説明

棒状化粧料電動繰出容器

【課題】使用者の意図に反してモータが勝手に駆動するような事態の発生を回避できる棒状化粧料電動繰出容器を提供する。
【解決手段】キャップ6を容器本体2から外し、筒体1を容器本体2に対して軸線周りに回転させると、モータユニット10の筒体係合部10aが初期位置から回転してモータ10fが駆動し、このモータ10fの駆動に伴い、モータユニット10の螺子筒係合部10bと螺子筒4が同期回転し、螺合部3c,4aが働いて移動体3が軸線方向に移動し、これによって棒状化粧料Mの繰り出し/繰り戻しを行う。そして、使用しないときは、キャップ6を容器本体2に取り付け、筒体1をキャップ6により覆った状態とすることで、筒体1を容器本体2に対して回転できないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状化粧料を電動で繰り出し/繰り戻しする棒状化粧料電動繰出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、口紅等の棒状化粧料を収容した容器や、液状化粧料を収容したボトルタイプのマスカラ容器において、モータを使用したものが知られている。棒状化粧料を収容した容器の場合は、モータの回転駆動に伴い移動体が軸線方向に移動し、これにより、棒状化粧料の繰り出し/繰り戻しをすることができるというものである。また、ボトルタイプのマスカラ容器の場合は、以下の特許文献1に記載のように、ハンドル内に収容されているモータによってブラシヘッド及びマスカラブラシを回転させ、この自動回転しているマスカラブラシを睫毛にあてがうことで、マスカラ液の塗布を手際良く行うことができるというものである。
【0003】
このような容器にあっては、モータを駆動するためのスイッチが、特許文献1に記載のように、容器の外面である外側に設けられており、棒状化粧料を収容した容器にあっては、通常、容器の後端部に周方向に回転可能に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−95531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような棒状化粧料を自動で繰り出す容器において、容器の外側にスイッチが設けられている場合、当該容器をハンドバッグ等に入れて持ち運んだとき等に、使用者の意図に反してスイッチがオンとなってしまい、モータが勝手に駆動し、棒状化粧料がキャップの中で繰り出されて潰れてしまうといった問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、使用者の意図に反してモータが勝手に駆動するような事態の発生を回避できる棒状化粧料電動繰出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による棒状化粧料電動繰出容器は、棒状化粧料を収容する筒体と、筒体と軸線方向に移動不能且つ軸線周りに回転可能に係合する容器本体と、筒体を覆い隠すように容器本体と着脱自在に係合するキャップと、先端に棒状化粧料を支持すると共に外周部に雄螺子を備え筒体内を軸線方向に移動可能且つ筒体と軸線周りに回転不能な移動体と、筒体内に配置され当該筒体に軸線方向に移動不能且つ軸線周りに回転可能とされ内周部に雄螺子と螺合する雌螺子を備えた螺子筒と、螺子筒と同期回転可能に係合する第1係合部、筒体と軸線周りに回転不能に係合する第2係合部、及び第2係合部が初期位置に位置するときにオフとなり第2係合部の初期位置からの回転時にオンとなるスイッチを備えスイッチがオンとなると第1係合部を回転駆動させるモータを有し、容器本体内に軸線方向に移動不能且つ軸線周りに回転可能に収容されたモータユニットと、を備え、筒体の容器本体に対する初期位置から一方向への相対回転により、第2係合部が初期位置から一方向に回転してスイッチがオンとなり、モータが第1係合部を回転駆動させ、第1係合部と螺子筒が同期回転することによって、螺子筒の雌螺子及び移動体の雄螺子より構成される螺合部が働いて移動体が繰り出し方向に移動し、筒体の容器本体に対する初期位置から他方向への相対回転により、第2係合部が初期位置から他方向に回転してスイッチがオンとなり、モータが第1係合部を反対方向に回転駆動させ、第1係合部と螺子筒が同期回転することによって、螺合部が働いて移動体が繰り戻し方向に移動することを特徴とする。
