説明

【課題】工場において製造可能な框であって、運搬に適した50kg/m以下の重量密度の基台を用いて、製造コストを大きく増加させずに多サイズの製造が可能なものを提供すること。
【解決手段】発泡硬質ウレタン、発泡硬質ポリエチレン等の軽量であり、切断加工が容易であり、適度な強度を持つ材の基台に、上面板及び前面板を貼付する。基台の側面を切断すること、及び、2つ以上の直方体状の基台構成部材を接着することによって、多サイズの製造を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関、屋内の段差部分等に設置する框に関するものである。
【背景技術】
【0002】
框の施工に当たっては、表面に現れる前面板と上面板を施工現場に搬入し、これらの板(特に上面板)を支えるための盛土、コンクリート等の基台部分を現場で構築して、そこに前面板と上面板を据付けることが行われてきた。しかし、かかる施工方法では現場での作業が多く、施工に手間がかかり、施工コストが大きいものになってしまう。
【0003】
この問題を解決するものとして、特許文献1には、剛性のある基台に前面板と上面板を貼着した直方体状の框が開示されている。この框は工場において製造可能であり、施工現場においては框を床面に設置して接着するのみでよく、施工の手間がはぶける。
しかし、特許文献1には、基台の具体的な材としては、剛性を持つものであることを要件としており、発泡コンクリートのみが開示されている。発泡コンクリート材の基台には、以下の問題があった。(1)コンクリートよりも軽量ではあるが、相当に重い。少なくとも100kg/m以上の重量密度となる。このため、例えばマンション建設のために100戸分の100個の框を運搬する場合に、施工現場への運搬が容易ではない。(2)発泡コンクリート材の基台は、型を用いて生産される。このため、何通りかのサイズの框を生産する場合には、それぞれのサイズに合わせた型を作成せねばならず、生産コストが大きいものとなってしまう。
工場において製造可能な框であって、運搬に適した50kg/m以下の重量密度の基台を用いて、製造コストを大きく増加させずに多サイズの製造が可能なものは、知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−071893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、工場において製造可能な框であって、運搬に適した50kg/m以下の重量密度の基台を用いて、製造コストを大きく増加させずに多サイズの製造が可能なものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
框の基台は、上面板に人間の体重がかかった場合等に、上面板を支えることが必要である。このため、特許文献1に開示の框は、十分な剛性を持つ発泡コンクリートを用いている。
出願人の研究及び実験によれば、発泡コンクリートほどまでの剛性を持たない材の基台を用いても、人間の体重等を支えることができる。例えば、発泡硬質ウレタン、発泡硬質ポリスチレン等の発泡硬質樹脂材の基台を用いても支えることができる。発泡硬質樹脂としては、40kg/m以下の重量密度のものが知られている。また、ナイフを用いて切断することができ、多サイズに対応する加工が容易である。
本発明の框は、かかる軽量、加工容易な材質の基台を用いて課題を解決する。
【0007】

本発明の框は、50kg/m以下の重量密度の材による直方体状の基台に、前面板及び上面板を貼着したことを特徴とする。軽量であり、運搬が容易になる。
【0008】

本発明の框は、木材又は焼成材による直方体状の基台に、前面板及び上面板を貼着したことを特徴とする。木材、焼物材のいずれも、発砲コンクリートと比較して、切削可能が容易である。また、基台を生産するためにコストのかかる型を用いる必要はないと考えられる。
「木材」は、木を直方体に切断したものに限定されず、集成材も含む。
「焼成材」とは、焼成させたれんがを含み、材料を焼成させて形状を固定したものである。
【0009】

