説明

梱包品のずれ修正装置

【課題】梱包品の開梱装置の位置決め手段を確実に機能させることが可能なずれ修正装置を提供する。
【解決手段】空缶4を複数段に積み重ねてシュリンクフィルム6で包装した梱包品1の互いに対向する上端部を所定方向に挟み込むことにより、その端部を前記所定方向に関して位置決めする位置決め機構20と、梱包品1からシュリンクフィルム6を除去する開梱ユニットとを備えた開梱装置に適用される梱包品のずれ修正装置40において、梱包品1の前記所定方向における両側面の上端部とそれぞれ対向するように配置された少なくとも一対の修正部材42と、一対の修正部材42を、位置決め機構20の前記所定方向における位置決め可能な範囲よりも広い範囲で前記所定方向に駆動するアクチュエータ43とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の物品を複数段に積み重ねて包装した梱包品のずれを修正する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パレット上に多数の物品を複数段に亘って積み重ねてコンベア等で搬送する場合、搬送途中で物品の段間にずれが生じることがある。そのずれを修正する装置として、複数段に亘る高さの棒状、あるいは板状の一対の修正部材にて物品群を挟み込むことにより、各段の物品を鉛直方向に整列させて荷姿を修正する装置が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。また、パレット上に積まれた物品群をシュリンク包装した梱包品を開梱するため、包装材をカッタで切開して除去する装置も知られている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−175634号公報
【特許文献2】特開平6−255781号公報
【特許文献3】特開昭51−47778号公報
【特許文献4】特開平8−2515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
梱包品を開梱する装置では、カッタ等の切除手段で包装材を切開した上で、包装材を物品群の周囲から剥ぎ取る操作が行われる。しかしながら、物品群の高さが大きい場合、下段で僅かなずれが生じただけでも、上段ではずれ量が相当に大きくなる。開梱装置には、包装材の除去操作に先立って、梱包品の上端部を挟み込んで当該上端部を位置決めする機構が設けられている。しかし、梱包品の上端部に大きなずれが生じると、位置決め機構による位置決めが正しく行われず、位置決め不良に起因する各種のエラーが生じるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、梱包品の開梱装置の位置決め手段を確実に機能させることが可能なずれ修正装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の物品(4)を複数段に積み重ねて包装材(6)で包装した概略直方体形状の梱包品(1)の互いに対向する上端部を所定方向に挟み込むことにより、当該上端部を前記所定方向に関して位置決めする位置決め手段(20)と、前記梱包品から前記包装材を除去する除去手段(13)とを備えた開梱装置(10)に適用される梱包品のずれ修正装置(40)であって、前記梱包品の前記所定方向における両側面の上端部とそれぞれ対向するように配置された少なくとも一対の修正部材(42)と、前記一対の修正部材を、前記位置決め手段の前記所定方向における位置決め可能な範囲よりも広い範囲で前記所定方向に駆動する修正駆動手段(43)とを備えたものである。
【0007】
本発明のずれ修正装置によれば、修正駆動手段にて修正部材を所定方向に駆動して梱包品を挟み込むことにより、梱包品の上端部のずれ量を位置決め機構による位置決め可能な範囲に抑えることができる。そのため、ずれ修正装置による修正後に位置決め手段で梱包品を位置決めすることにより、梱包品の上端部を正しい位置に位置決めすることが可能である。
【0008】
本発明の一形態において、前記梱包品が前記物品と仕切部材(3、5)とを交互に積み重ねた積層構造を有し、前記修正部材は少なくとも一つの仕切部材の位置にて前記梱包品と接触できるように配置されてもよい。この形態によれば、物品に過度な荷重を加えることなく梱包品を修正部材にて挟み込むことができる。
【0009】
