説明

梱包装置

【課題】陶器製の便器10等の被梱包部品をトレー12上に載置して、その上に外装箱を組合わせて梱包する場合における、底部側の部分の緩衝効率を改善するようにし、これによって被梱包物品を確実に保護するとともに、緩衝体の管理を容易にする。
【解決手段】板状部101〜114を連結部120を有する切断線117および半切線118によって互いに交互に折曲げ可能に連結し、板状部101〜114を重合わせるようにし、しかも段目の方向に延びる2本の切断線125のところで3分割し、このような3分割された緩衝体14、15、16をトレー12上に配し、トレー12側に設けられている保持片62を緩衝体14、15、16の係止部154、158に係止して位置保持するようにしたものであって、これらの緩衝体14、15、16によって陶器製の便器10の底部を緩衝する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は梱包装置に係り、とくに被梱包物品をトレー上に載置するとともに、底部が開放された外装箱を上記トレーと組合わせて梱包するようにした梱包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2004−17978号公報には、輸送部材の回収及び、輸送部材の多数回使用の可能な工業製品の輸送箱において、ラインナップ違いの製品でも部品の変更だけ対応が可能とするべく、工業製品である機能部を出し入れ可能な開口を有する輸送箱において、輸送箱は、上部を塞ぐ蓋体、側面を覆う枠体、底を塞ぐ底体で構成し、締結ベルトによって固定するようにし、例えば、高さ違いの部品に関しては枠体の形状を交換したり、蓋体の仕切りを変更することによって、各種製品輸送箱の共通の部品を増やすようにした工業製品の輸送箱が提案されている。
【0003】
また特開2006−273423号公報には、開封方法が分かり易く、再梱包も容易であり、使用後の廃棄処分に手間のかからない包装箱であって、この包装箱は、下トレイおよび上ケースと、ジョイントと、収納容器とを備えており、上面部が開口した下トレイに、下面部が開口した上ケースを被せて互いに係合させた後、上ケースにおいて対向位置にある側面部にそれぞれ形成された複数のジョイント挿入穴にジョイントをそれぞれ差し込んで、下トレイと上ケースとを結合することによって包装箱が形成されるようにし、下トレイおよび上ケースはそれぞれ1枚の段ボール材を折り曲げ加工することによって形成され、ジョイントも段ボールで形成された蓋片と係合片との間に複数の接合片を挟持して互いに積層状に接着することによって形成された包装箱が開示されている。
【0004】
特開2006−273423号公報に開示されている梱包箱において、とくにトレー上における緩衝体として、発泡スチロールの成形体を用いる場合には、発泡スチロールの緩衝体の廃棄処理の際に、有害ガスを発生し、あるいはまた黒煙を発生するとともに、高温の熱によって焼却炉に対して悪影響を及ぼす。すなわち発泡スチロール樹脂から成る緩衝体は、環境に対して悪影響を及ぼす問題がある。一方で、トレー上に配される緩衝体が十分な緩衝効果を有していない場合には、トレー上に配される被梱包物品の底部側の緩衝が有効に行なわれない可能性がある。またトレー上に配される緩衝体は、確実にかつ適正に管理を行なう必要がある。さらにこのような緩衝体は、トレー上において正しく位置保持されなければならない問題がある。本願発明はこのような問題点に鑑みてなされたものである。
【特許文献1】特開2004−17978号公報
【特許文献2】特開2006−273423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明の課題は、梱包物品をトレー上に載置するとともに、底部が開放された外装箱をトレーに組合わせて梱包するようにした梱包装置において、とくにトレー上に載置される被梱包物品の底部側の緩衝を改善するようにした梱包装置を提供することである。
【0006】
本願発明の別の課題は、トレー上に配される緩衝体として、生産性に優れた緩衝体を用いるようにした梱包装置を提供することである。
【0007】
本願発明のさらに別の課題は、トレー上に配される緩衝体の管理が容易になるようにした梱包装置を提供することである。
【0008】
本願発明のさらに別の課題は、トレー上における緩衝体の位置保持が確実に行なわれるようにした梱包装置を提供することである。
【0009】
本願発明の上記の課題および別の課題は、以下に述べる本願発明の技術的思想およびその実施の形態によって明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の主要な発明は、被梱包物品をトレー上に載置するとともに、底部が開放された外装箱を前記トレーと組合わせて梱包するようにした梱包装置において、
