説明

梱包箱

【課題】梱包箱としての機能を損なうことなく、梱包箱の表面を最大限有効利用して宣伝効果の高い広告表示体を形成することが可能となる。
【解決手段】本発明の梱包箱100は、被梱包物を梱包した状態で隣接する画像板102と任意の角を成す関係にある複数の画像板102であって、同一平面に展開することでそれぞれの少なくとも一方の面に付された部分画像120が一連の全体画像122を形成する複数の画像板102と、画像板102に連接され、複数の画像板102を起立した状態に保持するスタンドを形成する複数の支持板106とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、POP広告のための広告表示体としても機能する梱包箱に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、広告を表示したパネル、看板等のPOP(Point Of Purchase)広告表示体を、店頭、商品の陳列棚近辺、キャンペーン会場等に配置し、商品を購入する顧客の購買意欲を向上させる広告形態が採用されている。このような広告表示体は、商品の供給元や、供給元の依頼を受けた委託業者(以下、単に供給元等と称する)から各店舗やキャンペーン会場(以下、単に店舗等と称する)に配送され、使用後は各店舗等から供給元等へ返送される場合もある。従来、広告表示体を配送したり返送したりする際(運搬する際)には、広告の表示面を保護すべく、広告表示体をダンボール等の梱包材で梱包していた。
【0003】
しかし、近年の環境保護やコスト低減の観点から、梱包材の削減が要求されている。そこで、広告を表示する表示板と、この表示板を背面から支持する背面支持板とが着脱可能に形成されており、背面支持板が表示板を収納する収納ケースとなる広告表示体が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、略正方形の底面部、横長略長方形の前後左右の各側面部、および前後左右の各蓋部を有する収納ケースであって、箱として機能する場合、内部に収納空間を有する箱状体が形成され、広告表示体として機能する場合、箱の底面部や側面部の中央部分が、広告を表示するための表示面として利用され、底面部や側面部の中央部分以外の両サイドが折り返して支持体となる技術が提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−337968号公報
【特許文献2】実用新案登録第3126895号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の技術では、表示板と収納ケース(支持板)が別体で形成されているため、ユーザが誤って収納ケースを廃棄してしまった場合には、運搬用に別途梱包材が必要になるだけでなく、広告表示体として表示板を組立てることすらできなくなってしまう。
【0007】
また、特許文献2の技術では、底面部や側面部の一部(中央部分)のみが広告表示面となるため、運搬する箱の大きさの割には、顧客が最も注視する表示面の面積が小さくなってしまう。したがって、特許文献2の広告表示体をPOP広告として利用したとしても、顧客が視認する広告が小さくなってしまい、十分な宣伝効果が得られない。
【0008】
そこで、本発明は、このような課題に鑑み、梱包箱としての機能を損なうことなく、梱包箱の表面を最大限有効利用して宣伝効果の高い広告表示体を形成することが可能な梱包箱を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の梱包箱は、被梱包物を梱包した状態で隣接する画像板と任意の角を成す関係にある複数の画像板であって、同一平面に展開することでそれぞれの少なくとも一方の面に付された部分画像が一連の全体画像を形成する複数の画像板と、画像板に連接され、複数の画像板を起立した状態に保持するスタンドを形成する複数の支持板とを備えることを特徴とする。
【0010】
かかる構成により、梱包状態では任意の角(例えば90°(直角)や180°(折り畳み状態))を成していた画像板の面を、広告状態に再構築する際、同一平面に展開して利用することで、全体画像の面積を最大限に確保し、宣伝効果の高い広告表示体を形成することができる。また、梱包箱の画像板以外の面(支持板)もスタンドとして有効利用することで、余剰部材をなくし、上記宣伝効果の高い広告表示体を起立した状態に保持することが可能となる。
【0011】
上記梱包箱の画像板に延設され、被梱包物を梱包した状態で内包される補助板をさらに備え、補助板の少なくとも一方の面には部分画像が付され、補助板は、複数の画像板のうちのいずれか1または複数の画像板と同一平面に展開することで、補助板に付された部分画像と、複数の画像板のうちのいずれか1または複数の画像板に付された部分画像が一連の全体画像を形成してもよい。
