説明

栽培養殖漁業用魚礁

【課題】 アワビ、サザエ、ウニ、ナマコ等、定着性水産動物の栽培漁業のみならず、養殖漁業を実現するのに適した人工魚礁を提供する。
【解決手段】 上方にのみ開放し、略水平方向に周囲と区画された半閉鎖水域13を形成する環状ベースの前記半閉鎖水域13内に、定着性水産動物の種苗を閉じこめた放流ユニット25を着脱自在に設けた放流礁2と、放流された種苗が育成される生息水域を形成する育成礁3と、採捕可能な程度に成長した定着性水産動物を進入させて前記定着性水産動物と共に回収する採捕礁4を収納する栽培養殖漁業用魚礁である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アワビ、サザエ、ウニ、ナマコ等、定着性水産動物(漁業法第6条第5項第1号参照)の種苗を放流して育成した後、成長した前記定着性水産動物を採捕するまでの生息水域を構築する栽培養殖漁業用魚礁に関する。
【0002】
「栽培漁業」は、水産動物を卵から種苗(又は幼稚子)まで育成し、前記種苗を放流する漁業を、「養殖漁業」は水産動物を漁獲できるまで育成する漁業を意味する。両者は採捕の有無で相違するが、前記採捕の有無は一義的に区別しにくいため、本発明では両者を併せて「栽培養殖漁業」と呼ぶ。
【背景技術】
【0003】
漁業資源の確保のため、栽培漁業や養殖漁業が盛んになってきている。例えば特許文献1は、放流した種苗が成長した後も一定個所に定着しやすいように、漁場を構成する人工魚礁に種苗を放流する構成を加えた種苗放流礁(幼稚子放流礁)を提案している。この種苗放流礁は、位置固定を図る載置ベースと、載置ベースに取り付けて魚礁作用を発揮する魚巣ベースと、幼稚子の出入りが可能で前記魚巣ベースに嵌合する放流ベースとから構成される。
【0004】
特許文献2は、アワビ、サザエ、ウニ等、定着性水産動物の育成を図る人工魚礁として、鋼鉄製骨組み構造物の天井部に石を敷き詰めて形成した人工海底を海底に沈設し、前記人工海底の少なくとも岸側の縁に海底との間に石積みしてスロープを形成した増殖礁を提案している。この増殖礁は、従来単なる石積みで構成されていた同種増殖礁における問題点(石積みの困難性、短い永続性及び高コストや、定着性水産生物を採捕する際の危険性)を解決する。
【0005】
特許文献3は、特にアワビの育成を図る人工魚礁として、沈設型構造体の上面に、沈設型構造体の一端から他端にかけて凹状の流通溝が形成され、この流通溝内に、流れ藻を捕捉する籠を設けた水産生物増殖装置を提案している。この水産生物増殖装置は、装置表面に着生する藻類に加え、流通溝内に流れ込む流れ藻を籠に捕捉し、着生を図ることによって、大量の藻類を確保する。こうして、アワビの育成に適した生息水域を提供する。
【0006】
【特許文献1】特開2002-233265号公報
【特許文献2】特開2000-116268号公報
【特許文献3】特開2005-073539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
定着性水産動物の栽培漁業を実現するには、少なくとも種苗の放流から育成までを担う人工魚礁が必要であり、定着性水産動物の養殖漁業を実現するには、更に種苗の放流から、育成、そして採捕までを担う人工魚礁が必要となる。ここで、特許文献2及び3の人工魚礁(増殖礁、水産生物増殖装置)は、定着性水産動物の育成に適した生息水域を提供する点に主眼があり、種苗の放流や採捕についての考慮が払われていない。これから、特許文献2及び特許文献3の人工魚礁は、定着性水産動物を漁獲するに適した場所、すなわち漁場を提供するものであって、いずれも定着性水産動物の栽培漁業用又は養殖漁業用人工魚礁には不適である。
【0008】
この点、特許文献1の人工魚礁は、種苗の放流から育成までを考慮したものとして、少なくとも栽培漁業を実現する点で優れている。しかし、特許文献1の人工魚礁も、採捕まで考慮しておらず、養殖漁業に利用するに際しては改良の余地がある。また、特許文献1の人工魚礁は、定着性水産動物以外の魚介類も放流及び育成するため、魚礁本体が周囲に開放されており、魚礁本体への海流の流れ込みが懸念される。この結果、海底砂が流れ込み、定着性水産動物の生息水域を害する問題をもたらす。
【0009】
このように、定着性水産動物の養殖漁業を鑑みた場合、放流から育成を経て、採捕に至る一連の過程を実現する人工魚礁は未だ存在しておらず、定着性水産動物に適した生息水域を提供する特許文献2及び特許文献3の人工魚礁と、種苗の放流から育成までを担う特許文献1の人工魚礁とを単純に組み合せるだけでは、なお採捕や海底砂の流れ込み等の問題が残ることが分かる。そこで、定着性水産動物の養殖漁業を実現するのに適した人工魚礁を開発するため、検討した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
