説明

棒状化粧料容器

【課題】柔軟な棒状化粧料を円滑且つ確実に出没させるとともに、該棒状化粧料を簡易且つ確実に芯チャックに把持させることができるようにする。

【解決手段】芯チャック4の把持部4bをなす三本の螺旋線条体4aの外周面の基部に突設する突起部4fをカートリッジ筒2の螺旋雌ネジ溝2d内に遊嵌するとともに軸筒8内の繰り出し機構9により芯チャック4に把持された棒状化粧料3を出没させることで、芯チャックの把持部には直接衝撃力は伝達されず、しかも直接棒状化粧料及び芯チャックの把持部とカートリッジ筒の貫通孔の内壁面との間に間隙が形成されるので、棒状化粧料は貫通孔の内壁面に接触せず折損や摩耗が生じることなく円滑且つ確実に出没し、さらに該芯チャックの把持部を捻って内径を拡大させつつエアー吸引を行うことで棒状化粧料を簡易且つ確実に芯チャックに把持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】

本願発明は、例えば口紅やアイライナー等の棒状化粧料を出没自在に収容する棒状化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】

従来、例えば口紅やアイライナー等の棒状化粧料を出没自在に収容する棒状化粧料容器には、先筒の後端に雌ねじ部を備え、容器本体筒内には押棒の突起を縦に使用した係合溝が回転止め機構を構成し、雌ねじ部とこれに螺合する押棒の突起とが螺合機構を構成するものがある。そのため、押棒と先筒を相互に回転させることで棒状化粧料は回転しながら出没するものである。
【0003】

しかしながら、前記棒状化粧料容器において、芯チャックに保持される口紅やアイライナー等の棒状化粧料は柔軟であるので、温度変化や棒状化粧料の塗布に際しての応力により容易に変形するものである。そのため、変形した棒状化粧料を先筒内外へ出没させると、芯チャックによって保持された棒状化粧料は偏心しつつ回転するものである。その結果、棒状化粧料は先筒の内壁面に接触し、棒状化粧料において折損や摩耗が発生する恐れがあった。
【0004】

そこで、先端に開口孔を備えた先筒と、該先筒に回転可能に連結された容器本体と、該容器本体内に内装され、先端に棒状化粧料を保持する化粧料保持部が形成された押棒とからなり、前記先筒と容器本体との回転により押棒が軸方向に移動して先筒の開口孔より棒状化粧料を出没させてなるものであって、該先筒内に形成された螺旋溝に対して押棒先端の化粧料保持部を螺状片とした上で、該化粧料保持部を螺旋溝に進退自在に収容してなる棒状化粧材繰出容器が提案されている。

【特許文献1】特許第3441430号公報
【0005】
上記特許文献1の棒状化粧材繰出容器では、棒状化粧料を保持する化粧料保持部が螺状片となっており、該化粧料保持部は先筒内の螺旋溝に対して進退自在に収容されている。その結果、先筒の先端の開口孔より進退する棒状化粧料と先筒の内周面との間に間隔が形成されるものである。その結果、先筒の開口孔より進退する棒状化粧料において変形が生じても、前記棒状化粧料と先筒の内周面との間に形成される間隔によって、棒状化粧料と先筒の内周面とは接触せず、棒状化粧料の折損や摩耗を防止することができる。
【0006】
しかしながら、該化粧料保持部が先筒内の螺旋溝と衝突すると、その衝撃力は直接螺状片の化粧料保持部を通して棒状化粧料に伝達され、変形が発生する恐れがある。
そして、該押棒の先端の化粧料保持部に対して棒状化粧料を保持させるにあたっては、一旦螺状片となっていて弾性を有する化粧料保持部の内径を拡大させた上で挿嵌しなければならない。そのため、棒状化粧料を保持するため化粧料保持部の内径を拡大させる際には化粧料保持部の有する弾性に抗する大きな力が必要となる。その上、棒状化粧料を正確に保持させるためには変形させた化粧料保持部に対して棒状化粧料を軸方向に正確に挿嵌しなければならない。従って、螺状片である化粧料保持部の変形させつつ正確に棒状化粧料を挿嵌させることは非常に困難である。その結果、製造工程における作業性は著しく低下してしまうものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】

