説明

梱包材および梱包体

【課題】被梱包物を梱包した梱包体の角部に衝撃が加わったとしても、収納容体と蓋体との位置ずれを抑制することができる梱包材を提供する。
【解決手段】被梱包物Pを収納する収納凹部22が形成された収納容体20と、収納凹部22に形成された開口部22aを密閉するように収納容体20を覆う蓋体10とを少なくとも備えた梱包材である。蓋体10の裏面11には、収納凹部22の開口部22aに嵌合する中央凸部12が形成されており、開口部22aを挟んだ少なくとも対角の位置にある収納容体の容体隅部25と、梱包時に容体隅部25に対接する位置の蓋体裏面11の蓋体隅部15とには、収納容体20と蓋体10との位置ずれを防止するために相互に嵌合する隅嵌合部16,26が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被梱包物を収納する収納凹部が形成された収納容体と、収納凹部に形成された開口部を密閉するように収納容体を覆う蓋体とを少なくとも備えた梱包材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被梱包物を梱包する梱包材として、収納容体と蓋体とが用いられている。収納容体の上部には、開口部を介して被梱包物を収納するための収納凹部が形成されており、蓋体は、この収納凹部から露呈した被梱包物を覆うようになっている。
【0003】
このような梱包材として、たとえば特許文献1に示す如き梱包材が開示されている。この梱包材は、収納凹部が形成された収納容体と、前記収納凹部の開口部に係合する凸部が形成された蓋体とを備えている。蓋体の裏面側における対向する側辺部には、裏面から突出した封止部が形成されており、収納容体には、蓋体の封止部に嵌合する通気部が、開口部に連続して形成されている。
【0004】
また、特許文献2には、複数の収納凹部が形成された収納容体と、各収納凹部の周縁に嵌合する凸部とを備えた蓋体とを備えた梱包材が開示されている。さらに、収納容体を上下方向に段積みしたときに、上位に位置する収納容体の底面には、下位に位置する収納容体の各収納凹部の周縁に嵌合する凸部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−323038号公報
【特許文献2】実開平4−27730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および2に開示された梱包材を用いて、例えばガラスパネルなどの脆性材料からなる被梱包物を上下方向に重ねて、収納容体の収納凹部に収納し、収納凹部を蓋体で覆い、その周りを樹脂バンドで縛ることにより、梱包体とすることができる。
【0007】
しかしながら、このように梱包された梱包体を、梱包体の角部から落下させたときに、その落下による衝撃により、収納容体に対して蓋体の位置がずれたり、さらには、蓋体の位置ずれにより、被梱包物が収納凹部から飛び出して破損したりすることがあった。
【0008】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、被梱包物を梱包した梱包体の角部に衝撃が加わったとしても、収納容体と蓋体との位置ずれを抑制することができる梱包材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、本発明に係る梱包材は、被梱包物を収納する収納凹部が形成された収納容体と、前記収納凹部に形成された開口部を密閉するように前記収納容体を覆う蓋体とを少なくとも備えた梱包材であって、前記蓋体の裏面には、前記収納凹部の開口部に嵌合する中央凸部が形成されており、記開口部を挟んだ少なくとも対角の位置にある前記収納容体の容体隅部と、梱包時に該容体隅部に対接する位置の前記蓋体裏面の蓋体隅部とには、前記収納容体と前記蓋体との位置ずれを防止するために相互に嵌合する隅嵌合部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、梱包時に、容体隅部と蓋体隅部とが対接する位置に、相互に嵌合する隅嵌合部が形成されているので、被梱包物を梱包した梱包体の角部に衝撃が加わったとしても、この角部を起点とした収納容体と蓋体との位置ずれを抑制することができる。また、収納凹部に被梱包物を収納した状態で、蓋体の中央凸部により、収納凹部内の被梱包物を押えることも可能である。
