説明

梁材及び梁材使用の鉄骨構造物

【課題】使用する鋼材料の重量を重くすることなく曲げモーメント値を上げ得る梁材を提供する。
【解決手段】下フランジ部11と、下フランジ部の左右側端からコーナ部12を介して上向き直角状に連設した左右一対のウエブ部13と、両ウエブ部の上端からコーナ部14を介してそれぞれ内向き直角状に連設した上フランジ部15からなり、両上フランジ部間に開口部16が形成されている。梁材10は、上端に内向きの上フランジ部を有するU字型枠状に形成したことで、それぞれ左右一対のウエブ部と上フランジ部とによる補強作用によって、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて、使用する鋼材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく強固に形成できるとともに、曲げモーメント値を上げることができ、以て所定(規格)の強度などを十分に確保できる。さらに梁材は、外面を矩形状にしたことで、保管や運搬を整然として容易に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば鉄骨構造物の鋼管柱(支柱)における梁材連結部(パネルゾーン)に連結して使用される梁材及び梁材使用の鉄骨構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の梁材としては、次のような構成が提供されている。すなわち、梁(梁材)としては、上下一対のフランジとウエブ部とからなるI型鋼(H型鋼)が使用されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−111872号公報(第2−3頁、図1)
【特許文献2】特開平5−148894号公報(第2頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した従来構成によると、I型鋼(H型鋼)として、たとえば、フランジ板厚が22mm、ウエブ部板厚が12mm、フランジ幅が250mm、両フランジの外面間の高さが600mmのものを採用したとき、[フランジ板厚>ウエブ部板厚]の構成により、すなわちウエブ部の板厚を薄く形成したことにより、使用材料の重量を軽くしながらも、所定(規格)の強度などを確保できる。
【0004】
しかし、上記した従来構成によると、曲げモーメント値を上げたり、横揺れを少なくするために強度などを向上させようとしたとき、ウエブ部の板厚を厚くするなどしなければならず、使用する鋼材料の重量が重くなって材料コストが高いものになる。
【0005】
そこで本発明の請求項1記載の発明は、使用する鋼材料の重量を重くすることなく曲げモーメント値を上げ得る梁材を提供することを目的としたものである。
また請求項4記載の発明は、梁材の重量を重くすることなく、曲げモーメント値を上げたり、横揺れを少なくし得る梁材使用の鉄骨構造物を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1記載の梁材は、下フランジ部と、この下フランジ部の左右側端からコーナ部を介して上向き直角状に連設した左右一対のウエブ部と、両ウエブ部の上端からコーナ部を介してそれぞれ内向き直角状に連設した上フランジ部とからなり、両上フランジ部間に開口部が形成されていることを特徴としたものである。
【0007】
したがって請求項1の発明によると、梁材は、上端に外向きの上フランジ部を有するU字型枠状に形成したことで、それぞれ左右一対のウエブ部と上フランジ部とによる補強作用によって、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて、使用する鋼材料の重量を重くすることなく形成し得るとともに、曲げモーメント値を上げ得る。
【0008】
また本発明の請求項2記載の梁材は、上記した請求項1記載の構成において、フランジ部の板厚に対して、ウエブ部の板厚を等厚状もしくは薄く形成していることを特徴としたものである。
【0009】
したがって請求項2の発明によると、上端に内向きの上フランジ部を有するU字型枠状の梁材を、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて、使用する鋼材料の重量を重くすることなく好適に形成し得る。
【0010】
そして本発明の請求項3記載の梁材は、上記した請求項1または2記載の構成において、左右のウエブ部の外面間の幅外寸に対して、上下のフランジ部の外面間の高さ外寸を同等状もしくは長く形成したことを特徴としたものである。
【0011】
したがって請求項3の発明によると、梁材を、上下方向で長い長方形状のU字型枠状に形成し得ることで、曲げモーメント値をより一層上げ得る。
