説明

梱包用トレイ、これにより梱包された梱包体

【課題】基台部の4隅から広がるように脚部が延出した被梱包物を、より効率的に収納することができる梱包用トレイを提供する。
【解決手段】梱包用トレイ10は、少なくとも基台部の4隅から広がるように脚部が延出した被梱包物を段積みして収納するための梱包用トレイ10である。梱包用トレイ10の表面には、被梱包物Pの基台部paを下側に向けた状態で、基台部paを収納する基台収納凹部11と、被梱包物Pの基台部paを上側に向けた状態で、脚部pbを収納する脚部収納凹部12と、が設けられている。基台収納凹部11および脚部収納凹部12に被梱包物Pをそれぞれ収納した状態で、被梱包物P,P同士の基台部Paが対向し、かつ被梱包物同士P,Pが相互にオフセットするように、基台収納凹部11と脚部収納凹部12とが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品等の被梱包物を梱包するための梱包材に係り、特に、基台部の4隅から広がるように脚部が延出した被梱包物を梱包するのに好適に梱包材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、産業機械の部品または車両部品などの被梱包物は、梱包材によって梱包されて搬送される。梱包材には、被梱包物の形状に応じて被梱包物を収納するための収納凹部が形成されている。このような梱包材の収納凹部に複数の被梱包物が収納された状態で梱包体とされて、搬送される。
【0003】
例えば、部品などの被梱包物を梱包する際には、梱包部材(梱包用トレイ)を用いて、上下同じ方向に複数の被梱包物を段積みして、梱包体とされる(例えば特許文献1または特許文献2参照)。このように、被梱包物を段積みして梱包部材(梱包用トレイ)で梱包することにより、複数の被梱包物を同時に搬送することができ、1つ1つ被梱包物を梱包して搬送する場合に比べて、物流コストを抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第455127号公報
【特許文献2】特開平7−41077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した梱包体の場合、その被梱包物の形状から、上下同じ方向に段積みして被梱包物が梱包されているが、例えば、基台部の4隅から広がるように脚部が延出した被梱包物を梱包する場合に、被梱包物を上下同じ方向に段積みして梱包すると、梱包体内において、脚部の間の空間に隙間が形成されるため、収納効率(積載効率)が良いものであるとは言えない。
【0006】
本発明は、このような点を鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、基台部の4隅から広がるように脚部が延出した被梱包物を、より効率的に収納することができる梱包用トレイおよびこれにより梱包された梱包体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者らは鋭意検討を重ねた結果、基台部の4隅から広がるように脚部が延出した被梱包物を梱包する際に、この被梱包物を上下方向に反転させて段積みすると共に、特定の形状の梱包用トレイを2つ用い、その1つを上下方向に反転させて用いることにより、被梱包物の収納効率を高めた梱包を行うことができるとの新たな知見を得た。
【0008】
本発明は、発明者らの前記新たな知見に基づくものであり、本発明に係る梱包用トレイは、基台部の少なくとも4隅から広がるように脚部が延出した被梱包物を段積みして収納するための梱包用トレイであって、前記梱包用トレイの表面には、前記被梱包物の基台部を下側に向けた状態で、前記基台部を収納する基台収納凹部と、前記被梱包物の基台部を上側に向けた状態で、前記脚部を収納する脚部収納凹部と、が設けられており、前記基台収納凹部および前記脚部収納凹部に被梱包物をそれぞれ収納した状態で、前記被梱包物同士の基台部が対向し、かつ前記被梱包物同士が相互にオフセットするように、前記基台収納凹部と前記脚部収納凹部とが形成されている。
【0009】
本発明によれば、この梱包用トレイを、第1および第2の梱包用トレイとして2つ用いて、被梱包物を少なくとも2段積みして梱包体に梱包することができる。すなわち、第1の梱包用トレイの表面側を上側に向けた状態で、第1の梱包用トレイの前記基台収納凹部に、1段目の被梱包物の基台部を収納することができる。次に、1段目の被梱包物を収納した状態で、第1の梱包用トレイの前記脚部収納凹部に、2段目の被梱包物の脚部を収納することができる。
