説明

案内装置およびプログラム

【課題】 窃盗車両等の発見に役立つ案内装置等を提供すること。
【解決手段】 車両の盗難を検知すると、経路案内処理の実行中か否かを判定する(S115)。そして、経路案内処理の実行中であると判定した場合には(S115:YES)、自動ナンバー読取装置が設置されている道路を優先的に通るように案内経路を再算出し、案内経路を置き換える(S120)。この結果、盗難車両を自動ナンバー読取装置へ導くことができ、盗難車両の発見に役立つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両において用いられる案内装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、車両やナビゲーション装置の盗難が増加し、これらの盗難を防止する盗難防止装置が多数開発されている。例えば、車両に振動が加えられた際や不正にドアが開けられた際に大音量のサイレンを発する盗難防止装置や、電気的なIDを発する特殊なキーによってのみエンジンがかかることにより車両の盗難を防止する盗難防止装置が開発されている。
【0003】
しかし、これらの盗難防止装置が機能した際、窃盗者が逆上して車両や車両装備を破壊する場合があった。そこで、直接的な盗難防止機能ではなく、盗難された後にいかにその盗難されたものを探し出すかという観点で開発された装置もある。例えば、特許文献1に記載のシステムは、車両の盗難が検知された際に警察への通報を自動的に行うと共に一定時間間隔でドライバーおよび警察に現在位置を通報するものである。
【特許文献1】特開平10−55496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載のシステムのように、一定時間間隔で窃盗車両の現在位置を知らされた所有者や警察は、次にどのような経路を窃盗車両が通るのかを予測することが難しい場合があった。具体的には、例えば10分間隔で窃盗車両の現在位置を知らされ、その知らされた現場に駆けつけたとしても、その駆けつけるまでに窃盗車両が移動している場合も考えられ、次に現在位置の情報が送られてくるまで窃盗車両がどこにあるのかを把握することができず、実際に車両を見つけるまでに時間を要する場合もあると考えられる。
【0005】
また、近年、地図表示や音声等によって案内を行う案内装置が車両に搭載または持ち込まれることが増え、このような案内装置を利用して運転することが一般的になってきて。
本発明は、このような状況にかんがみなされたものであり、窃盗車両等の発見に役立つ案内装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の案内装置は、盗難の発生を示す盗難発生信号を入力する盗難発生信号入力手段と、自己の位置を特定するための位置情報を取得する位置情報取得手段と、地図情報を入力する地図情報入力手段と、位置情報取得手段が取得した位置情報と地図情報入力手段が入力した地図情報とに基づき経路を算出する経路算出手段と、経路算出手段が算出した経路を案内する案内手段と、を備える。そして、経路算出手段は、盗難発生信号入力手段により盗難信号が入力されると、入力されたタイミングや入力された以降、経路を算出する際、所定のポイントを通る経路を優先的に算出する。なお、ここで言う「地図情報」というのは、経路を算出する際に必要な情報であり、具体的には道路に対応づけられたノードやリンク等の情報を意味する。また、「所定のポイント」というのは、窃盗者を捉えやすい場所や、車両の特定を行いやすい場所等が考えられ、具体的には例えば警察署の前、検問場所、料金所、検札所、自動ナンバー読取装置の設置箇所等である。また、「優先的に算出する」というのは、例えば第一候補として経路を算出することや、その経路のみを算出することを意味する。
【0007】
このような案内装置によれば、窃盗された案内装置を窃盗者が使用することにより、窃盗者に気づかれることなく窃盗者を所定のポイントを通るように誘導することができる。このため、その所定のポイントで待ち構えることにより、当該案内装置の窃盗者(車両ごと窃盗された場合は車両の窃盗者)を捉えることができる。つまり、パトカー等の警察車両が盗難車両を追い回すというような大がかりな捜査方法をとることなく、待ち構えるという捜査方法により窃盗者を捉えることができる。
【0008】
また、経路算出手段が算出した経路に関する情報は、捜査する方としては窃盗者の行動の予測がより明確にわかり、非常に有益な情報である。このため、請求項2に記載の案内装置ように、さらに、盗難発生信号入力手段により盗難信号が入力されると、経路算出手段が算出した経路を通信ネットワークへ出力する経路出力手段を備えているとよい。
【0009】
このような経路出力手段が出力する経路に関する情報を利用することによって、より適切に待ち構える場所を決定することができ、早期の窃盗車両の発見や窃盗者の確保に役立つ。
