説明

梱包体

【課題】輸送先における商品陳列作業を省略でき、しかも部材点数を極力少なくしつつ、梱包箱内における商品の移動を効果的に規制可能な梱包体を提供する。
【解決手段】ハンガー部材2に商品Gを引っ掛けた状態で、陳列用台紙3とともに商品Gを収容する梱包箱10を備えた梱包体1であって、梱包箱10内における商品Gの移動を規制する移動規制手段20として、第1仕切り部材21と第2仕切り部材22とを設け、第1仕切り部材21に、梱包箱10の高さ方向への商品Gの移動を規制する押え部21cと、梱包箱10の前後方向への商品Gの移動を規制する1対の縦壁部21aとを形成し、第2仕切り部材22に、その両側に配置される商品Gの側方への移動を規制する1対の縦壁部22aを形成するとともに、該縦壁部22aに、第1仕切り部材21に上側から嵌合する嵌合切欠部22cを形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンガー部材を突出状に設けた陳列用台紙と、それに陳列する複数の商品とを梱包箱に収容してなる梱包体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
商店等における商品の陳列方法として、複数のハンガー部材を突出状に設けた陳列用台紙を壁等に吊り下げて、該陳列用台紙のハンガー部材に商品を引っ掛けて、商品を陳列する陳列方法が広く採用されている。
【0003】
ところで、前述のような陳列用台紙及び商品を店舗へ輸送する際には、梱包箱に陳列用台紙を収納し、隣接するハンガー部材間やハンガー部材と梱包箱の側壁間の隙間に商品を装填して輸送する方法が一般的に採用されている。
【0004】
ところが、このように梱包して陳列用台紙及び商品を輸送する場合には、各店舗において、輸送された梱包箱を開いて、梱包箱から陳列用台紙及び商品を取り出し、陳列用台紙のハンガー部材に商品を順次引っ掛けて陳列する必要があり、各店舗における商品の陳列作業が煩雑になるという問題があった。
【0005】
そこで、梱包箱に組立可能な陳列用台紙を用い、該陳列用台紙のフックに商品を引っ掛けた状態で、該陳列用台紙を梱包箱に組み立てて、商品を梱包可能となした梱包箱兼用フック板が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−1225号公報
【特許文献2】実開昭58−171819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1、2に記載の発明では、予めフックに吊り下げられた状態で陳列用台紙に商品が梱包されているので、梱包箱を展開して、これをそのまま吊り下げることで、商品を陳列することができ、陳列用台紙のフックに商品を引っ掛けて陳列するという、各店舗における煩雑な作業が不要となる。しかし、梱包状態における商品の移動は、フックとの係合のみにより規制されているので、輸送時の振動で、商品がフックから脱落したり、商品の引っ掛け孔やフックが破損したり、商品と陳列用台紙との接触や商品同士の接触により、商品の表面が傷ついたりするという問題の発生が懸念される。また、陳列用台紙が梱包箱を兼ねているので、輸送時に梱包箱が傷つくと、これを陳列用台紙として使用できなくなることも考えられる。
【0008】
本発明の目的は、輸送先における商品陳列作業を省略でき、しかも部材点数を極力少なくしつつ、梱包箱内における商品の移動を効果的に規制可能な梱包体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る梱包体は、複数のハンガー部材を突出状に設けた陳列用台紙と、陳列用台紙に陳列される商品と、前記陳列用台紙の陳列状態での上下方向が前後方向となるように、前記ハンガー部材に商品を引っ掛けた状態で、陳列用台紙とともに商品を収容する梱包箱とを備えた梱包体であって、前記梱包箱内における商品の移動を規制する移動規制手段として、前記梱包箱の前後方向の途中部に、前記ハンガー部材に対応させて、前記梱包箱の左右方向に延びる第1仕切り部材を設け、前記梱包箱の左右方向の途中部に、前記梱包箱の前後方向の全長にわたって延びる第2仕切り部材を設け、前記第1仕切り部材に、前記梱包箱の高さ方向への商品の移動を規制する押え部と、前記梱包箱の前後方向への商品の移動を規制する1対の縦壁部とを形成し、前記第2仕切り部材に、その両側に配置される商品の側方への移動を規制する1対の縦壁部を形成するとともに、該縦壁部に、前記第1仕切り部材の左右方向の途中部に上側から嵌合して、前記梱包箱の前後方向及び高さ方向への第1仕切り部材の移動を規制する嵌合切欠部を形成したものである。