本発明の框は、前記材は、発泡硬質樹脂であることを特長とする。発泡硬質樹脂は、軽量であり、かつ、切断加工が容易である。
「発砲硬質樹脂」は、発泡硬質ポリスチレン、発泡硬質ウレタン、ポリエチレンフォーム及びポリプロピレンを含む。
【0010】
本発明の框は、前記発泡硬質樹脂は、発泡硬質ウレタン又は発泡硬質ポリスチレンであることを特徴とする。発泡硬質ウレタン及び発泡硬質ポリスチレンは広く流通している。また、30kg/m以下の極めて軽量のものが存在する。発泡硬質樹脂の中で、特に本発明の実施に適した材である。
【0011】
本発明の框は、前記基台は、2つ以上の直方体状の基台構成部材を接着したものであることを特徴とする。発泡硬質樹脂である2つ以上の直方体状の基台構成部材を接着することにより、後述の実施例に述べるとおり、多サイズへの対応が容易になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の框は、以下の効果を有する。(1)工場において製造可能で現場の作業量を減少させる。(2)軽量であって運搬が容易である。(3)基台部の切断加工が容易であって、多サイズの製造が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の框の例を示す図である。
【図2】図2は、板の組み合わせのバリエーションを示す図である。
【図3】図3は、基台構成部材の組み合わせ例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施例を示す。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の框の例を示す図である。基台1に上面板2及び前面板3が貼付されている。基台1は、発泡硬質ポリスチレン材のものであり、重量密度は25kg/mである。基台1は高さ150mm、奥行200mm、幅1200mmのサイズであり、重量は0.9kgである。
上面板2及び前面板3は、厚さが20mm程度の石材製のもの、厚さが10mm程度のセラミックタイル製のもの等とすることができる。また、ガラス製とする、フローリング材を用いる等のこともできる。いずれの場合にも、1kg以上の重さがある。
このように、上面板2及び前面板3の重量よりも基台1の重量は小さい。基台の材は発泡硬質ポリスチレンに限らず、発泡硬質ウレタン、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレン、集成材、れんが等の各種のものを用いることができる。また、上面板2及び前面板3は石材製に限らず、プラスチック製、木製等の各種のものを用いることができる。発泡硬質ポリスチレン、発泡硬質ウレタン、ポリエチレンフォーム又はポリプロピレンを用いる場合には、基台1の重量は框全体の重量に対して比較的小さい。盛土、コンクリート等の基台部分を現場で構築して上面板及び前面板を施工現場に搬入する場合に比して、搬入物の重量が大きく増えるものではない。なお、上面板及び前面板については、框の外観を定める部分でありユーザの好み等に応じて選択される。軽量性のみを基準に選択されるものではない。
【0016】
図2は、板の組み合わせのバリエーションを示す図である。上面板2及び前面板3の形状は図1に示されたものに限定されず、図2に示すように異なる外観となる形状とその組み合わせが可能である。
図2の右下に示したように、後面板4を合わせて用いてもよい。
むろん、板の組み合わせのバリエーションは図2に示したものに限定されず、ユーザの好みに合わせた各種の形状とすることができる。
【実施例2】
【0017】
図3は、基台構成部材の組み合わせ例を示す図である。基台構成部材1aの高さは100mm、基台構成部材1bの高さは150mmである。これらの基台構成部材を1つまたは2つ用いて、図に示すように、100mm、150mm、200mm、250mm及び300mmの高さの基台を構成することができる。
2種類のみの、基台構成部材を工場にストックしておくことで、5通りのサイズに対応して框を生産することができる。
ストックする基台構成部材は他の寸法のものであってもよく、1種類または3種類であってもよい。対応する框のサイズに合わせて選択すればよい。
【0018】
基台構成部材を発泡硬質ウレタン材又は発泡硬質ポリスチレン材のものとすれば、ナイフ等で切断でき、1つの高さの部材から任意の高さの基台を構成することが可能ではある。しかし、框の底面は、現場において床面に接するために精度高く平面性を保つことが好ましい。面積が大きいためかかる切断は容易ではなく、工場において切断加工を実施するよりも、規格品を購入してストックすることが生産コストの削減につながる。
これに対し、框の側面は面積が小さく、工場において切断加工を行うことも容易である。框の幅については、1つの部材によって多サイズに対応することが容易である。
【0019】
(実施例に示した寸法について)
実施例1及び2において基台、基台構成部材、上面板及び前面板の寸法が示されている。これらの寸法は例示であり、他の寸法であっても本発明の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
工場において製造可能で現場の作業量を減少させ、軽量であって運搬が容易であり、多サイズの製造が可能である框であり、建設業者等の企業による活用が期待できる。
【符号の説明】
【0021】
1 基台
2 上面板
3 前面板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
50kg/m以下の重量密度の材による直方体状の基台に、前面板及び上面板を貼着したことを特徴とする、框。
【請求項2】
木材又は焼成材による直方体状の基台に、前面板及び上面板を貼着したことを特徴とする、框。
【請求項3】

前記材は、発泡硬質樹脂であることを特長とする、請求項1に記載の、框。
【請求項4】
前記発泡硬質樹脂は、発泡硬質ウレタン又は発泡硬質ポリスチレンであることを特徴とする、請求項3に記載の、框。
【請求項5】
前記基台は、2つ以上の直方体状の基台構成部材を接着したものであることを特徴とする、請求項3又は4記載の、框。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−2125(P2013−2125A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133809(P2011−133809)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(500051199)株式会社 アドヴァン (2)
【Fターム(参考)】