説明

棒金収納管理装置

【課題】少ない数のセンサで簡単に棒金の金種および棒金の有無を判別できる棒金収納管理装置を提供する。
【解決手段】アウター3の外周側に設けられ検知ドグ7を検知する金種判別センサ8と、を備え、アウター3の−X側には、軸Oと同軸上に−X側から+X側に向かって立設された硬貨孔対応ピン9が配置されており、インナー2に棒金1を配置した際に、金種判別センサ8と検知ドグ7とでインナー2のX方向の位置を認識し、インナー2の金種と同じ金種の棒金1が収納されていない場合には、アラーム表示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スーパーストア(以下スーパーという)やコンビニエンスストア(以下、コンビニという)等で精算に使用される硬貨を束にした、棒金(例えば、50個の硬貨を束にした棒状のもの)を収納して管理する棒金収納管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スーパーやコンビニ等での買い物客は、店舗内に陳列された商品の中から希望する商品を選択し、例えば買い物籠やカートに入れてレジへ運ぶ。レジでは、運ばれてきた商品に添付されたバーコード等に記録された値段を商品名と共に店員がバーコードリーダ等により読み取り又はキーボード操作して入力して合計金額(及び消費税)を計算する。買い物客は、この合計金額に基づいて支払(精算)を行い、商品を受け取る。
【0003】
買い物客が快適に買い物を行うと共に、店舗においても少ない従業員数で効率的に多数の買い物客に対応するために、精算処理を迅速に行う必要がある。この精算処理は、店舗にもよるが、買い物客の大部分は現金(紙幣および硬貨)により行うのが一般的である。多くの買い物客は、買い物した商品の合計金額より大きい額の紙幣、例えば10,000円札、5,000円札又は複数枚の1,000円札等を出すので、「つり銭」が必要である。そこで、スーパーやコンビニの店舗では、例えばレジのキャッシュレジスタのキャッシュドロア内に常時十分な数の「つり銭」を、金種(即ち、1円、5円、10円、50円、100円および500円)毎に所定枚数束にした「棒金」として収納している。「棒金」は、流通している全ての金種毎に釣銭準備金として一日分の使用量を毎日仕分け、レジ毎に準備して管理する必要がある。
【0004】
棒金の金種を精確に検出・判別して管理する技術は、いくつかの文献に開示されている。
例えば特許文献1の棒金収納庫(本願の棒金収納管理装置に相当)は、ドロアの変位検出手段としてのロータリエンコーダと、棒金硬貨(本願の棒金に相当)の径の大きさに応じて信号を出力する径センサと、棒金硬貨の孔の有無に応じて信号を出力する孔センサと、を備えている。特許文献1の棒金収納庫では、ロータリエンコーダの出力から特定されるドロアの変位と、棒金硬貨による遮光の有無に応じた径センサおよび孔センサの出力とに基づいて、判別手段としての制御ユニットがドロアの各収納部に収納された棒金硬貨の有無および金種を判別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−285479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の棒金収納管理装置は、ドロアを閉める時のドロアの移動量、径センサの出力および孔センサの出力に基づいて棒金の有無および金種を判別している。このため、間違った棒金を収納しても、ドロアを閉めなければ棒金の有無および金種を判別できない。したがって、正しい棒金を収納するのに時間がかかり、操作も煩雑であった。また、径センサ、孔センサの他に、ドロアの移動量を測定するロータリエンコーダ等のセンサが必要となり、装置全体のセンサ数が多く、高価である。
【0007】
そこで本発明は、少ない数のセンサで簡単に棒金の金種および棒金の有無を判別できる棒金収納管理装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の棒金収納管理装置は、同じ金種の硬貨が所定枚数積層された棒金が収納される金種毎に形成された棒金収納部と、前記棒金収納部が複数配置される収納箱を備えたドロアと、を備えた棒金収納管理装置であって、前記棒金収納部は、収納される前記棒金の外径より僅かに大きな直径と、収納される前記棒金の全長よりも僅かに長い全長と、を有する略半円筒形状の凹部が金種毎に形成されたケース部と、前記凹部の軸に沿った軸方向の一方側に配置され、前記棒金の前記一方側の端面と当接し、少なくとも前記棒金の一部が露出するように形成されたプッシャー部と、を有するインナーと、前記インナーの外周側に形成された検知ドグと、前記インナーの外