説明

棒状化粧品繰出し容器

【課題】不使用時における昇降筒の不測の上昇を防止し得、かつ使用時において昇降筒を任意の位置へ正確に保持させることが可能であると共に、棒状化粧品を不用意に押しても簡単に下がることがない棒状化粧品繰出し容器を提供する。
【解決手段】 摘み筒2の上端内周部から内筒3を起立して、該内筒に割溝4aを縦設した回動筒1と、上記内筒3外面へ回動自在に嵌合させた外筒12内面に螺旋溝13を形成した把持筒11と、上記内筒3下部内面へ嵌合させた昇降筒15上部外面から係合ピン16を突設して、該係合ピンを上記割溝を介して螺旋溝13へ摺動自在に係合させた棒状化粧品保持筒14とを備え、上記昇降筒15下端からバネ材21を垂下して、該バネ材を内筒3内面へ摺動自在に弾性接触させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は口紅等の棒状化粧品を繰出し可能に設けた棒状化粧品繰出し容器に関する。
【背景技術】
【0002】
内筒に割溝を、かつ外筒内面に螺旋溝を形成し、内筒へ上下動自在に嵌合させた昇降筒に付設した係合ピンを割溝を介して螺旋溝へ摺動自在に係合させ、外筒の回動で昇降筒を上下動させることにより昇降筒に保持された棒状化粧品を繰出し可能に設けた棒状化粧品繰出し容器が従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平1−118713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は保管時や運搬時等の不使用時に、昇降筒に外力、特に昇降筒を回動させる方向への回動力が加わることで、昇降筒が上昇して棒状化粧品がキャップの天面に接触することがあり、あるいは使用時に昇降筒を任意の位置へ正確に保持させることができないという課題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、不使用時における昇降筒の不測の上昇を防止し得、かつ使用時において昇降筒を任意の位置へ正確に保持させることが可能であると共に、棒状化粧品を不用意に押しても簡単に下がることがない棒状化粧品繰出し容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、摘み筒2の上端内周部から内筒3を起立して、該内筒に割溝4aを縦設した回動筒1と、
上記内筒3外面へ回動自在に嵌合させた外筒12内面に螺旋溝13を形成した把持筒11と、
上記内筒3下部内面へ嵌合させた昇降筒15上部外面から係合ピン16を突設して、該係合ピンを上記割溝を介して螺旋溝13へ摺動自在に係合させた棒状化粧品保持筒14とを備え、
上記昇降筒15下端からバネ材21を垂下して、該バネ材を内筒3内面へ摺動自在に弾性接触させたことを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、上記昇降筒15下端から脚片20を垂下して、該脚片から周方向へ上記バネ材21を突出させたことを特徴とする。
【0007】
さらに、本発明は、上記バネ材21の突出端を、隣接する脚片20へ接続したことを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は、上記バネ材21を径方向へ波形状に折曲する板バネから構成して、該板バネの径外方向への膨出部を内筒3内面へ摺動自在に弾性接触させたことを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、上記昇降筒15は棒状化粧品を保持する受皿筒17と、該受皿筒下部外面へ嵌合させたホルダ筒18とから構成され、該ホルダ筒上部外面に上記係合ピン16を設けると共に、上記ホルダ筒下端から脚片20を垂下したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、昇降筒下端からバネ材を垂下して、該バネ材を内筒内面へ摺動自在に弾性接触させたので、運搬時や保管時等の不使用時に、昇降筒にこれを回動させる方向等の外力が加わっても昇降筒はバネ材を介して内筒へ弾性接触しているため、棒状化粧品が上昇してキャップの天面に接触するといった事態が防止されると共に、仮に係合ピンと螺旋溝との係合において上下方向へのガタがあったとしてもバネ材により昇降筒の上下方向への動きが規制されるため、昇降筒を正確な位置に保持させることができ、さらには棒状化粧品を不用意に押しても簡単に下がることがない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る棒状化粧品繰出し容器の断面図である。
【図2】螺旋溝の概略図である。
【図3】要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1において、1は回動筒で、摘み筒2の上端内周部から内筒3を起立して、該内筒の左右両部の上下方向中間部に第1の縦割溝4aを縦設し、図2に示すように、その上端部を周方向へ屈曲して第1の横割溝4bに形成すると共に、その下端部を周方向へ第1の横割溝4bと反対方向に屈曲して第2の横割溝4cに形成し、かつこの第2の横割溝先端から第2の縦割溝4dを縦設する。10は内筒3上端部外面に周設した第1突条である。
【0013】
11は把持筒で、内筒3外面へ外筒12を回動自在に嵌合させて、その下端を摘み筒2上端の外周部上面へ回動自在に載置させると共に、その内面に2条の螺旋溝13を形成して、各螺旋溝下端を第2の縦割溝4d下端に、かつ各螺旋溝上端を第1の横割溝4b先端に、それぞれ開口させ、さらに外筒12上端内周部を第1突条10下面へ回動可能に係合させている。
