フレーム30の上昇下降方向(図8上下方向)に軸芯を一致させて配設されている。
【0102】
ねじ軸61の下端部(図8下側)は、上述したように、ボールベアリング(図示せず)を介して、ねじ軸保持部73に回転可能に保持されている。また、ねじ軸61の上端部(図8上側)は、変換機構保持部74の孔部(図4参照)に挿通され、回転軸変換部65に接続されている。
【0103】
ナット62は、ねじ軸61のねじ溝に対応する螺旋状のねじ溝を内周面に有する部材であり、図8に示すように、ねじ軸61に外嵌(嵌合)されている。ナット62及びねじ軸61の両ねじ溝の間には、多数の転動体(図示せず)が転動可能に装填されている。
【0104】
ナット62は、上述したように、移動フレーム30のナット保持部33上に保持固定されているので、ねじ軸61が正方向に回転駆動されると、螺旋状のねじ溝内に装填された転動体を介して、ナット62がねじ軸61に沿って上昇される。その結果、図8に示すように、移動フレーム30がナット62と共に上昇される。
【0105】
一方、ねじ軸61が逆方向に回転駆動されると、螺旋状のねじ溝内に装填された転動体を介して、ナット62がねじ軸61に沿って下降される。その結果、図8に示すように、移動フレーム30がナット62と共に下降される。
【0106】
なお、電動モータ63からねじ軸61までの回転力伝達経路中には、図8に示すように、減速装置64と、回転軸変換部65とが配設されている。減速装置64は、電動モータ63から入力された回転速度を所定の減速比で減速して出力するための装置であり、図8に示すように、モータ保持部71に保持固定されている。
【0107】
また、回転軸変換部65は、減速装置64から入力される回転軸の方向を90度変換してねじ軸61の回転軸の方向に一致させるための装置であり、図8に示すように、変換機構保持部74上に保持固定されている。なお、回転軸変換部65には、エンコーダ66が接続されており、ねじ軸61の回転数が計測可能に構成されている。
【0108】
次いで、図9を参照して、支持装置ユニット1の上昇下降動作について説明する。図9は、支持装置ユニット1の上昇下降動作を示した側面図であり、移動フレーム30が最下降位置と最上昇位置との間で上昇下降する様子が時系列的に図示されている。なお、図9では、図面を簡素化して理解を容易とするために、主要な構成のみに符号を付している。
【0109】
上述のように構成された支持装置ユニット1によれば、図9(a)に示すように、最下降位置にある移動フレーム30が駆動装置60により上昇駆動されると、移動フレーム30は、中間フレーム20との間に設けられたリニアガイド機構50(図2参照)によって案内されつつ、図9(b)に示すように、中間フレーム20及び固定フレーム10に対して上昇される。
【0110】
移動フレーム30が駆動装置60により更に上昇駆動され、図9(c)に示すように、移動フレーム30と中間フレーム20との間に設けられたリニアガイド機構50が案内終点に達すると、移動フレーム10の係合受部32(図7参照)と中間フレーム20の係合張出部22(図6参照)とが係合される。
【0111】
この係合により、移動フレーム30は、図9(d)に示すように、中間フレーム20を従動させつつ、即ち、中間フレーム20との間に設けられたリニアガイド機構50(図2参照)及び中間フレーム20を介して、中間フレーム20と固定フレーム10との間に設けられたリニアガイド機構40(図2参照)によって案内されつつ、固定フレーム10に対して上昇される。
【0112】
そして、移動フレーム30が駆動装置60により更に上昇駆動されると、図9(e)に示すように、中間フレーム20と固定フレーム10との間に設けられたリニアガイド機構40が案内終点に達し、移動フレーム30が最上昇位置まで上昇される。
【0113】
一方、図9(e)に示すように、最上昇位置にある移動フレーム30が駆動装置60により下降駆動されると、移動フレーム30は、図9(d)に示すように、上述した係合によって中間フレーム20を従動させつつ、即ち、中間フレームとの間に設けられたリニアガイド機構50(図2参照)及び中間フレーム20を介して、中間フレーム20と固定フレーム10との間に設けられたリニアガイド機構40(図2参照)によって案内されつつ、固定フレーム10に対して下降される。
【0114】
移動フレーム30が駆動装置60により更に下降駆動され、図9(c)に示すように、中間フレーム20と固定フレーム30との間に設けられたリニアガイド機構40が案内終点に達すると、上述した係合受部32と係合張出部22との係合が解除され、中間フレーム20の従動が終了される。
【0115】
その結果、移動フレーム30は、図9(b)に示すように、中間フレーム20との間に設けられたリニアガイド機構50(図2参照)によって案内されつつ、中間フレーム20及び固定フレーム10に対して下降される。
【0116】
そして、移動フレーム30が駆動装置60により更に下降駆動されると、図9(a)に示すように、移動フレーム30と中間フレーム20との間に設けられたリニアガイド機構50が案内終点に達し、移動フレーム30が最下降位置まで下降される。
【0117】
また、図9(a)に示すように、移動フレーム30が最下降位置まで下降されると、支持装置ユニット1が格納ピットPの格納空間91内に格納される。
【0118】
ここで、支持装置ユニット1を格納ピットPの格納空間91内に格納可能な構成とする場合には、床面f上に設置する場合と比較して、移動フレーム30の床面fからの上昇位置を同じレベルとするために、格納ピットPの深さ分だけ上昇下降ストロークをより長くする必要があり、その分、被作業物Wを支持する際の倒れ強度を確保することが困難になる。
【0119】
これに対し、本実施の形態における格納式支持装置100によれば、移動フレーム30と固定フレーム10との間に中間フレーム20を配設すると共に、この中間フレーム20が上昇行程及び下降工程のそれぞれ一部で移動フレーム30に従動する構成としたので、倒れ強度を十分に確保することができる。その結果、長尺で大重量の被作業物Wの上昇下降を可能とすることができる。
【0120】
即ち、支持装置ユニット1を格納ピットPの格納空間91内に格納可能とするためには、移動フレーム30の高さ寸法を格納ピットPの深さ寸法D(図5参照)以上に高く(長く)することはできない。また、固定フレーム10に対して移動フレーム30のみが上昇下降する(即ち、中間フレーム20を省略する)構成の場合、移動フレーム30の高さ寸法は、移動フレーム30を固定フレーム10が支持するための支持寸法(即ち、移動フレーム30と固定フレーム10との高さ寸法方向における重なり代)と、床面fから移動フレーム30が上昇可能な上昇寸法(即ち、被作業物Wを床面fから持ち上げ可能な高さ寸法)との合算値となる。
【0121】
そのため、移動フレーム30の高さ寸法(即ち、格納ピットの深さ寸法D)を10と仮定した場合に、倒れ強度を確保するべく、例えば、上記支持寸法を5に設定すると、上記上昇寸法が5となるため、被作業物Wを持ち上げ可能な高さ寸法が不足する。一方、被作業物Wを持ち上げ可能な高さ寸法を確保するべく、例えば、上記上昇寸法を9に設定すると、上記支持寸法が1となり、両フレームの重なり代が不足するため、倒れ強度の低下を招き、重量物の上昇下降駆動が不可能となる。
【0122】
これに対し、本実施の形態における格納式支持装置100によれば、上述のように、移動フレーム30と固定フレーム10との間に中間フレーム20を従動可能に配設したので、これら移動フレーム30と中間フレーム20との高さ寸法をそれぞれ10に設定し、合計20を使用することができる。
【0123】
即ち、固定フレーム10に対する中間フレーム20の上記支持寸法(即ち、離間距離L1、図5参照)を5に、中間フレーム20に対する移動フレーム30の上記支持寸法(即ち、離間距離L3、図7参照)を5に、それぞれ設定した場合でも、中間フレーム20自体の上記上昇寸法を5とし、かつ、中間フレーム20に対する移動フレーム30の相対的な上記上昇寸法を5とすることができるので、移動フレーム30の合計としての上記上昇寸法を10とすることができる。
【0124】
よって、被作業物Wの床面fからの持ち上げ可能高さを十分に確保しつつも、倒れ強度の大幅な向上を図り、重量物の上昇下降を可能とすることができる。また、言い換えれば、被作業物Wを持ち上げ可能な高さ寸法が同一であれば、格納ピットPの深さ寸法Dをより浅くすることができるので、格納ピットPの深さ寸法Dに制限を受ける場合(例えば、地下水が漏出する場合)でも、支持装置ユニット1を設置することができる。
【0125】
なお、本実施の形態では、案内レール41を中間フレーム20に配設すると共に(図6参照)、スライダ42を固定フレーム10に配設し(図5参照)、かつ、固定フレーム10を格納ピットPの側壁(段差部91a)に吊り下げ支持する構成としたので、固定フレーム10の高さ寸法を短くして、その分、材料コストの削減を図ることができ、その結果、格納式支持装置100全体としての製品コストの削減を図ることができる。
【0126】
即ち、固定フレーム10に案内レール41を配設すると共に中間フレーム20にスライダ42を配設した場合には、中間フレーム20を格納ピットPの底部まで案内可能とするべく(図9参照)、固定フレーム10の高さ寸法(案内レール41の長さ寸法)を格納ピットPの深さ寸法D(図5参照)と同等に形成することを要する。
【0127】
これに対し、本実施の形態のように、固定フレーム10にスライダ42を配設し、中間フレーム20に案内レール42を配設する構成であれば、固定フレーム10の上方部(図9上方部)にスライダ42が配設されていても、図9に示すように、中間フレーム20を格納ピットPの底部まで案内することができる。
【0128】
従って、固定フレーム10が格納ピットPの側壁(段差部91a)に吊り下げ支持されることで、固定フレーム10の下方部(即ち、スライダ42の配設位置よりも下方側)を不要とすることができる(図5参照)。これにより、かかる不要部分を構成するための部材を省略することで、材料コストの削減を図ることができるのである。
【0129】
次いで、図10及び図11を参照して、格納式支持装置100の電気的構成について説明する。図10は、格納式支持装置100の電気配線図であり、格納式支持装置100が配置された生産設備の上面図に対応する。なお、図10の矢印I方向から視た格納式支持装置100の正面図が図1に対応する。
【0130】
本実施の形態では、図10に示すように、1の格納式支持装置100が12個の支持装置ユニット1を備えて構成されている。また、この格納式支持装置100は、工場の生産現場に複数が配置されており、これら図示しない複数の格納式支持装置100は、それぞれ複数(例えば12個)の支持装置ユニット1を備えて構成されている。
【0131】
即ち、比較的大型の製品(例えば、航空機用翼)を製造する工場では、工場内を複数の作業スペースに区画し、例えば、第1の作業スペース上で被作業物Wに対して第1の作業工程を実施し、次いで、被作業物Wを第1の作業スペース上から第2の作業スペース上に搬送して第2の作業工程を実施する。そして、被作業物Wを所定の作業スペース上に順次搬送させつつ、所定の作業工程を順次実施することで、製品を製造する。なお、被作業物Wの搬出入方法については、後述する(図12及び図13参照)。
【0132】
格納式支持装置100は、図10に示すように、制御操作盤80、信号線95及び動力線96を備えている。制御操作盤80は、オペレータの操作指示に従って12個の支持装置ユニット1をそれぞれ個別に制御するための装置である。なお、詳細構成については、後述する(図11参照)。
【0133】
信号線95は、制御操作盤80から出力される制御信号を各支持装置ユニット1に送信すると共に、各支持装置ユニット1から出力されるエンコーダ66等の検出信号を制御操作盤80に送信するための信号線であり、動力線は、電動モータ63等を駆動するための駆動電力を各支持装置ユニット1に供給するための電力供給線である。
【0134】
これら信号線95及び動力線96は、土台部b(図1参照)内に埋設されつつ、図10に示すように、制御操作盤80と各支持装置ユニット1とを接続している。
【0135】
即ち、制御操作盤80から延出された信号線95及び動力線96は、図10に示すように、順次分岐されつつ、対に配設された支持装置ユニット1の内の一方の支持装置ユニット1(図10下側)に接続されると共に、その一方の支持装置ユニット1から更に延出されて、他方の支持装置ユニット1(図10上側)に接続されている。
【0136】
図11は、格納式支持装置100の電気的構成を示したブロック図である。なお、図11では、電力線96の図示が省略されている。
【0137】
制御操作盤80は、図11に示すように、CPU81、ROM82及びRAM83を備え、これらはバスライン84を介して入出力ポート85に接続されている。また、入出力ポート85には、電動モータ63等の複数の装置が接続されている。
【0138】
