説明

梱包箱および梱包体

【課題】電子装置又は組立てにより電子装置として機能する複数の電子部品が輸送用に収容される梱包箱、および、梱包箱と収容品とを有する梱包体に関し、輸送時の外形を成す梱包箱を輸送後においても有効に利用する梱包体を提供する。
【解決手段】内部に電子装置又は組立てにより電子装置として機能する複数の部品が輸送用に梱包されて輸送時の外形を形成する梱包箱10であって、輸送時よりも小さい容積の箱体に組み直されて、輸送時に当該梱包箱に梱包されていた電子装置、又は当該梱包箱に梱包されていた複数の部品が組み立てられてなる電子装置を収容し、その電子装置の筐体となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、電子装置又は組立てにより電子装置として機能する複数の電子部品が輸送用に収容される梱包箱、および、その梱包箱とその梱包箱の収容品とを有する梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より電子装置や、組立てにより電子装置として機能する複数の部品(以下、「組立キット」と称する)の輸送にはダンボール箱等の梱包箱が多用されている。その輸送用の梱包箱はユーザの手元に届いた後は不用となるのが一般的である。このような流通システムでは資源の無駄使いとなる。
【0003】
これを改善することを目的として、ハードディスク装置を輸送用のダンボール製の梱包箱に入れ、ユーザの手元に届くとその梱包箱をそのハードディスク装置の筐体として利用することが提案されている。この梱包箱を筐体として利用するにあたっては、輸送用の梱包箱に開口を形成したりその開口を覆っていた部分を内側に折り曲げて緩衝部として利用している。ただし、この梱包箱の外形寸法は輸送時の梱包箱の外形寸法と同一である。
【0004】
また、梱包箱に穴を開けてその梱包箱に収容されている電子機器を梱包した状態のまま仕様変更を行なえるようにすることが提案されており、さらに、梱包箱の外壁面に説明書を印刷することが提案されている。
【特許文献1】特開2007−320638号公報
【特許文献2】特開2006−8191号公報
【特許文献3】特開2005−53544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子装置又は組立キットを梱包箱に入れて輸送するにあたっては、輸送時の振動や落下等の衝撃から内容物を守るために、電子装置や組立キットの周囲に厚い発泡スチロール等の緩衝材を配置するのが普通である。あるいは、内部に複数の部品が収容される場合は、個々の部品を緩衝材で包み、それぞれ緩衝材で包んだ複数の部品を梱包箱に収容することによって、輸送時の振動や衝撃に対し万全が期されている。さらに、梱包箱には、取扱説明書等、電子機器本体又は組立キット以外の物も同梱される。このようなことから、輸送のための梱包箱はそこに収容された電子機器又は組立キットの総容積と比べ極めて大きな容積を持っているのが普通である。したがってその輸送時の梱包箱をそこに収容されている電子機器、又は組立キットが組立てられてなる電子機器の筐体とするには寸法が大き過ぎて無理がある。
【0006】
したがって、従来の梱包箱をそのまま筐体として利用するという提案における梱包箱は、輸送時に外形をなす梱包箱ではなく、電子機器又は部品をその梱包箱の中に複数収容する場合の個々の電子機器又は部品を包む緩衝材としての梱包箱のことと思われる。この場合、輸送時に全体を収容して外形を形成する梱包箱は輸送後にはやはり無駄となる。あるいは、その無駄に加えさらに、電子機器を、その電子機器の筐体として兼用できる個装箱にわざわざ入れてから、梱包箱に入れる必要を生じるおそれもある。
【0007】
本件開示の梱包箱および梱包体は、輸送時の外形を成す梱包箱を輸送後においても有効利用することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本件開示の梱包箱は、電子装置又は組立てにより電子装置として機能する複数の部品が輸送用に梱包されて輸送時の外形を形成する梱包箱であって、輸送時よりも小さい容積の箱体に組み直されて、輸送時に当該梱包箱に梱包されていた電子装置、又は当該梱包箱に梱包されていた複数の部品が組み立てられてなる電子装置を収容し該電子装置の筐体となる梱包箱である。
【0009】
また、本件開示の梱包体は、本件開示の梱包箱と、その梱包箱に収容された、電子装置又は組立てにより電子装置として機能する複数の部品とを有する梱包体である。
