説明

格納式荷受台昇降装置

【課題】格納動作にあたって引き込み動作時の荷受台の高さ位置のばらつきを抑えて落下防止部材をスムーズに対向状態に移行させることができる格納式荷受台昇降装置を提供する。
【解決手段】アーム17−19を駆動して荷受台5を昇降させるリフトシリンダ20と、スライダ9を駆動して荷受台5をガイドレール8に沿って移動させるスライドシリンダ14と、車枠1に設けた第1係合部材76及び荷受台5に設けた第2係合部材77を有する落下防止部材75と、リフトシリンダ20及びスライドシリンダ14を制御する制御装置45とを備え、制御装置45は、荷受台5をガイドレール8に接触させた状態で引き込んで第2係合部材77を第1係合部材76に対向させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の荷台に対する荷物等の積み下ろし作業を支援する格納式荷受台昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
荷受台昇降装置とは、車両の荷台床面高さと地面高さとの間で荷受台を昇降させ、車両の荷台に対する荷物等の積み下ろし作業を支援するものである。荷受台昇降装置の中には、荷役作業時の位置よりも前方に荷受台をスライドさせて車枠の下部に格納する格納式のものがある(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−238982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術では荷受台が折り畳み式になっていて、荷受台を格納する際には荷受台の先部側部材が基部側部材の上部に折り重ねられる。そして、荷受台を所定位置まで上昇させた後、荷受台を前進させて車枠の下部に引き込むようになっている。先部側部材の裏面(格納姿勢時の荷受台の上面)には断面コの字型の落下防止部材が前後に延在しており、荷受台を車枠の下部に引き入れる際、落下防止部材の内側にガイドレール側の相手材(断面I型のガイドレールの下フランジ)が入り込む。つまり、ガイドレール側の相手材と落下防止部材とで荷受台の下方向の動きを規制することにより、リフトシリンダの圧油のリーク等に起因して生じ得る格納時の荷受台の不測の下降を抑制している。
【0005】
しかしながら、上記従来技術においては次のような課題が存在する。
【0006】
すなわち、格納動作にあたっては、荷受台が所定位置まで上昇したことが検出器で検出されたら引き込み動作(前進動作)に動作を切り換える構成であるところ、動作が上昇から引き込みに切り換わる時点では荷受台の上下方向の可動域が規制される訳でもなく、引き込み動作時の荷受台の高さは、上記検出器による高さ検出から実際に引き込み動作に動作が切り換わるまでの反応時間内に荷受台が上昇した高さで決まる。
【0007】
このとき、シリンダの圧油は気温等によって粘度が変動するため、荷受台の昇降動作や前後移動の速度は気温等によって変動し得る。動作速度が変動すると、同じシーケンス下でも、格納動作にあたって荷受台が所定位置まで上昇したことを検出して引き込みに動作が切り換わる際、前進する荷受台の高さ位置にばらつきが生じ、落下防止部材がスムーズに入らないことがあり得る。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑みなされたもので、格納動作にあたって引き込み動作時の荷受台の高さ位置のばらつきを抑えて落下防止部材をスムーズに対向状態に移行させることができる格納式荷受台昇降装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1の発明は、荷受台を車枠の下部に引き込んで格納する格納式荷受台昇降装置において、前記車枠の下部に取り付けたガイドレールと、このガイドレールに沿って走行可能なスライダと、このスライダと前記荷受台とを連結するアームと、このアームを駆動して前記荷受台を昇降させるリフトシリンダと、前記スライダを駆動して前記荷受台を前記スライダとともに前記ガイドレールに沿って移動させるスライドシリンダと、前記車枠又は前記ガイドレールに設けた第1係合部材及び前記荷受台に設けた第2係合部材を有する落下防止部材と、前記リフトシリンダ及び前記スライドシリンダを制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記荷受台を前記ガイドレールに接触させた状態で引き込んで前記第2係合部材を前記第1係合部材に対向させることを特徴とする。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記制御装置は、接地位置から格納位置の高さよりも低い設定の中間高さまで前記荷受台を上昇させる第1の上昇動作と、前記中間高さに達した前記荷受台を前記格納位置よりも手前の設定の中間位置まで前記車枠の下部に引き込む第1の引き込み動作と、前記中間位置に達した前記荷受台を前記格納位置の高さまで上昇させて前記ガイドレールに押し付ける第2の上昇動作と、前記格納位置の高さに達した前記荷受台を前記格納位置まで引き込んで前記第2係合部材を前記第1係合部材に対向させる第2の引き込み動作とを実行して前記荷受台を格納することを特徴とする。
【0011】
第3の発明は第2の発明において、前記ガイドレールに前記荷受台が押し付けられたことを検出する押圧センサを備え、この押圧センサによって前記ガイドレールに前記荷受台が押し付けられたことが検出されたら、前記制御装置は、前記第2の上昇動作から前記第2の引き込み動作に前記荷受台の動作を切り換えることを特徴とする。