段ボールの段目の方向に沿って折曲げ可能に連結された複数の板状部をジグザグに折曲げて重合わされた緩衝体を備え、該緩衝体を前記トレー上に取付け、前記緩衝体によって前記被梱包物品の底部側を緩衝することを特徴とする梱包装置に関するものである。
【0011】
ここで、前記複数の板状部が間欠的に連結部によって連結された切断線および/または一方のライナーのみが連結された半切線を介して折曲げ可能に連結されてよい。また前記板状部または複数の板状部にまたがって開口が形成され、前記板状部を重合わせると前記開口によって溝部、凹部、または段部が形成され、前記溝部、凹部または段部によって前記被梱包物品の底部側を受けるようにしてよい。また段ボールの段目の方向に延びる切断線が形成され、該切断線によって複数の緩衝体に分割され、分割された前記複数の緩衝体が単一のトレー上に装着されてよい。また前記トレーの側壁部に切込みによって保持片が折曲げ可能に連結され、前記板状部または複数の板状部にまたがって形成された開口のエッジに形成された切込みによって前記板状部を重合わせて形成される係止部によって前記保持片が係止されて前記緩衝体が前記トレーに取付け固定されてよい。また前記トレーの側壁部に切込みによって保持片が折曲げ可能に連結され、前記複数の緩衝体に分割する前記切断線に形成された切込みを重合わせて形成される係止部によって前記保持片が係止されて前記緩衝体が前記トレーに取付け固定されてよい。
【0012】
また、前記緩衝体を取付けた前記トレーが前記外装箱の底部開口を通して該外装箱の底部の内側に装着され、ジョイント部材によって着脱自在に結合されてよい。また前記外装箱の下端の折返し板と前記トレーの外側部とにそれぞれ係合孔が形成され、前記ジョイント部材の軸部を前記外装箱と前記トレーの係合孔に係合させ、前記ジョイント部材の軸部に外周側に突出するように形成されている突片を前記トレーの係合孔のエッジに係合させて前記トレーを前記外装箱の下端に装着した状態で結合するようにしてよい。また前記ジョイント部材がパルプモールドによって作られていることが好適である。また前記ジョイント部材が円筒状の軸部を備えるとともに、該軸部の端部のヒンジ部を介して180度ずつに開かれた状態で成形されてよい。また前記被梱包物品が陶器製の便器であってよい。
【発明の効果】
【0013】
本願の主要な発明は、被梱包物品をトレー上に載置するとともに、底部が開放された外装箱をトレーと組合わせて梱包するようにした梱包装置において、段ボールの段目の方向に沿って折曲げ可能に連結された複数の板状部をジグザグに折曲げて重合わされた緩衝体を備え、該緩衝体をトレー上に取付け、緩衝体によって被梱包物品の底部側を緩衝するようにしたものである。
【0014】
従ってこのような梱包装置によると、トレー上に載置される被梱包物品の底部は、複数の板状部をジクザグに折曲げて重合わされた緩衝体によって緩衝されることになり、とくにこのような緩衝体がトレー上に取付けられて被梱包物品の底部側を緩衝するために、緩衝体による被梱包物品の底部側の確実な緩衝が可能になる。とくにトレー上に取付けられる緩衝体を、1つのトレーについて、連結した状態で組立てるようにすると、緩衝体の管理が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下本願発明を図示の実施の形態によって説明する。図1および図2は本実施の形態の梱包装置の全体の構成を示すものであって、この梱包装置は、図2に示すような、陶器製の便器10を梱包する梱包装置である。陶器製の便器10は、外装箱11と、この外装箱11が被さるように組合されるトレー12とによって梱包されるようになっている。ここでトレー12上には、単一の緩衝体を分割して作製した3つの緩衝体14、15、16が配され、これらの緩衝体14、15、16によって便器10の底部側の部分を受けるようにしている。またトレー12上に載置される便器10の上側には部品箱17が載置された状態で外装箱11内に収納され、外装箱11の上部開口が蓋板18によって閉塞されるようになっている。さらに蓋板18の先端側の部分は互いに突合わされ、粘着テープ19によって閉じられるようになっている。なお粘着テープ19に代えて、ポリプロピレン等の合成樹脂製のバンドを用いて締着してもよい。
【0016】
外装箱11は図3に示すような段ボールを用いて組立てられる。この段ボールは4枚の側板23、24、25、26を折曲げ線27を介して折曲げ可能に連結した構造になっている。そして左側の側板23の左端には折曲げ線28を介して接合片29が設けられている。
【0017】
