梱包部材
【課題】梱包物を簡単に梱包し、輸送に際して移動することなく確実に保持する。
【解決手段】展開図にしたがって包囲シート材2、底面シート材3、側面シート材4を打ち抜いた後、底面シート材3を折り込んで底面材3Aを形成し、包囲シート材2の底面板21に係止する。次いで、側面シート材4を折り込んで起立させた左右の側面板42からなる左右の側壁4L,4Rを有する側面材4Aを形成し、底面材3Aに係止する。その後、包囲シート材2の正面板22および前上面板23を側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの端縁に沿って配置してフラップ24を左右の側壁4L,4Rに係止するとともに、包囲シート材2の背面板25および後上面板26を側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの端縁に沿って配置してフラップ24を左右の側壁4L,4Rに係止する。
【解決手段】展開図にしたがって包囲シート材2、底面シート材3、側面シート材4を打ち抜いた後、底面シート材3を折り込んで底面材3Aを形成し、包囲シート材2の底面板21に係止する。次いで、側面シート材4を折り込んで起立させた左右の側面板42からなる左右の側壁4L,4Rを有する側面材4Aを形成し、底面材3Aに係止する。その後、包囲シート材2の正面板22および前上面板23を側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの端縁に沿って配置してフラップ24を左右の側壁4L,4Rに係止するとともに、包囲シート材2の背面板25および後上面板26を側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの端縁に沿って配置してフラップ24を左右の側壁4L,4Rに係止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンプレッサーなどの梱包部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、補修部品、例えば、空調機用コンプレッサーなどは、サービスセンターやディーラーなどからの要求により流通センターから出庫されると、その都度メーカーより必要個数分流通センターに輸送され、流通センターに常に一定個数の在庫を確保するようにしている。
【0003】
この場合、流通センターへの補修部品の輸送は、少量であるため、メーカーにおいて、梱包具により補修部品を個別に梱包して梱包体に形成し、各梱包体を流通センターに輸送するようにしている。具体的には、梱包具として1枚のシート、例えば、ダンボールを使用し、そのダンボールを底面、左右の側面および頂面に区画し、底面に梱包物を配置した後、梱包物の左右を左右の側面によって覆うとともに、各側面より起立させた当接片の先端を梱包物の前後面に対向させ、梱包物の上面を折り重ねた頂面によって覆うように巻き込み、係止片を一方の側面に形成された係合孔に係止することで梱包体を形成するものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−69340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した梱包具は、梱包物の梱包に際して、当接片を起立させながらダンボールを巻き込む必要があることから、梱包物を支持しつつ一人で梱包作業を行うことは難しく、作業が煩雑になるという欠点がある。
【0006】
また、1枚のダンボール(底面)によって梱包物を支持することから、底面の剛性が低く、下方に撓み変形し易い。これにより、指掛孔を利用して梱包体を持ち運ぶ際、底面が撓み変形すると、当接片の下端部が伸展して当接片を起立状態に保持しようとする剛性が低下するとともに、折り目に沿って復元しようとする弾性力が作用する。このような状態において、梱包体が傾斜すると、梱包物が当接片を押し開いて脱落するおそれがある。
【0007】
また、梱包物の前後方向の移動は、側面の一部に対向する当接片の先端略中央部分が規制しているだけであることから、輸送時の発車あるいは停車に伴う慣性によって前方あるいは後方に移動し易く、場合によっては、前後の他の輸送物と衝突して損傷するおそれもある。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、梱包物を簡単に梱包できるとともに、移動することなく確実に保持して輸送することのできる梱包部材を提供ものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、梱包物の底面、上面、左右の側面、正面および背面を覆う梱包部材であって、底面板に正面板、背面板、上面板およびフラップが折り目を介して連設された包囲シート材と、底面板の左右各側端縁にそれぞれ係合板が折り目を介して連設された底面シート材と、底面板の左右各側端縁にそれぞれ側面板が折り目を介して連設された側面シート材と、から構成され、底面板に左右の係合板をそれぞれ折り重ねて形成された底面材が包囲シート材の底面板に配置されて係止される一方、左右の側面板をそれぞれ左右の側壁として底面板に対して起立させて形成された側面材の底面板が底面材の底面板に配置されて側面材が底面材に係止され、包囲シート材の正面板、背面板および上面板が側面材の左右の側壁の前端縁、後端縁および上端縁に沿って配置されてフラップが左右の側壁に係止されることを特徴とするものである。
【0010】
本発明によれば、それぞれ展開図にしたがって包囲シート材、底面シート材および側面シート材を打ち抜いた後、底面シート材の底面板に左右の係合板をそれぞれ折り重ねて底面材を形成するとともに、側面シート材の底面板に左右の側面板を起立させて左右の側壁を有する側面材を形成する。そして、包囲シート材の底面板に底面材の底面板を配置して両者を互いに係止した後、底面材の底面板に側面材の底面板を配置して両者を互いに係止する。次いで、梱包物を側面材の左右の側壁を押し広げながら側面材の底面板上に配置した後、包囲シート材の正面板、背面板および上面板をそれぞれ側面材の左右の側壁の前端縁、後端縁および上端縁に沿って配置してフラップを左右の側壁に係止する。
【0011】
この結果、展開図にしたがって包囲シート材、底面シート材および側面シート材を打ち抜き、底面材および側面材に組み立てた後、包囲シート材に底面材を、底面材に側面材を順に配置して係止し、梱包物を配置し、次いで、包囲シート材を側面材の左右の側壁の端縁に沿わせて巻き回して側壁に係止するという簡単な作業によって梱包体を形成することができる。この場合、側面材の左右の側壁間が開放されていることにより、一人であっても容易に梱包作業を行うことができる。また、包囲シート材と底面材とが互いに係止され、底面材と側面材とが互いに係止され、側面材と包囲シート材とが互いに係止されることから、包囲シート材、底面材、側面材が相互に係止されて一体化され、剛性の高い梱包部材を形成することができる。したがって、輸送に際して梱包物を移動することなく確実に保持することができる。
【0012】
本発明において、前記底面シート材の底面板および側面シート材の底面板に梱包物の下方突出物に対応するガイド孔が形成されることが好ましい。これにより、ガイド孔に梱包物の下方突出物を収容することができ、下方突出物が突出して配置されることによる不安定な状態を解消することができる。
【0013】
本発明において、前記底面シート材の底面板に少なくとも上方底面板が折り目を介して連設されるとともに、上方底面板の左右各側端縁にそれぞれ係合板が折り目を介して連設されることが好ましい。これにより、底面材を複数の底面板から形成することができ、底面の剛性を高めることができる。
【0014】
本発明において、前記側面シート材の側面板の左右各側端縁にそれぞれ折り目を介して外方側面板が連設されることが好ましい。これにより、側面材の左右の側壁を2層の側面板から形成することができ、側面の剛性を高めることができる。
【0015】
本発明において、前記包囲シート材の底面板の前後各端部に係止片が形成され、また、包囲シート材の各係止片に対応して底面シート材の底面板の前後各端部に係止片が形成されるとともに、側面シート材の底面板の前後各端部に係止切欠きが形成されることが好ましい。これにより、包囲シート材の係止片を跳ね上げると、包囲シート材の底面板の係止片が底面材の底面板の係止片を押し上げるとともに、底面板の係止片が押し上げられることによって形成された空間に入り込んで底面材を係止し、さらに、押し上げられた底面材の係止片が側面材の底面板の係止切欠きに入り込んで側面材を係止することができ、包囲シート材に対して底面材および側面材を簡単に係止することができる。
【0016】
本発明において、前記底面シート材の各係合板の側端縁に長さの異なる複数の係合凸部が形成され、また、底面シート材の各係合板の複数の係合凸部に対応して側面シート材の底面板の側面板との連設部に長さの異なる係合溝または係合孔が形成されることが好ましい。これにより、底面材の各係合板の複数の係合凸部に側面材の底面板の複数の係合溝または係合孔を係合することができ、底面材に対して側面材を前後方向および左右方向に位置決めして係合することができる。
【0017】
本発明において、前記包囲シート材の底面板の前後各端部に係止片が形成され、また、包囲シート材の各係止片に対応して底面シート材の底面板の前後各端部に係止孔および係止切欠きが形成されるとともに、上方底面板の前後各端部に係止片が形成され、さらに、包囲シート材の各係止片に対応して側面シート材の底面板の前後各端部に係止切欠きが形成されることが好ましい。これにより、包囲シート材の底面板の係止片を跳ね上げることにより、該係止片を底面材の底面板の係止孔および係止切欠きに係止させるとともに、底面材の上方底面板の係止片を押し上げて側面材の底面板の係止切欠きに係止させることができ、包囲シート材に対して底面材および側面材を簡単に係止することができる。
【0018】
本発明において、前記底面シート材の各係合板の側端縁に長さの異なる複数の係合凹部が形成され、また、底面シート材の各係合板の複数の係合凹部に対応して側面シート材の各外方側面板の側端縁に長さの異なる係合凸部が形成されることが好ましい。これにより、底面材の各係合板の複数の係合凹部に側面材の外方側面板の複数の係合凸部を係合することができ、底面材に対して側面材を前後方向および左右方向に位置決めして係合することができる。
【0019】
本発明において、前記側面材の左右の側壁の上端部に包囲シート材のフラップに対応して係止溝が形成されることが好ましい。これにより、包囲シート材の上面板を側面材の左右の側壁の上端縁に沿わせつつフラップを側面材の左右の側壁の係止溝に差し込むことができ、包囲シート材のフラップを側面材の左右の側壁に確実に係止することができる。
【0020】
本発明において、前記包囲シート材のフラップに側面材の左右の側壁の係止溝に対応して一対の係止溝が形成されることが好ましい。これにより、包囲シート材のフラップに形成された係止溝と、側面材の左右の側壁の上端部に形成された係止溝とを互いに係止して、包囲シート材のフラップと側面材の左右の側壁を強固に一体化することができる。
【0021】
本発明において、前記包囲シート材の正面板または背面板の少なくとも一方が折り目を介して垂直板および傾斜板から形成されるとともに、該傾斜板に側面材の左右の側壁に対応して一対の係止孔が形成されることが好ましい。これにより、正面板または背面板の傾斜板に形成された一対の係止孔を側面材の左右の側壁の前方上端側隅角部または後方上端側隅角部に差し込んで係止することができることから、側面材の左右の側壁と包囲シート材との係止状態がより強固となり、剛性をさらに高めることができる。
【0022】
本発明において、前記側面材の底面板に補助底面シート材または複数の底面板を折り重ねて形成された補助底面板が係止されることが好ましい。これにより、補助底面シート材または複数層の底面板から形成された補助底面材を介して梱包物を底上げすることができ、その突出部が干渉しないように支持高さを調整することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、梱包物を簡単に梱包できるとともに、移動することなく確実に保持して輸送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の梱包部材の一実施形態を梱包物を梱包して示す斜視図である。
【図2】図1の梱包部材を構成する包囲シート材を示す斜視図である。
【図3】図1の梱包部材を構成する底面シート材を示す斜視図である。
【図4】図1の梱包部材を構成する側面シート材を示す斜視図である。
【図5】図1の梱包部材による梱包物の梱包要領を説明する工程図である。
【図6】図1の梱包部材による梱包物の梱包要領を説明する工程図である。
【図7】図1の梱包部材による梱包物の梱包要領を説明する工程図である。
【図8】本発明の梱包部材の他の実施形態を梱包物を梱包して示す斜視図である。
【図9】図8の梱包部材を構成する包囲シート材を示す斜視図である。
【図10】図8の梱包部材を構成する底面シート材を示す斜視図である。
【図11】図8の梱包部材を構成する側面シート材を示す斜視図である。
【図12】図8の梱包部材を構成する補助底面シート材を示す斜視図である。
【図13】図10の底面シート材を組み立てた底面材を示す斜視図である。
【図14】図11の側面シート材を組み立てた側面材を示す斜視図である。
【図15】図8の梱包部材による梱包物の梱包要領を説明する工程図である。
【図16】図8の梱包部材による梱包物の梱包要領を説明する工程図である。
【図17】図8の梱包部材による梱包物の梱包要領を説明する工程図である。
【図18】本発明の梱包部材の他の実施形態の変形例を梱包物を梱包して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1には、本発明の梱包部材1の一実施形態が梱包物P、具体的には空調機用コンプレッサーを梱包した梱包体として示されている。
【0027】
ここで、図1を含む各図面において、それぞれ左上方から右下方に向かう方向を左右方向、左下方から右上方に向かう方向を前後方向に設定する。
【0028】
この実施形態の梱包部材1は、包囲シート材2と、底面シート材3と、側面シート材4とから構成され、ダンボールをそれぞれの展開図にしたがって打ち抜いた後、底面シート材3および側面シート材4をそれぞれ折り目に沿って折り込んで底面材3Aおよび側面材4Aを形成するとともに、包囲シート材2に底面材3Aを、底面材3Aに側面材4Aをそれぞれ順に配置して係止し、次いで、側面材4Aによって区画された空間に梱包物Pを配置し、包囲シート材2によって側面材4Aの正面、背面および上面を覆うとともに、包囲シート材2を側面材4Aに係止して形成される。
