説明

梱包箱仕切り構造体

【課題】 梱包箱内に多数の製品を収納(充填)する作業が容易に行えると共に、梱包箱から充填された製品を取り出す場合においては、必要な数量の製品を容易に、しかも即座に取り出すことが可能となる、梱包箱仕切り構造体の提供。
【解決手段】 天面を開口部とする梱包箱内に、1個又は複数個積載して載置され、その内部に梱包される複数の製品を収納する梱包箱仕切り構造体であって、
前記仕切り構造体は、一枚の略矩形の段ボールシートからなり、該シートの両対向片を底部が平面となるU字型に折り曲げることにより立ち上がり側面部を形成し、且つ折り曲げられた立ち上がり側面部は、梱包箱の内壁及び/又は梱包箱内に設けた間仕切り面に当接するよう形成されており、当該立ち上がり側面部の両端部において相向かい合う方向へ折り曲げることにより突出された取手部を設けたことを特徴とする前記梱包箱仕切り構造体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包箱内に製品を収納する場合に使用される梱包箱仕切り構造体であって、簡便な収納作業により製品を梱包することが可能であり、保管時あるいは輸送時においても、梱包箱内に充填した製品の破損を防止でき、さらに開封後、製品を取り出す際に、一度の操作で多くの製品を容易に、且つ素早く梱包箱から取り出せることが可能な梱包箱仕切り構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用の貼付剤或いは輸液製剤等の製品は、その複数個が梱包箱内に収納(充填)されて流通に供されている。
現在主流となっている梱包箱にこれら製品を収納する際に用いられる梱包形態としては、例えば図5に示すようなA式の梱包箱(A式段ボール)や、図6に示すようなラップラウンドの直方体(ラップラウンド式段ボール)が用いられており、これらの箱の中に間仕切り(補強材20)や内装箱等を備えることにより複数の製品を一度に収納し、輸送効率の向上や強度確保を図ったものが多く使用されている。
【0003】
これらの梱包形式が採用される理由としては、梱包箱(段ボール箱)自体が保管や輸送環境に耐え得る強度を有することを前提としながらも、収納すべき製品の充填作業が容易に行えるように考慮されたものである。
しかしながら、この形態にあっては、収納した製品を少量ずつしか取り出せず、また製品が荷崩れしないよう注意をしながら間仕切りを取り除いて取り出す必要があった。
【0004】
さらに、上記した従来の梱包箱構造では、以下のような課題を有していた。
(1)例えば、図5に示すようなA式の梱包箱(A式段ボール)にあっては、収納された紙材料或いは軟包装材等で構成された製品を取り出す際には、取り出すための手を入れるスペースがない為に、製品を上から順次取り出さなくてはならず、そのため一度に多数の製品を取り出すことができず、作業に時間を要していた。
別の手段としては、間仕切りを先に取り除いて出来た空間に無理やりに手を入れて内部の製品を取り出していたため、紙材料或いは軟包装材等で構成された製品に変形や傷が発生することがあり、場合によっては軟包装材等の端で手指を傷付ける恐れがあった。
したがって、その取り出し作業は特に慎重に行う必要があり面倒なものであった。
【0005】
(2)また、図6に示すようなラップラウンド方式の梱包箱では、収納する製品の重量によっては梱包箱の強度を確保するため、間仕切りよりも強度のある内装箱を内部に配置して利用することが多い。
しかしながら、梱包箱を開封して内部に充填した製品を取り出す際には、更に内装箱も開封する必要があるため、上記と同様に慎重に行う必要があり面倒なものであった。
(3)図5及び図6に示した梱包方式の何れにあっても、先に間仕切りを除いて一度にたくさん取り出そうとした場合には、隣接する製品に接触して荷崩れを起こし、製品の変形や傷の発生、落下による破損を引き起こす可能性があった。
【0006】
そのため、梱包箱内部に収納した製品を収納し易くするために容器梱包体を内部に設ける手段(特許文献1)や、梱包箱を破壊することなく梱包箱から製品を容易に取り出すことができる取り出し補助板(特許文献2)などの提案がなされている。
しかしながら、これらの提案にあっては未だ十分なものとはいえず、例えば、特許文献2に記載の手段では、医療用の貼付剤或いは輸液製剤等の製品の場合にあっては、かかる取り出し補助板による製品の取り出しは不可能なものである。