【0011】
ここで、隅嵌合部として、容体隅部に嵌合凸部が形成されている場合には、蓋体隅部には、この嵌合凸部に嵌合する嵌合凹部が形成されることになる。一方、容体隅部に嵌合凹部が形成されている場合には、蓋体隅部には、この嵌合凹部に嵌合する嵌合凸部が形成されることになる。
【0012】
そして、隅嵌合部は、相互に嵌合する構造であれば、その形状は特に限定されるものではなく、その嵌合凸部の断面(梱包材の厚さ(高さ)方向に直交する断面)は、円状、I字状、矩形状、またはL字状などを挙げることができる。しかしながら、より好ましい態様としては、前記隅嵌合部は、前記開口部または前記中央凸部の隅部を囲うように形成されたL字状の嵌合凸部と、該L字状の嵌合凸部に嵌合するL字状の嵌合凹部とからなる。
【0013】
この態様によれば、開口部の隅部または中央凸部の隅部を囲うように、L字状の嵌合凸部及びL字状の嵌合凹部からなる隅嵌合部が形成されるので、L字形状を構成する2つ方向に延在した隅嵌合部の各部分で、衝撃時に作用する被梱包物の角部に作用する衝撃力を受けることができる。これにより、収納容体と蓋体との位置ずれをより確実に抑制することができる。
【0014】
さらに、より好ましい態様としては、前記蓋体の裏面側における対向する各側辺部には、梱包時に前記中央凸部との間において前記収納容体の側壁部の一部を挟持するように、前記側辺部に沿って側辺凸部が形成されており、前記収納容体の側壁部には、前記側辺凸部に嵌合する側辺凹部が、形成されている。
【0015】
この態様によれば、たとえ、梱包時に、蓋体の裏面側に形成された側辺凸部と中央凸部とにより、収納容体の側壁部の一部が挟持されると共に、この側辺凸部が、収納容体の側壁部に形成された側辺凹部に嵌合しているので、梱包状態において収納容体と蓋体との密着強度がさらに増す。これにより、衝撃により収納容体に対して蓋体が外れる方向にモーメントが作用したとしても、収納容体と蓋体との位置ずれを抑えることができる。
【0016】
また、さらに好ましい態様としては、前記側辺凸部の高さは、前記中央凸部の高さよりも高い。この態様によれば、たとえ、衝撃時に、蓋体の中央凸部と、収納容体の開口部との嵌合状態が解除されようとしても、梱包体の周縁部において、側辺凸部が中央凸部よりもさらに深い位置で、収納容体と嵌合しているので、収納容体と蓋体との位置ずれをより一層確実に抑えることができる。
【0017】
また、より好ましい態様としては、上述した梱包材は、前記収納容体を複数備えており、該複数の収納容体を上下方向に段積みした状態で、上位に位置する収納容体の底面には、下位に位置する収納容体の収納凹部の開口部に嵌合する底面中央凸部と、前記下位に位置する収納容体の前記隅嵌合部に嵌合する底面隅嵌合部と、が形成されている。
【0018】
この態様によれば、複数の収納容体を上下方向に段積みした状態で、下位の位置する収納容体の収納凹部を密閉状態にすると共に、底面中央凸部と、底面隅嵌合部とにより、上下に段積みされた収納容体の位置ずれを抑制することができる。
【0019】
また、より好ましい態様としては、前記収納凹部には、該収納凹部から前記被梱包物が取り出し可能なように、前記収納凹部から前記収納容体の側壁部に向かって張出した張出し凹部が形成されている。この態様によれば、張出し凹部を利用して、被梱包物を容易に収納凹部から取り出すことができる。
【0020】
さらに、より好ましい態様としては、前記収納凹部には、該収納凹部に収納された前記被梱包物の角部と前記収納凹部の側壁部との間に空間が形成されるように、該収納凹部の隅部から張出した角部張出し凹部が形成されており、該角部張出し凹部を形成する底面は、前記被梱包物が接触する収納凹部の底面に対して前記収納容体の外側に向かって傾斜している。
【0021】
この態様によれば、梱包体に衝撃が作用した際に、該収納凹部に収納された前記被梱包物の角部と前記収納凹部の側壁部との間に形成された空間に、被梱包物の角部を逃がすことができ、被梱包物の角部の損傷を回避することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、被梱包物を梱包した梱包体の角部に衝撃が加わったとしても、収納容体と蓋体との位置ずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係る梱包材を構成する蓋体の模式的斜視図であり、(a)は、表面側から見た斜視図であり、(b)は、裏面側から見た斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る梱包材の斜視図。