そこで、発明が解決しようとする問題点は、変形しやすい柔軟な棒状化粧料を安定して出没させるとともに、簡易且つ確実に柔軟な棒状化粧料が芯チャックに保持できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】

まず第1の特徴として、

カートリッジ筒と該カートリッジ筒と脱着自在となる容器本体とから構成され、

一方の該カートリッジ筒は、棒状化粧料、該棒状化粧料を把持する芯チャック及びスプリングを着装し、

該カートリッジ筒は、後端開口部にブッシュを装着するとともに、その内部を貫通する貫通孔の内壁面に複数の螺旋雌ネジ溝を螺設し、

該芯チャックは、該貫通孔の内壁面に螺設される複数の螺旋雌ネジ溝に摺動自在に遊嵌する突起部をその外周面の基部に突設するとともに、弾性を持って径方向に拡開、縮小する複数の螺旋線条体からなる把持部と、後述する押棒の先端と常に当接する基部とからなり、

棒状化粧料を弾性を持って把持する芯チャックの把持部をなす複数の螺旋線条体の外周面の基部に突設する突起部を、カートリッジ筒の貫通孔の内壁面に螺設される複数の螺旋雌ネジ溝に対して摺動自在に遊嵌するとともに、その把持部において棒状化粧料を弾性を持って把持する芯チャックの基部とカートリッジ筒の後端開口部のブッシュとの間にスプリングを伸縮自在に介装するものであって、

他方の該容器本体は、継手筒、軸筒及び該軸筒内に繰り出し機構を内装し、

該継手筒は、カートリッジ筒を保持する保持部と、後述する軸筒内に嵌合する嵌合部とからなり、

該軸筒は、その内部に繰り出し機構を内装するように一端を封止する筒体であり、

該繰り出し機構は、軸筒の回転に合わせて芯チャックの基部に常に当接する押棒を進退させ、

軸筒内に繰り出し機構を内装するとともに、該軸筒に対して継手筒の嵌合部を嵌合するものであって、

上記容器本体の軸筒を回転させることで棒状化粧料をカートリッジ筒より出没させるものである。
【0009】

そこで、第1の特徴を踏まえて、例えば

上記繰り出し機構はネジ筒、押棒、溝筒及びスプリングからなり、

該ネジ筒は、軸筒内に固持され、その内壁面に螺旋溝を螺設し、

該押棒は、ネジ筒の螺旋溝に遊嵌する突起を外壁面に突設し、

該溝筒は、ネジ筒と押棒との間で押棒の突起を軸方向に直進させる案内溝を溝設して、

押棒の外周に溝筒を、該溝筒の外周に軸筒内に固持されるネジ筒を配置すると共に、押棒とネジ筒との間にスプリングを伸縮自在となるように介装し、押棒の外壁面に突設する突起を溝筒の案内溝を通してネジ筒の内壁面の螺旋溝に摺動自在に遊嵌するものであって、

軸筒を回転させることで押棒を進退させるものである。
【0010】

そのため、カートリッジ筒と軸筒とを相互に回転させ、繰り出し機構によって押棒を進退させると、棒状化粧料を把持する芯チャックの把持部をなす複数の螺旋線条体の外周面の基部に突設する突起部がカートリッジ筒の貫通孔の内壁面に螺設される複数の螺旋雌ネジ溝に遊嵌しているので、押棒の進退に合わせて該貫通孔の螺旋雌ネジ溝に沿って回転しながら進退するとともに、カートリッジ筒の開口部のブッシュと芯チャックの基部との間及び押棒とネジ筒との間に介装するスプリングは各々伸縮するものとなる。その結果、押棒の進退及び伸縮するスプリングの弾性によってカートリッジ筒の先端より棒状化粧料は出没するものである。
【0011】

そして、該カートリッジ筒の貫通孔の内壁面に螺設される螺旋雌ネジ溝内に突起部が遊嵌しているので棒状化粧料を把持する螺旋線条体に対しては衝撃力は伝達されず、棒状化粧料において変形等は生じにくくなる。その上、芯チャックの突起部がカートリッジ筒の螺旋雌ネジ溝内に遊嵌することで、芯チャックの把持部及び該把持部に把持される棒状化粧料と該カートリッジ筒の貫通孔の内壁面との間には間隙が形成される。その結果、芯チャックの把持部に把持される棒状化粧料が自重や熱により変形しても、芯チャックの把持部及び該把持部に把持される棒状化粧料と、該カートリッジ筒の貫通孔の内壁面との間に形成される間隙によって棒状化粧料が変形してしまっても貫通孔の内壁面に接触することはなく、棒状化粧料の折損や摩耗を防止することができる。
【0012】

また、カートリッジ筒の製造工程において、棒状化粧料を芯チャックに把持させる場合には、カートリッジ筒の貫通孔の内壁面に螺設する螺旋雌ネジ溝に対して芯チャックの把持部をなす複数の螺旋線条体を係合させながら、カートリッジ筒の軸線方向には相対移動を抑止して螺旋雌ネジ溝の螺旋の巻き方向とは逆方向に捻るとその内径が拡開し、さらにエアー吸引を行うことによって、棒状化粧料は、中心が拡開した芯チャックの把持部内に収容される。そして芯チャックの把持部における内径を拡開する捻りを解消することで、棒状化粧料は、簡易且つ確実に該芯チャックの把持部をなす複数の螺旋線条体によって把持されるものとなる。
【0013】

そして、第2の特徴として、上記第1の特徴を踏まえて、

上記該芯チャックの把持部をなす複数の螺旋線条体において、各螺旋線条体の内側面に沿って棒状化粧料と係合することとなる棒状化粧料抜け防止リブを突出して形成するものである。
【0014】
そのため、芯チャックの把持部をなす複数の螺旋線条体の内側面に沿って形成される棒状化粧料抜け防止リブは、芯チャックの把持部をなす複数の螺旋線条体の有する弾性によって、該螺旋線条体の保持する棒状化粧料の表面に食い込むものとなる。その結果、棒状化粧料は軸方向に引張されても、棒状化粧料の表面に強固に食い込む棒状化粧料抜け防止リブによって確実に芯チャックの把持部内に把持され、芯チャックより抜出することは防止できる。
【0015】

更に、第3の特徴として、上記第1及び第2の特徴を踏まえて、

上記該芯チャックの把持部をなす複数の螺旋線条体において、各螺旋線条体の内側面の内底部近傍において、棒状化粧料の端部が当接することとなるストッパーを突出形成するものである。
【0016】

そのため、芯チャックの把持部内に把持されている棒状化粧料の端部はストッパーに当接して一体となる。従って、棒状化粧料に対して軸方向への押勢力が加わってもそれ以上芯チャックの把持部内を軸方向に移動することはない。その結果、ストッパーにより螺旋線条体を根元から拡開させる必要がなくなり、即ち棒状化粧料を把持するのに最低限の拡開で足り、棒状化粧料を均一に保持することができる。
【発明の効果】
【0017】

本願発明は、柔軟な棒状化粧料に対する折損や摩耗を防止してカートリッジ筒より円滑且つ確実に出没自在させるとともに、製造工程において芯チャックに対して該棒状化粧料を簡易且つ確実に保持させて作業性の向上を図ることができるという優れた効果を有する。
【実施例】
【0018】

図1乃至図6において示される1は、本願発明の実施例である棒状化粧料容器である。該棒状化粧料容器1は、カートリッジ筒2と該カートリッジ筒2を脱着自在となる容器本体6とから構成される。
【0019】

まず、一方の該カートリッジ筒2は、例えば口紅やアイライナー等の柔軟な棒状化粧料3、該棒状化粧料3を把持する芯チャック4及びスプリング5を着装するものである。

該カートリッジ筒2は、後端開口部2aにブッシュ2bを装着するとともに、その内部を貫通する貫通孔2cを穿設し、該貫通孔2cの内壁面には三本の螺旋雌ネジ溝2dを螺設してなるものである。

該芯チャック4は、カートリッジ筒2の貫通孔2cの内壁面に螺設される三本の螺旋雌ネジ溝2dに摺動自在に遊嵌する突起部4fをその外周面の基部に突設するとともに、弾性を持って径方向に拡開、縮小する三本の螺旋線条体4aからなる把持部4bと、後述する押棒11の先端と常に当接する基部4cとからなるものである。