【0010】
このように、第1の梱包用トレイに1段目および2段目の被梱包物を収納した状態で、第1の梱包用トレイと同じ形状の第2の梱包用トレイの裏面側を上側に向けて(上下反転させて)、第2の梱包用トレイの基台収納凹部に、2段目の被梱包物の基台部を、収納することができるので、梱包および開梱時の作業性を向上させることができる。
【0011】
そして、1段目および2段目の被梱包物は、基台収納凹部および脚部収納凹部に被梱包物をそれぞれ収納した状態で、被梱包物同士の基台部が対向し、かつ被梱包物同士が相互にオフセットするよう梱包される。
【0012】
このようにして、1段目および2段目の被梱包物を抱き合わせるように梱包したので、各基台部を、第1および第2の梱包用トレイのそれぞれの基台収納凹部に収納しつつ、基台部同士の間の形成された空間に脚部を配置することができる。これにより、梱包体内において、それぞれの被梱包物の脚部の間の空間に、他方の被梱包物の脚部が入り込んだ状態で、1段目および2段目の被梱包物を梱包することができるので、これまでのものに比べて、被梱包物の収納効率(積載効率)を高めることができる。この結果、被梱包物の物流コストをさらに低減することができる。また、各被梱包物は、部分的に収納凹部に固定されるので、搬送時の振動等が発生した場合であっても、被梱包物を保護することができる。
【0013】
上述した梱包用トレイを用いて、2段積みの被梱包物を1セットとして、これを複数さらに段積みしてもよい。しかしながら、より好ましい態様としては、前記梱包用トレイの裏面には、前記脚部を収納するための裏面側脚部収納凹部が設けられており、該裏面側脚部収納凹部は、裏面側において前記基台収納凹部により形成された突出部分の周りに形成されている。
【0014】
この態様によれば、この梱包用トレイを、第1および第2の梱包用トレイとして2つ用いて、被梱包物を少なくとも3段積みして梱包体に梱包することができる。すなわち、上述した如く、被梱包物を2段積みした状態で、さらに、その上に被梱包物を安定して段積みすることができる。
【0015】
具体的には、上述したように、第1の梱包用トレイの表面側を上側に向けた状態で、第1の梱包用トレイの前記基台収納凹部に、1段目の被梱包物の基台部を収納することができる。次に、1段目の被梱包物を収納した状態で、第1の梱包用トレイの前記脚部収納凹部に、2段目の被梱包物の脚部を収納することができる。
【0016】
次に、第1の梱包用トレイに1段目および2段目の被梱包物を収納した状態で、第1の梱包用トレイと同じ形状の第2の梱包用トレイの裏面側を上側に向けて、第2の梱包用トレイの前記基台収納凹部に、前記2段目の被梱包物の基台部を、収納することができる。
【0017】
さらに、第2の梱包用トレイの基台収納凹部に収納された2段目の被梱包物の基台部を覆うように、第2の梱包用トレイの裏面側脚部収納凹部に、3段目の被梱包物の脚部を収納することができる。
【0018】
これにより、梱包体内において、1段目および2段目の被梱包物の脚部の間の空間に、他方の被梱包物の脚部が入り込んだ状態で、1段目および2段目の被梱包物を段積みにより梱包し、さらに、3段目の被梱包物の脚部の間に2段目の被梱包物の基台部が入り込むように、2段目および3段目の被梱包物を段積みにより梱包することができる。このような結果、1段目〜3段目までの被梱包物を、これまでに比べて積載効率を高めて梱包することができる。
【0019】
また、梱包用トレイは、ダンボールなどの筐体内と共に用いられ、梱包用トレイは、被梱包物と共に、筐体内に収納される。このような場合、前記梱包用トレイの周縁部にはヒンジ部が設けられていることがより好ましい。
【0020】
この態様によれば、梱包用トレイの周縁部にヒンジ部を設けることにより、該ヒンジ部の先端縁が筐体の内壁面に当接し、筐体内における梱包用トレイの位置合わせを容易に行うことができる。
【0021】
また、より好ましいいヒンジ部の態様としては、前記周縁部と前記ヒンジ部とは一体成形されており、前記周縁部と前記ヒンジ部と境界部分には、破線状の孔が形成されている。この態様によれば、前記周縁部と前記ヒンジ部と境界部分に、破線状の孔を形成することにより、簡単に、ヒンジ部を枢動(旋回)構造にすることができる。