【0010】
また、請求項3に記載の案内装置は、盗難の発生を示す盗難発生信号を入力する盗難発生信号入力手段と、自己の位置を特定するための位置情報を取得する位置情報取得手段と、地図情報を入力する地図情報入力手段と、画像を表示する表示手段と、位置情報入力手段が入力した位置情報に基づき車両の現在位置を特定し、特定した車両の現在位置付近の地図を、地図情報入力手段が入力した地図情報に基づいて表示手段に表示させる表示制御手段と、を備える。そして、表示制御手段は、盗難発生信号入力手段により盗難信号が入力されると、地図を表示する際、所定のポイントを通る道路を強調して表示手段に表示させる。なお、ここで言う「地図情報」というのは、表示手段に道路地図を表示する際に必要な情報であり、具体的には道路に対応づけられたノードやリンク等の情報を意味する。また、「所定のポイント」というのは、窃盗者を捉えやすい場所や、車両の特定を行いやすい場所等が考えられ、具体的には例えば警察署の前、検問場所、料金所、検札所、自動ナンバー読取装置の設置箇所等である。
【0011】
このような案内装置によっても、請求項1に記載の案内装置と同様の効果を得ることができる。しかも、窃盗者が目的地を設定して経路案内の操作指示をすることなく、単に地図表示をさせるだけで機能するものであるため、より上述した効果を奏しやすい。つまり、このような案内装置は、より窃盗者の逮捕につながりやすい案内装置と言える。
【0012】
ところで、ここで言う「所定のポイントを通る道路を強調して」というのは、具体的には例えば、請求項4に記載のようになっているとよい。つまり、表示制御手段は、強調の方法として、所定のポイント付近の道路のうち、所定のポイントを通る道路と略並行する道路を表示させないという強調方法を用いるようになっているとよい。
【0013】
このようになっていれば、所定のポイントを通る道路以外の同方向道路は存在しないと窃盗者が思いこみ、所定のポイントを通る道路へ窃盗者を導くことができる。
また、請求項5に記載のようになっていてもよい。つまり、表示制御手段は、強調の方法として、所定のポイントを通る道路と略並行する道路を混雑表示させるという強調方法を用いるようになっていてもよい。
【0014】
このようになっていても、所定のポイントを通る道路を通るように窃盗者を導くことができる。
ところで、上述した「所定のポイント」は、特に、当該案内装置が搭載された車両を特定することができる情報を読み取り可能な読取装置が設置された箇所であるとよい(請求項6)。現在、Nシステムと呼ばれるシステムにおいて用いられるカメラが広く国道や県道等に設置されており、このカメラは上記読取装置と同様の機能を有している。このため、このような読取装置が設置されたポイントを優先的に通行するようにし向ければ、車両の移動経路を容易に把握することができ、窃盗者の確保に役立つ。
【0015】
また、「所定のポイント」の情報は、予め案内装置内に記憶されて用いられるようになっていてもよいが、請求項7に記載の案内装置のように、通信ネットワークから所定のポイントに関する情報を入力するポイント情報入力手段を備え、このようなポイント情報入力手段が入力した「所定のポイント」の情報を経路算出手段や表示制御手段が利用するようになっていてもよい。
【0016】
このようになっていれば、窃盗者をより所望の地点に導くことが容易になり、窃盗者の確保に役立つ。
また、盗難発生信号入力手段は、例えば車両に設置された振動センサやドアセンサ等のセンサから出力された信号を入力するようになっていてもよいが、通信ネットワークから盗難発生信号を入力するようになっていてもよい(請求項8)。つまり、外部からの指令によって上述した動作を行うようになっていてもよい。このようになっていれば、正規のキーが盗まれて車両が盗難された場合のように、車両に設置された振動センサやドアセンサ等が機能しないようなケースでも上述した動作が実行される。
【0017】
ところで、請求項9に記載のような、請求項1または請求項2を引用する請求項6〜請求項8の何れか記載の案内装置における経路算出手段として機能させるプログラムを、案内装置が内蔵するコンピュータに実行させるようになっていてもよい。このようになっていれば、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、ハードディスク、ROM、RAM等のコンピュータが読みとり可能な記録媒体にプログラムを記録し、そのプログラムを必要に応じてコンピュータにロードして起動することによりコンピュータを上述した経路算出手段として機能させることができる。つまり、上述した案内装置と同様の効果を奏し得ることとなる。また、プログラムはネットワーク等を用いて流通させることも可能であるため、案内装置の機能向上も容易である。