【0010】
この梱包体を組み立てる際には、先ずハンガー部材に商品を引っ掛けた状態で、商品を陳列用台紙とともに梱包箱に装填するか、陳列用台紙を梱包箱に装填した状態で、ハンガー部材に商品を引っ掛けて、商品を陳列用台紙とともに梱包箱に装填する。次に、第1仕切り部材を梱包箱に左右方向に組み付けて、第1仕切り部材の押え部で商品を上側から押さえるとともに、第2仕切り部材の嵌合切欠部を第1仕切り部材の途中部に嵌合させて、第2仕切り部材を梱包箱の左右方向の途中部に前後方向に組み付け、上面フラップを閉塞して、梱包体を組み立てることになる。
【0011】
このように、この梱包体では、陳列用台紙のハンガー部材に商品を引っ掛けた状態で、陳列用台紙及び商品が梱包箱に梱包されているので、店舗等へ梱包体を輸送した後は、梱包箱を開封して、商品を吊り下げた状態で陳列用台紙を取り出して、これをそのまま陳列することができ、陳列用台紙のハンガー部材に対して商品を引っ掛けるという、輸送先での陳列作業が不要となる。しかも、移動規制手段として、第1仕切り部材と第2仕切り部材の2種類の仕切り部材を設けることで、梱包箱の前後方向への商品の移動を第1仕切り部材の縦壁部で受け止め、梱包箱の高さ方向への商品の移動を第1仕切り部材の押え部で受け止め、梱包箱の左右方向への商品の移動を第2仕切り部材の縦壁部で受け止めることができるので、部材点数を極力少なくしつつ、商品の移動を効果的に受け止めて、輸送時等の振動による商品及びパッケージの破損や、商品の引っ掛け孔の破損を効果的に防止できる。また、梱包箱の左右方向の途中部に梱包箱の前後方向の全長にわたって延びる第2仕切り部材を設けることで、梱包箱を積み重ねたときの荷重を第2仕切り部材で受け止めることができるので、梱包体の上載荷重に対する強度剛性を容易に高めることができる。
【0012】
ここで、前記第2仕切り部材を梱包箱の少なくとも左右方向の中央部に設けることが好ましい実施の形態である。この場合には、梱包箱をカッターナイフで開封するときに、カッターナイフで商品を傷つけるという不具合を効果的に防止できる。つまり、梱包箱の上面の封止構造として、梱包箱の左右両側に前後方向に延びる1対の上面フラップを設け、両上面フラップの遊端部を梱包箱の中央部で突き合わせて、上側から粘着テープを貼り付けて封止するという封止構成が一般的に採用されているが、梱包箱の少なくとも左右方向の中央部に、梱包箱の前後方向の全長にわたって延びる第2仕切り部材を設けているので、上面フラップの突き合わせ部分に沿ってカッターナイフで梱包箱を開封するときに、該第2仕切り部材の上面でカッターナイフの刃先を受け止めて、カッターナイフで商品が傷つけられるという不具合を効果的に防止できる。
【0013】
前記押え部にハンガー部材が挿通する挿通孔を形成することが好ましい実施の形態である。つまり、ハンガー部材には商品の引っ掛け孔が挿通されているので、押え部にハンガー部材が挿通する挿通孔を形成することで、商品の引っ掛け孔付近の上側に押え部を確実に配置させて、ハンガー部材に沿った商品の上下方向への移動を押え部で確実に受け止めることができる。また、ハンガー部材により第1仕切り部材の側方への移動が規制されるので、第1仕切り部材により一層安定的に商品を保持できる。
【0014】
前記押え部が、前記第1仕切り部材の縦壁部を切り起こして、該縦壁部の上端部から側方へ突出状に設けられていることが好ましい。このように構成することで、縦壁部から側方へ突出する押え部を容易に形成することができる。
【0015】