CPU81は、バスライン84により接続された各部を制御する演算装置である。ROM82は、CPU81により実行される制御プログラムや固定値データ等を格納した書き換え不能な不揮発性のメモリであり、RAM83は、制御プログラムの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリである。
【0139】
操作子86は、格納式支持装置100を駆動等する際にオペレータが操作する部位であり、例えば、上昇を指示するための上昇ボタン、下降を指示する下降ボタン、12個の支持装置ユニット1の内で上昇下降駆動を行わせる支持装置ユニット1を選択するための選択ボタン、或いは、無人での上昇下降を行うことを指示するためのオートモードボタンなどが含まれる。
【0140】
表示装置87は、各指示装置ユニット1の駆動状態や駆動モードの設定状態などを表示してオペレータに報知するための装置であり、LCD等により構成されている。なお、表示装置87には、各指示装置ユニット1の異常等を警告音によりオペレータに報知するためのスピーカ装置等も含まれる。
【0141】
電動モータ63は、上述したように、移動フレーム30を上昇下降駆動するためのアクチュエータ装置であり、CPU81は、後述するように、対応するエンコーダ66の検出結果に基づいて、各電動モータ63を上昇下降駆動する。
【0142】
なお、格納式支持装置100には、各支持装置ユニット1に1個ずつ合計12個の電動モータ63が配設されているが、図11では、その12個の内の3個の電動モータ63のみが図示されている。また、図11では、CPU81からの制御信号に基づいて電動モータ63を駆動制御する駆動回路の図示が省略されている。
【0143】
エンコーダ66は、上述したように、ねじ軸61の回転数を検出するためのセンサ装置であり(図8参照)、12個の電動モータ63に対応して、各支持装置ユニット1に1個ずつ合計12個が配設されている。但し、図11では、電動モータ63の場合と同様に、3個のみが図示されている。
【0144】
CPU81は、合計12個のエンコーダ66の検出結果(即ち、各ねじ軸61の回転数)を監視し、その検出結果に基づいて、各支持装置ユニット1における合計12本の移動フレーム30の現在位置をそれぞれ把握する。そして、各移動フレーム30の現在位置が目標位置と一致するように、対応する電動モータ63の駆動状態をそれぞれ個別に制御する。
【0145】
なお、本実施の形態では、格納式支持装置100の上昇下降工程において、合計12本の移動フレーム30に設定される目標位置はすべて同じ高さ位置である。即ち、上昇下降工程においては、合計12本の移動フレーム30の上端面(例えば、図1上側面)により形成される平面が床面fに対して平行を維持した状態のまま、各移動フレーム30が上昇下降するように制御される。
【0146】
ここで、本実施の形態における格納式支持装置100によれば、上述したように、ねじ軸61を電動モータ63により回転駆動することで、ナット62を介して移動フレーム30を上昇下降させるように構成したので(図8参照)、複数(12個)の支持装置ユニット1を同時に上昇下降させる場合でも、各支持装置ユニット1(移動フレーム30)の同期精度を確保することができる。これにより、複数の支持装置ユニット1により被作業物Wを複数の支持点で分散支持する場合でも、被作業物Wの変形等を招くことなく、安定した状態で上昇下降させることができる。
【0147】
即ち、駆動手段を油圧シリンダ等の油圧式で構成すると、複数の支持装置ユニット1により被作業物Wを複数の支持点で分散支持しつつ上昇させる場合に、被作業物Wの重量が大きく作用する箇所では駆動手段が踏ん張って上昇駆動を遅らせてしまい、被作業物Wの重量が比較的作用しない箇所における駆動手段から先に上昇駆動を進行させようとするので、各支持装置ユニットの同期精度の悪化を招く。
【0148】
この同期精度の悪化は、被作業物Wの支持平面(合計12本の移動フレーム30の上端面により形成される平面)を歪めることとなり、被作業物Wの変形を招く。特に、長尺で大重量の被作業物Wにおいては、その自重による変形が顕著となるため、被作業物Wの損壊を招く恐れもある。
【0149】
これに対し、本実施の形態における格納式支持装置100によれば、上述のように、電動モータ63等で構成したので、各支持装置ユニット1の同期精度を確保することができる。これにより、被作業物Wの支持平面(合計12本の移動フレーム30の上端面により形成される平面)が歪むことを抑制し、かかる支持平面を床面fと平行に保つことができるので、被作業物Wを上昇下降及び支持する際には(図12及び図13参照)、かかる被作業物Wの変形を回避することができる。
【0150】
図11に示す他の入出力装置88としては、例えば、中間フレーム20及び移動フレーム30の最下降位置をそれぞれ検出するためのリミットスイッチ(図示せず)などが例示される。
【0151】
図10に戻って説明する。格納式支持装置100は、図10に示すように、隣接する支持装置ユニット1同士が、移動フレーム30側を互いに相手に対向させて(図1参照)、対に配設されると共に、この対に配設された支持装置ユニット1が図10左右方向に複数並設されて複数の列(本実施の形態では6列)を形成している。
【0152】
また、対に配設された支持装置ユニット1からなる各列は、図10に示すように、互いに平行に配置されつつ図10左右方向に直線状に並設されている。そして、各列は、その対に配設された支持装置ユニット1の間に搬送車両AGVを入庫可能に構成されている(図1、図13及び図14参照)。
【0153】
これにより、本実施の形態における格納式支持装置100によれば、搬送車両AGVの荷台上に載置された被作業物Wを両側の移動フレーム30の対向間中央に位置させることができる(図1参照)。これにより、被作業物Wを両側から均等に支持することができるので、かかる被作業物Wの上昇下降及び支持を安定した状態で行うことができる。
【0154】
また、移動フレーム30側を互いに相手に対向させて配設することで、中間フレーム20に阻害されることなく、移動フレーム30を搬送車両AGV側へより近接させることができるので(図1参照)、その分、移動フレーム30により被作業物Wを支持する際の支持位置に自由度を持たせることができる。
【0155】
更に、移動フレーム30側を互いに相手に対向させる配置であれば、搬送車両AGVの乗り入れ領域(入庫領域)が格納ピットP領域と重なることを回避することができるので、床面f(即ち、格納ピットPの天井面)の強度を別途補強する等の作業を不要として、設置コストの削減を図ることができる。
【0156】
また、対に配設された支持ユニット1の間にAGVを入庫可能に構成することで、被作業物の受け渡し(搬出入)を、無人の搬送車両AGVを用いて自動化することができるので、かかる被作業物の受け渡し作業を安全に行うことができる。ここで、図12及び図13を参照して、格納式支持装置100による被作業物の搬出入(受け渡し)方法について説明する。
【0157】
図12は、被作業物Wの搬入方法を説明するための模式図であり、搬送車両AGVによって搬送された被作業物Wを作業スペース上に載置するまでの様子が時系列的に図示されている。
【0158】
一方、図13は、被作業物Wの搬出方法を説明するための模式図であり、床面f(作業スペース)上に載置された被作業物Wを搬送車両AGVによって他の作業スペースへ搬送する様子が時系列的に図示されている。
【0159】
なお、図12及び図13は、図10の矢印XII方向から格納式支持装置100を視た図に対応する。また、図12及び図13では、図面を簡素化して理解を容易とするために、各構成を簡略化して模式的に図示すると共に、主要な構成のみに符号を付している。
【0160】
まず、他の作業スペースから搬送車両AGVにより搬送された被作業物Wを搬入する場合には、図12(a)に示すように、各支持装置ユニット1を上昇駆動させた後、図12(b)に示すように、搬送車両AGVを対に配設された支持装置ユニット1の間に入庫させる。
【0161】
搬送車両AGVを入庫させた後は、図12(b)に示す状態から搬送車両AGVの車高を下げる。これにより、図12(c)に示すように、被作業物Wが支持装置ユニット1(移動フレーム30)に支持され、搬送車両AGVの荷台上から持ち上げられる。なお、この場合には、支持装置ユニット1を上昇駆動することにより、被作業物Wを搬送車両AGVの荷台上から持ち上げても良い。
【0162】
そして、図12(d)に示すように、搬送車両AGVを出庫させた後、支持装置ユニット1を下降駆動する。これにより、図12(e)に示すように、被作業物Wが床面f(作業スペース)に載置されるので、かかる被作業物Wに対して各種作業工程を実施することができる。
【0163】
また、この場合には、図12(e)に示すように、支持装置ユニット1が床面f(格納ピットP、図1参照)内に格納されるので、支持装置ユニット1が作業スペースの面積を減少させることや各種作業の妨げとなることを回避することができる。
【0164】
一方、被作業物Wに対する各種作業工程が完了し、かかる被作業物Wを他の作業スペースへ搬出する場合には、図13(a)に示す状態から支持装置ユニット1を上昇駆動させ、図13(b)に示すように、被作業物Wを床面f(作業スペース)上から持ち上げて支持する。
【0165】
被作業物Wを床面f(作業スペース)上から持ち上げた後は、図13(c)及び図13(d)に示すように、搬送車両AGVを対に配置された支持装置ユニット1の間に入庫させ、図13(e)に示すように、搬送車両AGVの車高を上げる。
【0166】
これにより、被作業物Wを搬送車両AGVの荷台上に載置することができるので、図13(f)に示すように、搬送車両AGVを出庫させ、被作業物Wを他の作業スペースに搬出する。
【0167】
なお、図13(d)に示す状態においては、支持装置ユニット1を下降駆動することで、被作業物Wを搬送車両AGVの荷台上に載置しても良い。また、搬送車両AGVの出庫後は、支持装置ユニット1を下降駆動して、床面f(格納ピットP、図1参照)内に格納する。これにより、支持装置ユニット1が作業スペースの面積を減少させることや搬送車両AGVの走行の妨げとなることを回避することができる。
【0168】
このように、本実施形態における格納式支持装置100によれば、被作業物Wの搬出入を無人の搬送車両AGVを用いて自動化することができるので、従来のクレーンを用いた人為的な作業による場合と比較して、被作業物Wの受け渡し作業の安全を確保することができる。
【0169】
また、従来の支持装置のように、作業ベッド(荷台)全体を上昇下降させる構成では、例えば、20mを超えるような長尺で大重量の被作業物Wを上昇下降させようとすると、作業ベッド自身が大型化して重量増となるため、上昇下降駆動が極めて困難になるという問題点があった。
【0170】
これに対し、本実施の形態における格納式支持装置100によれば、対に配設された支持装置ユニット1が複数の列を形成する構成であるので、被作業物Wが長尺で大重量であっても、かかる被作業物Wの複数箇所を分散支持して、その上昇下降を確実に行うことができる。
【0171】
また、本実施の形態における格納式支持装置100のように、対に配設された支持装置ユニット1で複数の列を形成する構成であれば、被作業物Wの大きさに応じた効率的な上昇下降及び支持を行うことができる。
【0172】
例えば、対に配設された支持装置ユニット1を6列配置した場合に(図12及び図13参照)、被作業物Wの長さ寸法(図12左右方向寸法)が短い場合には、全ての支持装置ユニット1を稼働させる必要はなく、被作業物Wの長さ寸法に応じた支持装置ユニット1のみ(例えば、図12左側の3列分のみ)を上昇下降駆動することで、無駄な上昇下降駆動を抑制して、消費エネルギーや制御コストの削減を図ることができる。
【0173】
また、このように、被作業物Wの長さ寸法等に応じて稼働する支持装置ユニット1を適宜変更することができれば、工場の作業工程においては、大小異なる寸法の被作業物Wを混在させることができる。これにより、工場設備の組み替え等を行うことを不要として、設備コストの削減を図ることができる。
【0174】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0175】
例えば、上記実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0176】
上記実施の形態では、支持装置ユニット1が対に配設されると共に、この対に配設された支持装置ユニット1が複数並設されて複数の列を形成する場合を説明したが(図10参照)、各対の対向間隔(図10上下方向間隔)及び各列の並設間隔(図10左右方向間隔)を同間隔に設定する必要はなく、各対及び各列で任意に設定することができる。即ち、かかる間隔は、被作業物Wの形状や重心位置などに応じて適宜調整することができる。
【0177】