【0018】
また、請求項10に記載のような、請求項3〜請求項5の何れかを引用する請求項6〜請求項8の何れか記載の案内装置における表示制御手段として機能させるプログラムを、案内装置が内蔵するコンピュータに実行させるようになっていてもよい。このようにしてもコンピュータを上述し表示制御手段として機能させることができ、上述した案内装置と同様の効果を奏し得ることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。尚、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0020】
[構成および動作の説明]
図1は、本発明の案内装置が有する機能が組み込まれたナビゲーション装置20の概略構成を示すブロック図である。
【0021】
ナビゲーション装置20は車両に搭載され、車両の現在位置を検出する位置検出器21と、利用者からの各種指示を入力するための操作スイッチ群22と、操作スイッチ群22と同様に各種指示を入力可能であってナビゲーション装置20とは別体となったリモートコントロール端末(以下、リモコンと称す)23aと、リモコン23aからの信号を入力するリモコンセンサ23bと、パケット通信網等に接続して外部と通信を行う外部通信機24と、地図データや音声データ等が記録された地図記憶媒体からデータを入力する地図データ入力器25と、地図や各種情報の表示を行うための表示部26と、各種のガイド音声等を出力するための音声出力部27と、利用者が発話した音声に基づく電気信号を出力するマイクロフォン28と、車内LAN通信装置30と、上述した位置検出器21,操作スイッチ群22,リモコンセンサ23b,外部通信機24,地図データ入力器25,マイクロフォン28,車内LAN通信装置30からの入力に応じて各種処理を実行し、外部通信機24,表示部26,音声出力部27,車内LAN通信装置30を制御する制御部29とを備えている。
【0022】
位置検出器21は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの電波を図示しないGPSアンテナを介して受信してその受信信号を出力するGPS受信機21aと、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ21bと、車両の前後方向の加速度等から走行した距離を検出するための距離センサ21cとを備えている。そして、これら各センサ等21a〜21cからの出力信号に基づいて制御部29が、車両の位置,方位,速度等を算出する。なお、GPS受信機21aからの出力信号に基づいて現在位置を求める方式は様々な方式があるが、単独測位方式、相対測位方式の何れであってもよい。
【0023】
操作スイッチ群22は、表示部26の表示面と一体に構成されたタッチパネル及び表示部26の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等から構成される。尚、タッチパネルと表示部26とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式,電磁誘導方式,静電容量方式,あるいはこれらを組み合わせた方式など各種の方式があるが、その何れを用いてもよい。
【0024】
外部通信機24は、路側に設置された光ビーコンや電波ビーコン等を介してVICSの情報センタから事故情報や渋滞情報等を取得する。また、パケット通信網にも接続され、そのパケット通信網に接続された様々なサーバ装置と通信を行うことができる。
【0025】
地図データ入力器25は、図示しない地図データ記憶媒体(例えばハードディスクやDVD−ROM等)に記憶された各種データを入力するための装置である。地図データ記憶媒体には、地図データ(ノードデータ、リンクデータ、コストデータ、背景データ、道路データ、名称データ、マークデータ、交差点データ、施設のデータ等)、案内用の音声データ、音声認識データ等が記憶されている。なお、地図データ記憶媒体からこれらのデータを入力する代わりに、通信ネットワークを介してこれらのデータを入力するようになっていてもよい。
【0026】
表示部26は、カラー表示装置であり、液晶ディスプレイ,有機ELディスプレイ,CRTなどがあるが、その何れを用いてもよい。表示部26の表示画面には、位置検出器21にて検出した車両の現在位置と地図データ入力器25より入力された地図データとから特定した現在地を示すマーク、目的地までの誘導経路、名称、目印、各種施設のマーク等の付加データとを重ねて表示することができる。また、施設のガイド等も表示できる。
【0027】
音声出力部27は、地図データ入力器25より入力した施設のガイドや各種案内の音声を出力することができる。