【0029】
包囲シート材2は、図2の展開図において、底面板21の前端縁に正面板22の垂直板221、その傾斜板222、前上面板23およびフラップ24が折り目a,b,c,dを介して順に連設されるとともに、底面板21の後端縁に背面板25の垂直板251、その傾斜板252、後上面板26およびフラップ24が折り目e,f,g,hを介して順に連設されて形成されている。
【0030】
ここで、包囲シート材2の底面板21の前後方向長さおよび幅は、梱包物Pの輸送時の平面に投影された外形寸法よりも十分な余裕を有し、また、正面板22および背面板25は同一に形成され、それらの前後方向長さおよび幅は、梱包物Pの輸送時の垂直面に投影された外形寸法よりも十分な余裕を有している。
【0031】
そして、包囲シート材2の底面板21の前後各端部には、左右方向中間よりも若干右方に位置して、それぞれ折り目a,eを終点とするハ字状の一対の切れ目iが底面板21を長手方向に二等分する垂直二等分線Lに関して対称に形成されている。また、包囲シート材2の正面板22における垂直板221の後端部および背面板25における垂直板251の前端部には、底面板21の前後各端部の一対の切れ目iの終点両端間を結んで折り目a,e上に形成された切れ目を含む略半円状の操作孔22a,25aがそれぞれ形成されるとともに、それらの垂直板221,251には、それぞれ略C字状の切れ目jが前述した垂直二等分線Lに関して対称に形成されている。これにより、包囲シート材2の底面板21の前後各端部に形成された一対の切れ目iと、正面板22における垂直板221の後端部および背面板25における垂直板251の前端部に形成された操作孔22a,25aによって台形状の係止片21xが形成され、後述する底面材3Aを係止することができるとともに、略C字状の切れ目jを押し開いて梱包体を持ち運ぶ際の指掛孔として使用することができる。
【0032】
また、包囲シート材2における正面板22の傾斜板222および背面板25の傾斜板252には、後述する側面材4Aの左右の側壁4L,4Rに対応してダンボールの厚みに相当する幅と設定長さからなる前後方向に長細い方形状の一対の係止孔22b,25bが形成されている。
【0033】
さらに、包囲シート材2の前後のフラップ24には、同様に、側面材4Aの左右の側壁4L,4Rに対応してダンボールの厚みに相当する幅と設定深さからなる前後方向に長細い一対の係止溝24aが形成されている。
【0034】
なお、包囲シート材2の前側のフラップ24は、梱包物Pの設定された位置の上面に対向するように、後側のフラップ24よりも長く形成され、これに対応して、前上面板23と後上面板26の長さが設定されている。
【0035】
底面シート材3は、図3の展開図において、底面板31の左右各側端縁に係合板32がそれぞれ折り目kを介して連設されて形成されている。
【0036】
ここで、底面シート材3の底面板31の前後方向長さおよび幅は、前述した包囲シート材2の底面板21の前後方向長さおよび幅に一致している。
【0037】
そして、底面シート材3の底面板31の前後各端部には、左右方向中間よりも若干右方に位置して、前後各端縁を終点とするハ字状の一対の切れ目iが底面板31を長手方向に二等分する垂直二等分線L1に関して対称に形成されている。これにより、底面シート材3の底面板31の前後各端部に形成された一対の切れ目iによって台形状の係止片31xが形成される。
【0038】
また、底面シート材3の底面板31の前後各端部に形成された係止片31xは、包囲シート材2の底面板21に底面シート材3から形成された底面材3Aを適正に配置した際、包囲シート材2の底面板21の前後各端部に形成された係止片21xにそれぞれ重なるように設定されている。すなわち、包囲シート材2の底面板21に底面材3Aを配置する場合、包囲シート材2の底面板21の左右方向中間よりも若干右方に位置して形成された係止片21xと、底面材3Aの底面板31の左右方向中間よりも若干右方に位置して形成された係止片31xを重ねることにより、包囲シート材2に対して底面材3Aの前後を規定することができる。
【0039】
さらに、底面シート材3の左右の係合板32は、梱包物Pの形状に対応して、左方の係合板32が右方の係合板32よりも若干大きな幅に形成されるとともに、各係合板32の側端縁前後各端部には、それぞれダンボールの厚みに相当する高さと異なる長さからなる係合凸部321,322が形成されている。
【0040】
なお、底面シート材3の底面板31の前部側には、左右方向に細長い方形状のガイド孔31aが形成されており、このガイド孔31aに梱包物Pの下方突出物、例えば、コンプレッサーの脚部p(図7参照)を収容できる。
【0041】
側面シート材4は、図4の展開図において、底面板41の左右各側端縁に側面板42がそれぞれ折り目mを介して連設されて形成されている。
【0042】
ここで、側面シート材4の底面板41に対して左右の側面板42を起立して形成される左右の側壁4L,4R(図6参照)の外面間隔は、底面シート材3の底面板31の幅から、係合凸部321,322の幅を除いた左右の係合板32の幅の和を減算した長さに略等しく設定されている。また、側面シート材4の底面板41の前後方向長さは、包囲シート材2の底面板21の前後方向長さに一致している。
【0043】
そして、側面シート材4の底面板41の前後各端部には、左右方向中間において、底面シート材3の底面板31の前後各端部に形成された係止片31xに対応して略台形状の係止切欠き41aが形成されている。また、側面シート材4の底面板41には、側面板42との連設部の前後各端部において、底面シート材3の左右の係合板32の前後の係合凸部321,322に対応してそれぞれダンボールの厚みに相当する幅と異なる長さからなる係合溝411,412が形成されている。つまり、底面板41の前方の係合溝411の長さと底面シート材3の各係合板32の前方の係合凸部321の長さが一致し、また、底面板41の後方の係合溝412の長さと底面シート材3の各係合板32の後方の係合凸部322の長さが一致している。
【0044】
これにより、後述するように、底面シート材3から形成された底面材3Aの左右の係合板32間の底面板31に、側面シート材4から形成された側面材4Aの底面板41を配置すると、左右の係合板32の幅の相違により、側面材4Aは、その左右方向中心が底面材3Aの左右方向の中心よりも若干右方に配置され、その際、底面材3Aの底面板31の前後各端部の係止片31xに係止切欠き41aが対向するとともに、底面材3Aの各係合板32の前後の係合凸部321,322に、側面材4Aの底面板41の前後の係合溝411,412を係合させることができ、底面材3Aに対して側面材4Aの前後および左右を規定することができる。
【0045】
さらに、側面シート材4の側面板42には、後方側側端部において、左右方向に細長い係止溝42aが形成されている。これにより、側面シート材4の側面板42を底面板41に対して起立させて左右の側壁4L,4Rを形成した際、その上端縁に形成された係止溝42aに前述した包囲シート材2の前後のフラップ24をそれぞれ差し込んでそれらの左右の係止溝24aを介して互いに係止することができる。
【0046】
なお、側面シート材4の底面板41の前端側には、底面シート材3の底面板31に形成されたガイド孔31aに対応して左右方向に細長い方形状のガイド孔41bが形成されている。つまり、底面材3Aの底面板31上に側面材4Aの底面板41を適正に配置した場合、底面材3Aの底面板31のガイド孔31aに、側面材4Aの底面板41のガイド孔41bが重なるように設定されている。また、側面シート材4の各側面板42には、梱包物Pの形状に対応してそれぞれ略左右対称の複数個のガイド孔42bが形成されており、側面材4Aの左右の側壁4L,4Rと梱包物Pとの干渉を回避することができる。
【0047】
次に、このように構成された梱包部材1を用いて梱包物Pを梱包し、梱包体を形成する場合について図5乃至図7に基づいて説明する。
【0048】
まず、それぞれ展開図にしたがって包囲シート材2、底面シート材3および側面シート材4を打ち抜いた後、底面シート材3および側面シート材4からそれぞれ底面材3Aおよび側面材4Aを組み立てる。
【0049】
具体的には、打ち抜いた底面シート材3において、底面板31の上面に左右の係合板32をそれぞれ折り目kに沿って折り込んで底面材3Aを形成する。
【0050】
また、打ち抜いた側面シート材4において、底面板41に対して側面板42を折り目mに沿って折り込んで起立させ、底面板41の左右にそれぞれ側面板42による側壁4L,4Rを有する側面材4Aを形成する。
【0051】
次いで、図5に示すように、包囲シート材2の底面板21の上面に底面材3Aを配置し、係止する。具体的には、包囲シート材2の係止片21xおよび底面材3Aの係止片31xが左右方向中間よりも若干右方に形成されていることにより、それらが重なるように配置することで、包囲シート材2に対して底面材3Aの前後を規定しつつ左右方向に位置決めして配置する。この後、包囲シート材2の係止片21xを操作孔22a,25aを通して指で上方に跳ね上げることにより、包囲シート材2の係止片21xが、その上方に対向する底面材3Aの底面板31の係止片31xを押し上げるとともに、係止片31xが押し上げられることによって形成された略台形状の空間に入り込む結果、包囲シート材2の底面板21に対して底面材3Aを係止片21xを介して移動しないように係止することができる。
【0052】
次いで、図6に示すように、包囲シート材2に係止された底面材3Aの左右の係合板32間に露出する底面板31の上面に側面材4Aを配置し、係止する。具体的には、底面材3Aの左右の係合板32の前後の係合凸部321,322に、側面材4Aを構成する底面板41の前後の係合溝411,412を係合することにより、底面材3Aに対して側面材4Aを前後および左右を規定しつつ位置決めして配置する。この際、底面材3Aの底面板31の係止片31xに、側面材4Aの底面板41の係止切欠き41aが対向することから、再び包囲シート材2の係止片21xを指で跳ね上げることにより、該係止片21xを介して底面材3Aの底面板31の係止片31xが押し上げられ、該係止片31xが側面材4Aの底面板41の係止切欠き41aに入り込む結果、底面材3Aの底面板31に対して側面材4Aを係止片31xを介して移動しないように係止することができる。
【0053】
この際、底面材3Aの底面板31のガイド孔31aと、側面材4Aの底面板41のガイド孔41bとが連通する。
【0054】
このようにして、包囲シート材2の底面板21に底面材3Aを係止するとともに、底面材3Aに側面材4Aを係止したならば、図7に示すように、梱包物Pを上方から落とし込み、側面材4Aの左右の側壁4L,4Rを押し開きながら底面板41上に配置する。すなわち、梱包物Pを側面材4Aの底面板41上に配置するに際して、側面材4Aの左右の側壁4L,4R間が開放されていることにより、梱包物Pを支持する作業者は、梱包物Pを利用して起立状態の左右の側壁4L,4Rを押し開くことができ、一人で容易に配置することができる。この際、底面材3Aの左右の係合板32の係合凸部321,322に側面材4Aを構成する底面板41の係合溝411,412が係合するとともに、各係合板32の係合凸部321,322上に側面板42の下端縁が乗り上げることから、側面材4Aの左右の側壁4L,4Rが梱包物Pによって押し開かれたとしても、それらの係合状態は維持される。
【0055】
なお、側面材4Aの底面板41上に支持された梱包物Pは、その脚部pが側面材4Aの底面板41のガイド孔41b、底面材3Aの底面板31のガイド孔31aに収容されるとともに、左右端部が側面材4Aの左右の側壁4L,4Rを構成する側面板42のガイド孔42bを通して突出する。これにより、梱包物Pを側面材4Aの底面板41上に配置した際、前後方向に延びる軸線と底面板41の上面とがほぼ平行となり、安定した姿勢で支持することができるとともに、左右の側壁4L,4Rを構成する側面板42に梱包物Pの左右端部が干渉して湾曲変形させることを防止できる。
【0056】
梱包物Pを配置したならば、包囲シート材2の底面板21に対して正面板22の垂直板221を折り目aに沿って折り込んで側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの前端縁に沿って起立させるとともに、その起立した垂直板221に対して傾斜板222を折り目bに沿って折り込む。この際、正面板22の傾斜板222に形成された左右の係止孔22bを側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの前方上端側隅角部に差し込み、側面材4Aの左右の側壁4L,4Rを垂直状態に起立した姿勢に保持する。この後、正面板22の傾斜板222に対して前上面板23を折り目cに沿って折り曲げて側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの前方側上端縁に沿って載置し、さらに、前上面板23に対して前方のフラップ24を折り目dに沿って折り曲げるとともに、その左右の係止溝24aを側面材4Aの左右の側壁4L,4Rに形成された係止溝42aに差し込み、フラップ24および左右の側壁4L,4Rを互いに係止する。
【0057】
同様に、包囲シート材2の底面板21に対して背面板25の垂直板251を折り目eに沿って折り込んで側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの後端縁に沿って起立させるとともに、その起立した垂直板251に対して傾斜板252を折り目fに沿って折り込む。この際、背面板25の傾斜板252に形成された左右の係止孔25bを側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの後方上端側隅角部に差し込み、側面材4Aの左右の側壁4L,4Rを垂直状態に起立した姿勢に保持する。この後、背面板25の傾斜板252に対して後上面板26を折り目gに沿って折り曲げて側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの後方側上端縁に沿って載置し、さらに、後上面板26に対して後方のフラップ24を折り目hに沿って折り曲げるとともに、その左右の係止溝24aを側面材4Aの左右の側壁4L,4Rに形成された係止溝42aに差し込み、フラップ24および左右の側壁4L,4Rを互いに係止する。
【0058】
