説明

棒状構成部材及び棒状構成部材を利用した運動変換機構

【課題】学校教育における創作玩具やロボットコンテストに向けてのロボット製作において、製作者の自由な発想を具現化することができる、より自由に、多用途に使用することができる棒状構成部材及び運動変換機構を提供する。
【解決手段】玩具に使用される棒状構成部材10であって、長さ方向に沿って複数の孔部11が所定間隔をおいて設けられると共に長さ方向に沿ってガイド部12が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状構成部材及び棒状構成部材を利用した運動変換機構に係り、特に、創作玩具等において、多用途に使用できる棒状構成部材及び棒状構成部材を利用した運動変換機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小学校及び中学校の学校教育においては組み立て式玩具が教材として使用され、また、一方では、中学生から大学生に向けて、いわゆるロボットコンテストが開催され、学生による当該コンテストに向けてのロボットの製作が行われている。
【0003】
このような組み立て玩具や、ロボットコンテストに向けてのロボット製作においては、様々な構成パーツを、自由に、学生個人の考えにより組み立ててロボットを製作するものである。
このような観点から、従来より、様々な目的に使用できる、多数の孔部を有する組み立て玩具用の細長板状の構成部材が提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【0004】
即ち、これらの公知文献には、上記複数の構成部材を孔部においてボルト及びナットにより固定することにより走行車両のシャシーを形成したり、また、上記構成部材を孔部を介してボルト及びナットにより回動可能に固定することにより各種のリンク機構を形成することができる技術が開示されている。
【特許文献1】実公平02−4708号
【特許文献2】実公平04−2717号
【特許文献3】実公平04−25199号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような組み立て玩具を教材として使用する教育においては、組み立て式玩具を学生各自の自由な発想により、様々な方法で使用させて創作することが重要なプロセスとして求められている。
また、上記ロボットコンテストにおけるロボットの製作にあたっては、学生各自が夫々自由にアイデアを出しながら、各種の工作パーツを組み合わせることにより、ロボットコンテストのゲーム形式に合わせたロボットを創作するものである。
【0006】
しかしながら、上記のような従来の構成部材は、細長板状の構成部材に多数の孔部が設けられているのみであるため、上記孔部を介して接合して何らかの構成部材を形成したり、また、上記孔部を介して回動可能に結合してリンク機構を構成し、当該リンク機構を利用して模型やロボットを作成することは可能ではあるが、上記以外の使い方をすることができないことから、本来自由な発想から製作されるべき組み立て式玩具や、様々な形態のロボットの製作における要請に十分に応えられない、という不具合が存していた。
その結果、上記機械工作授業やロボットコンテストにおける本来の趣旨である、生徒や学生の自由な発想の具現化を妨げることもなっていた。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、学校教育における創作玩具やロボットコンテストに向けてのロボット製作において、製作者の自由な発想を具現化することができる、より自由に、多用途に使用することができる棒状構成部材及び運動変換機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような技術的課題の解決のため、請求項1記載の発明は、玩具に使用される棒状構成部材10であって、長さ方向に沿って複数の孔部11が所定間隔をおいて設けられると共に長さ方向に沿ってガイド部12が設けられていることを特徴とする。
【0009】
したがって、上記棒状構成部材10に設けられた孔部11同士をボルト及びナットにより固定することにより、玩具車体のシャシー等を作成したり、上記棒状構成部材10を孔部11を介してボルト及びナットにより回動可能に結合することにより、各種の機構を形成することができる。
また、上記棒状構成部材10は、上記ガイド部12によって長さ方向に沿ってガイドされていることから、上記棒状構成部材10は玩具の車体のシャシーや、各種リンク機構として使用される構成部材としての用途だけでなく、長さ方向に沿って案内されて使用される各種機構の棒状構成部材10としても利用することができる。
【0010】
