説明

案内板による情報提供システム

【目的】
本発明は、微弱電波の送受信やワンセグ受信が可能な携帯端末を用いて、表示板の表示内容に関して、動画などの、より詳しい情報を利用者が得るための手段を提案するものである。
【構成】
店舗情報や地図情報などが掲載された案内板において、利用者が閲覧する側を前面とした場合に該前面の座標に対応して背面あるいは内部に設置された微弱電波送信機と、前記微弱電波送信機が送信する情報を前記前面の座標に対応した情報に再構成する送信制御器と、前記送信制御器が有する送信情報を遠隔から更新するために前記送信制御器をネットワーク回線に接続するネットワーク接続部と、前記案内板の周囲に設置されワンセグ放送の電波を送信するアンテナ部から成る事を特徴とする電子案内板システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図や店舗案内などが表示されている案内板に携帯端末をかざすことで、その位置や店舗に関する詳しい情報を、該携帯端末に表示させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
街角や駅前には従来より各種の案内板が設けられている。さらに、これら案内板の電子化が進められており、利用者が得る情報も、よりニーズに沿ったものになってきた。
【0003】
例えば特許文献1では、複数の表示領域があり、その表示領域内に非接触ICカードとの通信を行う情報要求部を設けた手段が提案されている。この表示装置の情報要求部に、非接触ICカードを備えた携帯型コンピュータをかざすと、そのかざされた情報要求部に対応する表示領域に表示された内容の詳細が表示装置からコンピュータに転送される。この転送された情報によって、表示されている内容の詳細情報をコンピュータで参照することができるものである。
【0004】
しかしこの手段によると、コンピュータに非接触ICカードを設け、表示装置からダウンロードした情報しか得ることができないため、通信速度などに影響を受けた小規模な情報提供にとどまってしまう。
【0005】
また、特許文献2では同様のシステムでありながら、コンピュータと表示板の間で相互にブルートゥース通信をすることによって、管理者が表示板内に蓄積された情報を簡単に更新する手段が提案されている。
【0006】
これらいずれの手段によっても、コンピュータと表示板の通信においては、コンピュータ側に特殊な通信装置を後付で付加せねばならず、また、情報は表示板に蓄積されたものをコンピュータに読み込んで表示するのみであり、表示板に蓄積されている情報が陳腐化された場合など、情報のリアルタイム性に欠けるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−85659号公報
【特許文献2】特開2005−44307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように表示板の表示内容の、さらに詳しい情報を得るための技術は進歩しているが、いずれも非接触でデータを端末に一旦蓄積し、それを専用のビューアで閲覧するというものであった。
【0009】
しかし、携帯電話や携帯音楽プレイヤなどといった、ワンセグ受信部とワンセグ表示部を内蔵した携帯端末の普及は著しく、動画を見るための環境については多くの人が携帯しているという実情である。
【0010】
また一方、携帯端末の技術の進歩により、近年では買い物の料金を携帯端末経由で支払う手段が開発されており、この場合は、非接触ICチップを搭載した携帯電話などの携帯端末を専用の装置に接触させることによって、該装置と携帯端末の間で微弱電波による通信が行われ、支払い処理が為される。このように、携帯端末を用いた通話以外の通信に関する技術の進歩も著しい。
【0011】
本発明では、これら微弱電波による送受信やワンセグ受信、あるいはテレビ電話通信が可能な携帯端末を用いて、表示板の表示内容に関して、動画などの、より詳しい情報を利用者が得るための手段を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本発明は、
店舗情報や地図情報などが掲載された案内板において、
利用者が閲覧する側を案内板の前面とした場合に該前面の座標に対応して案内板の背面あるいは案内板内部に設置された微弱電波送受信機と、