この結果、包囲シート材2に対して底面材3Aが係止され、底面材3Aに対して側面材4Aが係止され、側面材4Aに対して包囲シート材2が係止されることから、包囲シート材2、底面材3A、側面材4Aが相互に係止されて一体化され、剛性の高い梱包部材1を形成することができる。特に、梱包物Pを支持する底面は、包囲シート材2の底面板21、底面材3Aの底面板31および側面材4Aの底面板41から形成されることから、強度が大きくなって撓み変形が可及的に抑制され、輸送に際して梱包物Pを安定して保持することができる。また、梱包物Pの側面は、側面板42からなる側壁4L,4Rによって支持されるとともに、その前後面は、側壁4L,4Rに形成されたガイド孔42bを介して、さらには、フラップ24を介して支持されることから、輸送に際して梱包物Pを安定して保持することができる。
【0059】
また、展開図にしたがって包囲シート材2、底面シート材3および側面シート材4を打ち抜き、底面材3Aおよび側面材4Aに組み立てた後、包囲シート材2に底面材3Aを、底面材3Aに側面材4Aを順に係止し、梱包物Pを配置し、次いで、包囲シート材2の前半部分を側面材4Aの側壁4L,4Rの前端縁および上端縁に沿わせて側壁4L,4Rに係止するとともに、包囲シート材2の後半部分を側面材4Aの側壁4L,4Rの後端縁および上端縁に沿わせて側壁4L,4Rに係止するという簡単な作業によって梱包体を形成することができる。この際、梱包物Pによって側面材4Aの左右の側壁4L,4Rを押し開きながら梱包物Pを配置することができ、一人であっても梱包作業を容易に行うことができる。
【0060】
さらに、包囲シート材2の正面板22および背面板25がそれぞれ側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの前方上端側隅角部および後方上端側隅角部に差し込まれて互いに係止されることから、包囲シート材2と側面材4Aの左右の側壁4L,4Rとがより強固に係止され、さらに剛性の高い梱包部材1を形成することができる。
【0061】
なお、前述した実施形態においては、梱包物Pとして空調機用コンプレッサーを例示したが、例えば、電動モータによる駆動部と冷媒ガスの圧縮を行う圧縮部が一体となった電動インバーターコンプレッサーや電動モータなどを梱包する際にも採用することができる。
【0062】
この場合、梱包物Pが干渉しないように、底面シート材3や側面シート材4にその突出する形状に対応するガイド孔を形成すればよい。
【0063】
また、包囲シート材2の底面板21に、ハ字状の一対の切れ目iおよび操作孔22a,25aによって係止片21xを形成する場合を例示したが、操作孔22a,25aを形成することなく、ハ字状の一対の切れ目iとともに、その終点間を結ぶ切れ目を折り目a,e上に形成し、これらの切れ目によって係止片を形成するようにしてもよい。
【0064】
また、底面シート材3の各係合板32の複数の係合凸部321,322に、対応する側面シート材4の底面板41の複数の係合溝411,412を係合する一実施形態について説明したが、前記係合溝411,412は、係合孔で構成してもよい。例えば、底面シート材3の各係合板32の係合凸部321,322は、底面シート材3の四隅の角から少し離して形成させる場合に適応できる。
【0065】
次に、本発明の梱包部材1の他の実施形態を図8乃至図12に基づいて説明する。
【0066】
この実施形態の梱包部材1は、包囲シート材2と、底面シート材3と、側面シート材4と、補助底面シート材5とから構成され、ダンボールをそれぞれの展開図にしたがって打ち抜いた後、底面シート材3および側面シート材4をそれぞれ折り目に沿って折り込んで底面材3Aおよび側面材4Aを形成するとともに、包囲シート材2に底面材3Aを、底面材3Aに側面材4Aを、側面材4Aに補助底面シート材5をそれぞれ順に配置して係止し、次いで、側面材4Aおよび補助底面シート材5によって区画された空間に梱包物Pを配置し、包囲シート材2によって側面材4Aの正面、背面および上面を覆うとともに、包囲シート材2を側面材4Aに係止して形成される。
【0067】
ここで、梱包部材1を構成する包囲シート材2、底面シート材3および側面シート材4は、先の実施形態で説明したものと基本的な構造はほぼ同一であり、同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略し、主に相違する点について説明する。
【0068】
包囲シート材2は、図9の展開図において、底面板21の前端縁に正面板22の垂直板221、その傾斜板222、前上面板23およびフラップ24が折り目a,b,c,dを介して順に連設されるとともに、底面板21の後端縁に背面板25、後上面板26およびフラップ24が折り目e,g,hを介して順に連設されて形成されている。
【0069】
ここで、この包囲シート材2は、背面板25が後述する側面材4Aの側壁4L,4Rの後端縁に沿って配置されるため、傾斜板が設けられていない。また、正面板22の傾斜板222に形成された係止孔22bおよび前後のフラップ24に形成された係止溝24aは、後述する側面材4Aの側壁4L,4Rが、側面板42および外方側面板43から形成されることに対応して幅がダンボールの厚みの2倍に設定されている。
【0070】
底面シート材3は、図10の展開図において、底面板31の左端縁に下方底面板33が折り目nを介して連設されるとともに、底面板31の後端縁に上方底面板34が折り目qを介して連設される一方、上方底面板34の左右各側端縁に係合板32がそれぞれ折り目rを介して連設されて形成されている。
【0071】
ここで、底面シート材3の下方底面板33、底面板31および上方底面板34のそれぞれの前後方向長さおよび幅は、前述した包囲シート材2の底面板21の前後方向長さおよび幅に一致している。
【0072】
そして、底面シート材3の下方底面板33の前後各端部には、左右方向中間よりも若干左方に位置して、前後各端縁を終点とするハ字状の一対の切れ目iが底面板31および下方底面板33を長手方向に二等分する垂直二等分線L1に関して対称に形成されている。また、底面シート材3の上方底面板34の前後各端部には、左右方向中間よりも若干右方に位置して、それぞれ折り目qおよび後端縁を終点とするハ字状の一対の切れ目iが上方底面板34を長手方向に二等分する垂直二等分線L2に関して対称に形成されている。さらに、底面シート材3の底面板31の後端部には、上方底面板34の前端部に形成された一対の切れ目iの終点両端を結んで折り目q上に形成された切れ目を含む略台形状の係止孔31bが形成されるとともに、その前端部には、後端部の係止孔31bと前述した垂直二等分線L1に関して対称となる略台形状の係止切欠き31cが形成されている。
【0073】
これにより、底面シート材3の下方底面板33の前後各端部および上方底面板34の前後各端部にそれぞれ形成された一対の切れ目i(上方底面板34の前端部においては係止孔31bとともに)によって台形状の係止片33x,34xが形成される。
【0074】
この場合、底面シート材3の下方底面板33、底面板31、上方底面板34を折り重ねて底面材3Aを形成した場合(図13参照)、下方底面板33の前後各端部および上方底面板34の前後各端部にそれぞれ形成された係止片33x,34xが、底面板31の前後各端部に形成された台形状の係止孔31bおよび係止切欠き31cを挟んで対向するように設定されている。また、底面シート材3における下方底面板33の前後各端部に形成された係止片33xは、包囲シート材2の底面板21に底面シート材3から形成された底面材3Aを適正に配置した際、包囲シート材2の底面板21の前後各端部に形成された係止片21xにそれぞれ重なるように設定されている。すなわち、包囲シート材2の底面板21に底面材3Aを配置する場合、包囲シート材2の底面板21の左右方向中間よりも若干右方に位置して形成された係止片21xと、底面材3Aの下方底面板33および上方底面板34の左右方向中間よりも若干右方に位置する係止片33x,34xを重ねることにより、包囲シート材2に対して底面材3Aの前後を規定することができる。
【0075】
さらに、底面シート材3の左右の係合板32は、梱包物Pの形状に対応して、左方の係合板32が右方の係合板32よりも若干大きな幅に形成されるとともに、各係合板32の側端縁の前後部には、それぞれダンボールの厚みに相当する深さと異なる長さからなる係合凹部323,324が形成されている。
【0076】
なお、底面シート材3の底面板31の後部側には、左右方向に細長い方形状のガイド孔31aが形成され、また、上方底面板34の前部側には、折り目qに関して底面板31のガイド孔31aと対称の細長い方形状のガイド孔34aが形成されるとともに、該ガイド孔34aに連続して略台形状の係止孔34bが形成されており、これらのガイド孔31a,34aに梱包物Pであるコンプレッサーの脚部p(図17参照)を収容することができる。
【0077】
側面シート材4は、図11の展開図において、底面板41の左右各側端縁に側面板42および外方側面板43がそれぞれ折り目m,sを介して順に連設されて形成されている。
【0078】
ここで、側面シート材4の底面板41の幅は、底面シート材3の底面板31の幅から左右の係合板32の幅の和を減算した長さよりも若干小さく設定されている。また、側面シート材4の底面板41の前後方向長さは、包囲シート材2の底面板21の前後方向長さに一致している。
【0079】
そして、側面シート材4の底面板41の前後各端部には、左右方向中間において、底面シート材3の上方底面板34の前後各端部に形成された係止片34xに対応して略台形状の係止切欠き41aが形成されている。また、側面シート材4の各外方側面板43の側端縁には、底面シート材3の左右の係合板32の前後の係合凹部323,324に対応してそれぞれダンボールの厚みに相当する高さと異なる長さからなる係合凸部431,432が形成されている。つまり、各外方側面板43の前方の係合凸部431の長さと底面シート材3の各係合板32の前方の係合凹部323の長さが一致し、また、各外方側面板43の後方の係合凸部432の長さと底面シート材3の各係合板32の後方の係合凹部324の長さが一致している。
【0080】
これにより、後述するように、底面シート材3から形成された底面材3Aの左右の係合板32間の上方底面板34に、側面シート材4から形成された側面材4Aの底面板41を配置すると、左右の係合板32の幅の相違により、側面材4Aは、その左右方向中心が底面材3Aの左右方向の中心よりも若干右方に配置され、その際、底面材3Aの上方底面板34の前後各端部の係止片34xに底面板41の係止切欠き41aが対向するとともに、底面材3Aの各係合板32の前後の係合凹部323,324に、側面材4Aの各外方側面板43の前後の係合凸部431,432を係合させることができ、底面材3Aに対して側面材4Aの前後および左右を規定することができる。
【0081】
さらに、側面シート材4の側面板42および外方側面板43には、後方側において、左右方向に細長い略方形状の係止孔42c,43aが折り目sに関して左右対称に形成されている。これにより、側面シート材4の側面板42および外方側面板43を折り重ねるとともに底面板41に対して起立させて左右の側壁4L,4R(図14参照)を形成した際、その上端縁に係止孔42c,43aによる一定深さの係止溝が形成され、この係止溝に前述した包囲シート材2の前後のフラップ24をそれぞれ差し込んでそれらの左右の係止溝24aを介して互いに係止することができる。
【0082】
なお、側面シート材4の底面板41の前端側には、底面シート材3の上方底面板34に形成されたガイド孔34aおよび該ガイド孔34aに連続する台形状の係止孔34bに対応して左右方向に細長い方形状のガイド孔41bおよび該ガイド孔41bに連続する台形状の係止孔41cが形成されている。つまり、底面材3Aの上方底面板34上に側面材4Aの底面板41を適正に配置した場合、底面材3Aの上方底面板34のガイド孔34aおよび係止孔34bに、側面材4Aの底面板41のガイド孔41bおよび係止孔41cが重なるように設定されている。また、側面シート材4の各側面板42および各外方側面板43には、梱包物Pの形状に対応してそれぞれ折り目sに関して略左右対称の複数個のガイド孔42b,43bが形成されており、側面材4Aの左右の側壁4L,4Rと梱包物Pとの干渉を回避することができる。
【0083】
補助底面シート材5は、図12に示すように、底面板51の後端縁に起立板52が折り目tを介して連設されて形成されている。
【0084】
ここで、補助底面シート材5の幅は、側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの内面間隔に一致している。
【0085】
そして、補助底面シート材5の底面板51の前端部には、左右方向中間において、ハ字状の一対の切れ目i1が形成されている。これにより、補助底面シート材5の底面板51の前端部に形成された一対の切れ目i1によって台形状の係止片51xが形成される。この補助底面シート材5の係止片51xは、底面シート材3の上方底面板34に形成された係止孔34bおよび該係止孔34bに対応して側面シート材4の底面板41に形成された係止孔41cに対応する大きさに形成されている。
【0086】
次に、このように構成された梱包部材1を用いて梱包物Pを梱包し、梱包体を形成する場合について図13乃至図17に基づいて説明する。
【0087】
まず、それぞれ展開図にしたがって包囲シート材2、底面シート材3、側面シート材4および補助底面シート材5を打ち抜いた後、底面シート材3および側面シート材4からそれぞれ底面材3Aおよび側面材4Aを組み立てる。
【0088】
具体的には、打ち抜いた底面シート材3において、底面板31の上面に下方底面板33を折り目nに沿って折り込むとともに、上方底面板34の下面に底面板31を下方底面板33ととともに折り目qに沿って折り込んで重ねた後、上方底面板34の上面に左右の係合板32をそれぞれ折り目rに沿って折り込むことにより、図13に示すように、3層の底面板33,31,34および左右の係合板32からなる底面材3Aを形成する。
【0089】
この際、底面材3Aの下方底面板33の前後各端部および上方底面板34の前後各端部にそれぞれ形成された係止片33x,34xが、底面板31の前後各端部に形成された係止孔31bおよび係止切欠き31cを挟んで対向する。また、底面材3Aの底面板31に形成されたガイド孔31aと上方底面板34に形成されたガイド孔34aとが連通する。
【0090】
また、打ち抜いた側面シート材4において、各側面板42の下面に各外方側面板43を折り目sに沿ってそれぞれ折り込むとともに、底面板41に対して各側面板42を外方側面板43とともに折り目mに沿って折り込んで起立させ、図14に示すように、底面板41の左右にそれぞれ側面板42および外方側面板43を折り重ねた側壁4L,4Rを有する側面材4Aを形成する。
【0091】