さらに本発明の請求項4記載の梁材使用の鉄骨構造物は、梁材を、下フランジ部と、この下フランジ部の左右側端からコーナ部を介して上向き直角状に連設した左右一対のウエブ部と、両ウエブ部の上端からコーナ部を介してそれぞれ内向き直角状に連設した上フランジ部とにより、上端に内向きの上フランジ部を有するとともに、両上フランジ部の内端間に開口部を有するU字型枠状に形成し、この梁材の端部を鋼管柱の梁材連結部に連結して構成したことを特徴としたものである。
【0012】
したがって請求項4の発明によると、鉄骨構造物は、上端に内向きの上フランジ部を有し、それぞれ左右一対のウエブ部と上フランジ部とにより補強されたU字型枠状の梁材を使用することで、I型鋼(H型鋼)の梁材を使用した形式に比べて、使用する鋼材料の重量を重くすることなく構成し得るとともに、曲げモーメント値を上げ得て所定(規格)の強度などを確保し得、さらに横揺れを少なくした構成とし得る。
【0013】
しかも本発明の請求項5記載の梁材使用の鉄骨構造物は、上記した請求項4記載の構成において、梁材連結部に対して梁材を溶接結合により連結し、梁材の遊端間を、ブラケットと連結具とを介して連結したことを特徴としたものである。
【0014】
したがって請求項5の発明によると、梁材連結部に対する梁材の連結は、溶接結合により強固にかつ確実に行え、また梁材の長さ方向での連結は、隣接した梁材間に亘ってブラケットを当接させ、そしてブラケットから梁材に亘って連結具を結合作用させることで行える。
【0015】
また本発明の請求項6記載の梁材使用の鉄骨構造物は、上記した請求項4または5記載の構成において、開口部を通して、梁材の凹所内にコンクリートを打設したことを特徴としたものである。
【0016】
したがって請求項6の発明によると、梁材の内部空間を利用してコンクリートを打設することで、強度などをより一層向上し得るとともに、耐火効果を期待し得、またコンクリートの打設は開口部を通して容易に行える。
【発明の効果】
【0017】
上記した本発明の請求項1によると、梁材は、上端に内向きの上フランジ部を有するU字型枠状に形成したことで、それぞれ左右一対のウエブ部と上フランジ部とによる補強作用によって、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて、使用する鋼材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく強固に形成できるとともに、曲げモーメント値を上げることができ、以て所定(規格)の強度などを十分に確保できる。さらに梁材は、外面を矩形状にしたことで、保管や運搬を整然として容易に行うことができる。
【0018】
また上記した本発明の請求項2によると、上端に内向きの上フランジ部を有するU字型枠状の梁材を、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて、使用する鋼材料の重量を重くすることなく好適に形成できる。
【0019】
そして上記した本発明の請求項3によると、梁材を、上下方向で長い長方形状のU字型枠状に形成できることで、曲げモーメント値をより一層上げることができる。
さらに上記した本発明の請求項4によると、鉄骨構造物は、上端に内向きの上フランジ部を有し、それぞれ左右一対のウエブ部と上フランジ部とにより補強されたU字型枠状の梁材を使用することで、I型鋼(H型鋼)の梁材を使用した形式に比べて、使用する鋼材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく強固に構成できるとともに、曲げモーメント値を上げ得て所定(規格)の強度などを十分に確保でき、さらに横揺れを少なくした構成にできる。
【0020】
しかも上記した本発明の請求項5によると、梁材連結部に対する梁材の連結は、溶接結合により強固にかつ確実に行うことができ、さらに梁材の長さ方向での連結は、隣接した梁材間に亘ってブラケットを当接させ、そしてブラケットから梁材に亘って連結具を結合作用させることで、強固にかつ確実に行うことができる。
【0021】
また上記した本発明の請求項6によると、梁材の内部空間を利用してコンクリートを打設することで、強度などをより一層向上できるとともに、耐火効果を期待でき、またコンクリートの打設は開口部を通して容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[実施の形態1]
以下に、本発明の実施の形態1を、図1〜図6に基づいて説明する。
図1、図2に示すように、梁材10は鋼板製であって、下フランジ部11と、この下フランジ部11の左右側端からコーナ部12を介して上向き直角状に連設した左右一対のウエブ部13と、両ウエブ部13の上端からそれぞれコーナ部14を介して内向き直角状に連設した上フランジ部15と、両上フランジ部15の内端間に形成した開口部16とにより、上面側と長さ方向の両端側とが開放された凹所17を内部に有し、かつ上端に内向きの上フランジ部15を有するU字型枠状に形成されている。その際に4箇所のコーナ部12,14は、外面R状の曲率半径で曲げ成形されている。
