説明

格闘技用練習具

【課題】 少子化によって練習相手が少なく、充分に経験を積んだ指導者も不足している教育現場であっても、子供達が、初歩から安全に格闘技を身に付けることができる格闘技用の新たな練習用器具技術を提供する。
【解決手段】 頭部30、胴体32、肢体各部33,33,34,34を有する人型外殻体3を設け、頭部30、胴体32、肢体各部33,33,34,34の各部間に弾性継ぎ手5,5,……を介在させ、静置状態では起立姿勢か、構えた姿勢かの少なくとも何れか一方の姿勢になるようにするか、または起立姿勢と構え姿勢との双方に可変となるよう予め成形して等身大人型本体2を形成し、該人型本体2左右脚20,20下端部夫々には、球面状接地面23,23をなし、該人型本体2を自立可能なバランスに維持可能な重量の錘部21,21を設けた上、当該人型本体2には、着脱自在となる柔道など格闘衣9を着用させてなる格闘技用練習具1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、柔道、レスリング、相撲、空手、少林寺拳法、合気道、カンフー、テコンドー、ボクシング、キックボクシング、その他の各種格闘技の練習用具に関連するものであり、特に、練習相手を要さずに、より実践に近い練習を可能とする格闘技用練習具を製造、提供する分野は勿論のこと、その輸送、保管、組立に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野をはじめ、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、それら設備、器具を動かす動力機械の分野、それらのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
柔道の練習中に発生する事故は、初心者の受身の稽古不足や、投げ技に際する引き手不足などの不完全な投げ、絞め技・関節技の力加減の誤り、および少子化に伴って愛好家が減ったことによる稽古相手の不足や、体重差の大きな稽古相手しか居ないといった恵まれない練習環境などの問題に加えて、受身などの基本練習に長時間を割くことができないといったような短時間の学校授業での取り組み方や、授業に取り入れられることとなった場合には、充分に経験を積んだ指導者が不足して正確な練習ができないなどといった、一昔前までには想像もしなかった諸々の原因によって引き起こされてしまう虞があり、それら事故が発生したときの賠償問題が取り沙汰される昨今、一頃のように柔道愛好者を募るのが難しくなっている。
【0003】
このような練習中の事故は、柔道だけに留まらず、その他の格闘技、例えば合気道や少林寺拳法などといった各種格闘技でも同様の危険性を伴うこととなって、本来であれば子供達の健全な心身の発育を促し、健康を促進すると共に、護身術を身に付けることにもなるなどという成果をもたらす所作であるにも関わらず、稀に起きてしまう事故に起因した障害や賠償を虞ってばかりいるため、我が国における多くの子供達は、日常生活では到底経験できないが、日常生活における心身の健康や防御方法などとして有益な技の一つになることが確実な格闘技の練習を、特に幼少時に体験する好機が殆ど与えられないまま成人となってしまうことは、本人自身は固よりのこと、社会規範上からしても非常に残念なことであり、永らく柔道家として過ごして来ている身にとって憂慮した事態と言わざるを得ず、そのための対策を講じる必要性を痛感している。
【0004】
(従来の技術)
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、保持手段でメインシャフトを水平、かつ揺動および回転自在に保持し、該メインシャフト一方側上側に操作部を揺動および回転自在に取り付け、該メインシャフト一方側下側に脚部を取り付け、練習者が操作部を揺動させ、脚部を刈る、払うまたは跳ね上げる動作に合わせて、操作部および/または脚部を変位させるようにして、相手がいなくても実戦的な柔道技の練習を行い得るようにしてなるものや、同特許文献1(2)に見られるような、環状ロープの中途の一部を練習者が把持できる程度露出するよう、同環状ロープの他部を本体内に収容し、該本体内の環状ロープの他部に、練習者が引っ張る方向とは反対方向の負荷を発生する負荷部、および、練習者が引っ張る力に抗する抵抗部を内蔵し、柔道の対戦相手の袖を強く掴み、引き付けるための筋力を強化可能としてなるもの、同特許文献1(3)のように、機体フレームの上部に、前方下方に向けて伸延させた左・右側揺動アームを揺動自在に枢設したローイングマシンに、柔道着における袖を模した筒状の袖布片と、柔道着における前襟を備えた前身頃を模した前身頃布片を装着し、機体フレームの前方上下間中途部および下部の夫々適所に、胸当て板、座板を夫々設け、下半身に怪我を負った柔道家でも訓練可能としたもの、同特許文献1(4)のような、机上や板状物に着脱自在なクランプの適所に垂設した中空軸に、上下進退自在に装着した調節パイプ、および、該調節パイプを任意の上下進退位置に仮固定可能な調節ネジを設け、該調節パイプの上端に立設したコイルスプリングの上端にパンチングボールを装着し、気軽にボクシング気分を楽しんだり、ボクササイズをしたりすることができるようにしたものなどが散見される。
【0005】