請求項2記載の発明は、玩具に使用され、長さ方向に沿って複数の孔部11が所定間隔をおいて設けられると共に長さ方向に沿ってガイド部12が設けられている棒状構成部材10からなる従動部13と、上記従動部13を長さ方向に沿って駆動しうる駆動部14とを有することを特徴とする。
したがって、上記従動部13は、駆動部14によって長さ方向に駆動されうる。
【0011】
請求項3記載の発明は、上記従動部13はラック16からなると共に、上記駆動部14はピニオンギヤ17からなることを特徴とする。
したがって、上記ラック16はピニオンギヤ17と噛み合って駆動される。
【0012】
請求項4記載の発明は、上記ラック16を保持しうる保持部19を有するホルダー部18を備えていることを特徴とする。
したがって、上記ラック16はホルダー部18の保持部19により保持される。
【0013】
請求項5記載の発明は、上記ラック16は上記ピニオンギヤ17が回転した場合には、上記保持部19内を移動するように形成されていることを特徴とする。
したがって、ピニオンギヤ17が回転することにより、駆動力が上記ラック16に伝達された場合であっても、上記保持部19内を移動するように保持されている。
【0014】
請求項6記載の発明は、上記ガイド部12は長さ方向に沿って設けられた溝部20であると共に、上記保持部19は上記溝部20と係合し、上記ラック16を長さ方向に沿って案内可能な凸部21として形成されていることを特徴とする。
したがって、上記凸部が上記溝部20と係合され、上記ラック16が上記溝部20によって上記ラック16の長さ方向に沿って案内可能に保持されている。
【0015】
請求項7記載の発明は、上記ラック16は横断面矩形の細長板状に形成され、上記溝部20は上記ラック16の両側面において長さ方向に沿って一対に対向して設けられ、上記両側面に隣接する側面には歯部22が長さ方向に沿って設けられ、上記ホルダー部18は横断面コ字状に形成され、底面部23と、上記底面部23の両側端縁部から直角に延設された側面部24,24とにより形成され、上記凸部21、21は上記側面部24,24の各内側面に一対に互いに対向して設けられ、上記ラック16が上記保持部19内に挿通された場合には、上記凸部21が上記溝部20と係合することを特徴とする。
【0016】
したがって、上記ラック16は、上記ホルダー部18に設けられた底面部23と両側面部24,24により形成された保持部19内に保持される。
また、上記凸部21と上記溝部20は長さ方向に沿って形成され、上記凸部21と上記溝部20は夫々係合されている。
【0017】
請求項8記載の発明は、上記ラック16には、幅方向に沿って複数の切断用スリット25が設けられ、上記各切断用スリット25は、上記ラック16の長さ方向において、上記ラック16に設けられた上記各孔部11と同位置に設けられていることを特徴とする。
したがって、上記切断用スリット25に沿って上記ラック16を折曲することができる。また、上記切断用スリット25を上記ラック16を切断する際の目安とすることができる。
【0018】
請求項9記載の発明は、上記孔部11は上記ラック16の幅方向中央部に、長さ方向に沿って同一間隔を置いて複数設けられ、上記ホルダー部18には上記ラック16が上記保持部19に挿通された場合に、上記ラック16に設けられた孔部11と連通しうる孔部28が形成されていることを特徴とする。
したがって、螺子やボルト等により上記ラック16の孔部11と上記ホルダー部18の孔部28とを挿通して結合することができる。
【0019】
請求項10記載の発明は、上記ホルダー部18に形成された各孔部28の間には上記両側面部を貫通するスリット27が夫々形成されていることを特徴とする。
したがって、上記スリット27において上記ホルダー部を切断して使用することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、上記のように構成されているので、以下の効果を奏する。
請求項1記載の発明によれば、上記棒状構成部材10に設けられた孔部11同士をボルト及びナットにより固定することにより、玩具車体のシャシー等を作成したり、上記棒状構成部材10を孔部11を介してボルト及びナットにより回動可能に結合することにより各種の機構を構成することができる。
【0021】
また、上記棒状構成部材10は、上記ガイド部12によって長さ方向に沿ってガイドされていることから、上記棒状構成部材10は玩具の車体のシャシーや、各種の機構として使用される構成部材としての用途だけでなく、長さ方向に沿って案内される棒状構成部材10としても利用することができる。
【0022】
従って、上記玩具のシャシーや、各種リンク機構としての利用のみならず、より自由に、多用途に使用できることから、学校教育における創作玩具や、ロボットコンテストに向けてのロボット製作において、製作者の自由な発想を具現化することができる。
【0023】