次いで、図15に示すように、包囲シート材2の底面板21の上面に上方底面板34を上方にして底面材3Aを配置し、係止する。具体的には、包囲シート材2の係止片21xおよび底面材3Aの係止片33x,34xが左右方向中間よりも若干右方に形成されていることにより、それらが重なるように配置することで、包囲シート材2に対して底面材3Aの前後を規定しつつ左右方向に位置決めして配置する。この後、包囲シート材2の係止片21xを操作孔22a,25aを通して指で上方に跳ね上げることにより、包囲シート材2の係止片21xが、その上方に対向する底面材3Aの下方底面板33の係止片33xおよび上方底面板34の係止片34xを順次押し上げるとともに、それらの係止片33x,34xが押し上げられることによって形成された略台形状の空間、さらには、底面板31の前後各端部に形成された係止孔31bおよび係止切欠き31cに入り込む結果、包囲シート材2の底面板21に対して底面材3Aを係止片21xを介して移動しないように係止することができる。
【0092】
次いで、図16に示すように、包囲シート材2に係止された底面材3Aの左右の係合板32間に露出する上方底面板34の上面に側面材4Aを配置し、係止する。具体的には、底面材3Aの左右の係合板32の前後の係合凹部323,324に、側面材4Aの側壁4L,4Rを構成する各外方側面板43の前後の係合凸部431,432を係合することにより、底面材3Aに対して側面材4Aを前後および左右を規定しつつ位置決めして配置する。この際、底面材3Aの上方底面板34の係止片34xに、側面材4Aの底面板41の係止切欠き41aが対向することから、再び包囲シート材2の係止片21xを指で跳ね上げることにより、該係止片21xを介して底面材3Aの下方底面板33の係止片33xおよび上方底面板34の係止片34xが順に押し上げられ、該係止片33x,34xが側面材4Aの底面板41の係止切欠き41aに入り込む結果、底面材3Aの底面板31に対して側面材4Aを係止片33x,32xを介して移動しないように係止することができる。
【0093】
この際、底面材3Aの上方底面板34のガイド孔34aおよび係止孔34bと、側面材4Aの底面板41のガイド孔41bおよび係止孔41cとが連通する。
【0094】
次いで、詳細には図示しないが、補助底面シート材5の起立板52を底面板51に対して折り目tに沿って起立させた後、起立板52を後方に向けて、補助底面シート材5を側面材4Aの底面板41に配置する。この際、補助底面シート材5の底面板51の係止片51xを、側面材4Aの底面板41の係止孔41cに対向するように配置し、さらに、係止片51xを下方に向けて押し込み、係止片51xを側面材4Aの底面板41の係止孔41cおよび底面材3Aの上方底面板34の係止孔34bに入り込ませる。これにより、底面材3Aの上方底面板34および側面材4Aの底面板41に対して補助底面シート材5を係止片51xを介して係止することができる。
【0095】
このようにして、包囲シート材2の底面板21に底面材3Aを係止するとともに、底面材3Aに側面材4Aを係止し、さらに、側面材4Aに補助側面シート材5を係止したならば、図17に示すように、梱包物Pを上方から落とし込み、側面材4Aの左右の側壁4L,4Rを押し開きながら補助底面シート材5上に配置する。すなわち、梱包物Pを補助底面シート材5上に配置するに際して、側面材4Aの左右の側壁4L,4R間が開放されていることにより、梱包物Pを支持する作業者は、梱包物Pを利用して起立状態の左右の側壁4L,4Rを押し開くことができ、一人で容易に配置することができる。この際、底面材3Aの左右の係合板32の係合凹部323,324に側面材4Aの左右の側壁4L,4Rを構成する外方側面板43の係合凸部431,432が係合するとともに、各係合板32の側端縁上に外方側面板43の下端縁が乗り上げることから、側面材4Aの左右の側壁4L,4Rが梱包物Pによって押し開かれたとしても、それらの係合状態は維持される。
【0096】
なお、補助底面シート材5上に支持された梱包物Pは、その脚部pが側面材4Aの底面板41のガイド孔41b、底面材3Aの上方底面板34のガイド孔34aおよび底面板31のガイド孔31aに収容されるとともに、左右端部が側面材4Aの左右の側壁4L,4Rを構成する側面板42および外方側面板43のガイド孔42b,43bを通して突出する。これにより、梱包物Pを補助底面シート材5の底面板51上に配置した際、前後方向に延びる軸線と底面板51の上面とがほぼ平行となり、安定した姿勢で支持することができるとともに、左右の側壁4L,4Rを構成する側面板42に梱包物Pの左右端部が干渉することを防止できる。
【0097】
梱包物Pを配置したならば、包囲シート材2の底面板21に対して正面板22の垂直板221を折り目aに沿って折り込んで側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの前端縁に沿って起立させるとともに、その起立した垂直板221に対して傾斜板222を折り目bに沿って折り込む。この際、正面板22の傾斜板222に形成された左右の係止孔22bを側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの前方上端側隅角部に差し込み、側面材4Aの左右の側壁4L,4Rを垂直状態に起立した姿勢に保持する。この後、正面板22の傾斜板222に対して前上面板23を折り目cに沿って折り曲げて側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの前方側上端縁に沿って載置し、さらに、前上面板23に対して前方のフラップ24を折り目dに沿って折り込むとともに、その左右の係止溝24aを側面材4Aの左右の側壁4L,4Rに形成された係止溝に差し込み、フラップ24および左右の側壁4L,4Rを互いに係止する。
【0098】
同様に、包囲シート材2の底面板21に対して背面板25を折り目eに沿って折り込んで側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの後端縁に沿って起立させるとともに、その起立した背面板25に対して後上面板26を折り目gに沿って折り曲げて側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの後方側上端縁に沿って載置し、さらに、後上面板26に対して後方のフラップ24を折り目hに沿って折り込むとともに、その左右の係止溝24aを側面材4Aの左右の側壁4L,4Rに形成された係止溝に差し込み、フラップ24および左右の側壁4L,4Rを互いに係止する。
【0099】
この結果、包囲シート材2に対して底面材3Aが係止され、底面材3Aに対して側面材4Aが係止され、側面材4Aに対して補助底面シート材5および包囲シート材2が係止されることから、包囲シート材2、底面材3A、側面材4Aが相互に係止されて一体化され、剛性の高い梱包部材1を形成することができる。特に、梱包物Pを支持する底面は、包囲シート材2の底面板21、底面材3Aの複数の底面板33,31,34および側面材4Aの底面板41、補助底面シート材5から形成されることから、強度がより大きくなって撓み変形が可及的に抑制され、輸送に際して梱包物Pを安定して保持することができる。また、梱包物Pの側面は、側面板42および外方側面板43を折り重ねた側壁4L,4Rによって支持されるとともに、その前後面は、側壁4L,4Rに形成されたガイド孔42b,43bを介して、さらには、フラップ24を介して支持されることから、輸送に際して梱包物Pを安定して保持することができる。
【0100】
また、展開図にしたがって包囲シート材2、底面シート材3、側面シート材4および補助底面シート材5を打ち抜き、底面材3Aおよび側面材4Aに組み立てた後、包囲シート材2に底面材3Aを、底面材3Aに側面材4Aを、側面材4Aに補助底面シート材5を順に係止し、梱包物Pを配置し、次いで、包囲シート材2を側面材4Aの側壁4L,4Rの前後端縁および上端縁に沿わせて側壁4L,4Rに係止するという簡単な作業によって梱包体を形成することができる。この際、梱包物Pによって側面材4Aの左右の側壁4L,4Rを押し開きながら梱包物Pを配置することができ、一人であっても梱包作業を容易に行うことができる。
【0101】
さらに、包囲シート材2の正面板22が側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの前方上端側隅角部に差し込まれて互いに係止されることから、包囲シート材2と側面材4Aの左右の側壁4L,4Rとが強固に係止され、剛性の高い梱包部材1を形成することができる。
【0102】
なお、前述した実施形態においては、側面材4Aの底面板41に補助底面シート材5を配置する場合を説明したが、梱包物Pによっては、必ずしも補助底面シート材5配置する必要はない他、複数の底面板を折り重ねて形成された補助底面材を配置して梱包物Pを底上げするようにしてもよい。
【0103】
ところで、前述した実施形態においては、包囲シート材2の正面板22を垂直板221および傾斜板222から形成し、その傾斜板222に係止孔22bを形成して側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの前方上端側隅角部に差し込んで包囲シート材2と側面材4Aを互いに係止する場合を例示したが、側壁4L,4Rの後方側をも互いに係止するようにしてもよい。具体的には、図18に示すように、包囲シート材2の背面板25を垂直板251および傾斜板252から形成し、その傾斜板252に係止孔25bを形成して側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの後方上端側隅角部に差し込んで包囲シート材2と側面材4Aを互いに係止するようにしてもよい。
【0104】
この場合の包囲シート材2は、傾斜板222、252に形成された係止孔22b,25bの幅、前後のフラップ25に形成された係止溝24aの幅が側壁4L,4Rの厚みに対応して形成される以外、図2に示した包囲シート材2と同一であり、詳細な図面を省略する。
【0105】
また、上述した一実施形態および他の実施形態において、要求される剛性やガイド孔の仕様により、底面シート材3が2層の底面板から形成するようにしてもよいし、4層以上の底面板から形成してもよい。例えば、2層の底面板の場合、他の実施形態において、底面シート材3の下方底面板33は無くてもよい。
【符号の説明】
【0106】
1 梱包部材
2 包囲シート材
21 底面板
21x 係止片
22 正面板
22b 係止孔
221 垂直板
222 傾斜板
23 前上面板
24 フラップ
24a 係止溝
25 背面板
25b 係止孔
251 垂直板
252 傾斜板
26 後上面板
3 底面シート材
3A 底面材
31 底面板
31a ガイド孔
31c 係止切欠き
31x 係止片
32 係合板
321,322 係合凸部
323,324 係合凹部
33 下方底面板
33x 係止片
34 上方底面板
34x 係止片
4 側面シート材
4A 側面材
4L,4R 側壁
41 底面板
41a 係止切欠き
41b ガイド孔
411,412 係合溝
42 側面板
42a 係止溝
42c 係止孔
43 外方側面板
431,432 係合凸部
5 補助底面シート材
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンプレッサーなどの梱包部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、補修部品、例えば、空調機用コンプレッサーなどは、サービスセンターやディーラーなどからの要求により流通センターから出庫されると、その都度メーカーより必要個数分流通センターに輸送され、流通センターに常に一定個数の在庫を確保するようにしている。
【0003】
この場合、流通センターへの補修部品の輸送は、少量であるため、メーカーにおいて、梱包具により補修部品を個別に梱包して梱包体に形成し、各梱包体を流通センターに輸送するようにしている。具体的には、梱包具として1枚のシート、例えば、ダンボールを使用し、そのダンボールを底面、左右の側面および頂面に区画し、底面に梱包物を配置した後、梱包物の左右を左右の側面によって覆うとともに、各側面より起立させた当接片の先端を梱包物の前後面に対向させ、梱包物の上面を折り重ねた頂面によって覆うように巻き込み、係止片を一方の側面に形成された係合孔に係止することで梱包体を形成するものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−69340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した梱包具は、梱包物の梱包に際して、当接片を起立させながらダンボールを巻き込む必要があることから、梱包物を支持しつつ一人で梱包作業を行うことは難しく、作業が煩雑になるという欠点がある。
【0006】
また、1枚のダンボール(底面)によって梱包物を支持することから、底面の剛性が低く、下方に撓み変形し易い。これにより、指掛孔を利用して梱包体を持ち運ぶ際、底面が撓み変形すると、当接片の下端部が伸展して当接片を起立状態に保持しようとする剛性が低下するとともに、折り目に沿って復元しようとする弾性力が作用する。このような状態において、梱包体が傾斜すると、梱包物が当接片を押し開いて脱落するおそれがある。
【0007】
また、梱包物の前後方向の移動は、側面の一部に対向する当接片の先端略中央部分が規制しているだけであることから、輸送時の発車あるいは停車に伴う慣性によって前方あるいは後方に移動し易く、場合によっては、前後の他の輸送物と衝突して損傷するおそれもある。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、梱包物を簡単に梱包できるとともに、移動することなく確実に保持して輸送することのできる梱包部材を提供ものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、梱包物の底面、上面、左右の側面、正面および背面を覆う梱包部材であって、底面板に正面板、背面板、上面板およびフラップが折り目を介して連設された包囲シート材と、底面板の左右各側端縁にそれぞれ係合板が折り目を介して連設された底面シート材と、底面板の左右各側端縁にそれぞれ側面板が折り目を介して連設された側面シート材と、から構成され、底面板に左右の係合板をそれぞれ折り重ねて形成された底面材が包囲シート材の底面板に配置されて係止される一方、左右の側面板をそれぞれ左右の側壁として底面板に対して起立させて形成された側面材の底面板が底面材の底面板に配置されて側面材が底面材に係止され、包囲シート材の正面板、背面板および上面板が側面材の左右の側壁の前端縁、後端縁および上端縁に沿って配置されてフラップが左右の側壁に係止されることを特徴とするものである。
【0010】