しかし、前者特許文献1(1)に示されているような立ち技、特に足技専用の練習器具類は、立ち技の集中的な練習には有益なものであるが、絞め技や関節技などの寝技には利用できないという不便な点が残るものであり、同特許文献1(2)のような、対戦相手の袖を掴むために必要な筋肉を強化するための練習器具類は、それ以外の立ち技や寝技の稽古には全く利用できないという欠点があり、同特許文献1(3)のように、下半身を負傷した練習者用の座板を有する練習器具類は、健常者も上半身を鍛えるという目的で利用可能であるとはいえ、足技や寝技の稽古は不可能になるという問題があり、同特許文献1(4)のような、直立姿勢に設置可能なコイルスプリングの上端に、パンチングボールを装着してなる練習器具類は、ボクシングや空手などの打撃を主体とする格闘技の練習や、ストレス発散などを目的とする気軽な運動などには有効ではあっても、投げ技や足技、寝技などを駆使する柔道や合気道などの練習には全く不向きなものであるといった具合に、それら従前までに提供されて来ているものには夫々一長一短を伴っており、到底、立ち技や寝技に共通しては使えないものばかりであった。
【特許文献1】(1)特開2006−26453号公報 (2)特開2010−35757号公報 (3)実用新案登録第3112065号公報 (4)実開平7−417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種格闘技用の練習器具類などは、何れも対応できる練習範囲や項目に制限があるばかりではなく、それら専用器具を利用して総合的な練習を行おうとすると、広いトレーニング用のスペースを確保しておいて、夫々の器具類を個々に設置しなければならず、勢い経済的負担が大きくなってしまうなど、多くの欠点をもつものである上、トレーニングマシーンのような大掛かりな設備は、子供達の運動には馴染み難く、ふざけて走り回ったり、器具の近くでバランスを崩した場合などに衝突や接触してしまう虞もあり、安全面からしても適さない面が多く、教育現場などにおける柔道や、その他格闘技の練習を、特に初心者であっても、より安全で楽しく行えるよう、さらに一層の改良、開発を必要としている。
【0007】
(発明の目的)
そこで、この発明は、少子化によって練習相手が少なく、充分に経験を積んだ指導者も不足している教育現場であっても、子供達が、初歩から安全に格闘技を身に付けることができる格闘技用の新たな練習用器具技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の格闘技用練習具を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の格闘技用練習具は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、軽量・軟質合成樹脂製で、頭部、胴体、肢体各部を有する人型外殻体を設け、頭部、胴体、肢体各部の各部間に弾性継ぎ手を介在させ、静置状態では、起立姿勢か、または構えた姿勢かの少なくとも何れか一方の姿勢になるようにするか、または、起立姿勢と構え姿勢との双方に可変となるよう、予め成形して等身大人型本体を形成し、該人型本体左右脚下端部夫々には、球面状接地面をなし、該人型本体を自立可能なバランスに維持可能な重量の錘部を設けた上、当該人型本体には、着脱自在となる柔道など格闘衣を着用させてなるものとした構成を要旨とする格闘技用練習具である。
【0009】
この基本的な構成からなる格闘技用練習具は、その表現を変えて示すならば、軽量・軟質合成樹脂製で、頭部、胴体、肢体各部を準えた人型外殻体内部には、骨に準じた弾性強度を有する軽量・弾性素材製で、各肢体用骨格が共に弾性継ぎ手を介して胴体用骨格所定部位に連結してなる人型骨格を、一体的に内蔵するようにした上、静置状態では、起立姿勢か、または構えた姿勢かの少なくとも何れか一方の姿勢になるようにするか、または、起立姿勢と構え姿勢との双方に可変となるよう、予め成形して等身大人型本体を形成し、該人型本体左右脚下端部夫々には、球面状接地面をなし、該人型本体を自立可能なバランスに維持可能な重量の錘部を設けた上、当該人型本体には、着脱自在となる柔道など格闘衣を着用させてなるものとした構成からなる格闘技用練習具となる。
【発明の効果】
【0010】
以上のとおり、この発明の格闘技用練習具によれば、従前までのものとは全く違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、少子化による練習相手の不足や、体重差の大きな相手との危険な稽古を解消することができると共に、柔道の練習中に、受身の練習不足や、投げ技の引き手不足、絞め技や関節技の力加減の誤りなどによって引き起こされてしまう様々な事故を未然に防ぎ、高い安全性を確保することができると共に、軽量・軟質素材製で等身大の人型本体は、市販の柔道など格闘衣を着用させて利用することが可能であるから、従前までの大型フレームを設置するトレーニングマシーンのようなものとは一線を画し、格段に自然で、実際に人を相手とした場合と同様の投げ技、足技などの立ち技や、寝技を駆使した練習を実現し、より実践的な練習を格段に安全に行えるものとなり、特に、投げ技を掛けた場合に、人型本体左右脚下端部夫々の錘部が、人型本体の自動的な起立、復帰を可能とするから、従前までであれば稽古相手が居なければ全く不可能であり、しかも、初心者には危険とされる、投げ技や足技を連続するような捨て稽古や、かかり稽古、乱取りのような練習法も格段に安全に実現化することができる上、初心者が、絞め技や関節技の危険性や力加減を習得するのにも非常に有効で、投げ技や絞め技、関節技などの連繋的且つ総合的な練習を可能とすることができるという秀れた特徴が得られるものである。