上記実施の形態では、1本の案内レール41,51に対して2個のスライダ42,52を配設する場合を説明したが、スライダ42,52の配設個数は必ずしもこれに限られるものではなく、3個以上のスライダ42,52を配設することは当然可能である。
【0178】
上記実施の形態では、リニアガイド機構40,50がそれぞれ2本の案内レール41,51を有して構成される場合を説明したが、案内レール41,51の配設本数は必ずしもこれに限られるものではなく、リニアガイド機構40,50がそれぞれ3本以上の案内レール41,51を有して構成されることは当然可能である。
【0179】
上記実施の形態では、係合張出部22を係合受部32に係合させ、中間フレーム20を移動フレーム30に従動させる構成を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の構成とすることは当然可能である。例えば、係合張出部22及び係合受部32を省略して構成しても良い。この場合には、案内レール51の案内終点とスライダ52との係合により、中間フレーム20を移動フレーム30に従動させる。これにより、部品コストを削減して、装置全体としての製品コストを削減することができる。
【0180】
上記実施の形態では、固定フレーム10と移動フレーム30との間に1の中間フレーム20を配設する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、2以上の中間フレーム20を配設しても良い。但し、中間フレーム20の配設個数の増加は重量増を招くため、上昇下降駆動が困難となる。そのため、本実施の形態で説明したように、中間フレーム20の配設個数は1とすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】本発明の一実施の形態における格納式支持装置を示す部分断面図である。
【図2】(a)は支持装置ユニットの側面図であり、(b)は図2(a)の矢印IIb方向から視た支持装置ユニットの正面図である。
【図3】図2(a)の矢印III方向から視た支持装置ユニットの上面図である。
【図4】固定フレームの上面図である。
【図5】(a)は図4のV−V線における固定フレームの側断面図であり、(b)は図5(a)の矢印Vb方向から視た固定フレームの正面図である。
【図6】(a)は中間フレームの上面図であり、(b)は図6(a)の矢印VIa方向から視た中間フレームの側面図であり、(c)は図6(a)の矢印VIb方向から視た中間フレームの正面図である。
【図7】(a)は移動フレームの上面図であり、(b)は図7(a)の矢印VIIa方向から視た移動フレームの側面図であり、(c)は図7(a)の矢印VIIb方向から視た移動フレームの正面図である。
【図8】支持装置ユニットを模式的に示した側面図である。
【図9】支持装置ユニットの側面図であり、その上昇下降動作を時系列的に示す。
【図10】格納式支持装置の電気配線図である。
【図11】格納式支持装置の電気的構成を示したブロック図である。
【図12】被作業物の搬入方法を説明するための模式図である。
【図13】被作業物の搬出方法を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0182】
100 格納式支持装置
1 支持装置ユニット
10 固定フレーム
20 中間フレーム
30 移動フレーム
40 リニアガイド機構(第1直線案内機構)
41 案内レール
42 スライダ
50 リニアガイド機構(第2直線案内機構)
51 案内レール
52 スライダ
60 駆動装置(駆動手段)
61 ねじ軸
62 ナット
63 電動モータ
f 床面
P 格納ピット
90 出入口
91 格納空間
91a 段差部(側壁)
AGV 搬送車両
【技術分野】
【0001】
本発明は、格納式支持装置に関し、特に、格納ピットへ格納可能に構成した場合でも、倒れ強度を十分に確保することができると共に、長尺で大重量の被作業物を上昇下降可能に構成された格納式支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フォークリフト等を使用して貨物を荷台に積み込み、荷台を上昇下降させる支持装置としては、例えば、特許文献1に記載の支持装置が知られている。この支持装置は、床面に出入口を開口した収納ピットと、この収納ピットの底部に配設された固定ベースと、この固定ベース上に昇降機構を介して出入口から出没可能に昇降され、貨物を搬出入する作業ベッドとを備え、作業ベッドが荷台を備えると共に、荷台には、センタピボットや駆動タイヤが荷台上面から出没自在に設けられている。
【0003】
この支持装置によれば、航空機に搬出入される貨物の荷役作業を行う航空貨物用荷役装置として構成され、例えば、荷台上にフォークリフトを直接乗り入れることで、床面と航空機との間での貨物の搬出入を行うことができる他、駆動タイヤを回転駆動することによっても、貨物の搬出入を行うことができる。
【特許文献1】特公平7−53530号公報(第2頁、図1乃至図4など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の支持装置では、作業ベッド(荷台)全体を上昇下降させる構成であるので、例えば、工場の生産設備において、20mを超えるような長尺で大重量のワーク(被作業物)を上昇下降させる場合、作業ベッド自身が大型化して重量増となるため、上昇下降駆動が極めて困難になるという問題点があった。
【0005】
これに対し、本願発明者は、上述の問題点を解決するべく鋭意検討した結果、複数の支持装置ユニットによって被作業物の複数箇所を分散支持することで、長尺で大重量の被作業物を上昇下降させる構成に想到した(本出願時において未公知)。
【0006】
この場合、工場の作業スペース上に複数の支持装置を設置すると、その分、作業スペースの面積減少を招くと共に、搬送車両の走行や各種作業の妨げとなるため、本願発明者は、床面に格納ピットを掘り、各支持装置を格納可能に構成することで、床面に作業スペースを確保し得ることを見出した。
【0007】
しかしながら、格納ピット内へ格納可能な構成とした場合には、床面上に設置する場合と比較して、格納ピットの深さ分だけ上昇下降ストロークを長くする必要があるため、その分、支持装置の倒れ強度を確保することが困難になるという問題点があった。
【0008】
一方、格納ピットの深さに制限(例えば、地下水の湧出など)を受ける場合には、その分、上昇下降ストロークを短縮しなければ、格納ピット内に装置全体を格納することができないという問題点があった。
【0009】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、格納ピットに格納可能に構成した場合でも、倒れ強度を十分に確保することができると共に、長尺で大重量の被作業物を上昇下降可能に構成された格納式支持装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、請求項1記載の格納式支持装置は、床面に出入口を開口する格納ピットの格納空間内に固定される固定フレームと、前記固定フレームに第1直線案内機構を介して上昇下降自在に支持される中間フレームと、前記中間フレームに第2直線案内機構を介して上昇下降自在に支持される移動フレームと、前記移動フレームを上昇下降駆動する駆動手段とを有する支持装置ユニットを備え、前記支持装置ユニットは、前記移動フレームが前記駆動手段によって上昇下降駆動されると、上昇行程及び下降工程の一部で前記中間フレームが前記移動フレームに従動されつつ、前記移動フレームが前記出入口から出没されると共に、前記移動フレームが最下降位置まで下降されると、前記移動フレームと前記中間フレームとが前記格納ピットの格納空間内に格納されるように構成されている。
【0011】
請求項2記載の格納式支持装置は、請求項1記載の格納式支持装置において、前記支持装置ユニットが対に配設されると共に、被作業物を搬送する搬送車両が前記対に配設された支持装置ユニットの間に入庫可能に構成されている。
【0012】
請求項3記載の格納式支持装置は、請求項2記載の格納式支持装置において、前記対に配設された支持装置ユニットは、前記移動フレーム側を互いに相手に対向させて配設されている。
【0013】
請求項4記載の格納式支持装置は、請求項2又は3に記載の格納式支持装置において、前記対に配設された支持装置ユニットが複数並設されて複数の列が形成されると共に、前記各列の前記対に配設された支持装置ユニットの間に前記搬送車両が入庫可能に構成されている。
【0014】
請求項5記載の格納式支持装置は、請求項1から4のいずれかに記載の格納式支持装置において、前記第1直線案内機構及び第2直線案内機構は、前記上昇下降の方向に沿って直線状に延設され両側部に転動体転動溝を有する案内レールと、前記案内レールの転動体転動溝に対向する転動体転動溝を有すると共にこれら両転動体転動溝の間に装填された多数の転動体を介して前記案内レールに案内されて相対移動するスライダとを備えるリニアガイド機構として構成されている。
【0015】
請求項6記載の格納式支持装置は、請求項5記載の格納式支持装置において、前記第1直線案内機構は、前記案内レールを前記中間フレームに配設すると共に、前記スライダを前記固定フレームに配設して構成され、前記固定フレームは、前記格納ピットの側壁に吊り下げ支持されている。
【0016】
請求項7記載の格納式支持装置は、請求項1から6のいずれかに記載の格納式支持装置において、前記駆動手段は、前記上昇下降の方向に軸芯を一致させ外周面に螺旋状のねじ溝を有するねじ軸と、前記ねじ軸のねじ溝に対応する螺旋状のねじ溝を内周面に有し前記ねじ軸に嵌合されたナットと、前記ナット及びねじ軸の両ねじ溝の間に転動可能に装填された多数の転動体と、前記ねじ軸を回転駆動する電動モータとを備えると共に、前記ナットが前記移動フレームに配設され、前記ねじ軸が前記電動モータにより回転駆動されることで、前記ナットを介して前記移動フレームが上昇下降するように構成されている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の格納式支持装置によれば、最下降位置にある移動フレームが駆動手段により上昇駆動されると、移動フレームは、第2直線案内機構によって案内されつつ、中間フレーム及び固定フレームに対して上昇される。移動フレームが駆動手段により更に上昇駆動され、第2直線案内機構が案内終点に達すると、移動フレームは、中間フレームを従動させつつ、即ち、第2直線案内機構及び中間フレームを介して、第1直線案内機構によって案内されつつ、固定フレームに対して上昇され、第1直線案内機構が案内終点(移動フレームが最上昇位置)に達する。その結果、移動フレームの少なくとも一部又は全部が格納ピットの出入口から床面上方に出現されると共に上昇され、かかる移動フレームによって、例えば、床面や搬送車両の荷台に載置されている被作業物を上昇移動させることができる。
【0018】
一方、最上昇位置にある移動フレームが駆動手段により下降駆動されると、移動フレームは、中間フレームを従動させつつ、即ち、第2直線案内機構及び中間フレームを介して、第1直線案内機構によって案内されつつ、固定フレームに対して下降される。移動フレームが駆動手段により更に下降駆動され、第1直線案内機構が案内終点に達すると、移動フレームは、第2直線案内機構によって案内されつつ、中間フレーム及び固定フレームに対して下降され、第2直線案内機構が案内終点(移動フレームが最下降位置)に達する。その結果、移動フレームによって上昇移動されていた被作業物が床面や搬送車両の荷台に載置されると共に、移動フレーム及び中間フレームが格納ピットの格納空間内に格納される。
【0019】
このように、本発明の格納式支持装置によれば、移動フレームを最下降位置まで下降駆動することで、移動フレーム等を格納ピットの格納空間内に格納可能に構成したので、支持装置ユニットを例えば工場の作業スペースに複数設置した場合でも、作業スペースの面積減少を回避することができると共に、各支持装置ユニットが搬送車両の走行や各種作業の妨げとなることも回避することができるという効果がある。
【0020】
ここで、支持装置ユニットを格納ピット内に格納可能な構成とする場合、床面上に設置する場合と比較して、移動フレームの床面からの上昇位置を同じレベルとするためには、格納ピットの深さ分だけ上昇下降ストロークをより長くする必要があり、その分、被作業物を支持する際の倒れ強度を確保することが困難になる。
【0021】
これに対し、本発明の格納式支持装置によれば、移動フレームと固定フレームとの間に中間フレームを配設すると共に、この中間フレームが上昇行程及び下降工程のそれぞれ一部で移動フレームに従動する構成としたので、倒れ強度を十分に確保して、重量物の上昇下降を可能とすることができるという効果がある。
【0022】