【図3】図2に示す梱包材で梱包した梱包体の模式的断面図であり、(a)は、梱包体の角部近傍の断面図であり、(b)は、図2に示すA−A線に沿った矢視断面図。
【図4】本発明に係る第2実施形態に係る梱包材を示した模式的斜視図であり、(a)は、裏面側から見た蓋体の斜視図であり、(b)は、表面側から見た収納容体の斜視図。
【図5】(a)は、図4に示す梱包材で梱包した梱包体の側辺部近傍の模式的断面図であり、(b)は(a)の変形例を示す模式的斜視図。
【図6】(a)は、本発明に係る第3実施形態に係る梱包材を構成する収納容体の裏面側から見た収納容体の模式的斜視図、(b)は、本発明に係る第3の実施形態に係る梱包材を構成する蓋体の表面側から見た蓋体の模式的斜視図。
【図7】、図6(a),(b)に示す梱包材を用いて、蓋体および梱包容体を段積みしたときの図6(b)のB−B線に沿った模式的矢視断面図。
【図8】本発明の第4実施形態に係る梱包材を構成する収納容体の模式的斜視図。
【図9】図8に示す収納容体を用いて被梱包物を梱包した梱包体の側辺近傍の模式的断面図。
【図10】図8に示す収納容体の変形例を示しており、被梱包物を梱包した梱包体の角部近傍の模式的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図1〜図10を用いて、本発明に係る梱包材のいくつかの実施形態を説明する。
【0025】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る梱包材を構成する蓋体の模式的斜視図であり、(a)は、表面側から見た斜視図であり、(b)は、裏面側から見た斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態に係る梱包材の斜視図である。図3は、図2に示す梱包材で梱包した梱包体の模式的断面図であり、(a)は、梱包体の角部近傍の断面図であり、(b)は、図2に示すA−A線に沿った矢視断面図である。
【0026】
図1〜図3に示すように、梱包材1は、ガラスパネル等の複数枚の被梱包物Pを重ねて梱包するための梱包材である。梱包材1は、蓋体10と収納容体20を備えている。蓋体10および収納容体20の材質としては、熱可塑性樹脂の発泡成形体であることが好ましい。熱可塑性樹脂には、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えばポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、またはポリ乳酸)、またはポリカーボネート系樹脂などが挙げられ、単一の樹脂や複数の樹脂を複合したものを使用できる。被梱包物がガラスパネルや電子部品である場合には、帯電防止処理された発泡用原料が好ましく、例えば積水化成品工業(株)製のEPS(NEML)、ピオセランLシリーズ(LP−30ENTR等)、Oシリーズ(OP−15ENS)、Sシリーズ(SP−40DNT)などを挙げることができる。
【0027】
図1(a)に示すように、蓋体10は、短手方向および長手方向の寸法が、収納容体20の寸法と一致しており、蓋体10には、その短手方向および厚さ方向に沿って、複数のバンド溝18,18,…が形成されている。図1(b)に示すように、蓋体10の裏面11の中央には、後述する収納凹部22の開口部22aの形状(図2参照)に応じた形状であって、開口部22aに嵌合する中央凸部12が形成されている。
【0028】
図2に示すように、収納容体20は、底部23と、底部23の周りから立ち上がった側壁部24と、を有しており、底部23の外面(底面)と、側壁部24の外側面とには、梱包時に蓋体10のバンド溝18と連続するように、バンド溝28,28,・・・が形成されている。
【0029】
また、収納容体20の中央には、底部23および側壁部24により、被梱包物Pを収納するための収納凹部22が形成されている。そして、上述した蓋体10の裏面11に形成された中央凸部12が、収納凹部22に形成された開口部22aに嵌合することにより、収納凹部22の内部が密閉される。これにより、梱包体100の外気およびこれに含まれる埃などが、収納凹部22に進入することを防止することができる。
