説明

梱包箱

【課題】梱包箱において、開閉蓋のロックを解除する際にロック片に大きな力をかけたとしても開閉蓋の差し込み片が損傷する事態の発生を低減させる。
【解決手段】本発明に係る梱包箱において、開閉蓋11の端縁41には、開閉蓋11の閉じ状態で箱体23の内側に差し込まれるべき差し込み片21が突設されると共に、箱体23にはロック片15が形成され、該ロック片15は、箱体23の端縁に切り込み16を入れることによって折り曲げ可能に形成されたアーム部14と、該アーム部14の先端縁に折り曲げ線37を介して突設された差し込み部13とを有し、該差し込み部13を、開閉蓋11のスリット部19に差し込むことによって、開閉蓋11が閉じ位置にロックされる。ロック片15のアーム部14には、前記折り曲げ線37に向かって開口する形状に切り込み17を入れることによって、箱体23の内側へ折り曲げ可能な押し込み片22が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉式の蓋を具えた梱包箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器等の各種機器を梱包するために紙製の梱包箱が用いられている(特許公報1、2、3)。
例えば図5に示す梱包箱(27)は、段ボール紙を折り曲げて形成され、上面が開口した箱体(25)と、該箱体(25)の開口を開閉する開閉蓋(26)とを具えている。
開閉蓋(26)の自由端側の端縁には差し込み片(35)が突設されており、箱体(25)を閉じつつ、差し込み片(35)を箱体(25)の内側へ差し込むことによって、箱体(25)は全閉位置に保持される。
【0003】
箱体(25)には、開閉蓋(26)を閉じ位置でロックするために、ロック片(30)が形成されている。ロック片(30)は、箱体(25)の側壁部(39)に切り込みを入れて形成されたアーム部(29)と、該アーム部(29)の端縁に突設された差し込み部(28)とを具えている。開閉蓋(26)の差し込み片(35)の基端部には、スリット部(33)と切り欠き部(32)からなる開口(34)が形成されている。
ロック片(30)の差し込み部(28)を開閉蓋(26)のスリット部(33)に差し込むことによって、開閉蓋(26)が閉じ位置にロックされる。
【0004】
又、箱体(25)には、ロック片(30)の差し込み部(28)にU字状の切り込み(36)を入れることにより、差し込み部(28)を90度折り曲げた状態でアーム部(29)から突出する指掛かり(31)が形成されている。
開閉蓋(26)を開くときは、図6に示す如く、指掛かり(31)を把持して手前に引っ張ることにより、ロック片(30)の差し込み部(28)を開閉蓋(26)のスリット部(33)から引き出し、ロック片(30)による開閉蓋(26)のロックを解除する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−104379号公報
【特許文献2】特開2007−91245号公報
【特許文献3】特開2008−50025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図5に示す梱包箱(27)においては、段ボール紙を切断して折り曲げる工程で多少の寸法誤差が生じることは避けることが出来ず、これによって組立精度にバラツキが生じることになる。この様な場合、開閉蓋(26)のロックを解除するべく、ロック片(30)の指掛かり(31)に指をかけて、図6に示す様に差し込み部(28)を手前に引っ張るときに、開閉蓋(26)に形成された切り欠き部(32)において、ロック片(30)の差し込み部(28)に大きな押圧力が作用することがあり、その押圧力が作用したまま無理に引っ張り力をかけると、その引っ張り力が差し込み部(28)を介して開閉蓋(26)の差し込み片(35)に作用し、差し込み片(35)が損傷する虞があった。
【0007】