検討の結果開発したものが、上方にのみ開放し、略水平方向に周囲と区画された半閉鎖水域を形成する環状ベースの前記半閉鎖水域内に、定着性水産動物の種苗を閉じこめた放流ユニットを着脱自在に設けた放流礁と、放流された種苗が育成される生息水域を形成する育成礁とを収納する栽培養殖漁業用魚礁である。「半閉鎖水域」とは、略水平方向に閉じられながら、上方にのみ開放している閉鎖水域を意味する。放流礁及び育成礁の配置関係は自由であるが、定着性水産動物の成長に従って放流礁から育成礁に生息水域を連続的に移せるように、放流礁を囲んで複数の育成礁を配置するとよい。
【0011】
本発明の栽培養殖漁業用魚礁は、少なくとも定着性水産動物の種苗を放流する段階から、採捕に至る育成の段階を担う放流礁及び育成礁を、環状ベースにより略水平方向に周囲から区画する。これにより、前記放流礁及び育成礁が形成する定着性水産動物の生息水域を、海流や海流によって運ばれる海底砂から保護する。すなわち、環状ベースが略水平方向から半閉鎖水域に向けて流れ込む海流を遮る(遮断する)又は流れ込む方向を上向きに変える(偏向する)ことにより、周囲の海流の流れと無関係に、海流の影響を受けない生息水域を構築する。また、半閉鎖水域を周囲から隔絶する環状ベースは、定着性水産動物の天敵の侵入を困難にする。環状ベースは「環状」であればよく、周方向に一体構成であっても、後述するように複数の単位ブロックを連結して構成してもよい。
【0012】
放流礁は、環状ベースが形成する半閉鎖水域の深さの範囲内で、貝殻を通水性筒に充填した魚礁ケースを放流ユニット相当の着脱空間を除いて多数配列し、この魚礁ケースや魚礁ケース相互又は着脱空間に取り付けた放流ユニットと魚礁ケースの隙間を生息水域とする。放流礁は、半閉鎖水域の深さの範囲内で構成することで、海流を遮断又は偏向する環状ベースにより保護される。また、この放流礁が形成する生息水域は、定着性水産動物の種苗が生息できる空間であれば足り、後述する育成礁の生息水域、そして採捕礁の生息水域に比べて相対的に狭くする。これにより、定着性水産動物は、成長するに従って放流礁から育成礁へと生息水域を移していく。
【0013】
ここで、本発明に言う「魚礁ケース」は、通水性筒に充填した貝殻が形成する複雑な空間により、餌料生物の誘因や海藻類の着生を促す等の魚礁に必要な働き(以下、「魚礁作用」と呼ぶ。)を発揮する構造単位を意味する。本願発明では前記魚礁作用により、定着性水産動物の餌料生物を誘引するほか、海藻類の着生を促して、総じて定着性水産動物の生息水域の形成を図っている。
【0014】
放流ユニットは、陸上施設で孵化、育成した定着性水産動物の種苗を生存状態で運ぶことのできる容体であればよく、単純には通水性ネットで構成された籠体のほか、例えば貝殻を通水性筒に充填した魚礁ケースを多数配列した構成を例示できる。後者の場合、貝殻を通水性筒に充填した魚礁ケースを多数配列して構成される放流礁本体と放流ユニットとは同様の構造を有し、前記放流礁本体は環状ベースに収納、固定され、この放流礁本体から放流ユニットのみが着脱されることになる。
【0015】
育成礁は、放流礁と異なり、着脱する放流ユニット相当が不要なため、環状ベースが形成する半閉鎖水域の深さの範囲内で、貝殻を通水性筒に充填した魚礁ケースを多数配列して、この魚礁ケースや魚礁ケース相互の隙間を生息水域とする。育成礁は、半閉鎖水域の深さの範囲内で構成することで、海流を遮断又は偏向する環状ベースにより保護される。この育成礁は、貝殻を通水性筒に充填した魚礁ケースを多数配列して構成される育成礁本体を、環状ベースに収納、固定する。
【0016】
育成礁が形成する生息水域は、一定程度に成長した定着水産動物が生息できる空間であれば足り、上述した放流礁の生息水域に比べて相対的に広くする。これにより、定着性水産動物は、成長するに従って放流礁から育成礁へと生息水域を移していき、この育成礁を対象に定着性水産動物を採捕できる。
【0017】
ここで、環状ベースが形成する半閉鎖水域に採捕礁を加える場合、育成礁が形成する生息水域は、更に採捕可能に至る前の程度に成長した定着性水産動物が生息できる空間として、採捕礁の生息水域に比べて相対的に狭くするとよい。これにより、定着性水産動物は、成長するに従って放流礁から育成礁へ、更に育成礁から採捕礁へと生息水域を移していくことになり、採捕礁を回収するだけで定着性水産動物を採捕できる。
【0018】
放流礁は、放流直後の種苗を育成する観点から、より積極的に好適な生息水域を形成する魚礁ケースを用いることが望ましいが、育成礁は、ある程度成長した定着性水産動物の育成を図る観点から、自然に倣った生息水域を形成するに留めてもよい。この場合、育成礁は、環状ベースが形成する半閉鎖水域の深さの範囲内で、少なくとも放流礁を除いた半閉鎖水域に天然岩又は人口岩を充填し、この天然岩又は人口岩相互の隙間を生息水域とする構成にしてもよい。