【発明の効果】
【0010】
本件によれば、輸送時の梱包箱が、その梱包箱に収容されていた電子機器又はその梱包箱に収容されていた組立キットが組立てられてなる電子機器の筐体として有効利用され、無駄が軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本件の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、第1実施形態としての梱包箱の展開図である。
【0013】
この梱包箱は、ダンボール材からなる一枚の板材で形成されている。ただし一部、後述する部品のネジ止め用の穴11が形成された部分については、ネジ穴が形成された金属板で裏打ちされている。また、ここに示す例では、筐体として組み直された後に必要となる、内蔵の電子機器をアクセスするための開口12もあらかじめ形成されている。ただし、ネジ止め用の穴11や開口12は、輸送時の梱包箱の形態では外面にはあらわれない。この図1においてラインaは山折り用のライン、ラインbは切断のためのミシン目からなる切断線、ラインcは谷折り用のライン、ラインdは山折り用のラインである。aとbとの双方が記載されているラインは山折りに折られ後で切断されることを表わしており、aとcとの双方が記載されているラインは、当初は山折りに折られ後で谷折りに折られることを表わしている。
【0014】
ダンボール材がこの図1に示す形状の板材に加工された後、図1にラインaが山折りされて第1の箱体が形成される。この第1の箱体が輸送時の梱包箱となる。
【0015】
図2は、図1に示す梱包箱の利用方法を示すフロー図である。
【0016】
また、図3〜図14は、図2のフロー図の各ステップの説明図である。
【0017】
ここでは、梱包箱には、組立てにより電子機器(ここではパーソナルコンピュータ(以下「PC」と略記する))として機能する複数の部品(組立キット)が梱包される。
【0018】
先ず、ユーザがPCをインターネットや電話で注文する(図2ステップS01、図3)。ここでは、自分に必要なものだけ、例えばDVDドライブの有無、HDDの容量、アクセサリの有無、などを決める。
【0019】
すると、図1に示す構造の梱包箱10にPCの組立キットが梱包された状態でそのユーザのもとに配送される(図2ステップS02、図4)。
【0020】
次に、図1に示す切断線bに沿って側面(三面)のダンボールをはがし(図2ステップS03、図5)、図6に示す状態にする(図2ステップS04、図6)。
【0021】
この状態でネジ止め用の穴11や内部の電子機器をアクセスするための開口12が外面にあらわれる。また、この状態の外壁面には、組立キットを組み立てるための説明文やイラスト等の印刷13があらわれる。尚、図1ではこの印刷13は図示省略されている。この段階における外壁面のうち、印刷13が施された部分は、後の折り曲げにより内部に収容される面である。
【0022】
次に、梱包箱の中から部品(HDD、ドライブ類など)を取り出す(図2ステップS05、図7)。各部品は緩衝材で梱包されている。
【0023】
次に外壁面の印刷13に記載されている手順に従い、マザーボード、ドライブ類などの各部品を箱に取り付けていく(図2ステップS06、図8)。尚、上述したように、ネジ止め用の穴11は、ネジ穴が形成された金属板で裏打ちされている。
【0024】
部品の取り付けが終わると(図2ステップS07、図9)、箱の半分を、図1に示すラインcに沿って図10に示す矢印方向に折り込む(図2ステップS08、図10)。これにより、この実施形態では、4面の側面のうちの3面について2枚の板が重ねられた状態となり、筐体としての強度向上や耐衝撃性向上が図られている。尚、本実施形態では、輸送時には外壁面としてあらわれていない、筐体へと組み直される途中で外壁面としてあらわれる面であって、折り曲げにより内部に収容される面に、説明文等の印刷13が施されているが、最終的に折り曲げにより内部に収容される面であれば、輸送時の梱包箱の外壁面に説明文等の印刷が施されていてもよい。
【0025】
また、本実施形態では、輸送時の状態の梱包箱から筐体へと組み直される途中における外壁面が部品取付用の壁面として利用され、組立ての容易性を向上させている。部品が取り付けられた外壁面は、折り曲げにより、そこに取り付けられた部品とともに筐体内部に収容される。
【0026】
尚、最終的に折り曲げにより内部に収容される面であれば輸送時の状態の梱包箱外壁面を部品取付面として利用してもよい。