周側に配置され、前記軸方向に摺動可能に前記インナーを支持するアウターと、前記アウターの外周側に設けられ前記検知ドグを検知する金種判別センサと、を備え、前記アウターの前記他方側には、前記軸と同軸上に前記他方側から前記一方側に向かって立設された硬貨孔対応ピンが配置されており、前記インナーに前記棒金を配置した際に、前記金種判別センサと前記検知ドグとで前記インナーの前記軸方向の位置を認識し、当該位置に基づいて前記インナーの金種と同じ金種の前記棒金が収納されていないと判断される場合には、アラーム表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ケース部は金種毎に形成されており、ケース部の凹部の直径は、収納される所定金種の棒金の直径よりも僅かに大きく形成されている。また、ケース部の全長は、収納される所定金種の棒金の全長よりも僅かに長く形成されている。具体的には、ケース部の凹部の直径は、収納される所定金種の棒金の直径より大きく形成されており、収納される所定金種の次に大きな直径を有する異金種の棒金の直径より小さく形成されている。また、ケース部の全長は、収納される所定金種の棒金の全長より長く形成されており、収納される所定金種の次に長い全長を有する異金種の棒金の全長より短く形成されている。これにより、センサを用いなくても、収納される所定金種よりも大きな外形を有する異金種の棒金が棒金収納部に収納されるのを防止することができる。また、本発明の棒金収納部は、インナーの外周側に配置された検知ドグを検知する金種判別センサを備えている。したがって、検知ドグの位置から長さの異なる棒金の金種を判断することができる。さらに、アウターの他方側には、他方側から一方側に向かって硬貨孔対応ピンが立設されている。孔のある金種の棒金が収納された場合には、硬貨孔対応ピンが孔を挿通し、孔のない金種の棒金が収納された場合には、硬貨孔対応ピンが棒金の端面と当接する。したがって、孔のある金種の棒金を収納した場合と、孔のない金種の棒金を収納した場合とでは、検知ドグの位置が大きく異なる。これにより、長さが略同一だが孔の有無で異なる異金種の棒金(例えば1円硬貨と5円硬貨)であっても、センサの精度を上げたり、センサの数を増やしたりすることなく孔の有無を判別することができる。したがって、少ない数のセンサで、簡単に所定金種の棒金が収納されたかどうかを判別できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】棒金収納管理装置の斜視図である。
【図2】棒金収納部の斜視図である。
【図3】硬貨孔対応ピンの中心軸を含む断面図であり、図3(a)は孔のある金種の棒金を収納したときの説明図であり、図3(b)は孔のない金種の棒金を収納したときの説明図である。
【図4】図1のA−A線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(棒金収納部)
以下に、本発明の実施形態に係る棒金収納管理装置について、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態における棒金収納管理装置の斜視図である。
図2は、棒金収納部の斜視図である。
なお、以下の説明では、棒金が収納される略半円筒状の後述するケース部21の凹部23の軸方向をX方向とし、一方側を+X側とし、他方側を−X側とする。また、凹部23の一半径方向となり、凹部23への棒金の挿入方向をZ方向とし、挿入側を−Z側とし、反対側を+Z側とする。また、Z方向と直交する面内における凹部の径方向をY方向とし、一方側を+Y側とし、他方側を−Y側とする。
図1に示すように、本実施形態の棒金収納管理装置50は、棒金1が収納される金種毎に形成された棒金収納部4と、棒金収納部4が複数配置される収納箱42を備えたドロア40と、を備えている。
【0012】
(インナー)
また、図2に示すように、本実施形態の棒金収納部4はインナー2を備えている。インナー2は、略半円筒形状の凹部23が収納される棒金1の金種毎に形成されたケース部21と、ケース部21のX方向の一方側に配置されたプッシャー部5と、を有している。
本実施形態のケース部21は、樹脂等からなる略半円筒形状の部材であり、例えばインジェクション成型により形成される。ケース部21には、棒金1が収納される凹部23が形成されている。凹部23は、X方向から見て略半円形状をしており、+Z側に開口を有している。凹部23は、収納される棒金の金種毎に異なった直径を有している。具体的には、凹部23の直径は、収納される所定金種の棒金1の直径より大きく形成されており、収納される所定金種の次に大きな直径を有する異金種の棒金の直径より小さく形成されている。また、凹部23は、収納される棒金の金種毎に異なった全長を有している。具体的には、凹部23の全長は、収納される所定金種の棒金1の全長より長く形成されており、収納される所定金種の次に長い全長を有する異金種の棒金の全長より短く形成されている。これにより、所定金種の棒金1をインナー2に収納することができる。また、収納される所定金種よりも大きな外形を有する異金種の棒金がインナー2に収納されるのを防止することができる。