【0022】
そして、本発明によれば、上述した梱包用トレイを、第1および第2の梱包用トレイとして2つ用いて、前記被梱包物が段積みに梱包された梱包体とすることができる。すなわち、被梱包物を2段積みにして梱包体とする際には、梱包体は、前記第1の梱包用トレイの前記表面側を上側に向けた状態で、前記第1の梱包用トレイの前記基台収納凹部に、1段目の被梱包物の基台部が収納されると共に、前記第1の梱包用トレイの前記脚部収納凹部に、2段目の被梱包物の脚部が収納されており、第2の梱包用トレイの前記裏面側を上側に向けた状態で、該第2の梱包用トレイの前記基台収納凹部に、前記2段目の被梱包物の基台部が、収納されている。
【0023】
さらに、被梱包物を3段積みにして梱包体とする際には、梱包体は、1段目および2段目の被梱包物を収納した状態で、前記第2の梱包用トレイの裏面側脚部収納凹部に、3段目の被梱包物の脚部が収納されている。
【0024】
また、前記第1の梱包用トレイと前記第2の梱包用トレイとは、同形状に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、基台部の4隅から広がるように脚部が延出した被梱包物を、より効率的に収納し梱包体とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係る梱包体を構成する梱包用トレイと被梱包物を模式的に示した斜視図であり、(a)は、梱包用トレイの斜視図、(b)は、被梱包物の斜視図。
【図2】図1に示す梱包用トレイのうち第1の梱包用トレイに1段目の被梱包物を収納した状態を示した模式的斜視図。
【図3】図2に示す状態から、2段目の被梱包物を収納した状態を示した模式的斜視図。
【図4】図3に示す状態から、さらに、第2の梱包用トレイにより2段目の被梱包物を収納した状態の分解斜視図。
【図5】図4に示す状態の梱包用トレイと被梱包物を筐体内に収納した状態を示した断面図。
【図6】本発明の第2実施形態に係る梱包体を構成する梱包用トレイを模式的に示した斜視図。
【図7】図6に示す梱包用トレイを用いて、1段目から3段目の被梱包物を収納した状態を示した模式的分解斜視図。
【図8】図7に示す状態の梱包用トレイと被梱包物を筐体内に収納した状態を示した断面図。
【図9】本発明の第3実施形態に係る梱包体を構成する梱包用トレイを模式的に示した斜視図。
【図10】図9に示すヒンジ部の変形例に係る部分的拡大図であり、(a)は、その変形例を示した模式的斜視図、(b)は、別の変形例を示した模式的斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、図面に基づき、本発明に係る3つの実施形態を説明する。
【0028】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る梱包体を構成する梱包用トレイと被梱包物を模式的に示した斜視図であり、(a)は、梱包用トレイの斜視図、(b)は、被梱包物の斜視図である。
【0029】
図2は、図1に示す梱包用トレイのうち第1の梱包用トレイに1段目の被梱包物を収納した状態を示した模式的斜視図であり、図3は、図2に示す状態から、2段目の被梱包物を収納した状態を示した模式的斜視図である。図4は、図3に示す状態から、さらに、第2の梱包用トレイにより2段目の被梱包物を収納した状態の分解斜視図であり、図5は、図4に示す状態の梱包用トレイと被梱包物を筐体内に収納した状態を示した断面図である。
【0030】
図1(a),(b)に示すように、第1実施形態に係る梱包用トレイ10は、被梱包物Pを収納するためのトレイである。本実施形態では、図1(b)に示すように、梱包対象となる被梱包物Pは、基台部paの4隅から広がるように4つの脚部pbが延出した被梱包物である。
【0031】
本実施形態では、梱包用トレイ10を第1および第2の梱包用トレイ10A、10Bとして2つ用いて、被梱包物Pを、1段目の被梱包物P1と2段目の被梱包物P2として、これらを梱包する。
【0032】
したがって、図2〜図5に示す第1の梱包用トレイ10Aおよび第2の梱包用トレイ10Bは、同じ形状であり、これらは、図1(a)に示す梱包用トレイ10と同じ形状である。また、1段目の被梱包物P1および2段目の被梱包物P2は、同じ形状であり、これらは、図1(b)に示す被梱包物Pと同じ形状である。
【0033】