【0011】
加えて、人型本体の人型外殻体が、頭部、胴体、肢体各部の各部間に弾性継ぎ手を介在させてなるものか、または、人型本体の人型外殻体内部に、軽量・弾性素材製で、各肢体用骨格が共に弾性継ぎ手を介して胴体用骨格所定部位に連結してなる人型骨格を、一体的に内蔵するようにしてなるものかの何れか一方とした、この発明の格闘技用練習具は、静置状態では、起立姿勢か、または構えた姿勢かの少なくとも何れか一方の姿勢になるようにするか、または、起立姿勢と構え姿勢との双方に可変となるようにしたものとすることができるから、各関節部分に相当する各弾性継ぎ手が、人体の関節と同様の動きをして、一段と実践的な練習を実現化することができるものとなり、特に、各弾性継ぎ手を人型外殻体胴体と各肢体各部との接合部、および、外殻体胴体と頭部との接合部夫々か、または、人型骨格のそれら接合部に相当する各所かの何れか一方に、それら各接合部の、可動角度範囲を規制可能とする関節機構または脊椎機構、および、各関節機構または脊椎機構を所定角度姿勢に維持・復帰可能とする弾性付勢部とを組合せてなるものとすることにより、練習者が様々な技を掛けた場合の、当該格闘技用練習具の動作や姿勢が、より人体のそれに近い動きを示すものとなり、さらに、各弾性継ぎ手に、各関節機構または脊椎機構を所定角度姿勢に維持・復帰可能、且つ、維持角度を任意姿勢に調節可能な姿勢変更機構を設けたものは、直立姿勢や構え姿勢などの任意姿勢に自由に調節することが可能となり、練習目的に応じた様々な体勢に維持可能なものとなって、練習者の実戦感覚を養うための性能を格段に高めたものとすることができる。
【0012】
関節部アラームを設けた、この発明の格闘技用練習具にあっては、初心者に関節技の危険性を認識させる練習を安全に行うのに非常に有効であり、他の練習者を危険にさらすことなく技の掛け方や、その力加減などを効率的に習得することができるものとなり、熟達者には、関節技の効き具合を確かめることにも有効であり、また、頚部アラームを設けてなる、この発明の格闘技用練習具は、初心者に絞め技の危険性を認識させるのに特に有効であり、より安全且つ正確に寝技を掛けることができるよう練習するのに非常に効果的であって、さらに、関節部アラームおよび頚部アラームを、同一の中央処理装置で制御可能としてなるものは、部品点数を大幅に削減できて、より経済的で故障が少なく、低廉でありながら高性能のものとすることができる。
【0013】
そして、人型本体の人型外殻体内に、空気、ヘリウムガスまたは窒素ガスなどの何れか単独気体か、または、それらの混合気体かの何れかを適宜内圧とするよう充填してなるようにした、この発明の格闘技用練習具の場合には、人型外殻体の肉厚や内部充填材料などを削減・軽量化することができる上、空気よりも比重の軽いヘリウムガスなどは軽量化の作用が得られるから、その浮力によって転倒した格闘技用練習具の立ち上がり復帰の速度を速め、より瞬発力を活かした稽古を実践できるようになるという利点が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
人型本体は、柔道における立ち技および寝技をかけることができる程度の柔軟性および耐久強度を有し、柔道など各種格闘衣を着用可能な等身大の人型をなす機能を担い、頭部、胴体、肢体各部を準えた人型外殻体を有し、静置状態では、起立姿勢か、または構えた姿勢かの少なくとも何れか一方の姿勢になるようにするか、または、起立姿勢と構え姿勢との双方に可変となるよう、予め成形してなるものとしなければならず、該人型外殻体内部に人型骨格を一体的に内蔵してなるものとするのが良く、後述する実施例に示すように、軽量・軟質合成樹脂製の人型外殻体内に、骨に準じた弾性強度を有する軽量・弾性素材製の人型骨格を、一体的に内蔵するようにしてなるものとすることができる。
【0015】
人型本体の左右脚下端部は、夫々人型本体の全体をダルマ状の極端な低重心バランスとし、該人型本体を転倒させた場合にも、自動的に比較的素早く起き上がるようにする機能を担い、左右脚下端部の夫々に、球面状接地面をなし、この人型本体を自立可能なバランスに維持可能な重量の錘部を設けたものとしなければならず、より具体的には、人型外殻体の左右脚下端部か、または、人型骨格を有するものの場合には、該人型骨格の左右脚下端部かの少なくとも何れか一方に一体化してなるものとすべきであり、錘部は、鉄製、銅製、鉛製などの各種金属製の錘の外、後述する実施例に示すように、砂鉄や砂、水その他の流動・柔軟性を確保可能な錘材を柔軟な袋などに充填してなるものなどとすることが可能であり、各球面状接地面および錘部は、練習者や他物などに衝突した場合にも安全に緩衝可能な軟質・弾発性の外皮を被着してなるものとするのが望ましい。
【0016】