【0030】
さらに、本実施形態では、収納容体20の開口部22aを挟んだ少なくとも対角の位置にある容体隅部25(具体的には収納容体20の四隅)と、梱包時に容体隅部25に対接する位置の蓋体裏面11の蓋体隅部(具体的には蓋体10の四隅)15とには、収納容体20と蓋体10との位置ずれを防止するために相互に嵌合する隅嵌合部16、26が形成されている。
【0031】
具体的には、隅嵌合部は、I字状の嵌合凸部(凸条部)16とI字状の嵌合凹部(凹溝部)26とからなる。嵌合凸部16は、蓋体隅部15に相当する蓋体10の裏面11の四隅において、長手方向に沿って延在している。一方、嵌合凹部26は、容体隅部25に相当する収納容体20の四隅(側壁部24の上側隅部)において、収納容体20の長手方向に沿って延在している。
【0032】
そして、被梱包物Pを収納した収納容体20を蓋体10で覆い、蓋体10の中央凸部12を収納容体20の開口部22aに嵌合させたときに(図3(b)参照)、これと同時に、嵌合凸部16と嵌合凹部26同士が嵌合する(図3(a)参照)。この嵌合状態で、バンド溝18,28に沿って3本のPPバンドなどの樹脂製バンド(図示せず)で、蓋体10および収納容体20を縛ることにより、梱包体100とされる。
【0033】
本実施形態によれば、梱包時に、蓋体隅部15と容体隅部25とが対接する位置に、相互に嵌合する嵌合凸部16および嵌合凹部26が形成されているので、被梱包物Pを梱包した梱包体100の角部に衝撃が加わったとしても、この角部を起点とした収納容体20と蓋体10との位置ずれを抑制することができる。また、収納凹部22に被梱包物Pを収納した状態で、蓋体10の中央凸部12により、収納凹部22内の被梱包物Pを押えることができる。
【0034】
〔第2実施形態〕
図4は、本発明に係る第2実施形態に係る梱包材を示した模式的斜視図であり、(a)は、裏面側から見た蓋体の斜視図であり、(b)は、表面側から見た収納容体の斜視図である。図5は、(a)は、図4に示す梱包材で梱包した梱包体の側辺部近傍の模式的断面図であり、(b)は(a)の変形例を示す模式的斜視図である。
【0035】
第2実施形態に係る梱包材が第1実施形態のものと相違する点は、収納容体の開口部周りの形状と、蓋体の中央凸部周りの形状である。したがって、第1実施形態と同じ構成には、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0036】
図4(a),(b)に示すように、本実施形態では、隅嵌合部16A,26Aの形状(梱包材の厚さ方向と交差する断面形状)が、L字状となっている。具体的には、蓋体隅部15には、L字状の嵌合凸部(凸条部)16Aが形成されている。L字状の嵌合凸部16Aは、中央凸部12の隅部12aを囲うように、中央凸部12から離間して形成されている。L字状の嵌合凸部16Aは、蓋体10の短手方向に沿って延在した凸部分16aと、蓋体10の長手方向に沿って延在した凸部分16bとからなる。
【0037】
一方、容体隅部25には、L字状の嵌合凹部(凹溝部)26Aが形成されている。L字状の嵌合凹部26Aは、嵌合凸部16Aに嵌合する形状であり、開口部22aの隅部22bを囲うように、開口部22aから離間して形成されている。L字状の嵌合凹部26Aは、収納容体20の短手方向に沿って延在した凹部分26aと、収納容体20の長手方向に沿って延在した凹部分26bとからなる。
【0038】
このように、L字状の嵌合凸部16A及びL字状の嵌合凹部26Aからなる隅嵌合部が、蓋体10および収納容体20に形成されるので、L字形状を構成する短手方向および長手方向に延在した嵌合凸部の凸部分16a,16bが凹部分26a,26bに嵌合し、それぞれの方向において、衝撃時に作用する被梱包物の角部に作用する衝撃力を受けることができる。これにより、蓋体10と収納容体20との位置ずれをより確実に抑制することができる。
【0039】
さらに、図4(a),(b)および図5(a)に示すように、蓋体10の裏面11側における長手方向および短手方向に沿った、対向する各側辺部11aには、梱包時に中央凸部12との間において収納容体の側壁部24の一部24aを挟持するように、側辺凸部17,17,…が形成されている。すなわち、各側辺凸部17は、中央凸部12と離間して形成されている。一方、収納容体20の側壁部24の上面21の側辺部21bには、側辺凸部17に嵌合する側辺凹部27が、形成されている。
