説明

案内情報生成装置、経路案内装置、および、コンピュータプログラム

【課題】経路案内の柔軟性および充実度を向上する。
【解決手段】案内情報生成装置はあって、座標情報受付手段と、指定受付手段と、属性情報受付手段と、案内情報生成手段と、を備える。座標情報受付手段は、経度と緯度を含む複数の座標情報を、順序を特定可能な態様で利用者から受け付ける。指定受付手段は、複数の座標情報と順序とに基づいて定まる経路上の点または区間の指定を利用者から受け付ける。属性情報受付手段は、経路上の点または区間に関連する属性情報を利用者から受け付ける。案内情報生成手段は、複数の座標情報が順序を特定可能な態様で記録されると共に、属性情報が経路上の点または区間を特定可能な態様で記録された、案内情報を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路案内の技術に関し、特に、利用者から受け付けられた情報を用いた経路案内情報の生成技術、および、かかる経路案内情報を用いた経路案内の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータで利用可能に電子化された地図データを利用して、車や歩行者に経路案内を行う技術が広まっている。経路案内のための地図データは、地図画像データと、ルートデータと、属性データを含んでいる。地図画像データは、緯度と経度で表される地球表面上の座標空間に地図画像を描く画像データである。ルートデータは、上記座標空間において道路を始めとする交通経路を表すデータであり、例えば、ノード情報およびリンク情報を含む。ノードは、交通経路を構成している交差点や端点、屈曲点などの要素点のことをいい、ノード情報は、これらの要素が存在する緯度・経度および種別等の情報である。リンク情報とは、ノードとノードのつながりを表す情報である。属性データは、例えば、上述の座標空間上の座標、ノード、リンクに関連付けられ、関連付けられた要素に関連する属性を表す。属性データは、例えば、リンクに対応する道路に関する情報、具体的には、距離や一方通行、傾斜等の情報、あるいは、ノードに対応する交差点に関する情報、具体的には、交差点の案内板の画像データ等の情報を含む。
【0003】
経路案内は、一般に、スタート地点と目的地を少なくとも含み、場合によっては経由地も含む複数の座標情報を取得し、これらの複数の座標情報を基にルートデータとを照合・検索し、案内経路を表す案内情報を生成することから始まる。スタート地点の座標情報は、例えば、案内情報の生成時に全地球測位システム(GPS:global positioning system)を用いて測位された現在位置として取得されても良いし、ユーザの入力を受け付けることにより取得されても良い。目的地および経由地の座標情報は、ユーザの入力を受け付けることにより取得されるのが一般的である。経路案内は、生成された案内情報と、GPSを用いて逐次取得される現在位置情報とを照合しつつ、現在位置近傍に関連付けられた属性データを用いて行われる。
【0004】
案内情報を生成するときに、ユーザの入力を受け付ける方式として、タッチパネルと表示パネルとが積層された表示モニタ上に地図画像を表示し、ユーザに地図画像をタッチペンでトレースさせる方式が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−101171号公報
【特許文献2】特開2007−17329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の経路案内は、柔軟性および充実度が不十分になるおそれがあった。例えば、属性データは、座標や、ルートデータに関連付けられているため、複数回に亘って、同一または近傍の地点を案内する場合には、常に同じ属性データが用いられ、経路案内が画一なものになってしまう場合があった。また、経路案内の充実度は、予め用意されたルートデータおよび属性データの充実度に依存し、これらのデータが充実していない地域や国の経路案内は不十分なものになる場合があった。
【0007】
本発明は、経路案内の柔軟性および充実度を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するために以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]案内情報生成装置であって、
経度と緯度を含む複数の座標情報を、順序を特定可能な態様で利用者から受け付ける座標情報受付手段と、
前記複数の座標情報と前記順序とに基づいて定まる経路上の点または区間の指定を利用者から受け付ける指定受付手段と、
前記経路上の点または区間に関連する属性情報を利用者から受け付ける属性情報受付手段と、
前記複数の座標情報が前記順序を特定可能な態様で記録されると共に、前記属性情報が前記経路上の点または区間に関連付けて記録された、案内情報を生成する案内情報生成手段と、
を備える、案内情報生成装置。
【0010】
適用例に係る案内情報生成装置によれば、利用者から受け付けられた複数の座標情報が順序を特定可能な態様で記録されると共に、利用者から受け付けられた属性情報が経路上の点または区間を特定可能な態様で記録された案内情報が作成される。この結果、この案内情報を用いて、経路案内を行えば、利用者の好みに沿った柔軟で充実した経路案内が可能になる。
【0011】
適用例1に係る案内情報生成装置は、さらに、
地図画像を表示するための地図画像表示手段と、
前記地図画像上の任意の位置を利用者が指定するための位置指定手段と、
を備え、
前記座標情報受付手段は、利用者により前記位置指定手段を用いて前記地図画像上に描かれた軌跡の入力に基づいて、前記軌跡上の複数の点に対応する前記複数の座標情報を前記軌跡の入力順序で取得しても良い。
【0012】
こうすれば、利用者は位置指定手段を用いて地図画像上に軌跡を描くことで、容易に案内経路を入力でき、容易に柔軟で充実した経路案内を可能とする案内情報を生成できる。
【0013】
適用例1に係る案内情報生成装置は、さらに、
現在位置を表す現在位置情報を逐次に取得する現在位置情報取得手段と、
前記現在位置情報取得手段を用いて利用者の移動軌跡を取得する移動軌跡取得手段と、
を備え、
前記座標情報受付手段は、前記移動軌跡上の複数の点に対応する前記複数の座標情報を前記移動軌跡の取得順序で取得しても良い。
【0014】
こうすれば、利用者の移動軌跡が案内経路として入力されるので、利用者が案内情報を生成する負担が軽減できる。
【0015】
適用例1に係る案内情報生成装置において、
前記案内情報生成手段は、前記順序を特定可能な態様で記録された前記複数の座標情報の一部に前記属性情報を直接または間接に関連付けることにより、前記属性情報を前記経路上の点または区間を特定可能な態様で記録しても良い。
【0016】
こうすれば、順序を特定可能な態様で記録された複数の座標情報に、属性情報が関連付けられる。この結果、簡便に、属性情報を経路上の点または区間を特定可能な態様で記録することができる。
【0017】
適用例1に係る案内情報生成装置は、さらに、
前記生成された案内情報をインターネット上に公開する案内情報公開手段を備え、
前記属性情報受付手段は、前記インターネットを介して前記属性情報を受け付け可能であっても良い。
【0018】
こうすれば、インターネットを介して複数の利用者から属性情報を受け付けることができ、さらに、充実度を増した案内情報を生成することができる。
【0019】
適用例1に係る案内情報生成装置は、さらに、現在位置を表す現在位置情報を逐次に取得する現在位置情報取得手段と、前記案内情報に記録された前記複数の座標情報と前記現在位置情報とを、前記順序に従って照合する照合手段と、前記照合の結果に応じて前記属性情報を用いつつ、前記経路を案内する案内手段と、を備えても良い。
【0020】
こうすれば、案内情報生成装置は、生成した案内情報を用いて、柔軟で充実した経路案内を実行することができる。
【0021】
[適用例2]案内情報を用いて経路案内を行う経路案内装置であって、
前記案内情報は、
経路を定めるための経度と緯度を含む複数の座標情報であって、順序を特定可能な態様で利用者から受け付けられ、前記順序を特定可能な態様で記録された前記複数の座標情報と、
利用者から受け付けられた属性情報であって、利用者から受け付けられた前記経路上の点または区間に関連付けて記録された前記属性情報と、
を含み、
前記経路案内装置は、
現在位置を表す現在位置情報を逐次に取得する現在位置情報取得手段と、
前記案内情報に記録された前記複数の座標情報と前記現在位置情報とを、前記順序に従って照合する照合手段と、
前記照合の結果に応じて前記属性情報を用いつつ、前記経路を案内する案内手段と、
を備える、経路案内装置。
【0022】
適用例2に係る経路案内装置によれば、利用者から受け付けられた複数の座標情報が順序を特定可能な態様で記録されると共に、利用者から受け付けられた属性情報が経路上の点または区間を特定可能な態様で記録された案内情報を用いて、経路案内が実行される。この結果、利用者の好みに沿った柔軟で充実した経路案内が可能になる。
【0023】
[適用例3] コンピュータプログラムであって、
経度と緯度を含む複数の座標情報を、順序を特定可能な態様で利用者から受け付ける第1の機能と、