【0019】
成長した定着性水産動物は、育成礁から採捕可能であるが、より簡易な採捕を考えた場合、環状ベースの半閉鎖水域内に、放流礁及び育成礁に加えて、着脱自在な採捕礁を収納するとよい。この採捕礁は、資源として採捕が許容される程度に成長した定着性水産動物のみを侵入させ、こうして侵入した前記定着性水産動物と共に半閉鎖水域から回収自在な構成で、育成礁に連続する位置関係に配する、例えば放流礁を囲んで配置した複数の育成礁相互の隙間を満たす外形及び容積を有する採捕礁を、環状ベースが形成する半閉鎖水域に載置するとよい。
【0020】
採捕礁は、環状ベースが形成する半閉鎖水域の深さの範囲内で、定着性水産動物が侵入自在な隙間を空けて徘徊平面を積層し、この徘徊平面相互の隙間を生息水域とする。採捕礁は、半閉鎖水域の深さの範囲内で構成することで、海流を遮断又は偏向する環状ベースにより保護される。採捕礁が形成する生息水域は、採捕可能に至る前の程度に成長した定着性水産動物のみが生息できる空間として、育成礁の生息水域に比べて相対的に大きくするとよい。これにより、採捕可能な程度に成長した定着性水産動物は、成長するに従って育成礁から採捕礁へと生息水域を移していくことになり、採捕礁を回収するだけで定着性水産動物を採捕できる。
【0021】
成長した定着性水産動物を育成礁から採捕する場合、必要のない採捕礁に代えて、環状ベースの半閉鎖水域内に、放流礁及び育成礁に加えて、この環状ベースの載置安定性を図る重量物を収納してもよい。本発明の栽培養殖漁業用魚礁は、環状ベースにより半閉鎖水域に収納した放流礁及び育成礁を保護するが、これは環状ベースが安定して海底に載置されていることを前提とする。前記重量物は、採捕礁を用いない場合における栽培養殖漁業用魚礁を増加させ、環状ベースの載置安定性を向上させる。
【0022】
環状ベースの半径方向外側が略垂直な壁面であると、海流が衝突して乱流を形成し、かえって周囲の海底砂を巻き上げて、半閉鎖水域に海底砂を巻き込んでしまう虞がある。これから、環状ベースは、半径方向外向きに向かって下り勾配となる単位ブロックを周方向に接続した平面視円環状又は多角環状とし、この単位ブロックに囲まれた半閉鎖水域内に放流礁、育成礁又は採捕礁を載置するとよい。各単位ブロックが正円を分割した平面視円弧状であれば環状ブロックは平面視円環状となり、その他の場合、環状ブロックは平面視多角環状となる。ここで、「半径方向外向きに向かって下り勾配」とは、断面直線状の傾斜面のほか、斜め上向きに凸な断面円弧状でもよい。
【0023】
単位ブロックは、従来公知の各種接続手段を用いて接続するが、単位ブロック相互の接続だけでは環状ベースとしての一体性が弱い。そこで、環状ベースは、点対称に位置する単位ブロックをベースフレームで結び、このベースフレームの上に放流礁、育成礁又は採捕礁を固着又は載置するとよい。ベースフレームで結ばれた単位ブロックは、放流礁、育成礁又は採捕礁に抑えられるようになり、載置安定性が増し、環状ベースとしての一体性も向上する。例えば8基の平面視直線状のブロックを繋いで平面視八角環状の環状ベースを構成する場合、梁部材を十字状に組み、四方の単位ブロック相互を梁部材で結び、残る四方の単位ブロックを前記梁部材で結ばれた単位ブロック間に介装してもよい。
【0024】
環状ベースは、海流の影響を受けず、また天敵の侵入が困難な半閉鎖水域を形成できればよいため、外面に半径方向外向きの下り勾配が必要であるが、半閉鎖水域に面する内側の断面形状は自由である。そこで、単位ブロックは、半閉鎖水域に面する内面に凹溝を形成して、半閉鎖水域の実質的な範囲を拡大してもよい。この凹溝は、定着性水産動物の成長に応じた生息水域を実質的に拡大するもので、形状又は大きさは自由であるが、単位ブロックは環状ベースの構造要素でもあるため、単位ブロックの強度低下を招かない範囲で前記形状又は大きさを決定する。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、アワビ、サザエ、ウニ、ナマコ等、定着性水産動物の種苗を放流し、育成した後、採捕するに適した栽培漁業又は養殖漁業用人工魚礁を提供し、定着性水産動物の栽培漁業又は養殖漁業を実現する。これは、本発明の栽培漁業又は養殖漁業用人工魚礁が、種苗の放流、育成及び採捕に応じた生息水域を形成する放流礁、育成礁及び採捕礁を、環状ベースが形成する半閉鎖水域内に収納して、海流や天敵から定着性水産動物を保護したことによる効果である。
【0026】