したがって、梱包箱内に製品の充填作業が容易に行えると共に、梱包箱本来の保管・輸送による製品の保護機能を有しつつ、しかも製品の取り出しにおいては、必要な数量を容易にそして即座に取り出すことが可能となる梱包箱仕切り構造体の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−020710号公報
【特許文献2】特開2008−114896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はかかる現状に鑑み、梱包箱内に多数の製品を収納(充填)する作業が容易に行えると共に、充填した梱包箱が、本来の製品の保管・輸送段階でその保護機能を発揮しつつ、しかも梱包箱から充填された製品を取り出す場合においては、必要な数量の製品を容易に、しかも即座に取り出すことが可能となる、梱包箱仕切り構造体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、上記課題を解決するための本発明において、その基本的態様としての請求項1に記載の発明は、
天面を開口部とする梱包箱内に、1個又は複数個積載して載置され、その内部に梱包される複数の製品を収納する梱包箱仕切り構造体であって、
前記仕切り構造体は、一枚の略矩形の段ボールシートからなり、該シートの両対向片を底面部が平面となるU字型に折り曲げることにより立ち上がり側面部を形成し、且つ折り曲げられた立ち上がり側面部は、梱包箱の内壁及び/又は梱包箱内に設けた間仕切り面に当接するよう形成されており、当該立ち上がり側面部の両端部において相向かい合う方向へ折り曲げることにより突出された取手部を設けた、
ことを特徴とする前記梱包箱仕切り構造体である。
【0010】
また、請求項2に記載の本発明は、前記取手部を形成する際に、取手部を折り曲げられた方向とは反対方向に舌片を区画形成するように、当該段ボールシートに切り込み線が設けられたことを特徴とする前記梱包箱仕切り構造体である。
【0011】
より具体的な請求項3に記載の本発明は、前記梱包箱仕切り構造体の底面部に、切り欠き及び/又は孔を設けたことを特徴とする梱包箱仕切り補助構造体である。
【0012】
また、請求項4に記載の本発明は、前記立ち上がり側面部の両端部に設けた取手部が、複数個積載される梱包箱仕切り構造体に対する積載支持片となることを特徴とする梱包箱仕切り構造体である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、天面を開口部とする梱包箱内に、1個又は複数個積載して載置され、その内部に梱包される複数の製品を収納する梱包箱仕切り構造体であって、
前記仕切り構造体は、一枚の略矩形の段ボールシートからなり、該シートの両対向片を底面部が平面となるU字型に折り曲げることにより立ち上がり側面部を形成し、且つ折り曲げられた立ち上がり側面部は、梱包箱の内壁面に当接するよう形成されており、当該立ち上がり側面部の両端部において相向かい合う方向へ折り曲げることにより突出された取手部を設けたものであり、これにより、例えば、当該構造体の平面部の上部空間に製品を充填(収納)した後梱包する際に、側面部の端部に設けた取手部により天井面からの押圧を受け止めることとなる。
したがって、充填した製品に対し押圧が掛からないことから、製品に変形等の損傷を発生させず、安定的に製品を充填することが可能となる。
【0014】
また、折り曲げることにより形成される立ち上がり側面部の高さを調節することにより、梱包箱仕切り構造体を複数個積載させることが可能となり、所望の製品個数を充填した梱包箱仕切り構造体を適宜積み重ねることにより、希望する製品の個数を容易に、かつ素早く取り出すことができる。
なお、この場合にあって、側面部の端部に設けた取手部は、複数個積載される梱包箱仕切り構造体に対する積載支持片となることから、積載充填した製品に過度の押圧が掛かることがなく、安定的に製品を充填することが可能となる。
【0015】
また、梱包箱から製品を取り出す場合には、梱包箱仕切り構造体の取手部をもって引き上げればよく、したがって、製品を強引に取り出す必要がないため、内容物の品質を低下させることがない利点を有している。
【0016】
さらに、本発明によれば、側面部の端部に設けた取手部により天井面からの押圧を受け止めることとなることから、充填(収納)する製品が重量物の場合であっても、保管及び輸送時の梱包箱の積み重ねに際して梱包箱の強度を高め、圧縮変形を容易に防止しうる利点を有している。