人型外殻体は、人型本体の外郭形状を形成し、人型骨格を内蔵するものの場合には、それを内蔵可能なものとし、また、内部に空気、ヘリウムガスまたは窒素ガスなどの何れか単独気体か、または、それらの混合気体かの何れかを適宜内圧とするよう充填してなるものとする場合には、それら気体を注入可能とし、容易に漏出しないよう、高い気密性を確保可能なものとなるという機能を担うものであり、軽量・軟質合成樹脂製で、頭部、胴体、肢体各部を有し、柔道の立ち技や寝技を掛けた練習者が強く接触しても支障のない程度に軽量・軟質なものであり、投げや絞め技などを受けても容易に破損しない程度の充分な耐久強度を有するものとしなければならず、より具体的には、発泡ウレタン、発泡スチロール、スポンジ、シリコン樹脂などの中空パイプ状または中実軸状の頭部、胴体、肢体各部を個別に成型し、それら各部品を組合せて一体化してなるもの、発泡ウレタン、発泡スチロール、スポンジ、シリコン樹脂などの中空パイプ状または中実軸状の頭部、胴体、肢体各部を一体成形してなるもの、平面人型に裁断した各種合成樹脂シートを熱熔着してなるもの、平面人型に裁断した合成繊維や天然繊維に綿層やスポンジ層、合成樹脂シートなどを積層してなるシート素材同士を縫合、シールするなどして一体化してなるもの、または、それら何れかにて個別に形成した頭部、胴体、肢体各部を互いに組み合わせてなるものなどとすることができる。
【0017】
人型骨格は、人型本体の骨格部分を形成し、人型外殻体を内がわから支持すると共に、静置状態では、起立姿勢か、または構えた姿勢かの少なくとも何れか一方の姿勢になるようにするか、または、起立姿勢と構え姿勢との双方に可変で、夫々の姿勢毎に保持可能とする機能を担い、各肢体用骨格が共に弾性継ぎ手を介して胴体用骨格所定部位に連結してなり、左右脚下端部夫々に設けた錘部の夫々に、肢体用骨格左右脚骨幹下端を一体化してなるものとしなければならず、骨に準じた弾性強度を有する軽量・弾性素材製のものとすべきであり、より具体的には、硬質合成樹脂製、木製、軟質金属製などとすることができる。
【0018】
弾性継ぎ手は、人型本体の少なくとも左右肘部分を屈曲可能に支持し、人型骨格を有するものでは、各肢体用骨格を胴体用骨格所定部位に屈曲可能に連結する機能を担い、人型本体の少なくとも左右肘部分の可動角度範囲を規制可能とする関節機構、および、各関節機構を所定角度姿勢に維持・復帰可能とする弾性付勢部とを組合せてなるものとすべきであり、さらに、可動角度範囲を規制可能とする脊椎機構、および、各脊椎機構を所定角度姿勢に維持・復帰可能とする弾性付勢部を組み合せてなるものを組み込んでなるものとすることができ、各関節相当箇所および脊椎相当箇所の要所々々に配設してなるものとすることが可能であり、それら弾性付勢部は、各関節機構または脊椎機構を所定角度姿勢に維持・復帰可能、且つ、維持角度を任意姿勢に調節可能な姿勢変更機構を有するものとすることができる。
【0019】
弾性継ぎ手の各関節機構や各脊椎機構は、人型本体の各関節相当部分や各脊椎相当部分を可動自在にすると共に、その可動範囲を規制可能とする機能を担い、人型外殻体胴体と各肢体各部との各接合部、および、外殻体胴体と頭部との各接合部か、または、人型骨格のそれら接合部に相当する各所かの何れか一方に設けたものとしなければならず、後述する実施例に示すように、各接合部の、被接部材がわ双方に球面器状の摺動座面を形成し、それら球面器状の摺動座面間に、関節用球体を挟み込み、双方の摺動座面、関節用球体の中心を縦貫し、双方の摺動座面で関節用球体を挟み込むよう付勢可能な弾性牽引紐を組み込んでなるものとするか、または、それら摺動座面、関節用球体の外がわ周囲を包囲するよう装着し、双方の摺動座面で関節用球体を挟み込むよう付勢可能とした弾性牽引帯を装着してなるものかの何れかとすることができる。
【0020】
また、弾性継ぎ手の各関節機構や各脊椎機構は、人型外殻体胴体と各肢体各部との各接合部、および、外殻体胴体と頭部との各接合部か、または、人型骨格のそれら接合部に相当する各所かの何れか一方の、各接合部の、被接部材がわ双方に回転軸を埋設し、それら回転軸の突端同士を、それら回転軸に直交する枢軸にて摩擦力をもって回動自在に連結して、自在軸継ぎ手を形成し、該摩擦力で回転軸同士の開き角度を任意姿勢に維持可能としてなるものとすることが可能である。
【0021】
弾性継ぎ手の姿勢変更機構は、各関節機構や各脊椎機構を任意姿勢に可変且つ仮固定可能とする機能を分担し、仮固定した姿勢は、練習者と強く接した場合など、受ける衝撃力や圧力などの強度が大きい場合には、自動的に仮固定が解除され、練習者に強い負担が掛からない程度の強度に設定してなるものとしなければならず、しかも投げ技などを受けても容易に変形しない程度の強度をもって仮固定可能なものとするのが望ましく、各関節機構や各脊椎機構の接合部分同士の面摩擦力や、歯車の噛合、ネジによる緊締、ゴム紐やバネ、磁石などの弾性的な牽引力や反発力などを利用して任意姿勢を維持可能としてなるものとすることなどが可能であり、それら面摩擦力に抗した折曲力を加えたり、歯車の噛合位置を変更したり、緊締ネジを一度緩めて姿勢を変更してから再度締め付けて仮固定したり、または、ゴム紐やバネ、磁石などの牽引力や反発力を一時的に弱めて、所望の姿勢となるようゴム紐の長さやバネの作動範囲、または磁石の配置などを変更可能なものとすることなどが可能である。
【0022】