即ち、支持装置ユニットを格納ピット内に格納可能な構成とするためには、移動フレームの高さ寸法を格納ピット(格納空間)の深さ寸法以上に高く(長く)することはできない。また、固定フレームに対して移動フレームのみが上昇下降する(即ち、中間フレームを省略する)構成にあっては、移動フレームの高さ寸法は、移動フレームを固定フレームが支持するための支持寸法(即ち、移動フレームと固定フレームとの高さ寸法方向における重なり代)と、床面から移動フレームが上昇可能な上昇寸法(即ち、被作業物を床面から持ち上げ可能な高さ寸法)との合算値となる。
【0023】
そのため、移動フレームの高さ寸法(即ち、格納ピットの深さ寸法)を10と仮定した場合に、倒れ強度を確保するべく、例えば、上記支持寸法を5に設定すると、上記上昇寸法が5となるため、被作業物を持ち上げ可能な高さ寸法が不足する。一方、被作業物を持ち上げ可能な高さ寸法を確保するべく、例えば、上記上昇寸法を9に設定すると、上記支持寸法が1となり、両フレームの重なり代が不足するため、倒れ強度の低下を招き、重量物の上昇下降駆動が不可能となる。
【0024】
これに対し、本発明の格納式支持装置によれば、上述のように、移動フレームと固定フレームとの間に中間フレームを従動可能に配設したので、これら移動フレームと中間フレームとの高さ寸法をそれぞれ10に設定し、合計20を使用することができる。
【0025】
即ち、固定フレームに対する中間フレームの上記支持寸法を5に、中間フレームに対する移動フレームの上記支持寸法を5に、それぞれ設定した場合でも、中間フレーム自体の上記上昇寸法を5とし、かつ、中間フレームに対する移動フレームの相対的な上記上昇寸法を5とすることができるので、移動フレームの合計としての上記上昇寸法を10とすることができる。
【0026】
よって、被作業物の床面からの持ち上げ可能高さを十分に確保しつつも、倒れ強度の大幅な向上を図り、重量物の上昇下降を可能とすることができる。言い換えれば、被作業物を持ち上げ可能な高さ寸法が同一であれば、格納ピットの深さ寸法をより浅くすることができるので、格納ピットの深さ寸法に制限を受ける場合(例えば、地下水が漏出する場合)でも、支持装置ユニットを設置することができる。
【0027】
請求項2記載の格納式支持装置によれば、請求項1記載の格納式支持装置の奏する効果に加え、支持装置ユニットを対に配設すると共に、被作業物を搬送する搬送車両を前記対に配設された支持装置ユニットの間に入庫可能に構成したので、被作業物の受け渡しを、例えば、無人の搬送車両を用いて自動化することができ、これにより、被作業物の受け渡しを安全に行うことができるという効果がある。
【0028】
即ち、比較的大型の製品を製造する工場では、工場内を複数の作業スペースに区画し、例えば、第1の作業スペース上で被作業物に対して第1の作業工程を実施し、次いで、被作業物を第1の作業スペース上から第2の作業スペース上に搬送して第2の作業工程を実施する。そして、被作業物を所定の作業スペース上に順次搬送させつつ、所定の作業工程を順次実施することで、製品を製造する。
【0029】
この場合、被作業物の搬送、即ち、各作業スペース間での被作業物の受け渡しには、従来、クレーンを使用することが一般的であった。しかしながら、クレーンによる搬送では、人為的な作業となるため危険が伴い、安全な搬送作業が困難であった。
【0030】
これに対し、本発明の格納式支持装置によれば、例えば、他の作業スペースから被作業物を搬送車両により搬入する場合には、搬送車両を対に配設された支持装置ユニットの間に入庫させ、搬送車両の車高を下げることにより、被作業物を移動フレーム上に載置する(或いは、両移動フレームを上昇駆動することで、被作業物を搬送車両の荷台上から持ち上げる)。そして、搬送車両を出庫させた後に、両移動フレームを下降駆動する。これにより、被作業物を床面(作業スペース)に載置して、各種作業工程を実施することができる。なお、移動フレーム(支持装置ユニット)は格納ピット内に格納されるので、作業スペースの面積減少や各種作業の妨げとなることが回避される。
【0031】
また、他の作業スペースに被作業物を搬出する場合には、両移動フレームを上昇駆動させ、被作業物を床面から持ち上げて支持する。そして、対に配置された支持装置ユニットの間に搬送車両を入庫させ、搬送車両の車高を上げる(或いは、両移動フレームを下降駆動する)。これにより、被作業物を搬送車両の荷台上に載置することができるので、搬送車両を出庫させ、被作業物を他の作業スペースに搬出することができる。なお、移動フレーム(支持装置ユニット)は格納ピット内に格納されるので、作業スペースの面積減少や搬送車両の走行の妨げとなることが回避される。
【0032】
このように、本発明の格納式支持装置によれば、被作業物の搬出入を無人の搬送車両を用いて自動化することができるので、被作業物の受け渡し作業の安全を確保することができる。
【0033】
また、対に配置された支持装置ユニットの間に搬送車両を入庫させることができるので、搬送車両の荷台上に載置された被作業物を両移動フレームの中央に位置させることができる。これにより、被作業物を両側から均等に支持することができるので、かかる被作業物の上昇下降及び支持を安定した状態で行うことができる。
【0034】
請求項3記載の格納式支持装置によれば、請求項2記載の格納式支持装置の奏する効果に加え、対に配設された支持装置ユニットは、移動フレーム側を互いに相手に対向させて配設されているので、中間フレームに阻害されることなく、移動フレームを搬送車両により近接させることができるという効果がある。その結果、移動フレームにより被作業物を支持する際の支持位置に自由度を持たせることができるという効果がある。
【0035】
また、移動フレーム側を互いに相手に対向させる配置であれば、搬送車両の乗り入れ領域(入庫領域)が格納ピット領域と重なることを回避することができるので、床面(格納ピットの天井面)の強度を別途補強する等の作業を不要として、設置コストの削減を図ることができるという効果がある。
【0036】
請求項4記載の格納式支持装置によれば、請求項2又は3に記載の格納式支持装置の奏する効果に加え、対に配設された支持装置ユニットを複数並設して複数の列を形成すると共に、各列の対に配設された支持装置ユニットの間に搬送車両を入庫可能に構成したので、被作業物が長尺で大重量に構成される場合であっても、かかる被作業物の上昇下降及び支持を行うことができるという効果がある。
【0037】
即ち、従来の支持装置のように、作業ベッド(荷台)全体を上昇下降させる構成では、例えば、20mを超えるような長尺で大重量の被作業物を上昇下降させようとすると、作業ベッド自身が大型化して重量増となるため、上昇下降駆動が極めて困難になる。
【0038】
これに対し、本発明の格納式支持装置によれば、対に配設された支持装置ユニットが複数の列を形成する構成であるので、被作業物が長尺で大重量であっても、かかる被作業物の複数箇所を分散支持して、その上昇下降及び支持を確実に行うことができる。
【0039】
その結果、被作業物が長尺で大重量であっても、その被作業物の受け渡しを無人の搬送車両を用いて自動化することができ、これにより、被作業物の受け渡しを安全に行うことができる。
【0040】
また、本発明の格納式支持装置のように、対に配設された支持装置ユニットで複数の列を形成する構成であれば、被作業物の大きさに応じた効率的な上昇下降及び支持を行うことができるという効果がある。
【0041】
例えば、対に配設された支持装置ユニットを6列配置した場合に、被作業物の長さ寸法が短い場合には、全ての支持装置ユニットを稼働させる必要はなく、被作業物の長さ寸法に応じた支持装置ユニットのみ(例えば3列分のみ)を上昇下降駆動することで、無駄な上昇下降駆動を抑制して、消費エネルギーや制御コストの削減を図ることができる。
【0042】
また、このように、被作業物の長さ寸法等に応じて稼働する支持装置ユニットを適宜変更することができれば、工場の作業工程においては、大小異なる寸法の被作業物を混在させることができる。これにより、工場設備(支持装置)の組み替え等を行うことを不要として、設備コストの削減を図ることができる。
【0043】
請求項5記載の格納式支持装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載の格納式支持装置の奏する効果に加え、第1直線案内機構及び第2直線案内機構は、案内レールと、その案内レールに転動体を介して案内されて相対移動するスライダとを備えるリニアガイド機構として構成されているので、支持装置ユニット全体としての構造を簡素化して製品コストを抑制することができるという効果がある。
【0044】
更に、リニアガイド機構として構成することで、固定フレームに対して中間フレーム及び移動フレームを、上昇下降方向には高精度に案内しつつ、上昇下降方向と異なる方向には強固に拘束することができるので、支持装置ユニット全体としての倒れ強度の大幅な向上を図ることができるという効果がある。
【0045】
請求項6記載の格納式支持装置によれば、請求項5記載の格納式支持装置の奏する効果に加え、第1直線案内機構は、案内レールを中間フレームに配設すると共に、スライダを固定フレームに配設して構成され、固定フレームは、格納ピットの側壁に吊り下げ支持されているので、固定フレームの高さ寸法を短くして、その分、材料コストの削減を図ることができるという効果がある。その結果、格納式支持装置全体としての製品コストの削減を図ることができる。
【0046】
即ち、固定フレームに案内レールを配設した場合には、中間フレームを格納ピットの底部まで案内可能とするべく、固定フレームの高さ寸法(案内レールの長さ寸法)を格納ピットの深さ寸法と同等に形成することを要する。これに対し、固定フレームにスライダを配設する構成であれば、固定フレームの上方部にスライダが配設されていても、中間フレームを格納ピットの底部まで案内することができる。
【0047】
そして、固定フレームが格納ピットの側壁に吊り下げ支持されていれば、固定フレームの下方部(即ち、スライダよりも下方側)を不要とすることができるので、かかる不要分を省略することで、材料コストの削減を図ることができるのである。
【0048】
請求項7記載の格納式支持装置によれば、請求項1から6のいずれかに記載の格納式支持装置の奏する効果に加え、駆動手段は、ねじ軸と、ナットと、それらナット及びねじ軸の両ねじ溝に装填される転動体と、ねじ軸を回転駆動する電動モータとを備えると共に、ナットが移動フレームに配設されているので、ねじ軸を電動モータにより回転駆動することで、ナットを介して移動フレームを上昇下降させることができる。
【0049】
これにより、支持装置ユニットが対に配設された場合、更には、対に配設された支持装置ユニットが複数並設されて複数の列が形成されている場合において、これら複数の支持装置ユニットを同時に上昇下降させる場合でも、各支持装置ユニットの同期精度を確保することができる。これにより、複数の支持装置ユニット1により被作業物を複数の支持点で分散支持する場合でも、被作業物Wの変形等を招くことなく、かかる被作業物を安定した状態で上昇下降させることができる。
【0050】
即ち、駆動手段を油圧シリンダ等の油圧式で構成すると、複数の支持装置ユニットにより被作業物を複数の支持点で分散支持しつつ上昇させる場合に、被作業物の重量が大きく作用する箇所では支持装置ユニット(駆動手段)が踏ん張って上昇駆動を遅らせてしまい、被作業物の重量が比較的作用しない箇所における駆動手段から先に上昇駆動を進行させようとするので、各支持装置ユニットの同期精度の悪化を招く。この同期精度の悪化は、被作業物の変形を招く。特に、長尺で大重量の被作業物Wにおいては自重による変形が顕著となる。
【0051】
これに対し、本発明の格納式支持装置によれば、駆動手段を上述のように構成したので、各支持装置ユニットの同期精度を確保することができ、これにより、被作業物を上昇下降及び支持する際には、かかる被作業物が変形することを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施の形態における格納式支持装置100を示す部分断面図である。また、図2(a)は、支持装置ユニット1の側面図であり、図2(b)は、図2(a)の矢印IIb方向から視た支持装置ユニット1の正面図である。また、図3は、図2(a)の矢印III方向から視た支持装置ユニット1の上面図である。
【0053】
なお、図1は、図10の矢印I方向から格納式支持装置100を視た図に対応する。また、図1から図3では、格納ピットPが凹設される土台部bのみが断面視されると共に、支持装置ユニット1が最上昇位置まで上昇駆動された状態が図示されている。
【0054】
まず、図1から図3を参照して、格納式支持装置100の概略構成について説明する。格納式支持装置100は、例えば、工場の生産現場において、搬送車両AGVとの間で被作業物(例えば、航空機用翼)の受け渡しを行うと共に、搬送車両AGVから受け取った被作業物の床面fへの取り降ろし、及び、床面fから搬送車両AGVへの被作業物の積み込みを行うための装置である(図12及び図13参照)。
【0055】
