説明

梱包体

【課題】 大きな被梱包物と小さな被梱包物とを含む複数の被梱包物を1つの梱包箱内にがたつかないようにして収容させると共に、梱包箱内から梱包物を容易に取り出せるようにする。
【解決手段】 大きな被梱包物10Aと小さな被梱包物10Bとを含む複数の被梱包物を1つの梱包箱3内に収容させた梱包体において、上記の各被梱包物の長手方向両端部にそれぞれ緩衝材20,30を装着させるにあたり、各被梱包物の長手方向両端部に装着させる各緩衝材の高さh及び各被梱包物の長手方向両端部に各緩衝材を装着させた状態での長手方向の長さLを一定にして、各被梱包物を梱包箱内に収容させると共に、小さな被梱包物の両端部に装着させる緩衝材30に把持用空間部32を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の被梱包物を1つの梱包箱内に収容させるようにした梱包体に係り、大きな被梱包物と小さな被梱包物とを含む複数の被梱包物を1つの梱包箱内にがたつかないようにして収容させると共に、梱包箱内から梱包物を容易に取り出せるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置に用いる各種のユニットやカートリッジなどの被梱包物を段ボールなどで構成された梱包箱内に収容させて、運搬したり、保管したりすることが行われている。
【0003】
そして、各種のユニットやカートリッジなどの被梱包物を梱包箱内に収容させるにあたっては、被梱包物に衝撃が加わって被梱包物が破損したり、故障したりするのを防止するため、この被梱包物を収容させる梱包箱内に荷物用緩衝材を配置させ、この荷物用緩衝材によって被梱包物に加わる衝撃を緩和させることが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
ここで、従来のものにおいては、上記のように梱包箱内に荷物用緩衝材を配置させて被梱包物を収容させるにあたっては、1つの被梱包物を個別に梱包箱内に収容させるようにしており、複数の被梱包物をまとめて1つの梱包箱内に収容させるようにはなっていなかった。
【0005】
一方、近年においては、フルカラーの画像形成が行えるようになった画像形成装置が多く用いられるようになり、このようなフルカラーの画像形成装置においては、トナーを収容させたイメージングカートリッジとして、黒色,黄色,マゼンタ色,シアン色のトナーをそれぞれ個別に収容させた複数のイメージングカートリッジが使用されるようになっている。
【0006】
このため、このように各色彩のトナーを収容させた複数のイメージングカートリッジをまとめて1つの梱包箱内に収容させて、運搬したり、保管したりすることが行われている。
【0007】
ここで、このように各色彩のトナーを収容させた複数のイメージングカートリッジをまとめて1つの梱包箱内に収容させるにあたっては、一般に図1に示すように、イメージングカートリッジ1の長手方向の両側の端部をそれぞれ緩衝材2の装着凹部2a内に挿入させるようにして、イメージングカートリッジ1の長手方向の両端部に緩衝材2を装着させ、図2に示すように、このように緩衝材2を長手方向の両端部に装着させた各イメージングカートリッジ1を、1つの梱包箱3内に収容させるようにしている。
【0008】
そして、このように各イメージングカートリッジ1を梱包箱3内に収容させるにあたっては、各イメージングカートリッジ1が梱包箱3内においてがたつかないようにするため、各イメージングカートリッジ1を梱包箱3内に密接させるようにしている。
【0009】
しかし、このように各イメージングカートリッジ1を梱包箱3内に密接させるようにして収容させると、各イメージングカートリッジ1を梱包箱3内から取り出すことが困難になるという問題があった。
【0010】
また、最近においては、上記のようなフルカラーの画像形成装置においても、モノクロ画像の形成によって黒色のトナーが多く消費されるため、黒色のトナーを収容させたイメージングカートリッジの大きさを、他の色彩のトナーを収容させたイメージングカートリッジよりも大きくして、多くの黒色のトナーを収容させることが行われている。
【0011】
しかし、このように黒色のトナーを収容させたイメージングカートリッジを、他の色彩のトナーを収容させたイメージングカートリッジよりも大きくさせた場合、全てのイメージングカートリッジを上記のようにして1つの梱包箱内に収容させることが困難になり、例えば、黒色のトナーを収容させた大きなイメージングカートリッジに対応させた梱包箱内に他の色彩のトナーを収容させたイメージングカートリッジを一緒に収容させた場合、運搬時などに、他の色彩のトナーを収容させたイメージングカートリッジが梱包箱内において大きく振動して、イメージングカートリッジが破損したり、故障したりするという問題があった。