【0017】
さらに、本発明の別の形態によれば、取手部と反対方向に1個〜複数個の舌片を形成するように、段ボールシートに切り込み線を入れたことから、梱包箱仕切り構造体を梱包箱内に収納する際に、取手部を折り曲げることにより区画形成された舌片が、梱包箱の内壁に接触する。これにより、梱包箱仕切り構造体の立ち上がり側面が、収納される製品方向に傾いた状態で固定され、立ち上がり側面による内向き方向(製品方向)への押圧力が発生し、製品を安定的に挟持可能となる利点を有している。
【0018】
また、収納する製品が少量であって、製品上部に大きな空間が生じた梱包箱仕切り構造体を2段以上積み上げる場合においても、運搬中の不意の振動等に起因し、下部仕切り構造体の取手部が製品方向へ折れ曲がることで発生する、上部仕切り構造体の下部仕切り構造体への落ち込みも生じることはない。すなわち、上記した舌片による作用により、梱包箱への載置時における下部仕切り構造体の開口部の広さ(取手部を除く)が、上部仕切り構造体の底部より小さくなっているからである。
【0019】
またさらに、本発明が提案する梱包箱仕切り構造体にあっては、当該構造体の底面部に、切り欠き及び/又は孔を設けたことから、構造体の底面部の上部に充填した製品を構造体ごと梱包箱に挿入・収納する際において、梱包箱内の空気を容易に外に逃がすことができるものであり、したがって、素早い梱包作業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の基本的形態である天面を開口部とする梱包箱内に載置され、その内部に梱包される複数の製品を収納する梱包箱仕切り構造体について、梱包箱へ挿入・収納する前の状態を示した概略斜視図である。
【図2】梱包箱内に2個の梱包箱仕切り構造体を積載させ、その内部に製品を収納し、梱包する前の状態を示した概略断面図である。
【図3.1】本発明の別の形態である梱包箱仕切り構造体について、組立前の概略正面図である。
【図3.2】本発明の別の形態である梱包箱仕切り構造体について、梱包箱への挿入・収納する前の状態を示した概略斜視図である。
【図4】本発明の別の形態である梱包箱仕切り構造体を、梱包箱内に2個載置させて、その内部に製品を収納し、梱包する前の状態を示した概略断面図である。
【図5】従来の一般的なA式段ボール箱の斜視図である。
【図6】従来の一般的なラップラウンド方式の段ボール箱の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明を、本発明の梱包箱内に製品を収納する場合に使用される梱包箱仕切り構造体、梱包箱等に関し、その素材、材質等を最初に説明し、次いで図面をもとに本発明を具体的に説明していく。
【0022】
本発明における梱包箱本体の素材、及びその材質構成としては、製品を収納した梱包箱の積載保管、及び積載輸送等を考慮し、その積載に伴う強度に耐え得るものであれば、特に限定されるものではない。
具体的には、例えば段ボール製(W/F、A/F、B/F、E/F、G/F等)であれば、ライナーはD4、C5、C6、K5、K6、K7等が好ましく、中芯としては、125g/m、160g/m、180g/m(強化)或いは200g/m(強化)等が望ましい。
通い箱の場合にあっては、耐久性を考慮して、プラスチック製段ボールも望ましく使用され、そのようなプラスチックとしては、ポリプロピレン、ポリカーボネート等であって、その厚みが1.5mm、2.0mm、2.5mm、3.0mm、4.0mm、5.0mm、6.0mm或いは7.0mm等が望ましい。
収納する製品が軽重量である場合や、或いは箱に意匠性を向上させたい場合等には、これ以外にも合紙、コートボール、カード紙、ホイル紙等の梱包箱であっても良い。
【0023】
梱包箱自体の形状としては、直方体で梱包箱の天面を開封させる形式のものであれば特に限定されず、いわゆるA式、C式、N式、ラップラウンド式等の梱包箱が望ましく、底面の形成方式としては、いわゆるワンタッチ式、差込式、地獄底式、風車式等のいずれであってもよい。
【0024】
梱包箱の色調としては特に限定されず、さらに、梱包箱に対する意匠性の付与や、全体のコストを考慮し、クラフト色、白色、黒色、青色、赤色、黄色、緑色、透明、半透明、乳白色等の色調を自由に選択することができ、梱包箱に対する印刷も自由であり、特に限定されるものではない。
【0025】