【0008】
このような棒状化粧料電動繰出容器によれば、キャップを容器本体から外し、筒体を容器本体に対して軸線周りに回転させると、モータユニットの第2係合部が初期位置から回転してモータが駆動し、このモータの駆動に伴い、モータユニットの第1係合部と螺子筒が同期回転し、螺合部が働いて移動体が軸線方向に移動し、これによって棒状化粧料の繰り出し/繰り戻しが行われる。そして、使用しないときは、キャップが容器本体に取り付けられ、筒体がキャップに覆われた状態となり、筒体を容器本体に対して回転することができなくなる。従って、不使用時には筒体が回転せず、使用者の意図に反して勝手にモータが駆動する事態の発生を回避することができる。
【0009】
ここで、第2係合部をその初期位置に位置させるように付勢する付勢部材を備えた場合、棒状化粧料を繰り出し又は繰り戻している際に使用者が筒体又は容器本体から手を放すと付勢部材の付勢力により自動的に筒体が初期位置に戻り、スイッチがオフとなる。その結果、不要な棒状化粧料の繰り出し/繰り戻しを防止することが可能となり、操作性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
このように本発明によれば、使用者の意図に反してモータが勝手に駆動するような事態の発生を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る棒状化粧料電動繰出容器の外観を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係る棒状化粧料電動繰出容器を示す縦断面図である。
【図3】図2の状態からキャップを取り外し棒状化粧料を繰り出した状態を示す断面斜視図である。
【図4】図1〜図3中の筒体を示す断面斜視図である。
【図5】図1〜図3中の容器本体を示す断面斜視図である。
【図6】図2及び図3中の螺子筒を示す断面斜視図である。
【図7】図2中のモータユニット及び尾栓を前方から見た斜視図である。
【図8】図7中の尾栓を示す斜視図である。
【図9】図7中のモータユニットを後方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明による棒状化粧料電動繰出容器の好適な実施形態について図1〜図9を参照しながら説明する。なお、各図において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る棒状化粧料電動繰出容器の外観を示す斜視図、図2は、棒状化粧料電動繰出容器の縦断面図、図3は、キャップを取り外し棒状化粧料を繰り出した状態を示す断面斜視図、図4〜図6は、筒体、容器本体、螺子筒の各断面斜視図、図7は、モータユニット及び尾栓を前方から見た斜視図、図8は、尾栓を前方から見た斜視図、図9は、モータユニットを後方から見た斜視図である。本実施形態の棒状化粧料電動繰出容器は、例えば、アイライナー、アイブロー、リップライナー、コンシーラー等を始めとした種々の棒状化粧料を収容し、使用者が必要に応じて適宜出没可能とするものである。
【0014】
図1に示すように、棒状化粧料電動繰出容器100は、全体形状が筆記具の如き細長い丸棒状(スティック状)を成し良好な外観を呈するもので、容器前部を構成する筒体1と、容器後部を構成する容器本体2と、を外形構成として具備し、容器本体2にキャップ6が着脱自在に装着される。そして、筒体1及び容器本体2内には、図2及び図3に示すように、棒状化粧料Mと、これを支持する移動体3と、移動体3と螺合部を構成する螺子筒4と、螺子筒4の外周を覆うように設けられる緩衝部材としてのバネ部材7と、分解時に螺子筒4の後方への抜けを防止するための固定リング9と、螺子筒4を回転駆動させるためのモータユニット10とが収容される。また、容器本体2の後端部には、尾栓5が装着される。