【0040】
この態様によれば、たとえ、図5(a)に示すように、梱包時に、蓋体10の裏面11側に形成された側辺凸部17と中央凸部12とにより、収納容体20の側壁部24の一部24aが挟持されると共に、この側辺凸部17が、収納容体20の側壁部24に形成された側辺凹部27に嵌合している。これにより、梱包状態において収納容体20と蓋体10との密着強度が第1実施形態のものよりも増しているので、収納容体20に対して蓋体10が外れる方向にモーメントMが作用したとしても、蓋体10と収納容体20との位置ずれを抑えることができる。
【0041】
また、図5(b)に示すように、側辺凸部17Aの高さが、中央凸部12の高さよりも高くしてもよい。この態様によれば、たとえ、衝撃時に、蓋体10の中央凸部12と、収納容体20の開口部との嵌合状態が解除されようとしても、梱包体100の周縁において、側辺凸部17Aが、中央凸部12よりもさらに深い位置で、収納容体20と嵌合しているので、蓋体10と収納容体20との位置ずれをより一層確実に抑えることができる。
【0042】
〔第3実施形態〕
図6(a)は、本発明に係る第3実施形態に係る梱包材を構成する収納容体の裏面側から見た収納容体の模式的斜視図、図6(b)は、本発明に係る第3の実施形態に係る梱包材を構成する蓋体の表面側から見た蓋体の模式的斜視図である。図7は、図6(a),(b)に示す梱包材を用いて、蓋体および梱包容体を段積みしたときの図6(b)のB−B線に沿った模式的矢視断面図である。
【0043】
第3実施形態に係る梱包材が第2実施形態のものと相違する点は、収納容体の底面の形状と、蓋体の表面の形状である。したがって、第2実施形態と同じ構成は、同じ符号を付して、詳細な説明を一部省略する。
【0044】
第3の実施形態に係る梱包材は、図6(a),(b)に示すような、蓋体10および収納容体20を複数備えている。そして、図6(a)および図7に示すように、複数の収納容体20を上下方向に段積みした状態で、上位に位置する収納容体20の底面29には、下位に位置する収納容体20の収納凹部22の開口部22aに嵌合する底面中央凸部29aと、下位に位置する収納容体20の嵌合凹部26Aに嵌合する底面嵌合凸部29bと、が形成されている。また、底面29の側辺部29cには、側辺凹部29dが形成されている。
【0045】
さらに、図6(b)および図7に示すように、蓋体10の上面に、図6(a)に示す収納容体20を段積みした状態で、底面中央凸部29aに嵌合する上面中央凹部19aと、各底面嵌合凸部29bに嵌合する上面嵌合凹部19bと、が形成されている。
【0046】
このようにして、複数の収納容体20,20を上下方向に段積みした状態で、上位の位置する収納容体20の底面中央凸部29aにより、下位の位置する収納容体20の収納凹部22を密閉状態にすることができる。さらに、底面中央凸部29aと、底面嵌合凸部29bとにより、上下に段積みされた収納容体20の位置ずれを抑制することができる。
【0047】
また、底面中央凸部29aを設けることにより、収納容体20の底部23の肉厚を第1実施形態よりも厚くすることができるので、収納容体20の強度を高めることができる。さらに、収納容体20の底面29の側辺部29cには、側辺凹部29dが形成されているので、段積み時に、底面29に形成された側辺凹部29dにより形成された隙間にロボットアームを挿入し、収納容体20を容易に搬送することができる。
【0048】
〔第4実施形態〕
図8は、本発明の第4実施形態に係る梱包材を構成する収納容体の模式的斜視図であり、図9は、図8に示す収納容体を用いて被梱包物を梱包した梱包体の側辺近傍の模式的断面図である。図10は、図8に示す収納容体の変形例を示しており、被梱包物を梱包した梱包体の角部近傍の模式的断面図である。
【0049】
第4実施形態に係る梱包材が第3実施形態のものと相違する点は、収納容体に形成された収納凹部の形状である。したがって、第3実施形態と同じ構成は、同じ符号を付して、詳細な説明を一部省略する。
【0050】