一方、梱包箱内に載置され、その底面部上部に梱包される製品を収納する本発明の梱包箱仕切り構造体の素材並びに材質構成としては、上記した梱包箱と同様、製品を収納した梱包箱の保管及び輸送等を考慮し、その強度に耐え得るものであれば、特に限定されるものではない。
具体的には、段ボール製(W/F、A/F、B/F、E/F、G/F等)であれば、ライナーはD4、C5、C6、K5、K6、K7等が好ましく、中芯としては、125g/m、160g/m、180g/m(強化)或いは200g/m(強化)等が望ましい。
さらに、本発明の梱包箱仕切り構造体の底面部上部に収納する製品が軽重量である場合や、或いは箱に意匠性を向上させたい場合等には、これ以外にも合紙、コートボール、カード紙、ホイル紙等の梱包箱であっても良い。
【0026】
梱包箱仕切り構造体の色調としても特に限定されるものではなく、意匠性やコストを考慮し、クラフト色、白色、黒色、青色、赤色、黄色、緑色、透明、半透明、乳白色等の色調を自由に選択することができ、表面印刷も自由であり、特に限定されるものではない。
【0027】
本発明の梱包箱仕切り構造体の底面部上方に充填(収納)される製品としては、特に限定されるものではない。紙器等により構成される定型の個箱や、不定型の軟包装材により構成される製品等が挙げられる。
個箱においては、段ボール、合紙、コートボール、カード紙、ホイル紙、クリアケース等が望ましく、その表面加工においても、限定されることはなく、OPニス、ビニール引き、UVコート、プレスコート、フィルム貼りや箔押し等、一般的な表面加工を施したすべての個箱に対応することができる。
【0028】
また、軟包装材製品、例えば、外用貼付剤であるパップ剤、プラスター剤等を包装した製品、或いは輸液製剤を包装した製品等の場合も、その材質構成や表面素材は特に限定されず、紙、PET、OPP、セロハン、ナイロン、PVDC等を表面素材とした四方シール袋、三方シール袋、ピロー袋、ガゼット袋等の製品をあげることができる。
更にこの製袋品にあっては、含気包装、脱気包装、真空包装、窒素ガス充填包装等が施された包装袋製品であってもよく、これらの製品全てに対応することができる。
【実施例】
【0029】
以下に本発明について図面に基づき説明するが、以下の説明は本発明の具体的な一実施例に基づく説明であって、本発明はこれに限定されるものではない。
また、本発明にあっては種々の変形が可能であって、かかる変形は、特許請求の範囲内に包含される変形である限り本発明の技術的範囲に包含されることに留意すべきである。
【0030】
図1に、本願発明が提供する、基本的形態である天面を開口部とする梱包箱10の内部に載置され、梱包されるべき複数の製品を収納する梱包箱仕切り構造体1について、梱包箱10へ載置・挿入する前の状態の概略斜視図を示した。
【0031】
本発明の梱包箱仕切り構造体1は、一枚の略矩形の段ボールシートからなり、該シートの両対向片を底面部100が平面となるU字型に折り曲げることにより、左右に両方に立ち上がり側面部102を形成し、且つ折り曲げられた立ち上がり側面部102は、梱包箱10の内壁11及び/又は梱包箱内に設けた間仕切り(補強材:図5の20)面に接触するよう形成されており、当該立ち上がり側面部102の両端部において相向かい合う方向へ折り曲げることにより突出された取手部105を設けたものとなっている。
【0032】
かかる梱包箱仕切り構造体1の底面部100の上方空間部に梱包箱内に収納(充填)される製品(図中図示せず)が積載され、その状態で、梱包箱10の内部に納められ、梱包箱の各ラップ12を折りたたみ梱包することにより梱包箱内に充填される。
【0033】
本発明の梱包箱仕切り構造体1の梱包箱10内部への載置・挿入に当たっては、梱包箱仕切り構造体1の底部100の四隅に切り欠き部106を4個受けたことより、梱包箱10内部の空気を容易に逃がすことができ、それにより、梱包箱仕切り構造体1の梱包箱10内部への載置・挿入がスムースに行われることとなる。
なお、本実施例においては切り欠き部106は、梱包箱仕切り構造体1の底面部100の四隅に設けているが、その形状等は各種の形状を採用することができ、円形、楕円形、台形等の多角形等の形状であっても良い。
また、その大きさも特に限定されるものではなく、梱包箱仕切り構造体1の梱包箱内への載置・挿入の際に梱包箱内の空気を逃がすのに十分な大きさであればよい。
さらに、切り欠き部は底面部100の四隅に設ける必要はなく、底部の任意の箇所に孔として複数個も受けても良いことはいうまでもない。
【0034】