さらに、前記物品の各段の間には、前記仕切部材として敷板(3)が配置され、前記修正部材は、最上段の物品の下側に配置された敷板(3A)の位置で前記梱包品と接触できるように配置されてもよい。この形態によれば、梱包品の上面に近い位置で物品に過度な荷重を加えることなく梱包品を修正部材にて挟み込むことができる。
【0010】
本発明の一形態において、少なくとも一つの修正駆動手段を、前記修正部材が前記梱包品の前記上端部と対向する位置と当該修正部材が前記対向する位置よりも前記梱包品から離れた位置との間で往復するように駆動する補助駆動手段(46)をさらに備えてもよい。これによれば、補助駆動手段にて修正駆動手段及び修正部材を梱包品から離れた位置に後退させることにより、包装材を除去手段にて除去する際に必要なスペースを梱包品の周囲に容易に確保することができる。
【0011】
本発明の一形態において、前記除去手段が前記所定方向における前記梱包品の一方の側面にて前記包装材を切開し、その切開された包装材の切れ端を掴んで前記所定方向に前記包装材を剥ぎ取るように構成されてもよい。これによれば、ずれ修正装置にて梱包品の上端部の所定方向におけるずれが修正され、位置決め手段にて梱包品の上端部が所定方向に位置決めされた上で、その位置決めされた方向の一端側で包装材が切開されて反対側へと剥ぎ取られる。このように、ずれの修正方向、位置決め方向及び除去作業の進行方向が相互に一致するので、包装材の除去作業の確実性、信頼性がさらに向上する。
【0012】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0013】
以上に説明したように、本発明のずれ修正装置によれば、開梱装置の位置決め手段による位置決め可能は範囲よりも広い範囲で修正部材を駆動して梱包品の上端部のずれを修正することができる。したがって、ずれ修正装置による修正後に位置決め手段を作動させることにより、その位置決め手段を確実に機能させて梱包品の上端部を正しい位置に位置決めすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】梱包品の一例を示す斜視図。
【図2】本発明の一形態に係るずれ修正装置が組み込まれた開梱装置の正面図。
【図3】開梱装置の平面図。
【図4】ずれ修正装置を中心としたフィルム除去装置の部分斜視図。
【図5】ずれ修正装置にてずれを修正する際の手順を模式的に示す図。
【図6】図5に続く状態を示す図。
【図7】図6に続く状態を示す図。
【図8】図7に続く状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、図1を参照して梱包品の一例を説明する。図1に示した梱包品1は、パレット2上に、段ボール製の敷板3及び多数本の空缶(物品に相当する。)4を交互に多段に積み重ね、最上段の空缶4の上にさらに敷板3及び樹脂製のトップフレーム5を載置し、それらの全体(但し、パレット2の底面側を除く。)を包装材としてのシュリンクフィルム6にて梱包した構成を有している。梱包品1の各段において、空缶4は敷板3上に千鳥状に敷き詰められている。梱包品1は、例えば空缶4の製造工場にて荷造りされ、トラック、フォークリフト等の輸送手段を適宜に利用して缶飲料等の製造工場へと搬送される。受け入れ先の工場では、まず、開梱装置(デシュリンカーと呼ばれることがある。)により、シュリンクフィルム6が除去されて梱包品1が開梱される。しかしながら、搬送中の衝撃等によって空缶4の段間にずれが生じ、その結果として、図1に想像線Lで示したように梱包品1の上部が水平方向に比較的大きく偏ることがある。本形態のずれ修正装置は、そのような偏りが生じている梱包品1のずれを修正するために設けられるものである。
【0016】
次に、開梱装置を説明する。図2〜図4は、ずれ修正装置が組み込まれた開梱装置を示し、図2はその正面図、図3は平面図、図4はずれ修正装置を中心とした部分斜視図である。これらの図に示すように、開梱装置10は、工場の床面F上に据え付けられたコンベアユニット11と、コンベアユニット11を跨ぐように設置されたフレーム12と、フレーム12の上部から側方にかけて設置された開梱ユニット13と、フレーム12の側方(図1において左方)に配置された巻き取りユニット14とを備えている。コンベアユニット11は、未開梱の梱包品1を開梱ユニット13の直下の作業位置へ搬入し、かつ開梱後のパレット2をその上に空缶4等が積み重ねられた状態で作業位置から搬出する。フレーム12は、開梱ユニット13及び巻き取りユニット14を支持する基礎として機能する。フレーム12はC型鋼、鋼板等を適宜に組み合わせて構成してよい。