前記第1仕切り部材及び第2仕切り部材を断面倒立U字状に形成することが好ましい実施の形態である。このように構成すると、第1仕切り部材及び第2仕切り部材の構成を極力簡単にしてその製作コストを安くできる。
【0016】
前記梱包箱の前後方向に延びる1対の側壁部と商品間の隙間に装填されて、該商品の側方への移動を規制する側部規制部材を設けることが好ましい実施の形態である。この場合には、梱包箱の側壁部と商品間に隙間が形成される場合でも、該隙間に側部規制部材を装填するという簡単な構成で、梱包箱の左右方向への商品の移動を規制できる。
【0017】
前記ハンガー部材を梱包箱の左右方向に奇数個設け、少なくとも左右方向の中央部のハンガー部材に引っ掛ける商品を第2仕切り部の内側に配置することが好ましい実施の形態である。この場合には、梱包箱をカッターナイフで開封するときに、左右方向の中央部に梱包される商品をカッターナイフで傷つけるという不具合を第2仕切り部材により確実に防止しつつ、陳列用台紙の左右方向に奇数個の商品を吊るすことが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る梱包体によれば、陳列用台紙のハンガー部材に商品を引っ掛けた状態で、陳列用台紙及び商品が梱包箱に梱包されているので、店舗等へ梱包体を輸送した後は、梱包箱を開封して、商品を吊り下げた状態で陳列用台紙を取り出して、これをそのまま陳列することができ、陳列用台紙のハンガー部材に対して商品を引っ掛けるという、輸送先での陳列作業が不要となる。しかも、移動規制手段として、第1仕切り部材と第2仕切り部材の2種類の仕切り部材を設けることで、梱包箱の前後方向への商品の移動を第1仕切り部材の縦壁部で受け止め、梱包箱の高さ方向への商品の移動を第1仕切り部材の押え部で受け止め、梱包箱の左右方向への商品の移動を第2仕切り部材の縦壁部で受け止めることができるので、部材点数を極力少なくしつつ、商品の移動を効果的に受け止めて、輸送時等の振動による商品及びパッケージの破損や、商品の引っ掛け孔の破損を効果的に防止できる。また、梱包箱の左右方向の途中部に梱包箱の前後方向の全長にわたって延びる第2仕切り部材を設けることで、梱包箱を積み重ねたときの荷重を第2仕切り部材で受け止めることができるので、梱包体の上載荷重に対する強度剛性を容易に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】上面フラップを開放した状態での梱包体の斜視図
【図2】梱包体の分解斜視図
【図3】図1のIII-III線断面図
【図4】図1のIV-IV線断面図
【図5】第1仕切り部材の(a)は斜視図、(b)は展開状態の斜視図
【図6】第2仕切り部材の(a)は斜視図、(b)は展開状態の斜視図
【図7】側部規制部材の(a)は斜視図、(b)は展開状態の斜視図
【図8】他の構成の梱包体の図4相当図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
図1〜図7に示すように、梱包体1は、複数のハンガー部材2を突出状に設けた陳列用台紙3と、陳列用台紙3に陳列される商品Gと、ハンガー部材2に商品Gを引っ掛けた状態で陳列用台紙3とともに商品Gを収容する梱包箱10と、梱包箱10内における商品Gの移動を規制する移動規制手段20とを備えている。なお、本実施の形態では、図1を基準に、前後左右方向及び上下方向を定義して説明する。
【0021】
(梱包箱)
梱包箱10は、前後左右の側壁部11F、11B、11L、11Rと、底板12を構成する前後左右のフラップLF、LB、LL、LRと、上板13を構成する前後左右のフラップUF、UB、UL、URとを備え、前後左右の側壁部11F、11B、11L、11Rにおいて、波板の波の頂部が上下方向に配置されるように、段ボールを用いて製作され、積み重ねたときの荷重に対する強度剛性が高くなるように構成されている。梱包箱10の平面寸法は、陳列用台紙3の平面寸法と略同じに設定され、陳列用台紙3は、陳列状態での上下方向が梱包箱10の前後方向となるように、梱包箱10内に略隙間なく収容される。梱包箱10の深さは、ハンガー部材2の長さよりもやや深く構成され、ハンガー部材2を取り外すことなく陳列用台紙3を梱包箱10に収納して上面開口を閉塞できるように構成されている。なお、本実施の形態において、「段ボール」とは、Aフルートタイプの段ボール、Bフルートタイプの段ボール、Eフルートタイプの段ボール、ダブルフルートタイプの段ボールを総称したものを意味しており、本実施の形態では、いずれのタイプの段ボールを採用することも可能である。