このほか、放流礁は、着脱可能な放流ユニットにより、環状ブロック内の半閉鎖水域に種苗を集中的放流させる働きがあり、環状ブロックは、定着性水産動物の種苗の放流から育成を経て採捕に至るまでの成長を、すべてを半閉鎖水域内に留める働きを有する。これにより、定着性水産動物が本発明の栽培漁業又は養殖漁業用人工魚礁に定着して育成されるため、この定着性水産動物の栽培漁業又は養殖漁業がよりよく実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。図1は本発明に基づく栽培養殖漁業用魚礁の一例を表した斜視図、図2は本例の栽培養殖漁業用魚礁の分解斜視図、図3は本例の環状ベース1に対する放流礁2及び育成礁3の組付け関係を表す分解斜視図、図4は本例の環状ベース1を構成する単位ブロック11の斜視図、図5は内面111に凹溝118を有する別例の単位ブロック11の斜視図、図6は本例の単位ブロック11における接続前の接続部117を表す部分斜視図、図7は本例の単位ブロック11における接続後の接続部117を表す部分斜視図、図8は単位ブロック11における接続前の別例の接続部119を表す部分斜視図、図9は単位ブロック11における接続後の別例の接続部119を表す部分斜視図、図10は本例の放流礁2の斜視図、図11は本例の育成礁3の斜視図、図12は本例の採捕礁4の斜視図である。
【0028】
本例の栽培養殖漁業用魚礁は、図1〜図3に見られるように、8基の単位ブロック11を周方向に接続して環状ベース1を構成し、前記環状ベース1が形成する平面視略八角形の半閉鎖水域13の中央に平面視略正方形の放流礁2を1基、この放流礁2の各辺に直交する四方に平面視略正方形の育成礁3を4基収納し、そして環状ベース1及び2基の育成礁3に挟まれて形成される余剰空間に平面視三角形の採捕礁4を収納している。本例の育成礁3は、鋼製の育成礁フレーム31を有しており、単位ブロック11に架設したH型鋼121及びアングル材122からなるベースフレーム12に対し、溶接により固着している。しかし、コンクリート製の載置ベース21を有する放流礁2や、着脱を要求される採捕礁4は、前記ベースフレーム12に載せているだけである(図2参照)。
【0029】
環状ベース1は、図3に見られるように、8基の単位ブロック11のうち、点対称に位置する4基の単位ブロック11をベースフレーム12で結び、残る4基のブロックを前記ベースフレーム12で結ばれた単位ブロック11の間に介装し、各単位ブロック11両端に設けた接続部117により単位ブロック11相互を接続し、構成している。本例のベースフレーム12は、平行な2本のH型鋼121を1組として交差させ、隣り合う位置関係で交差するH型鋼121の間に斜め45度でアングル材122を架設してた構成である。このベースフレーム12で結ばれる4基の単位ブロック11は、前記H型鋼121の端部を内部に埋め込んで、ベースフレーム12と一体になっている。
【0030】
ベースフレーム12は、放流礁2、育成礁3及び採捕礁4を設置する基礎となる。すなわち、放流礁2は、ベースフレーム12を構成する4本のH型鋼121に囲まれた中央の四角枠に載せる。また、育成礁3は、前記四角枠から四方に延びる2本のH型鋼121を胯いで載せられ、溶接により固着する。そして採捕礁4は、H型鋼121に架設したアングル材122上に載せる(図2参照)。このほか、ベースフレーム12は、放流礁2、育成礁3及び採捕礁4が直接海底に接地しないように、放流礁2、育成礁3及び採捕礁4と海底との間に隙間を形成する働きを有する。
【0031】
ベースフレーム12と一体な単位ブロック11やこの単位ブロック11間に介装する単位ブロック11はいずれも同仕様で、図4に見られるように、内面111の幅が狭く、外面112の幅が広い平面視台形のコンクリートブロックから、まず外面112上縁を切り欠いて半径方向外向きに下り勾配の傾斜面116を形成した変形五角形の断面(図4中一点鎖線参照)を有し、前記傾斜面116の両端に接続部117を設けている。傾斜面116の下り勾配は任意でよいが、45度を中心に30度〜60度の範囲で決定することが望ましい。本例は、8基の単位ブロック11を接続して環状ベース1を構成することから、隣り合う単位ブロック11相互で接面させる単位ブロック11の両端面115は、内面111又は外面112に対して22.5度傾斜し、相互に45度で開いている。傾斜面116の下端縁から下方に延びる外面112の高さは、単位ブロック11が海底に埋没する沈み代となる。内面111は、底面114から上面113まで切り立った垂直面であるが、例えば図5に見られるように、強度を低下させない大きさ又は形状で、1条又は複数条の凹溝118を形成できる。この凹溝118は、定着性水産動物の生息空間となる半閉鎖水域13を拡大する働きがある。
【0032】