この格納式支持装置100は、図1に示すように、支持装置ユニット1が対に配設され、この対に配設された支持装置ユニット1の間に搬送車両AGVを入庫可能に構成されている。なお、対に配設された支持装置ユニット1は搬送車両AGVの走行方向(図1紙面垂直方向)に沿って複数が並設されており、これにより、複数の列を形成している(図10参照)。
【0056】
支持装置ユニット1は、図1から図3に示すように、床面fに出入口90を開口する格納ピットPの格納空間91内に配設されており、出入口90から出没可能に構成されると共に格納可能に構成されている(図9参照)。
【0057】
この支持装置ユニット1は、図1から図3に示すように、格納空間91内に固定される固定フレーム10と、その固定フレーム10にリニアガイド機構40を介して上昇下降自在に支持される中間フレーム20と、その中間フレーム20にリニアガイド機構40を介して上昇下降自在に支持される移動フレーム30と、その移動フレーム30を上昇下降駆動する駆動装置60とを主に備えている。
【0058】
リニアガイド機構40は、固定フレーム10と中間フレーム20とを連結する連結機構としての役割と、固定フレーム10に対する中間フレーム20の上昇下降を案内する案内機構としての役割とを併せ持つ部位であり、図1から図3に示すように、中間フレーム20に配設される2本の案内レール41と、固定フレーム10に配設される4個のスライダ42とを備えている。
【0059】
同様に、リニアガイド機構50は、中間フレーム20と移動フレーム30とを連結する連結機構としての役割と、中間フレーム20に対する移動フレーム30の相対的な上昇下降を案内する案内機構としての役割とを併せ持つ部位であり、図1から図3に示すように、中間フレーム20に配設される2本の案内レール51と、移動フレーム30に配設される4個のスライダ52とを備えている。
【0060】
なお、各案内レール41,51は、中間フレーム20及び移動フレーム30の上昇下降方向(図2上下方向)に沿って直線状に延設され、その両側部には、転動体転造溝(図示せず)が前記上昇下降方向に沿って延設されている。この転動体転造溝に対応して、各スライダ42,52の内側部にも転動体転動溝(図示せず)が延設されており、これら両転動体転動溝の間には、多数の転動体が装填されている。
【0061】
これにより、各スライダ42,52は、多数の転動体を介して、各案内レール41,51に案内されて相対移動される。その結果、中間フレーム20は、リニアガイド機構40を介して、固定フレーム10に対して上昇下降自在とされ、移動フレーム30は、リニアガイド機構50を介して、中間フレーム20に対して相対的に上昇下降自在とされる。
【0062】
駆動装置60は、移動フレーム30を上昇下降駆動するための装置であり、図1から図3に示すように、ねじ軸61と、そのねじ軸61に嵌合されるナット62(図7及び図8参照)と、ねじ軸61を回転駆動させるための電動モータ63とを主に備えている。
【0063】
この駆動装置60によれば、ねじ軸61を電動モータ63により回転駆動することで、ナット62を介して移動フレーム30を上昇下降させることができる。なお、上昇下降動作の詳細構成については後述する(図8参照)。
【0064】
次いで、図4及び図5を参照して、支持装置ユニット1を構成する固定フレーム10について説明する。図4は、固定フレーム10の上面図である。また、図5(a)は、図4のV−V線における固定フレーム10の側断面図であり、図5(b)は、図5(a)の矢印Vb方向から視た固定フレーム10の正面図である。
【0065】
固定フレーム10は、上述したように、格納ピットPの格納空間91内に固定される部材であり、図4及び図5に示すように、本体部11と、その本体部11を格納ピットP内に支持固定する支持固定部12と、本体部11にスライダ42を固定するスライダ固定部13とを主に備えて構成されている。
【0066】
本体部11は、固定フレーム10の骨格をなす部位であり、図5(a)及び図5(b)に示すように、鉄鋼材料から側面視逆L字状かつ正面視矩形枠状に構成されている。即ち、本体部11は、図4に示すように、その背面側(図4左側)から一対の延設部が延設されており、これにより、本体部11の上面視形状が略コ字状とされている。
【0067】
本体部31の背面側には、図5(a)に示すように、下端部(図5a下側端)と延設端部(図5(a)左側端)とを接続する補強部11aが配設されており、これにより、本体部11の剛性強度が確保されている。
【0068】
本体部31の上面側(図4紙面手前側)には、図4及び図5に示すように、モータ保持部71が配設されている。このモータ保持部71は、電動モータ63等を保持固定するための部位であり(図8参照)、鉄鋼材料から平板状に構成されている。
【0069】
本体部31の下面側(図5下側)には、図5に示すように、支持柱72が配設され、支持柱72の下端(図5下側)には、ねじ軸保持部73が配設されている。また、本体部31の正面側(図5(a)右側)には、図4及び図5に示すように、変換機構保持部74が配設されている。
【0070】
支持柱72は、ねじ軸保持部73を格納ピットPの底部に位置させるための部材であり、鉄鋼材料から円柱状に構成され、図5に示すように、本体部31の下面から格納ピットPの底面近傍まで延設されている。
【0071】
ねじ軸保持部73は、ねじ軸61を回転可能に保持するための部位であり、図5に示すように、支持柱72の下端(図5下側)に配設されている。ねじ軸保持部73の上面には、ボールベアリング(図示せず)が配設され、このボールベアリングを介して、ねじ軸61がねじ軸保持部73に回転可能に保持される(図8参照)。
【0072】
変換機構保持部74は、ねじ軸61を回転させる回転軸変換部65を保持固定するための部位であり(図8参照)、図4及び図5に示すように、鉄鋼材料から平板状に構成されている。なお、変換機構保持部74の板面には、図4に示すように、孔部が穿設され、ねじ軸保持部73に保持されたねじ軸73が挿通可能に構成されている。
【0073】
支持固定部12は、上述したように、本体部11を格納ピットP内に支持固定するための部位であり、図4及び図5に示すように、本体部11の幅方向(図4上下方向)端面に配設される立設壁部12aと、その立設壁部12bから外方へ向けて張り出す張出壁部12bと、これら両壁部12a,12bを連結する連結リブ12cとを備えると共に、これら各部材12a〜12cが鉄鋼材料から構成されている。
【0074】
図4及び図5に示すように、格納ピットPの格納空間91は、出入口90側(図5(b)上側)の幅寸法が拡幅され、この拡幅により、段差部91aが形成されている。この段差部91a内には、支持固定部12の立設壁部12aから張り出した張出壁部12bが入り込んでいる。
【0075】
また、格納ピットPの段差部91aには、図5(b)に示すように、締結ボルト92が上方へ向けて立設されている。この締結ボルト92は、基部が土台部bに埋設固定されると共に、中間部には、支持固定部12の張出壁部12bが締結ナット93により締結固定されている。
【0076】
締結ボルト92は、各段差部91aに2本ずつ合計4本が埋設され、図4に示すように、張出壁部12bの長手方向(図4左右方向)両端に締結されている。その結果、固定フレーム10は、締結ボルト92を介して、格納ピットPの格納空間91内に4点で吊り下げ支持されている。
【0077】
このように、本実施の形態では、締結ボルト92を介して固定フレーム10を吊り下げ支持する構成としたので、締結ナット93の締結位置を変更することで、固定フレーム10の高さ位置や水平度を容易に調整することができる。その結果、設置コストの削減を図ることができる。
【0078】
スライダ固定部13は、上述したように、本体部11にスライダ42を固定するための部位であり、図4及び図5に示すように、鉄鋼材料から細幅の板状体に構成されている。スライダ固定部13は、その長手方向を中間フレーム20の上昇下降方向(図5(b)上下方向)に沿わせつつ、本体部11の正面側(図5(b)紙面手前側)に一対が配設されている。
【0079】
スライダ固定部13の長手方向(図5(b)上下方向)両端部には、図5に示すように、スライダ42が配設されている。スライダ42は、上述したように、中間フレーム20の背面側(図6(a)左側)に配設される案内レール41と共にリニアガイド機構40を構成するための部材であり(図2参照)、図示しない転動体を介して、案内レール41に案内されて相対移動する。
【0080】
ここで、4個のスライダ42の内の図5上下方向に隣接するもの同士は、図5(a)に示すように、離間寸法L1だけ離間されている。この離間寸法L1は、固定フレーム10が中間フレーム20を支持するための支持寸法(即ち、固定フレーム10と中間フレーム10との高さ方向における重なり代、図9参照)に対応する。なお、格納ピットP(格納空間91)は、深さ寸法Dで床面fから凹設されている。
【0081】
次いで、図6を参照して、支持装置ユニット1を構成する中間フレーム20について説明する。図6(a)は、中間フレーム20の上面図であり、図6(b)は、図6(a)の矢印VIa方向から視た中間フレーム20の側面図であり、図6(c)は、図6(a)の矢印VIb方向から視た中間フレーム20の正面図である。
【0082】
中間フレーム20は、上述したように、背面側(図4左側)が固定フレーム10にリニアガイド機構40を介して上昇下降自在に支持されると共に、正面側(図4右側)にリニアガイド機構50を介して移動フレーム30が上昇下降自在に支持される部材であり、図6に示すように、本体部21と、係合張出部22とを主に備えて構成されている。
【0083】
本体部21は、中間フレーム20の骨格をなす部位であり、図6(b)及び図6(c)に示すように、鉄鋼材料から側面視I字状かつ正面視矩形枠状に構成されている。但し、正面視矩形枠状に構成された本体部21の枠内には、図6(c)に示すように、連結部21aが短辺と水平に配設され、この連結部21aにより本体部21の長辺が互いに連結されている。
【0084】
図6に示すように、本体部21には、その背面側(図6(a)左側)に一対の案内レール41が配設されると共に、正面側(図6(a)右側)にも更に一対の案内レール51が配設されている。これら各案内レール41,51は、本体部21の長辺に沿って、即ち、中間レール20の上昇下降方向に沿って配設されている。
【0085】
案内レール41,51は、上述したように、固定フレーム10及び移動フレーム30に配設されるスライダ42,52と共にリニアガイド機構40,50を構成するための部材であり(図2参照)、図示しない転動体を介して、スライダ42,52を案内して相対移動させる。
【0086】
なお、案内レール41,51は、図6(b)及び図6(c)に示すように、本体部21の下端から上端まで延設されると共に、長さ寸法L2に設定されている。この長さ寸法L2は、上述した格納ピットPの深さ寸法D(図5(a)参照)よりも若干小さな値とされている。
【0087】
係合張出部22は、移動フレーム30の係合受部32(図7参照)に係合することで、中間フレーム20を移動フレーム30の上昇下降に従動させるための部位である。この係合張出部22は、図6に示すように、本体部21の上面側(図6(a)紙面手前側)に配設されると共に、本体部21の正面側(図6(a)右側)に張り出して形成されている。
【0088】
例えば、移動フレーム30の上昇工程において、移動フレーム30が中間フレーム20に対して上昇され、リニアガイド機構50が案内終点に達すると(図9(c)参照)、中間フレーム20の係合張出部22が移動フレーム30の係合受部30に係合される。これにより、中間フレーム20が移動フレーム30の上昇に従動される(図9(d)及び図9(e)参照)。
【0089】
次いで、図7を参照して、支持装置ユニット1を構成する移動フレーム30について説明する。図7(a)は、移動フレーム30の上面図であり、図7(b)は、図7(a)の矢印VIIa方向から視た移動フレーム30の側面図であり、図7(c)は、図7(a)の矢印VIIb方向から視た移動フレーム30の正面図である。
【0090】
移動フレーム30は、上述したように、中間フレーム20の正面側(図6右側)にリニアガイド機構50を介して上昇下降自在に支持される部材であり、図7に示すように、本体部31と、係合受部32と、ナット保持部33とを主に備えて構成されている。
【0091】
本体部31は、移動フレーム30の骨格をなす部位であり、図7(b)及び図7(c)に示すように、鉄鋼材料から側面視I字状かつ正面視矩形枠状に構成されている。但し、正面視矩形枠状に構成された本体部31の枠内には、図7(c)に示すように、連結部31aが短辺と水平に配設され、この連結部31aにより本体部31の長辺が互いに連結されている。
【0092】
なお、移動フレーム30の高さ寸法(図7(c)上下方向寸法)は、中間フレーム20の高さ寸法(即ち、案内レール41,51の長さ寸法L2)と同じ寸法値に設定されている。
【0093】