4枚の側板23〜26の内の長辺側の側板24、26の上端側には、折曲げ線31を介して上述の蓋板18が折曲げ可能に連結される。これに対して短辺側の側板23、25の上端には折曲げ線32を介してフラップ33が折曲げ可能に連結される。
【0018】
一方長辺側側板24の下端側には、二重の折曲げ線37を介して折返し板38が連設される。また短辺側の側板23、25の下端には、二重の折曲げ線39を介して折返し板40が折曲げ可能に連設される。
【0019】
長辺側側板24、26の下側の折返し板40のほぼ中央部には両側に突出した係合孔43が形成される。これに対して短辺側の側板23、25の下端側の折返し板40には、その両側に係合孔44が形成される。また長辺側側板24、26の下端側であってその横方向の中央部には保持孔45が形成される。一方短辺側側板23、25の下端側であってその横方向の両側には保持孔46が形成される。また上記長辺側側板24、26の下端側であって保持孔45の両側には横長孔47が形成される。また長辺側側板24、26の下端側に折曲げ線37を介して連設されている折返し板38にはその係合孔43の両側にそれぞれ横長孔48が形成される。また短辺側側板23、25の両側部であって上端側の部分には横長の取手穴49が形成される。
【0020】
図3に示す段ボールは、折曲げ線27のところで折曲げられることによって、図4に示すように4角筒状に組立てられる。そして左端の接合片29が反対側の端部の長辺側側板26の側端に糊付けされることによって、外装箱11が組立てられる。このような外装箱は、その下端側であって長辺側側板24、26の下側に形成されている折返し板38が折曲げ線37によって内側に折返される。また短辺側側板23、25の下端側の折返し板40が、折曲げ線39によって内側に折曲げられる。図5は折返し板38、40を折曲げた状態を示している。このように折返し板38、40を折返した状態で、この外装箱11の下側の開口の部分に、トレー12を組合わせる。トレー12上には予め3つの緩衝体14、15、16を取付け固定しており、このような状態でトレー12を外装箱11の底部開口に組合わせるようにし、しかも外側からジョイント部材162を挿入し、これによって外装箱11とトレー12とを結合する。
【0021】
次にトレー12の構造について図6〜図8により説明する。トレー12は図6に示すような段ボールによって組立てられる。この段ボールはその中央部に底板52を有し、この底板52の長辺側の部分には折曲げ線53を介して側板54が折曲げ可能に連結される。そして上記側板54の先端側には一対の折曲線55を介して側壁部56が連結される。
【0022】
上記側板54にはその横方向の中央部に係合孔57が形成される。これに対して側壁部56の横方向の中央部には保持孔58が形成される。また上記側板54の係合孔57の両側には横長孔59が形成される。一方側壁部56の保持孔58の両側には横長孔60が形成される。この横長孔60には、さらに折曲げ線61を介して保持片62が折曲げ可能に連設される。また上記側壁部56の先端側には折曲げ線63を介して幅の狭い補助板64が連設される。
【0023】
上記側壁部56の先端部には切込みによって突部65が形成される。この突部65は底板52の側板54の根元側の部分のスリット66に受入れられる。また上記側板54の両側には折曲げ線67を介して補助板68が連設される。一方上記側壁部56の両側には折曲げ線69を介して補助壁部70が連設される。上記補助板68および補助壁部70の先端側の下部にはそれぞれ突部71、72が連設される。このような突部71、72は、補助板68および補助壁部70がそれぞれ折曲げ線67、69で折曲げられたときに、底板52の短辺側の部分に形成された矩形孔73に受入れられる。また上記の補助板68および補助壁部70にはそれぞれ保持孔74、75が形成されている。
【0024】
次に上記底板52の短辺側の部分には折曲げ線79を介して側板80が折曲げ可能に連設されている。そして側板80の先端側の部分には一対の折曲げ線81を介して側壁部82が形成される。上記側板80にはその両側に係合孔83が形成される。また側壁部82には上記係合孔83と対応して両側に小さな円形孔84が形成される。そして側壁部82の先端部であってその中央部には突部85が形成され、この突部85が矩形孔73に係合されるようになっている。
【0025】
次のこのような構成の段ボールによってトレー12を組立てる動作を説明する。底板52に対してその長辺側の側板54を折曲げ線53のところで折曲げ、さらに側板54の上端側の側壁部56を折曲げ線55のところで折曲げるようにする。なお側壁部56の先端側の補助板64は逆方向であって外側に折曲げられるようになっており、これによってこの補助板64が底板52に重なるようになっている。そして側板54および側壁部56の両側にそれぞれ形成されている補助板68および側壁部70をそれぞれ折曲げ線67、69のところで直角に折曲げる。なお上記の側壁部56の先端側の突部65は底板52のスリット66に受入れられて固定される。