【0022】
梱包箱10の底板12は、前後のフラップLF、LBを内側へ折り曲げた後、左右のフラップLL、LRを内側へ折り曲げて、左右のフラップLL、LRを前後のフラップLF、LBの下側に重ね合わせるとともに、その遊端部を突き合わせて、左右のフラップLL、LRの遊端部の下面にわたって粘着テープなどを貼り付けることで、梱包箱10の下面開口を閉塞するように組み立てられている。
【0023】
梱包箱10の上板13は、前後のフラップUF、UBを内側へ折り曲げた後、左右のフラップUL、URを内側へ折り曲げて、左右のフラップUL、URを前後のフラップUF、UBの上側に重ね合わせるとともに、その遊端部を突き合わせて、左右のフラップUL、URの遊端部の上面にわたって粘着テープなどを貼り付けることで、梱包箱10の上面開口を閉塞するように組み立てられる。
【0024】
なお、梱包箱10としては、上記以外の周知の構成のものを採用することができる。また、梱包箱10の大きさは、収納する陳列用台紙3の大きさや商品Gの大きさや個数などに応じて適宜に設定することができる。更に、本実施の形態では、陳列状態で上下方向に細長い陳列用台紙3を用いたので、陳列用台紙3の上下方向が梱包箱10の前後方向になるように、梱包箱10に陳列用台紙3を収納したが、陳列状態で左右方向に細長い陳列用台紙を用いる場合には、該陳列用台紙の陳列状態での上下方向が、梱包箱の幅方向となるように、陳列用台紙及び商品を梱包箱に収納することになる。また、正方形状の陳列用台紙を用いる場合には、梱包箱の平面形状を正方形に形成することになる。
【0025】
(陳列用台紙)
陳列用台紙3は、厚紙や合成樹脂板からなる平板状の台紙本体4と、台紙本体4に突出状に取り付けた複数のハンガー部材2とで構成され、台紙本体4の上部に取り付けた吊紐5を壁等に取り付けたフックに引っ掛けて、台紙本体4を壁に沿って縦向きに吊り下げるとともに、複数のハンガー部材2に商品Gを吊り下げて、商品Gを陳列するように構成したものである。なお、台紙本体4に対するハンガー部材2の取付構造としては、嵌め込み式やねじ込み式や接着剤による接着式などの任意の取付構造を採用することができる。
【0026】
ハンガー部材2は、合成樹脂材料や金属材料からなる棒状部材で構成され、陳列用台紙3に対して前後方向及び左右方向に複数行複数列設けられている。図2に示す陳列用台紙3では、前後方向に2行、左右方向に2列、計4個のハンガー部材2が設けられている。ただし、ハンガー部材2の行数及び列数は、陳列用台紙3の大きさや吊り下げる商品Gの大きさなどに応じて任意に設定できる。
【0027】
ハンガー部材2に商品Gを吊り下げて陳列した状態で、左右に隣接する商品G間には、ハンガー部材2に吊り下げた商品Gを容易に取り出すことができるように、少なくとも指を挿入可能な大きさの隙間が形成され、また、上下に隣接する商品G間にも、上下に陳列した商品Gが相互に干渉しないように隙間が形成されている。
【0028】
陳列用台紙3に陳列する商品Gとしては、ハンガー部材2に吊り下げ可能な吊孔Hやフックを有する任意の構成のものを採用できる。1本のハンガー部材2に吊り下げ可能な商品Gの個数は、本実施形態では3個に設定したが、任意の個数に設定可能である。また、陳列用台紙3の全てのハンガー部材2に同じ商品Gを陳列することもできるが、ハンガー部材2毎に或いはハンガー部材2の列毎又は行毎に異種の商品Gを陳列することもできる。本実施の形態では、前側(上段)のハンガー部材2に樹脂ケースに収容した歯間ブラシを陳列し、後側(下段)のハンガー部材2にブリスターケースに収納した歯間ブラシを陳列できるように構成した。
【0029】
(移動規制手段)