前記微弱電波送受信機が送信する情報を前記前面の座標に対応した情報として生成する送信制御器と、
前記送信制御器が有する送信情報を遠隔から更新するために前記送信制御器をネットワーク回線に接続するネットワーク接続部と、
前記案内板の周囲に設置されワンセグ放送の電波を送信するアンテナ部と、
から成る事を特徴とする電子案内板システムとする。
【0013】
本手段によって利用者は、携帯端末を案内板の情報を欲するエリアに近接させることによって、該案内板上における該位置の情報を微弱電波送受信機、または基地局、または前記アンテナ部から受信することが可能となる。
【0014】
また、本発明は、利用者が案内板の位置Aに非接触ICチップを搭載した携帯端末を近接させ、該携帯端末の電子メイルアドレスを送信した時に、該位置Aに対応した前記微弱電波送受信機から利用者が受信する情報が、電子メイルによって送信されることを特徴とする電子案内板システムとする。
【0015】
本手段によって利用者は、携帯端末の非接触ICチップから電子メイルアドレスを送信する手段によって、電子メイルの形態で必要な情報を得ることが可能となる。
【0016】
また、本発明は、利用者が案内板の位置Aに非接触ICチップを搭載した携帯端末を近接させた時に、該位置Aに対応した前記微弱電波送受信機から利用者が受信する情報が、ネットワークのURLを記した電子ファイルであることを特徴とする電子案内板システムとする。
【0017】
本手段によって利用者は、電子ファイル上に記されたURLにアクセスすることによって必要な情報を受信することが可能となる。
【0018】
また、本発明は、利用者が案内板の位置Aに非接触ICチップを搭載した携帯端末を近接させた時に、該位置Aに対応した前記微弱電波送受信機から利用者が受信する情報が、テレビ電話回線を用いた映像を受信するための電話番号を記した電子ファイルであることを特徴とする電子案内板システムとする。
【0019】
本手段によって利用者は、電子ファイル上に記された電話番号にアクセスすることによって必要な情報を受信することが可能となる。
【0020】
また、本発明は、利用者が案内板の位置Aに非接触ICチップを搭載した携帯端末を近接させた時に、該位置Aに対応した前記微弱電波送受信機から利用者が受信する情報が、ワンセグ放送のチャンネル番号を記した電子ファイルであることを特徴とする電子案内板システムとする。
【0021】
本手段によって利用者は、電子ファイル上に記されたテレビ放送チャンネルを選局することによって必要な情報をワンセグ放送の形態で受信することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、街角や駅前にある案内板等のような、地図や観光スポットが掲示されたものに対して、非接触ICチップを搭載した携帯電話などの携帯端末を案内板上の所望の位置にかざすことにより、当該地に関する詳細な情報をコンテンツ化したワンセグ放送のチャンネル番号やインターネットにおけるURL等といった情報を案内板から受信し、閲覧することが可能になる。
【0023】
また、ワンセグ放送のデータ通信機能を用いることによって、文字による当該地の情報や、ユーザからの口コミ情報の閲覧及び参加も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】案内板前面の一例
【図2】案内板背面の一例
【図3】携帯端末と案内板の関係図
【図4】処理フローチャート
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0025】
本発明の実施形態について、図を用いて説明する。図1および図2は案内板の利用シーンを説明した概略図である。
【0026】
図1において、101は案内板であり、本実施例では一例として地図情報が掲載されているものとするが、例えばレストランの外観を数店掲載している場合や、観光地がリスト化されている場合なども同様である。
【0027】
例えば案内板101上の点103からは、103の位置に関する情報が微弱電波によって送信されている。微弱電波の種類はブルートゥースや赤外線や、単に出力電力の弱い電波など様々なものが有りうるが、本発明では微弱電波の周波数や通信方式は特定しない。
【0028】