請求項2記載の発明によれば、上記従動部13は、駆動部14によって長さ方向に駆動されうる。したがって、上記駆動部14の駆動力を上記従動部13の長さ方向の運動に変換しうる運動変換機構15として利用することができる。
【0024】
請求項3記載の発明によれば、上記ラック16はピニオンギヤ17とかみ合って駆動されることから、上記ピニオンギヤ16の回転駆動力を確実に上記ラック16に伝達して直線方向の運動に変換することができ、運動変換効率のよい運動変換機構15として利用することが可能となる。
【0025】
請求項4記載の発明によれば、上記ラック16はホルダー部18の保持部により保持されることから、上記ピニオンギヤ17により上記ラック16が長さ方向において駆動された場合であっても、上記ラック16をホルダー18内に保持することができる。従って、確実に回転運動を直線運動に変換することができる。
【0026】
請求項5記載の発明によれば、ピニオンギヤ17が回転することにより、駆動力が上記ラック16に伝達された場合であっても、上記保持部19内を移動するように構成されていることから、上記回転駆動力を的確にラック16に伝達して直線運動に変換することができる運動変換機構15として利用することができる。
【0027】
請求項6記載の発明によれば、上記凸部21が上記溝部20と係合されるため、上記ラック部16が上記溝部20によって上記ラック部16の長さ方向に沿って案内可能に保持される。
したがって、上記ピニオンギヤ17の駆動力によって上記ラック16が長さ方向に駆動された場合であっても、上記ラック16が上記ホルダー部18の長さ方向以外の方向に脱落することを防止して、ピニオンギヤ19の回転運動を確実に直線運動に変換することができる。
【0028】
請求項7記載の発明によれば、上記ラック16は、上記ホルダー部18に設けられた底面部23と両側面部24,24により形成された保持部19内に保持されることから、上記ラック16の脱落が確実に防止される。
上記凸部21,21と上記溝部20,20は長さ方向に沿って形成され、上記凸部21,21と上記溝部20,20は夫々係合されていることから、上記ピニオンギヤ17の回転駆動力がラック16の長さ方向における直線運動に確実に変換される。
従って、上記ラック16が上記保持部19,19内を安定して長さ方向に移動するため、安定して動作しうる運動変換機構15として利用することができる。
【0029】
請求項8記載の発明によれば、上記切断用スリット25に沿って、適宜上記ラック16を切断して使用することができ、設計者は上記ラック16を任意の長さに容易に形成することができる。
その結果、請求項8記載の発明にあっては、上記ラック16を各種の機構を構成する部材として自由に使用することができることとなり、各種の機構を構成する自由度が増大する。
【0030】
上記切断用スリット25を、上記ラック16を切断する際の目安とすることができることから、容易に上記ラック16を任意の長さ寸法に切断することができる。
また、上記孔部11と同位置に切断用スリット25が設けられていることから、上記孔部11の直径寸法分だけ、切断する労力が軽減でき、ラック16の切断が容易となる。
【0031】
請求項9記載の発明によれば、螺子やボルト等により上記ラック16の孔部11と上記ホルダー部18の孔部28とを挿通して固定することにより、上記ラック16を上記ホルダー部18内において、固定して利用することが出来る。
また、螺子やボルト等により上記ラック16の孔部11と上記ホルダー部18の孔部28とを挿通して回動可能に固定することにより、上記ホルダー部18を上記ラック16の固定部として利用することができる。
【0032】
請求項10記載の発明によれば、上記スリット27が形成されていることから、上記スリット27において上記ホルダー部18を切断して使用することにより、設計者は上記ホルダー部18の長さを任意の長さに形成することができる。従って、上記ホルダー部18に関しても様々な機構を構成する構成部材として自由に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づき、本発明にかかる棒状構成部材10及び棒状構成部材10を利用した運動変換機構15を詳細に説明する。
【0034】
本実施の形態に係る棒状構成部材10は、図1、図2に示すように、ロボットコンテストにおいて使用されるロボット等の組立玩具に使用される棒状構成部材10であって、長さ方向に沿って複数の孔部11が所定間隔をおいて設けられると共に長さ方向に沿ってガイド部12が設けられている。
【0035】
本実施の形態に係る運動変換機構15は、図1、図2に示すように、玩具に使用され、長さ方向に沿って複数の孔部11が所定間隔をおいて設けられると共に長さ方向に沿ってガイド部12が設けられている棒状構成部材10からなる従動部13と、上記従動部13を長さ方向に沿って駆動しうる駆動部14とを有している。