【0012】
外筐とならず、広告を示す機能に特化した補助板を備える構成により、梱包材としての機能を考慮することを要さず、広告(表示)としての機能を最大限に発揮させるための、さまざまな加工を補助板に施すことが可能となる。
【0013】
上記梱包箱の複数の画像板のうち端部の画像板または補助板は、画像板の延設方向の切り込みを有し、画像板の接合部分に形成された折り目に、切り込みで切断することにより形成される端部の画像板の一部または補助板の一部を折畳してもよい。
【0014】
このように、端部の画像板または補助板を切り込みで切断することによって形成される画像板の一部または補助板の一部を、画像板の折り目に折畳する構成により、折り目といった起立させようとすると自重で折れ曲がってしまう箇所を、同一の梱包箱における画像板の一部または補助板の一部で容易に補強することができ、複数の画像板または補助板を確実に起立させることが可能となる。
【0015】
上記梱包箱の端部の画像板の一部または補助板の一部は、画像板の接合部分の折り目以外に折り目を形成して折畳してもよい。
【0016】
かかる構成により、端部の画像板または補助板の接合部分によって画像板が起立できない事態を回避でき、端部の画像板または補助板を含んで複数の画像板を起立させることが可能となる。
【0017】
上記梱包箱の画像板の部分画像が付される面は、被梱包物を梱包した状態で梱包箱の内部に位置してもよい。
【0018】
被梱包物を梱包した状態において部分画像が付される面が、梱包箱の内部に形成されることで、梱包箱を運搬する際に部分画像を保護することができる。また運搬する際に、被梱包物を梱包した状態では、全体画像の内容を梱包箱の外から把握することができないので、秘匿性を維持することが可能となる。さらに、運搬する際に、梱包箱の外面には部分画像が付されていないため、その外面に宛先を記したり、宛先が記された送付状を貼付したりといったように有効利用することができ、梱包箱を別途包装することなく、現物のまま発送することが可能となる。
【0019】
支持板同士が嵌合され、スタンドが筒形状に形成されてもよい。支持板同士を嵌合するといった簡単な構成により、接着材、接着テープ、粘着テープ、ステープラ等の特別な固定手段を必要とせず、確実かつ容易に、複数の画像板または補助板を起立した状態に保持することができる。
【0020】
上記梱包箱は、ダンボールまたは厚紙で形成されてもよい。ダンボールまたは厚紙は、低コストで、容易に加工でき、再利用も可能である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、梱包箱としての機能を損なうことなく、梱包箱の表面を最大限有効利用して宣伝効果の高い広告表示体を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施形態にかかる梱包箱の展開図である。
【図2】第1の実施形態にかかる、展開した梱包箱の斜視図である。
【図3】第1の実施形態にかかる梱包箱の梱包状態を説明するための説明図である。
【図4】第1の実施形態にかかる梱包箱を展開し、広告表示体として再構築した状態を説明するための説明図である。
【図5】切り込みの他の例を説明するための説明図である。
【図6】第2の実施形態にかかる梱包箱の展開図である。
【図7】第2の実施形態にかかる、展開した梱包箱の斜視図である。
【図8】第2の実施形態にかかる梱包箱の梱包状態を説明するための説明図である。
【図9】第2の実施形態にかかる梱包箱を展開し、広告表示体として再構築した状態を説明するための説明図である。
【図10】第2の実施形態にかかる梱包箱の他の例を説明するための展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0024】
(第1の実施形態)
近年、POP広告のための広告表示体を、店頭、商品の陳列棚近辺、キャンペーン会場等に配置し、商品を購入する顧客の購買意欲を向上させる広告形態が採用されている。広告表示体は、商品の供給元等と店舗等の間で運搬される。従来、広告表示体を運搬する際には、広告の表示面を保護すべく、広告表示体をダンボール等の梱包箱で梱包していたが、近年の環境保護やコスト低減の観点から梱包箱等の梱包材の削減が要求されている。特に等身大の広告表示体といった大きなものについては、広告表示体自体を折り畳むのにも限界があるため、削減要求に反して梱包箱も大きくせざるを得なかった。
【0025】
ところで、広告表示体を用いてPOP広告を行う場合には、広告表示体の他に、ポスターやチラシ(フライヤー、ビラ)、販促品等(以下、単にポスター等)を使用して広告活動を行うことが多い。この場合、広告表示体とは別に、ポスター等を内包した梱包箱を配送することになり、広告表示体とは別に、ポスター等を梱包した梱包箱を準備しなければならなかった。