移動規制手段20は、ハンガー部材2に対応させて梱包箱10の前後方向の途中部に、梱包箱10の左右方向に設けた第1仕切り部材21と、梱包箱10の少なくとも左右方向の中央部に、梱包箱10の前後方向の全長にわたって設けた第2仕切り部材22と、梱包箱10の左右の側壁部11L、11Rの内側に沿って設けた側部規制部材23とを備えている。
【0030】
(第1仕切り部材)
第1仕切り部材21は、図1〜図5に示すように、平行配置される1対の縦壁部21aと、縦壁部21aの上端部を連結する横壁部21bとを有する倒立U字状の部材からなり、各行のハンガー部材2に対応させてその前側に左右方向に設けられている。なお、第1仕切り部材21の個数は、ハンガー部材2の行数と同じ個数に設定することになる。
【0031】
横壁部21bの幅は上下に配置される商品G間の隙間と略同じに設定され、縦壁部21aにより前後両側の商品Gの前後方向への移動が規制されるように構成されている。
【0032】
第1仕切り部材21の横壁部21bの前縁部及び後縁部には左右1対の押え部21cが左右に配置される商品Gに対応させてそれぞれ設けられ、前側1対の押え部21cは前側の縦壁部21aを切り起こして横壁部21bに連なって前方へ突出状に形成され、後側1対の押え部21cは後側の縦壁部21aを切り起こして横壁部21bに連なって後方へ突出状に形成されている。横壁部21bの高さは、1本のハンガー部材2に引っ掛けられる複数の商品Gの合計高さと略同じに設定され、後側の押え部21cにより商品Gの後側の上方への移動が規制され、前側の押え部21cにより商品Gの前側の上方への移動が規制される。
【0033】
押え部21cの基部にはハンガー部材2が挿通する前後方向に細長い挿通孔21dが形成され、第1仕切り部材21は、後側の挿通孔21dにハンガー部材2を挿通させて梱包箱10に組み付けられている。なお、最も前側に配置される第1仕切り部材21には、前側の押え部21cを省略することができるが、梱包体1を構成する部材の種類を極力減らすべく、商品G間に配置される第1仕切り部材21と同一構成を採用することが好ましい。また、挿通孔21dは、少なくとも後側の押え部21cの基部にのみ設けてあればよいが、第1仕切り部材21の前後を逆にしても組み付けることが可能となり、梱包体1の組立性を向上できるので、前側の押え部21cの基部にも設けることが好ましい。更に、挿通孔21dに代えて、ハンガー部材2が挿通する切込部を押え部21cに形成することも可能である。
【0034】
第1仕切り部材21は、図5(b)に示すように、長方形平板状の第1段ボール21Aを断面倒立U字状に折り曲げて製作されている。第1段ボール21Aとしては、前後方向の略三等分位置に折曲線21eを左右方向に形成するとともに、折曲線21eの途中部に縦壁部21a側へ突出するU字状の左右1対の切込線21fを折曲線21eに連ねてそれぞれ形成したものを採用でき、折曲線21eに沿って第1段ボール21Aを倒立U字状に折り曲げることで、切込線21fに沿って押え部21cが切り起し形成されるように構成されている。第1段ボール21Aは、波形に成形した中芯の波の頂部が縦壁部21aの高さ方向に沿って配置されるように成形されている。
【0035】
(第2仕切り部材)
第2仕切り部材22は、図1〜図4、図6に示すように、平行配置される1対の縦壁部22aと、縦壁部22aの上端部を連結する横壁部22bとを有する倒立U字状の部材からなり、第1仕切り部材21の左右方向の途中部に形成した嵌合切欠部22cを、第1仕切り部材21の左右方向の途中部に上側から嵌合させて、左右1対の商品G間において梱包箱10の左右方向の途中部に、梱包箱10の前後方向の全長にわたって設けられている。なお、本実施の形態では、左右1対の商品G間に1つだけ第2仕切り部材22を設けたが、商品Gを左右方向に3個以上設ける場合には、左右に隣接する商品G間に第2仕切り部材22をそれぞれ設けることになる。
【0036】