前記複数の座標情報と前記順序とに基づいて定まる経路上において、点または区間の指定を利用者から受け付ける第2の機能と、
前記経路上の点または区間に関連する属性情報を利用者から受け付ける第3の機能と、
前記複数の座標情報が前記順序を特定可能な態様で記録されると共に、前記属性情報が前記経路上の点または区間に関連付けて記録された、案内情報を生成する第3の機能と、
をコンピュータに実現させるコンピュータプログラム。
【0024】
[適用例4] 案内情報を用いて経路案内を行うためのコンピュータプログラムであって、
前記案内情報は、
経路を定めるための経度と緯度を含む複数の座標情報であって、順序を特定可能な態様で利用者から受け付けられ、前記順序を特定可能な態様で記録された前記複数の座標情報と、
利用者から受け付けられた属性情報であって、利用者から受け付けられた前記経路上の点または区間に関連付けて記録された前記属性情報と、
を含み、
前記コンピュータプログラムは、
現在位置を表す現在位置情報を逐次に取得する第1の機能と、
前記案内情報に記録された前記複数の座標情報と前記現在位置情報とを、前記順序に従って照合する第2の機能と、
前記照合の結果に応じて前記属性情報を用いつつ、前記経路を案内する第3の機能と、
をコンピュータに実現させるコンピュータプログラム。
【0025】
上記適用例3および適用例4に係る方法は、それぞれ、適用例1に係る案内情報生成装置および適用例2に係る経路案内装置と同様の作用効果を得ることができる。また、上記適用例3および適用例4に係る方法は、それぞれ、適用例1に係る案内情報生成装置および適用例2に係る経路案内装置と同様にして種々の態様にて実現され得る。
【0026】
[適用例5] 案内情報を生成する方法であって、
経度と緯度を含む複数の座標情報を、順序を特定可能な態様で利用者から受け付け、
前記複数の座標情報と前記順序とに基づいて定まる経路上において、点または区間の指定を利用者から受け付け、
前記経路上の点または区間に関連する属性情報を利用者から受け付け、
前記複数の座標情報を前記順序を特定可能な態様で記録し、
前記属性情報を前記経路上の点または区間に関連付けて記録して案内情報を生成する方法。
【0027】
[適用例6] 案内情報を用いて経路案内を行う方法であって、
前記案内情報は、
経路を定めるための経度と緯度を含む複数の座標情報であって、順序を特定可能な態様で利用者から受け付けられ、前記順序を特定可能な態様で記録された前記複数の座標情報と、
利用者から受け付けられた属性情報であって、利用者から受け付けられた前記経路上の点または区間に関連付けて記録された前記属性情報と、
を含み、
前記経路案内を行う方法は、
現在位置を表す現在位置情報を逐次に取得し、
前記案内情報に記録された前記複数の座標情報と前記現在位置情報とを、前記順序に従って照合し、
前記照合の結果に応じて前記属性情報を用いつつ、前記経路を案内する方法。
【0028】
上記適用例5および適用例6に係るコンピュータプログラムは、それぞれ、適用例1に係る案内情報生成装置および適用例2に係る経路案内装置と同様の作用効果を得ることができる。また、上記適用例5および適用例6に係るコンピュータプログラムは、それぞれ、適用例1に係る案内情報生成装置および適用例2に係る経路案内装置と同様にして種々の態様にて実現され得る。
【0029】
さらに、本発明は、上記適用例5および/または適用例6に係るコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の態様で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1実施例としての地図表示システム10の概略構成を示す説明図である。
【図2】主制御部210の内部構成を示すブロック図である。
【図3】モード選択画面の一例を示す第1の図である。
【図4】第1実施例における案内情報生成処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】経路受付画面の一例を示す図である。
【図6】利用者からの経路軌跡の受け付けについて説明するための図である。
【図7】利用者から受け付けられた経路軌跡の一例を示す図である。
【図8】点または区間の指定の受け付けを説明する第1の図である。
【図9】点または区間の指定の受け付けを説明する第2の図である。
【図10】属性情報の受け付けについて説明する第1の図である。
【図11】属性情報の受け付けについて説明する第2の図である。
【図12】案内情報としてのオリジナルナビデータの内容を概念的に示す図である。
【図13】モード選択画面の一例を示す第2の図である。
【図14】オリジナルナビモードにおける経路案内処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図15】オリジナルナビデータを用いた経路案内の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図16】現在位置の補正について説明する図である。
【図17】オリジナルナビデータ500を用いた経路案内において表示される画面の一例を示す第1の図である。
【図18】オリジナルナビデータ500を用いた経路案内において表示される画面の一例を示す第2の図である。
【図19】柔軟性の高い案内ルートの一例を示す図である。
【図20】第2実施例としての地図表示システム10bの概略構成を示す説明図である。
【図21】第2実施例における案内情報生成処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図22】オリジナルナビデータの公開について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら、実施例に基づき説明する。
【0032】
A.第1実施例:
・地図表示システムの概略構成:
図1は、第1実施例としての地図表示システム10の概略構成を示す説明図である。図2は、主制御部210の内部構成を示すブロック図である。図示するように、第1実施例の地図表示システム10は、経路探索サーバ100と、地図サーバ150と、基地局BSと、携帯端末200とを含んでいる。経路探索サーバ100と、地図サーバ150と、基地局BSは、インターネットINTを介して通信可能に接続されている。携帯端末200は、基地局BSと無線通信することが可能であり、この結果、携帯端末200は、基地局BSを介して、経路探索サーバ100および地図サーバ150と通信を行うことができる。
【0033】
本実施例の携帯端末200は、GPS受信機201を備えており、これを用いて経路案内を行う機能を備えている。携帯端末200は、人が携帯する場合には歩行者用経路案内装置として機能し、車両に搭載した場合には、車用経路案内装置として機能する。
【0034】
携帯端末200は、GPS受信機201と、表示パネル202と、タッチパネル203と、音声出力部204と、キー入力部205と、無線通信回路206と、通話制御部207と、外部記憶装置208と、主制御部210と、を備えている。
【0035】
GPS受信機201は、GPS(Global Positioning System/全地球測位システム)を構成する人工衛星から送信された電波を受信する装置である。
【0036】
表示パネル202は、液晶ディスプレイとこれを駆動する駆動回路とを備えている。液晶ディスプレイは、たとえば、480画素×640画素(VGA)の解像度を有する。表示パネル202には、液晶ディスプレイに限らず、有機ELディスプレイなど、種々の表示装置を採用することが可能である。
【0037】
タッチパネル203は、タッチペン230による押圧を検知し、押圧された位置を表す電気信号を主制御部210に対して出力する。タッチパネル203は、無色透明であり、表示パネル202の画像表示面の全体に亘って積層されている。この結果、携帯端末200の利用者は、例えば、表示パネル202に表示された画面に含まれるアイコンなどのGUI(Graphical User Interface)をタッチペン230で押圧することで、携帯端末200の操作を行うことができる。
【0038】
音声出力部204は、経路案内時に音声を出力するためのスピーカや、これを駆動する回路などから構成される。
【0039】
キー入力部205は、カーソルキー205aや、文字入力キー205bなどのキー群から構成される。文字入力キー205bは、例えば、通常時は2重構造を有する筐体間に隠れており、携帯端末200の筐体をスライド操作することにより露出する。携帯端末200の利用者は、これらのキーを用いることで、各種の操作や文字などの入力を行うことができる。
【0040】
無線通信回路206は、基地局BSとの間でデータ通信もしくは音声通信を行うための回路である。無線通信回路206は、基地局BSを介して、経路探索サーバ100や地図サーバ150にアクセスを行うことができる。
【0041】
通話制御部207は、音声通話のための着信や呼出、音声信号と電気信号の変換などを行う回路である。通話制御部207と無線通信回路206とを備えることにより、携帯端末200は、携帯電話として動作することができる。
【0042】
外部記憶装置208は、ハードディスク、フラッシュメモリ、メモリカードなどで構成され得る。外部記憶装置208には、各種ソフトウェアやデータ、例えば、後述する案内情報の格納に用いられる。
