説明

棒状食品包装体

【課題】接着ラベルによって包装材の巻き終わり部分を固定していても、容易に開封することが可能な棒状食品包装体を提供すること。
【解決手段】この棒状食品包装体は、シート状食品10を収容した略長方形の袋状の本体の左右側部に袖部12aを設けてなる包装材と、包装材に巻かれた棒状食品と、包装材の巻き終わり部分を固定する接着ラベル3からなり、包装材の本体の下辺112を巻き終わり部分としており、外フィルム部115には、間に接着ラベル3を挟んで上辺111付近から下辺112付近に至る2本のカットテープ117,118を設けているとともに、接着ラベル3の位置より上辺側に、外フィルム部115が前記カットテープ117,118に沿って引き裂かれるように案内するための開封操作片119を設けたものとしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、米飯等の食材を棒状に加工した棒状食品と、海苔巻等のシート状食品とが分離された状態で包装され、食するときに簡単な操作で棒状食品にシート状食品を巻いた状態にすることができるようにした棒状食品包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、巻き寿司等の棒状食品用包装体としては、特許文献1に記載のものがある。この棒状食品用包装体は、外フィルム1の長辺側の両側部に、一対の内フィルム2,3を外フィルム1の幅方向の略中央にて対向辺2a,3a どうしを重ね合わせた状態で外フィルム1の周囲と接合して袋状に形成し、さらに外フィルム1と内フィルム2,3の間にシート状食品4を挟み、さらに外フィルム1の短辺側端に開封用切り込み1a,1b,1cを複数形成した棒状食品用包装材であって、内フィルム2,3が、内側面にシリコンコートされ、且つ外フィルム1の長辺側端より突出する幅広のものであり、さらに内フィルム2,3の外フィルム1より突出した部分2b,3b で内フィルム2,3上に乗せた棒状食材5の端面を包被するようにしている。
【0003】
この特許文献1に記載の棒状食品用包装体は、その図6に示されているように、開封用切り込み1bを略中央に、開封用切り込み1cを端付近に形成し、開封用切り込み1b,1c と同一幅で綺麗に平行に裂けるようになっているので、外フィルム1を裂くと、シート状食品4が表れ、残された外フィルム1と内フィルム3を棒状食品の軸方向外側に引くと、棒状食材5の上にシート状食品4が巻かれた状態にすることができる。
【0004】
しかしながら、コンビニエンスストア等で販売される棒状食品用包装体は、商品の価格や製造年月日、バーコード等を印字したサーマルラベル等の接着ラベルによって包装材の巻き終わり部分を固定する場合が多く、その場合は巻き終わり部分の中央に位置する開封用切り込み1bを接着ラベルが覆うことになるため、外フィルム1をうまく引裂くことができない。
【0005】
また、開封用切り込み1bを避けて比較的細幅の接着テープで包装材の巻き終わり部分を固定するとしても、特許文献1の図6に示されているように、包装材が巻かれたままの状態で開封することになる。この場合は、棒状食品に包装材が巻き付いた状態にあるので、内フィルム2,3の内側面にシリコンコートをしていなければ、フィルムを取り去ることは困難であるが、シリコンコートは安全性の面で好まれないことが多い。
【特許文献1】特開平11−206328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明は、接着ラベルによって包装材の巻き終わり部分を固定していても、容易に開封することが可能な棒状食品包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、この発明は次のような技術的手段を講じている。
【0008】
この発明の棒状食品包装体は、シート状食品を収容した略長方形の袋状の本体の左右側部に袖部を設けてなる包装材と、包装材に巻かれた棒状食品と、包装材の巻き終わり部分を固定する接着ラベルからなり、包装材はその袖部が棒状食品の左右端部を覆い、本体の下辺を巻き終わり部分としており、包装材の本体は、外フィルム部と内フィルム部とで構成され、内フィルム部は開封時に左右に分離する第1片及び第2片からなるものとし、外フィルム部には、間に接着ラベルを挟んで上辺付近から下辺付近に至る2本のカットテープを設けているとともに、接着ラベルの位置より上辺側に、外フィルム部が前記カットテープに沿って引き裂かれるように案内するための開封操作片を設けたものとしている。
【0009】
さらに、2本のカットテープが上下方向に延びる平行な直線状であるものとすることができる。