梱包用トレイ10(第1および第2の梱包用トレイ10A,10B)は、シート状の例えば熱可塑性樹脂を素材として、これを真空成形等の熱成形手段により一体成形してなる。素材としては、例えば、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系樹脂、耐衝撃性ポリスチレン(HiPS)等のポリスチレン(PS)系樹脂、若しくは、ポリエチレンテレフタラート(PET)等のポリエステル系樹脂からなる発泡材、又は非発泡材からなるシート状の樹脂を挙げることができ、熱成形が可能な樹脂であれば、素材は特に限定されない。
【0034】
ここで梱包用トレイ10(第1および第2の梱包用トレイ10A,10B)の構造について以下に説明する。図1に示すように、梱包用トレイ10は、上面10aに被梱包物Pを部分的に収納する収納凹部が形成されており、上面10aの周縁には、スカート部17が形成されている。
【0035】
より具体的には、梱包用トレイ10の表面には、2つの基台収納凹部11と、2組の脚部収納凹部12が形成されている。各基台収納凹部11は、被梱包物Pの基台部paを下側に向けた状態で、基台部paを収納する凹部であり、2つの基台収納凹部11,11は、上面10aの対角に形成されている。なお、後述するように(図4参照)、梱包用トレイ10(10B)の裏面側において、基台収納凹部11により、その形状に応じた凸部(突出部分)が形成されることになる。
【0036】
さらに、脚部収納凹部12は、1つの被梱包物Pに対して4つ形成されており、4つの脚部収納凹部12,12,…は、被梱包物Pの基台部paを上側に向けた状態で、被梱包物Pの4つの脚部pb,pb…を収納する凹部である。また、4つの脚部収納凹部12,12,…を1組として、2組の脚部収納凹部12,12,…が対角に形成されている。
【0037】
そして、図3に示すように、基台収納凹部11および1組の脚部収納凹部12,12,…に、各被梱包物P(1段および2段目の被梱包物P1,P2)を収納した状態で、ぞれぞれの被梱包物P1,P2同士の基台部pa,paが対向し、かつ、被梱包物(1段および2段目の被梱包物P1,p2)同士が相互にオフセットするように、基台収納凹部11と1組の脚部収納凹部12,12,…とが形成されている。より具体的には、図1に示すように、基台収納凹部11の中心位置C1および、1組の4つの脚部収納凹部12,12,…の中心位置C2は、梱包用トレイ10の中心線CLからいずれも同じ距離量dだけオフセットしている。
【0038】
上述した梱包用トレイ10を、第1および第2の梱包用トレイ10A,10Bとして2つ用いて、被梱包物Pを少なくとも2段積みして梱包体1に梱包する。具体的には、まず、図2に示すように、第1の梱包用トレイ10Aの表面(基台収納凹部11が形成された面)を上側に向けた状態で、第1の梱包用トレイ10Aの基台収納凹部11に、1段目の被梱包物P1の基台部paを収納することができる。次に、図3に示すように、1段目の被梱包物P1を収納した状態で、第1の梱包用トレイ10Aの脚部収納凹部12,12,…に、2段目の被梱包物P2の4つの脚部pb,pb,…を収納することができる。
【0039】
このように、第1の梱包用トレイ10Aに1段目および2段目の被梱包物P1,P2を収納した状態で、図4に示すように、第1の梱包用トレイ10Aと同じ形状の第2の梱包用トレイ10Bの裏面側を上側に向けて(上下反転させて)、第2の梱包用トレイ10Bの基台収納凹部11に、2段目の被梱包物P2の基台部paを、収納することができる。
【0040】
このときに、1段目の被梱包物P1の脚部pb,pb,…のうち2つの脚部pb,pbは、反転させた第2の梱包用トレイ10Bの脚部収納凹部12,12に入り込み、1段目の被梱包物P1の脚部pb,pbが、脚部収納凹部12の底面に押さえつけられる。これにより、1段目の被梱包物P1の基台paおよび2つの脚部pb,pbは固定されるので、1段目の被梱包物P1は、安定した梱包状態を維持することができる。
【0041】
そして、図4に示す状態の第1および第2の梱包用トレイ10A,10Bと、1段目および2段目の被梱包物P1,P2とを、結束バンドを用いることにより梱包してもよく、上述した一連の作業において、図5に示すように、これらを、ダンボール等からなる梱包用の筐体30に収納してもよい。
【0042】