【0043】
主制御部210は、携帯端末200の上述した各部201〜208を制御するためのコントローラである。図2に示すように、主制御部210は、中央演算回路(CPU)211と、ROMやRAMなどの内部記憶装置212と、携帯端末200の各部201〜208と外部バスOBを介して信号を遣り取りするためのインタフェース(IF)部213とを備えている。CPU211と内部記憶装置212とIF部213とは、内部バスIBで相互に接続されている。
【0044】
CPU211は、内部記憶装置212に格納されたプログラムを実行することで、携帯端末200の種々の機能を実現する。
【0045】
携帯端末200が案内情報生成装置および経路案内装置として機能するとき、図2に示すように、内部記憶装置212には、案内情報生成プログラムM10と、経路案内プログラムM20とが格納されている。これらのプログラムM10、M20は、例えば、地図サーバ150や経路探索サーバ100を運用する事業者によりインターネットINTおよび基地局BSを介して配信されても良い。これらのプログラムM10、M20は、使用しないときは、外部記憶装置208に格納され、使用時に、外部記憶装置208から読み出されて、内部記憶装置212に格納される。また、内部記憶装置212には、CPU211がデータ処理を行う際に、各種の処理データを一時的に格納するためのバッファ領域BFが確保されている。
【0046】
案内情報生成プログラムM10は、サブモジュールとして、経路軌跡受付部M11と、点・区間指定受付部M12と、属性情報受付部M13と、案内情報生成部M14とを含んでいる。経路案内プログラムM20は、サブモジュールとして、現在位置情報取得部M21と、経路照合部M22と、案内実行部M23とを含んでいる。これらの機能部については、案内情報生成処理および経路案内処理と共に、後述する。
【0047】
地図サーバ150は、通信部152と、制御部154と、記憶部155とを備えている。記憶部155には、地図データベース156が格納されている。通信部152は、インターネットINTを介して経路探索サーバ100と、インターネットINTと基地局BSを介して携帯端末200と、それぞれ通信を行うことができる。地図データベース156には、携帯端末200に供給する地図画像を表すデータがベクトルデータ形式で格納されている。なお、地図画像を表すデータは、ベクトルデータ形式に代えて、ビットマップ形式やJPEGデータ形式などのラスタデータ形式で格納されていても良い。この地図画像データには、地形や建物、道路等の形状を表すデータが含まれている。
【0048】
経路探索サーバ100は、通信部102と、制御部104と、記憶部105とを備えている。通信部102は、インターネットINTを介して地図サーバ150と、インターネットINTと基地局BSを介して携帯端末200と、それぞれ通信を行うことができる。記憶部105には、ルートデータと、ルートデータに関連付けられた属性情報が記録された経路データベース106が記憶されている。ルートデータは、交差点や分岐点などの要素(ノード)を表すノード情報と、ノード間を結ぶ線分(リンク)を表すリンクデータとを含む。リンクは、道路などの交通経路に対応している。経路データベース106に格納されたルートデータおよび属性情報は、後述する通常ナビによる経路案内に用いられ、後述するオリジナルナビによる経路案内には用いられない。
【0049】
本実施例では、地図サーバ150と経路探索サーバ100とは、インターネットを介して接続されるものとしたが、LAN(ローカルエリアネットワーク)を介して接続されるものとしてもよい。また、経路探索サーバ100と地図サーバ150は、一体のサーバとして構成することも可能である。
【0050】
・地図表示システムの動作:
・案内情報生成処理:
図3は、モード選択画面の一例を示す第1の図である。図4は、第1実施例における案内情報生成処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。案内情報生成処理は、携帯端末200の主制御部210が、案内情報生成プログラムM10に従って、後述するオリジナルナビ用の案内情報(以下、オリジナルナビデータとも呼ぶ。)を生成する処理である。
【0051】
携帯端末200の利用者が、経路案内機能の実行を指示すると、表示パネル202には、図3に示すモード選択画面が表示される。本実施例における携帯端末200の経路案内機能には、2つのモードが用意されている。第1のモードは、通常ナビモードであり、一般的な経路案内が行われる。通常ナビモードにおける経路案内は周知であるので、その詳細については省略する。
【0052】
第2のモードは、オリジナルナビモードであり、本実施例に特有の経路案内が行われる。利用者は、オリジナルナビモードの選択に先立って、オリジナルナビデータを生成する。利用者が、図3に示すモード選択画面においてオリジナルナビデータの生成を指示すると、
案内情報生成処理が開始される。
【0053】
案内情報生成処理が開始されると、案内情報生成プログラムM10の経路軌跡受付部M11は、表示パネル202に経路軌跡受付画面を表示する(ステップS10)。
【0054】
図5は、経路受付画面の一例を示す図である。具体的には、経路軌跡受付部M11は、GPS受信機201が受信した電波に基づき現在位置を測位することにより、現在位置を認識する。経路軌跡受付部M11は、認識した現在位置を含む範囲の指定を地図サーバ150に送信し、地図サーバ150から指定範囲の地図画像データを取得する。地図画像データは、本実施例では、緯度と経度で表される地球表面上の座標空間(以下、地上座標空間と呼ぶ。)に地図画像を描く画像データであり、地上座標空間における座標と関連付けられたベクトルデータ形式またはラスタデータ形式の画像データである。経路軌跡受付部M11は、取得した地図画像データが表す地図画像を所定の縮尺にて表示パネル202に表示する。
【0055】
さらに、経路軌跡受付部M11は、経路受付画面として、利用者に経路軌跡の入力を促すメッセージMS1と、地図画像の表示態様を操作するための操作GUIとを、地図画像に重畳して表示する。操作GUIは、図5に示すように、スライドバーRUIと方向指示ボタンDUIとを含む。スライドバーRUIは、地図画像の縮尺の変更を利用者から受け付けるためのGUIである。方向指示ボタンDUIは、地図画像を所定方向にスクロールさせて地図画像として表示される地域を変更する指示を利用者から受け付けるためのGUIである。
【0056】
次に、経路軌跡受付部M11は、利用者から経路軌跡を受け付ける(ステップS20)。図6は、利用者からの経路軌跡の受け付けについて説明するための図である。図7は、利用者から受け付けられた経路軌跡の一例を示す図である。
【0057】
利用者は、図6(a)に示すように、表示パネル202に表示された地図画像上をタッチペン230でなぞって、経路案内を望むルートの軌跡(経路軌跡)を描く。経路軌跡受付部M11は、表示パネル202に重ねられたタッチパネル203からタッチペン230により押圧された位置を示す位置情報を順次に取得する。経路軌跡受付部M11は、取得された位置情報に応じて軌跡表示線RLを地図画像上に重畳して表示する。経路軌跡受付部M11は、さらに、取得された位置情報と、表示パネル202にされた地図画像の地図画像データとを照合して、軌跡上の複数の点に対応する地上座標空間上の座標(NS、WE)を算出する(NSは緯度の数値、WEは経度の数値を表す)。より具体的には、図6(a)に示すように、開始点P0から所定の間隔で軌跡の入力順に並んだ点P0、P1、P2、P3・・・について、座標(NSi、WEi(i=0、1、2、3・・・))が順次に算出される。経路軌跡受付部M11は、算出した座標(NSi、WEi(i=0、1、2、3・・・))を、図6(b)に示すように、バッファ領域BFのアドレス空間上に順次に格納していく。以下では、地図画像上の点Pi(iは0以上の整数)の地上座標空間上の座標を(NSi、WEi(iは0以上の整数))と表現するものとする。
【0058】
複数の座標は、バッファ領域BFのアドレス空間上に順次に格納されることで、入力された軌跡に対応する案内ルートを形成する順序を特定可能である。複数の座標は、このように順序を特定可能な態様で受け付けられれば良く、例えば、順序を表す識別IDを付して記録しても良いし、配列変数に順次に代入する形式で記録されても良い。
【0059】
図7は、経路軌跡として入力された案内ルートの一例を示す図である。本実施例では、利用者による柔軟な案内ルートの指定を許容するため、入力された経路軌跡をそのまま案内ルートとして使用する。案内ルートが地図画像上に描かれた道路上から外れていても、補正等を行うことなく、そのまま案内ルートとして許容される。図7の例では、利用者の便宜のためにスタート地点を示すマークMSと、終了地点を示すマークMEが付加されているが、案内ルートNR自体は、利用者の入力した軌跡を忠実に再現するものである。
【0060】
経路軌跡の形で案内ルートが指定され、終了ボタン(図7)が押圧されると、案内情報生成プログラムM10の点・区間指定受付部M12は、利用者から、案内ルート上の点または区間の指定を受け付ける(図4:ステップS30)。
【0061】