【0017】
開梱ユニット13は、フレーム12の支柱12aに沿って昇降可能に設けられたカット部15と、フレーム12の上部に設けられたフィルム除去部16とを備えている。カット部15は、カッタとしてのニクロム線(不図示)に通電してこれを発熱させた状態で、そのカッタを梱包品1の一側面(図1の右側面)の中央部に接触させつつ鉛直方向に移動させることにより、シュリンクフィルム6を鉛直方向に切開するように構成されている。図示を省略したが、カット部15には、梱包品1の上面にてシュリンクフィルム6を切開する上部カット機構も設けられている。その上部カット機構は、フィルム除去部16によるシュリンクフィルム6の剥ぎ取り時に、シュリンクフィルム6の上面側が容易に開かれるようにシュリンクフィルム6を切開する。
【0018】
フィルム除去部16は、梱包品1の上端部を拘束する下部モジュール17と、シュリンクフィルム6の剥ぎ取り操作を実行する上部モジュール18とをさらに備えている。上部モジュール18はフレーム12に対して昇降可能であり、下部モジュール17は上部モジュール18に対してさらに昇降可能である。下部モジュール17は、作業位置にある梱包品1の上面まで下降して梱包品1を下向きに押え付けることができる。上部モジュール18はその下降した下部モジュール17に覆い被さるように下降することができる。
【0019】
下部モジュール17は梱包品1の上端面に押し付けられるプラテン17aを有している。そのプラテン17a上には、作業位置の梱包品1の互いに平行な一対の上縁部1aを挟み込むことにより、梱包品1の上端部を位置決めする位置決め機構20が設けられている。一方の上縁部1aに対して二つの位置決め機構20が、他方の上縁部1aに対して二つの位置決め機構20がそれぞれ設けられている。なお、図3では片側の二つの位置決め機構20のみが示されている。図4には、一つの位置決め機構20が示されている。位置決め機構20は、支軸22を中心として回転可能に設けられたクランパー21と、そのクランパー21を支軸22の回りに回転駆動するエアーシリンダ23とを備えている。エアーシリンダ23のピストンロッド23aが後退しているとき、クランパー21は支軸22から斜め上方に跳ね上げられた待機位置にある。エアーシリンダ23のピストンロッド23aが伸長すると、クランパー21が支軸22の回りに下方に回転する。それにより、クランパー21は、梱包品1の上縁部1aと噛み合う拘束位置へと移動する。下部モジュール17のプラテン17aが梱包品1の上面付近まで下降した状態で、4つの位置決め機構20のクランパー21が互いに同期して待機位置から拘束位置へと移動することにより、梱包品1の上端部が図1の左右方向に関して挟み込まれて位置決めされる。図1の左右方向は、水平面内においてコンベアユニット11の搬送方向と直交する方向である。以下では、その左右方向を梱包品1の幅方向と呼ぶことがある。なお、図4において、梱包品1のシュリンクフィルム6は図示が省略されている。
【0020】
図2及び図3に戻って、上部モジュール18は、カット部15側の上縁部1aに沿って設けられた一対の吸引パッド24と、それらの吸引パッド24と同様に上縁部1aに沿って設けられた一対の上部チャック25と、その上部チャック25を梱包品1の周囲に沿って駆動するチャック駆動機構26とを備えている。吸引パッド24は、カット部15による梱包品1の右側面上の切開位置を挟んで前後に対称的に設けられている。吸引パッド24は、切開されたシュリンクフィルム6の切れ端をそれぞれ吸着保持する手段として設けられている。上部チャック25は、吸引パッド24に吸着された切れ端のそれぞれを掴み取る手段として設けられている。チャック駆動機構26は、一対のエアーシリンダ27と、それらのエアーシリンダ27により支軸28を中心として旋回駆動される一対のアーム29と、アーム29の先端と上部チャック25との間に設けられたスライドユニット30とを備えている。スライドユニット30はそれぞれの長手方向に沿って上部チャック25を直線的に駆動する。
【0021】