【0026】
そこで、本実施形態では、梱包箱としての機能を損なうことなく、梱包箱を変形して広告表示体としても機能させると共に、梱包箱の表面を最大限有効利用して宣伝効果の高い広告表示体を形成することが可能な梱包箱100を提供することを目的とする。
【0027】
(梱包箱100)
図1は、第1の実施形態にかかる梱包箱100の展開図であり、図2は、展開した梱包箱100の斜視図である。なお、図1は、後述する切り込み112で画像板102を切断する前の状態を示し、図2は、切り込み112で画像板102を切断した後の状態を示す。
【0028】
図1および図2に示すように、梱包箱100は、6つの板(面)、具体的に、2以上(ここでは3つ)の画像板102(図中、102a、102b、102cで示す)と、画像板102cに延設された側板104と、画像板102cの両端に連接された支持板106(図中、106a、106bで示す)とを含んで構成される。例えば、梱包箱100の6つの板の厚みはそれぞれ概ね3mm〜5mmである。また、画像板102a、102cは31.5cm×41cm、画像板102bおよび側板104は31.5cm×20cm、支持板106a、106bは20cm×41cm、支持板106aの嵌合部108aは2cm×9cm、支持板106bの嵌合穴108bは3mm〜5mm(嵌合部108aの厚み)×9cmである。
【0029】
以下、梱包箱100が、被梱包物を梱包した状態すなわち梱包材として機能する状態(単に梱包状態と称する)と、広告表示体として機能する状態(以下、単に広告状態と称する)とを説明する。
【0030】
(梱包状態)
図3は、梱包箱100の梱包状態を説明するための説明図である。図3に示すように、3つの画像板102は、梱包状態で、隣接する画像板102と任意の角を成す関係にある。例えば、図3(b)に示す例では、画像板102bは、梱包状態において、隣接する画像板102aと略90°を成す関係にあり、隣接する画像板102cとも略90°を成す関係にある。
【0031】
また、図3に示すように梱包状態において、梱包箱100は、例えば、画像板102cを底面とした場合、画像板102aが上面となり、画像板102b、側板104、支持板106a、106bが側面となる。換言すれば、梱包状態において、梱包箱100は、蓋として機能する画像板102aと、画像板102bと、102cと、側板104と、支持板106a、106bとで箱形状の外筐を構成する。したがって、図3(a)に示すように、画像板102a以外を組み立てて、内部にポスター等を収納し、図3(b)に示すように、蓋として機能する画像板102aで閉じることにより、梱包箱100にポスター等を収納した状態で運搬することができる。
【0032】
(広告状態)
図4は、梱包箱100を図2の如く展開し、広告表示体として再構築した状態を説明するための説明図であり、図4(a)は、全体画像122を付した面を正面とした場合の正面図を、図4(b)は、梱包箱100(広告表示体)を背面から見た場合の斜視図をそれぞれ示す。
【0033】
梱包箱100を、図3に示す梱包状態から図2のような展開状態を経由し、図4(a)に示すように、広告状態に再構築した場合、画像板102a、102b、102cは、同一平面に展開され、それぞれの少なくとも一方の面110(図4(a)中、110a、110b、110cで示す)に付された部分画像120(図4(a)中、120a、120b、120cで示す)が一連の全体画像122を形成する。ここで、部分画像120を面110に付すとは、面110に部分画像120が直接印刷または塗布されたり、部分画像120が描かれたシートが面110に貼付されたりすることを言う。
【0034】
このように、梱包状態では任意の角(例えば90°)を成していた画像板102の面110を、広告状態に再構築する際、同一平面に展開して利用することで、全体画像122の面積を最大限に確保し、宣伝効果の高い広告表示体を形成することができる。
【0035】
また、画像板102の部分画像120が形成される面110は、梱包状態で梱包箱100の内部(内側)に位置する。このように、梱包状態において部分画像120が付される面110が、梱包箱100の内部に形成されることで、梱包箱100を運搬する際に部分画像120を保護することができる。また運搬する際に、梱包状態では、全体画像122の内容を梱包箱100の外から把握することができないので、店頭に広告表示体として設置したときに初めて公表したい広告等の秘匿性を維持することが可能となる。さらに、運搬する際に、梱包箱100の外面には部分画像が付されていないため、その外面に宛先を記したり、宛先が記された送付状を貼付したりといったように有効利用することができ、梱包箱100を別途包装することなく、現物のまま発送することが可能となる。
【0036】