地図上の任意の位置に通信用非接触ICチップを搭載した携帯電話などの携帯端末105を近接させると、携帯端末105は微弱電波を受信し、該位置に関する情報を取得することが出来る。受信の形態としては、電子メイルに情報ファイルを添付する場合や、FTP通信や、任意の通信方式によるものなど様々な手段が有りうるが、本発明では情報の受信手段として、非接触ICチップを用いること以外については特定しない。
【0029】
107はワンセグ放送用の狭域エリアアンテナであり、利用者はこのアンテナ周辺においてのみ、当該ワンセグ放送を受信することが出来る。アンテナ107からは、案内板101上の各点に関する情報を番組化した複数のワンセグ放送を多重化した信号が送信されている。
【0030】
図2は案内板101の背面図である。案内板101の背面には微弱電波送受信機201と、送信制御器203が設置されている。送信制御器203は例えばインターネットやイントラネットのようなネットワーク205に、ネットワーク接続部207を介して接続されている。
【0031】
案内板101前面に表示されている地図の各点に対応する背面の位置に、微弱電波送受信機201がマトリクス状に配置されており、送信制御器203はマトリクスの水平方向と垂直方向の位置を指定することによって、任意の微弱電波送受信器を指定し、各微弱電波送受信機が発する情報の内容を制御する。
【0032】
また、アンテナ107も送信制御器に接続されており、該アンテナから各情報のワンセグ放送に関する番組コンテンツが多重化されて送信されている。なお、アンテナ107が発する信号の強度に関して、利用者がどのくらいそのアンテナに近づいてワンセグ放送を閲覧できるかに関しては本発明では限定しないため、該信号強度に関しては任意のものとする。
【0033】
微弱電波送受信機201やアンテナ107が発する情報は、ネットワーク接続部207を介してネットワーク205により、システム管理者が遠隔で内容を更新できる。従って、該情報に関する利用者のクチコミ情報をインターネットや携帯端末から受けつけることによって、利用者からの新たな情報も随時微弱電波送受信機201からの微弱電波や、アンテナ107からのワンセグ放送や、基地局303からの電子メイルにて発信することが可能になる。
【0034】
図3に携帯端末と案内板の関係を示す。通信用非接触ICチップ301を搭載した携帯電話などの携帯端末105と、微弱電波送受信器201を持つ案内板101を近接させると、
非接触ICチップ301からの信号を微弱電波送受信器201が受信する。
【0035】
非接触ICチップ301が発する信号は、携帯端末105が案内板101に近接していることを知らせる任意の信号と、携帯端末105の電子メイルアドレス等である。
【0036】
微弱電波送受信器201は、例えば地図の該当する位置の観光スポット等の情報を記したURLや、テレビ電話による動画情報を閲覧するための電話番号や、ワンセグ放送による動画情報を閲覧するためのチャンネル番号などを非接触ICチップ301に伝送する。利用者は受信内容を携帯端末の表示部によって確認することができる。
【0037】
また、携帯端末105はネットワーク205を介して、例えば携帯電話の基地局303から電子メイルの形態で同様な情報を得ることも可能である。
【0038】
携帯端末105の利用者が、前記情報の中からワンセグ放送の受信を希望する場合には、利用者は受信した情報に記述されているチャンネル番号を選局することによって、ワンセグアンテナ107からワンセグ放送を用いた動画情報や文字情報を得ることも可能である。
【0039】
図4に処理のフローチャートを示す。システム管理者が自動で、あるいは手動で観光スポット等の情報更新を行う(S401)。情報更新はネットワークを介して案内板周囲に設置されている送信制御器にアクセスすることによって遠隔で行うことができる。また、サービス利用者による該観光地の感想などのクチコミ情報を随時挿入することができる(S411)。
【0040】
該情報は、各地の案内板にそれぞれ接続された送信制御器がネットワークを介して受信し、記憶装置に蓄積する(S403)。案内板裏にはマトリクス状に微弱電波送受信器が配置されており、送信制御器が蓄積した情報は、該マトリクスの水平方向の番号と垂直方向の番号を指示することによって任意の微弱電波送受信器を指定して送信することができる。
【0041】
