説明

梱包装置

【課題】包装材料によって包装された複数の被包装機器を一括してビニールシートで覆うことにより、簡単な構造で包装材料の表面の汚れやこすれを防止することができ、また、保管時や物流の際の荷崩れを防止することのできる梱包装置を提供すること。
【解決手段】包装材料2で包装された複数の被包装機器からなる直方体状の機器梱包体1と、この機器梱包体1を覆うビニール梱包体10と、このビニール梱包体10に設けられて内部の空気を吸い出すための逆止弁14とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば空気調和機の如き電気機器等の梱包装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の梱包装置に、冷凍機の梱包を確実にし外箱の汚れを防止するために、外箱の側板、天板及び開口を被覆し、外箱の高さより幅が小さく外箱の下方から上方へ複数回螺線状に巻回されたシートを備え、このシートは片面に粘着剤を有し、外箱側に粘着剤の面を向け下部が下方のシートの上に重ねて巻回するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、基台上に載せた物品に、可撓性及び気密性を有する包被シートを被せてその周縁を基台の周縁に密着させ、基台と包被シートで囲まれた空間内を大気圧以下に減圧し、包被シートの外側から物品に大気圧を作せて物品を基台に押し付けて固定するようにした物品の梱包装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、梱包物品の左右の側端部に補強材をキャップ状に覆い被せ、多段積みにも耐え得る耐圧強度を備えた梱包材が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−118386号公報(第2−4頁、図1)
【特許文献2】特開平7−187130号公報(第3−4頁、図1−2)
【特許文献3】特開2005−8224号公報(第3−4頁、図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の梱包装置は、外箱にシートを巻き付けるための大掛りな装置が必要であり、この大掛りな装置1台で外箱(製品)1台ずつにシートを巻き付けなければならないため、作業性が悪くその上コストが増加するという問題がある。
【0007】
また、特許文献2の梱包装置は、包被シートにより梱包装置自体を作成しなければならないため、部品数が多く、時間とコストがかかるばかりでなく、物流の際に部品が外れるおそれもある。
さらに、特許文献3の補強材は材料が段ボールであるため、大きな衝撃が加わると補強材がへこんでしまい、梱包物品が変形したり破損したりするおそれがあり、その上雨や湿気により強度が大幅に低下するおそれがある。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、包装材料によって包装された複数の被包装機器を一括してビニールシートで覆うことにより、簡単な構造で包装材料の表面の汚れやこすれを防止することができ、また、保管時や物流の際の荷崩れを防止することのできる梱包装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る梱包装置は、包装材料で包装された複数の被包装機器からなる直方体状の機器梱包体と、この機器梱包体を覆うビニール梱包体と、このビニール梱包体に設けられて内部の空気を吸い出すための逆止弁とを備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡単な構造で被包装機器を包装した包装材料の表面の汚れやこすれを確実に防止することができ、また、包装材料で包装された複数の被包装機器を締結バンドで固定しているので、保管、運搬、荷役などの際に荷崩れをおこすことがない。
さらに、ビニール梱包体を構成するビニールシートは繰り返えし使用できるので、資源を有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1に係る梱包装置の前面側ビニールシートを開いた状態を示す斜視図である。
【図2】図1の機器梱包体の斜視図である。
【図3】図1の前面側ビニールシートを閉じた状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る梱包装置の斜視図である。
【図5】図4の緩衝材を構成する上部緩衝材と下部緩衝材の斜視図である。
【図6】図4の梱包装置を段積みした状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施の形態1]
本発明の実施の形態1に係る梱包装置を示す図1、図2において、1は段ボールからなる包装材料2によって包装され、それぞれ締結バンド3で締結された例えば、空気調和機の如き被包装機器を複数個(図には、6個の場合が示してある)並べかつ重ねてなる直方体状の機器梱包体である。
【0013】
10は機器梱包体1の外周面を覆うビニール梱包体で、機器梱包体1の前面(前面開口部12)を除く部分を覆うビニールシート11と、機器梱包体1の底面を覆うビニールシート11を前面側に、前面開口部12の面積より若干大きい面積に延設した前面側ビニールシート11aとからなっている(なお、以下の説明では、ビニールシート11と前面側ビニールシート11aを合わせて、ビニールシート11と記すことがある)。
【0014】
この前面側ビニールシート11aの周縁部には、例えば、特殊PVCフィルム性感応密着素材の如き密着素材13が設けられており、前面側ビニールシート11aを折り返えして前面開口部12を覆い、密着素材13により前面開口部12の周縁のビニールシート11に接合して、機器梱包体1を封止する。
【0015】
そして、ビニール梱包体10に設けた逆止弁14を介してビニール梱包体10内の空気抜きを行い、機器梱包体1をビニール梱包体10内に密封する。このときの状態を図3に示す。なお、上記の説明では、機器梱包体1の底部を覆うビニールシート11を延設して、前面側ビニールシート11aを形成した場合を示したが、これに限定するものではなく、機器包装体1の上面又は側面を覆うビニールシート11を前面側に延設して、前面側ビニールシート11aを形成してもよい。さらに、ビニールシート11を延設することなく、別のビニールシートと前面側ビニールシート11aを形成してもよい。
【0016】