本発明によれば、それぞれ展開図にしたがって包囲シート材、底面シート材および側面シート材を打ち抜いた後、底面シート材の底面板に左右の係合板をそれぞれ折り重ねて底面材を形成するとともに、側面シート材の底面板に左右の側面板を起立させて左右の側壁を有する側面材を形成する。そして、包囲シート材の底面板に底面材の底面板を配置して両者を互いに係止した後、底面材の底面板に側面材の底面板を配置して両者を互いに係止する。次いで、梱包物を側面材の左右の側壁を押し広げながら側面材の底面板上に配置した後、包囲シート材の正面板、背面板および上面板をそれぞれ側面材の左右の側壁の前端縁、後端縁および上端縁に沿って配置してフラップを左右の側壁に係止する。
【0011】
この結果、展開図にしたがって包囲シート材、底面シート材および側面シート材を打ち抜き、底面材および側面材に組み立てた後、包囲シート材に底面材を、底面材に側面材を順に配置して係止し、梱包物を配置し、次いで、包囲シート材を側面材の左右の側壁の端縁に沿わせて巻き回して側壁に係止するという簡単な作業によって梱包体を形成することができる。この場合、側面材の左右の側壁間が開放されていることにより、一人であっても容易に梱包作業を行うことができる。また、包囲シート材と底面材とが互いに係止され、底面材と側面材とが互いに係止され、側面材と包囲シート材とが互いに係止されることから、包囲シート材、底面材、側面材が相互に係止されて一体化され、剛性の高い梱包部材を形成することができる。したがって、輸送に際して梱包物を移動することなく確実に保持することができる。
【0012】
本発明において、前記底面シート材の底面板および側面シート材の底面板に梱包物の下方突出物に対応するガイド孔が形成されることが好ましい。これにより、ガイド孔に梱包物の下方突出物を収容することができ、下方突出物が突出して配置されることによる不安定な状態を解消することができる。
【0013】
本発明において、前記底面シート材の底面板に少なくとも上方底面板が折り目を介して連設されるとともに、上方底面板の左右各側端縁にそれぞれ係合板が折り目を介して連設されることが好ましい。これにより、底面材を複数の底面板から形成することができ、底面の剛性を高めることができる。
【0014】
本発明において、前記側面シート材の側面板の左右各側端縁にそれぞれ折り目を介して外方側面板が連設されることが好ましい。これにより、側面材の左右の側壁を2層の側面板から形成することができ、側面の剛性を高めることができる。
【0015】
本発明において、前記包囲シート材の底面板の前後各端部に係止片が形成され、また、包囲シート材の各係止片に対応して底面シート材の底面板の前後各端部に係止片が形成されるとともに、側面シート材の底面板の前後各端部に係止切欠きが形成されることが好ましい。これにより、包囲シート材の係止片を跳ね上げると、包囲シート材の底面板の係止片が底面材の底面板の係止片を押し上げるとともに、底面板の係止片が押し上げられることによって形成された空間に入り込んで底面材を係止し、さらに、押し上げられた底面材の係止片が側面材の底面板の係止切欠きに入り込んで側面材を係止することができ、包囲シート材に対して底面材および側面材を簡単に係止することができる。
【0016】
本発明において、前記底面シート材の各係合板の側端縁に長さの異なる複数の係合凸部が形成され、また、底面シート材の各係合板の複数の係合凸部に対応して側面シート材の底面板の側面板との連設部に長さの異なる係合溝または係合孔が形成されることが好ましい。これにより、底面材の各係合板の複数の係合凸部に側面材の底面板の複数の係合溝または係合孔を係合することができ、底面材に対して側面材を前後方向および左右方向に位置決めして係合することができる。
【0017】
本発明において、前記包囲シート材の底面板の前後各端部に係止片が形成され、また、包囲シート材の各係止片に対応して底面シート材の底面板の前後各端部に係止孔および係止切欠きが形成されるとともに、上方底面板の前後各端部に係止片が形成され、さらに、包囲シート材の各係止片に対応して側面シート材の底面板の前後各端部に係止切欠きが形成されることが好ましい。これにより、包囲シート材の底面板の係止片を跳ね上げることにより、該係止片を底面材の底面板の係止孔および係止切欠きに係止させるとともに、底面材の上方底面板の係止片を押し上げて側面材の底面板の係止切欠きに係止させることができ、包囲シート材に対して底面材および側面材を簡単に係止することができる。
【0018】
本発明において、前記底面シート材の各係合板の側端縁に長さの異なる複数の係合凹部が形成され、また、底面シート材の各係合板の複数の係合凹部に対応して側面シート材の各外方側面板の側端縁に長さの異なる係合凸部が形成されることが好ましい。これにより、底面材の各係合板の複数の係合凹部に側面材の外方側面板の複数の係合凸部を係合することができ、底面材に対して側面材を前後方向および左右方向に位置決めして係合することができる。
【0019】
本発明において、前記側面材の左右の側壁の上端部に包囲シート材のフラップに対応して係止溝が形成されることが好ましい。これにより、包囲シート材の上面板を側面材の左右の側壁の上端縁に沿わせつつフラップを側面材の左右の側壁の係止溝に差し込むことができ、包囲シート材のフラップを側面材の左右の側壁に確実に係止することができる。
【0020】
本発明において、前記包囲シート材のフラップに側面材の左右の側壁の係止溝に対応して一対の係止溝が形成されることが好ましい。これにより、包囲シート材のフラップに形成された係止溝と、側面材の左右の側壁の上端部に形成された係止溝とを互いに係止して、包囲シート材のフラップと側面材の左右の側壁を強固に一体化することができる。
【0021】
本発明において、前記包囲シート材の正面板または背面板の少なくとも一方が折り目を介して垂直板および傾斜板から形成されるとともに、該傾斜板に側面材の左右の側壁に対応して一対の係止孔が形成されることが好ましい。これにより、正面板または背面板の傾斜板に形成された一対の係止孔を側面材の左右の側壁の前方上端側隅角部または後方上端側隅角部に差し込んで係止することができることから、側面材の左右の側壁と包囲シート材との係止状態がより強固となり、剛性をさらに高めることができる。
【0022】
本発明において、前記側面材の底面板に補助底面シート材または複数の底面板を折り重ねて形成された補助底面板が係止されることが好ましい。これにより、補助底面シート材または複数層の底面板から形成された補助底面材を介して梱包物を底上げすることができ、その突出部が干渉しないように支持高さを調整することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、梱包物を簡単に梱包できるとともに、移動することなく確実に保持して輸送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の梱包部材の一実施形態を梱包物を梱包して示す斜視図である。
【図2】図1の梱包部材を構成する包囲シート材を示す斜視図である。
【図3】図1の梱包部材を構成する底面シート材を示す斜視図である。
【図4】図1の梱包部材を構成する側面シート材を示す斜視図である。
【図5】図1の梱包部材による梱包物の梱包要領を説明する工程図である。
【図6】図1の梱包部材による梱包物の梱包要領を説明する工程図である。
【図7】図1の梱包部材による梱包物の梱包要領を説明する工程図である。
【図8】本発明の梱包部材の他の実施形態を梱包物を梱包して示す斜視図である。
【図9】図8の梱包部材を構成する包囲シート材を示す斜視図である。
【図10】図8の梱包部材を構成する底面シート材を示す斜視図である。
【図11】図8の梱包部材を構成する側面シート材を示す斜視図である。
【図12】図8の梱包部材を構成する補助底面シート材を示す斜視図である。
【図13】図10の底面シート材を組み立てた底面材を示す斜視図である。
【図14】図11の側面シート材を組み立てた側面材を示す斜視図である。
【図15】図8の梱包部材による梱包物の梱包要領を説明する工程図である。
【図16】図8の梱包部材による梱包物の梱包要領を説明する工程図である。
【図17】図8の梱包部材による梱包物の梱包要領を説明する工程図である。
【図18】本発明の梱包部材の他の実施形態の変形例を梱包物を梱包して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1には、本発明の梱包部材1の一実施形態が梱包物P、具体的には空調機用コンプレッサーを梱包した梱包体として示されている。
【0027】
ここで、図1を含む各図面において、それぞれ左上方から右下方に向かう方向を左右方向、左下方から右上方に向かう方向を前後方向に設定する。
【0028】
この実施形態の梱包部材1は、包囲シート材2と、底面シート材3と、側面シート材4とから構成され、ダンボールをそれぞれの展開図にしたがって打ち抜いた後、底面シート材3および側面シート材4をそれぞれ折り目に沿って折り込んで底面材3Aおよび側面材4Aを形成するとともに、包囲シート材2に底面材3Aを、底面材3Aに側面材4Aをそれぞれ順に配置して係止し、次いで、側面材4Aによって区画された空間に梱包物Pを配置し、包囲シート材2によって側面材4Aの正面、背面および上面を覆うとともに、包囲シート材2を側面材4Aに係止して形成される。
【0029】
包囲シート材2は、図2の展開図において、底面板21の前端縁に正面板22の垂直板221、その傾斜板222、前上面板23およびフラップ24が折り目a,b,c,dを介して順に連設されるとともに、底面板21の後端縁に背面板25の垂直板251、その傾斜板252、後上面板26およびフラップ24が折り目e,f,g,hを介して順に連設されて形成されている。
【0030】
ここで、包囲シート材2の底面板21の前後方向長さおよび幅は、梱包物Pの輸送時の平面に投影された外形寸法よりも十分な余裕を有し、また、正面板22および背面板25は同一に形成され、それらの前後方向長さおよび幅は、梱包物Pの輸送時の垂直面に投影された外形寸法よりも十分な余裕を有している。
【0031】
そして、包囲シート材2の底面板21の前後各端部には、左右方向中間よりも若干右方に位置して、それぞれ折り目a,eを終点とするハ字状の一対の切れ目iが底面板21を長手方向に二等分する垂直二等分線Lに関して対称に形成されている。また、包囲シート材2の正面板22における垂直板221の後端部および背面板25における垂直板251の前端部には、底面板21の前後各端部の一対の切れ目iの終点両端間を結んで折り目a,e上に形成された切れ目を含む略半円状の操作孔22a,25aがそれぞれ形成されるとともに、それらの垂直板221,251には、それぞれ略C字状の切れ目jが前述した垂直二等分線Lに関して対称に形成されている。これにより、包囲シート材2の底面板21の前後各端部に形成された一対の切れ目iと、正面板22における垂直板221の後端部および背面板25における垂直板251の前端部に形成された操作孔22a,25aによって台形状の係止片21xが形成され、後述する底面材3Aを係止することができるとともに、略C字状の切れ目jを押し開いて梱包体を持ち運ぶ際の指掛孔として使用することができる。
【0032】
また、包囲シート材2における正面板22の傾斜板222および背面板25の傾斜板252には、後述する側面材4Aの左右の側壁4L,4Rに対応してダンボールの厚みに相当する幅と設定長さからなる前後方向に長細い方形状の一対の係止孔22b,25bが形成されている。
【0033】
さらに、包囲シート材2の前後のフラップ24には、同様に、側面材4Aの左右の側壁4L,4Rに対応してダンボールの厚みに相当する幅と設定深さからなる前後方向に長細い一対の係止溝24aが形成されている。
【0034】
なお、包囲シート材2の前側のフラップ24は、梱包物Pの設定された位置の上面に対向するように、後側のフラップ24よりも長く形成され、これに対応して、前上面板23と後上面板26の長さが設定されている。
【0035】
底面シート材3は、図3の展開図において、底面板31の左右各側端縁に係合板32がそれぞれ折り目kを介して連設されて形成されている。
【0036】
ここで、底面シート材3の底面板31の前後方向長さおよび幅は、前述した包囲シート材2の底面板21の前後方向長さおよび幅に一致している。
【0037】
そして、底面シート材3の底面板31の前後各端部には、左右方向中間よりも若干右方に位置して、前後各端縁を終点とするハ字状の一対の切れ目iが底面板31を長手方向に二等分する垂直二等分線L1に関して対称に形成されている。これにより、底面シート材3の底面板31の前後各端部に形成された一対の切れ目iによって台形状の係止片31xが形成される。
【0038】
また、底面シート材3の底面板31の前後各端部に形成された係止片31xは、包囲シート材2の底面板21に底面シート材3から形成された底面材3Aを適正に配置した際、包囲シート材2の底面板21の前後各端部に形成された係止片21xにそれぞれ重なるように設定されている。すなわち、包囲シート材2の底面板21に底面材3Aを配置する場合、包囲シート材2の底面板21の左右方向中間よりも若干右方に位置して形成された係止片21xと、底面材3Aの底面板31の左右方向中間よりも若干右方に位置して形成された係止片31xを重ねることにより、包囲シート材2に対して底面材3Aの前後を規定することができる。
【0039】
さらに、底面シート材3の左右の係合板32は、梱包物Pの形状に対応して、左方の係合板32が右方の係合板32よりも若干大きな幅に形成されるとともに、各係合板32の側端縁前後各端部には、それぞれダンボールの厚みに相当する高さと異なる長さからなる係合凸部321,322が形成されている。
【0040】
なお、底面シート材3の底面板31の前部側には、左右方向に細長い方形状のガイド孔31aが形成されており、このガイド孔31aに梱包物Pの下方突出物、例えば、コンプレッサーの脚部p(図7参照)を収容できる。
【0041】
側面シート材4は、図4の展開図において、底面板41の左右各側端縁に側面板42がそれぞれ折り目mを介して連設されて形成されている。
【0042】
ここで、側面シート材4の底面板41に対して左右の側面板42を起立して形成される左右の側壁4L,4R(図6参照)の外面間隔は、底面シート材3の底面板31の幅から、係合凸部321,322の幅を除いた左右の係合板32の幅の和を減算した長さに略等しく設定されている。また、側面シート材4の底面板41の前後方向長さは、包囲シート材2の底面板21の前後方向長さに一致している。
【0043】