【0012】
第4の発明は,第2又は第3の発明において、油圧ポンプと、この油圧ポンプから前記リフトシリンダへの圧油の流れを制御するリフトシリンダ用制御弁と、前記油圧ポンプの吐出管路の圧油の最大値を規定するメインリリーフ弁と、前記吐出管路の圧油の最大値を前記メインリリーフ弁のリリーフ圧よりも低い値に規定するサブリリーフ弁と、このサブリリーフ弁への圧油の流れを連通又は遮断する切換弁とを備え、前記荷受台の格納動作時、前記制御装置は、前記第2の上昇動作の実行時、前記切換弁を開放して前記リフトシリンダの回路の最大圧力を前記メインリリーフ弁によるリリーフ圧から前記サブリリーフ弁によるリリーフ圧に切り換えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、格納動作にあたって引き込み動作時の荷受台の高さ位置のばらつきを抑えて落下防止部材をスムーズに対向状態に移行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係る格納式荷受台昇降装置を搭載した車両の全体構造を表す側面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る格納式荷受台昇降装置の詳細構造を表す斜視図であって荷受台を格納した状態を表している。
【図3】本発明の一実施の形態に係る格納式荷受台昇降装置の詳細構造を表す斜視図であって荷受台を展開した状態を表している。
【図4】本発明の一実施の形態に係る格納式荷受台昇降装置の荷受台格納時におけるガイドレールの後端近傍の拡大図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る格納式荷受台昇降装置に備えられた油圧駆動装置の一構成例を表す油圧回路図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る格納式荷受台昇降装置に備えられた制御装置の一構成例を周辺機器と併せて表す機能ブロック図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る格納式荷受台昇降装置に備えられた制御装置による荷受台の格納動作の制御手順を表したフローチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態に係る格納式荷受台昇降装置における格納動作中の荷受台の状態と入出力信号の入り切りとの関係について表形式でまとめた模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施の形態に係る格納式荷受台昇降装置を搭載した車両の全体構造を表す側面図である。本願明細書においては、図1の左右を車両の前後とする。
【0017】
図1に示した車両は、車枠1と、車枠1の前方に設けた運転室2と、車枠1上に搭載した荷台3と、車枠1の下部後側に設けた格納式の格納式荷受台昇降装置4とを備えている。この格納式荷受台昇降装置4は、例えば走行運転時には荷受台5を折り畳んで車枠1の下部側に格納する一方、荷台3への荷役作業(荷物の積み下ろし作業)の時等には荷受台5を後方に引き出して展開し、荷台3の床面高さと地面高さとの間で昇降させ作業支援を行う。
【0018】
図2及び図3は格納式荷受台昇降装置4の詳細構造を表す斜視図で、図2は荷受台5を格納した状態、図3は荷受台5を展開した状態を表している。
【0019】
図2及び図3に示したように、格納式荷受台昇降装置4は、荷物を積載する上記の荷受台(プラットフォーム)5と、荷受台5等を前後方向に移動させるスライド駆動部6と、荷受台5を昇降させる昇降駆動部7とを備えている。
【0020】
スライド駆動部6は、車枠1の下部後側に前後方向に延在するように取り付けた左右一対のガイドレール8と、左右のガイドレール8にそれぞれ係合支持されガイドレール8に沿って走行可能な左右のスライダ9と、左右のスライダ9に装架した連結部材10と、連結部材10におけるスライダ9の外側に設けた左右のブラケット部11と、スライダ9の後方に突設した左右の支持フレーム13(図3参照)と、支持フレーム13の先端に設けられ格納及び展開の際に荷受台5が転接する支持ローラ12と、左右のスライダ9とともに荷受台5をガイドレール8に沿って前後に移動させる左右のスライドシリンダ14とを備えている。左右のスライドシリンダ14の伸縮駆動に伴ってスライダ9がガイドレール8に沿って移動し、スライダ9と一体となって連結部材10、ブラケット部11、支持フレーム13、支持ローラ12が前後方向にスライドする。このとき、左右のガイドレール8には、スライダ9の前後方向の移動範囲を規制する前後のストッパ(図示せず)と、スライダ9が後側ストッパに当接した位置(以下「後端位置」)にあるかどうかを検出する後端センサ15(後述の図6参照)と、前側ストッパに当接した位置(以下「格納位置」)と後端位置との間の設定位置(以下「中間位置」)にあるかどうかを検出する中間センサ16(後述の図6参照)が設けられている。これらセンサ15,16には例えば近接センサやリミットスイッチを用いることができる。
【0021】