図4(b)に示すように、支持板106は、画像板102a、102b、102cを起立した状態に保持するスタンドを形成する。本実施形態においては、支持板106aは、嵌合部108aを備え、支持板106bは、嵌合穴108bを備え、嵌合部108aを嵌合穴108bに嵌合することで、支持板106同士(106aと106b)が連接される。こうして、支持板106a、支持板106b、および、画像板102cが、水平断面が三角形となる筒形状を形成し、それがスタンドとなる。
【0037】
なお、ここでは、支持板106でスタンドを形成する場合、嵌合部108aと嵌合孔108bとが嵌合する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されず、支持板106がスタンドを形成できれば足り、支持板106を単に背面に折り込むことでスタンドを形成してもよいし、支持板106同士を接着テープ等で固定してスタンドを形成してもよい。
【0038】
このように、梱包状態では外筐を構成するが、広告状態では、全体画像122を形成しない、ある意味、余剰部材である支持板106を有効利用してスタンドを形成することで、梱包箱100以外の部材を別途用意することなく、画像板102a、102b、102cを起立状態で確実に保持することが可能となる。
【0039】
また、本実施形態において、支持板106は、支持板106同士(106aと106b)を嵌合することで複数の画像板(102a、102b、102c)を起立した状態に保持するスタンドを形成する。これにより、接着材、接着テープ、粘着テープ、ステープラ等の特別な固定手段を必要とせず、確実かつ容易に、複数の画像板102を起立した状態に保持することができる。
【0040】
本実施形態において、複数の画像板102のうち、端部の画像板102aは、画像板102の延設方向(図4における縦方向)の切り込み112を有している。図3に示す梱包状態において画像板102aは、切り込み112でまだ切断されておらず、梱包状態から図4(b)に示す広告表示体を形成する際にはじめて、画像板102aを切り込み112で切断する。
【0041】
図4(b)に矢印で示すように、広告状態において、画像板102aと画像板102bとの接合部分に形成された折り目130a、および画像板102bと画像板102cの接合部分に形成された折り目130bに、切り込み112で切断することにより形成される、画像板102aの一部140を折畳する。ここでは、部分画像120が付された面を正面とした場合の背面側に、画像板102aの一部140が折り込まれている。
【0042】
このように、端部の画像板102aを切り込み112で切断することによって形成される画像板102aの一部140を、部分画像120が付される画像板102の折り目130に折畳する構成により、折り目130といった起立させようとすると自重で折れ曲がってしまう箇所を、同一の梱包箱100における画像板102aの一部140で容易に補強することができ、複数の画像板102a、102b、102cを確実に起立させることが可能となる。
【0043】
図5は、切り込み112の他の例を説明するための説明図である。図4において、切り込み112は、画像板102の長手方向に直線的に延伸した形状であるが、これに限定されず、図5(a)から(c)に示すように、切り込み112で切断したことにより形成される画像板102aの一部140を折り返すと、折り目130a、130bに折畳することができる切り込み112であれば足りる。
【0044】
切り込み112は、ミシンの目のように、線上に、貫通した箇所と、貫通させない箇所を交互に配置した所謂ミシン目加工を施すことによって形成されてもよいし、画像板102aを切断しない程度に、画像板102aの厚み方向に切れ目を施すことによって形成されてもよい。また、画像板102aに印刷等して、単なる線として切り込み112を付しておき、梱包箱100を広告表示体として形成する際に、はさみやカッター等の切断具で、切り込み112を切断してもよい。
【0045】
また、図4(a)に示すように、端部の画像板102aの一部140は、画像板102aと画像板102bとの接続部分に形成された折り目130以外の部分、例えば、画像板102a内に折り目132を形成し、画像板102aの一部140の折り目が形成されていない部分を、折り目130に折畳する。すなわち、端部の画像板102aには、切り込み112の終端112aが、折り目130aに到達しないように切り込み112が形成される。かかる構成により、端部の画像板102aの一部140のみで、2つの折り目130a、130bを一度に補強することができる。
【0046】