そして、側面シート材4の底面板41の前後各端部には、左右方向中間において、底面シート材3の底面板31の前後各端部に形成された係止片31xに対応して略台形状の係止切欠き41aが形成されている。また、側面シート材4の底面板41には、側面板42との連設部の前後各端部において、底面シート材3の左右の係合板32の前後の係合凸部321,322に対応してそれぞれダンボールの厚みに相当する幅と異なる長さからなる係合溝411,412が形成されている。つまり、底面板41の前方の係合溝411の長さと底面シート材3の各係合板32の前方の係合凸部321の長さが一致し、また、底面板41の後方の係合溝412の長さと底面シート材3の各係合板32の後方の係合凸部322の長さが一致している。
【0044】
これにより、後述するように、底面シート材3から形成された底面材3Aの左右の係合板32間の底面板31に、側面シート材4から形成された側面材4Aの底面板41を配置すると、左右の係合板32の幅の相違により、側面材4Aは、その左右方向中心が底面材3Aの左右方向の中心よりも若干右方に配置され、その際、底面材3Aの底面板31の前後各端部の係止片31xに係止切欠き41aが対向するとともに、底面材3Aの各係合板32の前後の係合凸部321,322に、側面材4Aの底面板41の前後の係合溝411,412を係合させることができ、底面材3Aに対して側面材4Aの前後および左右を規定することができる。
【0045】
さらに、側面シート材4の側面板42には、後方側側端部において、左右方向に細長い係止溝42aが形成されている。これにより、側面シート材4の側面板42を底面板41に対して起立させて左右の側壁4L,4Rを形成した際、その上端縁に形成された係止溝42aに前述した包囲シート材2の前後のフラップ24をそれぞれ差し込んでそれらの左右の係止溝24aを介して互いに係止することができる。
【0046】
なお、側面シート材4の底面板41の前端側には、底面シート材3の底面板31に形成されたガイド孔31aに対応して左右方向に細長い方形状のガイド孔41bが形成されている。つまり、底面材3Aの底面板31上に側面材4Aの底面板41を適正に配置した場合、底面材3Aの底面板31のガイド孔31aに、側面材4Aの底面板41のガイド孔41bが重なるように設定されている。また、側面シート材4の各側面板42には、梱包物Pの形状に対応してそれぞれ略左右対称の複数個のガイド孔42bが形成されており、側面材4Aの左右の側壁4L,4Rと梱包物Pとの干渉を回避することができる。
【0047】
次に、このように構成された梱包部材1を用いて梱包物Pを梱包し、梱包体を形成する場合について図5乃至図7に基づいて説明する。
【0048】
まず、それぞれ展開図にしたがって包囲シート材2、底面シート材3および側面シート材4を打ち抜いた後、底面シート材3および側面シート材4からそれぞれ底面材3Aおよび側面材4Aを組み立てる。
【0049】
具体的には、打ち抜いた底面シート材3において、底面板31の上面に左右の係合板32をそれぞれ折り目kに沿って折り込んで底面材3Aを形成する。
【0050】
また、打ち抜いた側面シート材4において、底面板41に対して側面板42を折り目mに沿って折り込んで起立させ、底面板41の左右にそれぞれ側面板42による側壁4L,4Rを有する側面材4Aを形成する。
【0051】
次いで、図5に示すように、包囲シート材2の底面板21の上面に底面材3Aを配置し、係止する。具体的には、包囲シート材2の係止片21xおよび底面材3Aの係止片31xが左右方向中間よりも若干右方に形成されていることにより、それらが重なるように配置することで、包囲シート材2に対して底面材3Aの前後を規定しつつ左右方向に位置決めして配置する。この後、包囲シート材2の係止片21xを操作孔22a,25aを通して指で上方に跳ね上げることにより、包囲シート材2の係止片21xが、その上方に対向する底面材3Aの底面板31の係止片31xを押し上げるとともに、係止片31xが押し上げられることによって形成された略台形状の空間に入り込む結果、包囲シート材2の底面板21に対して底面材3Aを係止片21xを介して移動しないように係止することができる。
【0052】
次いで、図6に示すように、包囲シート材2に係止された底面材3Aの左右の係合板32間に露出する底面板31の上面に側面材4Aを配置し、係止する。具体的には、底面材3Aの左右の係合板32の前後の係合凸部321,322に、側面材4Aを構成する底面板41の前後の係合溝411,412を係合することにより、底面材3Aに対して側面材4Aを前後および左右を規定しつつ位置決めして配置する。この際、底面材3Aの底面板31の係止片31xに、側面材4Aの底面板41の係止切欠き41aが対向することから、再び包囲シート材2の係止片21xを指で跳ね上げることにより、該係止片21xを介して底面材3Aの底面板31の係止片31xが押し上げられ、該係止片31xが側面材4Aの底面板41の係止切欠き41aに入り込む結果、底面材3Aの底面板31に対して側面材4Aを係止片31xを介して移動しないように係止することができる。
【0053】
この際、底面材3Aの底面板31のガイド孔31aと、側面材4Aの底面板41のガイド孔41bとが連通する。
【0054】
このようにして、包囲シート材2の底面板21に底面材3Aを係止するとともに、底面材3Aに側面材4Aを係止したならば、図7に示すように、梱包物Pを上方から落とし込み、側面材4Aの左右の側壁4L,4Rを押し開きながら底面板41上に配置する。すなわち、梱包物Pを側面材4Aの底面板41上に配置するに際して、側面材4Aの左右の側壁4L,4R間が開放されていることにより、梱包物Pを支持する作業者は、梱包物Pを利用して起立状態の左右の側壁4L,4Rを押し開くことができ、一人で容易に配置することができる。この際、底面材3Aの左右の係合板32の係合凸部321,322に側面材4Aを構成する底面板41の係合溝411,412が係合するとともに、各係合板32の係合凸部321,322上に側面板42の下端縁が乗り上げることから、側面材4Aの左右の側壁4L,4Rが梱包物Pによって押し開かれたとしても、それらの係合状態は維持される。
【0055】
なお、側面材4Aの底面板41上に支持された梱包物Pは、その脚部pが側面材4Aの底面板41のガイド孔41b、底面材3Aの底面板31のガイド孔31aに収容されるとともに、左右端部が側面材4Aの左右の側壁4L,4Rを構成する側面板42のガイド孔42bを通して突出する。これにより、梱包物Pを側面材4Aの底面板41上に配置した際、前後方向に延びる軸線と底面板41の上面とがほぼ平行となり、安定した姿勢で支持することができるとともに、左右の側壁4L,4Rを構成する側面板42に梱包物Pの左右端部が干渉して湾曲変形させることを防止できる。
【0056】
梱包物Pを配置したならば、包囲シート材2の底面板21に対して正面板22の垂直板221を折り目aに沿って折り込んで側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの前端縁に沿って起立させるとともに、その起立した垂直板221に対して傾斜板222を折り目bに沿って折り込む。この際、正面板22の傾斜板222に形成された左右の係止孔22bを側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの前方上端側隅角部に差し込み、側面材4Aの左右の側壁4L,4Rを垂直状態に起立した姿勢に保持する。この後、正面板22の傾斜板222に対して前上面板23を折り目cに沿って折り曲げて側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの前方側上端縁に沿って載置し、さらに、前上面板23に対して前方のフラップ24を折り目dに沿って折り曲げるとともに、その左右の係止溝24aを側面材4Aの左右の側壁4L,4Rに形成された係止溝42aに差し込み、フラップ24および左右の側壁4L,4Rを互いに係止する。
【0057】
同様に、包囲シート材2の底面板21に対して背面板25の垂直板251を折り目eに沿って折り込んで側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの後端縁に沿って起立させるとともに、その起立した垂直板251に対して傾斜板252を折り目fに沿って折り込む。この際、背面板25の傾斜板252に形成された左右の係止孔25bを側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの後方上端側隅角部に差し込み、側面材4Aの左右の側壁4L,4Rを垂直状態に起立した姿勢に保持する。この後、背面板25の傾斜板252に対して後上面板26を折り目gに沿って折り曲げて側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの後方側上端縁に沿って載置し、さらに、後上面板26に対して後方のフラップ24を折り目hに沿って折り曲げるとともに、その左右の係止溝24aを側面材4Aの左右の側壁4L,4Rに形成された係止溝42aに差し込み、フラップ24および左右の側壁4L,4Rを互いに係止する。
【0058】
この結果、包囲シート材2に対して底面材3Aが係止され、底面材3Aに対して側面材4Aが係止され、側面材4Aに対して包囲シート材2が係止されることから、包囲シート材2、底面材3A、側面材4Aが相互に係止されて一体化され、剛性の高い梱包部材1を形成することができる。特に、梱包物Pを支持する底面は、包囲シート材2の底面板21、底面材3Aの底面板31および側面材4Aの底面板41から形成されることから、強度が大きくなって撓み変形が可及的に抑制され、輸送に際して梱包物Pを安定して保持することができる。また、梱包物Pの側面は、側面板42からなる側壁4L,4Rによって支持されるとともに、その前後面は、側壁4L,4Rに形成されたガイド孔42bを介して、さらには、フラップ24を介して支持されることから、輸送に際して梱包物Pを安定して保持することができる。
【0059】
また、展開図にしたがって包囲シート材2、底面シート材3および側面シート材4を打ち抜き、底面材3Aおよび側面材4Aに組み立てた後、包囲シート材2に底面材3Aを、底面材3Aに側面材4Aを順に係止し、梱包物Pを配置し、次いで、包囲シート材2の前半部分を側面材4Aの側壁4L,4Rの前端縁および上端縁に沿わせて側壁4L,4Rに係止するとともに、包囲シート材2の後半部分を側面材4Aの側壁4L,4Rの後端縁および上端縁に沿わせて側壁4L,4Rに係止するという簡単な作業によって梱包体を形成することができる。この際、梱包物Pによって側面材4Aの左右の側壁4L,4Rを押し開きながら梱包物Pを配置することができ、一人であっても梱包作業を容易に行うことができる。
【0060】
さらに、包囲シート材2の正面板22および背面板25がそれぞれ側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの前方上端側隅角部および後方上端側隅角部に差し込まれて互いに係止されることから、包囲シート材2と側面材4Aの左右の側壁4L,4Rとがより強固に係止され、さらに剛性の高い梱包部材1を形成することができる。
【0061】
なお、前述した実施形態においては、梱包物Pとして空調機用コンプレッサーを例示したが、例えば、電動モータによる駆動部と冷媒ガスの圧縮を行う圧縮部が一体となった電動インバーターコンプレッサーや電動モータなどを梱包する際にも採用することができる。
【0062】
この場合、梱包物Pが干渉しないように、底面シート材3や側面シート材4にその突出する形状に対応するガイド孔を形成すればよい。
【0063】
また、包囲シート材2の底面板21に、ハ字状の一対の切れ目iおよび操作孔22a,25aによって係止片21xを形成する場合を例示したが、操作孔22a,25aを形成することなく、ハ字状の一対の切れ目iとともに、その終点間を結ぶ切れ目を折り目a,e上に形成し、これらの切れ目によって係止片を形成するようにしてもよい。
【0064】
また、底面シート材3の各係合板32の複数の係合凸部321,322に、対応する側面シート材4の底面板41の複数の係合溝411,412を係合する一実施形態について説明したが、前記係合溝411,412は、係合孔で構成してもよい。例えば、底面シート材3の各係合板32の係合凸部321,322は、底面シート材3の四隅の角から少し離して形成させる場合に適応できる。
【0065】
次に、本発明の梱包部材1の他の実施形態を図8乃至図12に基づいて説明する。
【0066】
この実施形態の梱包部材1は、包囲シート材2と、底面シート材3と、側面シート材4と、補助底面シート材5とから構成され、ダンボールをそれぞれの展開図にしたがって打ち抜いた後、底面シート材3および側面シート材4をそれぞれ折り目に沿って折り込んで底面材3Aおよび側面材4Aを形成するとともに、包囲シート材2に底面材3Aを、底面材3Aに側面材4Aを、側面材4Aに補助底面シート材5をそれぞれ順に配置して係止し、次いで、側面材4Aおよび補助底面シート材5によって区画された空間に梱包物Pを配置し、包囲シート材2によって側面材4Aの正面、背面および上面を覆うとともに、包囲シート材2を側面材4Aに係止して形成される。
【0067】
ここで、梱包部材1を構成する包囲シート材2、底面シート材3および側面シート材4は、先の実施形態で説明したものと基本的な構造はほぼ同一であり、同一の部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略し、主に相違する点について説明する。
【0068】
包囲シート材2は、図9の展開図において、底面板21の前端縁に正面板22の垂直板221、その傾斜板222、前上面板23およびフラップ24が折り目a,b,c,dを介して順に連設されるとともに、底面板21の後端縁に背面板25、後上面板26およびフラップ24が折り目e,g,hを介して順に連設されて形成されている。
【0069】
ここで、この包囲シート材2は、背面板25が後述する側面材4Aの側壁4L,4Rの後端縁に沿って配置されるため、傾斜板が設けられていない。また、正面板22の傾斜板222に形成された係止孔22bおよび前後のフラップ24に形成された係止溝24aは、後述する側面材4Aの側壁4L,4Rが、側面板42および外方側面板43から形成されることに対応して幅がダンボールの厚みの2倍に設定されている。
【0070】
底面シート材3は、図10の展開図において、底面板31の左端縁に下方底面板33が折り目nを介して連設されるとともに、底面板31の後端縁に上方底面板34が折り目qを介して連設される一方、上方底面板34の左右各側端縁に係合板32がそれぞれ折り目rを介して連設されて形成されている。
【0071】
ここで、底面シート材3の下方底面板33、底面板31および上方底面板34のそれぞれの前後方向長さおよび幅は、前述した包囲シート材2の底面板21の前後方向長さおよび幅に一致している。