昇降駆動部7は、上端部がブラケット部11に回動可能に連結された第1アーム(チルトアーム)17と、前端部が第1アーム17に後端部が荷受台5にそれぞれ回動可能に連結された第2アーム(リフトアーム)18と、前端部がブラケット部11に後端部が荷受台5にそれぞれ回動可能に連結された第3アーム(コンプレッションアーム)19と、ロッド側が第1アーム17の下端部にボトム側が第2アーム18にそれぞれ回動可能に連結されたリフトシリンダ20とをそれぞれ左右一対ずつ備えている。第2アーム18及び第3アーム19はスライダ9に対して荷受台5を昇降可能に連結する平行リンクを形成し、この平行リンクがリフトシリンダ20の伸縮駆動に伴って上下に回動駆動することで荷受台5が水平姿勢を保って昇降する。
【0022】
荷受台5は、上記昇降駆動部7に支持された荷受台基端部21と、荷受台基端部21にヒンジ22を介し回動可能に連結された荷受台本体部23と、荷受台本体部23にヒンジ24を介し回動可能に連結された荷受台先端部25と、後述するパット80とを備えている。ヒンジ22は、両端が荷受台基端部21及び荷受台本体部23の上面近傍にそれぞれピン(図示せず)を介し回動可能に連結されており、荷受台基端部21に対する荷受台本体部23の回動機構が、ヒンジ22を介する二重関節構造となっている。同様に、ヒンジ24は、両端が荷受台本体部23及び荷受台先端部25の上面近傍にそれぞれピン(図示せず)を介し回動可能に連結されており、荷受台本体部23に対する荷受台先端部25の回動機構が、ヒンジ24を介する二重関節構造となっている。荷受台本体部23及び荷受台先端部25は、それぞれ展開状態から上方に回動して折り重ねられる。
【0023】
このとき、図2及び図3には図示していないが、荷受台基端部21と荷受台本体部23を連結するヒンジ22には、接地位置と格納位置の間の中間高さ(以下「中間高さ」)にあるか否かの判断の基礎となる値として格納動作中の荷受台5の姿勢(開度)を検出するゲートセンサ56(図6参照)が設けられている。このゲートセンサ56には、ヒンジ22の荷受台基端部21に対する角度を検出する角度センサを用いることができる。
【0024】
前述したようにヒンジ22は二重関節構造であるため、荷受台本体部23を荷受台基端部21に折り重ねる際、荷受台本体部23がヒンジ22に対して90度回動した後、ヒンジ22が荷受台本体部23に拘束されて荷受台基端部21に対して回動し始め、最終的に荷受台本体部23と荷受台基端部21の互いの荷受面が対向する。作業後に荷受台5を格納する際には、後述するように荷受台先端部25及び荷受台本体部23を折り畳んで支持ローラ12に立て掛けた状態でリフトアーム18を上昇させるが、この時点では荷受台基端部21に対するヒンジ22の起き上がり角度(水平に対するヒンジ22の角度R(図3参照))は90度に到達していない。荷受台5が展開しているときの荷受台基端部21に対するヒンジ22の角度を0(ゼロ)、接地位置で支持ローラ12に荷受台本体部23を立て掛けた際の荷受台基端部21に対するヒンジ22の角度をα(0<α<90°)とした場合、ゲートセンサ56は、荷受台基端部21に対するヒンジ22の角度Rが設定角度β(α<β≦90°)となったときに検出信号を出力するように設定されている。設定角度βは、例えば格納動作時において荷受台5が接地位置から上昇し始めて前述した中間高さに達したときのヒンジ22の角度Rであり、角度R=設定角度βのときには荷受台5は地面から浮き上がる。
【0025】
また、スライド駆動部6のブラケット部11の左端部には前出のスライドシリンダ14及びリフトシリンダ20を駆動するための油圧駆動装置(パワーユニット)26が、右端部には格納式荷受台昇降装置4を操作するための荷台外側操作装置27(図2及び図3中にスイッチボックスのみ図示、詳細は後述)が、それぞれ設けられている。
【0026】
図4は荷受台格納時のガイドレール8の後端近傍の拡大図である。
【0027】
図4では、左側のガイドレール8の後端近傍を表している。この図に示すように、ガイドレール8及び荷受台5には、荷受台5の不測の落下動作を抑制する落下防止部材75が備えられている。この落下防止部材75は、ガイドレール8の側面にボルト等で取り付けた第1係合部材76と、荷受台本体部23の裏面(格納時に上を向く面)にボルト等で取り付けた第2係合部材77とを備えている。第1係合部材76は第2係合部材77側(図4では右側)に向かって延びるフランジ78を有しており、第2係合部材77は第1係合部材76側(図4では左側)に向かって延びるフランジ79を有している。第2係合部材77は格納動作時の荷受台5の前後移動に伴って移動する。本願明細書では、フランジ78,79が上下に対向した状態を「対向状態」、第2係合部材77が後方に移動してフランジ78,79の位置がずれた状態を「非対向状態」とする。対向状態では、仮にリフトシリンダ20に圧油のリークが生じたとしても、フランジ79がフランジ78に接触して係合するので荷受台5の下降が抑制される。格納式荷受台昇降装置4の製作誤差を考慮する必要がなければ、対向するフランジ78,79の間の間隙は、フランジ78に対してフランジ79が移動するときに両者が擦れない程度に確保されていれば足りるが、実際には製作誤差を考慮してそれよりも大きく確保することが好ましい。
【0028】
また、前述したように、荷受台5にはパッド80が設けられている。このパッド80は、受台本体部23の裏面(格納時に上を向く面)に設けられており、例えば樹脂で形成されている。荷受台5が格納位置の高さにあるとき、このパッド80はガイドレール8の下面に接触する。ガイドレール8に対するパッド80の接触面は接触面圧が過度に高くならない程度に確保されていれば十分であり、広く取る必要はない。パッド80の厚みは、ガイドレール8にパッド80が接触した状態において、対向するフランジ78,79の間に前述した間隙が確保される程度に設定されている。