本体部31の背面側(図7(a)左側)には、スライダ52が配設されている。スライダ52は、上述したように、中間フレーム20の正面側(図6(a)右側)に配設される案内レール51と共にリニアガイド機構50を構成するための部材であり(図2参照)、図示しない転動体を介して、案内レール51に案内されて相対移動する。
【0094】
ここで、4個のスライダ52の内の図7(c)上下方向に隣接するもの同士は、図7(b)に示すように、離間寸法L3だけ離間されている。この離間寸法L3は、中間フレーム20が移動フレーム30を支持するための支持寸法(即ち、中間フレーム10と移動フレーム30との高さ方向における重なり代、図9参照)に対応する。
【0095】
なお、本実施の形態では、スライダ52の離間寸法L3がスライダ42の離間寸法L1(図5参照)と同じ寸法値に設定されている。また、これら離間寸法L1,L3は、案内レール41,51の長さ寸法L2の半分の寸法値に設定されている(L1=L3=0.5L2)。
【0096】
係合受部32は、上述したように、中間フレーム20を移動フレーム30の上昇下降に従動させるために、中間フレーム20の係合張出部22(図6参照)に係合する部位であり、図7に示すように、連結部31aに配設されると共に、本体部21の背面側(図7(a)左側)に張り出して形成されている。
【0097】
ナット保持部33は、ナット62を保持固定するための部位であり、鉄鋼材料から平板状に構成され、本体部31の下端側壁(図7(a)上側及び図7(b)下側)に配設されると共に、本体部31の背面側(図7(a)左側)に張り出して形成されている。なお、ナット保持部33の2辺には、図7に示すように、連結リブ33aが配設され、剛性強度が確保されている。
【0098】
次いで、図8を参照して、支持装置ユニット1を構成する駆動装置60について説明する。図8は、支持装置ユニット1を模式的に示した側面図である。
【0099】
なお、図8では、図面を簡素化して理解を容易とするために、固定フレーム10が断面視されると共に、中間フレーム20の図示が省略されている。また、上昇状態及び下降状態にある2形態の移動フレーム30が2点鎖線を用いて図示されている。
【0100】
駆動装置60は、上述したように、移動フレーム30を上昇下降駆動するための装置であり、図8に示すように、ねじ軸61と、そのねじ軸61に嵌合されるナット62と、ねじ軸61を回転駆動するための電動モータ63とを主に備えている。
【0101】
ねじ軸61は、外周面に螺旋状のねじ溝(図示せず)を有する軸状体であり、図8に示すように、移動フレーム30の上昇下降方向(図8上下方向)に軸芯を一致させて配設されている。
【0102】
ねじ軸61の下端部(図8下側)は、上述したように、ボールベアリング(図示せず)を介して、ねじ軸保持部73に回転可能に保持されている。また、ねじ軸61の上端部(図8上側)は、変換機構保持部74の孔部(図4参照)に挿通され、回転軸変換部65に接続されている。
【0103】
ナット62は、ねじ軸61のねじ溝に対応する螺旋状のねじ溝を内周面に有する部材であり、図8に示すように、ねじ軸61に外嵌(嵌合)されている。ナット62及びねじ軸61の両ねじ溝の間には、多数の転動体(図示せず)が転動可能に装填されている。
【0104】
ナット62は、上述したように、移動フレーム30のナット保持部33上に保持固定されているので、ねじ軸61が正方向に回転駆動されると、螺旋状のねじ溝内に装填された転動体を介して、ナット62がねじ軸61に沿って上昇される。その結果、図8に示すように、移動フレーム30がナット62と共に上昇される。
【0105】
一方、ねじ軸61が逆方向に回転駆動されると、螺旋状のねじ溝内に装填された転動体を介して、ナット62がねじ軸61に沿って下降される。その結果、図8に示すように、移動フレーム30がナット62と共に下降される。
【0106】
なお、電動モータ63からねじ軸61までの回転力伝達経路中には、図8に示すように、減速装置64と、回転軸変換部65とが配設されている。減速装置64は、電動モータ63から入力された回転速度を所定の減速比で減速して出力するための装置であり、図8に示すように、モータ保持部71に保持固定されている。
【0107】
また、回転軸変換部65は、減速装置64から入力される回転軸の方向を90度変換してねじ軸61の回転軸の方向に一致させるための装置であり、図8に示すように、変換機構保持部74上に保持固定されている。なお、回転軸変換部65には、エンコーダ66が接続されており、ねじ軸61の回転数が計測可能に構成されている。
【0108】
次いで、図9を参照して、支持装置ユニット1の上昇下降動作について説明する。図9は、支持装置ユニット1の上昇下降動作を示した側面図であり、移動フレーム30が最下降位置と最上昇位置との間で上昇下降する様子が時系列的に図示されている。なお、図9では、図面を簡素化して理解を容易とするために、主要な構成のみに符号を付している。
【0109】
上述のように構成された支持装置ユニット1によれば、図9(a)に示すように、最下降位置にある移動フレーム30が駆動装置60により上昇駆動されると、移動フレーム30は、中間フレーム20との間に設けられたリニアガイド機構50(図2参照)によって案内されつつ、図9(b)に示すように、中間フレーム20及び固定フレーム10に対して上昇される。
【0110】
移動フレーム30が駆動装置60により更に上昇駆動され、図9(c)に示すように、移動フレーム30と中間フレーム20との間に設けられたリニアガイド機構50が案内終点に達すると、移動フレーム10の係合受部32(図7参照)と中間フレーム20の係合張出部22(図6参照)とが係合される。
【0111】
この係合により、移動フレーム30は、図9(d)に示すように、中間フレーム20を従動させつつ、即ち、中間フレーム20との間に設けられたリニアガイド機構50(図2参照)及び中間フレーム20を介して、中間フレーム20と固定フレーム10との間に設けられたリニアガイド機構40(図2参照)によって案内されつつ、固定フレーム10に対して上昇される。
【0112】
そして、移動フレーム30が駆動装置60により更に上昇駆動されると、図9(e)に示すように、中間フレーム20と固定フレーム10との間に設けられたリニアガイド機構40が案内終点に達し、移動フレーム30が最上昇位置まで上昇される。
【0113】
一方、図9(e)に示すように、最上昇位置にある移動フレーム30が駆動装置60により下降駆動されると、移動フレーム30は、図9(d)に示すように、上述した係合によって中間フレーム20を従動させつつ、即ち、中間フレームとの間に設けられたリニアガイド機構50(図2参照)及び中間フレーム20を介して、中間フレーム20と固定フレーム10との間に設けられたリニアガイド機構40(図2参照)によって案内されつつ、固定フレーム10に対して下降される。
【0114】
移動フレーム30が駆動装置60により更に下降駆動され、図9(c)に示すように、中間フレーム20と固定フレーム30との間に設けられたリニアガイド機構40が案内終点に達すると、上述した係合受部32と係合張出部22との係合が解除され、中間フレーム20の従動が終了される。
【0115】
その結果、移動フレーム30は、図9(b)に示すように、中間フレーム20との間に設けられたリニアガイド機構50(図2参照)によって案内されつつ、中間フレーム20及び固定フレーム10に対して下降される。
【0116】
そして、移動フレーム30が駆動装置60により更に下降駆動されると、図9(a)に示すように、移動フレーム30と中間フレーム20との間に設けられたリニアガイド機構50が案内終点に達し、移動フレーム30が最下降位置まで下降される。
【0117】
また、図9(a)に示すように、移動フレーム30が最下降位置まで下降されると、支持装置ユニット1が格納ピットPの格納空間91内に格納される。
【0118】
ここで、支持装置ユニット1を格納ピットPの格納空間91内に格納可能な構成とする場合には、床面f上に設置する場合と比較して、移動フレーム30の床面fからの上昇位置を同じレベルとするために、格納ピットPの深さ分だけ上昇下降ストロークをより長くする必要があり、その分、被作業物Wを支持する際の倒れ強度を確保することが困難になる。
【0119】
これに対し、本実施の形態における格納式支持装置100によれば、移動フレーム30と固定フレーム10との間に中間フレーム20を配設すると共に、この中間フレーム20が上昇行程及び下降工程のそれぞれ一部で移動フレーム30に従動する構成としたので、倒れ強度を十分に確保することができる。その結果、長尺で大重量の被作業物Wの上昇下降を可能とすることができる。
【0120】
即ち、支持装置ユニット1を格納ピットPの格納空間91内に格納可能とするためには、移動フレーム30の高さ寸法を格納ピットPの深さ寸法D(図5参照)以上に高く(長く)することはできない。また、固定フレーム10に対して移動フレーム30のみが上昇下降する(即ち、中間フレーム20を省略する)構成の場合、移動フレーム30の高さ寸法は、移動フレーム30を固定フレーム10が支持するための支持寸法(即ち、移動フレーム30と固定フレーム10との高さ寸法方向における重なり代)と、床面fから移動フレーム30が上昇可能な上昇寸法(即ち、被作業物Wを床面fから持ち上げ可能な高さ寸法)との合算値となる。
【0121】
そのため、移動フレーム30の高さ寸法(即ち、格納ピットの深さ寸法D)を10と仮定した場合に、倒れ強度を確保するべく、例えば、上記支持寸法を5に設定すると、上記上昇寸法が5となるため、被作業物Wを持ち上げ可能な高さ寸法が不足する。一方、被作業物Wを持ち上げ可能な高さ寸法を確保するべく、例えば、上記上昇寸法を9に設定すると、上記支持寸法が1となり、両フレームの重なり代が不足するため、倒れ強度の低下を招き、重量物の上昇下降駆動が不可能となる。
【0122】
これに対し、本実施の形態における格納式支持装置100によれば、上述のように、移動フレーム30と固定フレーム10との間に中間フレーム20を従動可能に配設したので、これら移動フレーム30と中間フレーム20との高さ寸法をそれぞれ10に設定し、合計20を使用することができる。
【0123】
即ち、固定フレーム10に対する中間フレーム20の上記支持寸法(即ち、離間距離L1、図5参照)を5に、中間フレーム20に対する移動フレーム30の上記支持寸法(即ち、離間距離L3、図7参照)を5に、それぞれ設定した場合でも、中間フレーム20自体の上記上昇寸法を5とし、かつ、中間フレーム20に対する移動フレーム30の相対的な上記上昇寸法を5とすることができるので、移動フレーム30の合計としての上記上昇寸法を10とすることができる。
【0124】
よって、被作業物Wの床面fからの持ち上げ可能高さを十分に確保しつつも、倒れ強度の大幅な向上を図り、重量物の上昇下降を可能とすることができる。また、言い換えれば、被作業物Wを持ち上げ可能な高さ寸法が同一であれば、格納ピットPの深さ寸法Dをより浅くすることができるので、格納ピットPの深さ寸法Dに制限を受ける場合(例えば、地下水が漏出する場合)でも、支持装置ユニット1を設置することができる。
【0125】
なお、本実施の形態では、案内レール41を中間フレーム20に配設すると共に(図6参照)、スライダ42を固定フレーム10に配設し(図5参照)、かつ、固定フレーム10を格納ピットPの側壁(段差部91a)に吊り下げ支持する構成としたので、固定フレーム10の高さ寸法を短くして、その分、材料コストの削減を図ることができ、その結果、格納式支持装置100全体としての製品コストの削減を図ることができる。
【0126】
即ち、固定フレーム10に案内レール41を配設すると共に中間フレーム20にスライダ42を配設した場合には、中間フレーム20を格納ピットPの底部まで案内可能とするべく(図9参照)、固定フレーム10の高さ寸法(案内レール41の長さ寸法)を格納ピットPの深さ寸法D(図5参照)と同等に形成することを要する。
【0127】
これに対し、本実施の形態のように、固定フレーム10にスライダ42を配設し、中間フレーム20に案内レール42を配設する構成であれば、固定フレーム10の上方部(図9上方部)にスライダ42が配設されていても、図9に示すように、中間フレーム20を格納ピットPの底部まで案内することができる。
【0128】
従って、固定フレーム10が格納ピットPの側壁(段差部91a)に吊り下げ支持されることで、固定フレーム10の下方部(即ち、スライダ42の配設位置よりも下方側)を不要とすることができる(図5参照)。これにより、かかる不要部分を構成するための部材を省略することで、材料コストの削減を図ることができるのである。
【0129】
次いで、図10及び図11を参照して、格納式支持装置100の電気的構成について説明する。図10は、格納式支持装置100の電気配線図であり、格納式支持装置100が配置された生産設備の上面図に対応する。なお、図10の矢印I方向から視た格納式支持装置100の正面図が図1に対応する。
【0130】