本実施の形態にあっては、上記従動部13はラック16からなると共に、上記駆動部14はピニオンギヤ17からなる。
【0036】
また、本実施の形態にあっては、上記ラック16を保持しうる保持部19を有するホルダー部18を備えている。
また、上記ラック16は上記ピニオンギヤ17が回転した場合には、上記保持部19内を長さ方向に移動するように形成されている。
また、上記ガイド部12は長さ方向に沿って設けられた溝部20であると共に、上記保持部19は上記溝部20と係合し、上記ラックを長さ方向に沿って案内可能な凸部21として形成されている。
【0037】
図1に示すように、本実施の形態に係る運動変換機構15は、ラックアンドピニオン機構であり、ピニオンギヤ17の回転運動をラック16の直線運動に変換する機構として構成されている。
【0038】
図2に示すように、上記ラック16は横断面矩形の細長板状に形成され、上記溝部20,20は上記ラック16の幅方向両側面部59,59に長さ方向に沿って一対に対向して設けられている。上記溝部20,20は、夫々、ラック16の幅方向の中央部において同一の幅寸法により、全長さ寸法に亘って形成されている。
【0039】
また、高さ方向両側面部60,60には、高さ方向両側面部60,60の幅方向全域において全長さ寸法に亘って、歯部22,22が設けられている。上記ラック16の幅方向両側面部59,59の上記溝部20,20内には、長さ方向に沿って孔部11が同一間隔を置いて複数設けられている。
【0040】
図1、図2に示すように、上記溝部20,20は、横断面半円状に形成されている上記凸部21,21の半円状と略同一の曲率半径を有する形状に形成されている。
【0041】
上記ラック16の幅方向両側面部59,59には、上記各孔部11の直径位置において、幅方向に沿って、夫々、切断用スリット25が設けられており、適宜の箇所において切断して所望の長さで使用しうるように形成されている。
【0042】
なお、本実施の形態にあっては、ラック16の幅寸法は12mmであって、上記溝部20及び孔部11の幅寸法は3mmに形成されている。また、本実施例にあっては、上記孔部11は5mm間隔に設けられている。
図1に示すように、上記ラック16の上記歯部22,22は、上記歯部22,22と同一のピッチで歯部53が刻設されたピニオンギヤ17と歯合するように構成されている。
【0043】
上記棒状構成部材10としてのラック16は、プラスティック素材により形成され、上記ラック16は横断面矩形の細長板状に形成されている。
【0044】
図1に示すように、本実施の形態に係る運動変換機構15を構成するラックアンドピニオン機構においては上記ラック16はホルダー18内に収納されている。
【0045】
図3に示すように、上記ホルダー18は、所定の長さ寸法を有する全体チャンネル状部材として構成されている。
即ち、横断面コ字状に形成され、底面部23と、上記底面部23の両側端縁部から直角に延設された側面部24,24とを有している。上記側面部24,24は所定間隔をおいて互いに対向し、その間に空隙部を有している。
【0046】
上記一対の側面部24,24の間の間隔寸法L2は、上記ラック16の厚さ寸法L1よりもやや大きい幅寸法に形成されていると共に、上記側面部24,24の互いに対向する内側面部61,61の高さ寸法L3は、上記ラック16の幅方向における下端縁部62と上記上方側に配置される歯部22aの直下部位63の間の幅寸法L4と同一に形成されている。
【0047】
また、図3に示すように、上記ホルダー部18の側面部24,24の内側面部61,61には夫々、凸部21,21が互いに対向して長さ方向全域に形成されている。上記凸部21,21の幅寸法L5は、上記溝部20の幅寸法L6と同一の幅寸法に形成され、上記底面部23の内方面部65と上記凸部21,21の上端縁部66との間の幅寸法L7は、ラック16の幅方向における下端縁部62と上記溝部20の上端縁20aとの間の幅寸法L3と同一に形成されている。
【0048】
図3に示すように、上記側面部24,24は、長さ方向に沿って所定間隔毎にスリット27が形成され、これらのスリット27により個別のホルダー部18a,18b,18c,18dが形成され、必要に応じて、上記スリット27により切断し、上記個別のホルダー部18a,18b,18c、18dを、例えば、軸受け等の別途の目的に使用しうるように構成されている。
【0049】
図3に示すように、上記個別のホルダー部18a,18b,18c、18dの幅寸法は、上記ラック16の幅寸法と同一に形成され、上記各ホルダー部18a,18b,18c,18dには夫々、幅方向の中央部に孔部28が開設されている。
【0050】
この孔部28は、上記凸部21,21と同一の高さ寸法であってかつ、上記ラック16に開設された複数の孔部11と連通しうる部位に開設されている。