【0014】
14は棒状化粧品保持筒で、内筒3下部内面へ上下動自在に嵌合させた昇降筒15を備えている。昇降筒15は棒状化粧品16を保持する受皿筒17と、該受皿筒下部外面へ嵌合させたホルダ筒18とから構成されている。
【0015】
受皿筒17は摘み筒2内に位置する小内径部17a上端から第1上向き段部17bを介して中内径部17cを起立し、中内径部上端から第2上向き段部17dを介して大内径部17eを起立させている。
【0016】
ホルダ筒18は小内径部17a外面へ凹凸の係合手段18aを介して抜出し不能に嵌合させた小筒部18b上端から上向き段部18cを介して大筒部18dを起立させている。上向き段部18c内周を第2上向き段部17b下面へ当接させると共に、大筒部18d下部内面に係合突条18eを周方向へ間隔をおいて複数形成すると共に、該係合突条18eを受皿筒17の縦溝17fへ嵌合させている。さらに、大筒部18d外面の左右両部から係合ピン16を突設して、各係合ピンを第2の横割溝4cへ上下動自在に挿通させ、かつその先端部を螺旋溝13へ摺動自在に係合させている。
【0017】
さらに大筒部18d下端から脚片20を周方向に所定の間隔をおいて複数個垂下して、隣接する一対の脚片20間に板バネからなるバネ材21を設けて、該バネ材21の両端を脚片20へ接続している。その際、バネ材21とホルダ筒18下端との間に間隙が形成されるように構成する。
【0018】
バネ材21は径方向へ折曲して波形状に形成し、径外方への膨出部を摘み筒2内面へ摺動自在に弾性接触させる。このようにすることでホルダ筒18をバネ材21を介して上下方向へ不必要に動かないようにすることができる。
【0019】
なお、上記ではバネ材21の両端は脚片20に接続されているが、片持ち式に一端だけを接続させることも可能である。また、バネ材21は板バネに限定されることなく、線状のバネ材を使用することも可能である。要するに、ホルダ筒18がバネ材21を介して回動筒1に弾性保持されればよく、バネ材21の形状に特に限定はない。
【0020】
30は外筒12の下部外面へ回動自在に嵌合させた有底の装飾筒で、上端部外面を外方へ膨出させて断面矩形状の当接部31を形成している。当接部31は内外筒を覆うキャップ40の下端を当接させるためのものである。
【0021】
次に作用について説明する。棒状化粧品を繰り出すには、把持筒11からキャップ40を上方へ離脱させた後、把持筒11を把持して摘み筒2を開方向へ回動させればよく、すると第2の横割溝4cへ挿通させた係合ピン16が螺旋溝13に案内されて上昇し、これと共に棒状化粧品保持筒14が上昇する。
【0022】
上記のように、棒状化粧品保持筒14は板バネ21により回動筒1に対して弾性保持されているため、不使用時に外筒に外力が加わっても上昇してキャップ天面に接触することがなく、また使用時には任意の位置に正確に保持させることができると共に、不用意に棒状化粧品を押しても簡単に下がることがない。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、口紅等の棒状化粧品を繰出して使用する棒状化粧品繰出し容器の分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 回動筒
2 摘み筒
3 内筒
11 把持筒
14 棒状化粧品保持筒
15 昇降筒
17 受皿筒
18 ホルダ筒
20 脚片
21 バネ材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
摘み筒2の上端内周部から内筒3を起立して、該内筒に割溝4aを縦設した回動筒1と、
上記内筒3外面へ回動自在に嵌合させた外筒12内面に螺旋溝13を形成した把持筒11と、
上記内筒3下部内面へ嵌合させた昇降筒15上部外面から係合ピン16を突設して、該係合ピンを上記割溝を介して螺旋溝13へ摺動自在に係合させた棒状化粧品保持筒14とを備え、
上記昇降筒15下端からバネ材21を垂下して、該バネ材を内筒3内面へ摺動自在に弾性接触させた
ことを特徴とする棒状化粧品繰出し容器。
【請求項2】
上記昇降筒15下端から脚片20を垂下して、該脚片から周方向へ上記バネ材21を突出させたことを特徴とする請求項2記載の棒状化粧品繰出し容器。
【請求項3】
上記バネ材21の突出端を、隣接する脚片20へ接続したことを特徴とする請求項2記載の棒状化粧品繰出し容器。
【請求項4】
上記バネ材21を径方向へ波形状に折曲する板バネから構成して、該板バネの径外方向への膨出部を内筒3内面へ摺動自在に弾性接触させたことを特徴とする請求項2又は3記載の棒状化粧品繰出し容器。
【請求項5】
上記昇降筒15は棒状化粧品を保持する受皿筒17と、該受皿筒下部外面へ嵌合させたホルダ筒18とから構成され、該ホルダ筒上部外面に上記係合ピン16を設けると共に、上記ホルダ筒下端から脚片20を垂下したことを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の棒状系化粧品繰出し容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−233944(P2010−233944A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87587(P2009−87587)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)