【0029】
また、ガイドレール8の上下の面には、スライダ9をガイドする突起部8a,8bがガイドレール8の延在方向に延在している。突起部8a,8bは先端に向かって断面幅が狭まる三角形状をしており、パッド80には、下側の突起部8bに合わせてV字状に形成された溝(図示せず)が形成されている。すなわち、パッド80がガイドレール8に当たったときには、ガイドレール8の下側の突起部8bがパッド80の溝に入って荷受台5の左右方向への動きが拘束されるとともに、パッド80の溝と突起部8bとが位置決め用のガイドの機能を果たすようになっている。
【0030】
図5は油圧駆動装置26の一構成例を表す油圧回路図である。
【0031】
この図5において、油圧駆動装置26は、電動モータ28と、電動モータ28によって駆動される油圧ポンプ29と、油圧ポンプ29の吸込側に設けたオイルタンク30と、油圧ポンプ29の吐出管路29aの圧油をリフトシリンダ20に供給する圧油供給通路31と、圧油供給通路31の流れを連通又は遮断する上げ動作用制御弁32と、圧油供給通路31における上げ動作用制御弁32の下流側から分岐してオイルタンク30に接続する圧油戻し通路33と、圧油戻し通路33の流れを連通又は遮断する下げ動作用制御弁34と、下げ動作用制御弁34の下流側に設けた流量制御弁35と、油圧ポンプ29の吐出圧の最大値を規定するメインリリーフ弁36と、電動モータ28とバッテリ(図示せず)との間に介設したコンダクタリレー37とを備えている。本実施の形態では、上げ動作用制御弁32と下げ動作用制御弁34が、油圧ポンプ29からリフトシリンダ20への圧油の流れを制御するリフトシリンダ用制御弁を構成する。
【0032】
例えば、荷役動作又は格納動作における荷受台5の上げ動作時には、後述する無線操作装置46等からの操作信号に応じて制御装置45から出力される指令信号に従って、コンダクタリレー37のコイル37aに通電されて通常開き状態の接点37bが閉じ、接点37bを介してバッテリから電動モータ28に給電され油圧ポンプ29が駆動する。同時に、上げ動作用制御弁32のソレノイド部32aに駆動指令信号が入力され、上げ動作用制御弁32が図5中左側の連通位置に切換わる。このとき、下げ動作用制御弁34は図5中下側の遮断位置であるから、油圧ポンプ29からの圧油が圧油供給通路31を介しリフトシリンダ20のボトム側に供給され、リフトシリンダ20が伸長し、荷受台5が上昇する。
【0033】
一方、荷役動作又は展開動作における荷受台5の下げ動作時には、無線操作装置46等からの操作信号に応じて制御装置45から出力される指令信号に従って接点37bが開き、電動モータ28及び油圧ポンプ29が停止するとともに、上げ動作用制御弁32が図5中右側の遮断位置になる。同時に、下げ動作用制御弁34のソレノイド部34aに駆動指令信号が入力され、下げ動作用制御弁34が図5中上側の連通位置に切換わり、リフトシリンダ20のボトム側が圧油戻し通路33を介しオイルタンク30に連通し、荷受台5が自重で下降する。
【0034】
また、油圧駆動装置26は、油圧ポンプ29の吐出管路29aから分岐してスライドシリンダ14のロッド側に接続する圧油供給通路38と、圧油供給通路38に設けた絞り弁39及び逆止弁40と、圧油供給通路38から分岐してスライドシリンダ14のボトム側に接続する圧油供給通路41と、圧油供給通路41の流れを連通又は遮断する後退動作用制御弁42と、後退動作用制御弁42の下流側で圧油供給通路41から分岐してオイルタンク30に接した圧油戻し通路43と、圧油戻し通路43の流れを連通又は遮断する前進動作用制御弁44とを備えている。
【0035】
例えば、展開動作における荷受台5のスライド動作時には、後述する無線操作装置46等からの操作信号に応じて制御装置45から出力される指令信号に従って、コンダクタリレー37の接点37bが閉じて電動モータ28及び油圧ポンプ29が駆動し、同時に後退動作用制御弁42のソレノイド部42aに駆動指令信号が入力され、後退動作用制御弁42が図5中上側の連通位置に切換わる。このとき、前進動作用制御弁44は図5中下側の遮断位置であるから、油圧ポンプ29からの圧油が圧油供給通路41を介しスライドシリンダ14のボトム側に供給され、ロッド側との受圧面積差によってスライドシリンダ14が伸長方向に駆動し、荷受台5等が後方にスライドする。
【0036】
一方、格納動作における荷受台5のスライド動作時には、後述する無線操作装置46等からの操作信号に応じて制御装置45から出力される指令信号に従って、コンダクタリレー37の接点37bが閉じて電動モータ28及び油圧ポンプ29が駆動し、同時に前進動作用制御弁44のソレノイド部44aに駆動指令信号が入力され、前進動作用制御弁44が図5中上側の連通位置に切換わる。このとき、後退動作用制御弁42は図5中下側の遮断位置であるから、油圧ポンプ29からの圧油が圧油供給通路38を介しスライドシリンダ14のロッド側に供給され、スライドシリンダ14のボトム側からの圧油が圧油戻し通路43を介してオイルタンク30に流出する。この結果、スライドシリンダ14が縮短方向に駆動し、荷受台5等が前方にスライドする。
【0037】
なお、スライダ9が後端位置にある状態で荷受台5を昇降させるため、リフトシリンダ20を伸長させる間、後退動作用制御弁42を連通位置に切換えてスライダ9を既述した後側ストッパに押し付けるように構成することもできる。また、荷受台5の下降時も油圧ポンプ29を駆動し、後退動作用制御弁42のボトム側に圧油を供給して、スライダ9を後端位置に付勢するように構成することもできる。また、荷受台5の後方スライド時に瞬間的に前進動作用制御弁44を連通位置に切換え、スライドシリンダ14を圧抜きするように構成することもできる。
【0038】
なお、本実施の形態においては、絞り弁39の間で吐出管路29aから分岐して圧油戻し通路43に接続したバイパス通路71を有しており、このバイパス通路71に、サブリリーフ弁73と切換弁72とを設けている。切換弁72は、そのソレノイド駆動部72aへの駆動信号によって切り換えポジションが連通位置(図中上側の位置)又は遮断位置(図中下側の位置)に切り換わり、その切り換えポジションによってサブリリーフ弁73への圧油の流れを連通又は遮断する。切換弁72はサブリリーフ弁73の上流側に設けているが、下流側に設けても良い。サブリリーフ弁73は、そのリリーフ圧(例えば6MPa程度)がメインリリーフ弁36のリリーフ圧(例えば20MPa程度)よりも低く設定してあり、切換弁72が連通位置に切り換わって吐出管路29aに接続した際には、吐出管路29aの圧油の最大値をメインリリーフ弁36のリリーフ圧よりも低い値に規定する。
【0039】
また、油圧ポンプ29の吐出管路29aには、ガイドレール8に荷受台5のパッド80が押し付けられたことを検出する押圧センサとして圧力センサ74が設けられている。すなわち、リフトシリンダ20が伸張してガイドレール8のパッド80に荷受台5が接触したら吐出管路29aの圧力が上昇することから、圧力センサ74の検出値に閾値(設定値)を設けておき、当該検出値が閾値を超えたらガイドレール8に荷受台5が接触したと判定することができる。
【0040】
図6は格納式荷受台昇降装置4に備えられた制御装置の一構成例を周辺機器と併せて表す機能ブロック図である。
【0041】
図6において、荷受台5が後端位置にあるかどうかを検出する後端センサ15と、荷受台5の格納動作に入ったことを検出するゲートセンサ56と、折り畳まれた荷受台5がスライド可能な格納位置にあるかどうかを検出する中間センサ16と、本格納式荷受台昇降装置4に対する操作信号を有線出力する荷台外側操作装置27と、車両側(又はパワーユニット26内)に設けた制御装置45と、本格納式荷受台昇降装置4に対する操作信号を無線出力する携帯可能な無線操作装置(リモコン)46とが設けられている。制御装置45は、格納式荷受台昇降装置4の電源(バッテリ)57に電源スイッチ58を介して接続しており、電源スイッチ58によって制御装置45の電源の入り切りが切り換えられる。電源スイッチ58は例えば車両の運転室2内或いはパワーユニット26等に設置することができる。
【0042】
荷台外側操作装置27は、例えば、押しボタン式の上げ動作スイッチ47A及び下げ動作スイッチ47Bを備えたペンダント操作方式のものであり、上げ動作スイッチ47A又は下げ動作スイッチ47Bの操作に応じた操作信号を制御装置45にケーブル等を介して出力する。
【0043】
無線操作装置46は、押しボタン式の上げ動作スイッチ48A、下げ動作スイッチ48B及び電源スイッチ48Cと、動作スイッチ48A又は48BのON・OFF状態等のシリアルデータを生成し、このシリアルデータを無線信号として送信する送信部49とを備えている。勿論、運転室2や荷台3の中等、任意の場所に保管しておくこともできる。
【0044】
制御装置45は、後端センサ15、中間センサ16、ゲートセンサ56及び圧力センサ74からの検出信号、荷台外側操作装置27からの操作信号を入力する入力部50と、無線操作装置46からの無線操作信号を受信する受信部(入力部)51と、制御プログラム(例えばシーケンス制御やタイマ制御等に基づいたプログラム)や制御閾値を記憶した記憶部(メモリ)52と、この記憶部52に記憶された制御プログラムに従って演算処理を実行しシリンダ14,20の動作を指示する指令信号等を生成する演算部(CPU)53と、この演算部53で生成した指令信号を各制御弁32,34,42,44,72のソレノイド部32a,34a,42a,44a,72aやコンダクタリレー37に適宜出力する出力部54とを備えている。
【0045】
続いて格納式荷受台昇降装置4の動作を説明する。
【0046】
例えば車枠1の下部に格納された状態の荷受台5を使用する場合、制御装置45の電源スイッチ58を入れ、無線操作装置46の下げ動作スイッチ48B又は荷台外側操作装置27の下げ動作スイッチ47Bを押せば、スイッチ操作をしている間、制御装置45を介してスライドシリンダ14の伸長指令がなされて荷受台5が格納位置から後方に移動する。荷受台5が後端位置まで引き出されたことが後端センサ15で検出された後、さらにスイッチ48B又は47Bを押すと、制御装置45からの指令信号がリフトシリンダ20の縮退指令に切り換わり、荷受台5が接地位置まで下降する。荷受台5が接地位置まで下降したら、荷受台5を展開し、無線操作装置46又は荷台外側操作装置27の上げ動作スイッチ及び下げ動作スイッチを適宜操作することにより、荷受台5を昇降させて荷役作業の支援に利用することができる。
【0047】
なお、展開動作は、荷受台5の引き出し→荷受台5の下降の二段階の動作としたが、以下に説明する格納動作の逆動作としても良い。
【0048】
図7は制御装置45による荷受台5の格納動作の制御手順を表したフローチャート、図8は格納動作中の格納式荷受台昇降装置4の状態と入出力信号の入り切りとの関係について表形式でまとめた模式図である。
【0049】