また、各ホルダー部18a,18b,18c、18dの側面部24,24の下端中央部には上記側面部24,24と直交して固定部33,33が突設され、ホルダー18を適宜の部位に固定しうるように形成されている。
【0051】
従って、このように構成されたラック16及びホルダー18を利用して運動変換機構15を形成する場合には、図1に示すように、ホルダー18を上記ホルダー固定部33を利用して適宜の部位に固定し、固定されたホルダー部18内にラック16を挿通させて、上記ラック16を従動部13とすると共に、上記ラック16に歯合するピニオンギヤ17を駆動部14として、ラックアンドピニオン機構を構成する。
【0052】
図1に示すように、上記ピニオンギヤ17は、上記のように、歯部53が上記ラック16の歯部22と同一のピッチで刻設されており、軸部29により駆動力が伝達されて回動するように構成されている。
【0053】
従って、上記のようにラック16をホルダー18により保持させた状態で、上記ピニオンギヤ17をラック16の上方歯部22aに歯合させた場合には、ピニオンギヤ17の回転によりラック16はいずれかの長さ方向に移動する。
その結果、ピニオンギヤ17の回転運動はラック16により直線方向の運動に変換される運動変換機構15が構成されるものである。
【0054】
図1に示すように、本実施例にかかる棒状構成部材10は、ホルダー部18に挿通され、ピニオンギヤ17の駆動力によって、上記棒状構成部材10の長さ方向に対し、駆動されて使用されるロボット等の組立玩具の運動変換機構15として使用されている。
【0055】
本実施例において上記ラック16は、上記寸法に形成されているが、使用される玩具の大きさに従って上記寸法は変更されるものであり、またプラスティック素材により形成されているが、強度が必要な玩具に使用される場合には、金属製等の剛性が高い素材であってもよい。
【0056】
また、上記駆動部14は、本実施の形態にあっては、ピニオンギヤ17により形成されているが、上記駆動部14は駆動力を伝達しうるように、ゴム等の摩擦力のある素材に形成されていてもよい。
上記駆動部14が、ゴム等の摩擦力のある素材により形成されている場合には、上記従動部13を構成するラック16の側面部60は平面部として形成される。
【0057】
この場合は、上記駆動部14を上記従動部13に当接させることによって、上記駆動部14の摩擦力により、上記従動部13が長さ方向に駆動される。
【0058】
図3に示すように、上記ホルダー部18は上記ラック16を保持しうる保持部19を有しているが、上記保持部19は、上記ホルダー部18の長さ方向の全域に対して設けられている必要はない。
図3に示すように、上記ホルダー部18が上記スリット27により4つに分割されている場合には、長さ方向外側に配置されたホルダー部18a,18dのみにおいて保持部19が備えられていてもよい。
【0059】
本件発明にかかる上記溝部20,20及び凸部21,21の横断面形状は上記のような横断面半円状に限られるものではなく、横断面矩形状や多角形状であってもよい。
【0060】
また、上記溝部20は、上記ラック16の両側面に設けられているが、上記溝部20は、上記ラック16のうち一方側の側面のみに設けられてもよい(図示せず)。
【0061】
この場合、上記凸部21は上記両側面部24,24のうち一方側の側面部24の内側面に設けられ、一方側の側面のみに設けられた上記溝部20は、上記ラック16の一方側の側面部24に設けられた上記凸部21と係合され、上記ラック16の側面のうち、上記溝部20が設けられていない方の側面と、上記ホルダー部18の側面部24,24のうち、上記凸部21が設けられていない方の側面部24の内側面とが夫々当接される。
したがって、この場合も上記ラック16は、上記ホルダー部18の保持部19の長さ方向以外からの脱落が防止される。
【0062】
上記棒状構成部材10の孔部11同士をボルトやナットで固定することにより、玩具の車体のシャシーを作成したり、上記孔部11同士を回動可能に固定させることにより、リンク機構を有する棒状構成部材10として利用することが出来る(図示せず)。
【0063】
以下、添付図面に示す実施例に基づき、本発明に係る棒状構成部材10及び棒状構成部材10を利用した運動変換機構15の作用について詳細に説明する。
棒状構成部材10は、図4〜図7に示すように、学校教育における組立式の創作玩具やロボットコンテストに向けてのロボット製作において、多用途に使用できる組立部材として使用することができる。
【0064】
図1に示すように、本実施例にかかる棒状構成部材10は、ラック16からなる従動部13として形成され、ピニオンギヤ17からなる駆動部14によって、長さ方向に駆動しうる運動変換機構15として使用することができる。
【0065】