関節部アラームは、関節技などによって関節が、その可動角度範囲を超えて変形しそうになった場合に、警報を発して練習者に危険を体験、認識可能とすると共に、それ以降の安全な競技参加を可能とするようにする機能を分担するものであり、人型本体の全ての関節部分かまたは何れか適宜選択した関節部分かの何れかに設けたものとすることができ、より具体的には、人型本体の人型外殻体か人型骨格かの何れか一方の弾性継ぎ手に、関節の可動角度範囲を超えた場合にスイッチ操作されるリミットスイッチを有するものや、人型外殻体か人型骨格かの弾性継ぎ手に、関節の回動に応じて電流量を可変としたボリュームスイッチを内蔵し、関節の可動角度範囲を超えた場合に、一定量以上の電流が流れて警報するようにしてなるものなどとすることができる外、後述する実施例に示すように、人型骨格の、所定の関節に相当する弾性継ぎ手夫々に角度センサーを配し、適所にスピーカーか、または、受信機能を有する外部スピーカーに信号出力可能な無線送信機かの少なくとも何れか一方を設けると共に、それら各角度センサー、スピーカーおよび/または無線送信機が接続し、バッテリー回路が付属してなる中央処理装置を設けた関節部アラームを内蔵し、何れかの角度センサー出力が、対象関節の可動範囲に相当する角度範囲を超えた時に、中央処理装置がスピーカーおよび/または無線送信機を通じて、警告音を発生可能としてなるものなどとしても良い。
【0023】
頚部アラームは、絞め技などによって頚部を圧迫する場合の、許容範囲を練習者に体験・認識させ、危険を伴わずに、それ以降の安全な競技参加を可能とするようにする機能を担うものであり、人型本体の頭部と胴体との間となる頚部周囲の、少なくとも頸動脈相当位置、および/または、喉頭隆起相当位置の夫々に所定時間以上に渡って一定以上の圧力を加えたときに、練習者に危険を知らせるアラーム機能を発揮可能とするものとしなければならず、より具体的には、人型外殻体の内部に装着し、該人型外殻体の弾力を超えた圧力でスイッチ操作されるタイマーアラームからなるものや、人型骨格の局所的歪みを電機的に検出可能とし、一定以上の歪みが一定時間以上継続された場合に、警報を発するようにしたものなどとすることができる外、後述する実施例に示すように、人型本体の頚部周囲適所に圧力センサーを配し、適所にスピーカーか、または、受信機能を有する外部スピーカーに信号出力可能な無線送信機かの少なくとも何れか一方を設けると共に、それら各圧力センサー、スピーカーおよび/または無線送信機が接続し、バッテリー回路が付属してなる中央処理装置を設けた頚部アラームを内蔵し、該圧力センサーが、所定圧力を受け続けた時に、中央処理装置が圧力検出から所定短時間経過した後、スピーカーおよび/または無線送信機を通じて警告音を発生可能としてなるものなどとすることができる。
【0024】
中央処理装置は、頚部アラームおよび/または関節部アラームからの電気信号を受けて、スピーカーおよび/または無線送信機を自動的に制御可能とする機能を担い、必要なタイミングで警報や警報信号などを出力可能とするものとしなければならず、バッテリー回路を有し、交換および/または充電可能なバッテリーからの電力供給を受けて動作可能なものとすべきであり、頚部アラームおよび/または関節部アラームからの信号を受けて演算処理し、各種条件に応じて音声出力や電波出力などを自動的に行うものとすることができ、後述する実施例に示すように、関節部アラームの角度センサー出力が、人体の肘関節における可動範囲に相当する角度範囲を超えた時に、スピーカーおよび/または無線送信機を通じて、警告音を発生可能としてなるものや、頚部アラームの圧力センサーが、所定圧力を受け続けた時に、その圧力検出から所定短時間経過した後、スピーカーおよび/または無線送信機を通じて、警告音を発生可能としてなるもの、または、それらの双方の自動制御を可能とする機能を有するものなどとすることができ、より具体的には、IC(集積回路)やLSI(大規模集積回路)などのマイコンチップおよびそれに付属するメモリーや増幅回路などからなるものとすることができる外、もっと単純なリレースイッチやリレー回路などに置き換えることが可能である。
【0025】
スピーカーは、頚部アラームや関節部アラームの発する警告を音声発信し、練習者には、人型本体が警告音または警告音声を発しているように認識可能とする機能を担い、人型本体の適所、望ましくは頭部付近に装着してなるものとするのが望ましく、無線送信機に置き換えて、人型本体から適宜距離離れた位置に設置可能な無線受信機および警報機を設け、人型本体とは別体の警報機から警告音や音声および/または警報ランプの点滅、点灯、回転発光、連続的閃光発光などで報知するようにしてなるものなどとすることができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図面は、この発明の格闘技用練習具の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【図1】格闘技用練習具を示す正面図である。
【図2】格闘技用練習具の人型本体内部を示す正面図である。
【図3】格闘技用練習具の錘部による左右方向の復帰動作を示す正面図である。
【図4】格闘技用練習具の錘部による前後方向の復帰動作を示す側面図である。
【図5】構え姿勢の格闘技用練習具の錘部による前後方向の復帰動作を示す側面図である。