これらの図に示したように、格納式荷受台昇降装置4の格納動作中、制御装置45は、荷受台5をガイドレール8に接触させた状態で引き込んで第2係合部材79を第1係合部材78に対向させる手順を実行する。具体的には、本実施の形態の場合、接地位置から格納位置の高さよりも低い中間高さまで荷受台5を上昇させる第1の上昇動作と、中間高さに達した荷受台5を格納位置よりも手前の中間位置まで車枠1の下部に引き込む第1の引き込み動作と、中間位置に達した荷受台5を格納位置の高さまで上昇させてガイドレール8に押し付ける第2の上昇動作と、格納位置の高さに達した荷受台5を格納位置まで引き込んで落下防止部材75を対向状態に移行させる第2の引き込み動作とを実行する。詳しくは以下の通りである。
【0050】
<第1の上昇動作>
ここでは、図7のステップ101−104の手順と図8の上二段の「接地」及び「第1の上昇」の図示を併せて参照する。
【0051】
例えば荷役作業終了後に車枠1の下部に荷受台5を格納する場合、まず、接地位置において荷受台5を折り畳んで支持ローラ12に立て掛け(ステップ101)、操作装置27又は46の上げ動作スイッチ47A又は48Aを押す。制御装置45は、上げ操作スイッチ47A又は48Aの操作信号が入力されたかどうかを判断する(ステップ102)。操作信号が入力された場合には、コンダクタリレー37(図5参照)に通電して油圧ポンプ29を駆動するとともに、リフトシリンダ20の伸長指令を出力して荷受台5を上昇させ(ステップ103)、操作信号の入力がない場合にはステップ102を繰り返して操作信号の入力を待つ。荷受台5の上昇中には、荷受台5(のヒンジ22)の角度が前述した設定角度βに達したかどうかをゲートセンサ56の信号を基に判定する(ステップ104)。ゲートセンサ56の信号がOFFで荷受台5の角度がβに達しない間は、ステップ102−104の手順を繰り返し、上げ動作スイッチ47A又は48Aが操作されている間だけ荷受台5を上昇させ、操作が解除された場合には停止させる。
【0052】
<第1の引き込み動作>
ここでは、図7のステップ104−107の手順と図8の三段目の「第1の引込」の図示を併せて参照する。
【0053】
荷受台3が上昇するうちにゲートセンサ56からの検出信号が入力され、ステップ104において格納動作中でかつ荷受台5が中間高さに達したことを認識したら、制御装置45は、さらに上げ操作スイッチ47A又は48Aの操作信号が入力されたかどうかを判断し(ステップ105)、操作信号が入力された場合にはスライドシリンダ14の縮退指令を出力してスライダ9を荷受台5とともに前進させ(ステップ106)、操作信号の入力がない場合にはステップ105を繰り返して操作信号の入力を待つ。荷受台5の前進中には、スライダ9が中間位置に達したかどうかを中間センサ16の信号を基に判定する(ステップ107)。中間センサ16の信号がOFFでスライダ9が中間位置に達しない間は、ステップ105−107の手順を繰り返し、上げ動作スイッチ47A又は48Aが操作されている間だけスライダ9を前進させ、操作が解除された場合には停止させる。
【0054】
<第2の上昇動作>
ここでは、図7のステップ107−111の手順と図8の四段目の「第2の上昇」の図示を併せて参照する。
【0055】
スライダ9が前進するうちに中間センサ16からの検出信号が入力され、ステップ107においてスライダ9が中間位置に達したことを認識したら、制御装置45は、スライドシリンダ14を停止させるとともに、切換弁72を連通位置に切り換えて油圧回路のリリーフ圧をサブリリーフ弁73による低リリーフ圧に切り換える(ステップ108)。その後、上げ操作スイッチ47A又は48Aの操作信号が入力されたかどうかを判断し(ステップ109)、操作信号が入力された場合にはリフトシリンダ20の伸長指令を出力して荷受台5を上昇させ(ステップ110)、操作信号の入力がない場合にはステップ109を繰り返して操作信号の入力を待つ。この荷受台5の再上昇を開始する際、中間高さからの上昇開始時点でリリーフ圧がサブリリーフ弁73によるリリーフ圧に厳密に低下しきっていることは問われず、回路的にサブリリーフ弁73が作動し得る状態に切り換わっていれば良い。或いは、タイミングの誤差で、荷受台5の再上昇がリリーフ弁の切り換えよりも遅れる場合もあり得るが、荷受台5が上昇仕切るまでにサブリリーフ弁73が作動し得る状態になっていれば良い。
【0056】
荷受台5の上昇中には、荷受台5が格納位置の高さに達したかどうかを圧力センサ74の信号を基に判定する(ステップ111)。圧力センサ74の信号がOFFで荷受台5が格納位置の高さに達しない間は、ステップ109−111の手順を繰り返し、上げ動作スイッチ47A又は48Aが操作されている間だけ荷受台5を上昇させ、操作が解除された場合には停止させる。
【0057】
<第2の引き込み動作>
ここでは、図7のステップ111−116の手順と図8の最下段の「第2の引込」の図示を併せて参照する。
【0058】
荷受台5が上昇するうちに圧力センサ74からの検出信号が入力され、ステップ111において荷受台5が格納位置の高さに達したことを認識したら、制御装置45は、リフトシリンダ20を停止させるとともに、切換弁72を遮断位置に切り換えて油圧回路のリリーフ圧をメインリリーフ弁36によるリリーフ圧に復帰させる(ステップ112)。
【0059】