マイクロフォン28は、利用者が音声を入力(発話)するとその入力した音声に基づく電気信号(音声信号)を制御部29に出力するものである。利用者はこのマイクロフォン28に様々な音声を入力することにより、ナビゲーション装置20を操作することができる。
【0028】
車内LAN通信装置30は、車内LANに接続され、その車内LAN上の各種のECU等と通信を行う。なお、そのECUの一つとして、セキュリティコントローラ31と通信を行うことができる。このセキュリティコントローラ31は、車両の盗難防止や盗難検知を行う盗難防止システムを総括的に制御するコントローラである。
【0029】
制御部29は、CPU,ROM,RAM,SRAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びRAMに記憶されたプログラムに基づいて各種処理を実行する。例えば、位置検出器21からの各検出信号に基づき座標及び進行方向の組として車両の現在位置を算出し、地図データ入力器25を介して読み込んだ現在位置付近の地図等を表示部26に表示する処理や、地図データ入力器25に格納された地図データと、操作スイッチ群22やリモコン23a等の操作に従って設定された目的地とに基づいて現在位置から目的地までの最適な経路を算出する経路算出処理や、その算出した経路を表示部26に表示させたり音声出力部27に音声として出力させることにより経路を案内する経路案内処理等を実行する。
【0030】
次に、制御部29が実行する処理のうち、本実施例のナビゲーション装置20に特徴的な処理である盗難発生対応処理、経路算出処理および地図表示処理について以下に説明する。なお、従来のナビゲーション装置が実行する、経路案内処理等の一般的な処理については説明を省略する。
【0031】
(1)盗難発生対応処理
まず、盗難発生対応処理について図2のフローチャートを用いて説明する。盗難発生対応処理は、セキュリティコントローラ31から盗難発生を意味する信号を入力した際、セキュリティコントローラ31との通信が途切れた際、外部通信機24を介して盗難発生対応処理を起動する旨の信号を入力した際に、制御部29において実行が開始される。
【0032】
制御部29は、盗難発生対応処理の実行を開始すると、まず、経路案内処理の実行中であるか否かを判定する(S115)。ここで言う経路案内処理というのは後述する経路算出処理において算出された案内経路を、表示部26に地図を表示させたり、音声出力部27に案内音声を出力させることにより運転者に対して経路の案内を行う処理である。また、盗難発生対応処理の中で経路案内処理の実行中であるか否かを判定するということは、窃盗者に対してナビゲーション装置20が経路案内を実行しているか否かを判定することと同意である。
【0033】
このS115において、経路案内処理の実行中であると判定した場合は(S115:YES)、自動ナンバー読取装置の設置されている道路を優先的に通るように案内経路を再算出し、経路案内処理において用いる案内経路を再算出したものに置き換える(S120)。なお、自動ナンバー読取装置の設置されている道路についての情報は、地図データ入力器25を介して入力したデータに含まれている。
【0034】
続いて、盗難の発生を意味する情報と共に案内経路に関する情報を外部通信機24を介して所定のサーバ装置へ送信する(S125)。なお、サーバ装置としては、例えば、警察機関の管理するサーバ装置や、警備会社のサーバ装置等を想定している。
【0035】
続いて、制御部29が有する所定の記憶領域に設けられたフラグAをONにする(S145)。このフラグAはONとOFFの何れかの状態を維持することができ、経路算出処理において、自動ナンバー読取装置が設置されている道路を優先的に通るように算出すると共に、その情報を所定のサーバ装置へ送信する動作を行わせるためのフラグである。
【0036】
続いて、制御部29が有する所定の記憶領域に設けられたフラグBをONにする(S150)。このフラグBはONとOFFの何れかの状態を維持することができ、地図表示処理において、自動ナンバー読取装置が設置されている道路を強調して表示すると共に、その対象の自動ナンバー読取装置の設置位置に関する情報を所定のサーバ装置へ送信する動作を行わせるためのフラグである。フラグBをONにすると、本処理(盗難発生対応処理)を終了する。
【0037】
また、上述したS115において、経路案内処理の実行中でないと判定した場合には(S115:NO)、地図表示処理の実行中であるか否かを判定する(S130)。ここで言う地図表示処理というのは、後述する地図表示処理である。
【0038】
このS130において、地図表示処理の実行中でないと判定した場合は(S130:NO)、上述したS145に処理を移行する。一方、地図表示処理の実行中であると判定した場合は(S130:YES)、自動ナンバー読取装置が設置されている道路を強調表示する。この強調表示の具体的方法としては、例えば次のようなものが考えられる。