【0026】
このような状態で、底板52の短辺側に折曲げ線79を介して連設されている側板80を折曲げ線79のところで直角に折曲げるようにし、側板80が上述の補助板68の外側に位置するようにする。そしてこのような状態で、一対の折曲げ線81によって側壁部82を内側へ折曲げる。すなわち側板80と側壁部82とによって、両側の補助板68と補助壁部70とを挟着するようにし、しかもこれらの補助板68および補助壁部70の突部71、72を底板52の矩形孔73に係合させ、さらに側壁部82の先端側の突部85を矩形孔73に係合させるようにする。これによって図7に示すようにトレー12が組立てられる。そして図8に示すように、このトレー12内には、上述の3つの緩衝体14、15、16が配される。ここで緩衝体14は一方の短辺側側壁部82の内側に配される。これに対して残りの2つの緩衝体15、16は、反対側の側壁部82の内側に左右に対向するように取付けられる。
【0027】
次に上記トレー12に組込まれる緩衝体14、15、16について説明する。図9はこのような緩衝体14、15、16を互いに連結した状態で組立てるための段ボールを示しており、この段ボールは14枚の板状部101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114を備え、これらが互いに折曲げ可能に連結された構造になっている。すなわち上記14枚の板状部101〜114は、交互に切断線117と半切線118とによってジグザグに折畳み可能に連結されている。
【0028】
切断線117は図10Aに示すように、一対の切込み119を有し、これらの切込み119間が連結部120になっている。そして上記連結部120の長さ方向の両端にはそれぞれ折曲げ補助線121が連設され、これによって連結部120が折曲げ可能になっている。これに対して半切線118は、図10Bに示すように、段ボールの両側のライナー122、123の内の一方、例えば一方のライナー122が連結された状態になっており、これに対して他方のライナー123と中芯124とが切断された構造になっている。
【0029】
また図9に示す14枚の板状部101〜114は、この段ボールの段目の方向に沿ってその中間位置に対して両側に位置するように2本の切断線125が形成されている。このような切断線125によって、この段ボールを折畳んで組立てられる緩衝体が3分割され、これによって3つの緩衝体14〜16を得るようにしている。
【0030】
図9に示す段ボールの板状部103には、その中央部に開口127が形成されており、板状部104、105をまたぐように開口128が形成され、板状部106、107をまたぐように開口129が形成され、板状部108、109をまたぐように開口130が形成され、板状部110、111をまたぐように開口131が形成され、板状部112、113をまたぐように開口132が形成されている。これらの開口127〜132によって、図11に示すようにジグザグに折曲げて重合わせると、図12Aに示すように凹部133が形成される。また板状部114に形成されている突片134が上記凹部133の前端側に突出することになる。
【0031】
図9に示す段ボールの中央に対して両側の切断線125の左右の部分であって、板状部102、103間には開口172が形成され、板状部104、105間には開口173が形成され、板状部106、107間には開口174が形成され、板状部108、109間には開口175が形成される。そしてこれらの開口部172〜175によって、図12Aに示すように両側の部分に溝部136が形成される。
【0032】
また両側の切断線125の左右両側であって板状部111には切込み139が形成され、板状部112、113をまたぐように開口140が形成され、板状部114の端部には切込み141が形成される。これらの切込み139、141および開口140によって、図12Aに示すように、この緩衝体の長さ方向の両側であって溝部136とは反対側の部分に開放されるように段部142が形成される。
【0033】
また上記切断線125の両側であって、板状部103、104をまたぐ位置、105、106をまたぐ位置、107、108をまたぐ位置、109、110をまたぐ位置、111、112をまたぐ位置には、スリット状開口145が形成される。また板状部113には上記スリット状開口145の半分の長さのスリット状開口146が形成される。この段ボールを図11に示すように折畳むと、上記スリット状開口145、146が互いに整合され、これによって図12Bに示すようにこの緩衝体の底部に臨むような凹部147が形成される。