その後、上げ操作スイッチ47A又は48Aの操作信号が入力されたかどうかを判断し(ステップ113)、操作信号が入力された場合にはスライドシリンダ14の縮退指令を出力してスライダ9を前進させ(ステップ114)、操作信号の入力がない場合にはステップ113を繰り返して操作信号の入力を待つ。荷受台5の前進中には、上げ操作スイッチ47A又は48Aの操作が停止したかどうかを判定し(ステップ115)、操作信号が入力されている間はステップ114,115の手順を繰り返してスライドシリンダ14のロッド側に圧油を送り続け、例えば荷受台5が前進しきって(格納位置に達して)操作者が上げ動作スイッチ47A又は48Aから指を離したら、荷受台5の前進動作(スライドシリンダ14のロッド側への圧油の供給)を停止させる(ステップ116)。
【0060】
なお、この荷受台5の格納動作の第2の引き込み動作の過程で、荷受台5が格納高さに達した際に落下防止部材75が非対向状態から対向状態になる。
【0061】
<終了動作>
ここでは、図7のステップ117−118の手順を参照する。
【0062】
荷受台5の二度目の前進停止後は、制御装置45の電源が切られる前に上げ操作スイッチ47A又は48Aの操作がないかどうかを判定し(ステップ117)、もし操作があればステップ110に手順を戻してスライドシリンダ14のロッド側に圧油を供給する。操作がない場合は油圧ポンプ29を停止させて電源が切られたかどうかを判定し(ステップ118)、切られない間はステップ117に手順を戻して待機し、切られた場合は図7の手順を終了する。
【0063】
以上、本実施の形態によれば、上記のように、荷受台5を格納位置に移行させる際に第2の上昇動作を経ることによって荷受台5をガイドレール8に押し当てるので、最終的に落下防止部材75を対向状態に移行させる段階では荷受台5とガイドレール8との間にはガタツキがない。したがって、圧油の粘度によるシリンダ14,20の動作速度の変動に影響されず、格納動作にあたって第2の引き込み動作時の荷受台5の高さ位置のばらつきを抑えることができ、精度良く格納位置の高さで荷受台5を前進させることによって落下防止部材75をスムーズに対向状態に移行させることができる。さらに、落下防止部材75を対向状態に移行させる際の荷受台5の高さ位置のばらつきを抑えられるので、落下防止部材75のフランジ78,79の間の間隙を小さく設定することができ、リフトシリンダ20の圧油のリークが生じた場合に許容される荷受台5の下降幅を極僅かな距離に抑えることができる。
【0064】
特に本実施の形態では、圧力センサ74を用いてガイドレール8に荷受台5が接触したことを認識してから最終的な第2の引き込み動作に移行するので、より確実に格納位置の高さで荷受台5を前進させることができる。
【0065】
加えて、第2の上昇動作中に油圧回路のリリーフ圧をサブリリーフ弁73による低リリーフ圧に下げることにより、荷受台5とガイドレール8との間に作用する押圧力が過大になることはなく、第2の前進動作時にはガイドレール8にパッド80を軽く摺動させて荷受台5を前進させることができる。また、荷受台5のガイドレール8に対する接触圧力を抑えることができるので、ガイドレール8や荷受台5に作用する応力を十分に抑えることができ、普段の運用において荷受台5の格納動作を繰り返し行っても装置の構成部品への負荷は少なく、装置の短命化を抑制することもできる。
【0066】
なお、第1の上昇動作から第1の前進動作に動作を切り換える「中間高さ」、及び第1の前進動作から第2の上昇動作に動作を切り換える「中間位置」について精度は要求されない。したがって、シリンダ14,20の動作速度の変動によってこれら動作切り換えの高さ方向又は前後方向の位置にばらつきが生じても問題はない。このことに鑑みれば、最終的に第2の引き込み動作の際にガイドレール8に荷受台5が接触していれば良いので、本実施の形態のように、センサ15,16,56,74を用いて第1の上昇動作→第1の引き込み動作→第2の上昇動作→第2の引き込み動作と動作を切り換えていく構成に限らず、センサを用いずに一定の軌跡を辿って接地位置から格納位置まで荷受台5を移動させる構成とすることもできる。このような構成でも、第2の上昇動作で確実にガイドレール8に荷受台5が接触するように、発生し得るシリンダ14,20の動作速度のばらつきを考慮して第1及び第2の上昇動作の上昇幅を大きめに設定すれば良い。上昇幅が大きくても、サブリリーフ弁73によるリリーフ圧に切り換えることによってガイドレール8と荷受台5との接触圧力が必要以上に上昇することはない。この場合には、センサ類の削減によりハード構成の簡素化に加え、製作コストも抑えられる。
【0067】
また、例えば落下防止部材を対向状態に移行させる際の荷受台の高さ位置のばらつきを抑える代わりに、何らかの可動機構を落下防止部材に付加してそのばらつきを許容するような構成も考えられるが、可動機構を付加した場合には、長期に亘る使用に伴って錆や磨耗が生じた場合に可動機構の動作品質が劣化し、動作がスムーズにいかなくなる恐れがある。それに対し、本実施の形態の場合、落下防止部材75は簡素な構成の固定式の部材であるため、落下防止部材75自体の経年変化によって落下防止部材75の動作、例えば対向状態又は非対向状態への移行動作がスムーズに行われなくなるようなこともない。
【0068】