本実施の形態によれば、包装材料2で包装されてそれぞれ締結バンド3で締結した複数の被包装機器からなる機器梱包体1を、ビニール梱包体10で覆うようにしたので、作業性がよく、簡単な構造で被包装機器を包装した包装材料2の表面の汚れやこすれを確実に防止することができる。
【0017】
また、機器梱包体1は、包装材料2で包装された複数の被包装機器を締結バンド3で固定しているため、保管、運搬、荷役などの際に、荷崩れをおこすことがない。
さらに、ビニール梱包体10を構成するビニールシート11は繰り返えし使用できるので、資源を有効に活用することができる。
【0018】
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2に係る梱包装置は、図4に示すように、実施の形態1に係る機器梱包体1をビニールシート11で覆ったビニール梱包体10を保管し、あるいは運搬や荷役などを行う際に、これらを保護するための緩衝材20を設けたものである。
【0019】
この緩衝材20は、図4、図5に示すように、ゴム素材からなる上部緩衝材21と下部緩衝材26とからなっている。なお、図5(a)の上部緩衝材21は、図4のA−A断面図である。
上部緩衝材21の下面には、ビニール梱包体10の上面外形とほぼ等しい大きさの下面凹部22が設けられており、上面には下面凹部22とほぼ等しい幅で長さがこれより短かい上面凹部23が設けられている。
【0020】
また、下部緩衝材25は、同じ構造の左右の緩衝体26a,26b(以下、単に26と記すことがある)からなっている。そして、両緩衝体26の上面には、上部緩衝材21の下面凹部22の2分の1の大きさで一方が開口された上面凹部27が設けられており、下面には、上部緩衝材21の上面凹部23とほぼ同じ大きさで、2分の1の長さの下面凸部28が突設されている。さらに、一方の側壁から下面凸部28を貫通して他方の側壁に開口する、フォークリフトのツメの挿入穴29が設けられている。
【0021】
次に、上記のように構成した緩衝材20をビニール梱包体10に取付ける手順の一例について説明する。
先ず、ビニール梱包体10の下部に、下部緩衝材25を構成する緩衝体26の上面凹部27を嵌合する。このとき、左右の緩衝体26a,26bを対向配置し、その上部凹部27にビニール梱包体10の下部を嵌合してもよい。
ついで、上部緩衝材21の下面凹部22をビニール梱包体10の上部に嵌合する。このときの状態を図4に示す。
【0022】
図6は上記のように上下に緩衝材20が装着されたビニール梱包体10を、倉庫等に保管し、あるいは輸送するときの段積みの状態を示すもので、下段のビニール梱包体10aに取付けた緩衝材20aの上部緩衝材21の上面凹部23に、上段のビニール梱包体20bの下部緩衝材25の下面凸部28を嵌合して段積みしたもので、以下、同様にして緩衝材20が装着されたビニール梱包体10を順次段積みすることができる。
【0023】
本実施の形態によれば、包装材料2によって包装された複数の被包装機器からなる機器梱包体1の外周を覆ったビニール梱包体10の上下に、ゴム素材からなる緩衝材20を装着して保護するようにしたので、緩衝材20自体が雨や湿気などによって影響を受けることがなく、一定の強度のまま荷崩れを防止することができる。
【0024】
また、物流などの際に発生した大きな衝撃にも十分耐えることができるので、機器梱包体1、したがって被包装機器に変形や破損などを生じることがない。
さらに、緩衝材20は、緩衝材20どうし及びビニール梱包体10と、凹凸状態により嵌合するようにしたので強い摩擦力が働くため、保管、運搬、荷役などの際に荷崩れを生じることがない。
また、この緩衝材20は繰り返えし使用できるので、資源を有効に活用することができる。
【0025】
このように、本実施の形態によれば、簡単な構造で、機器梱包体1、したがって被包装機器を確実に保護することができる。なお、緩衝材20にフォークリフトのツメの挿入穴29を設けたので、従来通りフォークリフトによりビニールシート11に覆われた機器梱包体1を移動することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 機器梱包体、2 被包装機器の包装材料、3 締結バンド、10 ビニール梱包体、11 ビニールシート、11a 前面側ビニールシート、12 前面開口部、13 密着素材、14 逆止弁、20 緩衝材、21 上部緩衝材、22 下面凹部、23 上面凹部、25 下部緩衝材、27 上面凹部、28 下面凸部、29 フォークリフトのツメの挿入穴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材料で包装された複数の被包装機器からなる直方体状の機器梱包体と、
該機器梱包体の外周を覆うビニール梱包体と、
該ビニール梱包体に設けられて内部の空気を吸い出すための逆止弁とを備えたことを特徴とする梱包装置。
【請求項2】
前記ビニール梱包体を、前記機器梱包体の前面側を除く外周を覆うビニールシートと、外周縁に密着素材が設けられ、前記機器梱包体の前面を覆って封止する前面側ビニールシートとによって形成したことを特徴とする請求項1記載の梱包装置。
【請求項3】
前記密着素材は、特殊PVCフィルム性感応密着素材であることを特徴とする請求項2記載の梱包装置。
【請求項4】
ゴム素材からなり前記ビニール梱包体の上面及び下面に嵌合して前記機器梱包体を保護する緩衝材を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の梱包装置。
【請求項5】
前記緩衝材を、下面に前記ビニール梱包体の上部に嵌合する下面凹部を有し、上面に上面凹部が設けられた上部緩衝材と、上面に前記ビニール梱包体の下部に嵌合する上面凹部を有し、下面に前記上部緩衝材の上面凹部に対応した下面凸部が設けられた下部緩衝材とによって構成したことを特徴とする請求項4記載の梱包装置。
【請求項6】
前記下部緩衝材に、フォークリフトのツメの挿入穴を設けたことを特徴とする請求項5記載の梱包装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−143955(P2011−143955A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7979(P2010−7979)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】