本実施の形態では、図10に示すように、1の格納式支持装置100が12個の支持装置ユニット1を備えて構成されている。また、この格納式支持装置100は、工場の生産現場に複数が配置されており、これら図示しない複数の格納式支持装置100は、それぞれ複数(例えば12個)の支持装置ユニット1を備えて構成されている。
【0131】
即ち、比較的大型の製品(例えば、航空機用翼)を製造する工場では、工場内を複数の作業スペースに区画し、例えば、第1の作業スペース上で被作業物Wに対して第1の作業工程を実施し、次いで、被作業物Wを第1の作業スペース上から第2の作業スペース上に搬送して第2の作業工程を実施する。そして、被作業物Wを所定の作業スペース上に順次搬送させつつ、所定の作業工程を順次実施することで、製品を製造する。なお、被作業物Wの搬出入方法については、後述する(図12及び図13参照)。
【0132】
格納式支持装置100は、図10に示すように、制御操作盤80、信号線95及び動力線96を備えている。制御操作盤80は、オペレータの操作指示に従って12個の支持装置ユニット1をそれぞれ個別に制御するための装置である。なお、詳細構成については、後述する(図11参照)。
【0133】
信号線95は、制御操作盤80から出力される制御信号を各支持装置ユニット1に送信すると共に、各支持装置ユニット1から出力されるエンコーダ66等の検出信号を制御操作盤80に送信するための信号線であり、動力線は、電動モータ63等を駆動するための駆動電力を各支持装置ユニット1に供給するための電力供給線である。
【0134】
これら信号線95及び動力線96は、土台部b(図1参照)内に埋設されつつ、図10に示すように、制御操作盤80と各支持装置ユニット1とを接続している。
【0135】
即ち、制御操作盤80から延出された信号線95及び動力線96は、図10に示すように、順次分岐されつつ、対に配設された支持装置ユニット1の内の一方の支持装置ユニット1(図10下側)に接続されると共に、その一方の支持装置ユニット1から更に延出されて、他方の支持装置ユニット1(図10上側)に接続されている。
【0136】
図11は、格納式支持装置100の電気的構成を示したブロック図である。なお、図11では、電力線96の図示が省略されている。
【0137】
制御操作盤80は、図11に示すように、CPU81、ROM82及びRAM83を備え、これらはバスライン84を介して入出力ポート85に接続されている。また、入出力ポート85には、電動モータ63等の複数の装置が接続されている。
【0138】
CPU81は、バスライン84により接続された各部を制御する演算装置である。ROM82は、CPU81により実行される制御プログラムや固定値データ等を格納した書き換え不能な不揮発性のメモリであり、RAM83は、制御プログラムの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリである。
【0139】
操作子86は、格納式支持装置100を駆動等する際にオペレータが操作する部位であり、例えば、上昇を指示するための上昇ボタン、下降を指示する下降ボタン、12個の支持装置ユニット1の内で上昇下降駆動を行わせる支持装置ユニット1を選択するための選択ボタン、或いは、無人での上昇下降を行うことを指示するためのオートモードボタンなどが含まれる。
【0140】
表示装置87は、各指示装置ユニット1の駆動状態や駆動モードの設定状態などを表示してオペレータに報知するための装置であり、LCD等により構成されている。なお、表示装置87には、各指示装置ユニット1の異常等を警告音によりオペレータに報知するためのスピーカ装置等も含まれる。
【0141】
電動モータ63は、上述したように、移動フレーム30を上昇下降駆動するためのアクチュエータ装置であり、CPU81は、後述するように、対応するエンコーダ66の検出結果に基づいて、各電動モータ63を上昇下降駆動する。
【0142】
なお、格納式支持装置100には、各支持装置ユニット1に1個ずつ合計12個の電動モータ63が配設されているが、図11では、その12個の内の3個の電動モータ63のみが図示されている。また、図11では、CPU81からの制御信号に基づいて電動モータ63を駆動制御する駆動回路の図示が省略されている。
【0143】
エンコーダ66は、上述したように、ねじ軸61の回転数を検出するためのセンサ装置であり(図8参照)、12個の電動モータ63に対応して、各支持装置ユニット1に1個ずつ合計12個が配設されている。但し、図11では、電動モータ63の場合と同様に、3個のみが図示されている。
【0144】
CPU81は、合計12個のエンコーダ66の検出結果(即ち、各ねじ軸61の回転数)を監視し、その検出結果に基づいて、各支持装置ユニット1における合計12本の移動フレーム30の現在位置をそれぞれ把握する。そして、各移動フレーム30の現在位置が目標位置と一致するように、対応する電動モータ63の駆動状態をそれぞれ個別に制御する。
【0145】
なお、本実施の形態では、格納式支持装置100の上昇下降工程において、合計12本の移動フレーム30に設定される目標位置はすべて同じ高さ位置である。即ち、上昇下降工程においては、合計12本の移動フレーム30の上端面(例えば、図1上側面)により形成される平面が床面fに対して平行を維持した状態のまま、各移動フレーム30が上昇下降するように制御される。
【0146】
ここで、本実施の形態における格納式支持装置100によれば、上述したように、ねじ軸61を電動モータ63により回転駆動することで、ナット62を介して移動フレーム30を上昇下降させるように構成したので(図8参照)、複数(12個)の支持装置ユニット1を同時に上昇下降させる場合でも、各支持装置ユニット1(移動フレーム30)の同期精度を確保することができる。これにより、複数の支持装置ユニット1により被作業物Wを複数の支持点で分散支持する場合でも、被作業物Wの変形等を招くことなく、安定した状態で上昇下降させることができる。
【0147】
即ち、駆動手段を油圧シリンダ等の油圧式で構成すると、複数の支持装置ユニット1により被作業物Wを複数の支持点で分散支持しつつ上昇させる場合に、被作業物Wの重量が大きく作用する箇所では駆動手段が踏ん張って上昇駆動を遅らせてしまい、被作業物Wの重量が比較的作用しない箇所における駆動手段から先に上昇駆動を進行させようとするので、各支持装置ユニットの同期精度の悪化を招く。
【0148】
この同期精度の悪化は、被作業物Wの支持平面(合計12本の移動フレーム30の上端面により形成される平面)を歪めることとなり、被作業物Wの変形を招く。特に、長尺で大重量の被作業物Wにおいては、その自重による変形が顕著となるため、被作業物Wの損壊を招く恐れもある。
【0149】
これに対し、本実施の形態における格納式支持装置100によれば、上述のように、電動モータ63等で構成したので、各支持装置ユニット1の同期精度を確保することができる。これにより、被作業物Wの支持平面(合計12本の移動フレーム30の上端面により形成される平面)が歪むことを抑制し、かかる支持平面を床面fと平行に保つことができるので、被作業物Wを上昇下降及び支持する際には(図12及び図13参照)、かかる被作業物Wの変形を回避することができる。
【0150】
図11に示す他の入出力装置88としては、例えば、中間フレーム20及び移動フレーム30の最下降位置をそれぞれ検出するためのリミットスイッチ(図示せず)などが例示される。
【0151】
図10に戻って説明する。格納式支持装置100は、図10に示すように、隣接する支持装置ユニット1同士が、移動フレーム30側を互いに相手に対向させて(図1参照)、対に配設されると共に、この対に配設された支持装置ユニット1が図10左右方向に複数並設されて複数の列(本実施の形態では6列)を形成している。
【0152】
また、対に配設された支持装置ユニット1からなる各列は、図10に示すように、互いに平行に配置されつつ図10左右方向に直線状に並設されている。そして、各列は、その対に配設された支持装置ユニット1の間に搬送車両AGVを入庫可能に構成されている(図1、図13及び図14参照)。
【0153】
これにより、本実施の形態における格納式支持装置100によれば、搬送車両AGVの荷台上に載置された被作業物Wを両側の移動フレーム30の対向間中央に位置させることができる(図1参照)。これにより、被作業物Wを両側から均等に支持することができるので、かかる被作業物Wの上昇下降及び支持を安定した状態で行うことができる。
【0154】
また、移動フレーム30側を互いに相手に対向させて配設することで、中間フレーム20に阻害されることなく、移動フレーム30を搬送車両AGV側へより近接させることができるので(図1参照)、その分、移動フレーム30により被作業物Wを支持する際の支持位置に自由度を持たせることができる。
【0155】
更に、移動フレーム30側を互いに相手に対向させる配置であれば、搬送車両AGVの乗り入れ領域(入庫領域)が格納ピットP領域と重なることを回避することができるので、床面f(即ち、格納ピットPの天井面)の強度を別途補強する等の作業を不要として、設置コストの削減を図ることができる。
【0156】
また、対に配設された支持ユニット1の間にAGVを入庫可能に構成することで、被作業物の受け渡し(搬出入)を、無人の搬送車両AGVを用いて自動化することができるので、かかる被作業物の受け渡し作業を安全に行うことができる。ここで、図12及び図13を参照して、格納式支持装置100による被作業物の搬出入(受け渡し)方法について説明する。
【0157】
図12は、被作業物Wの搬入方法を説明するための模式図であり、搬送車両AGVによって搬送された被作業物Wを作業スペース上に載置するまでの様子が時系列的に図示されている。
【0158】
一方、図13は、被作業物Wの搬出方法を説明するための模式図であり、床面f(作業スペース)上に載置された被作業物Wを搬送車両AGVによって他の作業スペースへ搬送する様子が時系列的に図示されている。
【0159】
なお、図12及び図13は、図10の矢印XII方向から格納式支持装置100を視た図に対応する。また、図12及び図13では、図面を簡素化して理解を容易とするために、各構成を簡略化して模式的に図示すると共に、主要な構成のみに符号を付している。
【0160】
まず、他の作業スペースから搬送車両AGVにより搬送された被作業物Wを搬入する場合には、図12(a)に示すように、各支持装置ユニット1を上昇駆動させた後、図12(b)に示すように、搬送車両AGVを対に配設された支持装置ユニット1の間に入庫させる。
【0161】
搬送車両AGVを入庫させた後は、図12(b)に示す状態から搬送車両AGVの車高を下げる。これにより、図12(c)に示すように、被作業物Wが支持装置ユニット1(移動フレーム30)に支持され、搬送車両AGVの荷台上から持ち上げられる。なお、この場合には、支持装置ユニット1を上昇駆動することにより、被作業物Wを搬送車両AGVの荷台上から持ち上げても良い。
【0162】
そして、図12(d)に示すように、搬送車両AGVを出庫させた後、支持装置ユニット1を下降駆動する。これにより、図12(e)に示すように、被作業物Wが床面f(作業スペース)に載置されるので、かかる被作業物Wに対して各種作業工程を実施することができる。
【0163】
また、この場合には、図12(e)に示すように、支持装置ユニット1が床面f(格納ピットP、図1参照)内に格納されるので、支持装置ユニット1が作業スペースの面積を減少させることや各種作業の妨げとなることを回避することができる。
【0164】
一方、被作業物Wに対する各種作業工程が完了し、かかる被作業物Wを他の作業スペースへ搬出する場合には、図13(a)に示す状態から支持装置ユニット1を上昇駆動させ、図13(b)に示すように、被作業物Wを床面f(作業スペース)上から持ち上げて支持する。
【0165】
被作業物Wを床面f(作業スペース)上から持ち上げた後は、図13(c)及び図13(d)に示すように、搬送車両AGVを対に配置された支持装置ユニット1の間に入庫させ、図13(e)に示すように、搬送車両AGVの車高を上げる。
【0166】
これにより、被作業物Wを搬送車両AGVの荷台上に載置することができるので、図13(f)に示すように、搬送車両AGVを出庫させ、被作業物Wを他の作業スペースに搬出する。
【0167】
なお、図13(d)に示す状態においては、支持装置ユニット1を下降駆動することで、被作業物Wを搬送車両AGVの荷台上に載置しても良い。また、搬送車両AGVの出庫後は、支持装置ユニット1を下降駆動して、床面f(格納ピットP、図1参照)内に格納する。これにより、支持装置ユニット1が作業スペースの面積を減少させることや搬送車両AGVの走行の妨げとなることを回避することができる。
【0168】
このように、本実施形態における格納式支持装置100によれば、被作業物Wの搬出入を無人の搬送車両AGVを用いて自動化することができるので、従来のクレーンを用いた人為的な作業による場合と比較して、被作業物Wの受け渡し作業の安全を確保することができる。
【0169】