【特許文献1】特開2004−205793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、複数の被梱包物を1つの梱包箱内に収容させる場合における上記のような様々な問題を解決することを課題とするものであり、大きな被梱包物と小さな被梱包物とを含む複数の被梱包物を1つの梱包箱内にがたつかないようにして収容させると共に、梱包箱内から梱包物を容易に取り出せるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明においては、上記のような課題を解決するため、大きな被梱包物と小さな被梱包物とを含む複数の被梱包物を1つの梱包箱内に収容させた梱包体において、上記の各被梱包物の長手方向両端部にそれぞれ緩衝材を装着させるにあたり、各被梱包物の長手方向両端部に装着させる緩衝材の高さ及び各被梱包物の長手方向両端部に各緩衝材を装着させた状態での長手方向の長さを一定にして、各被梱包物を梱包箱内に収容させると共に、小さな被梱包物の両端部に装着させる緩衝材に把持用空間部を形成するようにしたのである。
【0014】
ここで、上記のようにして複数の被梱包物を1つの梱包箱内に収容させるにあたっては、上面が開閉される梱包箱を用いると共に、上記の小さな被梱包物の両端部に装着させる緩衝材の上面部に把持用空間部を形成することが好ましい。
【0015】
そして、上記の被梱包物としては、例えば、トナーを収容させたイメージングカートリッジが用いられ、大きな被梱包物としては、黒色のトナーを収容させたイメージングカートリッジが、小さな被梱包物としては、他の色彩のトナーを収容させたイメージングカートリッジが用いられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明における梱包体においては、大きな被梱包物と小さな被梱包物とを含む複数の被梱包物を1つの梱包箱内に収容させるにあたり、各被梱包物の長手方向両端部に装着させる緩衝材の高さ及び各被梱包物の長手方向両端部に各緩衝材を装着させた状態での長手方向の長さを一定にして、各被梱包物を梱包箱内に収容させるようにしたため、従来のように、運搬時などに小さな被梱包物が梱包箱内においてがたついて大きく振動するということがなく、小さな被梱包物が破損したり、故障したりするのが防止される。
【0017】
また、本発明における梱包体においては、小さな被梱包物の両端部に装着させる緩衝材に把持用空間部を形成するようにしたため、各被梱包物を梱包箱内において密接させるようにして収容させた場合においても、緩衝材に形成された上記の把持用空間部を持って小さな被梱包物を梱包箱内から簡単に取り出すことができると共に、このように小さな被梱包物を梱包箱内から取り出した後は、大きな被梱包物を梱包箱内から簡単に取り出すことができるようになる。
【0018】
また、上面が開閉される梱包箱を用いると共に、小さな被梱包物の両端部に装着させる緩衝材の上面部に把持用空間部を形成すると、開放された梱包箱の上面から、緩衝材の上面部に形成された把持用空間部を持って小さな被梱包物を簡単に取り出すことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、この発明の実施形態に係る梱包体を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この発明に係る梱包体は、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0020】
この実施形態における梱包体においては、被梱包物として、トナーを収容させたイメージングカートリッジを用い、図3に示すように、大きな被梱包物10Aとして、黒色のトナーを収容させたイメージングカートリッジを用いる一方、小さな被梱包物10Bとして、黄色,マゼンタ色,シアン色の各トナーを収容させた3つのイメージングカートリッジを用いている。
【0021】
そして、図4に示すように、上記の大きな被梱包物10Aの長手方向の両側の端部をそれぞれ第1緩衝材20の装着凹部21内に挿入させるようにして、大きな被梱包物10Aの長手方向の両端部に第1緩衝材20を装着させるようにしている。
【0022】
また、図5に示すように、上記の小さな被梱包物10Bの長手方向の両側の端部をそれぞれ第2緩衝材30の装着凹部31内に挿入させるようにして、小さな被梱包物10Bの長手方向の両端部に第2緩衝材30を装着させると共に、各第2緩衝材30の上面部に把持用空間部32を形成するようにしている。
【0023】
ここで、上記の第1緩衝材20と第2緩衝材30としては、図4及び図5に示すように、それぞれ底面から上面までの高さhが同じ高さのものを用い、また上記のように大きな被梱包物10Aの長手方向の両端部に第1緩衝材20を装着させた状態と、小さな被梱包物10Bの長手方向の両端部に第2緩衝材30を装着させた状態とにおいて、それぞれ長手方向全体の長さLが同じ長さになるようにしている。
【0024】
そして、上記のように長手方向の両端部に第1緩衝材20が装着された1つの大きな被梱包物10Aと、長手方向の両端部に第2緩衝材30が装着された3つの小さな被梱包物10Bとを、図6に示すように、長さ及び高さを揃えるようにして配列させ、このように1つの大きな被梱包物10Aと3つの小さな被梱包物10Bとを配列させた状態で、これらを、図7に示すように、上面に蓋3aが設けられた1つの梱包箱3内に収容させ、その後、この梱包箱3の蓋3aを閉じるようにする。
【0025】