接続部117は、図6に見られるように、底が平面視長方形である切欠凹部1171の前記底から2本のボルト1172を突設した構造である。この接続部117は、隣り合う単位ブロック11の端面115を接面させた際、突き合う接続部117の切欠凹部1171が連続した接続凹部1173を構成する。端面115を接面させた単位ブロック11は、前記接続凹部1173において各単位ブロック11の接続方向に並ぶボルト1172を、鋼板製の接続プレート1174の両端に設けた各ボルト孔に挿通し、単位ブロック11の端面115を胯いで接続プレート1174を架け渡し、この接続プレート1174をナット1175により締め付けることで接続する。接続凹部1173は、図7に見られるように、コンクリートで埋めることにより接続プレート1174、ボルト1172及びナット1175を隠す。このコンクリートによる接続凹部1173の埋め合わせは、接続部117による傾斜面116の断続をなくし、傾斜面116の連続性を確保する意味も有する。
【0033】
単位ブロック11の接続は、例えば図8に見られるように、別例の接続部119によることもできる。この接続部119は、底が平面視長方形である独立凹部1191が単位ブロック11の端面115との間に挟持部1192を形成し、単位ブロック11の接続方向に延びるボルト孔1193を前記挟持部1192に設けた構造である。この接続部119は、隣り合う単位ブロック11の端面115を接面させた際、各単位ブロック11のボルト孔1193を連通させ、各単位ブロック11の両挟持部1192を挟んで独立凹部1191が単位ブロック11の接続方向に並ぶ。端面115を接面させた単位ブロック11は、連通させたボルト孔1193にボルト1194を挿通し、各単位ブロック11の両挟持部1192をナット1195により締め付けることで接続する。本例は、ナット1195により締め付けられる挟持部1192の側面に、鋼板製の補強プレート1196を嵌め込んでいる。各独立凹部1191は、図9に見られるように、コンクリートで埋めることによりボルト1194及びナット1195を隠す。このコンクリートによる独立凹部1191の埋め合わせは、接続部119による傾斜面116の断続をなくし、傾斜面116の連続性を確保する意味も有する。
【0034】
放流礁2、育成礁3及び採捕礁4の構成は、様々な構成を考えることができる。本例の放流礁2は、図10に見られるように、中央に開口部211を設けた平面視略正方形のコンクリート製からなる載置ベース21に、アングル材により放流礁フレーム22を構築し、前記放流礁フレーム22の外周に沿って重量物であるコンクリート製の規格ブロック23を並べ、この規格ブロック23に囲まれる空間に魚礁ユニット24を設置し、この魚礁ユニット24に挟まれる開口部211上に着脱自在な放流ユニット25を嵌め込む構成である。
【0035】
魚礁ユニットは、アングル材で組まれた直方体フレーム241内に、貝殻、例えばホタテ貝殻を充填した樹脂製の通水性筒からなる魚礁ケース242を複数配列した構成である。放流ユニット25は、小型な魚礁ユニットであり、小型な直方体フレーム251内に短尺な通水性筒からなる魚礁ケース252を複数配列した構成である。この放流ユニット25は、地上施設の水槽等で孵化させた定着性水産動物の種苗を魚礁ケース252内に進入させた状態で放流礁2に運び、前記放流空間に収納して種苗の放流を図り、種苗が成長して通水性筒が空になると、回収して再び地上施設の水槽等に戻す。これから、放流ユニット25が有する魚礁ケース252等の隙間は、定着性水産動物の種苗のみが進入できる大きさに制限する。また、魚礁ユニットが有する魚礁ケース242等の隙間は、定着性水産動物の成長に従って後述する育成礁3に移動するように、種苗から若干成長した程度の定着性水産動物が進入できる大きさに制限するとよい。
【0036】
育成礁3は、図11に見られるように、チャンネル鋼及びアングル材で構築された育成礁フレーム31に、上記放流礁2の魚礁ケース242より大きな魚礁ケース32を、より大きな間隔で配列した構成である。この育成礁3は、種苗又は採捕可能な程度に成長した定着性水産動物以外が生息する主たる生息水域を提供するものであり、魚礁ケース32相互又は魚礁ケース32と育成礁フレーム31との間に大きな隙間を形成している。また、既述したように、本例の育成礁3は育成礁フレーム31を環状ベース1のベースフレーム12に溶接して固着しており、前記育成礁フレーム31及びベースフレーム12が一体化することで、栽培養殖漁業用魚礁としての構造強度を高めている。
【0037】