【0034】
なお図9において太線で示すように、この段ボールの板状部102、104、106、108、110、112、114には澱粉糊148が塗布されるようになっており、このような状態で図11に示すようにこの段ボールが上述の切断線117および半切線118によって交互にジグザグに折曲げられて重合わされる。重合わされた状態が図12Aおよび図12Bに示される。なお板状部101の切断線125の両側の部分は糊付けされることなく、これによって板状部101と102との間の連結部120を中心として外側に折返し可能な折返し板150が連設される。このような折返し板150は、図12Bに示すように、この緩衝体の裏側に折返される。なお折返し板150の幅がこの緩衝体の幅よりも狭くなっており、このように折返し板150が狭くなって欠如した部分に、上記トレー12の補助板64が整合されるようになっており、このためにこの緩衝体を分割した両側の緩衝体15、16はトレー12の底板52上において水平な状態で配置されるようにしている。
【0035】
図9に示す段ボールの板状部112、113の開口140および板状部114の切込み141にはさらに切込み153が形成され、これらの切込み153によって、この段ボールを重合わせたときに両側の緩衝体15、16の段部142に係止部154が形成されるようになっている。これらの係止部154は、トレー12の側壁部56の横長孔60を横切るように設けられている保持片62を受け入れ、これによって図14および図5に示すように、トレー12上で一対の緩衝体15、16を正しく位置保持するようにしている。
【0036】
また図9に示す段ボールの両側の切断線125であって、板状部107、108、109、110、111、112と対応する部分には異形の切込み156が形成され、このような切込み156によって図14に示すように、緩衝体14の両側の段部157に係止部158が形成される。このような係止部158は、上記トレー12の側壁部56の横長孔60を横切るように形成されている保持片62を受入れるようにし、これによって緩衝体14を図14に示す所定の位置に保持するようにしている。
【0037】
次にトレー12と外装箱11とを結合するジョイント部材162について図15〜図18によって説明する。ジョイント部材162は、ほぼ円筒状をなすとともに、180度ごとに分割された状態で、ヒンジ部163を介して回動可能に開かれた状態でパルプモールドによって成形される。すなわちジョイント部材162は軸部164を備え、このような軸部164がヒンジ部163のところで回動可能に連結されている。そして軸部164の端部にはフランジ165が連設されるとともに、このフランジ165の円周方向の所定の位置に摘み用凹部166が形成される。また軸部164には半径方向中心側に突出するように補強用突部167が形成されている。そして軸部164の先端側には突片168が形成され、この突片168が係合手段を構成している。
【0038】
このようなジョイント部材162は、外装箱11の長辺側側板24、26の折返し板38の係合孔43およびトレー12の側板54の係合孔57に挿入され、この状態でジョイント部材162が回転されることによって突片168が係合孔43、57のエッジの部分に係合される。なおジョイント部材162のフランジ165は外装箱11の側板24、26の保持孔46に保持されるために、大きく外部に突出することはない。
【0039】
またジョイント部材162は外装箱11の短辺側側板23、25の保持孔46を通して、折返し板40の係合孔44に挿入され、さらにトレー12の側板80の係合孔83に挿入され、この状態でジョイント部材162を90度回転させることによって、その突片168が係合孔44、83のエッジの部分に係合される。
【0040】
このようにして、トレー12は外装箱11に対して、短辺側側板23、25側では一対のロック部材162によって、また長辺側側板24、26側においてはそれぞれ1個のジョイント部材162によってそれぞれ結合される。従ってトレー12は外装箱11に確実に結合される。しかも上記の結合動作と逆の操作を行なうことによって、トレー12を外装箱11から確実に分離できるようになる。
【0041】
次に梱包時に陶器製の便器10の上に配される部品箱17、およびこの部品箱17を囲むように取付けられる枠体の構造について説明する。
【0042】