図1に示すように、上記ラック16を運動変換機構15として使用する場合には、上記駆動軸部29を回転中心として設けられたピニオンギヤ17の歯部53と、上記ラック16の歯部22が夫々噛みあって、上記ピニオンギヤ17が回転することによって、上記ピニオンギヤ17の回転力が上記ラック16に伝達され、上記ラック16を長さ方向に駆動することができる。
【0066】
この場合、上記ラック16は、上記ピニオンギヤ17の駆動軸部29に対して、直交方向に配置されていることから、上記ピニオンギヤ17が回転されることにより発生する回転運動の駆動力を、上記駆動軸部29に対して直交方向に配置された上記ラック16に伝達することによって、直線運動へ変換しうる運動変換機構15として使用することができる。
【0067】
図1に示すように、上記ラック16を上記ホルダー部18に備えられた上記保持部19に挿通した場合には、上記ラック16の両側面において長さ方向に沿って一対に対向して設けられた溝部20,20が、上記ホルダー部18の上記側面部24,24の各内側面に一対に対向して設けられた凸部21,21間に係合されることとなる。
【0068】
図4に示すように、原動機30の駆動軸29に上記ピニオンギヤ17を軸支させ、上記ピニオンギヤ17の歯部53を、上記ラック16の歯部22に当接させた状態で原動機30を駆動させることにより、上記ピニオンギヤ17が回転され、上記回転により生じる駆動力が上記ラック16に伝達される。
【0069】
したがって、図4に示すように、上記ピニオンギヤ17を時計方向に回転させた場合には、上記ラック16は、左方向に移動され、上記ピニオンギヤ17を反時計方向に回転させた場合には、上記ラック16は、右方向に移動される。
【0070】
従って、上記ラック16は長さ方向に対し移動可能に包持されており、上記ラック16に対しピニオンギヤ17によって、駆動力が与えられた場合、上記ラック16のスムーズな直線方向における移動が行われる。
【0071】
また、上記原動機30と上記ピニオンギヤ17の間には、ギヤボックスやシャフト等を配置し(図示せず)、上記原動機30の駆動力を上記ギヤボックスやシャフト等を介して、上記ピニオンギヤ17に伝達し、上記ピニオンギヤ17が回転されることにより、上記ラック16が駆動されうるように形成してもよい。
【0072】
上記のように、上記ホルダー部18が上記スリット27により4つに分割され、かつ、長さ方向外側に配置されたホルダー部18a,18dのみにおいて保持部19が備えられていた場合には、図3に示すように、上記スリット27により、上記長さ方向内側のホルダー部18bを切離して、上記ホルダー部18bを図5に示すように、上記ラック16を組立式玩具の基台や、リンク機構等を作成する場合の固定軸として利用する際のラック固定部37として利用することができる。
【0073】
図5に示すように、上記ホルダー部18をラック固定部37として利用する場合には、上記ラック16の長さ方向の一方側の端部を上記ホルダー部18の底面部23に当接させ、上記ラック16の孔部11と上記ホルダー部18の孔部28とを連通して配置して、上記孔部11,28同士をボルトやナットで固定することにより使用することが可能となる。
【0074】
上記ラック固定部37に固定されたラック16に設けられた各孔部11に対し、他のラック16の孔部11をボルト等で固定することにより、組立式玩具の基台として利用することができ、また、上記孔部11同士をボルト等で回動可能に固定することにより、各種のリンク機構等を作成する場合の固定軸として利用することができる。
【0075】
図6に示すように、上記ホルダー部18を、設置面58に対し長さ方向垂直に固定して、上記ラック16にフォーク部37を設けることにより、上記駆動部14の駆動力を垂直方向に変換しうる運動変換機構15を有する荷揚げ装置41として使用することができる。
【0076】
図6に示すように、上記運動変換機構15を上記荷揚げ装置41として使用する場合には、載置面58に対し垂直方向に配置された基板部40に上記ホルダー部18を固定させる。
ホルダー固定孔部34にボルトや螺子を挿通させて、上記基板部40に固定させることにより、上記ホルダー部18の固定を行うことができる。
【0077】
上記ラック16を上記ホルダー部18の保持部内19内に挿通させ、上記ホルダー部18の孔部11には、上記ホルダー部の長さ方向と垂直方向に配置されたフォーク部37が上記孔部11を介してボルトやナット等で固定される。
【0078】
上記ピニオンギヤ17は、上記原動機30に設けられた原動ギヤ39と噛みあって回転する。
したがって、上記原動機30の駆動力により上記原動ギヤ39が回転することにより、上記原動ギヤ39と噛みあった上記ピニオンギヤ17が回転する。
【0079】
上記ピニオンギヤ17が回転することにより、上記ピニオンギヤ17の歯部53が上記ラック16の歯部22と噛みあって、上記ラック16が上記載置面58に対して、上下方向に移動される。