【0023】
ここで梁材10は、左右の上フランジ部15の板厚Tに対して下フランジ部11の板厚Tが等厚状もしくは薄く[T≧T]形成されるとともに、上下のフランジ部15,11の板厚T,Tに対してウエブ部13の板厚tが等厚状もしくは薄く[T≧T≧t]形成されている。そして梁材10は、左右の上フランジ部15の幅Wが同等状[W≒W]に形成されるとともに、両上フランジ部15の幅Wの加算値に対して下フランジ部11の幅Wが同等状もしくは長く[W+W≦W]に形成されている。さらに、左右のウエブ部13の外面間の幅外寸に相当する下フランジ部11の幅Wに対して、上下のフランジ部15,11の外面間の高さ外寸Hが同等状もしくは長く[W+W≦W≦H]形成されている。
【0024】
このような梁材10としては、たとえば、ウエブ部13の板厚tが6mm〜22mm、フランジ部11,15の板厚T,Tが9mm〜40mm、両上フランジ部15の幅Wの加算値[W+W]や両長尺ウエブ部13の外面間の幅外寸Wが100mm〜500mm、上下のフランジ部15,11の外面間の高さ外寸Hが200mm〜1000mmに形成されている。これにより、フランジ部11,15の板厚T,Tである9mm〜40mmに対して、ウエブ部13の板厚tが6mm〜22mmと等厚状もしくは薄く形成され、そして幅外寸Wの100mm〜500mmに対して高さ外寸Hの200mm〜1000mmが同等状もしくは長く形成されることになる。
【0025】
なお図2に示す梁材10の一例としては、ウエブ部13の板厚tが6mm、フランジ部11,15の板厚T,Tが16mm、両ウエブ部13の外面間の幅外寸Wが200mm、両上フランジ部15の幅Wが50mm、上下のフランジ部15,11の外面間の高さ外寸Hが400mmに形成されている。
【0026】
上述したような梁材10は、上端に内向きの上フランジ部15を有するU字型枠状に形成したことで、それぞれ左右一対のウエブ部13と上フランジ部15とによる補強作用によって、I型鋼(H型鋼)の形式に比べて、使用する鋼材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく強固に形成し得るとともに、曲げモーメント値を上げ得る。さらに梁材10は、外面を矩形状にしたことで、保管や運搬を整然として容易に行える。
【0027】
このように構成された梁材10は鉄骨構造物の一部として使用される。すなわち図3〜図5に示すように、鉄骨構造物1は、四角形状の鋼管柱2と、この鋼管柱2の梁材連結部(パネルゾーン)に連結した梁材10などで構成される。前記鋼管柱2は、長尺角形鋼管(長尺の支柱)3と、短尺の梁材連結用角形鋼管(梁材連結部)4とによって構成され、以て鋼管柱2は、その長さ方向において長尺角形鋼管3群と梁材連結用角形鋼管4群とに切断(分断)されている。
【0028】
そして下部の長尺角形鋼管3の上端に、梁材連結用角形鋼管4の下端が突き合せ方式により溶接結合5aされるとともに、梁材連結用角形鋼管4の上端に、上部の長尺角形鋼管3の下端が溶接結合5aされる。なお、溶接結合5aを行う際に、長尺角形鋼管3の内面側に裏当て材6が介在される。このようにして形成された鋼管柱2に対する梁材10の連結は、この梁材10の端部(遊端)を梁材連結用角形鋼管4に対して溶接結合5bすることで行われ、この溶接結合5bを行う際にも必要に応じて裏当て材が介在される。なお、長尺角形鋼管3に溶接結合される前の梁材連結用角形鋼管4に対して、短尺の梁材10が予め溶接結合5bされていてもよい。
【0029】
また梁材10の遊端間の連結、すなわち短尺の梁材10の遊端に対して、所定長さの梁材10の長さ方向での連結は、長さ方向で隣接したウエブ部13の外面間に亘って鋼板状のブラケット7Aを当接させるとともに、ブラケット7Aからウエブ部13に亘って連結具8Aを結合作用させ、そして、長さ方向で隣接した下フランジ部11の外面間に亘って鋼板状のブラケット7Bを当接させるとともに、ブラケット7Bから下フランジ部11に亘って連結具8Bを結合作用させ、また、長さ方向で隣接した上フランジ部15の上面間に亘って鋼板状のブラケット7Cを当接させるとともに、ブラケット7Cから上フランジ部15に亘って連結具8Cを結合作用させることで行える。
【0030】
なお、連結具8A,8B,8Cによる結合としては、ブラケット7Aからウエブ部13に亘って、またはブラケット7Bから下フランジ部11に亘って、またはブラケット7Cから上フランジ部15に亘って、それぞれ形成された貫通孔間に通したのち操作することで内端部分が拡径されるアンカー式ボルト、ワンサイドボルト、小径の貫通孔間にねじ込まれる螺合式ボルト、リベットなどが採用される。