【0039】
(a)該当道路よりもランクの高い道路種別と同様の表示を行うようにする。
(例:該当道路が県道であれば、国道と同様の表示を行う)
(b)該当道路を表す線を、太くしたり、彩度の高い色に変える。
【0040】
(c)該当道路付近の並行道路を表す線を表示させないようにする。
(d)該当道路付近の並行道路を渋滞を意味する表示に変える。
なお、現在位置付近に自動ナンバー読取装置がなければ、本ステップの処理前と後とでは表示部26に表示される地図に何も変化がないことは言うまでもない。
【0041】
続いて、盗難の発生を意味する情報と共にS130で対象とした自動ナンバー読取装置の設置位置に関する情報を外部通信機24を介して所定のサーバ装置へ送信する(S135)。なお、サーバ装置としては、例えば、警察機関の管理するサーバ装置や、警備会社のサーバ装置等を想定している。送信し終えると、上述したS145に処理を移行する。
【0042】
(2)経路算出処理
次に、経路算出処理について図3のフローチャートを用いて説明する。経路算出処理は、操作スイッチ群22やリモコン23がユーザによって操作され、目的地に関する情報が入力された際に、制御部29において実行が開始される。
【0043】
制御部29は経路算出処理の実行を開始すると、まず、制御部29が有する所定の記憶領域に設けられたフラグAの状態がONであるか否かを判定する(S210)。このフラグAは、上述した盗難発生対応処理の中で説明したものである。このフラグAの状態がONであると判定した場合には(S210:YES)、自動ナンバー読取装置の設置されている道路を優先的に通る案内経路を算出すると共に、その算出した案内経路に関する情報を外部通信機24を介して所定のサーバ装置へ送信する(S220)。そして本処理(経路算出処理)を終了する。なお、自動ナンバー読取装置の設置されている道路についての情報は、地図データ入力器25を介して入力したデータに含まれている。また、サーバ装置としては、例えば、警察機関の管理するサーバ装置や、警備会社のサーバ装置等を想定している。
【0044】
一方、フラグAの状態がONでない、つまりOFFであると判定した場合には(S210:NO)、周知の案内経路算出手法により経路を算出し(S230)、本処理(経路算出処理)を終了する。
【0045】
以上、経路算出処理について説明したが、この経路算出処理において算出した経路が、経路案内処理において用いられてユーザに案内される。なお、この経路案内処理については、上述した通り、広く知られたものであるため説明を省略する。
【0046】
(3)地図表示処理
次に、地図表示処理について図4のフローチャートを用いて説明する。地図表示処理は、操作スイッチ群22やリモコン23がユーザによって操作され、現在位置付近の地図を表示させる旨の指示が入力された際に、制御部29において実行が開始される。そして、それ以降、車両の現在位置が予め定められた距離(例えば10m)を移動する毎、または、予め定められた時間(例えば5秒)毎に実行が開始される。
【0047】
制御部29は地図表示処理の実行を開始すると、まず、制御部29が有する所定の記憶領域に設けられたフラグBの状態がONであるか否かを判定する(S310)。このフラグBは、上述した盗難発生対応処理の中で説明したものである。このフラグBの状態がONであると判定した場合には(S310:YES)、自動ナンバー読取装置が設置されている道路を強調して表示部26に表示させると共に、この自動ナンバー読取装置の設置位置に関する情報を外部通信機24を介して所定のサーバ装置へ送信する(S320)。そして本処理(地図表示処理)を終了する。なお、自動ナンバー読取装置の設置されている道路についての情報は、地図データ入力器25を介して入力したデータに含まれている。また、サーバ装置としては、例えば、警察機関の管理するサーバ装置や、警備会社のサーバ装置等を想定している。また、道路を強調して表示させる具体的な方法は、上述した盗難発生処理において説明した方法と同様である(図2のS130参照)。
【0048】
一方、フラグBの状態がONでない、つまりOFFであると判定した場合には(S310:NO)、従来の地図表示方法によって、つまり、自動ナンバー読取装置が設置されている道路を強調表示することなく、表示部26に現在位置付近の地図表示を行う(S330)。そして本処理(地図表示処理)を終了する。
【0049】
[実施形態の効果]
以上、本実施形態の構成および動作について説明したが、本実施形態のナビゲーション装置20によれば、窃盗されたナビゲーション装置20を窃盗者が使用することにより、窃盗者に気づかれることなく窃盗者を所定のポイントを通るように誘導することができる。このため、その所定のポイントで待ち構えることにより、当該ナビゲーション装置20の窃盗者(車両ごと窃盗された場合は車両の窃盗者)を捉えることができる。つまり、パトカー等の警察車両が盗難車両を追い回すというような大がかりな捜査方法をとることなく、待ち構えるという捜査方法により窃盗者を捉えることができる。