【0027】
さらに、電源やHDD(ハードディスクドライブ)などのパーツを追加で取り付けて(図2ステップS09、図11)、パーツ同士を結線する(図2ステップS10、図12)。この段階における底面内側には、結線方法についての説明文やイラストからなる印刷14が施されており、結線にあたっては、この説明文通りに進める。
【0028】
次に、図1に示すラインdに沿って箱の上下の部分で折り曲げて箱を閉じると(図2ステップS11、図13)、内部にPCが組み込まれた筐体20が完成する(図2ステップS12、図14)。この完成した筐体20の4面の側面のうちの3面は、輸送時の梱包箱に外壁面としてあらわれていた面以外の面からなる。したがって少なくともそれらの3面は、輸送時の汚れとは無関係のきれいな面であり、輸送時の汚れにより汚れた筐体となってしまう可能性が低減される。
【0029】
尚、ここではダンボール材からなる梱包箱について説明したが、ダンボール材以外の材料、例えば樹脂等からなる梱包箱であってもよい。
【0030】
次に第2実施形態の梱包箱について説明する。
【0031】
図15は、第2実施形態の梱包箱の展開図である。
【0032】
この図15に示す板材はダンボール材からなり、ラインaに沿って山折りとし、ラインbに沿って谷折りとすることにより輸送時の梱包箱となる。ラインcは、梱包箱を筐体として組み直す際に切り取られる切断線である。
【0033】
図16は、第2実施形態の梱包箱における筐体として組み直す際の切取り部分をハッチングで示した図である。また、図17は、切取り部分を切り取った後の筐体の展開図である。図17において、ラインaは、ラインbは、を組み立てるときの、それぞれ山折り、谷折りのラインである。
【0034】
輸送時の梱包箱を図15に示すように一旦展開し、切断線cに沿って図16にハッチングで示す部分を切り取って図17に示す形状の板材とする。その後、この図17に示すラインaに沿って山折り、ラインbに沿って谷折りとすることにより、電子装置の筐体が完成する。
【0035】
図18は、組立後の筐体を示す斜視図である。また、図19は、組立後の筐体の一部を開いて示す斜視図、図20は、さらに一部を開いて示す斜視図である。
【0036】
図20から分かるように、前面を除く他の5面はダンボール材が2重に重ねられ、また前面はその大部分が2重に重ねられ、強度アップが図られている。
【0037】
この図18〜図20に示す筐体には、完成品としての電子機器がそのまま収容される。
【0038】
以上、ここでは第1実施形態と第2実施形態の2例を示したが、本件の梱包箱はこれらの2例に限られるものではなく、輸送時よりも小さい容積の箱体に組み直されて電子機器の筐体として利用される形状のものであればよい。
【0039】
また、梱包箱に収容されて輸送され筐体に収容される電子機器はPCに限られるものではなく、本件は一般の電子機器に広く適用可能なものである。
【0040】
さらに、本件の梱包箱は輸送時に完成品としての電子機器が収容されて輸送されるものであってもよく、組立キットが収容されて輸送されるものであってもよい。
【0041】
以下本件の各種形態を付記する。
【0042】
(付記1)
電子装置又は組立てにより電子装置として機能する複数の部品が輸送用に梱包されて輸送時の外形を形成する梱包箱であって、
輸送時よりも小さい容積の箱体に組み直されて、輸送時に当該梱包箱に梱包されていた電子装置、又は当該梱包箱に梱包されていた複数の部品が組み立てられてなる電子装置を収容し該電子装置の筐体となることを特徴とする梱包箱。
【0043】
(付記2)
当該梱包箱が一枚の板材の折り曲げにより形成された箱体であることを特徴とする付記1記載の梱包箱。
【0044】
(付記3)
前記筐体を構成する複数の壁部のうちの少なくとも一部の壁部が、折り重ねられた複数枚の板部からなることを特徴とする付記1又は2記載の梱包箱。
【0045】
(付記4)
前記筐体の少なくとも一部の外壁面が、輸送時の梱包箱に外壁面としてあらわれている面以外の面からなることを特徴とする付記1から3のうちいずれか1項記載の梱包箱。
【0046】
(付記5)
当該梱包箱は、輸送時に、組立てにより電子装置として機能する複数の部品が梱包される梱包箱であって、
輸送時の当該梱包箱の外壁面又は前記筐体へと組み直される途中における外壁面が部品取付用の壁面として利用され、前記筐体は、前記外壁面の、部品が取り付けられた部分が折り曲げにより内部に収容されていることを特徴とする付記1から4のうちいずれか1項記載の梱包箱。