【0031】
このように構成された鉄骨構造物1は、上端に内向きの上フランジ部15を有し、それぞれ左右一対のウエブ部13と上フランジ部15とにより補強補強されたU字型枠状の梁材10が使用されていることで、I型鋼(H型鋼)の梁材が使用された形式に比べて、使用する鋼材料の重量を重くすることなく、すなわち材料コストを上げることなく構成し得るとともに、曲げモーメント値を上げ得て所定(規格)の強度などを十分に確保し得、さらに横揺れを少なくした構成とし得る。さらに梁材10が、上下方向で長い長方形状のU字型枠状に形成されていることで、曲げモーメント値をより一層上げ得る。
【0032】
しかも、梁材連結用角形鋼管4に対する梁材10の連結は、溶接結合5bにより強固にかつ確実に行え、さらに梁材10の長さ方向での連結は、隣接した梁材10間に亘ってブラケット7A〜7Cを当接させ、そしてブラケット7A〜7Cから梁材10に亘って連結具8A〜8Cを結合作用させることで、強固にかつ確実に行える。
【0033】
そして梁材10を鉄骨構造物1に使用するとき、図4の仮想線で示すように、開口部16を通して、梁材10の内部空間である凹所17内に、鉄筋FとコンクリートCとからなる鉄筋コンクリートFCが打設されている。さらに、鉄骨構造物1に対して波型鋼板状の床体Eが施工される。すなわち、床体Eは上フランジ部15間に亘って載置され、その上面側には鉄筋コンクリートFCからなる床層(スラブ)が形成されている。なお上フランジ部15上にはスタットボルトBが設けられている。
【0034】
このように梁材10としては、内部空間である凹所17を利用して鉄筋コンクリートFCを打設したことで、強度などをより一層向上し得、以て左右のウエブ部13の板厚tをより薄くして、使用材料の重量を重くすることなく形成しながらも、十分な強度を確保し得るとともに、耐火効果を期待し得、また鉄筋コンクリートFCの打設は開口部16を通して容易に行える。
【0035】
なお、上述した梁材10を製造するに、たとえば図6に示す鋼板20が準備され、この鋼板20は、所定幅Wでかつ所定長さLとされている。ここで鋼板20は、幅方向において、中央部分と両側部分とが厚肉鋼板部21,25で、残部が薄肉鋼板部23として形成されている。このような鋼板20を、ロール式やプレス式など適宜の成形手段により熱間成形または冷間成形することで、上述した梁材10が得られる。その際に、中央部分の厚肉鋼板部21により下フランジ部11が形成され、中間の2箇所の薄肉鋼板部23によりウエブ部13が形成され、両側部分の厚肉鋼板部25により上フランジ部15が形成される。
【0036】
その際に熱間成形からなる梁材10は、鋼板20を、たとえば加熱炉などの加熱手段に通して、所定温度の一例であるA変態点(たとえば850〜1050℃)の近辺(前後)にまで全体加熱したのち、熱間成形することで得られる。なお、加熱手段に通しての全体加熱を、所定温度の一例であるA変態点(たとえば850〜1050℃)の近辺(前後)としているが、加熱手段による加熱温度は任意に設定されるものである。また、製作された梁材10は、必要に応じて、図示していない矯正装置、先端切断装置、後端切断装置、洗浄装置、防錆装置へと搬送され、それぞれで処理される。
【0037】
このように各コーナ部を含めて熱間成形した梁材10は、残留応力の除去と靭性の回復とを図り、捩れ、曲がり、変形が殆ど生じない均質なものにし得るとともに、これらの梁材10は能率よく安価に得られ、以て鉄骨構造物1を大幅なコストダウンで構成し得ることになる。なお、鋼管柱2を構成する長尺角形鋼管3と梁材連結用角形鋼管4としては、両方とも熱間成形鋼管を使用した形式、両方とも冷間成形鋼管を使用した形式、いずれか一方を熱間成形鋼管とし、他方を冷間成形鋼管とした形式であってもよい。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2を図7に基づいて説明する。
【0038】
すなわち、ウエブ部13の板厚Tがフランジ部11,15の板厚T,Tと等厚状[T≧T≒T]に形成されている。この実施の形態2の梁材10によると、等厚状の鋼鈑を適宜の成形手段により熱間成形または冷間成形することで得られることから、その曲げ成形は容易となる。
【0039】
上記した実施の形態1においては、梁材10の凹所17内に鉄筋コンクリートFCが打設された形式が示されているが、これは凹所17内にコンクリートCのみが打設された形式や、鉄筋コンクリートFCやコンクリートCのいずれも打設されない形式などであってもよい。
【0040】