また、本実施形態において、梱包箱100は、ダンボールまたは厚紙で形成されている。ダンボールまたは厚紙は安価かつ加工が容易なので製造コストを低減でき、さらに、広告表示体を形成する際にも容易に追加加工ができ、再利用も可能である。なお、ここでは、梱包箱100をダンボールまたは厚紙で形成しているが、梱包箱100を板紙、合成紙、プラスチック(ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂等)等で形成することもできる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態にかかる梱包箱100によれば、梱包箱としての機能と、広告表示体としての機能とを有し、広告表示体として機能させる場合に表示面を最大限に確保しつつ、梱包箱として機能させる場合にはポスター等を内包することが可能となる。
【0048】
(第2の実施形態:梱包箱200)
図6は、第2の実施形態にかかる梱包箱200の展開図であり、図7は、展開した梱包箱200の斜視図である。なお、図6は、後述する切り込み212で、補助板202aを切断する前の状態を示し、図7は、切り込み212で補助板202aを切断した後の状態を示す。本実施形態においても、梱包箱200は、ダンボールまたは厚紙で形成されている。
【0049】
図6および図7に示すように、梱包箱200は、9つの板(面)、具体的に、2つの画像板102(図中、102d、102eで示す)と、画像板102eに延設された側板104と、画像板102eの両端に連接された支持板106(図中、106c、106d、106e、106fで示す)と、画像板102dに延設された補助板202aと、側板104に延設された縁板204を含んで構成される。例えば、梱包箱200の9つの板の厚みはそれぞれ概ね3mm〜5mmである。また、画像板102dは31.5cm×3cm、画像板102eは31.5cm×41cm、側板104は31.5cm×3cm、縁板204は31.5cm×5cm、支持板106cは、20cm×41cm、支持板106cの嵌合部108aは2cm×9cm、支持板106fは25cm×41cm、支持板106fの嵌合穴108bは3mm〜5mm(ダンボールまたは厚紙(嵌合部108a)の厚み)×9cm、支持板106d、106eは3.5cm×41cmである。
【0050】
第1の実施形態における構成要素として既に述べた画像板102(102d、102e)、側板104、支持板106(図中、106c、106d、106e、106f)は、実質的に機能が同一なので重複説明を省略し、ここでは、構成が相違する、補助板202aおよび縁板204を主に説明する。
【0051】
図8は、梱包箱200の梱包状態を説明するための説明図である。図8に示すように、画像板102dは、梱包状態で、隣接する画像板102eと略90°を成す関係にある。また、図8(b)に示すように、補助板202aは、梱包状態で、隣接する画像板102dと略90°を成す関係にある。なお、梱包箱が補助板202aを複数備え、梱包状態で、複数の補助板202aが折り畳まれて内包される場合には、補助板202a同士の成す角は180°となる。
【0052】
また、図8に示すように梱包状態において梱包箱200は、例えば、画像板102eを底面とした場合、支持板106c、106fが上面となり、画像板102d、側板104、支持板106d、106eが側面となる。換言すれば、梱包状態において、梱包箱200は、蓋として機能する支持板106c、106fと、画像板102d、102eと、側板104と、支持板106d、106eとで箱形状の外筐を構成する。したがって、図8(a)に示すように、支持板106c、106f以外を組み立てて、内部にポスター等を収納し、図8(b)に示すように、蓋として機能する支持板106c、106fで閉じることにより、梱包箱200にポスター等を収納した状態で運搬することができる。
【0053】
また、図8(b)に示すように、本実施形態において補助板202aおよび縁板204は、梱包状態において、外筐に内包される。ここで縁板204は、梱包状態において、梱包箱200から被梱包物が出てしまう事態、例えば、ポスター等の紙媒体等が支持板106c、106fと側板104との隙間から抜け出てしまうような事態を防止するために設けられている。補助板202aについては、後に詳述する。
【0054】
図9は、梱包箱200を図7の如く展開し、広告表示体として再構築した状態を説明するための説明図であり、図9(a)は、全体画像222を付した面を正面とした場合の正面図を、図9(b)は、梱包箱200(広告表示体)を背面から見た場合の斜視図をそれぞれ示す。
【0055】
図9(a)に示すように、補助板202aの少なくとも一方の面210には、部分画像220が付されている。梱包箱200を、図8に示す梱包状態から広告状態に再構築した場合、図9(a)に示すように、補助板202aは、画像板102d、102eと同一平面に展開することで、補助板202aの一方の面210に付された部分画像220と、画像板102d、102eの一方の面110d、110eに付された部分画像120d、120eが一連の全体画像222を形成する。