【0015】
筒体1は、図2〜図4に示すように、軸線方向の中程の外周面に段差部1aを有する段付き円筒状に構成され、この段差部1aにより後側の小径となる円筒部が、容器本体2に挿入される挿入部1bとされている。また、筒体1には、その挿入部1bの外周面に容器本体2と軸線方向に係合するための環状突部1cが設けられる。
【0016】
筒体1には、その後端部内周面に、周方向に多数の凹凸部が並設されて当該凹凸部が軸線方向に所定長延びて形成されるローレット1dを有している。このローレット1dは、モータユニット10の後述する筒体係合部10a(第2係合部)を回転方向に係合するためのものである。また、筒体1の内周面におけるローレット1dの前側部分には、固定リング9を軸線方向に係合するための凸部1iが設けられる。
【0017】
また、筒体1には、図3及び図4に示すように、筒体1の内周面の軸線方向中央部付近に、後側が大径となるように凹設した段差部1pが設けられる。この段差部1pは、バネ部材7の前端の前方移動を阻止し挟み込むためのものである。また、筒体1の内周面における段差部1pと後端との間の略中央には、螺子筒4の後述する鍔部4bの軸線方向前側への移動を阻止すべく係合する段差部1qが設けられる。
【0018】
図2〜図4に示すように、筒体1の軸線方向に貫通する筒孔は、その前半部が棒状化粧料Mを収容し摺動可能とする棒状化粧料孔1eとされ、この棒状化粧料孔1eに続く筒孔が、螺子筒4を収容するための孔とされている。また、筒体1には、棒状化粧料孔1eの先端近傍から続く移動体3の軸線方向の移動範囲に亘って当該棒状化粧料孔1eの周面の複数個所(例えば、四等配の位置)に、移動体3の後述する支持片3eを収容し摺動可能とする支持片溝1fが連設され、これらの棒状化粧料孔1e及び支持片溝1fにより、棒状化粧料M及び支持片3eが摺動する進退孔1gが構成されている。
【0019】
容器本体2は、図2、図3及び図5に示すように、軸線方向の先端側の外周面に段差部2pを有する段付き円筒状に構成され、段差部2pより前側の小径となる円筒部2qが、キャップ6が外挿されるキャップ装着部とされている。この容器本体2の円筒部2qの外周面には、キャップ6を軸線方向に係合するための環状凸凹部(凸凹部が先端側からこの順に軸線方向に並ぶもの)2cが設けられている。
【0020】
容器本体2の後端側の内周面には、尾栓5を容器本体2に軸線方向に係合するための環状凹凸部(凹凸部が先端側からこの順に軸線方向に並ぶもの)2aが軸線方向に並設されている。また、容器本体2の環状凹凸部2aより前側の内周面には、周方向に多数の凹凸部が並設されて当該凹凸部が軸線方向に所定長延びて形成されるローレット2bが設けられる。このローレット2bは、尾栓5を回転方向に係合するためのものである。また、容器本体2の段差部2p辺りの内周面には、筒体1の環状突部1cを軸線方向に係合するための環状凸部2dが設けられる。
【0021】
そして、容器本体2に対して、筒体1の挿入部1bが内挿され、容器本体2の先端面に筒体1の段差部1aが突き当てられ、容器本体2の内周面の環状凸部2dを筒体1の外周面の環状突部1cが乗り越え当該環状突部1cと軸線方向に係合することにより、容器本体2に対して筒体1が軸線方向に移動不能且つ軸線周りに回転可能に装着される。
【0022】
移動体3は、図2及び図3に示すように、棒状化粧料Mの後端部を支持するための支持部3aと、この支持部3aの後側に位置する軸体部3bと、を備えている。軸体部3bは、軸線方向に延在する軸体であり、当該軸体部3bの後端外周面には、螺合部の一方を構成する雄螺子である一対の螺合突起3cが設けられている(図2参照)。支持部3aは、その外形が棒状化粧料Mの外形に略一致し棒状化粧料Mの後端面を突き当てるための基部3dと、この基部3dにおける外周面の周方向の複数位置(ここでは四等配の位置)に先端側に向かって突出するように設けられ、基部3dに突き当てられた棒状化粧料Mの後端部を相互間に挟んで支持する支持片3eと、を備えている。
【0023】
移動体3は、その基部3dが筒体1の棒状化粧料孔1eに進入すると共にその支持片3eが筒体1の支持片溝1fに進入するようにして、進退孔1gに内挿されている。従って、移動体3の支持片3eが進入する支持片溝1fが、移動体3の回り止めとされて移動体3を軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動可能に係合すると共に、支持片溝1fの先端面1hが、移動体3の支持片3eの先端面が突き当たる移動体3の前進限とされている。また、図2に示すように、移動体3の基部3dの後端面が螺子筒4の前端に接触した状態が移動体3の後退限とされている。
【0024】
螺子筒4は、図2及び図6に示すように、略円筒状に構成され、その内周面に、軸線方向に延びるように、移動体3の螺合突起3cと螺合する雌螺子4aが設けられる。この雌螺子4aは、螺合部の他方を構成する。また、螺子筒4の外周面の軸線方向の中央部付近には、バネ部材7の後端の後方移動を阻止し挟み込むと共に筒体1の段差部1q(図3参照)に軸線方向に係合するための鍔部4bが設けられる。また、螺子筒4の後端部の内周面には、軸線方向に延びる突条4cが周方向に複数並設されている。これらの突条4cは、モータユニット10の後述する螺子筒係合部10b(第1係合部)を同期回転可能に係合するためのものである。
【0025】
そして、螺子筒4は、筒体1に内挿され、その鍔部4bが筒体1の段差部1qに軸線方向に係合することで、筒体1に軸線周りに回転可能とされ、また、このような状態にあって、螺子筒4内に移動体3の軸体部3bが進入し、螺子筒4の内周面の雌螺子4aに、移動体3の外周面の螺合突起3cが螺合する状態とされている。
【0026】
固定リング9は、図2に示すように、その外周面に、凸部1iに軸線方向に係合するための環状凹部9aが軸線方向に離間して並設されている。
【0027】
そして、固定リング9は、筒体1に内挿され、その環状凹部9aが筒体1の内周面の凸部1iに軸線方向に係合することにより、筒体1に軸線方向に移動不能に装着される。この固定リング9により、例えば容器本体2の内部に収容されたモータユニット10を交換するときに、尾栓5を外した際、螺子筒4及びバネ部材7が意図せず容器本体2の後端の開口から後方へ脱落しないようになっている。なお、環状凹部9aが軸線方向に2個設けられているのは、組立時にいずれを前にして内挿しても組み立てられるようにするためである。
【0028】
バネ部材7は環状コイルバネであり、図2及び図3に示すように、螺子筒4の外周を囲繞するように設けられ、筒体1の段差部1pの後端面と、螺子筒4の鍔部4bの前面の間に挟み込まれている。このバネ部材7は、容器落下時等の外力作用時に、筒体1及び容器本体2の内部に伝わる衝撃を緩和し、棒状化粧料Mを保護する機能を有する。なお、このバネ部材7は無くても良い。
【0029】
モータユニット10は、図3、図7及び図9に示すように、軸線方向に延びる円筒状の筐体10sを有している。このモータユニット10には、筐体10sの前端面の外周側に円環状に突出する筒体係合部10aが設けられる。この筒体係合部10aは、その外周面に、軸線方向に所定長延びる突条10dを周方向に複数個所(ここでは八等配の位置)有する。これらの突条10dは、筒体1のローレット1dを回転方向に係合するためのものである。
【0030】
また、モータユニット10の筒体係合部10aの内側には、図7に示すように、前方に露出して螺子筒係合部10bが設けられる。この螺子筒係合部10bは、モータユニット10の出力ギヤであり、螺子筒4の突条4cを同期回転可能に係合するためのものである。
【0031】
また、モータユニット10は、図2に示すように、筐体10s内部に、電池10e、モータ10f及び減速ギヤ10gを備え、電池10eの電力によりモータ10fが回転駆動し、その回転駆動力が減速ギヤ10gを介して、螺子筒係合部10bに伝達され、螺子筒係合部10bが回転する。なお、図2では、電池10eが2個設けられているが、必ずしも2個でなくてもよい。
【0032】