特に、筐体30を用いて梱包体1とする場合には、基台収納凹部11の中心位置C1および1組の脚部収納凹部12,12,…の中心位置C2を、梱包用トレイ10の中心線から同じ距離、オフセットしたので、第2の梱包用トレイ10Bの裏面側を上下反転させただけで、第2の梱包用トレイ10Bの基台収納凹部11に、2段目の被梱包物P2の基台部paを、容易に収納することができる。
【0043】
このようにして、図5に示すように、1段目および2段目の被梱包物P1,P2は、基台収納凹部11および脚部収納凹部12に1段目および2段目の被梱包物P1およびP2をそれぞれ収納した状態で、1段目および2段目の被梱包物P1、P2同士の基台部pa,paが対向し、かつ1段目および2段目の被梱包物P1,P2同士が、相互にオフセットするよう梱包される。
【0044】
この結果、1段目および2段目の被梱包物P1,P2は抱き合わせるように梱包され、各基台部paを、第1および第2の梱包用トレイ10A,10Bのそれぞれの基台収納凹部11に収納しつつ、基台部pa,pa同士の間の形成された空間に脚部pbを配置することができる。
【0045】
これにより、梱包体1A内において、それぞれの1段目および2段目の被梱包物P1,P2の4つの脚部pb、pb,…の間の空間に、他方の被梱包物の脚部pb,pb,…が入り込んだ状態で、1段目および2段目の被梱包物P1,P2を梱包することができるので、これまでのものに比べて、被梱包物Pの収納効率(積載効率)を高めることができる。この結果、被梱包物Pの物流コストを低減することができる。
【0046】
〔第2実施形態〕
図6は、本発明の第2実施形態に係る梱包体を構成する梱包用トレイを模式的に示した斜視図である。図7は、図6に示す梱包用トレイを用いて、1段目から3段目の被梱包物を収納した状態を示した模式的分解斜視図である。図8は、図7に示す状態の梱包用トレイと被梱包物を筐体内に収納した状態を示した断面図である。
【0047】
第2実施形態に係る梱包用トレイが、第1の実施形態の梱包用トレイと異なる点は、脚部収納凹部である。したがって、第1実施形態と同じ機能を有する部材および部分は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略し、第1実施形態の部材および部分に関連する部材および部分には、第1実施形態の部材および部分の符号の末尾にさらに「’」を加えた。また、以下に示す、3段目の被梱包物は、他の被梱包物と同じ形状である。
【0048】
図6及び図7に示すように、梱包用トレイ10’の裏面(裏面側)には、4つの脚部pb,pb,…を収納するための裏面側脚部収納凹部13,13,…がさらに形成されている。すなわち、梱包用トレイ10’は、シート状の樹脂により一体成形されているので、表面(上面10a)には、裏面側脚部収納凹部13の形状に応じた凸部が形成され、裏面には、基台収納凹部11、および脚部収納凹部12,12,…に応じた凸部(突出部分)が形成されることになる。
【0049】
また、4つの裏面側脚部収納凹部13,13,…は、裏面側において基台収納凹部11により形成された突出部分の周りに形成されている。また、4つの裏面側脚部収納凹部13,13,…を1組として、2組の裏面側脚部収納凹部13,13,…が対角に形成されている。
【0050】
さらに、本実施形態によれば、図8に示すように、筐体30’内において、梱包用トレイ10’を、第1および第2の梱包用トレイ10A’,10B’として2つ用いて、被梱包物Pを少なくとも3段積みして梱包体に梱包することができる。すなわち、上述した如く、被梱包物Pを、1段目および2段目の被梱包物P1,P2として2段積みした状態で、さらに、その上に3段目の被梱包物P3を安定して段積みすることができる。
【0051】
具体的には、第1実施形態において示したように、第1の梱包用トレイ10A’の表面側を上側に向けた状態で、第1の梱包用トレイ10A’の基台収納凹部11に、1段目の被梱包物P1の基台部paを収納することができる。次に、1段目の被梱包物P1を収納した状態で、各第1の梱包用トレイ10Aの脚部収納凹部12に、2段目の被梱包物の各脚部pbを収納することができる。
【0052】
次に、第1の梱包用トレイに1段目および2段目の被梱包物P1,P2を収納した状態で、第1の梱包用トレイ10A’と同じ形状の第2の梱包用トレイ10B’の裏面側を上側に向けて、第2の梱包用トレイ10B’の基台収納凹部11に、2段目の被梱包物P2の基台部paを、収納することができる。