採捕礁4は、図12に見られるように、育成礁3及び環状ベース1に囲まれる余剰空間を満たす平面視三角形にアングル材を組んで構成した採捕礁フレーム41内に、樹脂製又は金属製のメッシュ面からなる徘徊面42を複数積層して構成している。徘徊面42相互は、採捕可能な程度に成長した定着性水産動物が進入して徘徊等の活動ができる大きさの隙間を形成している。最上層の徘徊面42は、前記定着性水産動物が徘徊する場ではなく、海藻類の付着面である。こうして、最上層の徘徊面42に海藻類が付着することにより、最上層より下層の徘徊面42は暗部となり、定着性水産動物が進入しやすくなる。この採捕礁4は、環状ベース1のベースフレーム12上に載せているだけであり、徘徊面42に進入した定着性水産動物と共に引き上げて回収することができる。これにより、成長を終えた定着性水産動物を容易に採捕できる。
【0038】
本例の採捕礁4は、引き上げが容易なように、採捕礁フレーム41の上縁に係合環411を設けている。この係合環411は、採捕礁4を回収する複数の水中作業員(ダイバー)がそれぞれ直接手に持って、採捕礁4を引き上げるようにしてもよいし、例えば海上の船舶から降ろしたロープ又はチェーンのフックを引っ掛けて、前記船舶から採捕礁4を引き上げるようにしてもよい。採捕された定着性水産動物が採捕可能な程度に成長していない場合は、水中作業員(ダイバー)により、養殖栽培漁業型魚礁に戻される。このほか、水中作業員(ダイバー)は、養殖栽培漁業型魚礁の保守管理を担う。
【0039】
図13は本例の栽培養殖漁業用魚礁を海底51に設置し、放流ユニット25を放流礁2に取り付ける状態を表した斜視図、図14は設置状態における栽培養殖漁業用魚礁に対する海流53の流れを表す部分側面図、図15は別例の断面三角形の単位ブロック14の斜視図、図16は内面142に凹溝143を有する別例の断面三角形の単位ブロック14の斜視図、図17は別例の断面扇状の単位ブロック15の斜視図、図18は内面152に凹溝153を有する別例の断面扇状の単位ブロック15の斜視図、図19は栽培養殖漁業用魚礁から採捕礁4を引き上げる状態を表した斜視図、図20は別例の栽培養殖漁業用魚礁を表した斜視図であり、図21は更に別例の栽培養殖漁業用魚礁を表した斜視図である。
【0040】
本例の栽培養殖漁業用魚礁は、既述したように、環状ベース1も単位ブロック11を分解でき、また環状ベース1と放流礁2、育成礁3及び採捕礁4は別体であるから、それぞれを設置水域に運び、順に沈設して海底51において組み付けることも考えられる。しかし、海中での組付け作業は労力及び手間もかかり、また困難である。これから、地上において、単位ブロック11相互は接続して環状ベース1を構築し、更に前記環状ベース1のベースフレーム12に育成礁3を溶接により固着した上で、必要により放流礁2及び採捕礁4も環状ベース1内に収納した完成状態の栽培養殖漁業用魚礁を、海底51に沈設するとよい。
【0041】
放流礁2における放流ユニット25は、上述のように沈設された栽培養殖漁業用魚礁に対して、後から種苗を放流するために取り付ける。ここで、栽培養殖漁業用魚礁を新規に沈設後、直ちに放流ユニット25を放流礁2に取り付けて、種苗を放流する。好ましくは、例えば図13に見られるように、放流礁2、育成礁3及び採捕礁4それぞれに適当量の海藻類52が着生した段階で種苗を放流する。本例の栽培養殖漁業用魚礁は、放流礁2及び育成礁3に魚礁ケース242を用い、また採捕礁4はメッシュ面からなる徘徊面42を有しているため、海藻類52は比較的容易に着生する。これら放流ユニット25の取付は、水中作業員(ダイバー)による。
【0042】
海底51に沈設した栽培養殖漁業用魚礁は、沈設する海底51の状態にもよるが、環状ベース1が海底51に沈み込む。これは、栽培養殖漁業用魚礁の接地安定性をもたらす。また、放流礁2、育成礁3及び採捕礁4は、それぞれ平面視形状及び大きさが異なるものの、高さが同じであるため、前記放流礁2、育成礁3及び採捕礁4の各倣い表面が揃う。ここで、放流礁2、育成礁3及び採捕礁4の「倣い表面」とは、放流礁2、育成礁3及び採捕礁4を構成する各フレーム及び魚礁ケース242の最上面を結んで形成される仮想的な面を意味する。
【0043】
この結果、例えば環状ベース1が海底51に沈み込む量が単位ブロック11に設定した沈み代に相当すれば、図14に見られるように、海底51から単位ブロック11の傾斜面116が立ち上がり、前記倣い表面に連続する外形が構成される。これにより、海流53は単位ブロック11に沿って上向きに方向を変え、前記倣い表面に沿って通過するのみで、環状ベース1が形成する半閉鎖水域13に巻き込まれることがなくなる。こうして、半閉鎖水域13に収納された放流礁2、育成礁3及び採捕礁4は海流53の影響を受けなくなり、また海底砂の侵入を防ぐことができる。このほか、単位ブロック11が十分な高さを有すれば、定着性水産動物が環状ベース1外に逃げていくこともなく、また定着性水産動物の天敵が環状ベース1内に侵入する虞もなくすことができる。