図8は、点または区間の指定の受け付けを説明する第1の図である。図9は、点または区間の指定の受け付けを説明する第2の図である。図8に示すように、点・区間指定受付部M12は、点または区間の指定を受け付ける画面として、指定された案内ルートNRと重畳された地図画像と共に、案内ルートを直線で示した簡略ルートSRを地図画像の外側に表示する。
【0062】
利用者は、案内ルートNRまたは簡略ルートSR上の任意の位置を、タッチペン230により押圧して、案内ルート上の点または区間を指定する。点を指定する場合は、案内ルートNRまたは簡略ルートSR上の一点を押圧した後、指定ボタンを押圧する。区間を指定する場合は、案内ルートNRまたは簡略ルートSR上の二点を押圧した後、指定ボタンを押圧する。図8には、利用者が案内ルートNR上の一点を押圧した様子が示されている。点・区間指定受付部M12は、押圧された点を指し示すマーキングアイコンPa、Pbを、案内ルートNRおよび簡略ルートSR上に表示する。
【0063】
図9には、案内ルートNR上における異なる二点であるが、地図画像上は近接または重畳している二点を指示する場合を示している。例えば、案内ルートNRが、同一の道路を2度通る経路を指定している場合、案内ルートNRを表す線の一部が他の一部と、極めて近接する場合、あるいは、完全に重なり合う場合があり得る。利用者は、そのような線上の点を近接する他の線上の点と区別して指定することが困難である場合がある。本実施例では、点・区間指定受付部M12は、地図画像上で押圧された位置の近傍に、案内ルートNR上の2以上の非連続な点が存在する場合には、当該2以上の点のそれぞれについてマーキングアイコンを表示する。具体的には、図9に例を示すように、案内ルートNR上に複数のマーキングアイコン(図9の例では、Pa1、Pa2)が、簡略ルートSR上に複数のマーキングアイコン(図9の例では、Pb1、Pb2)が、それぞれ表示される。点・区間指定受付部M12は、同時に、当該2以上の点を候補として、いずれか一つの選択を促すメッセージMS2を表示パネル202に表示する。これらの2以上の点は、地図画像に重畳された案内ルートNR上では近接または重なっていても、簡略ルートSR上では、はっきりと分離して表示される。この結果、利用者は、簡略ルートSR上において選択指示を入力することにより、戸惑うことなく自分が意図していた点を候補の中から容易に選択することができる。
【0064】
利用者は、指定した点または区間に不満足であれば、戻るボタンを押圧して指定をやり直す。利用者は、指定した点または区間に満足であれば、終了ボタンを押圧して次にステップへ進む。
【0065】
図4に戻って説明を続ける。案内ルート上に点または区間が指定されると、案内情報生成プログラムM10の属性情報受付部M13は、指定された点または区間に関連したコメントを属性情報として、利用者から受け付ける(ステップS40)。
【0066】
図10は、属性情報の受け付けについて説明する第1の図である。図11は、属性情報の受け付けについて説明する第2の図である。図10に示すように、属性情報受付部M13は、案内情報としてのコメントの入力を促すメッセージMS3と、コメント入力欄CMとを表示パネル202に表示する。利用者は、携帯端末200の文字入力キー205bを用いて、コメントを入力する。利用者がコメントを入力して、終了ボタンを押圧すると(ステップS50:YES)、ステップS60に移行して、案内情報の生成が行われる。一方、利用者がコメントを入力して、点・区間指定ボタンを押圧すると(ステップS50:NO)、上述したステップS30およびS40の処理が繰り返される。この結果、利用者は、任意の数のコメントを、案内ルートNR上の点または区間を指定して入力することができる。
【0067】
図11には、7つのコメントが入力され、8つめのコメントの入力を促している状態の画面が示されている。図11に示すように、案内ルートNRおよび簡略ルートSR上には、既に入力されたコメントと関連付けられている点または区間を示すために、上述したマーキングアイコンPa、Pbとは異なる形状のコメント済みアイコンCPaおよびCPbが表示される。
【0068】
利用者によるコメントの入力が終了すると(ステップS50:YES)、案内情報生成プログラムM10の案内情報生成部M14は、オリジナルナビデータを案内情報として生成する(ステップS60)。
【0069】
図12は、案内情報としてのオリジナルナビデータの内容を概念的に示す図である。ステップS60において生成されるオリジナルナビデータ500は、座標データ部510と、属性データ部520とを含んでいる。オリジナルナビデータ500は、所定のファイル形式のデータファイルとして生成される。
【0070】
座標データ部510には、図4:ステップ20においてバッファ領域BFに順序を特定可能に格納された複数の座標が、当該順序を示す座標IDに関連付けて記録されている。座標データ部510において、複数の座標は、当該順序を特定可能な態様で記憶されていれば良く、例えば、データファイル上のアドレス空間にアドレス順に記録されているだけでも良い。
【0071】
座標データ部510に順序が特定可能に記録された座標情報の一部には、属性IDと属性タイプを関連付けられている。具体的には、上述した属性情報としてのコメントに関連付けられた案内ルート上の点に最も近い座標情報には、当該コメントを特定するための属性IDが関連付けられている。また、属性情報としてのコメントに関連付けられた案内ルート上の区間の始点に最も近い座標情報、および、当該区間の終点に最も近い座標情報には、それぞれ、当該コメントを特定するための属性IDが関連付けられている。さらに、属性IDが関連付けられている座標情報には、属性タイプが関連付けられている。属性タイプは、属性情報と座標情報との関連付けの態様を示している。例えば、図12において、属性タイプ「P」は、その座標情報が、属性情報が関連付けられた点を特定するものであることを示している。属性タイプ「S」は、その座標情報が、属性情報が関連付けられた区間の始点を特定するものであることを示している。属性タイプ「E」は、その座標情報が、属性情報が関連付けられた区間の終点を特定するものであることを示している。
【0072】
例えば、図12の例において、m番目の座標情報(NSm、WEm)には、属性ID「C1」と、属性タイプ「P」が関連付けられている。これは、属性ID「C1」の属性情報は、座標情報(NSm、WEm)で示される案内ルート上の点に関連付けられていることを示している。
【0073】
一方、j番目の座標情報(NSj、WEj)には、属性ID「C2」と属性タイプ「S」が、k番目の座標情報(NSk、WEk)には、属性ID「C2」と属性タイプ「E」が、それぞれ関連付けられている。これは、属性ID「C2」の属性情報は、座標情報(NSj、WEj)で示される案内ルート上の点を始点とし、座標情報(NSk、WEk)で示される案内ルート上の点を終点とする区間に関連付けられていることを示している。
【0074】
なお、図12において「Null」は、その座標情報には属性IDおよび属性タイプが関連付けられていないことを示している。
【0075】
属性データ部520には、属性情報の具体的な内容、本実施例では、属性情報としてのコメントの内容が、属性IDと関連付けて記録されている。
【0076】
オリジナルナビデータ500が生成されると、案内情報生成処理は終了される。生成された案内情報は、例えば、携帯端末200の外部記憶装置208に保存されても良いし、地図サーバ150や経路探索サーバ100に転送して、これらのサーバにおいて保存されても良い。
【0077】
・オリジナルナビモードにおける経路案内処理:
図13は、モード選択画面の一例を示す第2の図である。図14は、オリジナルナビモードにおける経路案内処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。図15は、オリジナルナビデータを用いた経路案内の処理ルーチンを示すフローチャートである。オリジナルナビモードにおける経路案内処理(以下、単に経路案内処理とも呼ぶ。)は、携帯端末200の主制御部210が、経路案内プログラムM20に従って、経路案内を行う処理である。
【0078】
携帯端末200の利用者が図13に示すように、モード選択画面にてオリジナルナビモードを選択すると、経路案内処理が開始される。経路案内処理が開始されると、経路案内プログラムM20は、案内情報としてのオリジナルナビデータ500を、当該データの保存先から取得する(ステップS110)。取得されたオリジナルナビデータ500は、内部記憶装置212のバッファ領域BFに格納される。
【0079】
次に、経路案内プログラムM20の現在位置情報取得部M21は、GPS受信機201を制御して現在位置情報を取得する(ステップS120)。現在位置情報は、地上座標空間上の座標データとして取得される。
【0080】
経路案内プログラムM20は、現在位置情報が取得されると、現在位置がオリジナルナビデータ500のスタート地点であるか否かを判断する(ステップS130)。具体的には、経路案内プログラムM20は、オリジナルナビデータ500に記録されたスタート地点情報(図12:座標ID「0」の座標情報(NS0、WE0))と現在位置情報とを比較して、現在位置とスタート地点との距離が所定値以下である場合に、現在値がスタート地点であると判断する。
【0081】