第2仕切り部材22の長さは、梱包箱10の内面の前後方向の全長にわたる長さに設定され、第2仕切り部材22の高さは、梱包箱10の深さと略同じに設定され、梱包箱10に第2仕切り部材22を装填した状態で、梱包箱10に前後方向及び上下方向に移動しないように組み付けられるように構成されている。また、第2仕切り部材22の高さを梱包箱10の深さと略同じに設定することで、梱包箱を積み重ねたときの荷重を第2仕切り部材22で受け止めることが可能となり、梱包体1の上載荷重に対する強度剛性を向上できるので好ましい。第2仕切り部材22の幅は、左右に隣接する商品G間の隙間と同じ幅に設定され、左右に隣接する商品G間に第2仕切り部材22を装填した状態で、両商品Gの相互に接近する方向への移動が、第2仕切り部材22の縦壁部22aで規制されるように構成されている。嵌合切欠部22cは第1仕切り部材21が略隙間なく嵌合可能な大きさに構成され、嵌合切欠部22cを第2仕切り部材22に嵌合させて上側のフラップUF、UB、UL、URを閉じた状態で、梱包箱10の前後方向及び高さ方向への第1仕切り部材21の移動が規制されるように構成されている。
【0037】
第2仕切り部材22は、図6(b)に示すような細長い長方形状の第2段ボール22Aを、左右方向の中央部に相互に間隔をあけて平行配置した2本の折目線22dに沿って倒立U字状に折り曲げて製作されている。第2段ボール22Aは、波形に成形した中芯の波の頂部が縦壁部21aの高さ方向に沿って配置されるように成形されている。
【0038】
第2仕切り部材22は、梱包箱10の少なくとも左右方向の中央部に設けることが好ましい。このように構成すると、梱包箱10をカッターナイフで開封するときに、カッターナイフで商品Gを傷つけるという不具合を効果的に防止できる。つまり、梱包箱10の上面は、左右1対のフラップUL、URを内側へ折り曲げて、両フラップUL、URの遊端部を梱包箱10の左右方向の中央部で突き合わせ、上側から粘着テープを貼り付けて封止しているが、梱包箱10の少なくとも左右方向の中央部に、梱包箱10の前後方向の全長にわたって延びる第2仕切り部材22を設けているので、突き合わせ部分に沿ってカッターナイフで粘着テープを切り裂いて梱包箱10を開封するときに、該第2仕切り部材22により、カッターナイフの刃先を受け止めることができ、カッターナイフで商品Gを傷つけるという不具合を効果的に防止できる。
【0039】
陳列用台紙3に左右方向に陳列される商品Gの個数が偶数個の場合には、左右に隣接する商品G間に第2仕切り部材22を設けることで、第2仕切り部材22を梱包箱10の少なくとも左右方向の中央部に設けることができるが、陳列用台紙3に左右方向に陳列される商品Gの個数が奇数個の場合には、商品G間にのみ第2仕切り部材22を設けると、梱包体1の左右方向の中央部に商品Gが配置される。そこで、陳列用台紙3に左右方向に陳列される商品Gの個数が奇数個の場合には、少なくとも左右方向の中央部に配置される商品Gに関しては、それを外嵌するように第2仕切り部材を設け、梱包体をカッターナイフで開封するときに、カッターナイフで商品Gを傷つけるという不具合を防止しつつ、該商品Gの側方への移動を規制することになる。具体的には、図8に示す梱包体30のように、左右方向に3個の商品Gを吊り下げ可能な陳列用台紙3Bを用いる場合には、左右方向の中央部に配置される商品Gを左右方向に隙間なく外嵌するように第2仕切り部材22Bを設け、第2仕切り部材22Bのその両側の商品G間に1乃至複数の側部規制部材23を装填し、第1仕切り部材21に代えて、左右方向に配置される3個の商品Gに対応させて3つの押え部21cと挿通孔21dを形成した第1仕切り部材21Bを用いることになる。
【0040】
(側部規制部材)
側部規制部材23は、図1〜図4、図7に示すように、細長い長方形の平板状の部材で構成され、梱包箱10の左右の側壁部11L、11Rの内側に沿って、左右の側壁部11L、11Rと商品G間に略隙間なく装填されている。
【0041】
側部規制部材23の長さは梱包箱10の内側の前後方向の長さを略同じに設定され、高さは梱包箱10の深さと略同じに設定され、梱包体1を積み重ねたときの荷重を左右の側部規制部材23で受け止めて、梱包体1の上載荷重に対する強度剛性を向上できるように構成されている。
【0042】