【0013】
なお、インナー2のケース部21の外周面の一部には、X方向に沿って凸部(不図示)が形成されている。インナー2の凸部を、後述するアウター3の凹部(不図示)に係合して配置している。これにより、後述するように、インナー2はアウター3によってX方向に摺動可能に支持される。
【0014】
ケース部21の+X側には、棒金1の+X側端面81と当接するようにプッシャー部5が配置されている。プッシャー部5は樹脂等からなる部材であり、例えばケース部21と一体的にインジェクション成型される。プッシャー部5を有しているので、棒金1の+X側端面81をプッシャー部5で覆って、棒金1をインナー2に収納することができる。
プッシャー部5はX方向から見て略半円形状に形成されており、棒金1がケース部21に収納された際に、+X側から見て棒金1の+X側端面81の+Z側が露出するように形成されている。これにより、インナー2から棒金1を取り出す際に、棒金1の+Z側を把持することができるので、インナー2から棒金1を容易に着脱することができる。また、後述するように、ドロア40(図4参照)の収納箱42(図4参照)に棒金収納部4を傾斜して配置したとき、棒金1の色を目視により確認することができる。
【0015】
さらに、プッシャー部5の略中央には、X方向から見て略半円形状の切り欠き部5aが形成されている。切り欠き部5aは、X方向から見て5円硬貨や50円硬貨等、中央に孔がある金種の棒金の孔を塞がないように形成されている。これにより、後述するようにドロア40(図4参照)の収納箱42(図4参照)に棒金収納部4を傾斜して配置したとき、棒金1の色に加えて棒金1の金種の孔の有無を目視により確認できる。
【0016】
インナー2の外周には、インナーレバー6が形成されている。本実施形態のインナーレバー6は、Z方向から見て略矩形状をしており、インナー2の+X側端部おいて、ケース部21の+Z側端面に沿って、凹部23の+Y側に突出して形成されている。インナーレバー6は、例えばケース部21およびプッシャー部5と一体的にインジェクション成型により形成される。
【0017】
インナーレバー6にはスプリング12が接続されている。図2に示すように、スプリング12は、インナー2および後述するアウター3の+Y側に配置されており、インナーレバー6と、アウター3とを接続している。棒金1をインナー2に収納したとき、スプリング12により、棒金1はインナー2ごと−X方向に付勢されて収納される。また、前述のとおりインナーレバー6を有しているので、インナー2に棒金1を収納するときに、当該インナーレバー6を把持して、スプリング12による付勢力に逆らって、インナー2を容易に+X側に移動させることができる。
【0018】
また、インナー2の外周には検知ドグ7が配置される。本実施形態では、検知ドグ7はインナー2と一体的に成型されている。検知ドグ7は、X方向において後述する金種判別センサ8の検出部55に対応した位置に、−Y側に突出して形成される。検知ドグ7と金種判別センサ8との関係については後に詳述する。
【0019】
(アウター)
図2に示すように、本実施形態の棒金収納部4は、インナー2の外周側にアウター3を備えている。アウター3は樹脂等からなる部材であり、例えばインジェクション成型により形成される。アウター3の+X側にはインナー2を支持する略半円筒形状の支持部32が形成され、支持部32の−X側には有底の円筒部34が形成されている。アウター3の全長は、インナー2の全長と略同一か若干短く形成されている。ここで、アウター3は、インナー2の中心軸Oと同軸となるように形成される。また、アウター3の内周面32aの一部には、インナー2の凸部に対応した凹部(不図示)が形成されている。そして、インナー2の凸部とアウター3の凹部とを係合させつつ、インナー2の外周面とアウター3の内周面32aとを当接させてインナー2を配置している。これにより、アウター3は、インナー2をX方向に摺動可能に支持することができる。
【0020】
支持部32は、略半円筒形状に形成されており、+Z側に開口を有している。支持部32の内周面32aの直径は、インナー2のケース部21の外径と略同一か、若干大きく形成される。これにより、インナー2のケース部21の外周側をアウター3の支持部32で覆って、インナー2を支持することができる。