現在位置がオリジナルナビデータ500のスタート地点でないと判断すると(ステップS130:NO)、経路案内プログラムM20は、現在位置からオリジナルナビデータ500のスタート地点まで通常の経路案内を行う(ステップS140)。具体的には、現在位置をスタート地に、オリジナルナビデータ500のスタート地点を目的地に設定して、経路探索サーバ100に推奨経路データの生成要求を送信する。経路探索サーバ100は、生成要求を受けて推奨経路データを生成し、携帯端末200に返信する。携帯端末200の経路案内プログラムM20は、推奨経路データ受信すると、必要な範囲を指定して地図画像データの送信要求を地図サーバ150に送信する。地図サーバ150は、送信要求を受けて、指定範囲の地図画像データを携帯端末200に返信する。携帯端末200の経路案内プログラムM20は、取得された地図画像データと推奨経路データを用いて経路案内を行う。
【0082】
現在位置がオリジナルナビデータ500のスタート地点であると判断すると(ステップS130:YES)、経路案内プログラムM20は、オリジナルナビデータ500を用いた経路案内を実行する(ステップS150)。なお、予め利用者がオリジナルナビデータ500のスタート地点に移動してから、オリジナルナビモードの選択指示をすることとすれば、上述のステップS110〜S140の処理は省略可能であり、始めからオリジナルナビデータ500を用いた経路案内(ステップS150)を実行すれば良い。
【0083】
オリジナルナビデータ500を用いた経路案内が開始されると、経路案内プログラムM20は、案内情報としてのオリジナルナビデータ500の座標データ部510に記録された複数の座標情報(図12)を取得する(ステップS1501)。
【0084】
経路案内プログラムM20は、取得された複数の座標情報に応じて必要な地図画像データを取得する(ステップS1502)。具体的には、経路案内プログラムM20は、取得された複数の座標情報に基づき、必要な範囲を指定して地図画像データの送信要求を地図サーバ150に送信することにより、指定範囲の地図画像データを地図サーバ150から取得する。なお、オリジナルナビデータ500のスタート地点まで通常の経路案内を行った際に、既に必要な地図画像データを取得済みの場合は、本ステップは省略され得る。
【0085】
地図画像データが取得されると、経路案内プログラムM20の現在位置情報取得部M21は、現在位置情報を取得する(ステップS1503)。経路案内プログラムM20の経路照合部M22は、オリジナルナビデータ500の座標データ部510から取得された複数の座標情報と、現在位置情報とを照合し、現在位置の補正を行う(ステップS1504)。
【0086】
図16は、現在位置の補正について説明する図である。図16には、地図画像上に描かれた交通経路(例えば、道路)301と、オリジナルナビデータ500上に記録された案内ルートNRとが概念的に示されている。案内ルートNRは、オリジナルナビデータ500の座標データ部510に順序を特定可能に記録された複数の座標に対応する点を線分で繋いで表される。図16には、案内ルートNRのうち、複数の座標に対応する点の一部である点P10〜P15によって表現される部分が図示されている。実際には、点P10〜P15は、上述の案内情報生成処理においてタッチペン230で入力された軌跡の再現性を高めるため、より細かい間隔であるが、図16では図の煩雑を避けるため、比較的間隔を開けて図示している。
【0087】
本実施例は、利用者による手書き入力で案内ルートNRが作成されているため、図16に示すように、ルートとして意図された交通経路301と案内ルートNRとが厳密に重ならない場合がある。この場合、GPS受信機201を用いて取得された現在位置情報が表す現在位置は、案内ルートNR上から離れた交通経路301の近傍に位置すると考えられる。図16において、白丸PR1〜PR5は、オリジナルナビデータ500を用いた経路案内を課程で、GPS受信機201を用いて取得される現在位置情報に対応する地点を示している。
【0088】
ステップS1504において、経路照合部M22は、GPS受信機201を用いて取得された現在位置情報に対応する地点から案内ルートNRに対して引いた垂線と案内ルートNRとの交点に補正後の現在位置を設定する。図16において、黒丸AP1〜AP5は、GPS受信機201を用いて取得される現在位置情報が表す地点PR1〜PR5に対応する補正後の地点をそれぞれ示している。
【0089】
経路案内プログラムM20の案内実行部M23は、地図画像と案内ルートと補正後の現在位置とを表示パネル202に重畳して表示する(ステップS1505)。
【0090】
図17は、オリジナルナビデータ500を用いた経路案内において表示される画面の一例を示す第1の図である。図17に示すように、オリジナルナビデータ500を用いた経路案内では、現在位置を表すマーク303は、実際に利用者および携帯端末200が存在する地点302ではなく、案内ルートNRを表す線画像304上に表示される。これは、先のステップS1504で実行した現在位置の補正処理のためである。この補正により経路案内画面に表示された案内ルートNRを表す線画像304と現在位置を表すマーク303とが離れてしまうことを防止し、利用者の違和感を低減している。案内実行部M23は、例えば、表示されたマーク303(補正後の現在位置の座標に対応)と実際に利用者および携帯端末200が存在する地点302(補正前の現在位置の座標に対応)との中間地点が、表示パネル202の左右方向の中央に位置するように、地図画像を表示する。
【0091】
案内実行部M23は、次に、補正後の現在値が属性情報表示更新地点であるか否かを判断する(ステップS1506)。属性情報表示更新地点は、属性情報としてのコメントの表示パネル202への表示を更新する地点であり、具体的には、表示パネル202に属性情報が表示されていない状態から新たに属性情報を表示する地点、および、表示パネル202に属性情報が既に表示されている状態から属性情報の表示を消去する地点あるいは別の属性情報を表示する地点を含む。具体的には、案内実行部M23は、オリジナルナビデータ500の座標データ部510に記録された複数の座標情報のうち、補正後の現在位置(座標)と、最も近い座標情報(最近接座標情報)に属性IDや属性タイプが関連付けられているかを調べることにより、属性情報表示更新地点であるか否かを判断する。例えば、最近接座標情報に属性IDと属性タイプ「P」または「S」が関連付けられている場合に、属性情報を新たに表示する地点であることが認識される。また、最近接座標情報に属性IDと属性タイプ「E」が関連付けられている場合に、表示中の属性情報の表示を消去する地点であることが認識される。また、案内実行部M23は、点に対応付けられた属性情報を表示中である場合には、表示開始時から所定時間(例えば、20秒)が経過したか、あるいは、表示開始地点から所定距離だけ進行したかにより属性情報表示更新地点であるか否かを判断することとしても良い。
【0092】
案内実行部M23は、現在位置が属性情報表示更新地点であると判断すると(ステップS:YES)、属性情報としてのコメントの表示を更新態様(表示消去・表示開始・表示変更)に応じて更新する(ステップS1507)。
【0093】
図18は、オリジナルナビデータ500を用いた経路案内において表示される画面の一例を示す第2の図である。図18には、経路案内画面において、属性情報としてのコメント305が表示されている様子が示されている。
【0094】
案内実行部M23は、現在位置が属性情報表示更新地点でないと判断すると(ステップS:NO)、あるいは、属性情報の表示を更新した後、現在位置がオリジナルナビデータ500を用いた経路案内の終了地点に到達したか否かを判断する(ステップS1508)。経路案内の終了地点は、オリジナルナビデータ500の座標データ部510に記録された複数の座標情報のうち、順序が最後の座標情報に対応する地点である。本実施例では、オリジナルナビデータ500の座標データ部510に記録された識別ID「n」の座標情報(NSn、WEn)が終了地点を表している。
【0095】
案内実行部M23は、現在位置が未だ終了地点に到達していないと判断すると(ステップS1508:NO)、処理をステップS1503にリターンする。こうして、経路案内プログラムM20が上述したステップS1503〜S1507の処理を繰り返すことにより、表示パネル202に表示された経路案内画面は順次に更新され、オリジナルナビデータ500を用いた経路案内が進められる。
【0096】
案内実行部M23は、現在位置が終了地点に到達したと判断すると(ステップS1508:YES)、オリジナルナビデータ500を用いた経路案内は終了される。
【0097】
以上説明した本実施例によれば、利用者は容易に自分の好みの経路案内を実現するためのオリジナルナビデータ500を生成することができる。
【0098】
また、利用者はオリジナルナビデータ500を用いて、柔軟性と充実度に富んだ好みの経路案内を利用することできる。
【0099】
例えば、本実施例ではタッチペン230によって描かれた軌跡をそのまま案内ルートNRとして認識・使用するので、利用者のアイデア次第で柔軟性の高い案内ルートNRを構築可能である。具体的には、図11に示すような同じ地点または経路を複数回に亘って通る経路を案内ルートとして容易に指定することができる。立ち寄り場所などを経由するルートや、立ち寄り場所に関するコメントを挿入することも自由自在である。