図19は上記部品箱17を組立てるための段ボールを展開して示したものであって、この段ボールはその中央部に底板180を備えている。底板180はそのほぼ中央部に切込み181によって一対の舌片182を互いに対向するように配している。そして一対の舌片182の根元側の部分に折曲げ線183が形成されている。また底板180の両側には側板184が折曲げ線185を介して折曲げ可能に連結されている。上記側板184の先端部には補助板186が折曲げ線187を介して連設されている。また上記側板184の前端側の端部には補助フラップ188が折曲げ線189を介して折曲げ可能に連結されている。
【0043】
上記底板180の前端側には折曲げ線190を介して前面板191が連結されている。そして前面板191の先端側には一対の互いに平行な折曲げ線192を介して差込み片193が連設されている。差込み片193の根元側の部分には切込み194によってロック片195が設けられている。
【0044】
また側板184の後側の部分には折曲げ線198を介して補助板199が配されている。この補助板199には、互いに左右に上下逆方向に切込まれた切込み200が形成されるとともに、これらの切込み200の先端側の部分には上部あるいは下部から延びる係合片201が連設されている。
【0045】
上記底板180の背面側の部分には、折曲げ線204を介して背面板205が連設されている。背面板205の先端側には折曲げ線206を介して蓋板207が連設されている。蓋板207は一対の円形孔208を備えている。また蓋板207には折曲げ線209を介して補助片210が連設されている。補助片210の根元側の部分であって折曲げ線209の中央部にはスリット状のロック孔211が形成されている。このロック孔211は上記ロック片195を受入れるようになっている。
【0046】
図19に展開して示す段ボールによって、図20に示すように部品箱17が組立てられる。すなわち底板180の両側の側板184をそれぞれ折曲げ線185のところで直角に折曲げるようにする。さらにこの側板184の後側の部分の折曲げ線198のところで両側の補助板199を直角に折曲げるようにし、しかもこれらの補助板199の互いに上下に逆方向に形成されている切込み200を上下から組合わせ、互いに反対側の係合片201と係合させる。
【0047】
次に両側の側板184の前端側の折曲げ線189のところで両側の補助フラップ188を直角に折曲げるようにし、これらのフラップ188がこの部品箱17の前面側に沿うようにする。このような状態において、折曲げ線190によって前面板191を折曲げ、上述の補助フラップ188の外側に重合うようにする。
【0048】
このようにして図20に示すような直方体状をなす部品箱17が組立てられる。この部品箱17には、例えば陶器製の便器10の部品が収納保持されるようになる。そしてこの状態で、蓋板207が折曲げ線204および206のところで折曲げられ、これによって上部開口を覆うようになる。そしてさらに蓋板207の先端側の補助片210が前面板191の内側の差込み片193に重合うように挿入される。そしてこの状態において、さらに上記補助片210のロック孔211に、前面板191のロック片195を挿入することによって、図21に示すようにこの部品箱は、その上部が蓋板207によって閉じられた状態でロックされることになる。
【0049】
次にこのような部品箱17と組合わされる井桁状の枠体の構造について説明する。井桁状の枠体は、図22に示す枠板215と、図23に示す補助枠体232とを組合わせて用いるようになっている。図22の枠板215は、その中央部に底板216を備えるとともに、この底板216のほぼ中央部には切込み217によって一対の折曲げ片218、219が連設されている。なお一方の折曲げ片219は、その根元側の部分が連結板220を介して底板216に連結されるようになる。また底板216の両側にはそれぞれ切込み221が連設される。
【0050】
上記底板216の両側にはそれぞれ折曲げ線225を介して側板226が連設される。そして側板226の先端側には半切線から成る折曲げ線227を介して接合板228が連設される。そして上記側板226と接合板228とには、折曲げ線227をまたぐようにスリット状開口229が形成される。
【0051】
一方補助枠板232は図23に示すように、そのほぼ中央部に横方向に延びかつ半切線から成る折曲げ線233が形成されるとともに、この折曲げ線233に対して互いに反対の部分には両側から切込み234が形成される。
【0052】
次に図22に示すような枠板215によって、図24に示すように井桁の半分を組立てる。この動作は、底板216に対してその両側の側板226を折曲げ線225のところで直角に折曲げるようにする。そしてさらに側板226の先端側の部分に形成されている折曲げ線227によって接合板228を側板226の外側に重合うように折曲げる。すると側板226と接合板228とにそれぞれ形成されているスリット状開口229が互いに整合されて上方が開放されるようになる。