円筒部34は支持部32と一体的に形成されている。円筒部34の−X側には底面34bが形成されている。前述のとおり、インナー2に棒金1を収納したときに、スプリング12により、棒金1はインナー2ごとアウター3に付勢される。したがって、プッシャー部5とアウター3の底面34bとで、棒金1のX方向の動きを規制して、棒金1を棒金収納部4に収納することができる。
【0021】
(金種判別センサ)
アウター3の支持部32のX方向略中央における−Y側には、金種判別センサ8が配置されている。本実施形態の金種判別センサ8は光センサである。金種判別センサ8は、X方向から見て略U字状の検出部55を有している。検出部55は、+Y側に開口する開口部55aを有している。また、検出部55の開口部55aを挟んで+Z側には投光部55bが配置され、−Z側には受光部55cが配置されている。ここで、棒金1がインナー2に収納されたとき、後述するように、インナー2のX方向の位置は棒金1の長さによって変化する。本実施形態では、正しい金種の棒金1がインナー2に収納されたとき、検知ドグ7が、金種判別センサ8の投光部55bと受光部55cとの間に配置されるように形成している。これにより、金種判別センサ8は受光部55cでの受光の有無に基づいて検知ドグ7の位置を判別することができる。そして、金種判別センサ8の信号を、不図示のコンピュータに送信することにより、正しい金種の棒金が収納されたかどうかを判断することができる。
【0022】
(硬貨孔対応ピン)
図2に示すように、本実施形態のアウター3の底面34bには、硬貨孔対応ピン9が設けられている。硬貨孔対応ピン9は鉄やアルミ等の金属からなる部材であり、底面34bの+X側面上に、−X側から+X側に向けて立設される。硬貨孔対応ピン9の中心軸は、インナー2およびアウター3の中心軸Oと同軸になるように配置されている。また、硬貨孔対応ピン9の直径は、中央に孔のある金種の硬貨のうち、最小の孔の直径よりも小さく形成されている。したがって、硬貨孔対応ピン9を硬貨の孔に挿通させることができる。
【0023】
図3は硬貨孔対応ピンの中心軸Oを含む断面図であり、図3(a)は孔のある金種の棒金を収納したときの説明図であり、図3(b)は孔のない金種の棒金を収納したときの説明図である。図3(a)および図3(b)に示すように、棒金収納部4には、長さが略同一だが孔の有無で異なる異金種(例えば1円硬貨と5円硬貨)の棒金が収納されている。
図3(a)に示すように、孔60のある金種の棒金(以下「孔有棒金」という。)1aがインナー2に収納された場合には、硬貨孔対応ピン9が硬貨の孔を挿通する。そして、インナー2の−X側端面と、アウター3の底面34bとが当接する。
一方、図3(b)に示すように、孔のない金種の棒金1b(以下「孔無棒金」という。)が収納された場合には、孔無棒金1bの−X側端面82と硬貨孔対応ピン9の+X側端面とが当接する。ここで、孔無棒金1bおよびインナー2は、孔有棒金1aを収納した場合と比較して、+X側に硬貨孔対応ピン9の長さ分ずれて配置される。このとき、インナー2に形成された検知ドグ7の位置も、+X側に硬貨孔対応ピン9の長さ分ずれる。
硬貨孔対応ピン9がない場合において、孔有棒金1aおよび孔無棒金1bの長さが略同一のときには、検知ドグ7のX方向の位置も略同一となり、孔有棒金1aおよび孔無棒金1bを判別することが困難であった。しかし、硬貨孔対応ピン9を設けることにより、長さが略同一の異金種の棒金であっても、検知ドグ7の位置を大きくずらすことができる。これにより、センサの精度を上げたり、センサの個数を増やしたりすることなく、孔有棒金1aおよび孔無棒金1bの孔の有無を判別して、簡単に所定金種の棒金が収納されたかどうかを判別できる。
【0024】
上述のように、本実施形態では、インナー2に棒金1が収納されたときには、金種判別センサと検知ドグとでインナー2に所定金種の棒金が収納されたかどうかを判別する。その後、所定金種の棒金が収納されていない場合には、不図示のモニターにアラーム表示する。特許文献1の棒金収納管理装置は、ドロアの移動量と径センサの出力とに基づいて金種を判別しているため、間違った棒金を収納しても、ドロアを閉めなければ棒金の有無および金種を判別できなかった。しかし、本実施形態によれば、ドロアを閉めなくても、棒金収納部4に棒金を収納するだけで、所定金種の棒金が収納されたかどうかを判別することできる。したがって、短時間で簡単に正しい棒金を収納することができる。
【0025】
(棒金有無レバーおよび棒金有無センサ)
図2に戻り、本実施形態の棒金収納部4は、棒金1の有無によりX方向に位置が変化する棒金有無レバー10と、棒金有無レバー10の位置を検出する棒金有無センサ11と、を有している。