【0100】
図19は、柔軟性の高い案内ルートの一例を示す図である。利用者は、解りにくい交通経路を通る案内ルートNRを作成するに際して、独自の工夫を凝らすことができる。例えば、図19(a)に示すような三叉路において、一番左側のルートを通ることを明確に示すため、意図的に左側に鋭角を付けた部分308を有する案内ルートNRを描いても良い。そうすると、図19(b)に示すように、経路案内時において、解りやすい表示が容易に実現される。さらに、図19(b)に示すように、解りにくさを指摘するコメント305を組み合わせて表示することも容易であるので、柔軟性および充実度の高い経路案内が容易に実現される。
【0101】
さらに、オリジナルナビデータ500を用いた経路案内では、予め用意されたルートデータおよび属性情報を利用しなくても良い。この結果、例えば、外国や地方などルートデータや属性情報が充実していない地域を通るルートについても、充実した経路案内を容易に実現することができる。
【0102】
さらに、従来は予め用意されたルートデータおよびルートデータに関連付けられた属性情報を用いた案内しかできなかった。このため、同一の地点における案内では、同一の属性情報しか利用できなかった。本実施例では、例えば、オリジナルナビデータ500において、順序を特定可能な態様で座標情報を記録する。したがって、同じ座標を表す座標情報でも順序が異なれば(実施例では識別IDが異なれば)、異なる座標情報として認識される。この結果、図11に示すように、同じ地点または経路を複数回に亘って通る経路を作成した場合、一回目に通るときと二回目に通るときとで、異なる属性情報(例えば、コメント)を表示することができる。
【0103】
B.第2実施例:
第1実施例では、携帯端末200が、オリジナルナビデータ500を生成する案内情報生成装置としての機能と、オリジナルナビデータ500を利用する経路案内装置としての機能と備えている。これに代えて、別々の機器が、案内情報生成装置としての機能と、経路案内装置としての機能とを備えても良い。このような態様の一例を第2実施例として、図20〜図22を参照して説明する。
【0104】
図20は、第2実施例としての地図表示システム10bの概略構成を示す説明図である。図21は、第2実施例における案内情報生成処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。図22は、オリジナルナビデータの公開について説明する図である。
【0105】
図20に示すように、第2実施例としての地図表示システム10bは、経路探索サーバ100と、地図サーバ150bと、基地局BSと、携帯端末200bと、パーソナルコンピュータ400と、を含んでいる。
【0106】
第2実施例の地図サーバ150bは、第1実施例における地図サーバ150が備える構成に加えて、さらに、そのメモリに案内情報生成プログラムM10を格納している。すなわち、第2実施例では、地図サーバ150bが案内情報生成装置として機能する。第2実施例の地図サーバ150bのその他の構成は、第1実施例の地図サーバ150の構成と同一であるので、詳しい説明は省略する。
【0107】
パーソナルコンピュータ400は、周知の計算機であり、CPU、ROM、RAMを備え(図示量略)、インターネットINTに接続されている。パーソナルコンピュータ400は、表示装置402と、マウス430と、キーボート406を備えている。パーソナルコンピュータ400のROM、RAMなどの内部記憶装置には、周知のブラウザプログラムM30が格納されている。パーソナルコンピュータ400は、ブラウザプログラムM30を用いて、地図サーバ150bにアクセスすることにより、地図サーバ150の案内情報生成装置としての機能を利用することができる。すなわち、地図サーバ150は、アクセス可能なクライアント装置に、案内情報生成プログラムM10の機能を提供するアプリケーションサーバ装置として機能する。
【0108】
第2実施例の携帯端末200bは、経路案内プログラムM20を格納しており、経路案内装置として機能するが、案内情報生成プログラムM10は格納していない。このため、携帯端末200bは、タッチパネルなど経路ルートを入力するための機能は備えていなくても良い。第2実施例の携帯端末200bの経路案内装置としての機能は、第1実施例の携帯端末200と同一であるので、詳しい説明は省略する。
【0109】
クライアント装置としてのパーソナルコンピュータ400に対して地図サーバ150bが提供するサービスとしての案内情報生成処理を、図21を参照して説明する。図21に示す処理のうち、ステップS10〜S60までの処理は、図4を参照して説明した第1実施例の案内情報生成処理の同符号のステップS10〜60までの処理と、基本的に同様であるので、詳しい説明は省略する。ただし、利用者に提示される画面は、パーソナルコンピュータ400の表示装置402上に表示され、利用者による入力はパーソナルコンピュータ400が備える入力手段により行われ、入力に応じた案内情報の生成などの情報処理は、地図サーバ150bにおいて実行される。利用者による経路軌跡の入力は、タッチペンやマウスに限らず、クライアント装置が備える様々な手段によって行われる。トラックボール、タッチパッドなどの各種ポインティングデバイスを用いて経路軌跡の入力が行われても良いし、指で表示画面をなぞる入力を受け付けるタッチパネルを用いて、経路軌跡の入力が行われても良い。
【0110】
第2実施例における案内情報生成処理は、第1実施例と同様にステップS60までで終了しても良いが、利用者の要求に応じて、さらに図21のステップS70から始まる処理、すなわち、生成された案内情報としてのオリジナルナビデータ500を公開する処理を行っても良い。具体的には、利用者がオリジナルナビデータ500の公開を要求すると、地図サーバ150bの案内情報生成プログラムM10は、オリジナルナビデータ500をインターネットINT上に公開する。
【0111】
図22に示すように、案内情報生成プログラムM10は、公開されたWEBページに埋め込まれたリンクを、生成されたオリジナルナビデータ500に関連付けることにより、オリジナルナビデータ500を公開する(ステップS70)。図22に示すWEBページWPには、公開されたオリジナルナビデータ500の紹介文と共に、ルート表示ボタンが当該オリジナルナビデータ500にアクセスするためのリンクとして表示されている。WEBページWPを介して他の利用者が案内情報としてのオリジナルナビデータ500にアクセスすると(ステップS80:YES)、地図サーバ150bの案内情報生成プログラムM10は、オリジナルナビデータ500に基づく地図画像および案内ルートを表示するための表示データを、アクセスした利用者に送信する(ステップS90)。この結果、アクセスした他の利用者のブラウザには、第1実施例において説明した図11に示すような属性情報や点・区間の受け付け画面が表示される。
【0112】
そして、地図サーバ150bの案内情報生成プログラムM10は、アクセスした他の利用者に対して、上述したステップS30〜S50の処理を行うサービスを提供する。この結果、アクセスした利用者は、公開されたオリジナルナビデータ500に対して、属性情報としてのコメントを追加することにより、オリジナルナビデータ500を更新することができる。
【0113】
オリジナルナビデータ500を公開した利用者は、オリジナルナビデータ500を用いて経路案内を行うとき、地図サーバ150bからオリジナルナビデータ500を携帯端末200bにダウンロードする。携帯端末200bの経路案内プログラムM20は、ダウンロードされたオリジナルナビデータ500を用いて、第1実施例における経路案内(図13〜図18)を行う。
【0114】
以上説明した第2実施例によれば、第1実施例と同様の作用効果に加えて、以下のような効果を奏する。すなわち、オリジナルナビデータ500の原作者としての利用者だけでなく、他の利用者によってオリジナルナビデータ500に属性情報としてのコメントが付加される。この結果、原作者がオリジナルナビデータ500を用いて経路案内を行うとき、未知の属性情報が表示されることになる。この結果、さらに、充実した経路案内を提供可能になると共に、利用者に新たな楽しみを提供することができる。例えば、テーマを決めて、オリジナルナビデータ500を公開しておけば、そのテーマに応じた属性情報を他の利用者から収集することが可能になる。テーマは、例えば、「グルメ」「ショッピング」「1人旅」などが考えられる。
【0115】
C.変形例:
・第1変形例:
上記第1実施例および第2実施例では、案内ルートNR上の点または区間に関する属性情報として、コメント(テキストデータ)が用いられているが、属性情報は、これに限らず、様々な情報が用いられ得る。具体的には、静止画像データ、動画像データ、音声データなどが属性情報として用いられる。これらのデータには、利用者自らが作成したものを用いても良いし、地図サーバ150b、経路探索サーバ100、あるいは、他のサーバからライブラリとして提供されるものを用いても良い。
【0116】