【図6】頚部アラームおよび関節部アラームを示す正面図である。
【実施例1】
【0027】
図1ないし図6に示す事例は、頭部30、胴体32、肢体各部33,33,34,34を有する人型外殻体3を設け、頭部30、胴体32、肢体各部33,33,34,34の各部間に弾性継ぎ手5,5,……を介在させて等身大人型本体2を形成し、該人型本体2左右脚20,20下端部夫々には、球面状接地面23,23をなし、同人型本体2を自立可能なバランスに維持可能な重量の錘部21,21を設けた上、当該人型本体2には、着脱自在となる柔道など格闘衣9を着用させてなるものとした、この発明の格闘技用練習具における代表的な一実施例を示すものである。
【0028】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の一実施例である格闘技用練習具1は、その人型本体2が、シリコン樹脂製であって中空状に成型した胴体32に対し、何れも同様の中空状に成形したシリコン樹脂製である頭部30、左右腕肢体部33,33、左右脚肢体部34,34を密閉袋状に接続可能なものとした人型外殻体3を有し、該人型外殻体3の内部には、ABS樹脂製または繊維強化樹脂製の胴体用骨格41に、同一素材製の頭骨格40、左右腕骨幹42,42、および左右脚骨幹43,43を、夫々弾性継ぎ手5を介して屈曲または湾曲可能なものとして接続・一体化してなる人型骨格4を装着してなるものである。
【0029】
図2および図6に示すように、各弾性継ぎ手5は、胴体用骨格41の要部、および、該胴体用骨格41と、各肢体用骨格である左右腕骨幹42,42および左右脚骨幹43,43との各接続部分、さらに、左右腕骨幹42,42の肩、肘相当箇所、左右脚骨幹43,43の膝に相当する箇所の夫々に、各所毎の必要強度に応じたサイズのものが装着されており、それらは各接合部の、被接部材がわ双方に球面器状の摺動座面52,52を形成し、それら球面器状の摺動座面52,52間に、関節用球体53を挟み込み、双方の摺動座面52,52、関節用球体53の中心を縦貫し、双方の摺動座面52,52で関節用球体53を挟み込むよう付勢可能な弾性付勢部54としての弾性牽引紐54を組み込み、各関節機構50,50,……を形成したものとし、さらに、それら摺動座面52,52、関節用球体53および弾性牽引紐54が姿勢変更機構51をも形成するものとしてあり、また、当該胴体用骨格41と頭骨格40との間には、可撓性・弾発性を有する例えば繊維強化樹脂製、円柱状の脊椎機構55を設け、頭骨格40を弾性的に支持可能なものとしてある。
【0030】
さらに、当該人型骨格4左右腕骨幹42,42の、左右肘関節に相当する弾性継ぎ手5,5夫々には、左右腕骨幹42,42弾性継ぎ手5関節機構50の開き角度が180°以上を検知した場合に、該開き角度が180°以上を検知している間に渡り、継続的に検知信号を出力可能な角度センサー60,60を設け、また、人型外殻体3頭部30と胴体31との間となる頚部31周囲の、少なくとも左右側面の頸動脈相当位置、および、前面中央の喉頭隆起相当位置の夫々に、頸動脈を圧迫する程度の一定レベルを超えた圧力を検知した場合に、その圧力を検知している間に渡り、継続的に検知信号を出力可能な、圧力センサー70,70,70を夫々、外部からの圧力を感知可能な状態に埋設・一体化した上、人型外殻体3頭部30内の頭骨格40正面中央にスピーカー81を埋設、同スピーカー81前面が人型外殻体3頭部30内に露出状となる配置にて一体化すると共に、人型外殻体3胴体32内の胴体用骨格41適所には、バッテリー80を着脱自在に接続した中央処理装置8を設け、該中央処理装置8に、各角度センサー60,60、圧力センサー70,70,70、および、スピーカー81を配線・接続し、何れか1箇所の角度センサー60が、検知信号を出力すると、この検知信号を受けた中央処理装置8が、スピーカー81を介して、苦痛を表現したり、ギブアップを示すような音声を発するよう制御する関節部アラーム6を形成し、また、何れか1箇所の圧力センサー70が、検知信号を出力すると、この検知信号を受けた中央処理装置8が、所定時間、例えば数秒間をカウントした後に、スピーカー81を介して、警報音を発するよう制御する頚部アラーム7を形成してなるものとしてある。
【0031】
そして、人型本体2左右脚20,20下端部夫々には、充分な耐久強度を確保した横転ラグビーボール状の肉厚軟質合成樹脂袋22内に砂や砂鉄などの流動性の錘材24を収容し、その底部が球面状接地面23をなすものとした左右錘部21,21を設け、それら左右錘部21,21の上端には夫々、人型骨格4左右脚骨幹43,43の下端を強固に一体化すると共に、人型外殻体3脚肢体部34,34の下端を密閉状に一体化し、当該人型本体2を左右脚20,20で自立可能なバランスに維持可能なものに設定したものとし、図1に示すように、当該人型本体2には、市販されている柔道用の格闘衣9の上下を着用させたものとする。
【0032】