そこで本発明の目的は、開閉蓋のロックを解除する際にロック片に大きな力をかけたとしても開閉蓋の差し込み片が損傷する事態の発生を従来よりも低減させることが出来る梱包箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る梱包箱は、箱体(23)の開口側の端縁(40)に開閉蓋(11)を連結して構成され、開閉蓋(11)の自由端側の端縁(41)には、開閉蓋(11)の閉じ状態で箱体(23)の内側に差し込まれるべき差し込み片(21)が突設されると共に、箱体(23)には、開閉蓋(11)を閉じ位置にロックするためのロック片(15)が形成され、該ロック片(15)は、箱体(23)の側壁部(1)の端縁に切り込み(16)を入れることによって折り曲げ可能に形成されたアーム部(14)と、該アーム部(14)の先端縁に折り曲げ線(37)を介して突設された差し込み部(13)とを有し、該差し込み部(13)を、開閉蓋(11)に開設されたスリット部(19)に差し込むことによって、開閉蓋(11)が閉じ位置にロックされる、
前記ロック片(15)のアーム部(14)には、前記折り曲げ線(37)に向かって開口する形状、例えばU字状若しくはV字状に切り込み(17)を入れることによって、箱体(23)の内側へ折り曲げ可能な押し込み片(22)が形成されている。
【0009】
上記本発明の梱包箱によれば、開閉蓋(11)が閉じ位置にてロック片(15)によってロックされている状態から開閉蓋(11)を開くべく、ロック片(15)によるロックを解除するとき、ロック片(15)の押し込み片(22)を押圧して、箱体(23)の内側へ押し込む。これによって、押し込み片(22)と差し込み部(13)の為す角度が90度よりも十分に小さくなる。そこで、押し込み片(22)と差し込み部(13)とを、例えば親指と人差し指で挟み込み、この状態でロック片(15)を手前へ引っ張ることにより、差し込み部(13)を開閉蓋(11)のスリット部(19)から引き出す。
これによってロック片(15)による開閉蓋(11)のロックが解除される。この状態で、開閉蓋(11)の差し込み片(21)を箱体(23)から引き出しつつ、開閉蓋(11)を開く。
【0010】
具体的態様において、前記開閉蓋(11)には、前記スリット部(19)に連続して切欠き部(18)が凹設されており、開閉蓋(11)が閉じ位置でロックされた状態で、該切欠き部(18)から前記差し込み部(13)の表面が露出する。
該具体的態様によれば、ロック片(15)によるロックを解除するべく、ロック片(15)の押し込み片(22)と差し込み部(13)とを指で挟持するとき、開閉蓋(11)の切欠き部(18)から差し込み部(13)の表面が大きく露出しているので、その露出部分に十分に広い面積で指を接触させて、差し込み部(13)とアーム部(14)とを確実に挟持することが出来る。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る梱包箱によれば、開閉蓋(11)が閉じ位置にてロック片(15)によってロックされている状態からロックを解除するとき、ロック片(15)の押し込み片(22)と差し込み部(13)とを指で挟み込んでロック片(15)を手前へ引っ張ることが出来るので、ロック片(15)の差し込み部(13)に対して過大な押圧力が作用することがない。従って、ロック片(15)によるロックを解除するときにロック片(15)の差し込み部(13)を介して開閉蓋(11)の差し込み片(21)に大きな力が作用することはなく、これによって、差し込み片(21)が損傷する事態の発生が従来よりも低減することになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の一実施形態である梱包箱の斜視図である。
【図2】図2は、該梱包箱においてロック片による開閉蓋のロックを解除するときの操作を説明する斜視図である。
【図3】図3は、該梱包箱においてロック片による開閉蓋のロックを解除し、開閉蓋を僅かに開いた状態を示す斜視図である。
【図4】図4は、該梱包箱の展開図である。
【図5】図5は、従来の梱包箱の斜視図である。
【図6】図6は、該梱包箱においてロック片による開閉蓋のロックを解除するときの操作を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
図1に示す如く、本発明の一実施形態である梱包箱(24)は、上面が開口した箱体(23)と、該箱体(23)の開口側の端縁(40)に連結された開閉蓋(11)とを具えており、図4に示す如く切断成型された段ボール紙(42)を折り曲げて形成されている。
尚、図4において破線は折り曲げ線を表わしている。
【0014】