【0044】
このように、単位ブロック11は、放流礁2、育成礁3及び採捕礁4の倣い表面に連続する半径方向外向きの下り勾配の傾斜面116と、十分な高さとを有すればよく、本例以外の構成も考えられる。例えば、図15に見られるように、傾斜面141のみからなる断面三角形(図15中一点鎖線参照)の単位ブロック14でもよい。この単位ブロック14も、図16に見られるように、内面142に凹溝143を設けることができる。また、図17に見られるように、傾斜面151が湾曲した断面扇状(図15中一点鎖線参照)の単位ブロック15でもよく、図18に見られるように、この単位ブロック15の内面152に凹溝153を設けてもよい。更に、本例の単位ブロック11や先に例示した単位ブロック14,15の平面視形状(特に端面の角度)や各接続部117,144,154を同仕様にしておくと、異形状の単位ブロック11,14,15相互を接続することもできる。
【0045】
放流ユニット25を放流礁2に取り付けて種苗を放流した栽培養殖漁業用魚礁は、その後一定期間放置しておくことで、定着性水産動物の成長を図る。放流直後の種苗は、放流礁2を中心に生息するが、成長に従って育成礁3へと生息水域を移していき、採捕可能な程度の定着性水産動物に成長すると、採捕礁4を中心に生息することになる。特に、採捕礁4は最上層の徘徊面42に海藻類52を着生させることで、最上層より下層の徘徊面42を暗部にすることができ、定着性水産動物を誘引しやすくなっている。こうして、定着性水産動物が採捕可能な程度に成長し、採捕礁4を中心に生息するようになった段階で、図19に見られるように、採捕礁4を回収することで、この採捕礁4の徘徊面42に進入していた定着性水産動物を採捕できる。
【0046】
回収する採捕礁4は、着生した海藻類52を取り除いてもよい(図19参照)。栽培養殖漁業用魚礁は、既に十分な海藻類52が放流礁2、育成礁3及び回収した以外の採捕礁4に着生しているため、一時的に採捕礁4の海藻類52が取り除かれても、一度確立した生息水域の環境は崩れる虞はない。定着性水産動物の採捕が終われば、回収した採捕礁4は環状ベース1内の半閉鎖水域13における所定位置に再び収納する。これら採捕礁4の回収、再収納は、水中作業員(ダイバー)による。これにより、例えば採捕礁4を回収する段階で、水中作業員(ダイバー)の目視により、採捕礁4に進入している定着性水産動物が採捕可能な程度に成長しているか否かを確認でき、仮に前記成長に達していない定着性水産動物はその場で取り除き、環状ベース1の半閉鎖水域13内に戻すことができる。
【0047】
本発明の栽培養殖漁業用魚礁は、定着性水産動物の養殖漁業又は栽培漁業を実現する。ここで、定着性水産動物にも種類が多く、それぞれの生態も異なるため、上記例示の栽培養殖漁業用魚礁の構成ですべての定着性水産動物に適しているとは限らない。例えば図20に見られるように、放流礁2及び採捕礁4のほか、育成礁3に代えて重量物である略直方体のコンクリート製アンカーブロック39を収納した栽培養殖漁業用魚礁とすることもできる。この栽培養殖漁業用魚礁は、養殖又は栽培する定着性水産動物が比較的移動する性質を有し、環状ベース1の単位ブロック11を乗り越えることのできる場合に、あくまで海流の影響を受けにくい半閉鎖水域13を提供する役割を有する。
【0048】
また、図21に見られるように、環状ベース1内の半閉鎖水域13に放流礁2のみを収納し、余剰空間に自然岩49を充填する栽培養殖漁業用魚礁としてもよい。この栽培養殖漁業用魚礁は、上述同様移動する性質を有する定着性水産動物で、更に採捕礁4に暗部を形成してもそれほど誘引されない場合に、あくまで養殖漁業を実現する。よって、この例における栽培養殖漁業用魚礁を用いて採捕可能な程度に成長させた定着性水産動物は、水中作業員(ダイバー)によって、直接捕獲されることになる。この場合でも、本例の栽培養殖漁業用魚礁は、海流の影響を受けにくい半閉鎖水域13を形成しているため、定着性水産動物が集まりやすくなっており、比較的容易に定着性水産動物を捕獲できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に基づく栽培養殖漁業用魚礁の一例を表した斜視図である。
【図2】本例の栽培養殖漁業用魚礁の分解斜視図である。
【図3】本例の環状ベースに対する放流礁及び育成礁の組付け関係を表す分解斜視図である。
【図4】本例の環状ベースを構成する単位ブロックの斜視図である。
【図5】内面に凹溝を有する別例の単位ブロックの斜視図である。
【図6】本例の単位ブロックにおける接続前の接続部を表す部分斜視図である。
【図7】本例の単位ブロックにおける接続後の接続部を表す部分斜視図である。
【図8】単位ブロックにおける接続前の別例の接続部を表す部分斜視図である。