図6に示す例によって説明すると、上記原動機30により原動ギヤ39を反時計方向に回転させて、上記ピニオンギヤ17を時計方向へ回転させることにより、上記ラック16は上方へ移動され、上記フォーク部37を上方へ移動することができ、上記フォーク部37上に荷物を載置していた場合には、上記荷物を上方へ持ち上げることができる荷揚げ装置41として使用することができる。
【0080】
同様に、上記原動機30により原動ギヤ39を時計方向に回転させて、上記ピニオンギヤ17を反時計方向へ回転させることにより、上記ラック16は下方へ移動され、上記フォーク部37を下方へ移動することができる。
上記原動機30の駆動を停止した場合には、上記原動ギヤ39を介して噛みあっているピニオンギヤ17の回転も停止されていることから、上記ピニオンギヤ17の歯部53と、上記ラック16の歯部22同士が噛みあって、上記ラック16は停止する。
【0081】
図7に示すように、上記運動変換機構15をロボット等のリンク機構50の連動装置として使用する場合には、上記ラック16を上記ホルダー部18の保持部19内に挿通させ、上記ラック16に設けられた歯部22に対し、上記リンク機構50を駆動しうる駆動用平歯車42の歯部48を歯合させて構成する。
【0082】
上記リンク機構50は、上記駆動用平歯車42と、上記駆動用平歯車42に接続固定された駆動用棒状部材43と、上記駆動用棒状部材43と固定用軸部71により回動可能に軸支された従動用棒状部材44とを有する。
【0083】
図7に示すように、上記リンク機構50として使用される上記駆動用棒状部材43及び上記従動用棒状部材44は夫々、細長板状部材により形成され、上記夫々の長さ方向に沿って孔部51及び52が所定間隔をおいて設けられている。
上記従動用棒状部材44の長さ方向中間位置において、上記長さ方向に沿って設けられた長孔部46が設けられている。
【0084】
上記駆動用棒状部材43及び上記従動用棒状部材44には、本実施の形態にかかるラック16が使用されている。
上記ラック16を上記従動用棒状部材44として使用する場合には、上記孔部52、52間を棒状やすりで削り取るか、又はカッターナイフ等切断工具を用いて上記孔部52,52間を切り取ることにより上記長孔部46を容易に形成することができる。
【0085】
図7に示すように、上記駆動用平歯車42は、半円状に設けられ、上記半円状に設けられた駆動用平歯車42の歯部48が、上記ラック16の歯部22と噛みあうように配設されている。
【0086】
上記駆動用平歯車42は、上記駆動用棒状部材43の長さ方向の基端部に設けられた孔部51aには、リンク機構回動軸部49が挿通され、上記駆動用平歯車42及び上記駆動用棒状部材43とが夫々上記リンク機構回動軸部49を中心として、回動可能に固定されている。
【0087】
上記駆動用棒状部材43は、上記駆動用平歯車42側端部に設けられた孔部51bにおいて、上記従動用棒状部材44に設けられた孔部52aと、固定用軸部71によって回動可能に固定されている。
上記従動用棒状部材44には、長さ方向に沿って設けられた長孔部46が設けられ、上記従動用棒状部材44は上記長孔部46内に挿通された長孔軸部45によって長さ方向に移動可能に軸支されている。
【0088】
従って、図7に示すように、上記運動変換機構15をロボット等のリンク機構50の連動装置として使用する場合、上記原動機30に設けられたピニオンギヤ17を例えば時計方向に回転させることにより、上記ピニオンギヤ17と噛みあったラック16が長さ方向において、図中方向左へ駆動される。
上記ラック16の歯部22と噛みあった駆動用平歯車42の歯部48はリンク機構回動軸部49を中心として回動運動が行われる。
【0089】
上記駆動用棒状部材43は上記ラック16に歯合した駆動用平歯車42の回動に伴って図中上方へ直立することとなり、上記従動用棒状部材44は上記長孔部46内の上記長孔軸部45によりガイドされて先端部72側が下方へ移動するように形成されている。
【0090】
上記原動機30のピニオンギヤ17を逆回転させた場合には、駆動用棒状部材43及び従動用棒状部材44は、上記とは反対方向へ夫々動き、上記従動用棒状部材44の先端部72は上方へ移動する。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本件発明は、学校教育における組立式の創作玩具やロボットコンテストに向けてのロボット製作において、多用途に使用できる組立部材に適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】図1は、本発明に係る運動変換機構を示す全体斜視図である。
【図2】図2は、本発明に係る棒状構成部材を示す全体斜視図である。
【図3】図3は、本発明に係るホルダー部を示す全体斜視図である。