【0050】
ここで、経路案内の際の実例を図5の画面例を用いて説明する。図5(a)は、盗難が発生していないときに表示部26へ表示される案内画面401である。案内画面401は、道路R1と、道路R2と道路R3と、自車位置を示すマークM1と、自動ナンバー読取装置P1(実際は表示されない)とが描かれており、最適経路である案内経路が太線で描かれている(R1)。
【0051】
一方、図5(b)は、盗難の発生を検知しているときに表示部26へ表示される案内画面403である。案内画面403は、案内画面403は、道路R1と、道路R2と、道路R3と、自車位置を示すマークM1と、自動ナンバー読取装置P1(実際は表示されない)とが描かれており、自動ナンバー読取装置P1を通る道路(R3)を通る案内経路が太線で描かれている(R1→R2→R3)。
【0052】
このように、盗難の発生を検知しているときには、最適経路の代わりに自動ナンバー読取装置P1が設置された道路(R3)を通るように案内される。このため、自動ナンバー読取装置P1の設置位置を車両が通過することにより、盗難車両のナンバーが読み取られ、警察機関で盗難車両の通過を把握することができる。また、自動ナンバー読取装置の設置位置に警察官を配置しておけば、その警察官へ盗難車両の通過直後にその旨を連絡することにより、窃盗者を即座に確保することもできる。
【0053】
また、ナビゲーション装置20は、盗難発生対応処理および経路算出処理の実行の際、算出した案内経路を所定のサーバ装置へ送信するようになっている(図2のS125,図3のS220)。また、盗難発生対応処理および地図表示処理の実行の際、強調表示させた道路に対応する自動ナンバー読取装置の設置位置に関する情報を所定のサーバ装置へ送信するようになっている(図2のS140、図4のS320)。このため、サーバ装置へ送信された情報を利用することによって、より適切に待ち構える場所を決定することができ、早期の窃盗車両の発見や窃盗者の確保に役立つ。
【0054】
また、盗難発生対応処理は、車両に搭載された盗難防止システムが盗難等を検知した際だけでなく、外部通信機24を介して盗難発生対応処理を起動する旨の信号を入力した際にも実行される。つまり、外部からの指令によって盗難発生対応処理が実行されるようになっているため、例えば、正規のキーが盗まれて車両が盗難された場合のように、車両に設置された振動センサやドアセンサ等が機能しないようなケースでも盗難発生対応処理が実行され、上述した効果を得ることができる。
【0055】
また、セキュリティコントローラ31との通信が途切れた際にも盗難発生対応処理が実行されるため、ナビゲーション装置20だけが盗難された場合にも、その後ナビゲーション装置20が使用されれば、上述した各処理が実行され、上述した効果を得ることができる。
【0056】
[他の実施形態]
以下、他の実施形態について説明する。
(イ)上記実施形態では、自動ナンバー読取装置が設置された道路を優先して経路を算出させたり、自動ナンバー読取装置が設置された道路を強調表示させるようになっていたが、このような対象は、自動ナンバー読取装置が設置された道路に限らない。例えば、警察署、検問所、料金所、検札所等が存在する道路を対象にしてもよい。
【0057】
また、このような対象については、外部通信機24を介して、ナビゲーション装置20の所有者等が指定可能なようになっていてもよい。このようになっていれば、より上述した効果を発揮しやすい。
【0058】
(ロ)上記実施形態では、自動ナンバー読取装置が設置された道路を優先して算出した案内経路の情報や、道路を強調表示させる理由となった自動ナンバー読取装置の設置位置に関する情報を所定のサーバ装置へ送信するようになっていたが、さらに、その自動ナンバー読取装置の設置された場所を通る予想時間についても所定のサーバ装置へ送信するようになっていてもよい。このようになっていれば、窃盗された車両がその場所を通る時間が予めわかり、より盗難車両等の発見が容易となる。
【0059】
[特許請求の範囲の用語等との対応]
上記実施形態の用語と特許請求の範囲に記載の用語との対応を示す。位置検出器21が位置情報取得手段に相当し、地図データ入力器25が地図情報入力手段に相当し、表示部26が表示手段に相当し、表示部26および音声出力部27が案内手段に相当する。また、制御部29が経路算出手段および表示制御手段に相当し、外部通信機24および車内LAN通信装置30が盗難発生信号入力手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】盗難発生対応処理を説明するためのフローチャートである。