【0010】
また、2本のカットテープがそれぞれ左右方向の外側に膨らむように設けられているものとすることができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明の棒状食品包装体は、上述のような構成を有しており、2本のカットテープにより外フィルム部を引き裂いて、両カットテープ間の部分を接着ラベルとともに取り去り、包装材を左右に分割した状態にして、包装材を容易に取り去ることができる。しかも、分割された包装材は、上辺側と下辺側が開いて棒状食品に対する巻き付けの力が弱まった状態になるので、各分割された包装材を取り去る際にそれほど強い力を要しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この棒状食品包装体は、シート状食品10を収容した略長方形の袋状の本体11の左右側部に袖部12a,12bを設けてなる包装材1と、包装材1に巻かれた棒状食品2と、包装材1の巻き終わり部分を固定する接着ラベル3からなり、包装材1はその袖部12a,12bが棒状食品2の左右端部を覆い、本体11の下辺112を巻き終わり部分としており、包装材1の本体11は、外フィルム部115と内フィルム部116とで構成され、内フィルム部116は開封時に左右に分離する第1片116a及び第2片116bからなるものとし、外フィルム部115には、間に接着ラベル3を挟んで上辺111付近から下辺112付近に至る2本のカットテープ117,118を設けているとともに、接着ラベル3の位置より上辺111側に、外フィルム部115が前記カットテープ117,118に沿って引き裂かれるように案内するための開封操作片119を設けたものとしている。
【0013】
以下、この発明の好適な実施形態を、図面を参照して説明する。
【0014】
図1はこの発明の第1実施形態の棒状食品包装体の包装材1の正面図(外フィルム部115側を表側にした状態)、図2は同背面図(内フィルム部116側を表側にした状態)、図3は包装材1で棒状食品2を包む様子を示す説明図、図4は完成状態の棒状食品包装体の斜視図、図5はカットテープ117,118に沿って外フィルム部115を引き裂いた状態を示す斜視図、図6は左右に分割された包装材1の一方を取り去る様子を示す正面図、図7は包装材1を取り去って棒状食品2にシート状食品10を巻いた状態を示す斜視図である。
【0015】
なお、説明の便宜のため、図1に示した場合を基準にして、包装材1の本体11の上辺111、下辺112、左辺113、右辺114等、上下左右の方向を定めている。
【0016】
包装材1は、図1、図2等に示したように、略長方形の外フィルム部115、外フィルム部115に重なる内フィルム部116、左右の袖部12a,12b、及び外フィルム部115と内フィルム部116とにより形成される収納部13に収納されるシート状食品10から構成されている。
【0017】
外フィルム部115と内フィルム部116は、それぞれ防湿性を有する同じ大きさの略長方形状のフィルムとしている。内フィルム部116を構成する第1片116aと第2片116bは、互いの内側縁が、左右方向の略中央において1cm程度の幅で上下に重なるようにしている。
【0018】
外フィルム部115と内フィルム部116は、互いの左右両側の縁部と、前記第1片116a及び第2片116bが重なる箇所を除く上下両側の縁部が熱溶着等により接合されている。
【0019】
左右の各袖部12a,12bは、棒状食品2の左右端部を覆うことができる程度の大きさの四角形であり、包装材1の本体11の上下方向の略中央部において、その内側縁が、内フィルム部116の左右の縁部に熱溶着等により接合されている。
【0020】
外フィルム部115は、OPP(延伸ポリプロピレン)等の合成樹脂製の透明なフィルムとし、適宜の文字や模様の印刷を施したものとすることができる。内フィルム部116や袖部12a,12bは、外フィルム部115と同様の素材からなるものとすることができるが、マットフィルムや、高密度ポリエチレンのような、棒状食品2にくっつきにくい素材を用いることが望ましい。
【0021】
外フィルム部115の表面には、2本のカットテープ117,118が設けられている。この実施形態では、各カットテープ117,118は、上辺111から下辺112に至る、外フィルム部115の中央から等距離にある互いに平行な直線状としている。
【0022】
なお、各カットテープ117,118は、必ずしも上辺111、下辺112にまで達する必要はなく、後述の開封作業に支障がない程度の長さに外フィルム部115が引き裂かれるようになっていればよい。また、両カットテープ117,118の間隔は、接着ラベル3の左右方向の幅と略同一としているが、より長い間隔としてもよい。
