説明

框組み建具

【課題】鏡板に付着した水が、鏡板とモールとの間に進入した場合でも、外観が損なわれにくい框組み建具を提供する。
【解決手段】縦框11及び横框12からなるドア框10に鏡板20が組み付けられており、鏡板20は、縦框11に形成された嵌合溝に嵌め込まれていると共に、横框12に形成された嵌合溝に、ポリウレタン樹脂を射出成型してなる長尺の樹脂成形品であるモール30を介して、嵌め込まれている。モール30は、長尺帯状のベース部と、このベース部の短手方向の両端部にそれぞれ連設された、長手方向に延びる一対の突条と、両突条間において、長手方向に一定間隔を開けて、ベース部に連設された多数の凸部と、ベース部の短手方向における一方の突条側の端部から張り出す、横框12の嵌合溝に嵌り込むほぞとを備えており、両面粘着テープ及びウレタンポリマー系の接着剤を介して、鏡板20に固着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、左右の縦框及び上下の横框に鏡板が組み付けられた框組み建具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の框組み建具としては、例えば、図6に示すような室内用のドア50がある。このドア50は、同図に示すように、左右の縦框51a及び上下の横框51bからなるドア框51と、このドア框51に組み付けられた鏡板52とを備えており、鏡板52の全周に化粧用のモール53が装着されている。
【0003】
前記ドア框51、鏡板52及びモール53は、木質材によって形成されており、モール53は、図7に示すように、ドア框51の内縁及び鏡板52の外縁を覆うように、ピンカッタや接着剤等を用いて、ドア框51及び鏡板52に固着されている。
【0004】
【特許文献1】特公平7−59863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、何らかの理由により、鏡板52に水が付着すると、その水が鏡板52の表面を伝って下側のモール53まで到達し、鏡板52とモール53との間に進入することになるが、上述したように、モール53は木質材によって形成されているので、鏡板52とモール53との間に進入した水分はモール53に吸水され、モール53自体が膨れ上がってドア50の外観が損なわれるおそれがある。
【0006】
そこで、この発明の課題は、鏡板に付着した水が、鏡板とモールとの間に進入した場合でも、外観が損なわれにくい框組み建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、上下の横框及び左右の縦框に鏡板が組み付けられた框組み建具において、前記鏡板には、下側の前記横框の上端縁に沿って横方向に延びる樹脂成形品からなるモールが固着されており、前記モールは、その全部または一部が下側の前記横框の上端縁から上側に張り出していることを特徴とする框組み建具を提供するものである。
【0008】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる発明の框組み建具において、前記モールが、その長手方向に断続的な凸部を有していることを特徴としている。
【0009】
また、請求項3にかかる発明は、請求項1または2にかかる発明の框組み建具において、前記モールが、ポリウレタンによって形成されていることを特徴としている。
【0010】
また、請求項4にかかる発明は、請求項3にかかる発明の框組み建具において、前記モールが、ウレタンポリマー系接着剤によって、前記鏡板に接着されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、請求項1にかかる発明の框組み建具は、下側の横框の上端縁に沿って横方向に延びる樹脂成形品からなるモールが鏡板に固着されており、そのモールの全部または一部が下側の横框の上端縁から上側に張り出しているので、鏡板に付着した水が、鏡板とモールとの間に進入した場合でも、その水分を吸収してモールが膨れ上がることがなく、建具の外観が損なわれにくい。
【0012】
また、請求項2にかかる発明の框組み建具のように、モールが、その長手方向に断続的な凸部を有しているような場合、このようなモールを木質材によって形成しようとすると、長尺のフラットな板材に接着剤を用いて木製のブロックを接着することによって凸部を形成するのが一般的であり、製造に手間がかかると共に、接着剤がはみ出して意匠性が損なわれたり、接着不良によってブロックが脱落したりするおそれがある。しかしながら、請求項2にかかる発明の框組み建具のように、モールが樹脂成形品であれば、射出成形によって簡単に製造することができると共に、意匠性が低下したり、凸部が脱落したりすることもない。
