説明

梱包構造

【課題】原反積層体の終端部の引き出し長さを長く確保できるようにし、複数の原反積層体を相互に接続する際の作業性を改善することのできる梱包構造を提供すること。
【解決手段】帯状の剥離シートRLにラベルLが仮着された原反Rをジグザグに折り畳んだ原反積層体Uが梱包ケース10内に収容されている。原反積層体Uは、始端部を含む始端領域Sが梱包ケース10の一面である頂壁12の内側に位置する一方、終端部を含む引出領域Eが梱包ケース10の他面である前壁13の内側に位置する状態で収容されている。この梱包ケース10は、頂壁12、前壁13及び両側壁15の略半分が取り除き可能に設けられおり、これにより、原反積層体Uが表出可能となっている。原反積層体Uは、フィルム包装体Fで被覆された状態で梱包ケース10内に収容され、フィルム包装体Fは、上半部F1と下半部F2に分離された後にそれぞれ取り除き可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は梱包構造に係り、特に、帯状の剥離シートに接着シートが仮着された原反を梱包ケースから取り出すことなく連続的に供給することができ、例えば、ラベル(接着シート)を連続的に貼付可能としたシート貼付装置の供給部に用いることに適した梱包構造に関する。
【背景技術】
【0002】
帯状の剥離シートに接着シート(ラベル)が仮着された原反を用いて前記ラベルを被着体に貼付する場合、前記原反をロール状に巻回しておき、当該原反を繰り出しながらピールプレート等の先端にてラベルを剥離しつつ被着体に貼付することが行われている。
しかしながら、ロール状に巻回された原反にあっては、巻き癖がついてラベルがカールしてしまい、このようなラベルを被着体に貼付しようとすると、ピールプレートの先端でラベルが剥離できなかったり、剥離されたラベルが反り返って意図しない部位に接着して貼付不良を多発する、という不都合がある。
【0003】
このような不都合は、例えば、特許文献1に記載される梱包構造を備えたものを適用することで解消することができる。同文献には、帯状の剥離シートにラベルが仮着された原反を折り畳んで梱包ケースに収容したものを複数準備し、先行使用される原反の終端部と、続いて使用される原反の始端部とを接続することで、原反の連続的な繰り出しを可能とする構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−321018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された梱包構造にあっては、上部が開放した梱包ケースを用い、原反の繰出方向始端部を梱包ケースの上部に位置させる一方、原反の終端部を梱包ケースの側壁に沿わせて上方に表出させる構成となっている。この梱包構造では、前記終端部を別の原反の始端部に接続することにより、ラベル貼付装置に対して原反の連続的な供給が可能となる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された梱包構造にあっては、原反の終端部が梱包ケースの側壁上端から僅かに表出する構造であり、当該終端部と、別の原反の始端部とを相互に接続する際の作業領域が非常に狭くなり、原反相互の接続作業が繁雑になる、という不都合がある。
【0007】
また、特許文献1の梱包構造では、原反の残量を確認する際に、上方から覗き込まなければならないため、残量の見当がつきにくいうえ、遠方から一目で分からない。しかも、梱包ケースは、原反の幅よりも数倍大きい収容幅であるため、当該梱包ケースの内側面が原反の幅方向位置を規制するガイドとして作用し得ないので、原反が横方向に動いてしまい原反の蛇行を招き、ラベル貼付精度が低下する原因となる、という不都合もある。
【0008】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、原反積層体における終端部の引き出し長さ若しくは表出面積を大きく確保できるようにし、複数の原反積層体を相互に接続する際の作業性を改善することのできる梱包構造を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、原反を繰り出す際に、当該原反の繰出経路を安定的に保つことのできる梱包構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明は、帯状の原反をジグザグに折り畳んだ原反積層体を梱包ケース内に収容する梱包構造であって、
前記原反積層体は、始端部を含む始端領域が梱包ケースの一面内側に位置する一方、終端部を含む引出領域が梱包ケースの前記一面に連なる他面内側に位置する状態で収容され、
前記梱包ケースは略直方体状に設けられ、前壁、頂壁、及び、一対の側壁の各半分領域が取り除き可能に設けられて前記始端領域と引出領域とを表出可能とすることを特徴とする梱包構造。
【0011】
本発明において、前記一対の側壁は、前記原反積層体の幅に略対応する収容幅を形成し、これら側壁は、前記原反を繰り出す際のガイドを形成する、という構成を採っている。
【0012】
また、前記原反積層体の始端部及び/又は終端部に連結部材が設けられ、当該連結部材を介して別途に用意される原反積層体の始端部に接続可能に設けられている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、梱包ケースの一部を取り除くことにより、原反積層体の始端部を含む始端領域及び終端部を含む引出領域が引き出し可能となるため、例えば、原反積層体がラベル貼付装置に適用される場合において、先行使用される原反積層体を次に使用される原反積層体に接続する作業を容易に行うことができるうえ、原反の残量が一目で分かるようになる。