【0023】
開封操作片119は、外フィルム部115の下辺112付近における左右方向の略中央で、収納部13の外側に位置している。この実施形態では、両カットテープ117,118間にわたる左右方向の切れ目を形成して開封操作片119を設けている。さらに、この開封操作片119は、前記切り目の両端が、各カットテープ117,118を乗り越え、上辺111側に突出した略コ字状とし、より容易に開封できるようにしている。
【0024】
なお、開封操作片119は、パートコート等により、内フィルム部116に比較的容易に剥離できるように接着されたものとして、包装材1の密閉性が損なわれないようにすることが望ましい。
【0025】
外フィルム部115と内フィルム部116との間には、周縁部の内側にシールされていない領域があり、この部分がシート状食品10を収容する収納部13となっている。シート状食品10は、海苔や、ゼラチンでシート状に形成された鰹節や昆布等であり、適宜選択使用される。シート状食品10の収納部13への収容作業は、手作業で行う方法、機械で自動的に挿入する方法のいずれで行ってもよい。
【0026】
棒状食品2は、円柱状に形成されたものであって、中に具を入れた米飯、練り物、餅等とすることができる。包装材1で棒状食品2を包装するには、内フィルム部116を表側にして置き、棒状食品2を、その左右各端部が左右の袖部12a,12b付近に位置するようにして内フィルム部116の上にのせる。
【0027】
次に、図3に示したように、左右の袖部12a,12bで棒状食品2の左右各端部を覆い、包装材1の本体11を棒状食品2に巻き付ける。包装材1の本体11は、下辺112側を巻き終わりの部分として、上辺111側の上に3cm程度重なるようにする。
【0028】
そして、図4に示したように、開封操作片119より下辺112側の部分から上辺111側の露出した部分にわたるように、接着ラベル3を貼り付けて巻き終わりの部分を固定する。接着ラベル3は、2本のカットテープ117,118の外側にはみ出さないようにして貼り付ける。このようにして棒状食品包装体が完成し、コンビニエンスストア等で販売できる状態となる。
【0029】
接着ラベル3は、商品名や製造年月日、バーコード等を印字したサーマルラベルであり、外フィルム部115に対して剥離可能なものとし、開封時に前記下辺112側との接着箇所を剥離して、包装材1の棒状食品2に対する巻き付け状態を解除できるようにしている。あるいは、前記下辺112に沿って接着ラベル3を切ることにより、巻き付け状態を解除できるようにしてもよい。
【0030】
この棒状食品包装体を開封するには、まず開封操作片119を指でつまんで上辺111側へ引っ張る。開封操作片119を引っ張ると、外フィルム部115の左右両辺間の中央部が、上辺111に至るまで2本のカットテープ117,118に沿って引き裂かれ、図5に示したように、左右に分割した部分115a,115bができ、両カットテープ間の中央部分115cが分離する。
【0031】
また、内フィルム部116(第1片116a,第2片116b)、袖部12a,12bは、もとから左右に分離しているため、外フィルム部115が左右に分割した包装材1は、左右に分割した状態になる。なお、包装材1又は外フィルム部115に関し「左右に分割」とは、完全に左右の部分が分離した状態だけでなく、図5のような下辺112付近を残して一部がつながっている場合も含まれる。要するに、後述の開封作業において、シート状食品10を残して、包装材1の左右の部分をそれぞれ取り外せる程度の長さに外フィルム部115が引き裂かれていればよい。
【0032】
接着ラベル3は、前記中央部分115cに接着したままま、外フィルム部115の巻き終わり部分(本体11の下辺112)からはずれるので、この棒状食品包装体は、包装材1の棒状食品2に対する巻き付け状態が解除され、図5に示したように、略中央に棒状食品2が位置しつつ、包装材1を、略U字状に上辺111側と下辺112側が開いた状態にすることができる。
【0033】
そして、この状態の棒状食品包装体を手のひら等に乗せつつ、図6に示したように、シート状食品10を残して、各分割した包装材1を片方ずつ外方に引っ張って取り去る。この際、各分割した包装材1は、前述の通り上辺111側と下辺112側が開いて、棒状食品2に対する巻き付けの力が弱まった状態にあるので、それほど強い力で引っ張らなくとも、容易に取り去ることが可能である。
【0034】