【0013】
また、請求項3にかかる発明の框組み建具のように、モールをポリウレタンによって形成すると、木質材と同様の表面性状を確保することができるので、モールが木質材によって形成されている框組み建具に比べて違和感のない框組み建具となる。
【0014】
また、請求項4にかかる発明の框組み建具のように、モールを、ウレタンポリマー系接着剤によって、鏡板に接着するようにしておくと、ポリウレタンによって形成されたモールを鏡板にしっかりと固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、左右の縦框11、11及び上下の横框12、12からなるドア框10に鏡板20が組み付けられた框組みドア1を示している。この框組みドア1では、表面に防湿強化紙が貼着されたパーティクルボード(PB)によって鏡板20が形成されており、この鏡板20は、左右の縦框11、11に直接組み付けられているが、上下の横框12、12には、モール30を介して、組み付けられている。
【0016】
前記縦框11は、図2(a)に示すように、所定の隙間を開けて配設された単板積層材(LVL)からなる心材CMの表面に、中質繊維板(MDF)からなる表面材SMを貼着し、これをオレフィンシート(図示ぜず)によって被覆したものであり、内側の端面には、鏡板20を嵌め込む嵌合溝11aが形成されている。
【0017】
一方、前記横框12は、2枚の中質繊維板(MDF)を積層してなる積層板をオレフィンシート(図示ぜず)によって被覆したものであり、内側の端面には、鏡板20を、その両面側から挟み込むように、鏡板20に固着された一対のモール30を嵌め込む嵌合溝12aが形成されている。
【0018】
前記モール30は、ポリオール成分とイソシアネート成分からなる二液混合型のポリウレタン樹脂を射出成型してなる長尺の樹脂成形品であり、縦框11や横框12の表面と同色のポリウレタン塗装が施されている。
【0019】
このモール30は、図3及び図4(a)、(b)に示すように、長尺帯状のベース部31と、このベース部31の短手方向の両端部にそれぞれ連設された、長手方向に延びる一対の突条32、33と、両突条32、33間において、長手方向に一定間隔を開けて、ベース部31に連設された多数の凸部34と、ベース部31の短手方向における突条33側の端部から張り出す、横框12の嵌合溝12aに嵌り込むほぞ35とを備えており、ほぞ35は、その厚みが、先端に向かって徐々に小さくなるように、表面側がテーパ状に形成されている。
【0020】
以上のように構成された框組みドア1を組み立てる場合は、まず、ドア框10を形成する際に、縦框11の嵌合溝11a及び横框12の嵌合溝12aに鏡板20を嵌め込み、図4(a)に示すように、モール30の裏面における突条32に対応する部分に両面粘着テープTPを貼着すると共に、モール30の裏面における凸部34からほぞ35までの領域R1及びほぞ35の先端面R2にウレタンポリマー系の接着剤を塗布し、鏡板20の上下の端縁を両側から挟み込むように、一対のモール30、30のほぞ35、35を横框12の嵌合溝12aに嵌め込み、突条32部分を強く押えて両面粘着テープTP部分を鏡板20に密着させる。続いて、モール30の長手方向の両端部において、図2(b)に示すように、突条32の段部からタッカーでステープルSPを斜めに打ち込み、モール30、30を鏡板20に固定する。
【0021】
以上のように、この框組みドア1では、下側の横框12の上端縁に沿って横方向に延びる樹脂成形品からなるモール30が鏡板20に固着されており、そのモール30が下側の横框12の上端縁から上側に張り出しているので、鏡板20に付着した水が、鏡板20と下側のモール30との間に進入した場合でも、その水分を吸収してモール30が膨れ上がることがなく、外観が損なわれにくい。
【0022】
また、この框組みドア1では、長手方向に一定間隔を開けて断続的に形成された多数の凸部34を有するモール30が、ポリウレタン樹脂を射出成型してなる樹脂成形品によって形成されているので、同様のモールを木質材によって形成する場合のように、凸部を形成するために、長尺のフラットな板材に接着剤を用いて木製のブロックを接着するといった面倒な作業が必要なく、簡単に製造することができると共に、凸部の基端部から接着剤がはみ出して意匠性が損なわれたり、接着不良によって凸部が脱落したりすることもない。