また、梱包ケースの収容幅が原反積層体の幅に略対応しているため、梱包ケースの内側面が原反繰出時のガイド面として作用し得るようになり、ラベル貼付精度が低下する原因である原反の蛇行を防止することができる。
また、原反積層体毎に、その始端部及び/又は終端部に連結部材を設けておくことにより、原反積層体相互の接続作業に簡便性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る梱包構造を示す概略斜視図。
【図2】図1のZ−X面内における拡大断面図。
【図3】梱包ケースの一部を除去した状態を示す概略斜視図。
【図4】フィルム包装体の上半部を取り除いた状態を示す概略斜視図。
【図5】フィルム包装体の上半部が取り除かれた後の梱包ケースを下方から見た状態を示す概略斜視図。
【図6】フィルム包装体の下半部を取り除く状態を示す概略斜視図。
【図7】フィルム包装体が完全に除去された後の状態を示す概略斜視図。
【図8】原反積層体がラベル貼付装置に適用された場合の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1には、本実施形態に係る梱包構造の概略斜視図が示され、図2には、そのZ−X面内における拡大断面図が示されている。これらの図において、梱包ケース10内には、帯状の剥離シートRLに所定間隔を隔てて接着シートとしてのラベルLが仮着された原反Rをジグザグに折り畳んだ原反積層体Uがフィルム包装体Fで被覆された状態で収容されている。
【0017】
前記梱包ケース10は、図3ないし図6にも示されるように、平面視略方形の底壁11と、当該底壁11に相対する頂壁12、これら底壁11及び頂壁12の間に位置する前壁13(図2中左側)及び後壁14(図2中右側)と、当該前壁13及び後壁14間に位置する一対の側壁15とを有する略直方体形状に設けられ、当該梱包ケース10は、カットテープ17を介して開梱可能となっている。カットテープ17は、図1に示されるように、前壁13の下部をY軸方向に横断するとともに、側壁15の対角間を結ぶ方向に延びて頂壁12をY軸方向に横断し、更に、他の側壁15の対角間を通る閉ループの軌跡に沿って設けられており、当該カットテープ17の操作端17Aを引っ張ることにより、前壁13、頂壁12、及び両側壁15の斜め方向略1/2領域が取り除かれた状態で開梱されるようになっている(図3参照)。ここで、梱包ケース10における側壁15の内面間距離は、原反積層体Uの幅よりも僅かに大きい程度で、実質的に原反Uの幅に略対応する収容幅に設けられているとともに、前壁13及び後壁14の内面間距離は、原反積層体Uの折り畳み間隔よりも僅かに長い収容長さに設けられている。
【0018】
前記原反積層体Uは、前記梱包ケース10内に収容された状態において、その始端部を含む始端領域Sが梱包ケース10の一面である頂壁12の内側に位置する一方、前記原反Rの終端部側にある2枚のラベルを含む長さの引出領域Eが、梱包ケース10の前記頂壁12に連なる他面である前壁13の内側に位置する状態で収容されており、梱包ケース10をカットテープ27を介して開梱したとき、前記始端領域S及び引出領域Eを表出できるようになっている。なお、一面である頂壁12に連なる他面とは、底壁11を除く前壁13、後壁14、両側壁15を意味する。
【0019】
また、原反積層体Uの終端部すなわち剥離シートRLの終端部のラベル仮着面の反対側には、連結部材としての接着テープT(図7参照)が貼付されており、当該接着テープTにおける原反Rに接着されていない接着面には、図示しない剥離シートが仮着されている。なお、引出領域Eの長さは、ラベルL2枚分の長さに限定されることはなく、1枚でも3枚以上でもよく、梱包ケース10の高さよりも長く設定されることが好ましい。これは、スペースの関係上、梱包ケース10同士を接近させて作業をしなければならない場合に、先行使用される原反Rと後行使用される原反Rとを接続する作業スペースがなくなるためである。従って、引出領域Eが梱包ケース10の高さよりも長く設定されていると、梱包ケース10の上方の広い空間で前記原反Rの接続作業が行える。
【0020】
前記フィルム包装体Fは、原反積層体Uを被覆するように設けられ、原反積層体Uが外気と触れないように密閉されている。フィルム包装体Fには、原反積層体Uを被覆した状態で、上下方向中間部に周方向に沿って閉ループ状に延びる引き裂き部としてのフィルムカットテープ20が設けられており、当該フィルムカットテープ20の操作端20A(図3参照)を引っ張ることで、フィルム包装体Fが上下に分かれ、図4に示されるように、その上半部F1は上方に抜き取ることができる一方、下半部F2は、図6に示されるように、梱包ケース10の底壁11中央に設けられた開口部11Aを通じて梱包ケース10の外側に引き抜くことができるようになっている。
【0021】
次に、前記梱包ケース10の開梱要領と、原反積層体Uがラベル貼付装置に用いられた場合を示す図8をも参照しながら説明する。なお、図8においては、ラベル貼付装置30の上流側、すなわち同図中右側に、前記原反積層体Uを収容した梱包ケース10が複数、例えば、2つ並べられた場合が例示されている。
【0022】