【0056】
梱包状態では任意の角(例えば90°)を成していた補助板202aの面210および画像板102d、102eの面110d、110eを、広告状態に再構築する際、同一平面に展開して利用することで、全体画像222の面積を最大限に確保することができる。
【0057】
図9(b)に示すように、支持板106は、嵌合部108aと嵌合穴108bとを用いて、支持板106同士(106cと106f)を嵌合することで、補助板202a、画像板102d、102eを起立した状態に保持するスタンドを形成する。また、縁板204に2つの切り込みを形成しておき、広告状態において、側板104および縁板204を背面に折り込み、さらに縁板204を、側板104と略垂直となるように折り曲げて、縁板204の切り込みを切断し、切断箇所に支持板106c、106fを嵌合させることで、より安定したスタンドを形成してもよい。
【0058】
また、このような、外筐とならず、広告を示す機能に特化した補助板202aを備える構成により、梱包材としての機能を考慮することを要さず、広告(表示)としての機能を最大限に発揮させるための、例えば、突起物を付したり、孔を開けたり等のさまざまな加工を補助板202aに施すことが可能となる。
【0059】
本実施形態において、補助板202aは、さらに、画像板102の延設方向(図9における縦方向)の切り込み212を有している。図8に示す梱包状態において補助板202aは、切り込み212でまだ切断されておらず、梱包状態から図9(b)に示す広告表示体を形成する際にはじめて、補助板202aを切り込み212で切断する。
【0060】
そして、図9(b)に示すように、広告状態において、補助板202aと画像板102dとの接合部分に形成された折り目230aと、画像板102dと画像板102eとの接合部分に形成された折り目230bに、切り込み212で切断することにより形成される、補助板202aの一部240を折畳する。この際、補助板202aの一部240は、折り目230a以外の部分、例えば、補助板202a内に折り目232を形成し、補助板202aの一部240の折り目が形成されていない部分を、折り目230に折畳する。ここでも、上述した第1の実施形態と同様に、部分画像120、220が付された面を正面とした場合の背面側に、補助板202aの一部240が折り込まれている。
【0061】
補助板202aを切り込み212で切断することによって形成される補助板202aの一部240を、部分画像120d、120eが付される画像板102の折り目230に折畳する構成により、折り目230といった起立させようとすると自重で折れ曲がってしまう箇所を、同一の梱包箱200における補助板202aの一部240で容易に補強することができ、補助板202a、画像板102d、画像板102eを確実に起立させることが可能となる。
【0062】
また、切り込み212は、切り込み212で切断することによって形成される補助板202aの一部240が折り目230に折畳できれば、どのような形状でも構わない。したがって、補助板202aから切り出した形状(一部240以外の形状)を様々に構成することができ、例えば、部分画像220の外形に合わせて、切り出すことで、全体画像222が示す対象物(人やキャラクター、甲冑等)が恰も立体的に存在するかの如く浮き出て見え、宣伝効果の向上を見込むことが可能となる。
【0063】
さらに、広告表示体を商品と共に展示する場合、切り込み212を切断することで補助板202aから切り出した形状を、例えば人を模した形状とし、その商品を装着する部位に相当する広告表示体の部位に、兜、鎧、帽子、かつら、衣服、水着、サングラス、アクセサリー、襷等を装着させてもよい。
【0064】
上述したように、補助板202aは、梱包状態において、外筐に内包される(図8(b)参照)。このように、梱包状態において補助板202aが、梱包箱200の外筐に内包されることで、梱包箱200を運搬する際に部分画像220のみならず補助板202a自体を保護することができる。またポスター等の被梱包物を収納しない側に、補助板202aの部分画像220を付せば、補助板202aの部分画像220は、かかる被梱包物とも接触することがなくなり、運搬する際に発生するおそれのある部分画像220の損傷を低減することが可能となる。
【0065】
また、上述した梱包箱200は、広告状態において1つの補助板202a、と2つの画像板102d、102eを同一平面に展開する例、すなわち3つの板を連設する構成について説明したが、本実施形態では、同一平面に展開可能な2つの板を連設できれば足り、例えば、1の補助板と1の画像板や、2つの画像板で構成することができる。
【0066】