図8、図9に示すように、本実施形態に係る収納容体20には、収納凹部22が形成されており、収納凹部22には、収納凹部22から被梱包物Pが取り出し可能なように、収納凹部22から、側壁部24の内面側に向かって、張出した張出し凹部22cが形成されている。張出し凹部22cは、さらに底面側にも下方に張出しており、これにより、張出し凹部22cに作業者が指または手を挿入して、被梱包物Pを容易に収納凹部22から取り出すことができる。
【0051】
さらに、収納凹部22には、収納凹部22に収納された被梱包物Pの角部P1と収納凹部22を形成する側壁部24との間に空間が形成されるように、収納凹部22の隅部から張出した角部張出し凹部22dが形成されている。
【0052】
このようにして、被梱包物Pを収納しようとした際には、被梱包物Pの角部P1が、収納凹部を形成する側壁部24に接触することを回避することができる。そして、図10に示すように、角部張出し凹部22dを形成する底面22eを、被梱包物Pが接触する収納凹部22の底面22fに対して収納容体20の外側に向かって傾斜させてもよい。これにより、収納凹部22に収納された被梱包物Pの角部P1と収納凹部22の底面22eとの間に形成された空間Sに、被梱包物Pの角部P1を逃がすことができ、被梱包物Pの角部P1の損傷を回避することができる。
【実施例】
【0053】
本発明を以下の実施例により説明する。
〔実施例1〕
実施例1では、図2に示す第1実施形態に相当する梱包材を製作した。外寸が、長手方向821mm、短手方向555mm、高さ(厚さ)87mmであり、長手方向721mm、短手方向415mm、深さ57mmの収納凹部を形成され、さらに、図1に示すように、四隅にI字状の深さ5mmの嵌合凹部が形成され、発泡材(LP−30ENTR積水化成品工業(株)製)を用いて、収納容体を成形した。
【0054】
さらに、外寸が、長手方向821mm、短手方向555mm、高さ30mm、肉厚24.5mmであり、裏面から長手方向721mm、短手方向415mm、高さ5mmの中央凸部が形成され、さらに、四隅にI字状の高さ5mmの嵌合凸部が形成されるように、発泡材(LP−30ENTR積水化成品工業(株)製)を用いて、蓋体を成形した。
【0055】
〔実施例2〕
実施例2では、図4に示すように第2実施形態に相当する梱包材を製作した。実施例1の収納容体と相違する点は、嵌合凹部の形状をL字状にした点と、収納容体の側辺部に、深さ5mm、長手方向の溝長さ500mm、短手方向の溝長さ340mmの側辺凹部を形成した点である。実施例1の蓋体と相違する点は、嵌合凸部の形状をL字状にした点と、蓋体の裏面の側辺部に、高さ5mm、長手方向の長さ500mm、短手方向の長さ340mmの側辺凸部を形成した点である。
【0056】
〔比較例〕
実施例1と同じように、梱包材を作製した。実施例1と相違する点は、収納容体に嵌合凹部を形成せず、蓋体に嵌合凸部を形成しなかった点である。
【0057】
<評価試験>
32inch、厚さ1.4mmのガラスパネル20枚と、厚さ1mmの合紙21枚を交互に、実施例1、2、比較例1の収納容体に収容して、それぞれ、蓋体を配置し、短辺側を3箇所PPバンドで締めて、蓋体と収納容体とを固定し、梱包体とした。
【0058】
落下試験機 型式:DT−100 SERIAL NO.1805(神栄テクノロジー株式会社製)を用いて、落下試験機を40cmの高さにセットし、それぞれの梱包体を角落下、短稜落下、中稜落下、長稜落下の順番で落下させた。
【0059】
<結果および考察>
比較例の場合には、蓋体と収納容体とに位置ずれが生じた。実施例1の場合には、中稜落下で蓋体と収納容体とがわずかに開いたが、これらに大きな位置ずれはなく、ガラスパネルの飛び出しは無かった。蓋に破損は見られなかった。実施例2の場合には、蓋体と収納容体とに全く位置ずれはなく、ガラスパネルの飛び出しは無かった。
【0060】
比較例の場合、蓋体と収納容体とに位置ずれが生じたのは、蓋体と収納容体との四隅に、隅嵌合部が形成されていなかったからであると考えられる。また、実施例2の場合、蓋体と収納容体とに全く位置ずれが無かったのは、隅嵌合部をL字状にし、さらに、側辺凸部および側辺凹部を形成したことにより、蓋体と収納容体との密着強度が向上したからであると考えられる。
【0061】
以上、本発明の実施の形態を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【0062】