先ず、それぞれの梱包ケース10のカットテープ17を引っ張って当該梱包ケース10を二分割にし、その頂壁12、前壁13及び側壁15の半分領域を取り除いてフィルム包装体Fで被覆された原反積層体Uを表出させる(図3参照)。この後、フィルムカットテープ20の操作端20Aを摘んでフィルム包装体Fの周方向に沿って引き回して上半部F1と下半部F2とに分離し、上半部F1を摘み上げて除去する(図4参照)。この一方、図5に示されるように、前記底壁11の開口部11Aからフィルム包装体Fの下半部F2を引き出し、図6に示されるように、当該下半部F2を梱包ケース10の外部に引き抜くことにより、原反積層体Uを表出させる。
【0023】
次いで、図8に示されるように、梱包ケース10の後壁14がラベル貼付装置30側に向くように、2つの梱包ケース10を並べ、ラベル貼付装置30に近い梱包ケース10から原反Rを所定長さ引き出し、ラベル貼付装置30における繰り出し経路に沿って原反Rを掛け回す。この一方、図8中矢印A方向に原反積層体Uの引出領域Eを引き出すとともに、その終端部に設けられた接着テープTを後行使用される右側の梱包ケース10における原反積層体Uの始端部に接着して相互の接続を行う。
【0024】
以後、ラベル貼付装置30の駆動により、原反Rが順次引き出されて剥離シートRLに仮着されたラベルLを剥離しつつ所定の被着体に貼付されることとなる。この際、原反Rは、略半分の領域が残された梱包ケース10における側壁15の内面をガイドとして幅方向に不用意な移動も規制され、ラベル貼付精度が低下することもなくなる。
【0025】
従って、このような実施形態によれば、原反積層体Uの始端領域Sを梱包ケース10の一面である頂壁12の内側に配置する一方、終端部を含む引出領域Eを梱包ケース10の他面である前壁13の内側に配置する構成とし、頂壁12、前壁13及び両側壁15の略半分を除去して利用できる構成としたから、原反積層体Uの終端部を、次に用いる原反積層体の始端部に接続する作業を容易に行うことができる、という効果を得る。
【0026】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
【0027】
例えば、前記実施形態では、剥離シートRLにラベルLが仮着された原反Rをジグザグに折り畳んだ原反積層体Uを対象として梱包ケース10で梱包する構成としたが。本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、両側に用紙送り穴等を備えた帯状の印刷用紙等を対象として梱包するものであってもよい。要するに、本発明は、帯状をなす部材を連続的に供給するために、接続を容易に行うことができる状態で開梱可能な梱包形態であれば足りる。
更に、接着テープTは、原反Rの終端部のみならず、原反Rの始端部や、終端部と始端部両方に設けてもよい。
また、本実施形態では、原反Rをラベル1枚毎に折り畳んだ場合を図示して説明したが、ラベル複数枚単位で折り畳んだ原反積層体であってもよい。
更に、連結部材は接着テープT以外に、両面接着テープ、接着剤、糊等の他の接続部材であってよい。
また、本実施形態では、接着シートとしてラベルLを例示したが、半導体ウエハをリングフレームと一体化したり、その回路面を保護したりする用途の接着シートであってもよい。このような場合、原反Rは、リングクレームの形状や、半導体ウエハの形状に沿った接着シートが剥離シートRL上に仮着されたものを使用すればよい。
更に、原反Rは、剥離シートRLにラベルLが仮着されたような複数の層からなるものに限定されることなく、紙、樹脂シート等からなる単層のものであってよい。
また、引出領域Eは、前壁13の内側以外に頂壁12に連なる他面、即ち、後壁14の内側、両側壁15の何れかの内側に位置するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0028】
10 梱包ケース
11 底壁
11A 開口部
12 頂壁
13 前壁
14 後壁
15 側壁
20 フィルムカットテープ(引き裂き部)
E 引出領域
F フィルム包装体
F1 上半部
F2 下半部
L ラベル
R 原反
RL 剥離シート
S 始端領域
U 原反積層体
T 接着テープ(連結部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の原反をジグザグに折り畳んだ原反積層体を梱包ケース内に収容する梱包構造であって、
前記原反積層体は、始端部を含む始端領域が梱包ケースの一面内側に位置する一方、終端部を含む引出領域が梱包ケースの前記一面に連なる他面内側に位置する状態で収容され、
前記梱包ケースは略直方体状に設けられ、前壁、頂壁、及び、一対の側壁の各半分領域が取り除き可能に設けられて前記始端領域と引出領域とを表出可能とすることを特徴とする梱包構造。
【請求項2】
前記一対の側壁は、前記原反積層体の幅に略対応する収容幅を形成し、これら側壁は、前記原反を繰り出す際のガイドを形成することを特徴とする請求項1記載の梱包構造。
【請求項3】
前記原反積層体の始端部及び/又は終端部に連結部材が設けられ、当該連結部材を介して別途に用意される原反積層体の始端部に接続可能なことを特徴とする請求項1又は2記載の梱包構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−82016(P2012−82016A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−2820(P2012−2820)
【出願日】平成24年1月11日(2012.1.11)
【分割の表示】特願2007−156944(P2007−156944)の分割
【原出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】