【0023】
また、この框組みドア1では、モール30がポリウレタンによって形成されているので、木質材によって形成されているモールと同様の表面性状を付与することができ、モールが木質材によって形成されている框組みドアに比べて違和感を感じることもない。
【0024】
また、この框組みドア1では、モール30を、ウレタンポリマー系接着剤によって、鏡板20に接着しているので、ポリウレタンによって形成されたモール30を鏡板20にしっかりと固定することができる。
【0025】
また、この框組みドア1では、モール30における突条32側を両面粘着テープTPによって、鏡板20に固着しているので、モール30の裏面全面に塗布した接着剤によってモール30を鏡板20に固着する場合のように、モール30から接着剤がはみ出して、外観を損ねることがなく、モール30を綺麗に、しかも、確実に装着することができる。
【0026】
なお、上述した実施形態では、鏡板20の端縁を挟み込んだモール30、30のほぞ35を横框12の端面に形成された嵌合溝12aに内嵌めする構成を採用しているが、これに限定されるものではなく、例えば、図5(a)に示すように、鏡板20の端部を横框12の端面に形成された嵌合溝12bに嵌め込んだ後、ほぞのないモール30Aの端面を横框12の端面に突き合わせた状態でモール30Aを鏡板20に固着したり、同図(b)に示すように、ほぞに代えて、横框12の端部を覆う被覆部35aを形成してなるモール30B、30Bを鏡板20の端縁に固着し、モール30B、30Bの被覆部35aを横框12の端部に外嵌めするようにしてもよい。
【0027】
また、上述した実施形態では、横框12と鏡板20の組付部分にだけモール30を装着しているが、これに限定されるものではなく、縦框11と鏡板20の組付部分にもモールを装着してもよい。
【0028】
また、上述した実施形態では、木質板によって鏡板20を形成しているが、これに限定されるものではなく、鏡板の全面または一部をガラス板等によって形成することも可能である。
【0029】
また、上述した実施形態では、框組みドアについて説明したが、これに限定されるものではなく、本発明は、框組み引き戸等、種々の框組み建具に適用することができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明にかかる框組み建具の一実施形態である框組みドアを示す正面図である。
【図2】(a)は図1のX−X線に沿った断面図、(b)は図1のY−Y線に沿った断面図である。
【図3】同上の框組みドアに使用されているモールを示す正面図である。
【図4】(a)は図3のX−X線に沿った断面図、(b)は図3のY−Y線に沿った断面図である。
【図5】(a)、(b)は他の実施形態である框組みドアを示す部分断面図である。
【図6】一般的な框組みドアを示す正面図である。
【図7】同上の框組みドアを示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 框組みドア(框組み建具)
10 ドア框
11 縦框
11a 嵌合溝
12 横框
12a、12b 嵌合溝
20 鏡板
30、30A、30B モール
31 ベース部
32、33 突条
34 凸部
35 ほぞ
CM 心材
SM 表面材
SP ステープル
TP 両面粘着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の縦框及び上下の横框に鏡板が組み付けられた框組み建具において、
前記鏡板には、下側の前記横框の上端縁に沿って横方向に延びる樹脂成形品からなるモールが固着されており、
前記モールは、その全部または一部が下側の前記横框の上端縁から上側に張り出していることを特徴とする框組み建具。
【請求項2】
前記モールは、その長手方向に断続的な凸部を有している請求項1に記載の框組み建具。
【請求項3】
前記モールは、ポリウレタンによって形成されている請求項1または2に記載の框組み建具。
【請求項4】
前記モールは、ウレタンポリマー系接着剤によって、前記鏡板に接着されている請求項3に記載の框組み建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−14008(P2008−14008A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−185928(P2006−185928)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
【Fターム(参考)】