例えば、音声データとして、利用者が好みの音楽が記録された音楽ファイルを、案内ルートNR上の点または区間に関連付けても良い。音楽ファイルは、オリジナルナビデータ500に記録しても良い。また、携帯端末200の外部記憶装置208に別ファイルとして格納されても良いし、サーバ、ポータブルプレーヤーなど携帯端末200と有線または無線で通信可能に接続された装置に格納しておいても良い。かかる場合には、オリジナルナビデータ500には、音楽ファイルを表すポインタのみが案内ルートNR上の点または区間に関連付けて記録され、携帯端末200は経路案内処理の過程で、必要に応じて音楽ファイルを取得すれば良い。
【0117】
また、区間に関する属性情報としては、その区間の道路の種類を示す情報、例えば、高速道路、国道、県道、歩道などを表す情報が用いられても良いし、利用者の交通手段を示す情報、例えば、自家用車、電車、歩行、タクシー、バスなどを表す情報が用いられても良い。
【0118】
・第2変形例:
上記第1実施例および第2実施例では、タッチペン230を用いて表示パネル202上に表示された地図画像上に経路軌跡を描くことにより、案内ルートNRが入力されるが、利用者からの案内ルートNRの入力態様は、これに限られない。例えば、第1実施例において、第1実施例の携帯端末200の案内情報生成プログラムM10は、さらに、サブモジュールとして、移動軌跡取得部M15(図示省略)を備えても良い。移動軌跡取得部M15は、利用者の要求に応じて、移動軌跡データを生成する。移動軌跡データは、携帯端末200の移動軌跡、すなわち、携帯端末200を携帯する利用者の移動軌跡を記録したデータである。
【0119】
具体的には、利用者が移動軌跡データの生成を指示すると、移動軌跡取得部M15は、GPS受信機201を用いて、所定間隔で、現在位置情報(例えば、地上座標空間における座標情報)を逐次に取得し、取得した順序を特定可能な態様でバッファ領域BFに格納していく。移動軌跡取得部M15は、利用者が移動軌跡データの生成の終了を指示すると、現在位置情報の取得を終了する。移動軌跡取得部M15は、バッファ領域BFに格納された現在位置情報の履歴としての複数の座標情報を取得順序が特定可能な態様で記録した移動軌跡ファイルを生成し、外部記憶装置208に格納する。
【0120】
本変形例では、案内情報生成プログラムM10の経路軌跡受付部M11は、第1実施例のステップS10およびステップS20(図4)に代えて、上述した移動軌跡ファイルを読み込むことにより、移動ファイルに記録された利用者の移動軌跡を、経路軌跡として取得する。具体的には、経路軌跡受付部M11は、利用者から移動軌跡ファイルの指定を受け付け、移動軌跡ファイルに取得順序が特定可能な態様で記録された複数の座標情報を、そのまま当該取得順序が特定可能な態様で読み込む。こうすることにより、経路軌跡受付部M11は、移動軌跡上の複数の点に対応する複数の座標情報を、案内ルートを示す情報として取得する。本変形例では、このように取得された複数の座標情報をそのまま案内ルートとして使用する。ステップS30以降の処理は、第1実施例と同様であるので詳しい説明を省略する。
【0121】
以上説明した本変形例によれば、利用者の移動軌跡データを用いて案内ルートが指定されるため、オリジナルナビデータ500の生成のための利用者の負担が軽減される。本変形例は、例えば、利用者が、自分がドライブしたルートを案内ルートとして感想などのコメントを属性情報として付与したオリジナルナビデータ500を生成して、当該オリジナルナビデータ500を他人に送付したり自身のブログで公開して、他人の利用に供する場合に便利である。
【0122】
本変形例における案内情報生成プログラムM10の機能のうち、移動軌跡取得部M15と、その他の機能部M11〜M14は異なる機器に格納されても良い。例えば、移動軌跡取得部M15は、携帯端末あるいはカーナビゲーション装置に格納され、その他の機能部M11〜M14はパーソナルコンピュータに格納されても良い。この場合は、利用者は、携帯端末あるいはカーナビゲーション装置にて生成された移動軌跡データを、メモリカード、あるいは、有線あるいは無線のネットワークを介して、パーソナルコンピュータに移して、パーソナルコンピュータにて最終的にオリジナルナビデータ500を生成すれば良い。この場合は、移動軌跡取得部M15は、携帯端末あるいはカーナビゲーション装置と、パーソナルコンピュータとが、一つの案内情報生成装置を構成することとなる。
【0123】
・第3変形例:
上記第1実施例および第2実施例では、属性情報としてのコメントは、経路案内時に表示パネル202に表示されるために用いられているが、経路案内時の属性情報の利用態様はこれに限られない。例えば、属性情報として利用者の交通手段を表す情報が用いられている場合には、経路案内時において、交通手段に応じて経路案内の態様を変更するために、属性情報を用いても良い。例えば、交通手段に応じて、地図画像の縮尺を変えることが考えられる。
【0124】
・第4変形例:
案内情報生成装置としての機能は、単体の装置(第1実施例における携帯端末200や、第2実施例における地図サーバ150b)によって実現されるだけでなく、複数の装置によって実現されても良い。例えば、案内情報生成装置としての機能を実現する案内情報生成プログラムM10のサブモジュールのうちの、経路軌跡受付部M11、区間指定受付部M12、属性情報受付部M13は、利用者が所有する携帯端末あるいはパーソナルコンピュータにインストールされ、案内情報生成部M14は事業者のサーバにインストールされていても良い。そして、利用者は、端末またはパーソナルコンピュータで、案内ルートNRを表す情報と、案内ルートNR上の指定された点または区間を表す情報と、属性情報とを生成して、サーバにアップロードする。サーバは、アップロードされた各情報を用いて、オリジナルナビデータを生成して、利用者に提供する。このような場合には、利用者の携帯端末またはパーソナルコンピュータと、事業者のサーバとで、一つの案内情報装置として機能することになる。
【0125】
また、経路案内装置としての機能も、同様に、単体の装置によって実現されるだけでなく、複数の装置によって実現されても良い。
【0126】
・第5変形例:
上記第1実施例と第2実施例におけるオリジナルナビデータ500は、座標データ部510と、属性データ部520とを含んでいるが、オリジナルナビデータ500の態様はこれに限られない。例えば、オリジナルナビデータ500には、さらに、必要な地図画像データ(ベクトルデータまたはラスタデータ)が加えられても良い。こうすれば、経路案内装置は、オリジナルナビデータ500を用いた経路案内を行う際に、地図画像データを外部(例えば、地図サーバ150)から取得する必要がなく、通信負荷の低減、利用者の通信コストの低減が可能である。また、オリジナルナビデータは、座標データ部510と、属性データ部520が別々に格納されていても良い。例えば、第1実施例における経路案内処理(図14〜z8)において、携帯端末200には、座標データ部510のみが格納され、地図サーバ150bに属性データ部520が格納されていても良い。この場合、携帯端末200は、座標データ部510を用いて経路案内を行い、属性情報表示更新地点に到達したときに、地図サーバ150bから属性データ部520に記録された必要な属性情報を取得することとしても良い。
【0127】
・第6変形例:
上記第1実施例および第2実施例は、インターネットINTなどを利用した比較的大がかりなシステムとなっているが、これに限られない。例えば、地図画像データと案内情報生成プログラムM10をパーソナルコンピュータ400にインストールして、パーソナルコンピュータ400単体で、案内情報を生成しても良い。そして、各種メモリカードを介して、生成した案内情報を、経路案内プログラムM20がインストールされた携帯端末あるいは車載型のカーナビゲーション装置に移して、経路案内を行うこととしても良い。
【0128】
・第7変形例:
上述した第1実施例および第2実施例では、GPS受信機201単体で現在位置を測位することとした。しかし、現在位置の測位は、例えば、GPS受信機201と車速センサや加速度センサを併用して行うこととしてもよい。
【0129】
・第8変形例:
オリジナルナビデータの態様は、図12に示すオリジナルナビデータ500に限らず、様々な態様に変形可能である。例えば、複数の座標情報は、順序を特定可能な態様で記録されていれば良い。例えば、複数の座標情報は、隣接する座標情報を結ぶリンクを表すリンク情報の形式で記録され、各リンクの順番が特定可能なように識別子を付しておいても良い。また、属性情報は、複数の座標情報で表される経路上の点または区間を特定可能な態様で記録されていれば良く、例えば、上述のリンク情報に関連付けられていても良い。
【0130】
・第9変形例:
上記第1実施例では、案内情報(オリジナルナビデータ500)の作成者と、案内情報を用いて経路案内を享受する者とが同一であるが、異なる者であっても良い。例えば、案内情報の作成者が、案内情報をメールに添付して他人に送信し、送信を受けた他人が案内情報を用いて経路案内を享受しても良い。また、案内情報の作成者が、自身のブログなどで案内情報を公開し、他人の利用に供するために自由にダウンロード可能にしても良い。
【0131】
また、上記第2実施例から解るように、案内情報(オリジナルナビデータ500)を作成する処理のうちの一部を行う利用者と、他の部分を行う利用者とが異なっても良い。第2実施例のように、経路軌跡を入力する者と、属性情報を入力する者が異なっても良い。また、経路軌跡のうちの一部の入力を一の利用者が行い、当該経路軌跡に続く経路軌跡を他の利用者が入力しても良い。