包装材1は、もともと外フィルム部115と内フィルム部116の互いの周縁部が接合されてつながっているため、分割した外フィルム部115aと内フィルム部116の第1片116a、分割した外フィルム部115bと内フィルム部116の第2片116bは、それぞれつながっており、一緒に取り去られる。また、左右の各袖部12a,12bも、それぞれ内フィルム部116の第1片116aと第2片116bにつながっているので、一緒に取り去られる。
【0035】
そして、包装材1をすべて取り去った後、残ったシート状食品10を棒状食品2に巻きつけることにより、図7に示したように、食べられる状態の棒状食品2が完成する。
【0036】
図8は、この発明の第2実施形態の棒状食品包装体の包装材1の正面図(外フィルム部115側を表側にした状態)である。この実施形態では、外フィルム部115上において、2本のカットテープ117,118がそれぞれ左右方向の外側に膨らむように設けられている。各カットテープ117,118は曲線状であり、上下方向の中央付近でそれぞれ包装材1の本体11の左辺113、右辺114に最も接近し、上辺111付近及び下辺112付近の左右方向の中央部で互いに交叉する。開封操作片119は、下辺112側の前記カットテープ117,118の交差箇所付近に設けられている。
【0037】
その他の構成は前述の第1実施形態と同様である。この第2実施形態では、開封操作片119の幅を接着ラベル3の幅よりも小さくすることが可能であり、より密閉性に優れたものとすることができる。
【0038】
以上がこの発明の実施形態であるが、この発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、素材、形状、寸法等を適宜変更して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明の第1実施形態の棒状食品包装体の包装材の正面図である。
【図2】この発明の第1実施形態の棒状食品包装体の包装材の背面図である。
【図3】この発明の第1実施形態の棒状食品包装体の完成状態の斜視図である。
【図4】この発明の第1実施形態の棒状食品包装体の斜視図(完成状態)である。
【図5】この発明の第1実施形態の棒状食品包装体をカットテープに沿って外フィルム部を引き裂いた状態を示す斜視図である。
【図6】この発明の第1実施形態の棒状食品包装体の左右に分割された包装材の一方を取り去る様子を示す正面図である。
【図7】この発明の第1実施形態の棒状食品包装体の包装材を取り去って棒状食品にシート状食品を巻いた状態を示す斜視図である。
【図8】この発明の第2実施形態の棒状食品包装体の包装材の正面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 包装材
10 シート状食品
11 包装材の本体
111 包装材の本体の上辺
112 包装材の本体の下辺
115 外フィルム部
116 内フィルム部
116a 第1片
116b 第2片
117,118 カットテープ
119 開封操作片
12a,12b 袖部
2 棒状食品
3 接着ラベル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状食品を収容した略長方形の袋状の本体の左右側部に袖部を設けてなる包装材と、包装材に巻かれた棒状食品と、包装材の巻き終わり部分を固定する接着ラベルからなり、包装材はその袖部が棒状食品の左右端部を覆い、本体の下辺を巻き終わり部分としており、包装材の本体は、外フィルム部と内フィルム部とで構成され、内フィルム部は開封時に左右に分離する第1片及び第2片からなるものとし、外フィルム部には、間に接着ラベルを挟んで上辺付近から下辺付近に至る2本のカットテープを設けているとともに、接着ラベルの位置より上辺側に、外フィルム部が前記カットテープに沿って引き裂かれるように案内するための開封操作片を設けていることを特徴とする棒状食品包装体。
【請求項2】
2本のカットテープが上下方向に延びる平行な直線状である請求項1記載の棒状食品包装体。
【請求項3】
2本のカットテープがそれぞれ左右方向の外側に膨らむように設けられている請求項1記載の棒状食品包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−13160(P2010−13160A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175168(P2008−175168)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(591016080)株式会社スズパック (15)
【Fターム(参考)】