側部規制部材23は、図7(b)に示すような細長い長方形状の第3段ボール23Aを、左右方向の中央部に形成したハーフカットからなる折目線23aに沿って2つ折りにすることで製作されている。第3段ボール23Aは、波形に成形した中芯の波の頂部が、梱包箱10に組み込んだ状態での側部規制部材23の高さ方向に沿って配置されるように成形されている。なお、側部規制部材23としては、ハーフカットからなる折目線23aを形成した段ボールからなるものを用いることが、安価に製作でき、組立作業性に優れていることから好ましいが、ハーフカットに代えて、ミシン目や折り目などからなる折目線23aを形成したものを採用することもできるし、折目線23aを省略して、左右の側壁部11L、11Rと商品G間の隙間に適合する枚数の段ボールを用いることもできるし、複数枚の段ボールを接着剤で貼り合せた段ボールを用いることもできる。更に、側部規制部材23としては、左右の側壁部11L、11Rと商品G間に隙間なく装填できるものであれば、段ボール以外の素材からなるもの、例えば合成樹脂の発泡体などからなる細長い板状部材を採用することもできる。ただし、左右の側壁部11L、11Rと商品G間に隙間が形成されない場合には、この側部規制部材23は省略することができる。
【0043】
次に、梱包体1の使用方法について説明する。
この梱包体1を組み立てる際には、先ずハンガー部材2に商品Gを引っ掛けた状態で、商品Gを陳列用台紙3とともに梱包箱10に装填するか、陳列用台紙3を梱包箱10に装填した状態で、ハンガー部材2に商品Gを引っ掛けて、商品Gを陳列用台紙3とともに梱包箱10に装填する。次に、ハンガー部材2が挿通孔21dを挿通するように、第1仕切り部材21を梱包箱10に左右方向に組み付けて、第1仕切り部材21の押え部21cで商品Gを上側から押さえる。次に、第2仕切り部材22の嵌合切欠部22cを第1仕切り部材21の途中部に嵌合させて、第2仕切り部材22を梱包箱10の左右方向の途中部に前後方向に組み付けるとともに、左右の側部規制部材23を商品Gと梱包箱10の左右の側壁部11L、11R間に装填する。次に、フラップUF、UB、UL、URを閉じて、左右のフラップUL、URの遊端部の上面にわたって粘着テープを貼り付けて、梱包体1を組み立てることになる。
【0044】
一方、梱包体1に収納した商品Gを陳列する際には、先ずフラップUF、UB、UL、URを開いて梱包体1を開封する。このとき、例えば左右のフラップUL、URの突き合わせ部分に沿って、カッターナイフで粘着テープを切り裂いて開封した場合でも、フラップUL、URの突き合わせ部分の下側側には第2仕切り部材22の横壁部22bが配置されるので、カッターナイフの先端部で商品Gを傷けることが防止される。次に、側部規制部材23を取り外すとともに、第2仕切り部材22を取り外した後、第1仕切り部材21を取外し、ハンガー部材2に商品Gを引っ掛けた状態で、陳列用台紙3を梱包箱10から取り出し、吊紐5を壁等のフックに引っ掛けてハンガー部材2に引っ掛けた状態で商品Gを陳列することになる。
【0045】
このように、この梱包体1では、陳列用台紙3のハンガー部材2に商品Gを引っ掛けた状態で、陳列用台紙3及び商品Gが梱包箱10に梱包されているので、店舗等へ梱包体1を輸送した後は、梱包箱10を開封して、商品Gを吊り下げた状態で陳列用台紙3を取り出して、これをそのまま陳列することができ、陳列用台紙3のハンガー部材2に対して商品Gを引っ掛けるという、輸送先での陳列作業が不要となる。しかも、移動規制手段20として、第2仕切り部材22と第1仕切り部材21の2種類の仕切り部材を設けることで、梱包箱10の左右方向への商品Gの移動を第2仕切り部材22の縦壁部22a及び側部規制部23で受け止め、梱包箱10の前後方向への商品Gの移動を第1仕切り部材21の縦壁部21aで受け止め、梱包箱10の高さ方向への商品Gの移動を第1仕切り部材21の押え部21cで受け止めることができるので、部材点数を極力少なくしつつ、商品Gの移動を効果的に受け止めて、商品G及びパッケージの破損や、商品Gの引っ掛け孔の破損を効果的に防止できる。また、梱包箱10の左右方向の途中部に梱包箱10の前後方向の全長にわたって延びる第2仕切り部材22を設けているので、積み重ねたときの荷重に対する梱包体1の強度剛性を容易に高めることができる。更に、梱包箱10をカッターナイフで開封するときに、カッターナイフで商品Gを傷つけるという不具合を効果的に防止できる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした前述の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成を変更し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