段ボール紙(42)は、箱体(23)を構成すべき第1〜第4の側壁部(1)(2)(3)(4)と各側壁部の一方の端縁に突設された第1〜第4の底壁部(5)(6)(7)(8)とを具え、第1側壁部(1)の他方の端縁には中蓋(9)が突設され、第2側壁部(2)の他方の端縁には内フラップ部(10)が突設され、第3側壁部(3)の他方の端縁には開閉蓋(11)が突設され、第4側壁部(4)の他方の端縁には内フラップ部(12)が突設されている。
【0015】
開閉蓋(11)には、第3底壁部(7)とは反対側の端縁(41)に差し込み片(21)が突設され、開閉蓋(11)と差し込み片(21)の連結部分には、切欠き部(18)とスリット部(19)からなる開口(20)が形成されている。ここで、スリット部(19)は差し込み片(21)側に開設され、切欠き部(18)は開閉蓋(11)側に開設されている。
【0016】
又、第1側壁部(1)と中蓋(9)の連結部分には、第1側壁部(1)側に開口するU字状に切り込み(16)を入れることによって、アーム部(14)と差し込み部(13)からなるロック片(15)が形成されている。
ロック片(15)には、中蓋(9)側に開口するU字状の切り込み(17)を入れることによって、押し込み片(22)が形成されている。ここで切り込み(17)は、1点にて連結部を有して、該連結部を切り離すことによって折り曲げることが可能である。
【0017】
尚、ロック片(15)の押し込み片(22)は、1本の指、例えば人差し指の指先をその周辺のアーム部(14)と干渉することなく接触させることが出来る大きさを有し、開閉蓋(11)の切欠き部(18)は、他の1本の指、例えば親指の指先を開閉蓋(11)と干渉することなくロック片(15)の差し込み部(13)の表面に接触させることが出来る大きさを有している。
【0018】
上記段ボール紙(42)を破線に沿って折り曲げることにより図1に示す梱包箱(24)を形成する。ここで、第1〜第4の側壁部(1)(2)(3)(4)によって角筒を形成すると共に、第1〜第4の底壁部(5)(6)(7)(8)を互いに組み合わせることによって、有底角筒状の箱体(23)が形成される。
又、箱体(23)の内部へ中蓋(9)を押し込み、2つの内フラップ部(10)(12)を中蓋(9)の上に被せ、更に開閉蓋(11)を2つの内フラップ部(10)(12)の表面に重ねて、箱体(23)の開口を閉じる。
【0019】
図1に示す如く、差し込み片(21)は、開閉蓋(11)の自由端側の端縁(41)にて90度に折り曲げる。
又、ロック片(15)の差し込み部(13)は、折り曲げ線(37)にて90度に折り曲げる。
【0020】
開閉蓋(11)を閉じる過程で、第1側壁部(1)と中蓋(9)の連結部分に形成されているスリットに差し込み片(21)を差し込む。
その後、ロック片(15)の差し込み部(13)を開閉蓋(11)の差し込み片(21)のスリット部(19)に差し込む。これによって、図1の如く開閉蓋(11)が閉じ位置にてロック片(15)によりロックされることになる。
【0021】
開閉蓋(11)を開くときは、先ずロック片(15)による開閉蓋(11)のロックを解除する。この際、押し込み片(22)を指で押圧して、図2に示す様に押し込み片(22)を差し込み部(13)の内側へ押し込む。これによって、ロック片(15)は折り曲げ線(38)にて内側へ折り曲げられ、ロック片(15)の差し込み部(13)とアーム部(14)の為す角度が90度から小さくなって、差し込み部(13)と押し込み片(22)とを親指と人差し指で挟み込むことが可能となる。
【0022】
そこで、ロック片(15)の差し込み部(13)と押し込み片(22)とを親指と人差し指で挟持し、ロック片(15)を手前に引っ張り、図3に示す様に、差し込み部(13)を開閉蓋(11)のスリット部(19)から引き出す。この過程で、ロック片(15)のアーム部(14)は折り曲げ線(39)にて外側へ折り曲げられると共に、差し込み部(13)とアーム部(14)は折り曲げ線(37)にて更に小さな角度に折り曲げられる。
【0023】
この様にして、ロック片(15)の差し込み部(13)が開閉蓋(11)のスリット部(19)から完全に引き出されることによって、ロック片(15)による開閉蓋(11)のロックが解除される。その後、開閉蓋(11)を開きつつ、差し込み片(21)を箱体(23)から引き出すことによって、開閉蓋(11)を全開位置まで開くことが出来る。
【0024】