チャック駆動機構26は、アーム29の回転運動と、スライドユニット30の直線運動との組み合わせにより、上部チャック25を梱包品1の周囲に沿って移動させる機構である。切開されたシュリンクフィルム6の切れ端が吸引パッド24及び上部チャック25にて順次把持され、それぞれの上部チャック25がチャック駆動機構26にて梱包品1の回りを巻き取りユニット14側まで駆動されることにより、空缶4等の周囲からシュリンクフィルム6が剥ぎ取られる。シュリンクフィルム6を剥ぎ取る際に、下部モジュール17及び上部モジュール18のそれぞれは必要に応じて昇降駆動される。カット部15によるシュリンクフィルム6の切開も、上述した吸引パッド24あるいは上部チャック25の動作と連係して適宜に行われる。空缶4等の周囲から剥ぎ取られたシュリンクフィルム6は、排出用のエアーシリンダ31によって巻き取りユニット14側へ押し出される。その押し出されたシュリンクフィルム6は、巻き取りユニット14にて巻き取られ、さらに所定の廃棄部に排出される。なお、開梱装置10には、上記の他にも、梱包品1の下面側の角部を拘束するユニット等が必要に応じて設けられてよい。
【0022】
開梱装置10の上述した位置決め機構20は、開梱ユニット13によるシュリンクフィルム6の切開に先立って、梱包品1の上縁部1aが、梱包品1の幅方向、言い換えれば、切開されたシュリンクフィルム6の除去が進行する方向に関してクランパー21で挟み込まれるように駆動される。そのため、開梱ユニット13の上述した開梱操作に先立って、梱包品1の上端部の幅方向におけるずれを位置決め機構20にて修正することが可能である。しかしながら、それらの位置決め機構20による位置決め可能な範囲(修正範囲)は、クランパー21が上縁部1aに届く範囲に限定される。クランパー21による修正範囲を超えるずれが生じた場合には、クランパー21が不適切に梱包品1と噛み合って梱包品1を正しく位置決めすることができない。その場合、シュリンクフィルム6の切れ端を上部チャック25が掴めない、といった不都合が生じるおそれがある。そこで、開梱装置10には、ずれ修正装置40がさらに設けられている。
【0023】
図3にハッチングを付して示したように、ずれ修正装置40は、作業位置にある梱包品1の4つの角部の近傍にそれぞれ配置された押圧部41A、41B、41C、41D(以下、参照符号41で代表することがある。)を備えている。図2から明らかなように、各押圧部41は、鉛直方向に関して、梱包品1の幅方向の両側面における上端部と位置を合わせるように配置されている。図4には、梱包品1の搬送方向前側に位置する一対の押圧部41A、41Bが示されている。図4から明らかなように、右側の押圧部41Aは、修正部材42と、その修正部材42を開梱装置10の左右方向に駆動する駆動装置としてのアクチュエータ43とを備えている。アクチュエータ43は、開梱装置10の左右方向に沿って伸縮可能なピストンロッド43aと、そのピストンロッド43aと平行に配置された一対のガイドロッド43bとを有するガイド付きエアーシリンダである。
【0024】
修正部材42は例えば樹脂を用いた直方体状の射出成形品である。ピストンロッド43a及びガイドロッド43bの先端は修正部材42にそれぞれ連結されている。アクチュエータ43は、ブラケット44を介してベース45に取り付けられている。ベース45は、例えばフレーム12の支柱12aに固定されている。押圧部41Aにおいて、アクチュエータ43の取付位置は、そのピストンロッド43aの伸長時に修正部材42が梱包品1の上端部の側面に接触できるように調整されている。図4から明らかなように、開梱装置10の高さ方向に関するアクチュエータ43の取付位置は、最上段の空缶4の下側に配置された敷板3A(図1も参照)と修正部材42とが接触できるように調整されている。
【0025】
一方、左側の押圧部41Bは、修正部材42と、その修正部材42を開梱装置10の左右方向に駆動する駆動装置としてのアクチュエータ43と、そのアクチュエータ43を開梱装置10の前後方向に駆動する補助アクチュエータ46とを備えている。修正部材42、及びアクチュエータ43は、右側の押圧部41Aの修正部材42及びアクチュエータ43と同様であるが、その配置は左右方向に反転されている。補助アクチュエータ46は、開梱装置10の前後方向に沿って伸縮可能なピストンロッド46aと、そのピストンロッド46aと平行に配置された一対のガイドロッド46bとを有するガイド付きエアーシリンダである。ピストンロッド46a及びガイドロッド46bの先端は、連結具47を介してアクチュエータ43とそれぞれ連結されている。アクチュエータ46はベース48に固定され、そのベース48は支柱49を介して床面F、あるいはフレーム12等の取付箇所に固定されている。補助アクチュエータ46は、そのピストンロッド46aを伸長させたときにアクチュエータ43が押圧部41Aのアクチュエータ43と左右対称な位置に移動するように調整されている。つまり、補助アクチュエータ46のピストンロッド46aを伸長させた状態で、押圧部41Bのアクチュエータ43のピストンロッド43aを伸長させた場合、その押圧部41Bの修正部材42は、右側の押圧部41Aの修正部材42と梱包品1の幅方向に対称な位置で梱包品1と接触する。