【0047】
(付記6)
輸送時の当該梱包箱の外壁面又は前記筐体へと組み直される途中の外壁面であって折り曲げにより内部に収容される面に説明文又は説明用のイラストが記載されていることを特徴とする付記1から5のうちいずれか1項記載の梱包箱。
【0048】
(付記7)
前記筐体が、該筐体に内蔵された電子機器を操作するための開口を有することを特徴とする付記1から6のうちいずれか1項記載の梱包箱。
【0049】
(付記8)
当該梱包箱がダンボール箱であることを特徴とする付記1から7のうちいずれか1項記載の梱包箱。
【0050】
(付記9)
付記1から8のうちのいずれか1項記載の梱包箱と、
前記梱包箱に収容された、電子装置又は組立てにより電子装置として機能する複数の部品とを有することを特徴とする梱包体。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第1実施形態としての梱包箱の展開図である。
【図2】図1に示す梱包箱の利用方法を示すフロー図である。
【図3】図2のフロー図のステップS01の説明図である。
【図4】図2のフロー図のステップS02の説明図である。
【図5】図2のフロー図のステップS03の説明図である。
【図6】図2のフロー図のステップS04の説明図である。
【図7】図2のフロー図のステップS05の説明図である。
【図8】図2のフロー図のステップS06の説明図である。
【図9】図2のフロー図のステップS07の説明図である。
【図10】図2のフロー図のステップS08の説明図である。
【図11】図2のフロー図のステップS09の説明図である。
【図12】図2のフロー図のステップS10の説明図である。
【図13】図2のフロー図のステップS11の説明図である。
【図14】図2のフロー図のステップS12の説明図である。
【図15】第2実施形態の梱包箱の展開図である。
【図16】第2実施形態の梱包箱における筐体として組み直す際の切取り部分をハッチングで示した図である。
【図17】切取り部分を切り取った後の筐体の展開図である。
【図18】組立後の筐体を示す斜視図である。
【図19】組立後の筐体の一部を開いて示す斜視図である。
【図20】さらに一部を開いて示す斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
10 梱包箱
11 ネジ止め用の穴
12 開口
13,14 印刷
20 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子装置又は組立てにより電子装置として機能する複数の部品が輸送用に梱包されて輸送時の外形を形成する梱包箱であって、
輸送時よりも小さい容積の箱体に組み直されて、輸送時に当該梱包箱に梱包されていた電子装置、又は当該梱包箱に梱包されていた複数の部品が組み立てられてなる電子装置を収容し該電子装置の筐体となることを特徴とする梱包箱。
【請求項2】
前記筐体を構成する複数の壁部のうちの少なくとも一部の壁部が、折り重ねられた複数枚の板部からなることを特徴とする請求項1記載の梱包箱。
【請求項3】
前記筐体の少なくとも一部の外壁面が、輸送時の梱包箱に外壁面としてあらわれている面以外の面からなることを特徴とする請求項1又は2記載の梱包箱。
【請求項4】
当該梱包箱は、輸送時に、組立てにより電子装置として機能する複数の部品が梱包される梱包箱であって、
輸送時の当該梱包箱の外壁面又は前記筐体へと組み直される途中における外壁面が部品取付用の壁面として利用され、前記筐体は、前記外壁面の、部品が取り付けられた部分が折り曲げにより内部に収容されていることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載の梱包箱。
【請求項5】
請求項1から4のうちのいずれか1項記載の梱包箱と、
前記梱包箱に収容された、電子装置又は組立てにより電子装置として機能する複数の部品とを有することを特徴とする梱包体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−137881(P2010−137881A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314549(P2008−314549)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】