【0132】
・第10変形例:
上記実施例では、入力された経路軌跡を補正することなく、そのまま案内ルートとして使用しているが、経路軌跡を補正し、補正後の経路を案内ルートとして使用しても良い。この場合は、補正後の案内ルートを表す複数の座標情報がオリジナルナビデータ500に記録される。補正は、例えば、周知のスムージングを行ってもよいし、あるいは、経路探索サーバ100に格納されたルートデータと照合して地図画像上に描かれた道路に案内ルートを合わせる補正を行っても良い。
【0133】
・第11変形例:
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしても良い。
【0134】
以上、本発明の実施例および変形例について説明したが、本発明はこれらの実施例および変形例になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の態様での実施が可能である。
【符号の説明】
【0135】
10、10b…地図表示システム
100…経路探索サーバ
102…通信部
104…制御部
105…記憶部
106…経路データベース
150、150b…地図サーバ
152…通信部
154…制御部
155…記憶部
156…地図データベース
200、200b…携帯端末
201…GPS受信機
202…表示パネル
203…タッチパネル
204…音声出力部
205…キー入力部
206…無線通信回路
207…通話制御部
208…外部記憶装置
210…主制御部
211…CPU
212…内部記憶装置
213…インタフェース部
230…タッチペン
400…パーソナルコンピュータ
402…表示装置
406…キーボート
430…マウス
500…オリジナルナビデータ
510…座標データ部
520…属性データ部
M10…案内情報生成プログラム
M11…経路軌跡受付部
M12…区間指定受付部
M13…属性情報受付部
M14…案内情報生成部
M20…経路案内プログラム
M21…現在位置情報取得部
M22…経路照合部
M23…案内実行部
M30…ブラウザプログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内情報生成装置であって、
経度と緯度を含む複数の座標情報を、順序を特定可能な態様で利用者から受け付ける座標情報受付手段と、
前記複数の座標情報と前記順序とに基づいて定まる経路上において、点または区間の指定を利用者から受け付ける指定受付手段と、
前記経路上の点または区間に関連する属性情報を利用者から受け付ける属性情報受付手段と、
前記複数の座標情報が前記順序を特定可能な態様で記録されると共に、前記属性情報が前記経路上の点または区間に関連付けて記録された、案内情報を生成する案内情報生成手段と、
を備える、案内情報生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の案内情報生成装置は、さらに、
地図画像を表示するための地図画像表示手段と、
前記地図画像上の任意の位置を利用者が指定するための位置指定手段と、
を備え、
前記座標情報受付手段は、利用者により前記位置指定手段を用いて前記地図画像上に描かれた軌跡の入力に基づいて、前記軌跡上の複数の点に対応する前記複数の座標情報を前記軌跡の入力順序で取得する、案内情報生成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の案内情報生成装置は、さらに、
現在位置を表す現在位置情報を逐次に取得する現在位置情報取得手段と、
前記現在位置情報取得手段を用いて利用者の移動軌跡を取得する移動軌跡取得手段と、
を備え、
前記座標情報受付手段は、前記移動軌跡上の複数の点に対応する前記複数の座標情報を前記移動軌跡の取得順序で取得する、案内情報生成装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の案内情報生成装置において、
前記案内情報生成手段は、前記順序を特定可能な態様で記録された前記複数の座標情報の一部に前記属性情報を直接または間接に関連付けることにより、前記属性情報を前記経路上の点または区間に関連付ける、案内情報生成装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の案内情報生成装置は、さらに、
前記生成された案内情報をインターネット上に公開する案内情報公開手段を備え、
前記属性情報受付手段は、前記インターネットを介して前記属性情報を受け付け可能である、案内情報生成装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の案内情報生成装置は、さらに、
現在位置を表す現在位置情報を逐次に取得する現在位置情報取得手段と、
前記案内情報に記録された前記複数の座標情報と前記現在位置情報とを、前記順序に従って照合する照合手段と、
前記照合の結果に応じて前記属性情報を用いつつ、前記経路を案内する案内手段と、
を備える案内情報生成装置。
【請求項7】
案内情報を用いて経路案内を行う経路案内装置であって、
前記案内情報は、
経路を定めるための経度と緯度を含む複数の座標情報であって、順序を特定可能な態様で利用者から受け付けられ、前記順序を特定可能な態様で記録された前記複数の座標情報と、
利用者から受け付けられた属性情報であって、利用者から受け付けられた前記経路上の点または区間に関連付けて記録された前記属性情報と、
を含み、
前記経路案内装置は、
現在位置を表す現在位置情報を逐次に取得する現在位置情報取得手段と、
前記案内情報に記録された前記複数の座標情報と前記現在位置情報とを、前記順序に従って照合する照合手段と、
前記照合の結果に応じて前記属性情報を用いつつ、前記経路を案内する案内手段と、
を備える、経路案内装置。
【請求項8】
コンピュータプログラムであって、
経度と緯度を含む複数の座標情報を、順序を特定可能な態様で利用者から受け付ける第1の機能と、
前記複数の座標情報と前記順序とに基づいて定まる経路上において、点または区間の指定を利用者から受け付ける第2の機能と、
前記経路上の点または区間に関連する属性情報を利用者から受け付ける第3の機能と、
前記複数の座標情報が前記順序を特定可能な態様で記録されると共に、前記属性情報が前記経路上の点または区間に関連付けて記録された案内情報を生成する第3の機能と、
をコンピュータに実現させるコンピュータプログラム。
【請求項9】
案内情報を用いて経路案内を行うためのコンピュータプログラムであって、
前記案内情報は、
経路を定めるための経度と緯度を含む複数の座標情報であって、順序を特定可能な態様で利用者から受け付けられ、前記順序を特定可能な態様で記録された前記複数の座標情報と、
利用者から受け付けられた属性情報であって、利用者から受け付けられた前記経路上の点または区間に関連付けて記録された前記属性情報と、
を含み、
前記コンピュータプログラムは、
現在位置を表す現在位置情報を逐次に取得する第1の機能と、
前記案内情報に記録された前記複数の座標情報と前記現在位置情報とを、前記順序に従って照合する第2の機能と、
前記照合の結果に応じて前記属性情報を用いつつ、前記経路を案内する第3の機能と、
をコンピュータに実現させるコンピュータプログラム。
【請求項10】
案内情報を生成する方法であって、
経度と緯度を含む複数の座標情報を、順序を特定可能な態様で利用者から受け付け、
前記複数の座標情報と前記順序とに基づいて定まる経路上において、点または区間の指定を利用者から受け付け、
前記経路上の点または区間に関連する属性情報を利用者から受け付け、
前記複数の座標情報を、前記順序が特定可能な態様で記録し、
前記属性情報を前記経路上の点または区間に関連付けて記録して案内情報を生成する方法。
【請求項11】
案内情報を用いて経路案内を行う方法であって、
前記案内情報は、
経路を定めるための経度と緯度を含む複数の座標情報であって、順序を特定可能な態様で利用者から受け付けられ、前記順序を特定可能な態様で記録された前記複数の座標情報と、
利用者から受け付けられた属性情報であって、利用者から受け付けられた前記経路上の点または区間に関連付けて記録された前記属性情報と、
を含み、
前記経路案内を行う方法は、
現在位置を表す現在位置情報を逐次に取得し、
前記案内情報に記録された前記複数の座標情報と前記現在位置情報とを、前記順序に従って照合し、
前記照合の結果に応じて前記属性情報を用いつつ、前記経路を案内する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−47755(P2012−47755A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253485(P2011−253485)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【分割の表示】特願2007−204968(P2007−204968)の分割
【原出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)
【Fターム(参考)】