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなる、この発明の格闘技用練習具1は、図1ないし図5に示すもののように、人型本体2左右脚20,20下端部夫々に、ラグビーボールを横転してなるような外郭形状とした錘部21,21が共に、それら長径方向を前後方向に向けるよう一体化し、各球面状接地面23,23で点接地可能なものとしてあるから、図3および図4中の実線矢印に示すように、前後左右に倒れるような外力が加わった場合にも、自動的に起立、復帰するようになり、その立ち上がり機能は、図5に示すように、構え姿勢とした場合にも同等に得ることが可能であり、練習パターンを多様化することができるという利点を得ることができ、しかも、肉厚軟質合成樹脂袋22,22内に砂や砂鉄などの流動性の錘材24を収容してなるものとした各錘部21,21は、練習者に接触した場合にも衝撃力を緩和し、より安全に稽古することができるものとなる。
【0033】
また、図2および図6に示すように、各弾性継ぎ手5が、摺動座面52,52、関節用球体53および弾性牽引紐54で姿勢変更機構51を形成するものとしてある、この発明の格闘技用練習具1は、より人体に近い関節の動き、および可動範囲を実現化することができる上、高い連結強度と連結部の柔軟性とを両立することができるという効果が得られるものであり、各弾性継ぎ手5は、摺動座面52,52間の関節用球体53を弾性牽引紐54で挟み込むよう付勢して関節機構50および姿勢変更機構51を形成するものとしてあることから、夫々の摺動座面52,52と関節用球体53との摩擦力によって、起立姿勢と構え姿勢との双方に可変となり、多様な練習ができるものとなり、さらに、スピーカー81を埋設した人型骨格4頭骨格40を、人型外殻体3頭部3が被覆するものとしてあるから、外観上の違和感がなく、しかも頭部3付近から音声を発するから、実際に人を相手に稽古しているような臨場感が得られるという大きな効果が得られるものとなる。
【0034】
(結 び)
叙述の如く、この発明の格闘技用練習具は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの各種格闘技用練習器具類の技術に比較して、その利用範囲を大幅に拡大し、軽量且つ等身大で設置用のスペースも必要とせず、低廉化して遥かに経済的なものとすることができる上、使用後は簡便に収納、保管することができ、初心者の格闘技の習得を格段に安全なものとすることができるから、従前までは、本格的な練習に入る前段階にて、受身などの基本練習を充分に行わなければ技を掛け合うような練習に入ることはできなかったものが、等身大の当該格闘技用練習具を利用することによって、熟達する前段階であっても安全に立ち技や寝技の練習を行えるようになり、格闘技の練習を格段に安全なものとし、限られた短い授業時間内に柔道のカリキュラムを終えなければならない学校や、柔道の経験が浅く、安全の確保が難しい教師などにとって朗報となり、身体的に未熟な子供達を、危険な格闘技の稽古に参加させたくないと考える一般家庭は固より、そうした学校や家庭などに、より安全な練習具類を提供したいと希望するスポーツ用品業界においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【符号の説明】
【0035】
1 格闘技用練習具
2 人型本体
20 同 左右脚
21 同 錘部
22 同 軟質合成樹脂袋
23 同 球面状接地面
24 同 錘材
3 人型外殻体
30 同 頭部
31 同 頚部
32 同 胴体
33 同 腕肢体部(肢体各部)
34 同 脚肢体部(肢体各部)
4 人型骨格
40 同 頭骨格
41 同 胴体用骨格
42 同 左右腕骨幹(肢体用骨格)
43 同 左右脚骨幹(肢体用骨格)
5 弾性継ぎ手
50 同 関節機構
51 同 姿勢変更機構
52 同 摺動座面
53 同 関節用球体
54 同 弾性牽引紐(弾性付勢部)
55 同 脊椎機構
6 関節部アラーム
60 同 角度センサー
7 頚部アラーム
70 同 圧力センサー
8 中央処理装置
80 同 バッテリー
81 同 スピーカー(無線送信機)
9 格闘衣

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽量・軟質合成樹脂製で、頭部、胴体、肢体各部を有する人型外殻体を設け、頭部、胴体、肢体各部の各部間に弾性継ぎ手を介在させ、静置状態では、起立姿勢か、または構えた姿勢かの少なくとも何れか一方の姿勢になるようにするか、または、起立姿勢と構え姿勢との双方に可変となるよう、予め成形して等身大人型本体を形成し、該人型本体左右脚下端部夫々には、球面状接地面をなし、該人型本体を自立可能なバランスに維持可能な重量の錘部を設けた上、当該人型本体には、着脱自在となる柔道など格闘衣を着用させてなるものとしたことを特徴とする格闘技用練習具。
【請求項2】
軽量・軟質合成樹脂製で、頭部、胴体、肢体各部を準えた人型外殻体内部には、骨に準じた弾性強度を有する軽量・弾性素材製で、各肢体用骨格が共に弾性継ぎ手を介して胴体用骨格所定部位に連結してなる人型骨格を、一体的に内蔵するようにした上、静置状態では、起立姿勢か、または構えた姿勢かの少なくとも何れか一方の姿勢になるようにするか、または、起立姿勢と構え姿勢との双方に可変となるよう、予め成形して等身大人型本体を形成し、該人型本体左右脚下端部夫々には、球面状接地面をなし、該人型本体を自立可能なバランスに維持可能な重量の錘部を設けた上、当該人型本体には、着脱自在となる柔道など格闘衣を着用させてなるものとしたことを特徴とする格闘技用練習具。