【0072】
そして、底面シート材3の下方底面板33の前後各端部には、左右方向中間よりも若干左方に位置して、前後各端縁を終点とするハ字状の一対の切れ目iが底面板31および下方底面板33を長手方向に二等分する垂直二等分線L1に関して対称に形成されている。また、底面シート材3の上方底面板34の前後各端部には、左右方向中間よりも若干右方に位置して、それぞれ折り目qおよび後端縁を終点とするハ字状の一対の切れ目iが上方底面板34を長手方向に二等分する垂直二等分線L2に関して対称に形成されている。さらに、底面シート材3の底面板31の後端部には、上方底面板34の前端部に形成された一対の切れ目iの終点両端を結んで折り目q上に形成された切れ目を含む略台形状の係止孔31bが形成されるとともに、その前端部には、後端部の係止孔31bと前述した垂直二等分線L1に関して対称となる略台形状の係止切欠き31cが形成されている。
【0073】
これにより、底面シート材3の下方底面板33の前後各端部および上方底面板34の前後各端部にそれぞれ形成された一対の切れ目i(上方底面板34の前端部においては係止孔31bとともに)によって台形状の係止片33x,34xが形成される。
【0074】
この場合、底面シート材3の下方底面板33、底面板31、上方底面板34を折り重ねて底面材3Aを形成した場合(図13参照)、下方底面板33の前後各端部および上方底面板34の前後各端部にそれぞれ形成された係止片33x,34xが、底面板31の前後各端部に形成された台形状の係止孔31bおよび係止切欠き31cを挟んで対向するように設定されている。また、底面シート材3における下方底面板33の前後各端部に形成された係止片33xは、包囲シート材2の底面板21に底面シート材3から形成された底面材3Aを適正に配置した際、包囲シート材2の底面板21の前後各端部に形成された係止片21xにそれぞれ重なるように設定されている。すなわち、包囲シート材2の底面板21に底面材3Aを配置する場合、包囲シート材2の底面板21の左右方向中間よりも若干右方に位置して形成された係止片21xと、底面材3Aの下方底面板33および上方底面板34の左右方向中間よりも若干右方に位置する係止片33x,34xを重ねることにより、包囲シート材2に対して底面材3Aの前後を規定することができる。
【0075】
さらに、底面シート材3の左右の係合板32は、梱包物Pの形状に対応して、左方の係合板32が右方の係合板32よりも若干大きな幅に形成されるとともに、各係合板32の側端縁の前後部には、それぞれダンボールの厚みに相当する深さと異なる長さからなる係合凹部323,324が形成されている。
【0076】
なお、底面シート材3の底面板31の後部側には、左右方向に細長い方形状のガイド孔31aが形成され、また、上方底面板34の前部側には、折り目qに関して底面板31のガイド孔31aと対称の細長い方形状のガイド孔34aが形成されるとともに、該ガイド孔34aに連続して略台形状の係止孔34bが形成されており、これらのガイド孔31a,34aに梱包物Pであるコンプレッサーの脚部p(図17参照)を収容することができる。
【0077】
側面シート材4は、図11の展開図において、底面板41の左右各側端縁に側面板42および外方側面板43がそれぞれ折り目m,sを介して順に連設されて形成されている。
【0078】
ここで、側面シート材4の底面板41の幅は、底面シート材3の底面板31の幅から左右の係合板32の幅の和を減算した長さよりも若干小さく設定されている。また、側面シート材4の底面板41の前後方向長さは、包囲シート材2の底面板21の前後方向長さに一致している。
【0079】
そして、側面シート材4の底面板41の前後各端部には、左右方向中間において、底面シート材3の上方底面板34の前後各端部に形成された係止片34xに対応して略台形状の係止切欠き41aが形成されている。また、側面シート材4の各外方側面板43の側端縁には、底面シート材3の左右の係合板32の前後の係合凹部323,324に対応してそれぞれダンボールの厚みに相当する高さと異なる長さからなる係合凸部431,432が形成されている。つまり、各外方側面板43の前方の係合凸部431の長さと底面シート材3の各係合板32の前方の係合凹部323の長さが一致し、また、各外方側面板43の後方の係合凸部432の長さと底面シート材3の各係合板32の後方の係合凹部324の長さが一致している。
【0080】
これにより、後述するように、底面シート材3から形成された底面材3Aの左右の係合板32間の上方底面板34に、側面シート材4から形成された側面材4Aの底面板41を配置すると、左右の係合板32の幅の相違により、側面材4Aは、その左右方向中心が底面材3Aの左右方向の中心よりも若干右方に配置され、その際、底面材3Aの上方底面板34の前後各端部の係止片34xに底面板41の係止切欠き41aが対向するとともに、底面材3Aの各係合板32の前後の係合凹部323,324に、側面材4Aの各外方側面板43の前後の係合凸部431,432を係合させることができ、底面材3Aに対して側面材4Aの前後および左右を規定することができる。
【0081】
さらに、側面シート材4の側面板42および外方側面板43には、後方側において、左右方向に細長い略方形状の係止孔42c,43aが折り目sに関して左右対称に形成されている。これにより、側面シート材4の側面板42および外方側面板43を折り重ねるとともに底面板41に対して起立させて左右の側壁4L,4R(図14参照)を形成した際、その上端縁に係止孔42c,43aによる一定深さの係止溝が形成され、この係止溝に前述した包囲シート材2の前後のフラップ24をそれぞれ差し込んでそれらの左右の係止溝24aを介して互いに係止することができる。
【0082】
なお、側面シート材4の底面板41の前端側には、底面シート材3の上方底面板34に形成されたガイド孔34aおよび該ガイド孔34aに連続する台形状の係止孔34bに対応して左右方向に細長い方形状のガイド孔41bおよび該ガイド孔41bに連続する台形状の係止孔41cが形成されている。つまり、底面材3Aの上方底面板34上に側面材4Aの底面板41を適正に配置した場合、底面材3Aの上方底面板34のガイド孔34aおよび係止孔34bに、側面材4Aの底面板41のガイド孔41bおよび係止孔41cが重なるように設定されている。また、側面シート材4の各側面板42および各外方側面板43には、梱包物Pの形状に対応してそれぞれ折り目sに関して略左右対称の複数個のガイド孔42b,43bが形成されており、側面材4Aの左右の側壁4L,4Rと梱包物Pとの干渉を回避することができる。
【0083】
補助底面シート材5は、図12に示すように、底面板51の後端縁に起立板52が折り目tを介して連設されて形成されている。
【0084】
ここで、補助底面シート材5の幅は、側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの内面間隔に一致している。
【0085】
そして、補助底面シート材5の底面板51の前端部には、左右方向中間において、ハ字状の一対の切れ目i1が形成されている。これにより、補助底面シート材5の底面板51の前端部に形成された一対の切れ目i1によって台形状の係止片51xが形成される。この補助底面シート材5の係止片51xは、底面シート材3の上方底面板34に形成された係止孔34bおよび該係止孔34bに対応して側面シート材4の底面板41に形成された係止孔41cに対応する大きさに形成されている。
【0086】
次に、このように構成された梱包部材1を用いて梱包物Pを梱包し、梱包体を形成する場合について図13乃至図17に基づいて説明する。
【0087】
まず、それぞれ展開図にしたがって包囲シート材2、底面シート材3、側面シート材4および補助底面シート材5を打ち抜いた後、底面シート材3および側面シート材4からそれぞれ底面材3Aおよび側面材4Aを組み立てる。
【0088】
具体的には、打ち抜いた底面シート材3において、底面板31の上面に下方底面板33を折り目nに沿って折り込むとともに、上方底面板34の下面に底面板31を下方底面板33ととともに折り目qに沿って折り込んで重ねた後、上方底面板34の上面に左右の係合板32をそれぞれ折り目rに沿って折り込むことにより、図13に示すように、3層の底面板33,31,34および左右の係合板32からなる底面材3Aを形成する。
【0089】
この際、底面材3Aの下方底面板33の前後各端部および上方底面板34の前後各端部にそれぞれ形成された係止片33x,34xが、底面板31の前後各端部に形成された係止孔31bおよび係止切欠き31cを挟んで対向する。また、底面材3Aの底面板31に形成されたガイド孔31aと上方底面板34に形成されたガイド孔34aとが連通する。
【0090】
また、打ち抜いた側面シート材4において、各側面板42の下面に各外方側面板43を折り目sに沿ってそれぞれ折り込むとともに、底面板41に対して各側面板42を外方側面板43とともに折り目mに沿って折り込んで起立させ、図14に示すように、底面板41の左右にそれぞれ側面板42および外方側面板43を折り重ねた側壁4L,4Rを有する側面材4Aを形成する。
【0091】
次いで、図15に示すように、包囲シート材2の底面板21の上面に上方底面板34を上方にして底面材3Aを配置し、係止する。具体的には、包囲シート材2の係止片21xおよび底面材3Aの係止片33x,34xが左右方向中間よりも若干右方に形成されていることにより、それらが重なるように配置することで、包囲シート材2に対して底面材3Aの前後を規定しつつ左右方向に位置決めして配置する。この後、包囲シート材2の係止片21xを操作孔22a,25aを通して指で上方に跳ね上げることにより、包囲シート材2の係止片21xが、その上方に対向する底面材3Aの下方底面板33の係止片33xおよび上方底面板34の係止片34xを順次押し上げるとともに、それらの係止片33x,34xが押し上げられることによって形成された略台形状の空間、さらには、底面板31の前後各端部に形成された係止孔31bおよび係止切欠き31cに入り込む結果、包囲シート材2の底面板21に対して底面材3Aを係止片21xを介して移動しないように係止することができる。
【0092】
次いで、図16に示すように、包囲シート材2に係止された底面材3Aの左右の係合板32間に露出する上方底面板34の上面に側面材4Aを配置し、係止する。具体的には、底面材3Aの左右の係合板32の前後の係合凹部323,324に、側面材4Aの側壁4L,4Rを構成する各外方側面板43の前後の係合凸部431,432を係合することにより、底面材3Aに対して側面材4Aを前後および左右を規定しつつ位置決めして配置する。この際、底面材3Aの上方底面板34の係止片34xに、側面材4Aの底面板41の係止切欠き41aが対向することから、再び包囲シート材2の係止片21xを指で跳ね上げることにより、該係止片21xを介して底面材3Aの下方底面板33の係止片33xおよび上方底面板34の係止片34xが順に押し上げられ、該係止片33x,34xが側面材4Aの底面板41の係止切欠き41aに入り込む結果、底面材3Aの底面板31に対して側面材4Aを係止片33x,32xを介して移動しないように係止することができる。
【0093】
この際、底面材3Aの上方底面板34のガイド孔34aおよび係止孔34bと、側面材4Aの底面板41のガイド孔41bおよび係止孔41cとが連通する。
【0094】
次いで、詳細には図示しないが、補助底面シート材5の起立板52を底面板51に対して折り目tに沿って起立させた後、起立板52を後方に向けて、補助底面シート材5を側面材4Aの底面板41に配置する。この際、補助底面シート材5の底面板51の係止片51xを、側面材4Aの底面板41の係止孔41cに対向するように配置し、さらに、係止片51xを下方に向けて押し込み、係止片51xを側面材4Aの底面板41の係止孔41cおよび底面材3Aの上方底面板34の係止孔34bに入り込ませる。これにより、底面材3Aの上方底面板34および側面材4Aの底面板41に対して補助底面シート材5を係止片51xを介して係止することができる。
【0095】
このようにして、包囲シート材2の底面板21に底面材3Aを係止するとともに、底面材3Aに側面材4Aを係止し、さらに、側面材4Aに補助側面シート材5を係止したならば、図17に示すように、梱包物Pを上方から落とし込み、側面材4Aの左右の側壁4L,4Rを押し開きながら補助底面シート材5上に配置する。すなわち、梱包物Pを補助底面シート材5上に配置するに際して、側面材4Aの左右の側壁4L,4R間が開放されていることにより、梱包物Pを支持する作業者は、梱包物Pを利用して起立状態の左右の側壁4L,4Rを押し開くことができ、一人で容易に配置することができる。この際、底面材3Aの左右の係合板32の係合凹部323,324に側面材4Aの左右の側壁4L,4Rを構成する外方側面板43の係合凸部431,432が係合するとともに、各係合板32の側端縁上に外方側面板43の下端縁が乗り上げることから、側面材4Aの左右の側壁4L,4Rが梱包物Pによって押し開かれたとしても、それらの係合状態は維持される。
【0096】
なお、補助底面シート材5上に支持された梱包物Pは、その脚部pが側面材4Aの底面板41のガイド孔41b、底面材3Aの上方底面板34のガイド孔34aおよび底面板31のガイド孔31aに収容されるとともに、左右端部が側面材4Aの左右の側壁4L,4Rを構成する側面板42および外方側面板43のガイド孔42b,43bを通して突出する。これにより、梱包物Pを補助底面シート材5の底面板51上に配置した際、前後方向に延びる軸線と底面板51の上面とがほぼ平行となり、安定した姿勢で支持することができるとともに、左右の側壁4L,4Rを構成する側面板42に梱包物Pの左右端部が干渉することを防止できる。
【0097】
梱包物Pを配置したならば、包囲シート材2の底面板21に対して正面板22の垂直板221を折り目aに沿って折り込んで側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの前端縁に沿って起立させるとともに、その起立した垂直板221に対して傾斜板222を折り目bに沿って折り込む。この際、正面板22の傾斜板222に形成された左右の係止孔22bを側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの前方上端側隅角部に差し込み、側面材4Aの左右の側壁4L,4Rを垂直状態に起立した姿勢に保持する。この後、正面板22の傾斜板222に対して前上面板23を折り目cに沿って折り曲げて側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの前方側上端縁に沿って載置し、さらに、前上面板23に対して前方のフラップ24を折り目dに沿って折り込むとともに、その左右の係止溝24aを側面材4Aの左右の側壁4L,4Rに形成された係止溝に差し込み、フラップ24および左右の側壁4L,4Rを互いに係止する。