また、案内板近辺に設置されたワンセグ放送の送信用アンテナからは、常に該案内板上の各観光地などの案内動画情報及び文字情報が多重化されて送信されている(S405)。利用者は、放送チャンネルを指定することによって、希望する地点に関する情報をワンセグ放送による動画や文字で得ることができる。
【0042】
これら微弱電波送受信器は常に通信用非接触ICチップを搭載した携帯端末からの信号に関して待ち受け状態になっており、携帯端末が案内板に近接されたかどうかをモニターしている(S407)。
【0043】
携帯端末が案内板に近接した場合には、該携帯端末からの信号を受信した微弱電波送受信器は、送信制御器から指示された情報を送信し、携帯端末は該情報を受信する(S409)。携帯端末が受信したデータには、携帯端末を近接させた観光スポットなどの情報が記述されたURLや、テレビ電話機能を用いた動画配信を受けるための電話番号や、ワンセグ放送を受信するためのチャンネル番号が記述されている。
【0044】
また、携帯端末の非接触ICチップが発する信号に電子メイルアドレスが含まれている場合は、電子メイルによって利用者に情報を供給することもできる。
【0045】
また、利用者の感想を書き込むURLを併載し、利用者が該URLにアクセスして感想や写真、あるいは動画といった情報を投稿することによって、その投稿がクチコミ情報として、送信制御器に蓄積されることになる(S411)。
【0046】
本発明において、携帯端末と微弱電波送受信器の間で行われる通信方式やプロトコルについては、これを限定しない。また、ワンセグ放送送信用アンテナからの電波放射強度や通信方式については、これを限定しない。また、携帯端末に装備する非接触ICチップの構成に関しては、これを限定しない。
【符号の説明】
【0047】
101…案内板、 103…地図、
105…携帯端末、 107…アンテナ、
201…微弱電波送受信器、 203…送信制御器、
205…ネットワーク、 207…ネットワーク接続部、
301…非接触ICチップ、 303…基地局。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗情報や地図情報などが掲載された案内板において、
利用者が閲覧する側を案内板の前面とした場合に該前面の座標に対応して案内板の背面あるいは案内板内部に設置された微弱電波送受信機と、
前記微弱電波送受信機が送信する情報を前記前面の座標に対応した情報として生成する送信制御器と、
前記送信制御器が有する送信情報を遠隔から更新するために前記送信制御器をネットワーク回線に接続するネットワーク接続部と、
前記案内板の周囲に設置されワンセグ放送の電波を送信するアンテナ部と、
から成る事を特徴とする電子案内板システム。
【請求項2】
利用者が案内板の位置Aに非接触ICチップを搭載した携帯端末を近接させ、該携帯端末の電子メイルアドレスを送信した時に、該位置Aに対応した前記微弱電波送受信機から利用者が受信する情報が、電子メイルによって送信されることを特徴とする請求項1に記載の電子案内板システム。
【請求項3】
利用者が案内板の位置Aに非接触ICチップを搭載した携帯端末を近接させた時に、該位置Aに対応した前記微弱電波送受信機から利用者が受信する情報が、ネットワークのURLを記した電子ファイルであることを特徴とする請求項1に記載の電子案内板システム。
【請求項4】
利用者が案内板の位置Aに非接触ICチップを搭載した携帯端末を近接させた時に、該位置Aに対応した前記微弱電波送受信機から利用者が受信する情報が、テレビ電話回線を用いた映像を受信するための電話番号を記した電子ファイルであることを特徴とする請求項1に記載の電子案内板システム。
【請求項5】
利用者が案内板の位置Aに非接触ICチップを搭載した携帯端末を近接させた時に、該位置Aに対応した前記微弱電波送受信機から利用者が受信する情報が、ワンセグ放送のチャンネル番号を記した電子ファイルであることを特徴とする請求項1に記載の電子案内板システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−176621(P2010−176621A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21562(P2009−21562)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】