【0053】
さらに、第2の梱包用トレイ10B’の基台収納凹部11に収納された2段目の被梱包物P2の基台部paを覆うように、第2の梱包用トレイ10B’の裏面側脚部収納凹部13に、3段目の被梱包物P3の各脚部pbを収納することができる。
【0054】
これにより、図8に示すように、梱包体1’内において、1段目および2段目の被梱包物P1,P2の4つの脚部pbの間の空間に、他方の被梱包物の脚部pbが入り込んだ状態で、1段目および2段目の被梱包物P1,P2を段積みにより梱包し、さらに、3段目の被梱包物P3の4つの脚部pb,pb,…の間に2段目の被梱包物P2の基台部paが入り込むように、2段目および3段目の被梱包物P2,P3を段積みすることができる。このような結果、1段目〜3段目までの被梱包物P1〜P3を、これまでに比べて積載効率を高めて梱包することができる。
【0055】
なお、上述したように、1段目の被梱包物P1の脚部pb,pb,…のうち2つの脚部pb,pbは、反転させた第2の梱包用トレイ10B’の脚部収納凹部12,12に入り込み、1段目の被梱包物P1の脚部pb,pbが、脚部収納凹部12の底面に押さえつけられる。これにより、1段目の被梱包物P1の基台paおよび2つの脚部pb,pbは固定されるので、1段目の被梱包物P1は、安定した梱包状態を維持することができる。
【0056】
〔第3実施形態〕
図9は、図6に示す梱包用トレイの変形例を示した模式的斜視図であり、図10は、図9に示すヒンジ部の変形例に係る部分的拡大図であり、(a)は、その変形例を示した模式的斜視図、(b)は、別の変形例を示した模式的斜視図である。
【0057】
第3実施形態に係る梱包用トレイが、第2の実施形態の梱包用トレイと異なる点は、上面から周縁に形成されたスカート部をヒンジ部にした点である。したがって、第2実施形態と同じ機能を有する部材および部分は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0058】
図9に示す、梱包用トレイ10Cは、上述の図8に示す筐体30内と共に用いられ、梱包用トレイ10Cは、被梱包物と共に、筐体内に収納される。梱包用トレイ10の4つの周縁部10bにはヒンジ部15が設けられている。ヒンジ部15は、梱包用トレイ10Cと共に、一体成形されており、上下方向に枢動(旋回)可能となっている。また、ヒンジ部15に荷重を作用させない自然状態で、ヒンジ部15は、略水平方向に広がっている(上面10aよりも外側にヒンジ部15の先端縁15aが位置している)。
【0059】
このように、梱包用トレイ10の周縁部10bにヒンジ部15を設けることにより、たとえ上面10aが筐体の内寸よりも小さい場合であっても、ヒンジ部15の先端縁15aが、ヒンジ部15の付勢力(弾性力)により、筐体の内壁面に当接して、筐体内における梱包用トレイの位置合わせを容易に行うことができる。
【0060】
このようなヒンジ部は、上下方向に枢動可能であり、収納する筐体の内壁に当接することができるのであれば、その構造は特に限定されず、例えば、図10(a)に示すように、周縁部10bとヒンジ部15Aとは一体成形されており、周縁部10bとヒンジ部15Aとの境界部分15bに折溝15cが形成されていてもよい。これにより、好適に上面10aに対してヒンジ部15Aを枢動することができる。
【0061】
また、図10(b)に示すように、周縁部10bとヒンジ部15Bとは一体成形されており、周縁部10bとヒンジ部15Bと境界部分15bには、破線状の孔(貫通孔)15dが形成されていてもよい。この場合も、同様に、ヒンジ部を枢動(旋回)構造にすることができる。
【0062】
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【0063】
第1実施形態では、第1および第2の梱包用トレイ10A,10Bと、1段目および2段目の被梱包物P1,P2とを、用いたこれらを筐体内に収納して、梱包体1としたが、第1および第2の梱包用トレイ10A,10Bと、1段目および2段目の被梱包物P1,P2とを1セットとして、これらを複数セット、筐体内に梱包してもよい。
【0064】