【0098】
同様に、包囲シート材2の底面板21に対して背面板25を折り目eに沿って折り込んで側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの後端縁に沿って起立させるとともに、その起立した背面板25に対して後上面板26を折り目gに沿って折り曲げて側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの後方側上端縁に沿って載置し、さらに、後上面板26に対して後方のフラップ24を折り目hに沿って折り込むとともに、その左右の係止溝24aを側面材4Aの左右の側壁4L,4Rに形成された係止溝に差し込み、フラップ24および左右の側壁4L,4Rを互いに係止する。
【0099】
この結果、包囲シート材2に対して底面材3Aが係止され、底面材3Aに対して側面材4Aが係止され、側面材4Aに対して補助底面シート材5および包囲シート材2が係止されることから、包囲シート材2、底面材3A、側面材4Aが相互に係止されて一体化され、剛性の高い梱包部材1を形成することができる。特に、梱包物Pを支持する底面は、包囲シート材2の底面板21、底面材3Aの複数の底面板33,31,34および側面材4Aの底面板41、補助底面シート材5から形成されることから、強度がより大きくなって撓み変形が可及的に抑制され、輸送に際して梱包物Pを安定して保持することができる。また、梱包物Pの側面は、側面板42および外方側面板43を折り重ねた側壁4L,4Rによって支持されるとともに、その前後面は、側壁4L,4Rに形成されたガイド孔42b,43bを介して、さらには、フラップ24を介して支持されることから、輸送に際して梱包物Pを安定して保持することができる。
【0100】
また、展開図にしたがって包囲シート材2、底面シート材3、側面シート材4および補助底面シート材5を打ち抜き、底面材3Aおよび側面材4Aに組み立てた後、包囲シート材2に底面材3Aを、底面材3Aに側面材4Aを、側面材4Aに補助底面シート材5を順に係止し、梱包物Pを配置し、次いで、包囲シート材2を側面材4Aの側壁4L,4Rの前後端縁および上端縁に沿わせて側壁4L,4Rに係止するという簡単な作業によって梱包体を形成することができる。この際、梱包物Pによって側面材4Aの左右の側壁4L,4Rを押し開きながら梱包物Pを配置することができ、一人であっても梱包作業を容易に行うことができる。
【0101】
さらに、包囲シート材2の正面板22が側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの前方上端側隅角部に差し込まれて互いに係止されることから、包囲シート材2と側面材4Aの左右の側壁4L,4Rとが強固に係止され、剛性の高い梱包部材1を形成することができる。
【0102】
なお、前述した実施形態においては、側面材4Aの底面板41に補助底面シート材5を配置する場合を説明したが、梱包物Pによっては、必ずしも補助底面シート材5配置する必要はない他、複数の底面板を折り重ねて形成された補助底面材を配置して梱包物Pを底上げするようにしてもよい。
【0103】
ところで、前述した実施形態においては、包囲シート材2の正面板22を垂直板221および傾斜板222から形成し、その傾斜板222に係止孔22bを形成して側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの前方上端側隅角部に差し込んで包囲シート材2と側面材4Aを互いに係止する場合を例示したが、側壁4L,4Rの後方側をも互いに係止するようにしてもよい。具体的には、図18に示すように、包囲シート材2の背面板25を垂直板251および傾斜板252から形成し、その傾斜板252に係止孔25bを形成して側面材4Aの左右の側壁4L,4Rの後方上端側隅角部に差し込んで包囲シート材2と側面材4Aを互いに係止するようにしてもよい。
【0104】
この場合の包囲シート材2は、傾斜板222、252に形成された係止孔22b,25bの幅、前後のフラップ25に形成された係止溝24aの幅が側壁4L,4Rの厚みに対応して形成される以外、図2に示した包囲シート材2と同一であり、詳細な図面を省略する。
【0105】
また、上述した一実施形態および他の実施形態において、要求される剛性やガイド孔の仕様により、底面シート材3が2層の底面板から形成するようにしてもよいし、4層以上の底面板から形成してもよい。例えば、2層の底面板の場合、他の実施形態において、底面シート材3の下方底面板33は無くてもよい。
【符号の説明】
【0106】
1 梱包部材
2 包囲シート材
21 底面板
21x 係止片
22 正面板
22b 係止孔
221 垂直板
222 傾斜板
23 前上面板
24 フラップ
24a 係止溝
25 背面板
25b 係止孔
251 垂直板
252 傾斜板
26 後上面板
3 底面シート材
3A 底面材
31 底面板
31a ガイド孔
31c 係止切欠き
31x 係止片
32 係合板
321,322 係合凸部
323,324 係合凹部
33 下方底面板
33x 係止片
34 上方底面板
34x 係止片
4 側面シート材
4A 側面材
4L,4R 側壁
41 底面板
41a 係止切欠き
41b ガイド孔
411,412 係合溝
42 側面板
42a 係止溝
42c 係止孔
43 外方側面板
431,432 係合凸部
5 補助底面シート材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包物の底面、上面、左右の側面、正面および背面を覆う梱包部材であって、底面板に正面板、背面板、上面板およびフラップが折り目を介して連設された包囲シート材と、底面板の左右各側端縁にそれぞれ係合板が折り目を介して連設された底面シート材と、底面板の左右各側端縁にそれぞれ側面板が折り目を介して連設された側面シート材と、から構成され、底面板に左右の係合板をそれぞれ折り重ねて形成された底面材が包囲シート材の底面板に配置されて係止される一方、左右の側面板をそれぞれ左右の側壁として底面板に対して起立させて形成された側面材の底面板が底面材の底面板に配置されて側面材が底面材に係止され、包囲シート材の正面板、背面板および上面板が側面材の左右の側壁の前端縁、後端縁および上端縁に沿って配置されてフラップが左右の側壁に係止されることを特徴とする梱包部材。
【請求項2】
請求項1に記載の梱包部材において、前記底面シート材の底面板および側面シート材の底面板に梱包物の下方突出物に対応するガイド孔が形成されることを特徴とする梱包部材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の梱包部材において、前記底面シート材の底面板に少なくとも上方底面板が折り目を介して連設されるとともに、上方底面板の左右各側端縁にそれぞれ係合板が折り目を介して連設されることを特徴とする梱包部材。
【請求項4】
請求項1または2に記載の梱包部材において、前記側面シート材の側面板の左右各側端縁にそれぞれ折り目を介して外方側面板が連設されることを特徴とする梱包部材。
【請求項5】
請求項1または2に記載の梱包部材において、前記包囲シート材の底面板の前後各端部に係止片が形成され、また、包囲シート材の各係止片に対応して底面シート材の底面板の前後各端部に係止片が形成されるとともに、側面シート材の底面板の前後各端部に係止切欠きが形成されることを特徴とする梱包部材。
【請求項6】
請求項1または2に記載の梱包部材において、前記底面シート材の各係合板の側端縁に長さの異なる複数の係合凸部が形成され、また、底面シート材の各係合板の複数の係合凸部に対応して側面シート材の底面板の側面板との連設部に長さの異なる係合溝または係合孔が形成されることを特徴とする梱包部材。
【請求項7】
請求項3記載の梱包部材において、前記包囲シート材の底面板の前後各端部に係止片が形成され、また、包囲シート材の各係止片に対応して底面シート材の底面板の前後各端部に係止孔および係止切欠きが形成されるとともに、上方底面板の前後各端部に係止片が形成され、さらに、包囲シート材の各係止片に対応して側面シート材の底面板の前後各端部に係止切欠きが形成されることを特徴とする梱包部材。
【請求項8】
請求項4に記載の梱包部材において、前記底面シート材の各係合板の側端縁に長さの異なる複数の係合凹部が形成され、また、底面シート材の各係合板の複数の係合凹部に対応して側面シート材の各外方側面板の側端縁に長さの異なる係合凸部が形成されることを特徴とする梱包部材。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一つに記載の梱包部材において、前記側面材の左右の側壁の上端部に包囲シート材のフラップに対応して係止溝が形成されることを特徴とする梱包部材。
【請求項10】
請求項9に記載の梱包部材において、前記包囲シート材のフラップに側面材の左右の側壁の係止溝に対応して一対の係止溝が形成されることを特徴とする梱包部材。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一つに記載の梱包部材において、前記包囲シート材の正面板または背面板の少なくとも一方が折り目を介して垂直板および傾斜板から形成されるとともに、該傾斜板に側面材の左右の側壁に対応して一対の係止孔が形成されることを特徴とする梱包部材。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一つに記載の梱包部材において、前記側面材の底面板に補助底面シート材または複数の底面板を折り重ねて形成された補助底面板が係止されることを特徴とする梱包部材。
【請求項1】
梱包物の底面、上面、左右の側面、正面および背面を覆う梱包部材であって、底面板に正面板、背面板、上面板およびフラップが折り目を介して連設された包囲シート材と、底面板の左右各側端縁にそれぞれ係合板が折り目を介して連設された底面シート材と、底面板の左右各側端縁にそれぞれ側面板が折り目を介して連設された側面シート材と、から構成され、底面板に左右の係合板をそれぞれ折り重ねて形成された底面材が包囲シート材の底面板に配置されて係止される一方、左右の側面板をそれぞれ左右の側壁として底面板に対して起立させて形成された側面材の底面板が底面材の底面板に配置されて側面材が底面材に係止され、包囲シート材の正面板、背面板および上面板が側面材の左右の側壁の前端縁、後端縁および上端縁に沿って配置されてフラップが左右の側壁に係止されることを特徴とする梱包部材。
【請求項2】
請求項1に記載の梱包部材において、前記底面シート材の底面板および側面シート材の底面板に梱包物の下方突出物に対応するガイド孔が形成されることを特徴とする梱包部材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の梱包部材において、前記底面シート材の底面板に少なくとも上方底面板が折り目を介して連設されるとともに、上方底面板の左右各側端縁にそれぞれ係合板が折り目を介して連設されることを特徴とする梱包部材。
【請求項4】
請求項1または2に記載の梱包部材において、前記側面シート材の側面板の左右各側端縁にそれぞれ折り目を介して外方側面板が連設されることを特徴とする梱包部材。
【請求項5】
請求項1または2に記載の梱包部材において、前記包囲シート材の底面板の前後各端部に係止片が形成され、また、包囲シート材の各係止片に対応して底面シート材の底面板の前後各端部に係止片が形成されるとともに、側面シート材の底面板の前後各端部に係止切欠きが形成されることを特徴とする梱包部材。
【請求項6】
請求項1または2に記載の梱包部材において、前記底面シート材の各係合板の側端縁に長さの異なる複数の係合凸部が形成され、また、底面シート材の各係合板の複数の係合凸部に対応して側面シート材の底面板の側面板との連設部に長さの異なる係合溝または係合孔が形成されることを特徴とする梱包部材。
【請求項7】
請求項3記載の梱包部材において、前記包囲シート材の底面板の前後各端部に係止片が形成され、また、包囲シート材の各係止片に対応して底面シート材の底面板の前後各端部に係止孔および係止切欠きが形成されるとともに、上方底面板の前後各端部に係止片が形成され、さらに、包囲シート材の各係止片に対応して側面シート材の底面板の前後各端部に係止切欠きが形成されることを特徴とする梱包部材。
【請求項8】
請求項4に記載の梱包部材において、前記底面シート材の各係合板の側端縁に長さの異なる複数の係合凹部が形成され、また、底面シート材の各係合板の複数の係合凹部に対応して側面シート材の各外方側面板の側端縁に長さの異なる係合凸部が形成されることを特徴とする梱包部材。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一つに記載の梱包部材において、前記側面材の左右の側壁の上端部に包囲シート材のフラップに対応して係止溝が形成されることを特徴とする梱包部材。
【請求項10】
請求項9に記載の梱包部材において、前記包囲シート材のフラップに側面材の左右の側壁の係止溝に対応して一対の係止溝が形成されることを特徴とする梱包部材。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一つに記載の梱包部材において、前記包囲シート材の正面板または背面板の少なくとも一方が折り目を介して垂直板および傾斜板から形成されるとともに、該傾斜板に側面材の左右の側壁に対応して一対の係止孔が形成されることを特徴とする梱包部材。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一つに記載の梱包部材において、前記側面材の底面板に補助底面シート材または複数の底面板を折り重ねて形成された補助底面板が係止されることを特徴とする梱包部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−178401(P2011−178401A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41412(P2010−41412)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(593122789)ユーテック株式会社 (118)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(593122789)ユーテック株式会社 (118)
【Fターム(参考)】
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