そのため、カートリッジ筒2においては、芯チャック4の把持部4bをなす三本の螺旋線条体4aの外周面の基部に突設する突起部4fを、カートリッジ筒2の貫通孔2cの内壁面に螺設される三本の螺旋雌ネジ溝2dに対して摺動自在に遊嵌するとともに、該芯チャック4の基部4cとカートリッジ筒2の後端開口部2aのブッシュ2bとの間にスプリング5を伸縮自在に介装してなるものである。
【0020】

次に、他方の該容器本体6は、継手筒7、軸筒8及び該軸筒8内に繰り出し機構9を内装してなるものである。

該継手筒7は、カートリッジ筒2を保持する保持部7aと、後述する軸筒8内に嵌合する嵌合部7bとからなるものである。

該軸筒8は、後述する繰り出し機構9を内装できるように筒状となっている。

該繰り出し機構9はネジ筒10、押棒11、溝筒12及びスプリング13からなるものである。

該ネジ筒10は、軸筒8内に固持されるとともに、その内壁面に螺旋溝10aを螺設するものである。

該押棒11は、ネジ筒10の螺旋溝10aに遊嵌する突起11aを外壁面に突設するものである。

該溝筒12は、ネジ筒10と押棒11との間で押棒11の突起11aを軸方向に直進させる案内溝12aを溝設するものである。

そこで、容器本体6においては、押棒11の外周に溝筒12を、該溝筒12の外周に軸筒8内に固持されるネジ筒10を配置すると共に、ネジ筒10の後端と押棒11の後端との間にスプリング13を伸縮自在に介装した上で、押棒11の外壁面に突設する突起11aを溝筒12の案内溝12aを通してネジ筒10の内壁面の螺旋溝10aに摺動自在に遊嵌するものである。
【0021】

以上のように、カートリッジ筒2と容器本体6とは構成され、該カートリッジ筒2と容器本体6とを回転自在に一体として本願発明の実施例である棒状化粧料容器1とする。

まず、容器本体6をなす軸筒8を回転させることで容器本体6の軸筒8内に内装する繰り出し機構9により押棒11を進退させるものである。そして、該押棒11の進退によってスプリング13を伸縮させながら、押棒11の先端が当接する芯チャック4においてスプリング5を伸縮させつつ進退させるものである。その結果、該芯チャック4cに保持される棒状化粧料3はカートリッジ筒2より出没するものである。
【0022】

さらに、上記該芯チャック4の把持部4bをなす三本の螺旋線条体4aにおいて、各螺旋線条体4aの内側面に沿って棒状化粧料3と係合する棒状化粧料抜け防止リブ4dを突出して形成するものである。
【0023】

また、上記該芯チャック4の把持部4bをなす三本の螺旋線条体4aにおいて、各螺旋線条体4aの内側面の内底部近傍において、棒状化粧料3の端部が当接するストッパー4eを突出形成するものである。
【0024】

その上、上記容器本体6を構成する軸筒8の後端において後方開口部8aを形成するとともに、該後方開口部8aにキャップ14a、刷子14b及び該刷子14bを固持する刷子ホルダー14cとからなる刷子カートリッジ体14を挿嵌、固持してなるものである。
【0025】

本願発明の実施例である棒状化粧料容器1は以上の構成を具えるので、使用者は以下のようにして使用に供するものである。

即ち、上記棒状化粧料容器1より棒状化粧料3を突出させるにあたっては、使用者はカートリッジ筒2を把持するとともに、容器本体6をなす軸筒8を回転させるものである。そのため該軸筒8の回転により、軸筒8内に固持されるネジ筒10は軸筒8とともに回転し、該ネジ筒10の内壁面の螺旋溝10aには溝筒12の軸方向に直進する案内溝12aを介して押棒11の外壁面に突設する突起11aが摺動自在に遊嵌されている。その結果、容器本体6内において該押棒11は、該押棒11とネジ筒10との間に介装したスプリング13を伸長させながら、溝筒12内を前進するものとなる。そして容器本体6内を前進する押棒11は、その先端が当接する芯チャック4をなす基部4c後端を押勢するものである。さらに、押棒11は該芯チャック4の基部4cとカートリッジ筒2の後端開口部2aのブッシュ2bとの間に介装されるスプリング5を伸長させつつ押勢するので、芯チャック4の把持部4bをなす三本の螺旋線条体4aの外周面の基部に突設された突起部4fはカートリッジ筒2の貫通孔2cの内壁面に螺設された螺旋雌ネジ溝2dに沿って回転しながら前進するものとなる。従って、該芯チャック4に把持された棒状化粧料3は芯チャック4の前進に伴ってカートリッジ筒2の開口部2cより突出するものとなる。