上記した実施の形態1、2では、梁材10として、左右のウエブ部13の外面間の幅外寸Wよりも、上下のフランジ部15,11の外面間の高さ外寸Hが長く[W<H]形成され、以て上下方向に長い長方形状のU字型枠状に形成されているが、これは[W>H]として幅方向に長い長方形状のU字型枠状に形成されたものや、[W≒H]として正方形状のU字型枠状に形成されたものであってもよい。
【0041】
上記した実施の形態1では、鋼管柱2として、長尺角形鋼管3群と梁材連結用角形鋼管4群とを溶接結合5aした形式が示されているが、これは鋼管柱2として1本ものを使用した形式などであってもよい。
【0042】
上記した実施の形態1では、鋼管柱2の梁材連結用角形鋼管(梁材連結部)4に、梁材10を溶接結合5bしているが、これは連結具を介して連結する形式などであってもよい。
【0043】
上記した実施の形態1では、梁材10の遊端間を、ブラケット7A〜7Cと連結具8A〜8Cとを介して連結した形式が示されているが、これは溶接結合した形式などであってもよい。
【0044】
上記した実施の形態1では、鉄骨構造物1の鋼管柱2として角形鋼管の形式が示されているが、これは鋼管柱が丸形鋼管の形式などであってもよい。
上記した実施の形態1は、梁材10として、鉄骨構造物1の鋼管柱2に連結して使用した形式が示されているが、これは横断歩道橋や橋梁など、建築以外の構造物にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態1を示し、梁材の要部の斜視図である。
【図2】同梁材の正面図である。
【図3】同梁材使用の鉄骨構造物の一部切り欠き斜視図である。
【図4】同梁材使用の鉄骨構造物の要部の一部切り欠き正面図である。
【図5】同梁材使用の鉄骨構造物の要部の一部切り欠き平面図である。
【図6】同梁材の製造に使用される鋼板の一部切り欠き斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態2を示し、梁材の正面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 鉄骨構造物
2 鋼管柱
3 長尺角形鋼管
4 梁材連結用角形鋼管(梁材連結部)
5b 溶接結合
7A ブラケット
7B ブラケット
7C ブラケット
8A 連結具
8B 連結具
8C 連結具
10 梁材
11 下フランジ部
12 コーナ部
13 ウエブ部
14 コーナ部
15 上フランジ部
16 開口部
17 凹所
20 鋼板
t ウエブ部の板厚
下フランジ部の板厚
上フランジ部の板厚
ウエブ部の板厚
下フランジ部の幅(ウエブ部の外面間の幅外寸)
上フランジ部の幅
H 上下のフランジ部の外面間の高さ外寸
FC 鉄筋コンクリート
C コンクリート
E 床体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下フランジ部と、この下フランジ部の左右側端からコーナ部を介して上向き直角状に連設した左右一対のウエブ部と、両ウエブ部の上端からコーナ部を介してそれぞれ内向き直角状に連設した上フランジ部とからなり、両上フランジ部間に開口部が形成されていることを特徴とする梁材。
【請求項2】
フランジ部の板厚に対して、ウエブ部の板厚を等厚状もしくは薄く形成していることを特徴とする請求項1記載の梁材。
【請求項3】
左右のウエブ部の外面間の幅外寸に対して、上下のフランジ部の外面間の高さ外寸を同等状もしくは長く形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の梁材。
【請求項4】
梁材を、下フランジ部と、この下フランジ部の左右側端からコーナ部を介して上向き直角状に連設した左右一対のウエブ部と、両ウエブ部の上端からコーナ部を介してそれぞれ内向き直角状に連設した上フランジ部とにより、上端に内向きの上フランジ部を有するとともに、両上フランジ部の内端間に開口部を有するU字型枠状に形成し、この梁材の端部を鋼管柱の梁材連結部に連結して構成したことを特徴とする梁材使用の鉄骨構造物。
【請求項5】
梁材連結部に対して梁材を溶接結合により連結し、梁材の遊端間を、ブラケットと連結具とを介して連結したことを特徴とする請求項4記載の梁材使用の鉄骨構造物。
【請求項6】
開口部を通して、梁材の凹所内にコンクリートを打設したことを特徴とする請求項4または5記載の梁材使用の鉄骨構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−25200(P2008−25200A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−198822(P2006−198822)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(000110446)ナカジマ鋼管株式会社 (37)
【Fターム(参考)】