G 商品 H 吊孔
1 梱包体 2 ハンガー部材
3 陳列用台紙 4 台紙本体
5 吊紐
10 梱包箱
11F 側壁部 11B 側壁部
11L 側壁部 11R 側壁部
LF フラップ LB フラップ
LL フラップ LR フラップ
UF フラップ UB フラップ
UL フラップ UR フラップ
12 底板 13 上板
20 移動規制手段
21 第1仕切り部材 21a 縦壁部
21b 横壁部 21c 押え部
21d 挿通孔 21A 段ボール
21e 折曲線 21f 切込線
22 第2仕切り部材 22a 縦壁部
22b 横壁部 22c 嵌合切欠部
22A 段ボール 22d 折目線
23 側部規制部材 23A 段ボール
23a 折目線
30 梱包体 3B 陳列用台紙
21B 第1仕切り部材 22B 第2仕切り部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のハンガー部材を突出状に設けた陳列用台紙と、陳列用台紙に陳列される商品と、前記陳列用台紙の陳列状態での上下方向が前後方向となるように、前記ハンガー部材に商品を引っ掛けた状態で、陳列用台紙とともに商品を収容する梱包箱とを備えた梱包体であって、
前記梱包箱内における商品の移動を規制する移動規制手段として、
前記梱包箱の前後方向の途中部に、前記ハンガー部材に対応させて、前記梱包箱の左右方向に延びる第1仕切り部材を設け、
前記梱包箱の左右方向の途中部に、前記梱包箱の前後方向の全長にわたって延びる第2仕切り部材を設け、
前記第1仕切り部材に、前記梱包箱の高さ方向への商品の移動を規制する押え部と、前記梱包箱の前後方向への商品の移動を規制する1対の縦壁部とを形成し、
前記第2仕切り部材に、その両側に配置される商品の側方への移動を規制する1対の縦壁部を形成するとともに、該縦壁部に、前記第1仕切り部材の左右方向の途中部に上側から嵌合して、前記梱包箱の前後方向及び高さ方向への第1仕切り部材の移動を規制する嵌合切欠部を形成した、
ことを特徴とする梱包体。
【請求項2】
前記第2仕切り部材を梱包箱の少なくとも左右方向の中央部に設けた請求項1記載の梱包箱。
【請求項3】
前記押え部にハンガー部材が挿通する挿通孔を形成した請求項1又は2記載の梱包体。
【請求項4】
前記押え部が、前記第1仕切り部材の縦壁部を切り起こして、該縦壁部の上端部から側方へ突出状に設けられている請求項1〜3のいずれか1項記載の梱包体。
【請求項5】
前記第1仕切り部材及び第2仕切り部材を断面倒立U字状に形成した請求項1〜4のいずれか1項記載の梱包体。
【請求項6】
前記梱包箱の前後方向に延びる1対の側壁部と商品間の隙間に装填されて、該商品の側方への移動を規制する側部規制部材を設けた請求項1〜5のいずれか1項記載の梱包体。
【請求項7】
前記ハンガー部材を梱包箱の左右方向に奇数個設け、少なくとも左右方向の中央部のハンガー部材に引っ掛ける商品を第2仕切り部の内側に配置した請求項1〜6のいずれか1項記載の梱包体。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−100120(P2013−100120A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244758(P2011−244758)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000106324)サンスター株式会社 (200)
【Fターム(参考)】