図10は、本実施形態にかかる梱包箱の他の例を説明するための展開図である。図10に示すように、梱包箱300は、4つの板(面)、具体的に、1つの画像板102(図10中、102fで示す)と、画像板102fの両端に連接された支持板106(図10中、106g、106hで示す)と、画像板102fに延設された補助板202bとを含んで構成される。ここでも補助板202bの少なくとも一方の面には部分画像が付され、さらに補助板202bには、予め切り込み312が形成されている。
【0067】
梱包箱300は、梱包状態において、画像板102fと、支持板106g、106hが外筐を構成し、補助板202bは、梱包箱300の内部に収納される。この場合、梱包箱300は、ポスター等の紙状の厚みがあまりない被梱包物を収納する。
【0068】
また、補助板202bは、画像板102fと同一平面に展開することで、補助板202bの一方の面に付された部分画像と、画像板102fの一方の面に付された部分画像が一連の全体画像を形成する。このように梱包状態では任意の角を成していた補助板202bの面および画像板102fの面を、広告状態に再構築する際、同一平面に展開して利用することで、梱包箱100、200同様、全体画像の面積を最大限に確保することができる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態にかかる梱包箱200、300においても、梱包箱としての機能と、広告表示体としての機能とを有し、広告表示体として機能させる場合に表示面を最大限に確保しつつ、梱包箱として機能させる場合にはポスター等を内包することが可能となる。
【0070】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、POP広告のための広告表示体としても機能する梱包箱に利用することができる。
【符号の説明】
【0072】
100、200、300 …梱包箱
102 …画像板
106 …支持板
108a …嵌合部
108b …嵌合穴
112、212、312 …切り込み
120、220 …部分画像
122、222 …全体画像
130、230 …折り目
202 …補助板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被梱包物を梱包した状態で隣接する画像板と任意の角を成す関係にある複数の画像板であって、同一平面に展開することでそれぞれの少なくとも一方の面に付された部分画像が一連の全体画像を形成する複数の画像板と、
前記画像板に連接され、前記複数の画像板を起立した状態に保持するスタンドを形成する複数の支持板と、
を備えることを特徴とする梱包箱。
【請求項2】
前記画像板に延設され、被梱包物を梱包した状態で内包される補助板をさらに備え、
前記補助板の少なくとも一方の面には部分画像が付され、該補助板は、前記複数の画像板のうちのいずれか1または複数の画像板と同一平面に展開することで、該補助板に付された部分画像と、前記複数の画像板のうちのいずれか1または複数の画像板に付された部分画像が一連の全体画像を形成することを特徴とする請求項1に記載の梱包箱。
【請求項3】
前記複数の画像板のうち端部の画像板または前記補助板は、該画像板の延設方向の切り込みを有し、
前記画像板の接合部分に形成された折り目に、前記切り込みで切断することにより形成される前記端部の画像板の一部または前記補助板の一部を折畳することを特徴とする請求項1または2に記載の梱包箱。
【請求項4】
前記端部の画像板の一部または前記補助板の一部は、前記画像板の接合部分の折り目以外に折り目を形成して折畳することを特徴とする請求項3に記載の梱包箱。
【請求項5】
前記画像板の前記部分画像が付される面は、被梱包物を梱包した状態で前記梱包箱の内部に位置することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の梱包箱。
【請求項6】
前記支持板同士が嵌合され、前記スタンドが筒形状に形成されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の梱包箱。
【請求項7】
ダンボールまたは厚紙で形成されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の梱包箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−46238(P2012−46238A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192078(P2010−192078)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(506104828)株式会社写楽 (3)
【Fターム(参考)】