例えば、第1〜第4実施形態では、隅嵌合部として、蓋体に嵌合凸部、容体に嵌合凹部を設けたが、蓋体に嵌合凹部、容体に嵌合凸部を設けてもよく、さらに、四隅にこれらを設けたが、開口部(中央凸部)を挟んだ対角の位置にのみ、隅嵌合部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1:梱包材、10:蓋体、11:裏面、11a:側辺部、12:中央凸部、12a:隅部、15:蓋体隅部、16、16A:嵌合凸部(隅嵌合部)、16a,16b:凸部分、17、17A:側辺凸部、18:バンド溝、19a:上面中央凹部、19b:上面嵌合凹部、20:収納容体、21b:側辺部、21b:側辺部、22:収納凹部、22a:開口部、22b:隅部、22c:張出し凹部、22d:角部張出し凹部、22e:底面、22f:底面、23:底部、23a:底面、24:側壁部、24a:側壁部の一部、25:容体隅部、26,26A:嵌合凹部(隅嵌合部)、26a,26b:凹部分、27:側辺凹部、28:バンド溝、29:底面、29a:底面中央凸部、29b:底面嵌合凸部、29c:側辺部、29d:側辺凹部、100:梱包体、P:被梱包物、P1:角部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被梱包物を収納する収納凹部が形成された収納容体と、前記収納凹部に形成された開口部を密閉するように前記収納容体を覆う蓋体とを少なくとも備えた梱包材であって、
前記蓋体の裏面には、前記収納凹部の開口部に嵌合する中央凸部が形成されており、
前記開口部を挟んだ少なくとも対角の位置にある前記収納容体の容体隅部と、梱包時に該容体隅部に対接する位置の前記蓋体裏面の蓋体隅部とには、前記収納容体と前記蓋体との位置ずれを防止するために相互に嵌合する隅嵌合部が形成されていることを特徴とする梱包材。
【請求項2】
前記隅嵌合部は、前記開口部または前記中央凸部の隅部を囲うように形成されたL字状の嵌合凸部と、該L字状の嵌合凸部に嵌合するL字状の嵌合凹部とからなることを特徴とする請求項1に記載の梱包材。
【請求項3】
前記蓋体の裏面側における対向する各側辺部には、梱包時に前記中央凸部との間において前記収納容体の側壁部の一部を挟持するように、前記側辺部に沿って側辺凸部が形成されており、前記収納容体の側壁部には、前記側辺凸部に嵌合する側辺凹部が、形成されていることを特徴とする請求項1に記載の梱包材。
【請求項4】
前記側辺凸部の高さは、前記中央凸部の高さよりも高いことを特徴とする請求項3に記載の梱包材。
【請求項5】
前記梱包材は、前記収納容体を複数備えており、
該複数の収納容体を上下方向に段積みした状態で、上位に位置する収納容体の底面には、下位に位置する収納容体の収納凹部の開口部に嵌合する底面中央凸部と、
前記下位に位置する収納容体の前記隅嵌合部に嵌合する底面隅嵌合部と、が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の梱包材。
【請求項6】
前記収納凹部には、該収納凹部から前記被梱包物が取り出し可能なように、前記収納凹部から前記収納容体の側壁部に向かって張出した張出し凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の梱包材。
【請求項7】
前記収納凹部には、該収納凹部に収納された前記被梱包物の角部と前記収納凹部の側壁部との間に空間が形成されるように、該収納凹部の隅部から張出した角部張出し凹部が形成されており、該角部張出し凹部を形成する底面は、前記被梱包物が接触する収納凹部の底面に対して前記収納容体の外側に向かって傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の梱包材。
【請求項8】
請求項1に記載の梱包材の収納凹部に前記被梱包物を梱包した梱包体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−79087(P2013−79087A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218707(P2011−218707)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】