【0026】
図示を省略したが、押圧部41C、41Dも上述した押圧部41A又は押圧部41Bと同様に構成される。押圧部41C、41Dのそれぞれの修正部材42の梱包品1に対する接触位置は、押圧部41A、41Bと同様に最上段の空缶4の下側に配置された敷板3A上に設定される。したがって、各押圧部41のアクチュエータ43にて修正部材42を梱包品1に向かって駆動することにより、梱包品1の敷板3Aを前後方向に離れた2箇所にて修正部材42により左右方向に挟み込むことができる。さらに、各押圧部41において、梱包品1の幅方向における修正部材42の往復移動の範囲は、位置決め機構20のクランパー21による位置決め可能な範囲よりも十分に広く設定されている。また、梱包品1に対する修正部材42の接触位置は、グリッパー21の接触位置と干渉しないように設定されている。
【0027】
次に、図5〜図8を参照して、ずれ修正装置40の動作を説明する。図5は、ずれが生じている梱包品1が開梱装置10の作業位置に搬入されたときの状態を示している。その搬入時において、開梱ユニット13のフィルム除去部16は梱包品1の上方に待機し、各押圧部41の修正部材42は梱包品1の側方に後退した位置で待機している。補助アクチュエータ46が設けられている押圧部41に関しては、さらに補助アクチュエータ46のピストンロッド46aが後退して修正部材42が搬送方向にも後退している。梱包品1の搬入が完了すると、まず補助アクチュエータ46のピストンロッド46aが伸ばされて、その補助アクチュエータ46とアクチュエータ43を介して連結された修正部材42が梱包品1と対向する位置に繰り出される。
【0028】
続いて、図6に示したように、各押圧部41のアクチュエータ43のピストンロッド43aが互いに同期して伸ばされて各修正部材42が梱包品1の上端部に押し付けられる。これにより、梱包品1の上端部が修正部材42間に挟み込まれ、その幅方向に関するずれが修正される。次に、図7に示したように開梱ユニット13の少なくとも下部モジュール17が下降し、各位置決め機構20のクランパー21が拘束位置へと駆動される。このとき、梱包品1の上端部のずれは修正装置40にて既に修正されている。したがって、クランパー21が梱包品1の上縁部1aに確実に噛み合って梱包品1の上端部がクランパー21間に適切に挟み込まれ、それにより梱包品1の上端部が正しく位置決めされる。
【0029】
その後、図8に示したように、アクチュエータ43のピストンロッド43aが後退して修正部材42が梱包品1から離される。補助アクチュエータ46が設けられている押圧部41に関しては、さらに補助アクチュエータ46のピストンロッド46aが後退駆動されて修正部材42が元の位置に戻される。修正部材42が梱包品1から離された後、開梱ユニット13によるシュリンクフィルム6の切開及び剥ぎ取り操作が開始される。梱包品1の上端部が正しく位置決めされた状態でそれらの操作が行われるので、梱包品1の位置決め不良に起因するチャック不良といった不都合が発生するおそれはない。
【0030】
ずれ修正装置40においては、最上段の空缶4の下側に配置された敷板3Aの位置で修正部材42を梱包品1と接触させているので、空缶4に不要な荷重を加えることなく梱包品1のずれを修正することが可能である。ただし、グリッパー21の梱包品1に対する接触位置と干渉するおそれがない場合には、トップフレーム5の位置で修正部材42を梱包品1と接触させてもよい。つまり、上記の形態では、仕切部材として敷板3及びトップボード5が設けられているため、それらの仕切部材のうち、少なくとも一つの仕切部材の位置で修正部材42を梱包品1と接触させればよい。押圧部41Bにおいて、アクチュエータ43を補助アクチュエータ46により搬送方向前方に後退可能としたため、シュリンクフィルム6を除去して巻き取りユニット14へと受け渡す際に、修正部材42及びアクチュエータ43が邪魔にならない利点がある。ただし、補助アクチュエータ46によるアクチュエータ43の駆動方向は梱包品1の搬送方向に限らず、例えば鉛直方向上方その他の方向にアクチュエータ43を後退させてもよい。
【0031】