また、本実施の形態においては、第1の上昇動作→第1の引き込み動作→第2の上昇動作→第2の引き込み動作という手順で荷受台5を格納する場合を例に挙げて説明したが、本発明の本質は荷受台5をガイドレール8に接触させた状態で引き込んで第2係合部材79を第1係合部材78に対向させることにあり、荷受台5がガイドレール8に接触するまでの手順(荷受台5の動作経路)については特に限定されない。例としては、まず接地状態のまま荷受台5を短い距離(例えばそのまま上昇させればパッド80がガイドレール8の後端部近傍に当たる位置まで)前方に引き込み、その後荷受台5を上昇させてガイドレール8に接触させ、さらに格納位置まで引き込むという、引き込み→上昇→引き込みの格納動作を採用することもできる。この場合、荷受台5が接地した状態での引き込み動作を容易化する上では、必要に応じて荷受台5の接地部にローラを設けることもできる。或いは、まず接地位置から微小距離だけ荷受台5を引き込んでから中間高さまで上昇させた後、中間位置まで引き込んでから上昇させてガイドレール8に接触させ、ガイドレール8に接触した状態で荷受台5を最終的に格納位置まで引き込むという、引き込み→上昇→引き込み→上昇→引き込みという格納動作を採用することもできる。さらには、引き出し動作や下降動作を途中に組み入れた格納動作とすることも必要であれば可能である。また、格納動作初期状態における接地位置から格納位置に至るまでの引き込み動作や上昇動作の各動作のストロークについても種々設定変更が許容される。例えば、上昇と引き込みの動作を多数回(例えば3回以上)繰り返すような場合、各上昇動作のストロークや各引き込み動作のストロークを等距離に設定することもできれば、不揃いに設定することもできる。
【0069】
また、本実施の形態では、荷受台を車枠の下部に格納する格納式荷受台昇降装置を適用対象とした場合を例に挙げて説明したが、この種の格納式荷受台昇降装置には、車枠の下部に格納する格納姿勢の他、荷受台を荷台の後部に起立させた格納姿勢を選択することができるものも存在する。本実施の形態は、このような複数の格納姿勢を採用する種の格納式荷受台昇降装置であっても、荷受台を車枠の下部に格納する際に適用することができ、同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0070】
4 格納式荷受台昇降装置
5 荷受台
8 ガイドレール
9 スライダ
14 スライドシリンダ
17 第1アーム(アーム)
18 第2アーム(アーム)
19 第3アーム(アーム)
20 リフトシリンダ
29 油圧ポンプ
32 上げ動作用制御弁(リフトシリンダ用制御弁)
34 下げ動作用制御弁(リフトシリンダ用制御弁)
36 メインリリーフ弁
45 制御装置
72 切換弁
73 サブリリーフ弁
74 圧力センサ(押圧センサ)
75 落下防止部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷受台を車枠の下部に引き込んで格納する格納式荷受台昇降装置において、
前記車枠の下部に取り付けたガイドレールと、
このガイドレールに沿って走行可能なスライダと、
このスライダと前記荷受台とを連結するアームと、
このアームを駆動して前記荷受台を昇降させるリフトシリンダと、
前記スライダを駆動して前記荷受台を前記スライダとともに前記ガイドレールに沿って移動させるスライドシリンダと、
前記車枠又は前記ガイドレールに設けた第1係合部材及び前記荷受台に設けた第2係合部材を有する落下防止部材と、
前記リフトシリンダ及び前記スライドシリンダを制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記荷受台を前記ガイドレールに接触させた状態で引き込んで前記第2係合部材を前記第1係合部材に対向させる
ことを特徴とする格納式荷受台昇降装置。
【請求項2】
請求項1の格納式荷受台昇降装置において、
前記制御装置は、
接地位置から格納位置の高さよりも低い設定の中間高さまで前記荷受台を上昇させる第1の上昇動作と、
前記中間高さに達した前記荷受台を前記格納位置よりも手前の設定の中間位置まで前記車枠の下部に引き込む第1の引き込み動作と、
前記中間位置に達した前記荷受台を前記格納位置の高さまで上昇させて前記ガイドレールに押し付ける第2の上昇動作と、
前記格納位置の高さに達した前記荷受台を前記格納位置まで引き込んで前記第2係合部材を前記第1係合部材に対向させる第2の引き込み動作と
を実行して前記荷受台を格納することを特徴とする格納式荷受台昇降装置。
【請求項3】
請求項2の格納式荷受台昇降装置において、
前記ガイドレールに前記荷受台が押し付けられたことを検出する押圧センサを備え、
この押圧センサによって前記ガイドレールに前記荷受台が押し付けられたことが検出されたら、前記制御装置は、前記第2の上昇動作から前記第2の引き込み動作に前記荷受台の動作を切り換えることを特徴とする格納式荷受台昇降装置。
【請求項4】
請求項2又は3の格納式荷受台昇降装置において、
油圧ポンプと、
この油圧ポンプから前記リフトシリンダへの圧油の流れを制御するリフトシリンダ用制御弁と、
前記油圧ポンプの吐出管路の圧油の最大値を規定するメインリリーフ弁と、
前記吐出管路の圧油の最大値を前記メインリリーフ弁のリリーフ圧よりも低い値に規定するサブリリーフ弁と、
このサブリリーフ弁への圧油の流れを連通又は遮断する切換弁とを備え、
前記荷受台の格納動作時、前記制御装置は、
前記第2の上昇動作の実行時、前記切換弁を開放して前記リフトシリンダの回路の最大圧力を前記メインリリーフ弁によるリリーフ圧から前記サブリリーフ弁によるリリーフ圧に切り換える
ことを特徴とする格納式荷受台昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−49315(P2013−49315A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187476(P2011−187476)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)