【0053】
次に補助枠板232をそのほぼ中央部の折曲げ線233のところで互いに180度折曲げる。すると補助枠板232は、そのほぼ中央部を中心として二重に折曲げられることになる。
【0054】
このように二重に折曲げられた補助枠板232の切込み234を、図24に示すように、枠板215の両側の互いに接合された側板226と接合板228との接合部に係合させる。このときに補助枠板232の下方に開放された切込み234を枠板215の側板226と接合板228のスリット状開口229に上側から互いに直交する状態で組合わせる。これによって、図25に示すように、枠板215と補助枠板232とが互いに井桁状に組立てられることになる。そしてこのような井桁状に組立てられた枠板215と補助枠板232とによって形成される矩形の内部空間内に上記部品箱17が収納されることになる。従って、部品箱17は、枠板215と補助枠板232とによって確実に保護されることになる。とくにこのような部品箱17内に重量の大きな部品を収納しても、このような部品を枠板215と補助枠板232とによって包囲された部品箱17によって確実に保護することが可能になる。
【0055】
以上本願発明を図示の一実施の形態によって説明したが、本願発明は上記実施の形態によって限定されることなく、本願発明の技術的思想の範囲内において各種の変更が可能である。例えばこの梱包装置は、必ずしも陶器製の便器10の梱包のみに用いられるものではなく、その他各種の物品の梱包に広く用いることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本願発明は、陶器製の便器等の各種の被梱包物品の梱包に広く利用される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本願発明の一実施の形態に係る梱包装置の外観斜視図である。
【図2】同梱包装置の分解斜視図である。
【図3】外装箱の展開平面図である。
【図4】外装箱の組立て斜視図である。
【図5】外装箱とトレーとの結合を示す分解斜視図である。
【図6】トレーの展開平面図である。
【図7】トレーの組立て斜視図である。
【図8】トレーに緩衝体を組込んだ状態の斜視図である。
【図9】緩衝体の展開平面図である。
【図10】緩衝体を構成する板状体を折曲げ可能に連結する切断線の平面図(A)および半切線の断面図(B)である。
【図11】板状部を折畳んで緩衝体を組立てる動作を示す外観斜視図である。
【図12】組立てられた緩衝体の表側および裏側の斜視図である。
【図13】緩衝体の分割を示す平面図である。
【図14】緩衝体を分割してトレーに組込んだ状態の平面図である。
【図15】ジョイント部材の展開平面図である。
【図16】同ジョイント部材の縦断面図である。
【図17】同ジョイント部材の左側面図および右側面図である。
【図18】同ジョイント部材の開かれた状態および閉じられた状態の斜視図である。
【図19】部品箱の展開平面図である。
【図20】部品箱の組立てを示す斜視図である。
【図21】組立てられた部品箱の外観斜視図である。
【図22】枠板の展開平面図である。
【図23】補助枠板の展開平面図である。
【図24】枠板と補助枠板の組立てを示す分解斜視図である。
【図25】井桁状に組立てられた枠体と部品箱との組立て構造を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
10 陶器製の便器
11 外装箱
12 トレー
14〜16 緩衝体
17 部品箱
18 蓋板
19 テープ
23〜26 側板
27、28 折曲げ線
29 接合片
31、32 折曲げ線
33 フラップ
37 折曲げ線
38 折返し板
39 折曲げ線
40 折返し板
43、44 係合孔
45、46 保持孔
47、48 横長孔
49 取手穴
52 底板
53 折曲げ線
54 側板
55 折曲げ線
56 側壁部
57 係合孔
58 保持孔
59、60 横長孔
61 折曲げ線
62 保持片
63 折曲げ線
64 補助板
65 突部
66 スリット
67 折曲げ線
68 補助板
69 折曲げ線
70 補助壁部
71、72 突部
73 矩形孔
74、75 保持孔
79 折曲げ線
80 側板
81 折曲げ線
82 側壁部
83 係合孔
84 円形孔
85 突部
101〜114 板状部
117 切断線
118 半切線
119 切込み
120 連結部
121 折曲げ補助線
122、123 ライナー
124 中芯
125 切断線
127〜132 開口
133 凹部
134 突片
136 溝部
139 切込み
140 開口
141 切込み
142 段部
145、146 スリット状開口
147 凹部
148 澱粉糊
150 折返し板