以上の形態では、位置決め機構20が位置決め手段に、開梱ユニット13が除去手段に、アクチュエータ43が修正駆動手段に、補助アクチュエータ46が補助駆動手段にそれぞれ相当する。ただし、本発明は上記の形態に限定されることなく、適宜の形態にて実施することができる。例えば、修正部材42の形状、修正部材42と梱包品1との接触位置又は範囲は、位置決め機構20、梱包品1の形態等に応じて適宜に変更してよい。修正駆動手段はエアーシリンダを用いたアクチュエータ43に限定されず、モータその他の各種のアクチュエータを利用して修正部材を駆動するよう構成されてもよい。修正駆動手段による修正部材の駆動方向は直線的な例に限らない。修正部材が所定方向(図示の形態では梱包品1の幅方向)に移動する限りにおいて、例えば修正部材を円弧状の軌跡に沿って駆動するように修正駆動手段が構成されてもよい。図示の形態では、4つの修正部材を用いたが、位置決め手段による位置決め方向に関して少なくとも一箇所で梱包品の上端部を挟み込むように設けられていればよい。すなわち、修正部材は少なくとも一対あればよい。
【0032】
本発明のずれ修正装置が適用される開梱装置の構成も適宜に変更可能である。例えば、位置決め手段は、グリッパー21を利用する例に限らず、梱包品1の上端部を位置決めできる限りにおいて適宜に変更されてよい。除去手段も開梱ユニット13の例に限らず、適宜に変更されてよい。例えば、チャックを用いることなく、吸引パッドのみでフィルムを把持しつつ剥ぎ取るように除去手段が構成されてもよい。包装材はシュリンクフィルムに限らない。さらに、梱包品に含まれる物品は空缶に限定されず、適宜に変更されてよい。
【符号の説明】
【0033】
1 梱包品
1a 梱包品の上縁部
3 敷板(仕切部材)
3A 敷板
4 空缶(物品)
5 トップフレーム(仕切部材)
6 シュリンクフィルム(包装材)
10 開梱装置
12 フレーム
13 開梱ユニット(除去手段)
14 巻き取りユニット
15 カット部
16 フィルム除去部
20 位置決め機構(位置決め手段)
21 クランパー
24 吸引パッド
25 上部チャック
26 チャック駆動機構
40 ずれ修正装置
41A、41B、41C、41D 押圧部
42 修正部材
43 アクチュエータ(修正駆動手段)
46 補助アクチュエータ(補助駆動手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品を複数段に積み重ねて包装材で包装した概略直方体形状の梱包品の互いに対向する上端部を所定方向に挟み込むことにより、当該上端部を前記所定方向に関して位置決めする位置決め手段と、前記梱包品から前記包装材を除去する除去手段とを備えた開梱装置に適用される梱包品のずれ修正装置であって、
前記梱包品の前記所定方向における両側面の上端部とそれぞれ対向するように配置された少なくとも一対の修正部材と、
前記一対の修正部材を、前記位置決め手段の前記所定方向における位置決め可能な範囲よりも広い範囲で前記所定方向に駆動する修正駆動手段と、
を備えた梱包品のずれ修正装置。
【請求項2】
前記梱包品が前記物品と仕切部材とを交互に積み重ねた積層構造を有し、前記修正部材は少なくとも一つの仕切部材の位置にて前記梱包品と接触できるように配置されている請求項1に記載のずれ修正装置。
【請求項3】
前記物品の各段の間には、前記仕切部材として敷板が配置され、前記修正部材は、最上段の物品の下側に配置された敷板の位置で前記梱包品と接触できるように配置されている請求項2に記載のずれ修正装置。
【請求項4】
少なくとも一つの修正駆動手段を、前記修正部材が前記梱包品の前記上端部と対向する位置と当該修正部材が前記対向する位置よりも前記梱包品から離れた位置との間で往復するように駆動する補助駆動手段をさらに備えた請求項1〜3のいずれか一項に記載のずれ修正装置。
【請求項5】
前記除去手段が前記所定方向における前記梱包品の一方の側面にて前記包装材を切開し、その切開された包装材の切れ端を掴んで前記所定方向に前記包装材を剥ぎ取るように構成されている請求項1〜4のいずれか一項に記載のずれ修正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−136738(P2011−136738A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298065(P2009−298065)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【Fターム(参考)】