上記梱包箱(24)によれば、図2に示す如くロック片(15)の差し込み部(13)を開閉蓋(11)のスリット部(19)から引き出す際、ロック片(15)の押し込み片(22)に例えば人差し指を接触させ、開閉蓋(11)の切欠き部(18)から露出するロック片(15)の差し込み部(13)の表面に親指を接触させて、ロック片(15)を確実に挟持することが出来るので、梱包箱(24)の組立状態における精度のバラツキにより、ロック片(15)の差し込み部(13)を開閉蓋(11)のスリット部(19)から引き出すために大きな力が必要であったとしても、開閉蓋(11)の差し込み片(21)に大きな力が作用することはない。従って、図5に示す従来の梱包箱(27)と比較して、開閉蓋(11)の差し込み片(21)が損傷する事態の発生は減少する。
【0025】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、ロック片(15)の押し込み片(22)の大きさは、1本の指を接触させることが出来る大きさに限らず、梱包箱(24)の大きさに応じて、複数本の指を同時に接触させることが出来る大きさに形成することが出来る。
【0026】
ロック片(15)の差し込み部(13)とアーム部(14)の間の折り曲げ線(37)と、押し込み片(22)の折り曲げ線(38)とは、同一線上に限らず、互いにずれた位置を平行に延びる構成であってもよい。
ロック片(15)のアーム部(14)に形成すべき切り込み(17)は、折り曲げ線(37)に向かって開口する形状であれば、U字状に限らず、例えばV字状に形成することも可能である。
【0027】
又、開閉蓋(11)が閉じられた状態で、開閉蓋(11)の端縁(41)からロック片(15)の差し込み部(13)の表面が僅かでも露出していれば、開閉蓋(11)の切欠き部(18)は省略することが可能である。
更に梱包箱(24)の材質は段ボール紙に限らず、折り曲げ可能な種々の板材を採用することが出来る。
【符号の説明】
【0028】
(24) 梱包箱
(11) 開閉蓋
(23) 箱体
(21) 差し込み片
(20) 開口
(18) 切欠き部
(19) スリット部
(15) ロック片
(13) 差し込み部
(14) アーム部
(17) 切り込み
(22) 押し込み片
(40) 端縁
(41) 端縁
(37) 折り曲げ線
(38) 折り曲げ線
(39) 折り曲げ線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体の開口側の端縁に開閉蓋が連結され、開閉蓋の自由端側の端縁には、開閉蓋の閉じ状態で箱体の内側に差し込まれるべき差し込み片が突設されると共に、箱体には、開閉蓋を閉じ位置にロックするためのロック片が形成され、該ロック片は、箱体の側壁部の端縁に切り込みを入れることによって折り曲げ可能に形成されたアーム部と、該アーム部の先端縁に折り曲げ線を介して突設された差し込み部とを有し、該差し込み部を、開閉蓋に開設されたスリット部に差し込むことによって、開閉蓋が閉じ位置にロックされる梱包箱において、
前記ロック片のアーム部には、前記折り曲げ線に向かって開口する形状に切り込みを入れることによって、箱体の内側へ折り曲げ可能な押し込み片が形成されていることを特徴とする梱包箱。
【請求項2】
前記ロック片のアーム部に形成されている押し込み片は、前記折り曲げ線と同一線上若しくはその近傍位置を延びる折り曲げ線にて折り曲げ可能である請求項1に記載の梱包箱。
【請求項3】
前記押し込み片を形成するべくロック片に入れられている切り込みは、その全長が連続的に切断され、若しくは切り離し可能に断続的に切断されている請求項1又は請求項2に記載の梱包箱。
【請求項4】
前記開閉蓋には、前記スリット部に連続して切欠き部が凹設されており、開閉蓋が閉じ位置でロックされた状態で、該切欠き部から前記差し込み部の表面が露出する請求項1乃至請求項3の何れかに記載の梱包箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−67416(P2013−67416A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208449(P2011−208449)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】