本実施形態の棒金有無センサ11は、前述した金種判別センサ8と同じ光センサを採用している。棒金有無センサ11は、金種判別センサ8と同様に、+X側に開口した略U字状の検出部57を有している。また、検出部57の開口部57aを挟んで+Z側かつ+Y側には投光部57bが配置され、−Z側かつ−Y側には受光部57cが配置される。
棒金有無レバー10は、X方向から見て略T字形状をした樹脂等からなる部材であり、平板状の被検出部10aを有している。本実施形態では、被検出部10aは、X方向とY方向で形成される水平面に対し、若干+Z側に傾斜して配置されている。そして、被検出部10aは、棒金有無センサ11の投光部57bおよび受光部57cに挟まれるように配置される。
【0026】
棒金有無レバー10および被検出部10aは、棒金1の有無により位置が変化するように構成される。例えば、被検出部10aと連結された棒金接触部(不図示)を設け、アウター3の円筒部34の内周面34aから内側に向かって突出させて配置する。また、不図示のバネなどの付勢手段により+X側に付勢されているようにする。そして、棒金1が収納されたとき、棒金接触部に棒金1が当接して被検出部10aが連動して上記付勢手段による付勢に抗して−X側へ移動し、棒金有無センサ11の投光部57bと受光部57cとの間に配置されるように構成する。また、棒金1をインナー2から取り出したとき、棒金接触部に当接していた棒金1がはずれ、被検出部10aは上記付勢手段による付勢により+X方向に移動するように構成する。このように構成することにより、棒金有無センサ11は、受光部57cでの受光の有無に基づいて棒金1の有無による被検出部10aの位置変化を認識できる。そして、棒金有無センサ11の信号を、不図示のコンピュータに送信することにより、インナー2に棒金1が収納されているかどうかを判別することができる。したがって、金種判別センサ8および棒金有無センサ11の信号から、収納されている棒金の本数および使用された棒金の本数を金種毎に管理することができる。
【0027】
(ドロア)
図4は図1のA−A線における断面図である。
図1および図4に示すように、上述した棒金収納部4は、ドロア40の収納箱42内に収納される。
本実施形態では、棒金収納部4は、ドロア40の引き出し方向(以下「S方向」という。)に向かって、棒金収納部4の+Z側がドロア40の底面40aから離れるように傾斜して配置されている。前述のとおり、プッシャー部5はX方向から見て略半円形状に形成されている。さらにプッシャー部5の略中央にはX方向から見て略半円形状の切り欠き部5aが形成されている。これにより、棒金収納部4のX方向から棒金1の+X側端面81が露出しているので、棒金1の色および棒金1の金種の孔の有無を目視で確認することができる。したがって、異金種の棒金がインナー2に収納されるのを防止することができる。また、特許文献1の棒金収納管理装置は、ドロアを閉めなければ棒金の有無および金種を判別できなかった。しかし、本実施形態では、ドロア40を閉める前に、目視で棒金1の有無および金種を確認することができるので、短時間で簡単に正しい棒金を収納することができる。
【0028】
本実施形態によれば、図2に示すように、ケース部21は金種毎に形成されており、ケース部21の凹部23の直径は、収納される所定金種の棒金1の直径よりも僅かに大きく形成されている。また、ケース部21の全長は、収納される所定金種の棒金1の全長よりも僅かに長く形成されている。具体的には、ケース部21の凹部23の直径は、収納される所定金種の棒金1の直径より大きく形成されており、収納される所定金種の次に大きな直径を有する異金種の棒金の直径より小さく形成されている。また、ケース部21の全長は、収納される所定金種の棒金1の全長より長く形成されており、収納される所定金種の次に長い全長を有する異金種の棒金の全長より短く形成されている。これにより、センサを用いなくても、収納される所定金種よりも大きな外形を有する異金種の棒金が棒金収納部に収納されるのを防止することができる。また、本発明の棒金収納部4は、インナー2の外周側に配置された検知ドグ7を検知する金種判別センサ8を備えている。したがって、検知ドグ7の位置から長さの異なる棒金の金種を判断することができる。さらに、アウター3の−X側には、−X側から+X側に向かって硬貨孔対応ピン9が立設されている。図3(a)に示すように、孔有棒金1aが収納された場合には、硬貨孔対応ピン9が孔を挿通する。また、図3(b)に示すように、孔無棒金1bが収納された場合には、硬貨孔対応ピン9が孔無棒金1bの−X側端面82と当接する。したがって、孔有棒金1aを収納した場合と、孔無棒金1bを収納した場合とでは、検知ドグ7の位置が大きく異なる。これにより、長さが略同一だが孔の有無で異なる異金種の棒金(例えば1円硬貨と5円硬貨)であっても、センサの精度を上げたり、センサの数を増やしたりすることなく孔の有無を判別することができる。したがって、少ない数のセンサで、簡単に所定金種の棒金が収納されたかどうかを判別できる。