本実施例にあっては、梱包箱仕切り構造体1は、梱包箱10に対応して載置・挿入される一つの梱包箱仕切り構造体として構成されている。
したがって、梱包箱仕切り構造体1として形成される底面部100は、梱包箱10に挿入された状態で立ち上がり側面部102が梱包箱の内壁11に当接するのに十分な縦、横の長さを有する底面として形成されている。
また、その立ち上がり側面部102高さも、梱包箱10の高さに対応した高さとして形成されることとなる。
【0035】
一方、別の実施例として、折り曲げることにより形成される立ち上がり側面部102の高さを調節することにより、梱包箱仕切り構造体1を複数個積載させることが可能となり、所望の製品個数を充填した梱包箱仕切り構造体を積み重ねることにより梱包箱内に収納した例を図2に示した。
図2は、梱包箱10内に2個の梱包箱仕切り構造体1a及び1bを積載させ、その内部に製品50を収納した梱包する前の状態を示す概略断面図である。
【0036】
本実施例においては、梱包箱仕切り構造体1a、1bは、梱包箱10内に2個積載されて収納されていることから、各梱包箱仕切り構造体1a、1bの立ち上がり側面部102a、102bの高さは、梱包箱の高さの略半分の高さとなる。
しかしながら、両梱包箱仕切り構造体1の立ち上がり側面部102の高さは両者共に同一の高さである必要はなく、収納する製品の個数に応じて、梱包箱の底部には多くの製品を収納した梱包箱仕切り構造体を載置して、その上方に少量の製品を収納した梱包箱仕切り構造体を積載することも可能であり、またこの逆であってもよい。
これらの場合には、それぞれの梱包箱仕切り構造体の立ち上がり側面部の高さの和が、梱包箱の高さに該当するものとなればよい。
【0037】
本実施例においては梱包箱10の上方に位置する梱包箱仕切り構造体1aを、下方に位置する梱包箱仕切り構造体1b上に載置しているが、この載置に当たっては梱包箱仕切り構造体1bの取手部105bが積載支持片として作用することとなり、安定した積載状態を維持することとなり、その結果、充填した製品に対し押圧が掛からないことから、製品に変形等の損傷を発生させず、安定的に製品を充填することが可能となる。
【0038】
さらに別の実施例として、取手部と舌片を設けた梱包箱仕切り構造体の組立前における正面図を図3.1に、使用時における斜視図を図3.2に示し、さらに、その梱包箱仕切り構造体に製品を所望個数充填した梱包箱仕切り構造体を積み重ねた例を図4に示した。
なお、図中における符号は、前記した符号と同一の意味を有する。
【0039】
この実施例による本発明の梱包箱仕切り構造体2も、1枚の段ボールシートからなり、取手部を形成する部分に、予め折れ線109と切り込み線108を設けておき、折れ線を折り返した際に取手部が形成されると同時に、切り込み線108により三方を切り込まれた舌片107が、取手部を折り返した方向とは反対方向に区画形成される。
【0040】
本実施例においては、舌片は各取手部に2箇所形成されているが、収納する製品を安定的に挟持できるのであれば、その形状、およびその数は如何様でもかまわない。
【0041】
このような梱包箱仕切り構造体2に製品が収納され、梱包箱10に収められるが、その際、舌片107が梱包箱10の内壁11に接触するために、梱包箱仕切り構造体2の立ち上がり側面部102が、収納される製品側に傾いた状態で梱包箱に載置される。それにより収納する製品を、両方の立ち上がり側面部により、安定的に挟持することができる。
【0042】
また、図4に示したように梱包箱仕切り構造体2を複数個積載する場合には、下部仕切り構造体2bの舌片107bの作用により、下部仕切り構造体2bの開口部の広さが、上部仕切り構造体2aの底部よりやや小さい形状で梱包箱10に載置されることとなる。そのため、特に、収納する製品50が少ない梱包箱仕切り構造体を載置する場合に起こりやすく、梱包箱運搬時における振動等を原因とする、上部仕切り構造体2aの下部仕切り構造体2bへの落ち込みも生じることはない。すなわち、収納される製品50を安定的に保持することが可能となる。
【0043】
上記してきた各実施例においては、梱包箱仕切り構造体1は、梱包箱10の底面に対応して一つの梱包箱仕切り構造体として構成されている例であるが、さらに別の実施例として、梱包箱が大きなものである場合には、例えば図5における間仕切り20によって構成される4箇所の空隙部25a〜25dに製品を充填した梱包箱仕切り構造体を挿入して収納させることもできる。