さらに、第2実施形態では、3段目の被梱包物をさらに段積みしたが、さらに第3の梱包用トレイの裏面側を上側に向けた状態で、この3段目の被梱包物の基台を収納してもよい。また、第2実施形態では、第1の梱包用トレイ10A’を用いたが、第1実施形態の第1の梱包用トレイ10Aを用いてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10,10’:梱包用トレイ、10A,10A’:第1の梱包用トレイ、10B,10B’:第2の梱包用トレイ、10a:上面、10b:周縁部、11:基台収納凹部、12:脚部収納凹部、13:裏面側脚部収納凹部、15,15A,15B:ヒンジ部、15a:先端縁、15b:境界部分、15c:折溝、15d:破線状の孔、17:スカート部、P:被梱包物、P1:1段目の被梱包物、P2:2段目の被梱包物、P3:3段目の被梱包物、pa:基台部、pb:脚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台部の少なくとも4隅から広がるように脚部が延出した被梱包物を段積みして収納するための梱包用トレイであって、
前記梱包用トレイの表面には、
前記被梱包物の基台部を下側に向けた状態で、前記基台部を収納する基台収納凹部と、
前記被梱包物の基台部を上側に向けた状態で、前記脚部を収納する脚部収納凹部と、が設けられており、
前記基台収納凹部および前記脚部収納凹部に被梱包物をそれぞれ収納した状態で、前記被梱包物同士の基台部が対向し、かつ前記被梱包物同士が相互にオフセットするように、前記基台収納凹部と前記脚部収納凹部とが形成されていることを特徴とする梱包用トレイ。
【請求項2】
前記梱包用トレイの裏面には、前記脚部を収納するための裏面側脚部収納凹部が設けられており、該裏面側脚部収納凹部は、裏面側において前記基台収納凹部により形成された突出部分の周りに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の梱包用トレイ。
【請求項3】
前記梱包用トレイの周縁部にはヒンジ部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の梱包用トレイ。
【請求項4】
前記周縁部と前記ヒンジ部とは一体成形されており、前記周縁部と前記ヒンジ部と境界部分には、破線状の孔が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の梱包用トレイ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の梱包用トレイを、第1および第2の梱包用トレイとして2つ用いて、前記被梱包物が2段積みに梱包された梱包体であって、
前記第1の梱包用トレイの前記表面側を上側に向けた状態で、前記第1の梱包用トレイの前記基台収納凹部に、1段目の被梱包物の基台部が収納されると共に、前記第1の梱包用トレイの前記脚部収納凹部に、2段目の被梱包物の脚部が収納されており、
第2の梱包用トレイの前記裏面側を上側に向けた状態で、該第2の梱包用トレイの前記基台収納凹部に、前記2段目の被梱包物の基台部が、収納されていることを特徴とする梱包体。
【請求項6】
請求項2、または請求項2に従属する請求項3または4に記載の梱包用トレイを第1および第2の梱包用トレイとして用いて、前記被梱包物を3段積みに梱包した梱包体であって、
前記第1の梱包用トレイの前記表面側を上側に向けた状態で、前記第1の梱包用トレイの前記基台収納凹部に、一段目の被梱包物の基台部が収納されると共に、前記第1の梱包用トレイの前記脚部収納凹部に、2段目の被梱包物の脚部が収納されており、
第2の梱包用トレイの前記裏面側を上側に向けた状態で、該第2の梱包用トレイの前記基台収納凹部に、前記2段目の被梱包物の基台部が、収納され、
前記第2の梱包用トレイの裏面側脚部収納凹部に、3段目の被梱包物の脚部が収納されていることを特徴とする梱包体。
【請求項7】
前記第1の梱包用トレイと前記第2の梱包用トレイとは、同形状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の梱包体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−162319(P2012−162319A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26116(P2011−26116)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】