また、モータユニット10の後端部には、図9に示すように、その後端中央部から後方に突出する軸部10hが設けられ、この軸部10hには捩りコイルバネ10iが巻回されている。捩りコイルバネ10iの一方の端部は径方向に延び、その先端が後方に折り曲げられて端子10cとされている。また、モータユニット10の後端面には、内部から後方に導線10p,10q,10rが延出している。そして、モータユニット10の後端面において、端子10cを周方向から挟む一方側に、導線10rに接続される第1接触導通部10kが、端子10cを周方向から挟む他方側に、導線10pに接続される第2接触導通部10jが、それぞれ設けられ、さらに、捩りコイルバネ10iの他方の端部には導線10qが接続されている。第1接触導通部10k及び第2接触導通部10jは、筐体10s及び筒体係合部10aと一体回転するようになっている。
【0033】
捩りコイルバネ10iは、その端子10cが、第1接触導通部10kと第2接触導通部10jの間であって第1接触導通部10k又は第2接触導通部10jのいずれにも接触しない初期位置に位置するように、筐体10s及び筒体係合部10aを付勢する付勢部材として機能する。
【0034】
また、上記の導線10p,10q,10rは、いずれも筐体10s内部において電池10e及びモータ10fに電気的に接続されており、端子10c、第1接触導通部10k及び第2接触導通部10jにより、モータ10fを駆動させるためのスイッチが構成されている。このスイッチは、端子10cが第1接触導通部10k又は第2接触導通部10jのいずれにも接触していない初期位置の状態でオフとされ、第1接触導通部10k又は第2接触導通部10jのいずれかに接触したときにオンとされる。
【0035】
そして、モータユニット10は、容器本体2内に内挿され、図2に示すように、その前端部において、筒体係合部10aの突条10dが筒体1のローレット1dと回転方向に係合することにより、その筒体係合部10aが筒体1と軸線周りに回転不能に係合されると共に、螺子筒係合部10bが螺子筒4の突条4cと回転方向に係合することにより、その螺子筒係合部10bが螺子筒4と同期回転可能に係合される。また、捩りコイルバネ10iが筐体10sを介して筒体係合部10aを付勢することにより、筒体1も、容器本体2に対して初期位置に位置するように付勢される。
【0036】
尾栓5は、図7及び図8に示すように、有底円筒状に構成され、その後端部に鍔部5aを有する。この鍔部5aより前側の外周面には、容器本体2の環状凹凸部2aと軸線方向に係合するための環状凸凹部5bが設けられ、その更に前側の外周面には、軸線方向に所定長延びる突条5cが周方向に複数個所(ここでは四等配の位置)に設けられる。この突条5cは、容器本体2のローレット2bを回転方向に係合するためのものである。また、尾栓5は、その前端側の内周面に、当該内周面に沿って内側に張り出す環状張出部5fを備え、この環状張出部5fに、前方に開口される孔部5dを有する。孔部5dは、モータユニット10の端子10cを挿入するためのものである。
【0037】
そして、尾栓5は、容器本体2の後端の開口から押し込まれ、図2に示すように、その突条5cがローレット2bに回転方向に係合することにより、容器本体2に対して軸線周りに回転不能とされると共に、環状凸凹部5bが環状凹凸部2aに軸線方向に係合することにより、容器本体2に対して軸線方向に移動不能とされて、容器本体2に装着される。
【0038】
この状態で、尾栓5の孔部5dにモータユニット10の端子10cが挿入され、孔部5dが端子10cを回転方向に保持することにより、尾栓5に対して、モータユニット10の端子10cが回転不能とされる。そして、尾栓5が容器本体2に装着されることで、モータユニット10は、容器本体2内に軸線方向に移動不能且つ回転可能に収容された状態となる。
【0039】
また、尾栓5は、パッキン8を介して容器本体2に装着され、このパッキン8により、筒体1及び容器本体2内の気密性が高められる。
【0040】
キャップ6は、図1及び図2に示すように、有底円筒状に構成される。このキャップ6は、その開放端側の内周面に、容器本体2の環状凸凹部2cに軸線方向に係合するための環状凸部6a(図2参照)を備える。そして、キャップ6は、筒体1を覆い隠すようにして容器本体2の円筒部2qに外挿されて段差部2pに突き当てられることで、その環状凸部6aが環状凸凹部2cの凸部を乗り越えて凹部に進入して軸線方向に係合し、容器本体2に着脱自在に装着される。