【図9】単位ブロックにおける接続後の別例の接続部を表す部分斜視図である。
【図10】本例の放流礁の斜視図である。
【図11】本例の育成礁の斜視図である。
【図12】本例の採捕礁の斜視図である。
【図13】本例の栽培養殖漁業用魚礁を海底に設置し、放流ユニットを放流礁に取り付ける状態を表した斜視図である。
【図14】設置状態における栽培養殖漁業用魚礁に対する海流の流れを表す部分側面図である。
【図15】別例の断面三角形の単位ブロックの斜視図である。
【図16】内面に凹溝を有する別例の断面三角形の単位ブロックの斜視図である。
【図17】別例の断面扇状の単位ブロックの斜視図である。
【図18】内面に凹溝を有する別例の断面扇状の単位ブロックの斜視図である。
【図19】栽培養殖漁業用魚礁から採捕礁を引き上げる状態を表した斜視図である。
【図20】別例の栽培養殖漁業用魚礁を表した斜視図である。
【図21】更に別例の栽培養殖漁業用魚礁を表した斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
1 環状ベース
11 単位ブロック
116 傾斜面
117 接続部
119 別例の接続部
12 ベースフレーム
13 半閉鎖水域
14 別例の単位ブロック
141 傾斜面
15 別例の単位ブロック
151 傾斜面
2 放流礁
21 載置ベース
22 放流礁フレーム
24 魚礁ユニット
241 直方体フレーム
242 魚礁ケース
25 放流ユニット
251 小型な直方体フレーム
252 短尺な魚礁ケース
3 育成礁
31 育成礁フレーム
32 魚礁ケース
39 コンクリート製アンカーブロック
4 採捕礁
41 採捕礁フレーム
42 徘徊面
49 自然岩
51 海底
52 海藻類
53 海流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方にのみ開放し、略水平方向に周囲と区画された半閉鎖水域を形成する環状ベースの前記半閉鎖水域内に、定着性水産動物の種苗を閉じこめた放流ユニットを着脱自在に設けた放流礁と、放流された種苗が育成される生息水域を形成する育成礁とを収納してなる栽培養殖漁業用魚礁。
【請求項2】
放流礁は、環状ベースが形成する半閉鎖水域の深さの範囲内で、貝殻を通水性筒に充填した魚礁ケースを放流ユニット相当の着脱空間を除いて多数配列し、該魚礁ケースや魚礁ケース相互又は着脱空間に取り付けた放流ユニットと魚礁ケースの隙間を生息水域としてなる請求項1記載の栽培養殖漁業用魚礁。
【請求項3】
育成礁は、環状ベースが形成する半閉鎖水域の深さの範囲内で、貝殻を通水性筒に充填した魚礁ケースを多数配列して、該魚礁ケースや魚礁ケース相互の隙間を生息水域としてなる請求項1記載の栽培養殖漁業用魚礁。
【請求項4】
育成礁は、環状ベースが形成する半閉鎖水域の深さの範囲内で、少なくとも放流礁を除いた半閉鎖水域に天然岩又は人口岩を充填し、該天然岩又は人口岩相互の隙間を生息水域としてなる請求項1記載の栽培養殖漁業用魚礁。
【請求項5】
環状ベースの半閉鎖水域内に、放流礁及び育成礁に加えて、着脱自在な採捕礁を収納してなる請求項1記載の栽培養殖漁業用魚礁。
【請求項6】
採捕礁は、環状ベースが形成する半閉鎖水域の深さの範囲内で、定着性水産動物が侵入自在な隙間を空けて徘徊平面を積層し、該徘徊平面相互の隙間を生息水域としてなる請求項5記載の栽培養殖漁業用魚礁。
【請求項7】
環状ベースの半閉鎖水域内に、放流礁及び育成礁に加えて、該環状ベースの載置安定性を図る重量物を収納してなる請求項1記載の栽培養殖漁業用魚礁。
【請求項8】
環状ベースは、半径方向外向きに向かって下り勾配となる単位ブロックを周方向に接続した平面視円環状又は多角環状であり、該単位ブロックに囲まれた半閉鎖水域内に放流礁、育成礁又は採捕礁を載置してなる請求項1〜7いずれか記載の栽培養殖漁業用魚礁。
【請求項9】
環状ベースは、点対称に位置する単位ブロックをベースフレームで結び、該ベースフレームの上に放流礁、育成礁又は採捕礁を固着又は載置してなる請求項8記載の栽培養殖漁業用魚礁。
【請求項10】
単位ブロックは、半閉鎖水域に面する内面に凹溝を形成してなる請求項8又は9記載の栽培養殖漁業用魚礁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−82466(P2007−82466A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−275415(P2005−275415)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(592060307)海洋建設株式会社 (6)
【Fターム(参考)】