そして、棒状化粧料3を塗布した後は、棒状化粧料容器1を反転させて、刷子カートリッジ体14のキャップ14aを外して刷子ホルダー14cに固持される刷子14bによって、塗布した棒状化粧料3を適宜調整することができるものである。
【0026】

なお、このようにカートリッジ筒2より突出した棒状化粧料3を引き抜こうとしても、芯チャック4の三本の螺旋線条体4aの内側面に沿って配設される棒状化粧料3と係合する棒状化粧料抜け防止リブ4dにより棒状化粧料3は確実に固持されている。その結果、棒状化粧料容器1より柔軟な棒状化粧料3が脱落しすることを防止できる。

また、芯チャック4の三本の螺旋線条体4aの外周面の基部に突設される突起部4fがカートリッジ筒2の貫通孔2cの内壁面に螺設された3本の螺旋雌ネジ溝2dに各々遊嵌することで次のようになるものである。即ち、

まず棒状化粧料3を把持する三本の螺旋線条体4aに対しては直接衝撃力が伝達されにくくなるので棒状化粧料3は変形しにくくなる。

その上、芯チャック4の把持部4bをなす三本の螺旋線条体4aとカートリッジ筒2の貫通孔2cの内壁面との間には間隙が形成される。その結果、芯チャック4が貫通孔2cの内壁面と接触することはなく、該芯チャック4が把持する棒状化粧料3の変形や折損を防止できるものである。
【0027】

さらに、上記芯チャック4の把持部4bをなす三本の螺旋線条体4aにおいて、各螺旋線条体4aの内側面の内底部近傍においてストッパー4eを突出形成しているので、棒状化粧料3の端部は当接して芯チャック4と一体となる。その結果、ストッパー4eにより三本の螺旋線条体4aを根元から拡開させる必要がなく、即ち最低限だけ拡開させれば足り、棒状化粧料3を均一に保持することができるものとなる。
【0028】

また、使用後は容器本体6の軸筒8を反対方向に回転させることで、押棒11はネジ筒10内を後退するとともに、棒状化粧料3を突出させるにあたって伸長していたスプリング13は圧縮する。その結果、芯チャック4は再びカートリッジ筒2の貫通孔2cの内壁面に螺設される螺旋雌ネジ溝2dに沿って回転しつつ、且つスプリング5を圧縮しながら後退するので、該芯チャック4の把持部4bに把持された棒状化粧料3はカートリッジ筒2内に没入するものである。
【0029】

なお、芯チャック4の把持部4bに対して棒状化粧料3を把持させるにあたっては、図6において示すようにするものである。即ち、カートリッジ筒2の後端より芯チャック4を挿入し、貫通孔2cの内壁面に螺設される螺旋雌ネジ溝2dに係合させるととも、カートリッジ筒2の軸線方向には相対移動を抑止して螺旋雌ネジ溝2dの螺旋の巻き方向とは逆方向に捻ることで、該芯チャック4の把持部4bをなす三本の螺旋線条体4aの内径は拡開する。そして、カートリッジ筒2の後部方向よりエアー吸引を行うことでカートリッジ筒2の先端開口部2eにおいて貫通孔2c内への吸引力が発生する。その結果、カートリッジ筒2の先端開口部2eより吸引された棒状化粧料3はカートリッジ筒2内の貫通孔2cを通して芯チャック4の把持部4b内においてストッパー4eに当接するまで装填されるものとなる。その後、芯チャック4の三本の螺旋線条体4aに対する捻りを解除することで、芯チャック4の三本の螺旋線条体4aは拡開していた内径を縮小させて確実に棒状化粧料3を把持するものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0030】