【0041】
以上のように構成される棒状化粧料電動繰出容器100における作用について以下に説明する。まず、使用者が、棒状化粧料電動繰出容器100を使用する際には、キャップ6を容器本体2から外し、図1に示すように、筒体1を露出させた状態にする。この状態においては、筒体1及び筒体係合部10aは初期位置に位置している。
【0042】
この状態において、使用者が筒体1を容器本体2に対して一方向(ここでは時計周り)に回転させると、ローレット1d及び筒体係合部10a(突条10d)が時計周りに同期回転し、これに伴い、筐体10s、第1接触導通部10k及び第2接触導通部10jが、端子10cに対して、時計周りに回転する。そして、第1接触導通部10kが端子10cに接触してスイッチがオンとなり、モータ10fが電池10eから電力を得て駆動し、この駆動力が、減速ギヤ10gを介して螺子筒係合部10bに伝達され、螺子筒係合部10bが第1方向(例えば時計周り)に回転する。この螺子筒係合部10bの回転により、螺子筒4が第1方向に同期回転し、螺子筒4の雌螺子4a及び移動体3の螺合突起3cより構成される螺合部が働いて移動体3が繰り出し方向に移動し(前進し)、棒状化粧料Mが進退孔1gの先端から出現する。
【0043】
そして、使用者が筒体1から手を放すと、捩りコイルバネ10iの付勢力により、筒体1及び筒体係合部10aが初期位置に戻り、第1接触導通部10kが端子10cから離れてスイッチがオフとなる。これに伴い、筒体1も自動的に初期位置に戻り、これにより、棒状化粧料Mの前進が停止し、使用状態とされる。
【0044】
そして、使用後に、使用者が、筒体1を容器本体2に対して他方向(ここでは反時計回り)に回転させると、ローレット1d及び筒体係合部10a(突条10d)が反時計周りに同期回転し、これに伴い、筐体10s、第1接触導通部10k及び第2接触導通部10jが、端子10cに対して、反時計回りに回転する。そして、第2接触導通部10jが端子10cに接触してスイッチがオンとなり、螺子筒係合部10bが上記第1方向とは反対方向の第2方向(例えば反時計回り)に回転し、移動体3が繰り戻し方向に移動して、棒状化粧料Mが進退孔1gの先端から没入する。
【0045】
以上のように、本実施形態の棒状化粧料電動繰出容器100によれば、キャップ6を容器本体2から外し、筒体1を容器本体2に対して軸線周りに回転させると、モータユニット10の筒体係合部10aが初期位置から回転してモータ10fが駆動し、このモータ10fの駆動に伴い、モータユニット10の螺子筒係合部10bと螺子筒4が同期回転し、螺合部3c,4aが働いて移動体3が軸線方向に移動し、これによって棒状化粧料Mの繰り出し/繰り戻しが行われる一方で、使用しないときは、キャップ6が容器本体2に取り付けられ、筒体1がキャップ6に覆われた状態となり、筒体1を容器本体2に対して回転させることができなくなるため、不使用時には筒体1が回転せず、使用者の意図に反して勝手にモータ10fが駆動する事態の発生を確実に回避することができる。
【0046】
また、筒体1及び筒体係合部10aをそれらの初期位置に位置させる捩りコイルバネ10iを付勢部材として備えているため、棒状化粧料Mを繰り出し又は繰り戻している際に使用者が筒体1又は容器本体2から手を放すと捩りコイルバネ10iの付勢力により自動的に筒体1及び筒体係合部10aが初期位置に戻り、スイッチがオフとなる結果、不要な棒状化粧料Mの繰り出し/繰り戻しを防止することができ、操作性を向上させることができる。