このようにすると、梱包箱3内に収容された1つの大きな被梱包物10Aの長手方向の両端部に装着された第1緩衝材20と、3つの小さな被梱包物10Bとの長手方向の両端部に装着された第2緩衝材30とが梱包箱3の内壁面に密接されると共に、図8及び図9に示すように、上記の第1緩衝材20の上面と第2緩衝材30の上面とがそれぞれ梱包箱3の蓋3aに密接し、1つの大きな被梱包物10Aと3つの小さな被梱包物10Bとがそれぞれ梱包箱3内においてがたつかないように収容されると共に、上記の第1緩衝材20及び第2緩衝材30によって上記の大きな被梱包物10Aや小さな被梱包物10Bに加わる衝撃が緩和されるようになる。
【0026】
また、このように収容させた1つの大きな被梱包物10Aと3つの小さな被梱包物10Bとを梱包箱3内から取り出すにあたっては、前記の図7に示すように、上記の梱包箱3の上面における蓋3aを開け、小さな被梱包物10Bの長手方向の両端部に装着された上記の第2緩衝材30の上面部に設けられている把持用空間部32を持って、小さな被梱包物10Bを梱包箱3内から取り出し、このようにして3つの小さな被梱包物10Bを梱包箱3内から取り出した後、長手方向の両端部に第1緩衝材20が装着された大きな被梱包物10Aを取り出すようにする。
【0027】
このようにすると、梱包箱3内から3つの小さな被梱包物10Bと1つの大きな被梱包物10Aとを簡単に取り出すことができるようになる。
【0028】
なお、この実施形態においては、1つの大きな被梱包物10Aと3つの小さな被梱包物10Bとを梱包箱3内に収容させるようにしたが、これらの数は特に限定されず、例えば、2つの大きな被梱包物10Aと2つの小さな被梱包物10Bとを梱包箱3内に収容させるようにすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】イメージングカートリッジの長手方向両端部に緩衝材を装着させた状態を示した従来例の概略断面図である。
【図2】長手方向両端部に緩衝材を装着させた同じ大きさの4つのイメージングカートリッジを梱包箱内に収容させた状態を示した従来例の断面説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る梱包体において、梱包箱内に収容させる1つの大きな被梱包物と3つの小さな被梱包物とを示した概略平面図である。
【図4】同実施形態に係る梱包体において、大きな被梱包物の長手方向両端部に第1緩衝材を装着させた状態を示した概略断面図である。
【図5】同実施形態に係る梱包体において、小さな被梱包物の長手方向両端部に第2緩衝材を装着させた状態を示した概略断面図である。
【図6】同実施形態に係る梱包体において、長手方向両端部に第1緩衝材が装着された1つの大きな被梱包物と長手方向両端部に第2緩衝材が装着された3つの小さな被梱包物とを長さ及び高さを揃えるように配列させた状態を示した概略斜視図である。
【図7】同実施形態に係る梱包体において、長手方向両端部に第1緩衝材が装着された1つの大きな被梱包物と長手方向両端部に第2緩衝材が装着された3つの小さな被梱包物とを梱包箱内に収容させた状態を示した概略平面図である。
【図8】同実施形態に係る梱包体において、長手方向両端部に第1緩衝材が装着された大きな被梱包物が梱包箱内に収容されている状態を示した概略断面図である。
【図9】同実施形態に係る梱包体において、長手方向両端部に第2緩衝材が装着された小さな被梱包物が梱包箱内に収容されている状態を示した概略断面図である。
【符号の説明】
【0030】
2 被梱包物
3 梱包箱
3a 蓋
10A 大きな被梱包物
10B 小さな被梱包物
20 第1緩衝材
21 装着凹部
30 第2緩衝材
31 装着凹部
32 把持用空間部
h 緩衝材の底面から上面までの高さ
L 被梱包物の両端部に緩衝材を装着させた状態での長手方向の長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大きな被梱包物と小さな被梱包物とを含む複数の被梱包物を1つの梱包箱内に収容させた梱包体において、上記の各被梱包物の長手方向両端部にそれぞれ緩衝材を装着させるにあたり、各被梱包物の長手方向両端部に装着させる緩衝材の高さ及び各被梱包物の長手方向両端部に各緩衝材を装着させた状態での長手方向の長さを一定にして、各被梱包物を梱包箱内に収容させると共に、小さな被梱包物の両端部に装着させる緩衝材に把持用空間部を形成したことを特徴とする梱包体。
【請求項2】
請求項1に記載の梱包体において、上面が開閉される梱包箱を用い、上記の小さな被梱包物の両端部に装着させる緩衝材の上面部に把持用空間部を形成したことを特徴とする梱包体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の梱包体において、上記の被梱包物がトナーを収容させたイメージングカートリッジで、大きな被梱包物が黒色のトナーを収容させたイメージングカートリッジであり、小さな被梱包物が他の色彩のトナーを収容させたイメージングカートリッジであることを特徴とする梱包体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−184198(P2008−184198A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−20661(P2007−20661)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】