【図3】経路算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】地図表示処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】本実施形態の効果を説明するための図である。
【符号の説明】
【0061】
20…ナビゲーション装置、21…位置検出器、21a…GPS受信機、21b…ジャイロスコープ、21c…距離センサ、22…操作スイッチ群、23a…リモコン、23b…リモコンセンサ、24…外部通信機、25…地図データ入力器、26…表示部、27…音声出力部、28…マイクロフォン、29…制御部、30…車内LAN通信装置、31…セキュリティコントローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
盗難の発生を示す盗難発生信号を入力する盗難発生信号入力手段と、
自己の位置を特定するための位置情報を取得する位置情報取得手段と、
地図情報を入力する地図情報入力手段と、
前記位置情報取得手段が取得した前記位置情報と前記地図情報入力手段が入力した前記地図情報とに基づき経路を算出する経路算出手段と、
前記経路算出手段が算出した前記経路を案内する案内手段と、
を備え、
前記経路算出手段は、前記盗難発生信号入力手段により前記盗難信号が入力されると、前記経路を算出する際、所定のポイントを通る経路を優先的に算出すること、
を特徴とする案内装置。
【請求項2】
請求項1に記載の案内装置において、
さらに、前記盗難発生信号入力手段により前記盗難信号が入力されると、前記経路算出手段が算出した前記経路を通信ネットワークへ出力する経路出力手段、
を備えることを特徴とする案内装置。
【請求項3】
盗難の発生を示す盗難発生信号を入力する盗難発生信号入力手段と、
自己の位置を特定するための位置情報を取得する位置情報取得手段と、
地図情報を入力する地図情報入力手段と、
画像を表示する表示手段と、
前記位置情報入力手段が入力した前記位置情報に基づき前記車両の現在位置を特定し、特定した前記車両の現在位置付近の地図を、前記地図情報入力手段が入力した地図情報に基づいて前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記盗難発生信号入力手段により前記盗難信号が入力されると、前記地図を表示する際、所定のポイントを通る道路を強調して前記表示手段に表示させること、
を特徴とする案内装置。
【請求項4】
請求項3に記載の案内装置において、
前記表示制御手段は、前記強調の方法として、前記所定のポイントを通る道路と略並行する道路を表示させないという強調方法を用いること、
を特徴とする案内装置。
【請求項5】
請求項3に記載の案内装置において、
前記表示制御手段は、前記強調の方法として、前記所定のポイントを通る道路と略並行する道路を混雑表示させるという強調方法を用いること、
を特徴とする案内装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れかに記載の案内装置において、
前記所定のポイントは、当該案内装置が搭載された車両を特定することができる情報を読み取り可能な読取装置が設置された箇所であること、
を特徴とする案内装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項5の何れかに記載の案内装置において、
さらに、通信ネットワークから前記所定のポイントに関する情報を入力するポイント情報入力手段を備えること、
を特徴とする案内装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れかに記載の案内装置において、
前記盗難発生信号入力手段は、通信ネットワークから前記盗難発生信号を入力すること、
を特徴とする案内装置。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1または請求項2を引用する請求項6〜請求項8の何れか記載の案内装置における前記経路算出手段として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピュータを、請求項3〜請求項5の何れかを引用する請求項6〜請求項8の何れか記載の案内装置における前記表示制御手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−177809(P2006−177809A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−372126(P2004−372126)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】