153 切込み
154 係止部
156 切込み
157 段部
158 係止部
162 ジョイント部材
163 ヒンジ部
164 軸部
165 フランジ
166 摘み用凹部
167 補強用突部
168 突片
172〜175 開口
180 底板
181 切込み
182 舌片
183 折曲げ線
184 側板
185 折曲げ線
186 補助板
187 折曲げ線
188 補助フラップ
189、190 折曲げ線
191 前面板
192 折曲げ線
193 差込み片
194 切込み
195 ロック片
198 折曲げ線
199 補助板
200 切込み
201 係合片
204 折曲げ線
205 背面板
206 折曲げ線
207 蓋板
208 円形孔
209 折曲げ線
210 補助片
211 ロック孔
215 枠板
216 底板
217 切込み
218、219 折曲げ片
220 連結板
221 切込み
225 折曲げ線
226 側板
227 折曲げ線
228 接合板
229 スリット状開口
232 補助枠板
233 折曲げ線
234 切込み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被梱包物品をトレー上に載置するとともに、底部が開放された外装箱を前記トレーと組合わせて梱包するようにした梱包装置において、
段ボールの段目の方向に沿って折曲げ可能に連結された複数の板状部をジグザグに折曲げて重合わされた緩衝体を備え、該緩衝体を前記トレー上に取付け、前記緩衝体によって前記被梱包物品の底部側を緩衝することを特徴とする梱包装置。
【請求項2】
前記複数の板状部が間欠的に連結部によって連結された切断線および/または一方のライナーのみが連結された半切線を介して折曲げ可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の梱包装置。
【請求項3】
前記板状部または複数の板状部にまたがって開口が形成され、前記板状部を重合わせると前記開口によって溝部、凹部、または段部が形成され、前記溝部、凹部または段部によって前記被梱包物品の底部側を受けることを特徴とする請求項1に記載の梱包装置。
【請求項4】
段ボールの段目の方向に延びる切断線が形成され、該切断線によって複数の緩衝体に分割され、分割された前記複数の緩衝体が単一のトレー上に装着されることを特徴とする請求項3に記載の梱包装置。
【請求項5】
前記トレーの側壁部に切込みによって保持片が折曲げ可能に連結され、前記板状部または複数の板状部にまたがって形成された開口のエッジに形成された切込みによって前記板状部を重合わせて形成される係止部によって前記保持片が係止されて前記緩衝体が前記トレーに取付け固定されることを特徴とする請求項4に記載の梱包装置。
【請求項6】
前記トレーの側壁部に切込みによって保持片が折曲げ可能に連結され、前記複数の緩衝体に分割する前記切断線に形成された切込みを重合わせて形成される係止部によって前記保持片が係止されて前記緩衝体が前記トレーに取付け固定されることを特徴とする請求項4に記載の梱包装置。
【請求項7】
前記緩衝体を取付けた前記トレーが前記外装箱の底部開口を通して該外装箱の底部の内側に装着され、ジョイント部材によって着脱自在に結合されることを特徴とする請求項1に記載の梱包装置。
【請求項8】
前記外装箱の下端の折返し板と前記トレーの外側部とにそれぞれ係合孔が形成され、前記ジョイント部材の軸部を前記外装箱と前記トレーの係合孔に係合させ、前記ジョイント部材の軸部に外周側に突出するように形成されている突片を前記トレーの係合孔のエッジに係合させて前記トレーを前記外装箱の下端に装着した状態で結合することを特徴とする請求項7に記載の梱包装置。
【請求項9】
前記ジョイント部材がパルプモールドによって作られていることを特徴とする請求項7に記載の梱包装置。
【請求項10】
前記ジョイント部材が円筒状の軸部を備えるとともに、該軸部の端部のヒンジ部を介して180度ずつに開かれた状態で成形されることを特徴とする請求項9に記載の梱包装置。
【請求項11】
前記被梱包物品が陶器製の便器であることを特徴とする請求項1に記載の梱包装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−241937(P2009−241937A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−89116(P2008−89116)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【出願人】(593004108)株式会社日栄紙工社 (11)
【出願人】(000223193)東罐興業株式会社 (90)
【Fターム(参考)】