この別の実施例における各空隙部25a〜25dへの本発明の梱包箱仕切り構造体を挿入は、基本的には上記した各実施例と同様の考え方並びに操作で行えるものである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上記載のように、本発明によれば、天面を開口部とする梱包箱内に、1個又は複数個積載して載置され、その内部に梱包される複数の製品を収納する梱包箱仕切り構造体であって、前記仕切り構造体は、一枚の略矩形の段ボールシートからなり、該シートの両対向片を底部が平面となるU字型に折り曲げることにより立ち上がり側面部を形成し、且つ折り曲げられた立ち上がり側面部は、梱包箱の内壁面に当接するよう形成されており、当該立ち上がり側面部の両端部において相向かい合う方向へ折り曲げることにより突出された取手部を設けた梱包箱仕切り構造体が提供される。
【0045】
本発明が提供する梱包箱仕切り構造体は、例えば、構造体の平面部の上部空間に製品を充填した後梱包する際に、側面部の端部に設けた取手部により天井面からの押圧を受け止めることとなり、したがって、充填した製品に対し押圧が掛からないことから、製品に変形等の損傷を発生させず、安定的に製品を充填することができる。
【0046】
また、折り曲げることにより形成される立ち上がり側面部の高さを調節することにより、梱包箱仕切り構造体を複数個積載させることが可能となり、所望の製品個数を充填した梱包箱仕切り構造体を積み重ねることにより、希望する製品の個数を容易に、かつ素早く取り出すことができるものであり、特に、梱包箱から製品と取り出す場合には、梱包箱仕切り構造体の取手部をもって引き上げればよく、製品を強引に取り出す必要がないため、内容物の品質を低下させることがない点で、産業上の利用性は多大なものである。
【符号の説明】
【0047】
1、2 梱包箱仕切り構造体
10 梱包箱
11 梱包箱内壁
100 底部
102 立ち上がり側面部
105 取手部
106 切り欠き部
107 舌片
108 切り込み線
109 折れ線
25 空隙部
50 製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面を開口部とする梱包箱内に、1個又は複数個積載して載置され、その内部に梱包される複数の製品を収納する梱包箱仕切り構造体であって、
前記梱包箱仕切り構造体は、一枚の略矩形の段ボールシートからなり、該シートの両対向片を底面部が平面となるU字型に折り曲げることにより立ち上がり側面部を形成し、且つ折り曲げられた立ち上がり側面部は、梱包箱の内壁及び/又は梱包箱内に設けた間仕切り面に当接するよう形成されており、当該立ち上がり側面部の両端部において相向かい合う方向へ折り曲げることにより突出された取手部を設けた、
ことを特徴とする前記梱包箱仕切り構造体。
【請求項2】
前記段ボールシートにおいて、取手部が折り曲げられると同時に、該取手部が折り曲げられた方向とは反対方向に舌片を区画形成するように、当該段ボールシートに切り込み線が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の梱包箱仕切り構造体。
【請求項3】
前記梱包箱仕切り構造体の底面部に、切り欠き及び/又は孔を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の梱包箱仕切り構造体。
【請求項4】
立ち上がり側面部の両端部に設けた取手部が、複数個積載される梱包箱仕切り構造体に対する積載支持片となることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の梱包箱仕切り構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3.1】
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【図3.2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−68386(P2011−68386A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220630(P2009−220630)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000215958)帝國製薬株式会社 (44)
【Fターム(参考)】