【図4】図4は、本発明に係る運動変換機構を原動機を用いて駆動している状体を示す全体側面図である。
【図5】図5は、本発明に係る運動変換機構をリンク軸受けとして使用した状体を示す全体斜視図である。
【図6】図6は、本発明に係る運動変換機構を荷揚げ装置として使用している状体を示す全体側面図である。
【図7】図7は、本発明に係る運動変換機構をリンク機構の連動装置として使用している状体を示す全体側面図である。
【符号の説明】
【0093】
10 棒状構成部材
11 孔部
12 ガイド部
13 従動部
14 駆動部
15 運動変換機構
16 ラック
17 ピニオンギヤ
18 ホルダー部
18a ホルダー部
18b ホルダー部
18c ホルダー部
18d ホルダー部
19 保持部
20 溝部
20a 上端縁
21 凸部
22 歯部
22a 歯部
23 底面部
24 側面部
25 切断用スリット
26 挿通溝部
27 スリット
28 孔部
29 駆動軸部
30 原動機
33 ホルダー固定部
34 ホルダー固定孔部
35 基板
36 ラック固定部
37 フォーク部
39 原動ギヤ
40 基板部
41 荷揚げ装置
42 駆動用平歯車
43 駆動用棒状部材
44 従動用棒状部材
45 長孔軸部
46 長孔部
48 歯部
49 リンク機構回動軸部
50 リンク機構
51 孔部
52 孔部
53 歯部
58 設置面
59 側面部
60 側面部
61 内側面部
62 下端縁部
63 直下部位
64 上端縁部
65 内方面部
66 上端縁部
71 固定用軸部
72 先端部
L1 厚さ寸法
L2 間隔寸法
L3 高さ寸法
L4 幅寸法
L5 幅寸法
L6 幅寸法
L7 幅寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玩具に使用される棒状構成部材であって、長さ方向に沿って複数の孔部が所定間隔をおいて設けられると共に長さ方向に沿ってガイド部が設けられていることを特徴とする棒状構成部材。
【請求項2】
玩具に使用され、長さ方向に沿って複数の孔部が所定間隔をおいて設けられると共に長さ方向に沿ってガイド部が設けられている棒状構成部材からなる従動部と、上記従動部を長さ方向に沿って駆動しうる駆動部とを有することを特徴とする運動変換機構。
【請求項3】
上記従動部はラックからなると共に、上記駆動部はピニオンギヤからなることを特徴とする請求項2記載の運動変換機構。
【請求項4】
上記ラックを保持しうる保持部を有するホルダー部を備えていることを特徴とする請求項3記載の運動変換機構。
【請求項5】
上記ラックは上記ピニオンギヤが回転した場合には、上記保持部内を移動するように形成されていることを特徴とする請求項4記載の運動変換機構。
【請求項6】
上記ガイド部は長さ方向に沿って設けられた溝部であると共に、上記保持部は上記溝部と係合し、上記ラックを長さ方向に沿って案内可能な凸部として形成されていることを特徴とする請求項5記載の運動変換機構。
【請求項7】
上記ラックは横断面矩形の細長板状に形成され、上記溝部は上記ラックの両側面において長さ方向に沿って一対に対向して設けられ、上記両側面に隣接する側面には歯部が長さ方向に沿って設けられ、
上記ホルダー部は横断面コ字状に形成され、底面部と、上記底面部の両側端縁部から直角に延設された側面部とにより形成され、上記凸部は上記側面部の各内側面に一対に互いに対向して設けられ、上記ラックが上記保持部内に挿通された場合には、上記凸部が上記溝部と係合することを特徴とする請求項6記載の運動変換機構。
【請求項8】
上記ラックには、幅方向に沿って複数の切断用スリットが設けられ、上記各切断用スリットは、上記ラックの長さ方向において、上記ラックに設けられた上記各孔部と同位置に設けられていることを特徴とする請求項3乃至7記載の運動変換機構。
【請求項9】
上記孔部は上記ラックの幅方向中央部に、長さ方向に沿って同一間隔を置いて複数設けられ、上記ホルダー部には上記ラックが上記保持部に挿通された場合に、上記ラックに設けられた孔部と連通しうる孔部が形成されていることを特徴とする請求項4乃至8記載の運動変換機構。
【請求項10】
上記ホルダー部に形成された各孔部の間には上記両側面部を貫通するスリットが夫々形成されていることを特徴とする請求項9記載の運動変換機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−238929(P2006−238929A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−54696(P2005−54696)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000129264)株式会社キクイチ (10)
【Fターム(参考)】