【0047】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、螺子筒4は、その鍔部4bが筒体1の段差部1qに係合することにより、筒体1に対して軸線方向に移動不能に係合する例を説明したが、係合の態様は上記に限られず、例えば螺子筒4をモータユニット10の螺子筒係合部10bに固着させて軸線方向に移動不能としてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、モータユニット10の後端部の態様として、捩りコイルバネ10iが設けられ、この捩りコイルバネ10iが端子10cと付勢部材を兼用しているが、兼用とせず別途新たにコイルバネ等を設けて、これを付勢部材として使用してもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、固定リング9を螺子筒4及び移動体3の脱落防止のために設けているが、この固定リング9に限られず、例えば、筒体1の内周面に突起部を設けて、この突起部に鍔部4bを接触させることにより螺子筒4及び移動体3の脱落を防止するようにしてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、バネ部材7を筒体1の段差部1pの後端面と螺子筒4の鍔部4bの前面の間に挟みこんでいるが、バネ部材7の両端部を支持してもよい。
【0051】
また、雄螺子、雌螺子は、上記の態様に限定されず、間欠的に配される突起群又は螺旋状且つ間欠的に配される突起群のように螺子山と同様な働きをするものであれば良い。
【符号の説明】
【0052】
1…筒体、2…容器本体、3…移動体、3c…螺合突起(螺合部)、4…螺子筒、4a…雌螺子(螺合部)、6…キャップ、10…モータユニット、10a…筒体係合部(第2係合部)、10b…螺子筒係合部(第1係合部)、10c…端子(スイッチ)、10j…第1接触部(スイッチ)、10k…第2接触部(スイッチ)、10f…モータ、M…棒状化粧料。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状化粧料を収容する筒体と、
前記筒体と軸線方向に移動不能且つ軸線周りに回転可能に係合する容器本体と、
前記筒体を覆い隠すように前記容器本体と着脱自在に係合するキャップと、
先端に前記棒状化粧料を支持すると共に外周部に雄螺子を備え前記筒体内を軸線方向に移動可能且つ前記筒体と軸線周りに回転不能な移動体と、
前記筒体内に配置され当該筒体に軸線方向に移動不能且つ軸線周りに回転可能とされ内周部に前記雄螺子と螺合する雌螺子を備えた螺子筒と、
前記螺子筒と同期回転可能に係合する第1係合部、前記筒体と軸線周りに回転不能に係合する第2係合部、及び前記第2係合部が初期位置に位置するときにオフとなり前記第2係合部の前記初期位置からの回転時にオンとなるスイッチを備え前記スイッチがオンとなると前記第1係合部を回転駆動させるモータを有し、前記容器本体内に軸線方向に移動不能且つ軸線周りに回転可能に収容されたモータユニットと、を備え、
前記筒体の前記容器本体に対する初期位置から一方向への相対回転により、前記第2係合部が初期位置から前記一方向に回転して前記スイッチがオンとなり、前記モータが前記第1係合部を回転駆動させ、前記第1係合部と前記螺子筒が同期回転することによって、前記螺子筒の前記雌螺子及び前記移動体の前記雄螺子より構成される螺合部が働いて前記移動体が繰り出し方向に移動し、
前記筒体の前記容器本体に対する初期位置から他方向への相対回転により、前記第2係合部が初期位置から前記他方向に回転して前記スイッチがオンとなり、前記モータが前記第1係合部を反対方向に回転駆動させ、前記第1係合部と前記螺子筒が同期回転することによって、前記螺合部が働いて前記移動体が繰り戻し方向に移動することを特徴とする棒状化粧料電動繰出容器。
【請求項2】
前記第2係合部をその初期位置に位置させるように付勢する付勢部材を備えたことを特徴とする請求項1記載の棒状化粧料電動繰出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−85706(P2013−85706A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228988(P2011−228988)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(591147339)株式会社トキワ (141)