また、従来の支持装置のように、作業ベッド(荷台)全体を上昇下降させる構成では、例えば、20mを超えるような長尺で大重量の被作業物Wを上昇下降させようとすると、作業ベッド自身が大型化して重量増となるため、上昇下降駆動が極めて困難になるという問題点があった。
【0170】
これに対し、本実施の形態における格納式支持装置100によれば、対に配設された支持装置ユニット1が複数の列を形成する構成であるので、被作業物Wが長尺で大重量であっても、かかる被作業物Wの複数箇所を分散支持して、その上昇下降を確実に行うことができる。
【0171】
また、本実施の形態における格納式支持装置100のように、対に配設された支持装置ユニット1で複数の列を形成する構成であれば、被作業物Wの大きさに応じた効率的な上昇下降及び支持を行うことができる。
【0172】
例えば、対に配設された支持装置ユニット1を6列配置した場合に(図12及び図13参照)、被作業物Wの長さ寸法(図12左右方向寸法)が短い場合には、全ての支持装置ユニット1を稼働させる必要はなく、被作業物Wの長さ寸法に応じた支持装置ユニット1のみ(例えば、図12左側の3列分のみ)を上昇下降駆動することで、無駄な上昇下降駆動を抑制して、消費エネルギーや制御コストの削減を図ることができる。
【0173】
また、このように、被作業物Wの長さ寸法等に応じて稼働する支持装置ユニット1を適宜変更することができれば、工場の作業工程においては、大小異なる寸法の被作業物Wを混在させることができる。これにより、工場設備の組み替え等を行うことを不要として、設備コストの削減を図ることができる。
【0174】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0175】
例えば、上記実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0176】
上記実施の形態では、支持装置ユニット1が対に配設されると共に、この対に配設された支持装置ユニット1が複数並設されて複数の列を形成する場合を説明したが(図10参照)、各対の対向間隔(図10上下方向間隔)及び各列の並設間隔(図10左右方向間隔)を同間隔に設定する必要はなく、各対及び各列で任意に設定することができる。即ち、かかる間隔は、被作業物Wの形状や重心位置などに応じて適宜調整することができる。
【0177】
上記実施の形態では、1本の案内レール41,51に対して2個のスライダ42,52を配設する場合を説明したが、スライダ42,52の配設個数は必ずしもこれに限られるものではなく、3個以上のスライダ42,52を配設することは当然可能である。
【0178】
上記実施の形態では、リニアガイド機構40,50がそれぞれ2本の案内レール41,51を有して構成される場合を説明したが、案内レール41,51の配設本数は必ずしもこれに限られるものではなく、リニアガイド機構40,50がそれぞれ3本以上の案内レール41,51を有して構成されることは当然可能である。
【0179】
上記実施の形態では、係合張出部22を係合受部32に係合させ、中間フレーム20を移動フレーム30に従動させる構成を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の構成とすることは当然可能である。例えば、係合張出部22及び係合受部32を省略して構成しても良い。この場合には、案内レール51の案内終点とスライダ52との係合により、中間フレーム20を移動フレーム30に従動させる。これにより、部品コストを削減して、装置全体としての製品コストを削減することができる。
【0180】
上記実施の形態では、固定フレーム10と移動フレーム30との間に1の中間フレーム20を配設する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、2以上の中間フレーム20を配設しても良い。但し、中間フレーム20の配設個数の増加は重量増を招くため、上昇下降駆動が困難となる。そのため、本実施の形態で説明したように、中間フレーム20の配設個数は1とすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】本発明の一実施の形態における格納式支持装置を示す部分断面図である。
【図2】(a)は支持装置ユニットの側面図であり、(b)は図2(a)の矢印IIb方向から視た支持装置ユニットの正面図である。
【図3】図2(a)の矢印III方向から視た支持装置ユニットの上面図である。
【図4】固定フレームの上面図である。
【図5】(a)は図4のV−V線における固定フレームの側断面図であり、(b)は図5(a)の矢印Vb方向から視た固定フレームの正面図である。
【図6】(a)は中間フレームの上面図であり、(b)は図6(a)の矢印VIa方向から視た中間フレームの側面図であり、(c)は図6(a)の矢印VIb方向から視た中間フレームの正面図である。
【図7】(a)は移動フレームの上面図であり、(b)は図7(a)の矢印VIIa方向から視た移動フレームの側面図であり、(c)は図7(a)の矢印VIIb方向から視た移動フレームの正面図である。
【図8】支持装置ユニットを模式的に示した側面図である。
【図9】支持装置ユニットの側面図であり、その上昇下降動作を時系列的に示す。
【図10】格納式支持装置の電気配線図である。
【図11】格納式支持装置の電気的構成を示したブロック図である。
【図12】被作業物の搬入方法を説明するための模式図である。
【図13】被作業物の搬出方法を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0182】
100 格納式支持装置
1 支持装置ユニット
10 固定フレーム
20 中間フレーム
30 移動フレーム
40 リニアガイド機構(第1直線案内機構)
41 案内レール
42 スライダ
50 リニアガイド機構(第2直線案内機構)
51 案内レール
52 スライダ
60 駆動装置(駆動手段)
61 ねじ軸
62 ナット
63 電動モータ
f 床面
P 格納ピット
90 出入口
91 格納空間
91a 段差部(側壁)
AGV 搬送車両
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に出入口を開口する格納ピットの格納空間内に固定される固定フレームと、前記固定フレームに第1直線案内機構を介して上昇下降自在に支持される中間フレームと、前記中間フレームに第2直線案内機構を介して上昇下降自在に支持される移動フレームと、前記移動フレームを上昇下降駆動する駆動手段とを有する支持装置ユニットを備え、
前記支持装置ユニットは、前記移動フレームが前記駆動手段によって上昇下降駆動されると、上昇行程及び下降工程の一部で前記中間フレームが前記移動フレームに従動されつつ、前記移動フレームが前記出入口から出没されると共に、前記移動フレームが最下降位置まで下降されると、前記移動フレームと前記中間フレームとが前記格納ピットの格納空間内に格納されるように構成されていることを特徴とする格納式支持装置。
【請求項2】
前記支持装置ユニットが対に配設されると共に、被作業物を搬送する搬送車両が前記対に配設された支持装置ユニットの間に入庫可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の格納式支持装置。
【請求項3】
前記対に配設された支持装置ユニットは、前記移動フレーム側を互いに相手に対向させて配設されていることを特徴とする請求項2記載の格納式支持装置。
【請求項4】
前記対に配設された支持装置ユニットが複数並設されて複数の列が形成されると共に、前記各列の前記対に配設された支持装置ユニットの間に前記搬送車両が入庫可能に構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の格納式支持装置。
【請求項5】
前記第1直線案内機構及び第2直線案内機構は、前記上昇下降の方向に沿って直線状に延設され両側部に転動体転動溝を有する案内レールと、前記案内レールの転動体転動溝に対向する転動体転動溝を有すると共にこれら両転動体転動溝の間に装填された多数の転動体を介して前記案内レールに案内されて相対移動するスライダとを備えるリニアガイド機構として構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の格納式支持装置。
【請求項6】
前記第1直線案内機構は、前記案内レールを前記中間フレームに配設すると共に、前記スライダを前記固定フレームに配設して構成され、
前記固定フレームは、前記格納ピットの側壁に吊り下げ支持されていることを特徴とする請求項5記載の格納式支持装置。
【請求項7】
前記駆動手段は、前記上昇下降の方向に軸芯を一致させ外周面に螺旋状のねじ溝を有するねじ軸と、前記ねじ軸のねじ溝に対応する螺旋状のねじ溝を内周面に有し前記ねじ軸に嵌合されたナットと、前記ナット及びねじ軸の両ねじ溝の間に転動可能に装填された多数の転動体と、前記ねじ軸を回転駆動する電動モータとを備えると共に、
前記ナットが前記移動フレームに配設され、前記ねじ軸が前記電動モータにより回転駆動されることで、前記ナットを介して前記移動フレームが上昇下降するように構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の格納式支持装置。
【請求項1】
床面に出入口を開口する格納ピットの格納空間内に固定される固定フレームと、前記固定フレームに第1直線案内機構を介して上昇下降自在に支持される中間フレームと、前記中間フレームに第2直線案内機構を介して上昇下降自在に支持される移動フレームと、前記移動フレームを上昇下降駆動する駆動手段とを有する支持装置ユニットを備え、
前記支持装置ユニットは、前記移動フレームが前記駆動手段によって上昇下降駆動されると、上昇行程及び下降工程の一部で前記中間フレームが前記移動フレームに従動されつつ、前記移動フレームが前記出入口から出没されると共に、前記移動フレームが最下降位置まで下降されると、前記移動フレームと前記中間フレームとが前記格納ピットの格納空間内に格納されるように構成されていることを特徴とする格納式支持装置。
【請求項2】
前記支持装置ユニットが対に配設されると共に、被作業物を搬送する搬送車両が前記対に配設された支持装置ユニットの間に入庫可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の格納式支持装置。
【請求項3】
前記対に配設された支持装置ユニットは、前記移動フレーム側を互いに相手に対向させて配設されていることを特徴とする請求項2記載の格納式支持装置。
【請求項4】
前記対に配設された支持装置ユニットが複数並設されて複数の列が形成されると共に、前記各列の前記対に配設された支持装置ユニットの間に前記搬送車両が入庫可能に構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の格納式支持装置。
【請求項5】
前記第1直線案内機構及び第2直線案内機構は、前記上昇下降の方向に沿って直線状に延設され両側部に転動体転動溝を有する案内レールと、前記案内レールの転動体転動溝に対向する転動体転動溝を有すると共にこれら両転動体転動溝の間に装填された多数の転動体を介して前記案内レールに案内されて相対移動するスライダとを備えるリニアガイド機構として構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の格納式支持装置。
【請求項6】
前記第1直線案内機構は、前記案内レールを前記中間フレームに配設すると共に、前記スライダを前記固定フレームに配設して構成され、
前記固定フレームは、前記格納ピットの側壁に吊り下げ支持されていることを特徴とする請求項5記載の格納式支持装置。
【請求項7】
前記駆動手段は、前記上昇下降の方向に軸芯を一致させ外周面に螺旋状のねじ溝を有するねじ軸と、前記ねじ軸のねじ溝に対応する螺旋状のねじ溝を内周面に有し前記ねじ軸に嵌合されたナットと、前記ナット及びねじ軸の両ねじ溝の間に転動可能に装填された多数の転動体と、前記ねじ軸を回転駆動する電動モータとを備えると共に、
前記ナットが前記移動フレームに配設され、前記ねじ軸が前記電動モータにより回転駆動されることで、前記ナットを介して前記移動フレームが上昇下降するように構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の格納式支持装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−112552(P2007−112552A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−304248(P2005−304248)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】
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