本願発明は、口紅やアイライナー等の柔軟な棒状化粧料を円滑且つ確実に出没させることができるとともに、しかも該棒状化粧料を容易に芯チャックに把持させることができることから、棒状のり等を出没自在に収容する容器にも広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】

【図1】本願発明の実施例である棒状化粧料容器の正面図である。
【図2】本願発明の実施例である棒状化粧料容器の断面図である。
【図3】本願発明の実施例である棒状化粧料容器における芯チャックの正面図である。
【図4】本願発明の実施例である棒状化粧料容器におけるカートリッジ筒の断面図である。
【図5】本願発明の実施例である棒状化粧料容器におけるカートリッジ筒での棒状化粧料を把持する芯チャックの作動状態を示す模式図である。
【図6】本願発明の実施例である棒状化粧料容器におけるカートリッジ筒での芯チャックに対する棒状化粧料を把持させる条体を示す図である。
【符号の説明】
【0032】

1 棒状化粧料容器

2 カートリッジ筒
2a 後端開口部
2b ブッシュ
2c 貫通孔
2d 螺旋雌ネジ溝
2e 先端開口部

3 棒状化粧料

4 芯チャック
4a 螺旋線条体
4b 把持部
4c 基部
4d 棒状化粧料抜け防止リブ
4e ストッパー
4f 突起部

5 スプリング

6 容器本体

7 継手筒
7a 保持部
7b 嵌合部

8 軸筒
8a 後方開口部

9 繰り出し機構

10 ネジ筒
10a 螺旋溝

11 押棒
11a 突起

12 溝筒
12a 案内溝

13 スプリング

14 刷子カートリッジ体

14a キャップ

14b 刷子

14c 刷子ホルダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジ筒と該カートリッジ筒と脱着自在となる容器本体とから構成され、

一方の該カートリッジ筒は、棒状化粧料、該棒状化粧料を把持する芯チャック及びスプリングを着装し、

該カートリッジ筒は、後端開口部にブッシュを装着するとともに、その内部を貫通する貫通孔の内壁面に複数の螺旋雌ネジ溝を螺設し、

該芯チャックは、該貫通孔の内壁面に螺設される複数の螺旋雌ネジ溝に摺動自在に遊嵌する突起部をその外周面の基部に突設するとともに、弾性を持って径方向に拡開、縮小する複数の螺旋線条体からなる把持部と、後述する押棒の先端と常に当接する基部とからなり、

棒状化粧料を弾性を持って把持する芯チャックの把持部をなす複数の螺旋線条体の外周面の基部に突設する突起部を、カートリッジ筒の貫通孔の内壁面に螺設される複数の螺旋雌ネジ溝に対して摺動自在に遊嵌するとともに、その把持部において棒状化粧料を弾性を持って把持する芯チャックの基部とカートリッジ筒の後端開口部のブッシュとの間にスプリングを伸縮自在に介装するものであって、

他方の該容器本体は、継手筒、軸筒及び該軸筒内に繰り出し機構を内装し、

該継手筒は、カートリッジ筒を保持する保持部と、後述する軸筒内に嵌合する嵌合部とからなり、

該軸筒は、その内部に繰り出し機構を内装するように一端を封止する筒体であり、

該繰り出し機構は、軸筒の回転に合わせて芯チャックの基部に常に当接する押棒を進退させ、

軸筒内に繰り出し機構を内装するとともに、該軸筒に対して継手筒の嵌合部を嵌合するものであって、

上記容器本体の軸筒を回転させることで棒状化粧料をカートリッジ筒より出没させることを特徴とする棒状化粧料容器。
【請求項2】
上記該芯チャックの把持部をなす複数の螺旋線条体において、各螺旋線条体の内側面に沿って棒状化粧料と係合することとなる棒状化粧料抜け防止リブを突出して形成することを特徴とする請求項1記載の棒状化粧料容器。
【請求項3】
上記該芯チャックの把持部をなす複数の螺旋線条体において、各螺旋線条体の内側面の内底部近傍において、棒状化粧料の端部が当接することとなるストッパーを突出形成することを特徴とする請求項1又は2記載の棒状化粧料容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−63556(P2010−63556A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−231593(P2008−231593)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000223986)フィグラ株式会社 (68)