【請求項3】
軽量・軟質合成樹脂製で、頭部、胴体、肢体各部を準えた人型外殻体内部には、人型外殻体胴体と各肢体各部との接合部、および、外殻体胴体と頭部との接合部夫々か、または、人型骨格のそれら接合部に相当する各所かの何れか一方には、それら各接合部の、可動角度範囲を規制可能とする関節機構または脊椎機構、および、各関節機構または脊椎機構を所定角度姿勢に維持・復帰可能とする弾性付勢部とを組合せてなる弾性継ぎ手を、各関節相当箇所および脊椎相当箇所の要所々々に配設した上、静置状態では、起立姿勢か、または構えた姿勢かの少なくとも何れか一方の姿勢になるようにするか、または、起立姿勢と構え姿勢との双方に可変となるよう、予め成形して等身大人型本体を形成し、該人型本体左右脚下端部夫々には、球面状接地面をなし、該人型本体を自立可能なバランスに維持可能な重量の錘部を設けた上、当該人型本体には、着脱自在となる柔道など格闘衣を着用させてなるものとした、請求項1または2何れか一方記載の格闘技用練習具。
【請求項4】
軽量・軟質合成樹脂製で、頭部、胴体、肢体各部を準えた人型外殻体内部には、人型外殻体胴体と各肢体各部との接合部、および、外殻体胴体と頭部との接合部夫々か、または、人型骨格のそれら接合部に相当する各所かの何れか一方には、それら各接合部の、可動角度範囲を規制可能とする関節機構または脊椎機構、および、各関節機構または脊椎機構を所定角度姿勢に維持・復帰可能、且つ、維持角度を任意姿勢に調節可能な姿勢変更機構を有する弾性付勢部を組合せてなる弾性継ぎ手を、各関節相当箇所および脊椎相当箇所の要所々々に配設した上、静置状態では、起立姿勢か、または構えた姿勢かの少なくとも何れか一方の姿勢になるようにするか、または、起立姿勢と構え姿勢との双方に可変となるよう、予め成形して等身大人型本体を形成し、該人型本体左右脚下端部夫々には、球面状接地面をなし、該人型本体を自立可能なバランスに維持可能な重量の錘部を設けた上、当該人型本体には、着脱自在となる柔道など格闘衣を着用させてなるものとした、請求項1または2何れか一方記載の格闘技用練習具。
【請求項5】
人型本体が、その人型外殻体か人型骨格かの何れか一方の、左右肘関節に相当する弾性継ぎ手夫々に角度センサーを配し、適所にスピーカーか、または、受信機能を有する外部スピーカーに信号出力可能な無線送信機かの少なくとも何れか一方を設けると共に、それら各角度センサー、スピーカーおよび/または無線送信機が接続し、バッテリー回路が付属してなる中央処理装置を設けた関節部アラームを内蔵し、何れかの角度センサー出力が、人体の肘関節における可動範囲に相当する角度範囲を超えた時に、中央処理装置がスピーカーおよび/または無線送信機を通じて、警告音を発生可能としてなるものとした、請求項1ないし4何れか一記載の格闘技用練習具。
【請求項6】
人型本体が、その頭部と胴体との間となる頚部周囲の、少なくとも頸動脈相当位置、および/または、喉頭隆起相当位置の夫々に圧力センサーを配し、適所にスピーカーか、または、受信機能を有する外部スピーカーに信号出力可能な無線送信機かの少なくとも何れか一方を設けると共に、それら各圧力センサー、スピーカーおよび/または無線送信機が接続し、バッテリー回路が付属してなる中央処理装置を設けた頚部アラームを内蔵し、何れかの圧力センサーが、所定圧力を受け続けた時に、中央処理装置が圧力検出から所定短時間経過した後、スピーカーおよび/または無線送信機を通じて、警告音を発生可能としてなるものとした、請求項1ないし4何れか一記載の格闘技用練習具。
【請求項7】
人型本体が、その人型外殻体か人型骨格かの何れか一方の、左右肘関節に相当する弾性継ぎ手夫々に角度センサーを配し、適所にスピーカーか、または、受信機能を有する外部スピーカーに信号出力可能な無線送信機かの少なくとも何れか一方を設けると共に、頭部と胴体との間となる頚部周囲の、少なくとも頸動脈相当位置、および/または、喉頭隆起相当位置の夫々に、圧力センサーを配し、それら各角度センサー、圧力センサー、スピーカーおよび/または無線送信機が接続し、バッテリー回路が付属してなる中央処理装置を設けてなる関節部アラームおよび頚部アラームを内蔵し、何れかの角度センサー出力が、人体の肘関節における可動範囲に相当する角度範囲を超えた時、および/または、何れかの圧力センサーが、所定圧力を受け続けた時に、中央処理装置が圧力検出から所定短時間経過した後、スピーカーおよび/または無線送信機を通じて、警告音を発生可能としてなるものとした、請求項1ないし4何れか一記載の格闘技用練習具。
【請求項8】
人型本体が、その軽量・軟質合成樹脂製の人型外殻体内に、空気、ヘリウムガスまたは窒素ガスなどの何れか単独気体か、または、それらの混合気体かの何れかを適宜内圧とするよう充填してなるものとした、請求項1ないし7何れか一記載の格闘技用練習具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−106794(P2013−106794A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254209(P2011−254209)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(511282966)