【0029】
なお、この発明は上述した実施の形態に限られるものではない。
本実施形態では、投光部と受光部を有する光センサを、金種判別センサおよび棒金有無センサに用いているが、金種判別センサおよび棒金有無センサは光センサに限られない。例えば、金種判別センサおよび棒金有無センサに磁気センサを用い、検知ドグに磁石を用いることにより、磁気センサを金種判別センサおよび棒金有無センサとして用いることができる。ただし、光センサは一般に低コストであり、本実施形態に優位性がある。
【0030】
本実施形態では、インナーのケース部を一体的に形成し、金種毎に異なるケース部を有するインナーを形成している。しかし、例えば、ケース部をインナーとは別部品として形成し、金種毎に形成したケース部をインナーに装着することができる。これにより、ケース部が装着されるインナーを金種毎に共通形状とすることができる。ただし、棒金収納部の部品点数が少ない点で本実施形態に優位性がある。
【符号の説明】
【0031】
1・・・棒金 2・・・インナー 3・・・アウター 4・・・棒金収納部 5・・・プッシャー部 5a・・・切り欠き 6・・・インナーレバー 7・・・検知ドグ 8・・・金種判別センサ 9・・・硬貨孔対応ピン 10・・・棒金有無レバー 11・・・棒金有無センサ 12・・・スプリング(弾性部材) 21・・・ケース部 23・・・凹部 40・・・ドロア 40a・・・底面 42・・・収納箱 50・・・棒金収納管理装置 60・・・孔 81・・・+X側端面(一方側の端面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ金種の硬貨が所定枚数積層された棒金が収納される金種毎に形成された棒金収納部と、
前記棒金収納部が複数配置される収納箱を備えたドロアと、
を備えた棒金収納管理装置であって、
前記棒金収納部は、
収納される前記棒金の外径より僅かに大きな直径と、収納される前記棒金の全長よりも僅かに長い全長と、を有する略半円筒形状の凹部が金種毎に形成されたケース部と、前記凹部の軸に沿った軸方向の一方側に配置され、前記棒金の前記一方側の端面と当接し、少なくとも前記棒金の一部が露出するように形成されたプッシャー部と、を有するインナーと、
前記インナーの外周側に形成された検知ドグと、
前記インナーの外周側に配置され、前記軸方向に摺動可能に前記インナーを支持するアウターと、
前記アウターの外周側に設けられ前記検知ドグを検知する金種判別センサと、
を備え、
前記アウターの前記他方側には、前記軸と同軸上に前記他方側から前記一方側に向かって立設された硬貨孔対応ピンが配置されており、
前記インナーに前記棒金を配置した際に、前記金種判別センサと前記検知ドグとで前記インナーの前記軸方向の位置を認識し、当該位置に基づいて前記インナーの金種と同じ金種の前記棒金が収納されていないと判断される場合には、アラーム表示することを特徴とする棒金収納管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の棒金収納管理装置であって、
前記棒金収納部は、前記インナーと前記アウターとに接続され、前記軸方向の他方側に前記インナーを付勢する弾性部材を備え、
前記アウターは、前記棒金の有無により位置が変化する棒金有無レバーと、前記棒金有無レバーの位置を検出する棒金有無センサと、を有し、
前記金種判別センサと前記棒金有無センサとの出力から、前記棒金収納部に収納されている前記棒金の本数を金種毎に管理することを特徴とする棒金収納管理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の棒金収納管理装置であって、
前記ドロアの収納箱には、前記ドロアの引き出し方向に向かって前記棒金収納部の前記一方側が前記ドロアの底面から離れるように傾斜して配置されることを特徴とする棒金収納管理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の棒金収納管理装置であって、
前記プッシャー部には、孔のある金種の前記棒金が収納されたとき、前記一方側から見て前記孔が見えるように切り欠きが形成されていることを特徴とする棒金収納管理装置。




【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate