棒金収納装置
【課題】上昇搬送部の異常等が発生した場合に、当該異常発生箇所に容易にアクセス可能な棒金収納装置を提供する。
【解決手段】バラ硬貨を包装して棒金Bを作成する包装部36と、棒金Bを後端部から受入れて収納し前端部から送出可能な金種別の複数の棒金カセット50が上下方向に並設された棒金収納部30と、所定の後方搬送位置まで搬送された棒金を棒金収納部30の後方へ搬送する後方搬送部50と、後方まで搬送された棒金Bを複数の棒金カセット50のうち一の棒金カセット50の後端部の位置まで選択的に上昇させる上昇搬送部48と、上昇された棒金Bを棒金カセット50の後端部から収納させる収納振分部とを備え、棒金カセット50の後端部から上昇搬送部48を離間させる離間機構を備えることを特徴とする。
【解決手段】バラ硬貨を包装して棒金Bを作成する包装部36と、棒金Bを後端部から受入れて収納し前端部から送出可能な金種別の複数の棒金カセット50が上下方向に並設された棒金収納部30と、所定の後方搬送位置まで搬送された棒金を棒金収納部30の後方へ搬送する後方搬送部50と、後方まで搬送された棒金Bを複数の棒金カセット50のうち一の棒金カセット50の後端部の位置まで選択的に上昇させる上昇搬送部48と、上昇された棒金Bを棒金カセット50の後端部から収納させる収納振分部とを備え、棒金カセット50の後端部から上昇搬送部48を離間させる離間機構を備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、棒金を収納する棒金収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
棒金を収納する棒金収納装置としては、包装部36で包装された棒金を機体後面側に搬送させる後方搬送部と、機体上部へ上昇搬送させる左右一対の上昇搬送部とを有し、上下方向に多段状に配置された棒金カセットの後方から当該棒金を収納させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−061510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の棒金収納装置は、左右一対の上昇搬送部が機体の後部に位置しており、さらに上昇搬送部が配置されている機体の後部は、機体後方からアクセスできない構造となっているため、上昇搬送部で搬送異常等が発生して棒金の滞留が発生した場合、当該異常が発生した箇所へアクセスしづらいという課題が存在する。
【0005】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、上昇搬送部の異常等が発生した場合に、当該異常発生箇所に容易にアクセス可能な棒金収納装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、バラ硬貨を包装して棒金を作成する包装部と、棒金を後端部から受入れて収納し前端部から送出可能な金種別の複数の棒金カセットが上下方向に並設された棒金収納部と、該棒金収納部と対向配置されて前記包装部により作成された棒金を所定の後方搬送位置まで搬送する棒金搬送部と、前記棒金搬送部により所定の後方搬送位置まで搬送された棒金を前記棒金収納部の後方へ搬送する後方搬送部と、該後方搬送部により前記棒金収納部の後方まで搬送された棒金を前記複数の棒金カセットのうち一の棒金カセットの後端部の位置まで選択的に上昇させる上昇搬送部と、該上昇搬送部により上昇された棒金を前記棒金カセットの後端部から収納させる収納振分部と、を備えた棒金収納装置であって、前記棒金カセットの後端部から前記上昇搬送部を離間させる離間機構を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の発明において、前記離間機構は、前記上昇搬送部を後方にスライドさせて前記棒金カセットから前記上昇搬送部を離間させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載した発明によれば、包装部で包装された棒金を、棒金搬送部により後方搬送位置まで搬送して、後方搬送部により棒金収納部の棒金カセットの後方側に搬送し、さらに、後方に搬送された棒金を上昇搬送部により上昇させて収納振分部により選択的に棒金収納部の棒金カセットの後端部から収納させることができる。また、棒金を出金する際には、棒金取出部により棒金収納部の棒金カセットから棒金を取り出して、当該棒金を、棒金搬送部による一の方向への回動体の回動により棒金出金口へ搬送することができる。そして、棒金カセットの後端部の高さ位置まで棒金を上昇させることが可能な上昇搬送部と、棒金を棒金カセットの後端部から収納させる収納振分部とを、それぞれ離間機構により棒金カセットの後端部から離間させることができるので、上昇搬送部に棒金の滞留などの異常が発生した場合に、棒金カセットの後端部の位置から上昇搬送部および収納振分部を離間させて異常発生箇所に容易にアクセス可能となるため、保守性の向上を図ることができる効果がある。
【0009】
請求項2に記載した発明によれば、請求項1の効果に加え、棒金カセットの後端部から上昇搬送部および収納振分部51を後方にスライド移動させるだけで、上昇搬送部および収納振分部51を棒金カセットの後端部から離間させることができるため、棒金の滞留などの異常が発生した際に、簡単な手順で異常棒金を取り除くことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の棒金収納装置を概略的に示す斜視図である。
【図2】上記棒金収納装置に付設される硬貨入出金機を概略的に示す側面図である。
【図3】上記棒金収納装置の部分側断面図である。
【図4】上記棒金収納装置の後方搬送部を示す斜視図である。
【図5】上記棒金収納装置の後方搬送位置における棒金搬送部と後方搬送部との棒金の受け渡しの説明図である。
【図6】上記棒金収納装置の上昇搬送位置における後方搬送部と上昇搬送部との棒金の受け渡し、および、上昇搬送部による棒金の収納の説明図である。
【図7】上記棒金収納装置の棒金保持機構および駆動機構を示す側面図である。
【図8】上記棒金収納装置の棒金検知センサ等を示す斜視図である。
【図9】上記棒金収納装置の前面パネルの開放状態を示す斜視図である。
【図10】上記棒金収納装置の筺体を前方に引き出した状態を示す斜視図である。
【図11】上記棒金収納装置の筺体の後壁部を離間させた状態を示す斜視図である。
【図12】図11に示す筺体の側面図である。
【図13】上記棒金収納装置の筺体を前方に引き出した状態で筺体の後壁部を離間させた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1実施形態の棒金収納装置10について図面を参照して以下に説明する。図1に示すように、本実施形態の棒金収納装置10は、硬貨入出金機11に付設されて用いられる。
【0012】
まず、硬貨入出金機11について説明する。
硬貨入出金機11は、図2に概略的に示すように、バラ硬貨が投入される入金口15と、入金口15に投入されたバラ硬貨を一枚ずつに分離して繰り出す分離繰出部16と、分離繰出部16から繰り出されたバラ硬貨を搬送する入金搬送部17と、入金搬送部17で搬送中の硬貨を鑑別しつつ金種別に計数する入金鑑別部18と、入金鑑別部18の鑑別結果から真以外のバラ硬貨を入金搬送部17から排除するリジェクト部19と、リジェクト部19で入金搬送部17から排除されたバラ硬貨を案内するリジェクト搬送部20と、リジェクト搬送部20で案内されたバラ硬貨が機外に取出し可能に放出されるリジェクト口21とを有している。
【0013】
また、硬貨入出金機11は、入金鑑別部18で真と鑑別され入金搬送部17でさらに下流に搬送されるバラ硬貨を金種別に選別する金種別選別部22と、金種別選別部22で金種別に選別されたバラ硬貨を金種別に一時貯留させる金種別一時貯留部23と、金種別一時貯留部23に一時貯留されたバラ硬貨を返却のため案内する返却搬送部24と、返却搬送部24で案内されたバラ硬貨が機外に取出し可能に放出される返却出金口25とを有している。
【0014】
また、硬貨入出金機11は、金種別一時貯留部23に一時貯留されたバラ硬貨を金種別に収納するとともに収納しているバラ硬貨を計数しつつ出金可能な金種別収納出金部27と、金種別収納出金部27から出金されたバラ硬貨を返却出金口25に案内する出金搬送路28と、金種別収納出金部27から出金されたバラ硬貨を棒金収納装置10に向けて搬送する棒金作成搬送部29とを有している。硬貨入出金機11は、棒金収納装置10と共用の制御部31を有している。
【0015】
ここで、上記した硬貨入出金機11は、入金のためのバラ硬貨が入金口15に投入されて、操作部(図示せず)にスタート操作が入力されると、制御部31が、入金口15内のバラ硬貨を分離繰出部16で一枚ずつ入金搬送部17に繰り出させて入金搬送部17で搬送する。
制御部31は、入金搬送部17で搬送中に入金鑑別部18で真以外と鑑別された硬貨をリジェクト搬送部20でリジェクト口21に送り、真と鑑別された硬貨を計数しつつ金種別選別部22で選別して金種別一時貯留部23に一時貯留させる。そして、入金口15に投入されたバラ硬貨がすべてリジェクト口21あるいは金種別一時貯留部23に送られると、制御部31は、表示部(図示せず)に鑑別結果を出力する。この鑑別結果を見て操作者が操作部(図示せず)にキャンセル操作を入力すると、制御部31は、金種別一時貯留部23に一時貯留させていた硬貨を返却搬送部24を介して返却出金口25に返却する。他方、鑑別結果を見て操作者が操作部(図示せず)に承認操作を入力すると、制御部31は、金種別一時貯留部23に一時貯留させていた硬貨を金種別収納出金部27に収納させる。
【0016】
また、出金操作が操作部(図示せず)に入力されると、制御部31が、金種別収納出金部27から入力に応じた金種および数のバラ硬貨を出金搬送路28に繰り出させて、出金搬送路28で返却出金口25に出金させる。
【0017】
さらに、金種別収納出金部27に収納中の硬貨を包装するために、適宜のタイミングで、制御部31が、金種別収納出金部27からバラ硬貨を棒金作成搬送部29により棒金収納装置10に搬送する。
【0018】
図3に示す本実施形態の棒金収納装置10は、金種別収納出金部27から棒金作成搬送部29によって搬送されてきたバラ硬貨を受け入れて一旦貯留させ、貯留されたバラ硬貨を一枚ずつ分離し、繰り出された硬貨を所定枚数ずつ集積して包装紙を巻き回し包装紙の両端部を加締めて棒金Bとする包装部36を機体下部に有している。
【0019】
包装部36の上方には、左右方向に沿う姿勢で複数の棒金Bを収納可能な棒金カセット50がそれぞれ上下方向に多段状に併設されてなる棒金収納部30が配置される。すべての棒金カセット50は、機体前面側の前端側が機体後面側の後端側に対して低く傾斜される。各棒金カセット50は金種別となっており、同一の棒金カセット50には同一金種の棒金Bのみが収納される。例えば、最も上側のカセットには1円硬貨の棒金が、上から二番目のカセットには5円硬貨の棒金が、上から三番目のカセットには10円硬貨の棒金が、上から四番目のカセットには50円硬貨の棒金が、上から五番目のカセットには100円硬貨の棒金が、最下段のカセットには500円硬貨の棒金が、それぞれ収納される。
【0020】
棒金カセット50の機体前面側には、ガイド52に沿って上下方向に移動して、複数の棒金カセット50から選択的に棒金Bを1本ずつ取出す棒金取出部53が設けられている。棒金取出部53は、進退可能な持上部材(図示せず)によって棒金カセット50の前端部から棒金Bを選択的に持ち上げて取出す。ここで、棒金取出部53には、棒金Bを取出す対象の棒金カセット50の位置を検出する検出部(図示せず)を有している。例えば、棒金カセット50の前端部に形成されたスリット(図示せず)を検出部により検出して計数することで現在の位置が上から何番目の棒金カセット50の前端位置であるかを検出することができる。
【0021】
棒金取出部53の機体前面側には、棒金カセット50から棒金取出部53によって取り出された棒金Bを搬送するとともに、包装部36により作成されて送り出された棒金Bを搬送する縦型ベルトコンベア式の棒金搬送部55が設けられている。
棒金搬送部55は、移動方向に対して凹状に形成された載置片56を回動方向に等間隔で有する左右一対の縦型ベルトコンベア(回動体)57と、この縦型ベルトコンベア57の外側を覆うように設けられた搬送空間形成部58とを有している。左右一対の縦型ベルトコンベア57は、それぞれ左右幅方向に離間配置され、各縦型ベルトコンベア57に設けられる各載置片56の幅方向位置が略一致している。これら左右幅方向に隣り合う載置片56により左右方向に沿う姿勢の棒金Bが支持可能となっている。
【0022】
そして、棒金カセット50側に前進状態の棒金取出部53の持上部材(図示せず)で持ち上げられることによって持上部材の傾斜で機体前面側に転動しつつ移動する棒金Bを、棒金取出部53に形成された開口部53aを介して縦型ベルトコンベア57と搬送空間形成部58とで形成される搬送空間に受け入れて、搬送空間内の載置片56に載置させる。そして、縦型ベルトコンベア57を上方(一の方向)または下方(他の方向)に回動させて載置片56を移動させることで載置片56に載置された棒金Bを昇降させる。
【0023】
棒金収納装置10は、包装部36と棒金収納部30との間の中段位置、より具体的には包装部36と棒金収納部30との間の中間壁部37よりも棒金収納部30側に後方搬送部42を有している。この後方搬送部42は、棒金搬送部55から所定の後方搬送位置で棒金Bを1本ずつ受け取り左右方向に沿う姿勢のまま機体後面側の所定の上昇搬送位置に向けて搬送する。この後方搬送部42は、機体前面側の前端側が機体後面側の後端側に対して低く傾斜され、その後端側の下側に後方搬送部42を駆動するモータ等を有した駆動ユニット32が配置される。後方搬送部42は、図4に示すように、前端部から棒金Bを左右方向に沿う姿勢で受け入れて後方へと搬送する搬送体部42aと、搬送体部42aから受け取った棒金Bを後方に向けて転動させる傾斜台部42bと、これら搬送体部42aと傾斜台部42bとを下方から支持するベース部材42cとを備えている。
【0024】
ベース部材42cは、その左右にガイド42dとガイド孔42eとを備えており、搬送体部42aの左右側部は、これらガイド42dとガイド孔42eとに案内されて前後方向に移動可能になっている。また、駆動ユニット32とベース部材42cの前端部に設けられたローラ42fとの間にベルト42iが掛け回され、このベルト42iが搬送体部42aに固定される。駆動ユニット32によりベルト42iが一方向に回動されると機体前面側へ移動し、他方向に回動されると機体後面側へ移動する。
【0025】
搬送体部42aの左右中央には、機体前面側の上方に向かい傾斜状態で突出する受入板部42gと、この受入板部42gにより受け入れられた棒金Bを左右方向に沿う姿勢のまま載置する載置部42hとを備えている。受入板部42gは、図5に示すように搬送体部42aが最前位置に移動された場合に、上述した棒金搬送部55の左右一対の載置片56の間を通過するようになっており、載置片56に棒金Bが載置された状態で載置片56が上方から下方に移動して載置片56の間を受入板部42gが通過すると、棒金Bが受入板部42gによって持ち上げられ、さらにこの棒金Bが受入板部42gの傾斜面を転動して載置部42hへと導かれる。そして、棒金Bが載置部42hに収まる所定のタイミングで、駆動ユニット32が駆動されて搬送体部42aが後方へと移動するようになっている。なお、棒金Bが載置部42hに収まり静止したことを検知するセンサを設けて、該センサの検知結果に基づいて棒金Bが検知された後に搬送体部42aを後方へ移動させるようにしてもよい。
【0026】
ここで、図6に示すように搬送体部42aが後方に移動されて傾斜台部42bに接近すると、搬送体部42aは、上述したガイド42dとガイド孔42eとによって、後方に移動するほど後方に向かって傾動され、これにより、搬送体部42a内の棒金Bは後方に向かって転動して、傾斜台部42b上に移動することとなる。傾斜台部42bは、その上面が後方に向かって傾斜形成されており、傾斜台部42b上に移動した棒金Bは、後方搬送部42の後方に位置する上昇搬送部48側に転動されて所定の上昇搬送位置より具体的には、最も下位置に停止された上昇搬送部48のエレベータ49上に移動するようになっている。上昇搬送部48のエレベータ49は、後方搬送部42によって機体後面側に搬送されてきた棒金Bを左右方向に沿う姿勢のまま受け入れて上昇搬送する。上昇搬送部48の機体前面側には、上述した多段状に配置された棒金カセット50が設けられ、エレベータ49の棒金カセット50とは反対側には、エレベータ49で搬送されてきた棒金Bを複数段の棒金カセット50のいずれか選択された一つに向けてプッシャ51aで押し出す収納振分部51が設けられている。すべての棒金カセット50は、収納振分部51で上昇搬送部48から押し出された棒金Bを1本ずつ機体後面側の後端部の一段高い受入台部54から左右方向に沿う姿勢のまま受け入れる。
【0027】
棒金搬送部55は、縦型ベルトコンベア57を一の方向より具体的には図3における反時計回りの搬送方向に回動することによって包装部36で作成された棒金Bを1本ずつ後方搬送部42へ受け渡す所定の後方搬送位置まで搬送可能となっている。
また棒金搬送部55は、縦型ベルトコンベア57が一の方向より具体的には図3における反時計回りの搬送方向に回動することによって棒金カセット50から棒金取出部53を介して取り出された棒金Bを1本ずつ棒金出金部63へ向けて搬送可能となっている。
【0028】
また、棒金搬送部55は、縦型ベルトコンベア57が他の方向より具体的には図3における時計回りの搬送方向に回動することによって棒金取出部53によって棒金カセット50から取り出された棒金Bを1本ずつ後方搬送部42へ受け渡す所定の後方搬送位置まで搬送可能となっている。
【0029】
また、棒金搬送部55は、包装部36により機体前面側に案内された棒金Bを受け入れて他の方向、すなわち図3に示すように、載置片56を下方から前方、さらには上方に移動させることで棒金Bを収納空間内で移動させ、搬送空間形成部58に形成された開口部58bおよびシュート61を介して放出口59に案内する。放出口59に案内された棒金Bは、シュート61を介して機体前面に設けられた放出口59から放出されて、その前に載置される別体の図3に示す受入ボックス60に収納される。
【0030】
ここで、棒金搬送部55の機体前面側には、図3に示すように、搬送空間形成部58に形成された開口部58dを搬送空間形成部58に沿って開閉する開閉部材62と、この開口部58dを介して棒金Bを収納する棒金出金部63が設けられており、開閉部材62が開口部58dを開放しているとき、棒金搬送部55の載置片56で下降搬送中の棒金Bが開口部58dに達すると、棒金Bは、載置片56の傾斜で、開口部58dから棒金出金部63に向けて移動することになる。なお、棒金出金部63は機体から着脱可能な箱状をなしている。
【0031】
以上の構成の棒金収納装置10は、適宜のタイミングで金種別収納出金部27のいずれか一つから棒金作成搬送部29(図2参照)によって搬送されてきた同一金種のバラ硬貨を貯留部(図示せず)に一旦受け入れると、制御部31が貯留部から一枚ずつバラ硬貨を繰り出させて包装部36に送り、包装部36で所定枚数集積して包装紙を巻き回し包装紙の両端部を加締めて棒金Bとする。棒金Bが作成されると、制御部31は、この棒金Bを例えば、棒金搬送部55に案内して、棒金搬送部55で搬送する。つまり、棒金Bを縦型ベルトコンベア57の載置片56で下方に案内した後、機体前面側で上方に案内する。載置片56に載置された棒金Bが放出口59に対応した開口部58bの位置まで移動すると載置片56の傾斜で放出口59に案内され、放出口59から放出される。
【0032】
また、例えば、制御部31は、包装部36で作成された棒金Bを棒金収納部30に収納する場合には、棒金搬送部55の縦型ベルトコンベア57を機体後面側で上方の後方搬送位置まで搬送する。後方搬送位置まで搬送された棒金Bは、後方搬送部42で機体後面側すなわち後方に搬送され、図6に示すように、上昇搬送部48で上方に搬送され収納振分部51で上昇搬送部48から押し出されて対応する金種の棒金カセット50に収納されることになる。
【0033】
また、例えば、制御部31は、棒金Bの出金指令を受けると、棒金取出部53で対応する棒金Bを棒金カセット50から取出して棒金搬送部55で搬送し、棒金出金部63に出金する。より具体的には、棒金Bを縦型ベルトコンベア57の載置片56で上方に案内した後、機体前面側で下方に案内すると、載置片56に載置された棒金Bが棒金出金部63に対応した開口部58dの位置に至ることになり、棒金Bは棒金出金部63に案内される。つまり、棒金Bを縦型ベルトコンベア57の載置片56で上方に案内した後、機体前面側で下方に案内すると、載置片56に載置された棒金Bが棒金出金部63に対応した開口部58dの位置に至ることになり、このとき開閉部材62によって開口部58dを開放しておくことで、棒金Bは棒金出金部63に対応した開口部58dを介して棒金出金部63に案内される。
【0034】
図7に示すように、各棒金カセット50の上側には、収納振分部51によって棒金カセット50の後端部から受け入れた棒金Bを左右方向に沿う姿勢を維持したまま保持して棒金カセット50内を前方側へ移動させる棒金保持機構80が設けられている。これら棒金保持機構80は、それぞれ上下動可能であり、これらを棒金カセット50の長さ方向に沿って移動させる駆動機構81に連結されている。
【0035】
駆動機構81は、最も下側の棒金カセット50の下側で棒金カセット50と平行に延在するスライド軸85と、このスライド軸85に摺動自在に支持されるスライドブロック86と、スライドブロック86から上方に延出する保持板87と、スライド軸85の両端側の下方に配置された一対のプーリ88と、これらプーリ88に掛けられることでスライド軸85と平行に配設される駆動ベルト89と、一方のプーリ88に連結されたモータ90とを有しており、駆動ベルト89の一部がスライドブロック86に固定されている。これにより、駆動機構81は、モータ90の正逆回転で、スライドブロック86および保持板87を棒金カセット50の長さ方向に往復動させる。
【0036】
保持板87は、上下に多段状に配置された棒金カセット50の左右方向側方で上下に延在しており、この保持板87に各棒金カセット50側に延出するように棒金保持機構80が取り付けられている。
棒金保持機構80は、保持板87に棒金カセット50側に延出するように固定されるキャリア本体95と、このキャリア本体95にキャリア本体95から後方に延出するように連結された受けブロック96と、この受けブロック96に受けブロック96よりも後方に延出するように連結された押さえブロック97とを有している。すべての棒金保持機構80のキャリア本体95が保持板87に固定されていることから、保持板87および複数のキャリア本体95で構成されるキャリア91が、棒金カセット50の長さ方向に沿って移動可能に設けられている。
【0037】
棒金保持機構80は、後端側の所定の受取位置にあるとき、受けブロック96をキャリア本体95に対し下側に揺動させた一側下降状態とし、押さえブロック97を受けブロック96に対し上側に揺動させた他側上昇状態とする。この状態で、収納振分部51から棒金Bが棒金カセット50の幅方向に沿う姿勢で棒金カセット50の後端部の上に放出されると、この棒金Bが底面の傾斜によって前側に移動し、押さえブロック97の下側を通って受けブロック96に当接し棒金カセット50の幅方向に沿う姿勢で停止する。なお、棒金保持機構80は、待機状態にあるときこの受取位置で停止する。また、棒金保持機構80が受取位置に位置したことを保持板87の位置から検出する受取位置センサ(図示せず)が設けられている。
【0038】
そして、棒金Bを受け取った状態から棒金保持機構80が棒金カセット50の前端側へ移動すると、押さえブロック97が下降して棒金Bに当接する。これにより、棒金保持機構80は、受けブロック96が一側下降状態となり、押さえブロック97が他側下降状態となって、共に下降した状態となり、棒金カセット50の底面70a上の棒金Bを上側から抱えるように保持する状態となる。このとき、棒金Bは、前側が受けブロック96に当接し、後側が押さえブロック97に当接し、下側が底面70aに当接した、軸方向視で三点支持の状態となり、棒金保持機構80の棒金カセット50の前端側への移動で、この三点支持状態のまま前端側へ移動する。つまり、棒金保持機構80により棒金Bが、棒金カセット50の幅方向に沿う姿勢のまま、ふらついたり、斜行したり、棒金保持機構80に対し遅れたりすることなく移動する。
【0039】
棒金保持機構80は、上記のように受けブロック96を一側下降状態とし押さえブロック97を他側下降状態として棒金Bを抱えつつ棒金カセット50の前端側に移動すると、保持している棒金Bが既に棒金カセット50に収納されている棒金Bの最後尾のものに当接した後に、受けブロック96が、既に棒金カセット50に収納されている棒金Bの最後尾のものに当接し、その移動の力を利用してこの棒金Bに乗り上げる。これにより、受けブロック96が上側に揺動させられることになり、付勢スプリング(図示せず)の付勢力で一側上昇状態となる。その結果、受けブロック96および押さえブロック97が共に棒金Bから離れ、棒金Bの受けおよび押さえが解除される。このとき、最後尾の棒金Bに接触する前に、最後尾の棒金Bに、受けブロック96および押さえブロック97で保持されていた棒金Bが当接して停止することになるが、後側の押さえブロック97は、保持していた棒金Bによって上方に揺動させられてこの棒金Bよりも前方に移動する。なお、棒金保持機構80が、受取位置に位置したときに、受けブロック96および押さえブロック97が既に棒金カセット50に収納されている棒金Bの最後尾のものに当接することがないように、棒金Bの収納スペース(満杯量)が設定されている。つまり、棒金カセット50の棒金Bを収納する収納スペースの後端部は、受取位置よりも前側に設定されている。
【0040】
キャリア本体95には、最上段の棒金カセット50の上側のキャリア本体95を除いて、下側および上側に磁気センサ140,141が取り付けられている。キャリア本体95に支持された下側の磁気センサ140は、直ぐ下側の棒金カセット50に収納されている棒金Bをスキャニングしてその磁気データを検出する。同じキャリア本体95に支持された上側の磁気センサは、直ぐ上側の棒金カセット50に収納されている棒金Bをスキャニングしてその磁気データを棒金カセット50の底板部に形成された図示略の検出溝を介して検出する。
【0041】
棒金カセット50の直ぐ上側に設けられたキャリア本体95の下側の磁気センサ140と同じ棒金カセット50の直ぐ下側に設けられたキャリア本体95の上側の磁気センサ141とが、互いにキャリア本体95の移動方向における前後左右の位置を合わせて対向し、互いの間にある棒金カセット50の底面と直交する方向に配置されていて、この棒金カセット50に収納された棒金Bの磁気データを検出する磁気データ検出部(金種精査手段)を構成している。つまり、磁気データ検出部は、棒金カセット50に収納された棒金Bを直径方向において挟むように配置された一対の磁気センサ140,141で構成されている。なお、最上段の棒金カセット50の上側のキャリア本体95には、下側の磁気センサ140のみが取り付けられており、上から二番目の棒金カセット50の上側のキャリア本体95の上側の磁気センサ141と対向して、最上段の棒金カセット50に収納されている棒金Bを検出する磁気データ検出部を構成する。また、最下段の棒金カセット50の下側には、キャリア91を構成するとともに磁気センサ141を支持するのみの最下キャリア本体95Aが保持板87から延出しており、この最下キャリア本体95Aには上向きに磁気センサ141が取り付けられている。この磁気センサ141は、最下段の棒金カセット50の上側のキャリア本体95の下側の磁気センサ140と対向して、最下段の棒金カセット50に収納されている棒金Bを検出する磁気データ検出部を構成する。
【0042】
上述した棒金保持機構80を前後方向に移動させると、磁気データ検出部の一対の磁気センサ140,141の間に棒金Bが通過されることとなり、磁気センサ140,141により棒金カセット50に収納された棒金Bの磁気データが検出される。制御部31は、すべての磁気データ検出部で検出した磁気データに基づいて、正常棒金の有無、何れの金種の棒金であるかを特定できなかった異常状態を含む異金種棒金の有無、棒金装填状態の姿勢異常の有無、および正常棒金の在り高を確認する。
【0043】
図8に示すように、棒金搬送部55には、各棒金カセット50の各前端部の前方位置、より具体的には、平行配置された棒金搬送部55の2つの縦型ベルトコンベア57の間で且つ、棒金カセット50の前端部に対向する前方位置に、それぞれ各棒金カセット50から取り出された棒金Bを検知する棒金検知センサS1が配置されている。棒金検知センサS1は、光学センサ、あるいは、磁気センサなどからなり、棒金取出部53により取り出されて互いに対向配置される棒金検知センサS1と棒金カセット50との間を横切った棒金Bを検知する。
【0044】
ここで、制御部31は、複数の棒金カセット50のうち一の棒金カセット50から棒金取出部53により棒金Bの取出し動作を行った際に、一の棒金カセット50に対応する棒金検知センサS1、すなわち一の棒金カセット50の前端部の前方に配置された棒金検知センサS1により棒金Bが検知されたと判定された場合に、当該取出し動作が正常に行われたことを検出する(確認手段)。一方、棒金取出部53によって上記一の棒金カセット50から棒金Bの取出し動作を行ったにもかかわらず、他の棒金カセット50に対応する棒金検知センサS1、すなわち他の棒金カセット50の前端部の前方に配置された棒金検知センサS1により棒金Bが検知されたと判定された場合に、当該取出し動作が異常であることを検出する(異常棒金検出手段)。
【0045】
上述した棒金Bの正常な取出しが検出された場合、棒金Bは載置片56に載置された状態で搬送方向の下流側に搬送され、この棒金Bが他の棒金カセット50に対応する棒金検知センサS1により検知されることとなるが、制御部31は、棒金Bが取り出された一の棒金カセット50に対応する棒金検知センサS1よりも棒金搬送部55の搬送方向の下流側にある棒金検知センサS1によって棒金Bが検知された場合に、検知された当該棒金Bを、異常な取出し動作による棒金Bではなく、棒金搬送部55によって搬送中の棒金Bであると認識する(認識手段)。
【0046】
また上述した棒金Bの取出し動作が異常であると検出された場合、制御部31は、異常な取出し動作が検出された棒金検知センサS1に対応する棒金カセット50の位置、より具体的には複数の棒金カセット50の中から異常取出し動作を検出した棒金検知センサS1の後方に対向配置された棒金カセット50の位置を特定する制御を行う。さらに制御部31は、棒金取出部53による残りの棒金取出し動作を停止させると共に、異常取出しされた棒金Bを棒金搬送部55により下方の後方搬送位置に搬送し、この後方搬送位置から後方搬送部42により機体後面側の上昇搬送位置に搬送し、さらに上昇搬送位置から上昇搬送部48によって異常な取出しがなされた棒金カセット50の後端部に向けて上昇搬送して、当該後端部の位置で収納振分部51によって当該棒金カセット50に棒金Bを戻す制御を行う(戻し制御手段)。
【0047】
また制御部31は、収納振分部51によって棒金Bを棒金カセット50に戻す制御が完了すると、棒金カセット50に収納されている棒金Bの金種を上述した磁気データ検出部により検出させる制御を実行する(実行手段)。この際、該当する棒金カセット50に収納されている棒金Bのうち、最も後方に収納されている棒金B、すなわち異常取出しされて棒金カセット50に戻された棒金Bの金種が、当該棒金カセット50に収納されるべき金種か否かを判定することで、異常取出しされた棒金Bが正常に棒金カセット50に戻されたことを確認する。
【0048】
また制御部31は、異常な取出し動作が行われた棒金Bが正常に棒金カセット50に戻されると、棒金出金部63への出金が完了していない未出金の棒金Bを特定する。より具体的には、異常な取出し動作が検出された際に、異常な取出しが行われた棒金Bが棒金カセット50に戻される制御が行われることで中断していた出金動作を再開するべく、異常な取出しが検出される前に棒金出金部63に出金された棒金Bの情報を図示略の記憶手段から読み出して、棒金出金部63へ未出金の棒金Bの金種ならびに本数を特定する。そして未出金の棒金Bを棒金取出部53により所定の棒金カセット50から順次取出して棒金搬送部55により棒金出金部63へ出金する制御を行う(出金継続手段)。
【0049】
ここで、上述した棒金取出部53は、図示略の操作パネルからユーザの出金操作が入力されると、入力された金種、本数などの情報に基づいて、棒金カセット50から1本ずつ棒金Bを棒金搬送部55に取出すこととなるが、この際、制御部31によって、棒金搬送部55の縦型ベルトコンベア57の搬送方向が上述した一の方向よりも棒金出金部63側、より具体的には、棒金Bを棒金出金部63へ搬送する方向の下流側に配置された棒金カセット50から順番に出金対象の棒金Bを取出す制御を行う(取出し制御手段)。これにより、棒金搬送部55の搬送速度と棒金取出部53の移動速度とが異なり、例えば、棒金搬送部55の搬送速度に比して棒金取出部53の移動速度が相対的に速い場合などに、搬送方向の上流側から搬送されてきた棒金が搬送方向の下流側から取り出された棒金と衝突したり、棒金取出部で取り出された順番と異なった順番に入れ替わって搬送されるのを、センサ等を用いて監視することなしに防止することができる。なお、上述した確認手段、異常棒金検出手段、認識手段、戻し制御手段、出金継続手段、実行手段、取出し制御手段は、制御部31で実行されるプログラムにより構成される。
【0050】
図1,9に示すように、棒金収納装置10および硬貨入出金機11は、共通の函体101内に収められている。この函体101は、機体前面側から見て右側の側壁102にヒンジ103が設けられ、このヒンジ103に前面パネル104が開閉自在に支持されている。この前面パネル104には、上述した棒金搬送部55、棒金出金部63、シュート61、および、機体前面側の搬送空間形成部58などが一体的に固定される。そのため、前面パネル104が、図9に示すように開放されることで、棒金搬送部55と棒金カセット50とが分離されるとともに、棒金搬送部55と包装部36とが分離される。さらに、前面パネル104を図9に示す機体左右方向に沿う位置まで開放可能であり、これにより、棒金カセット50の機体前面側に、前面パネル104および前面パネル104に一体化された棒金搬送部55などの機器が配置されない状態となる。
【0051】
一方、上述した棒金カセット50が上下方向に多段状に併設されてなる棒金収納部30は、図9、図10に示すように、機体前面側が開口する筺体105内に収められている。この筺体105には、棒金収納部30の他に上述した棒金取出部53、後方搬送部42、上昇搬送部48、および、収納振分部51が一体的に収められている。当該筺体105は、テーブル106によって下方から支持されており、このテーブル106が包装部36と棒金収納部30とを隔てる上述した中間壁部37に対して前後方向に移動可能に支持される。つまり、筺体105はテーブル106とともに函体101から前方へ引き出し可能であり、筺体105を引き出すことで棒金収納部30と棒金取出部53と後方搬送部42と上昇搬送部48と収納振分部51とが一度に引き出されることとなる。
【0052】
テーブル106には、筺体105の側壁107の下縁を前後方向に沿う凹溝を有したレール108が設けられている。このレール108は、函体101の右側壁109および中間側壁110の棒金収納部30側の内面に形成された図示略の突起部に対してスライド可能に支持される。ここで、筺体105の背面は、函体101の開口縁よりも前方に引き出し可能であり、この状態ではレール108が函体101に支持されることなくテーブル106のみで筺体105が支持される。また、筺体105の背面が函体101内にある状態では、レール108が函体101の突起部(図示せず)にスライド可能に支持される。さらにテーブル106には、筺体105よりも機体前面側の右下に、前方に突出する取っ手が形成される。この取っ手111をユーザが前後に押し引きすることで、上述したテーブル106およびレール108による支持構造により、容易に函体101から筺体105全体を引き出したり、収納したりすることが可能となっている。なお、取っ手111の位置は筺体105の前面側であれば右下位置以外の場所、例えば左下位置や左右中央の下位置に設けてもよい。なお、この実施形態では棒金取出部53も筺体105に一体的に取り付けられた場合を示しているが、棒金取出部53は棒金搬送部55側に設けるようにしてもよい。
【0053】
図11、図12に示すように、筺体105の後壁を構成する後壁部120と側壁107との間には、その上部と下部とにそれぞれ前後方向に沿って伸縮可能な伸縮ロッド130が離間機構として掛け渡して取り付けられ、この伸縮ロッド130を伸長させることで後壁部120が筺体本体121に対して後退および離間可能となっている。後壁部120には、上述した上昇搬送部48が固定されており、つまり後壁部120を筺体105の後縁から後退させることで、上昇搬送部48が棒金収納部30の後端部および後方搬送部42の後端部から後方に離間されるようになっている。
【0054】
各伸縮ロッド130は、後壁部120の側壁122側面に固定されており、各伸縮ロッド130には、側壁122の位置の上下方向の内側にそれぞれ縦断面略コの字状に形成されたロック部支持部123が設けられる。このロック部支持部123には、左右方向に沿う軸部124が支持され、この軸部124に前後方向に延びるロックキー部材125が軸支されている。このロックキー部材125は、前後方向に沿う略水平な状態からその先端側が弾性部材Sにより付勢されつつ下方に向かって揺動可能となっている。
【0055】
ロックキー部材125の前部には、前方ほど高さ寸法が減少するように傾斜されたいわゆる先細り形状の先端部126と、この先端部126の後方上部に形成された凹部127とが設けられる。一方、ロックキー部材125に対向する筺体105の後縁には、左右方向外側に向かって突出するロックピン部材129が形成される。これらロックキー部材125とロックピン部材129との構成により、後壁部120が筺体105から後退された状態から、後壁部120が閉塞する側に前進されることで、ロックキー部材125の先端部126の傾斜部126aがロックピン部材129の下部に当接して後壁部120が閉塞されるほど先端部126が徐々に下方に押し下げられる。そして、後壁部120により筺体105の後部が完全に閉塞される位置では、弾性部材Sの弾性力によりロックキー部材125の先端部126が跳ね上がりロックピン部材129が凹部127に没入されてロックキー部材125がロックピン部材129に係合され、後壁部120の前後方向への移動が規制される。また、ロックキー部材125の後部には、各ロックピン部材129の係合を解除するための解除突起部131が後方に向かってそれぞれ延出形成される。
【0056】
後壁部120の後面には、図12に示すように、後壁部120の後面に沿う上下方向にスライド可能なロック解除操作部材142が取り付けられている。このロック解除操作部材142には、その上部にユーザが上方にスライド操作を行うためのつば部132が後方に向かって屈曲形成され、さらにスライド操作が行われた場合に上下の各解除突起部131を同時に上方へ押し上げる押圧突起部133が左右方向外側に向かって突出形成される。つまり、ロックピン部材129がロックキー部材125に係合された状態でユーザがロック解除操作部材142のつば部132を上方にスライド操作することで、ロック解除操作部材142の押圧突起部133によりロックキー部材125の解除突起部131が上方に移動される。これによりロックキー部材125の先端部が下方に揺動され、ロックピン部材129が凹部127の外部に移動されて、ロックピン部材129とロックキー部材125との係合が解除状態となり、この結果、後壁部120が後方へ移動可能となる。また、ユーザがつば部132のスライド操作を止めると、弾性部材Sの付勢力によりロックキー部材125が水平状態に戻ろうとして、解除突起部131がロック解除操作部材142の押圧突起部133を下方に押し下げ、つば部132がスライド操作前の初期位置に戻される。ここで、筺体105を函体101から引き出した状態において、図13に示すように、筺体105と函体101の開口部との間には後壁部120が後方へ移動する分だけクリアランスが確保されており、筺体105を函体101から下ろすことなしに、筺体105を函体101から引き出した状態のままで、上昇搬送部48を棒金収納部30の後端部から後方へ離間させての作業が可能となっている。
【0057】
したがって、上述した実施形態の棒金収納装置10によれば、複数の棒金カセット50の後端部の位置まで棒金Bを上昇させることが可能な上昇搬送部48と、棒金Bを棒金カセット50の後端部から収納させる収納振分部51とを、それぞれ伸縮ロッド130により棒金カセット50から離間させることができるので、上昇搬送部48に棒金Bの滞留などの異常が発生した場合に、棒金カセット50の後端部の位置から上昇搬送部48および収納振分部51を離間させて異常発生箇所に容易にアクセス可能となるため、保守性の向上を図ることができる。
また、棒金カセット50の後端部から上昇搬送部48および収納振分部51を後方にスライド移動させるだけで、上昇搬送部48および収納振分部51を棒金カセット50の後端部から離間させることができるため、棒金Bの滞留などの異常が発生した際に、簡単な手順で異常な棒金Bを取り除くことが可能になる。
【0058】
なお、以上これまで説明した実施形態においては、硬貨入出金機11に並設されてバラ硬貨から棒金Bを作成し収納する棒金収納装置10を例にとり説明したが、棒金Bが手作業で装填されて出金のみを行う棒金支払機にも、むろん適用可能である。
さらに、上述した実施形態では、伸縮ロッド130を介して上昇搬送部48を棒金収納部30の棒金カセット50の後端部から離間させる場合について説明したが、離間可能であれば、伸縮ロッド130による離間に限られるものではない。つまり、離間させる方向は後方に限られず、上昇搬送部48が棒金収納部30に対して離間可能であれば、例えば、レールを用いたスライド機構などを用いて上方や側方に離間させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
50 棒金カセット
81 駆動機構
91 キャリア
140,141 磁気センサ
B 棒金
【技術分野】
【0001】
この発明は、棒金を収納する棒金収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
棒金を収納する棒金収納装置としては、包装部36で包装された棒金を機体後面側に搬送させる後方搬送部と、機体上部へ上昇搬送させる左右一対の上昇搬送部とを有し、上下方向に多段状に配置された棒金カセットの後方から当該棒金を収納させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−061510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の棒金収納装置は、左右一対の上昇搬送部が機体の後部に位置しており、さらに上昇搬送部が配置されている機体の後部は、機体後方からアクセスできない構造となっているため、上昇搬送部で搬送異常等が発生して棒金の滞留が発生した場合、当該異常が発生した箇所へアクセスしづらいという課題が存在する。
【0005】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、上昇搬送部の異常等が発生した場合に、当該異常発生箇所に容易にアクセス可能な棒金収納装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、バラ硬貨を包装して棒金を作成する包装部と、棒金を後端部から受入れて収納し前端部から送出可能な金種別の複数の棒金カセットが上下方向に並設された棒金収納部と、該棒金収納部と対向配置されて前記包装部により作成された棒金を所定の後方搬送位置まで搬送する棒金搬送部と、前記棒金搬送部により所定の後方搬送位置まで搬送された棒金を前記棒金収納部の後方へ搬送する後方搬送部と、該後方搬送部により前記棒金収納部の後方まで搬送された棒金を前記複数の棒金カセットのうち一の棒金カセットの後端部の位置まで選択的に上昇させる上昇搬送部と、該上昇搬送部により上昇された棒金を前記棒金カセットの後端部から収納させる収納振分部と、を備えた棒金収納装置であって、前記棒金カセットの後端部から前記上昇搬送部を離間させる離間機構を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の発明において、前記離間機構は、前記上昇搬送部を後方にスライドさせて前記棒金カセットから前記上昇搬送部を離間させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載した発明によれば、包装部で包装された棒金を、棒金搬送部により後方搬送位置まで搬送して、後方搬送部により棒金収納部の棒金カセットの後方側に搬送し、さらに、後方に搬送された棒金を上昇搬送部により上昇させて収納振分部により選択的に棒金収納部の棒金カセットの後端部から収納させることができる。また、棒金を出金する際には、棒金取出部により棒金収納部の棒金カセットから棒金を取り出して、当該棒金を、棒金搬送部による一の方向への回動体の回動により棒金出金口へ搬送することができる。そして、棒金カセットの後端部の高さ位置まで棒金を上昇させることが可能な上昇搬送部と、棒金を棒金カセットの後端部から収納させる収納振分部とを、それぞれ離間機構により棒金カセットの後端部から離間させることができるので、上昇搬送部に棒金の滞留などの異常が発生した場合に、棒金カセットの後端部の位置から上昇搬送部および収納振分部を離間させて異常発生箇所に容易にアクセス可能となるため、保守性の向上を図ることができる効果がある。
【0009】
請求項2に記載した発明によれば、請求項1の効果に加え、棒金カセットの後端部から上昇搬送部および収納振分部51を後方にスライド移動させるだけで、上昇搬送部および収納振分部51を棒金カセットの後端部から離間させることができるため、棒金の滞留などの異常が発生した際に、簡単な手順で異常棒金を取り除くことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の棒金収納装置を概略的に示す斜視図である。
【図2】上記棒金収納装置に付設される硬貨入出金機を概略的に示す側面図である。
【図3】上記棒金収納装置の部分側断面図である。
【図4】上記棒金収納装置の後方搬送部を示す斜視図である。
【図5】上記棒金収納装置の後方搬送位置における棒金搬送部と後方搬送部との棒金の受け渡しの説明図である。
【図6】上記棒金収納装置の上昇搬送位置における後方搬送部と上昇搬送部との棒金の受け渡し、および、上昇搬送部による棒金の収納の説明図である。
【図7】上記棒金収納装置の棒金保持機構および駆動機構を示す側面図である。
【図8】上記棒金収納装置の棒金検知センサ等を示す斜視図である。
【図9】上記棒金収納装置の前面パネルの開放状態を示す斜視図である。
【図10】上記棒金収納装置の筺体を前方に引き出した状態を示す斜視図である。
【図11】上記棒金収納装置の筺体の後壁部を離間させた状態を示す斜視図である。
【図12】図11に示す筺体の側面図である。
【図13】上記棒金収納装置の筺体を前方に引き出した状態で筺体の後壁部を離間させた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1実施形態の棒金収納装置10について図面を参照して以下に説明する。図1に示すように、本実施形態の棒金収納装置10は、硬貨入出金機11に付設されて用いられる。
【0012】
まず、硬貨入出金機11について説明する。
硬貨入出金機11は、図2に概略的に示すように、バラ硬貨が投入される入金口15と、入金口15に投入されたバラ硬貨を一枚ずつに分離して繰り出す分離繰出部16と、分離繰出部16から繰り出されたバラ硬貨を搬送する入金搬送部17と、入金搬送部17で搬送中の硬貨を鑑別しつつ金種別に計数する入金鑑別部18と、入金鑑別部18の鑑別結果から真以外のバラ硬貨を入金搬送部17から排除するリジェクト部19と、リジェクト部19で入金搬送部17から排除されたバラ硬貨を案内するリジェクト搬送部20と、リジェクト搬送部20で案内されたバラ硬貨が機外に取出し可能に放出されるリジェクト口21とを有している。
【0013】
また、硬貨入出金機11は、入金鑑別部18で真と鑑別され入金搬送部17でさらに下流に搬送されるバラ硬貨を金種別に選別する金種別選別部22と、金種別選別部22で金種別に選別されたバラ硬貨を金種別に一時貯留させる金種別一時貯留部23と、金種別一時貯留部23に一時貯留されたバラ硬貨を返却のため案内する返却搬送部24と、返却搬送部24で案内されたバラ硬貨が機外に取出し可能に放出される返却出金口25とを有している。
【0014】
また、硬貨入出金機11は、金種別一時貯留部23に一時貯留されたバラ硬貨を金種別に収納するとともに収納しているバラ硬貨を計数しつつ出金可能な金種別収納出金部27と、金種別収納出金部27から出金されたバラ硬貨を返却出金口25に案内する出金搬送路28と、金種別収納出金部27から出金されたバラ硬貨を棒金収納装置10に向けて搬送する棒金作成搬送部29とを有している。硬貨入出金機11は、棒金収納装置10と共用の制御部31を有している。
【0015】
ここで、上記した硬貨入出金機11は、入金のためのバラ硬貨が入金口15に投入されて、操作部(図示せず)にスタート操作が入力されると、制御部31が、入金口15内のバラ硬貨を分離繰出部16で一枚ずつ入金搬送部17に繰り出させて入金搬送部17で搬送する。
制御部31は、入金搬送部17で搬送中に入金鑑別部18で真以外と鑑別された硬貨をリジェクト搬送部20でリジェクト口21に送り、真と鑑別された硬貨を計数しつつ金種別選別部22で選別して金種別一時貯留部23に一時貯留させる。そして、入金口15に投入されたバラ硬貨がすべてリジェクト口21あるいは金種別一時貯留部23に送られると、制御部31は、表示部(図示せず)に鑑別結果を出力する。この鑑別結果を見て操作者が操作部(図示せず)にキャンセル操作を入力すると、制御部31は、金種別一時貯留部23に一時貯留させていた硬貨を返却搬送部24を介して返却出金口25に返却する。他方、鑑別結果を見て操作者が操作部(図示せず)に承認操作を入力すると、制御部31は、金種別一時貯留部23に一時貯留させていた硬貨を金種別収納出金部27に収納させる。
【0016】
また、出金操作が操作部(図示せず)に入力されると、制御部31が、金種別収納出金部27から入力に応じた金種および数のバラ硬貨を出金搬送路28に繰り出させて、出金搬送路28で返却出金口25に出金させる。
【0017】
さらに、金種別収納出金部27に収納中の硬貨を包装するために、適宜のタイミングで、制御部31が、金種別収納出金部27からバラ硬貨を棒金作成搬送部29により棒金収納装置10に搬送する。
【0018】
図3に示す本実施形態の棒金収納装置10は、金種別収納出金部27から棒金作成搬送部29によって搬送されてきたバラ硬貨を受け入れて一旦貯留させ、貯留されたバラ硬貨を一枚ずつ分離し、繰り出された硬貨を所定枚数ずつ集積して包装紙を巻き回し包装紙の両端部を加締めて棒金Bとする包装部36を機体下部に有している。
【0019】
包装部36の上方には、左右方向に沿う姿勢で複数の棒金Bを収納可能な棒金カセット50がそれぞれ上下方向に多段状に併設されてなる棒金収納部30が配置される。すべての棒金カセット50は、機体前面側の前端側が機体後面側の後端側に対して低く傾斜される。各棒金カセット50は金種別となっており、同一の棒金カセット50には同一金種の棒金Bのみが収納される。例えば、最も上側のカセットには1円硬貨の棒金が、上から二番目のカセットには5円硬貨の棒金が、上から三番目のカセットには10円硬貨の棒金が、上から四番目のカセットには50円硬貨の棒金が、上から五番目のカセットには100円硬貨の棒金が、最下段のカセットには500円硬貨の棒金が、それぞれ収納される。
【0020】
棒金カセット50の機体前面側には、ガイド52に沿って上下方向に移動して、複数の棒金カセット50から選択的に棒金Bを1本ずつ取出す棒金取出部53が設けられている。棒金取出部53は、進退可能な持上部材(図示せず)によって棒金カセット50の前端部から棒金Bを選択的に持ち上げて取出す。ここで、棒金取出部53には、棒金Bを取出す対象の棒金カセット50の位置を検出する検出部(図示せず)を有している。例えば、棒金カセット50の前端部に形成されたスリット(図示せず)を検出部により検出して計数することで現在の位置が上から何番目の棒金カセット50の前端位置であるかを検出することができる。
【0021】
棒金取出部53の機体前面側には、棒金カセット50から棒金取出部53によって取り出された棒金Bを搬送するとともに、包装部36により作成されて送り出された棒金Bを搬送する縦型ベルトコンベア式の棒金搬送部55が設けられている。
棒金搬送部55は、移動方向に対して凹状に形成された載置片56を回動方向に等間隔で有する左右一対の縦型ベルトコンベア(回動体)57と、この縦型ベルトコンベア57の外側を覆うように設けられた搬送空間形成部58とを有している。左右一対の縦型ベルトコンベア57は、それぞれ左右幅方向に離間配置され、各縦型ベルトコンベア57に設けられる各載置片56の幅方向位置が略一致している。これら左右幅方向に隣り合う載置片56により左右方向に沿う姿勢の棒金Bが支持可能となっている。
【0022】
そして、棒金カセット50側に前進状態の棒金取出部53の持上部材(図示せず)で持ち上げられることによって持上部材の傾斜で機体前面側に転動しつつ移動する棒金Bを、棒金取出部53に形成された開口部53aを介して縦型ベルトコンベア57と搬送空間形成部58とで形成される搬送空間に受け入れて、搬送空間内の載置片56に載置させる。そして、縦型ベルトコンベア57を上方(一の方向)または下方(他の方向)に回動させて載置片56を移動させることで載置片56に載置された棒金Bを昇降させる。
【0023】
棒金収納装置10は、包装部36と棒金収納部30との間の中段位置、より具体的には包装部36と棒金収納部30との間の中間壁部37よりも棒金収納部30側に後方搬送部42を有している。この後方搬送部42は、棒金搬送部55から所定の後方搬送位置で棒金Bを1本ずつ受け取り左右方向に沿う姿勢のまま機体後面側の所定の上昇搬送位置に向けて搬送する。この後方搬送部42は、機体前面側の前端側が機体後面側の後端側に対して低く傾斜され、その後端側の下側に後方搬送部42を駆動するモータ等を有した駆動ユニット32が配置される。後方搬送部42は、図4に示すように、前端部から棒金Bを左右方向に沿う姿勢で受け入れて後方へと搬送する搬送体部42aと、搬送体部42aから受け取った棒金Bを後方に向けて転動させる傾斜台部42bと、これら搬送体部42aと傾斜台部42bとを下方から支持するベース部材42cとを備えている。
【0024】
ベース部材42cは、その左右にガイド42dとガイド孔42eとを備えており、搬送体部42aの左右側部は、これらガイド42dとガイド孔42eとに案内されて前後方向に移動可能になっている。また、駆動ユニット32とベース部材42cの前端部に設けられたローラ42fとの間にベルト42iが掛け回され、このベルト42iが搬送体部42aに固定される。駆動ユニット32によりベルト42iが一方向に回動されると機体前面側へ移動し、他方向に回動されると機体後面側へ移動する。
【0025】
搬送体部42aの左右中央には、機体前面側の上方に向かい傾斜状態で突出する受入板部42gと、この受入板部42gにより受け入れられた棒金Bを左右方向に沿う姿勢のまま載置する載置部42hとを備えている。受入板部42gは、図5に示すように搬送体部42aが最前位置に移動された場合に、上述した棒金搬送部55の左右一対の載置片56の間を通過するようになっており、載置片56に棒金Bが載置された状態で載置片56が上方から下方に移動して載置片56の間を受入板部42gが通過すると、棒金Bが受入板部42gによって持ち上げられ、さらにこの棒金Bが受入板部42gの傾斜面を転動して載置部42hへと導かれる。そして、棒金Bが載置部42hに収まる所定のタイミングで、駆動ユニット32が駆動されて搬送体部42aが後方へと移動するようになっている。なお、棒金Bが載置部42hに収まり静止したことを検知するセンサを設けて、該センサの検知結果に基づいて棒金Bが検知された後に搬送体部42aを後方へ移動させるようにしてもよい。
【0026】
ここで、図6に示すように搬送体部42aが後方に移動されて傾斜台部42bに接近すると、搬送体部42aは、上述したガイド42dとガイド孔42eとによって、後方に移動するほど後方に向かって傾動され、これにより、搬送体部42a内の棒金Bは後方に向かって転動して、傾斜台部42b上に移動することとなる。傾斜台部42bは、その上面が後方に向かって傾斜形成されており、傾斜台部42b上に移動した棒金Bは、後方搬送部42の後方に位置する上昇搬送部48側に転動されて所定の上昇搬送位置より具体的には、最も下位置に停止された上昇搬送部48のエレベータ49上に移動するようになっている。上昇搬送部48のエレベータ49は、後方搬送部42によって機体後面側に搬送されてきた棒金Bを左右方向に沿う姿勢のまま受け入れて上昇搬送する。上昇搬送部48の機体前面側には、上述した多段状に配置された棒金カセット50が設けられ、エレベータ49の棒金カセット50とは反対側には、エレベータ49で搬送されてきた棒金Bを複数段の棒金カセット50のいずれか選択された一つに向けてプッシャ51aで押し出す収納振分部51が設けられている。すべての棒金カセット50は、収納振分部51で上昇搬送部48から押し出された棒金Bを1本ずつ機体後面側の後端部の一段高い受入台部54から左右方向に沿う姿勢のまま受け入れる。
【0027】
棒金搬送部55は、縦型ベルトコンベア57を一の方向より具体的には図3における反時計回りの搬送方向に回動することによって包装部36で作成された棒金Bを1本ずつ後方搬送部42へ受け渡す所定の後方搬送位置まで搬送可能となっている。
また棒金搬送部55は、縦型ベルトコンベア57が一の方向より具体的には図3における反時計回りの搬送方向に回動することによって棒金カセット50から棒金取出部53を介して取り出された棒金Bを1本ずつ棒金出金部63へ向けて搬送可能となっている。
【0028】
また、棒金搬送部55は、縦型ベルトコンベア57が他の方向より具体的には図3における時計回りの搬送方向に回動することによって棒金取出部53によって棒金カセット50から取り出された棒金Bを1本ずつ後方搬送部42へ受け渡す所定の後方搬送位置まで搬送可能となっている。
【0029】
また、棒金搬送部55は、包装部36により機体前面側に案内された棒金Bを受け入れて他の方向、すなわち図3に示すように、載置片56を下方から前方、さらには上方に移動させることで棒金Bを収納空間内で移動させ、搬送空間形成部58に形成された開口部58bおよびシュート61を介して放出口59に案内する。放出口59に案内された棒金Bは、シュート61を介して機体前面に設けられた放出口59から放出されて、その前に載置される別体の図3に示す受入ボックス60に収納される。
【0030】
ここで、棒金搬送部55の機体前面側には、図3に示すように、搬送空間形成部58に形成された開口部58dを搬送空間形成部58に沿って開閉する開閉部材62と、この開口部58dを介して棒金Bを収納する棒金出金部63が設けられており、開閉部材62が開口部58dを開放しているとき、棒金搬送部55の載置片56で下降搬送中の棒金Bが開口部58dに達すると、棒金Bは、載置片56の傾斜で、開口部58dから棒金出金部63に向けて移動することになる。なお、棒金出金部63は機体から着脱可能な箱状をなしている。
【0031】
以上の構成の棒金収納装置10は、適宜のタイミングで金種別収納出金部27のいずれか一つから棒金作成搬送部29(図2参照)によって搬送されてきた同一金種のバラ硬貨を貯留部(図示せず)に一旦受け入れると、制御部31が貯留部から一枚ずつバラ硬貨を繰り出させて包装部36に送り、包装部36で所定枚数集積して包装紙を巻き回し包装紙の両端部を加締めて棒金Bとする。棒金Bが作成されると、制御部31は、この棒金Bを例えば、棒金搬送部55に案内して、棒金搬送部55で搬送する。つまり、棒金Bを縦型ベルトコンベア57の載置片56で下方に案内した後、機体前面側で上方に案内する。載置片56に載置された棒金Bが放出口59に対応した開口部58bの位置まで移動すると載置片56の傾斜で放出口59に案内され、放出口59から放出される。
【0032】
また、例えば、制御部31は、包装部36で作成された棒金Bを棒金収納部30に収納する場合には、棒金搬送部55の縦型ベルトコンベア57を機体後面側で上方の後方搬送位置まで搬送する。後方搬送位置まで搬送された棒金Bは、後方搬送部42で機体後面側すなわち後方に搬送され、図6に示すように、上昇搬送部48で上方に搬送され収納振分部51で上昇搬送部48から押し出されて対応する金種の棒金カセット50に収納されることになる。
【0033】
また、例えば、制御部31は、棒金Bの出金指令を受けると、棒金取出部53で対応する棒金Bを棒金カセット50から取出して棒金搬送部55で搬送し、棒金出金部63に出金する。より具体的には、棒金Bを縦型ベルトコンベア57の載置片56で上方に案内した後、機体前面側で下方に案内すると、載置片56に載置された棒金Bが棒金出金部63に対応した開口部58dの位置に至ることになり、棒金Bは棒金出金部63に案内される。つまり、棒金Bを縦型ベルトコンベア57の載置片56で上方に案内した後、機体前面側で下方に案内すると、載置片56に載置された棒金Bが棒金出金部63に対応した開口部58dの位置に至ることになり、このとき開閉部材62によって開口部58dを開放しておくことで、棒金Bは棒金出金部63に対応した開口部58dを介して棒金出金部63に案内される。
【0034】
図7に示すように、各棒金カセット50の上側には、収納振分部51によって棒金カセット50の後端部から受け入れた棒金Bを左右方向に沿う姿勢を維持したまま保持して棒金カセット50内を前方側へ移動させる棒金保持機構80が設けられている。これら棒金保持機構80は、それぞれ上下動可能であり、これらを棒金カセット50の長さ方向に沿って移動させる駆動機構81に連結されている。
【0035】
駆動機構81は、最も下側の棒金カセット50の下側で棒金カセット50と平行に延在するスライド軸85と、このスライド軸85に摺動自在に支持されるスライドブロック86と、スライドブロック86から上方に延出する保持板87と、スライド軸85の両端側の下方に配置された一対のプーリ88と、これらプーリ88に掛けられることでスライド軸85と平行に配設される駆動ベルト89と、一方のプーリ88に連結されたモータ90とを有しており、駆動ベルト89の一部がスライドブロック86に固定されている。これにより、駆動機構81は、モータ90の正逆回転で、スライドブロック86および保持板87を棒金カセット50の長さ方向に往復動させる。
【0036】
保持板87は、上下に多段状に配置された棒金カセット50の左右方向側方で上下に延在しており、この保持板87に各棒金カセット50側に延出するように棒金保持機構80が取り付けられている。
棒金保持機構80は、保持板87に棒金カセット50側に延出するように固定されるキャリア本体95と、このキャリア本体95にキャリア本体95から後方に延出するように連結された受けブロック96と、この受けブロック96に受けブロック96よりも後方に延出するように連結された押さえブロック97とを有している。すべての棒金保持機構80のキャリア本体95が保持板87に固定されていることから、保持板87および複数のキャリア本体95で構成されるキャリア91が、棒金カセット50の長さ方向に沿って移動可能に設けられている。
【0037】
棒金保持機構80は、後端側の所定の受取位置にあるとき、受けブロック96をキャリア本体95に対し下側に揺動させた一側下降状態とし、押さえブロック97を受けブロック96に対し上側に揺動させた他側上昇状態とする。この状態で、収納振分部51から棒金Bが棒金カセット50の幅方向に沿う姿勢で棒金カセット50の後端部の上に放出されると、この棒金Bが底面の傾斜によって前側に移動し、押さえブロック97の下側を通って受けブロック96に当接し棒金カセット50の幅方向に沿う姿勢で停止する。なお、棒金保持機構80は、待機状態にあるときこの受取位置で停止する。また、棒金保持機構80が受取位置に位置したことを保持板87の位置から検出する受取位置センサ(図示せず)が設けられている。
【0038】
そして、棒金Bを受け取った状態から棒金保持機構80が棒金カセット50の前端側へ移動すると、押さえブロック97が下降して棒金Bに当接する。これにより、棒金保持機構80は、受けブロック96が一側下降状態となり、押さえブロック97が他側下降状態となって、共に下降した状態となり、棒金カセット50の底面70a上の棒金Bを上側から抱えるように保持する状態となる。このとき、棒金Bは、前側が受けブロック96に当接し、後側が押さえブロック97に当接し、下側が底面70aに当接した、軸方向視で三点支持の状態となり、棒金保持機構80の棒金カセット50の前端側への移動で、この三点支持状態のまま前端側へ移動する。つまり、棒金保持機構80により棒金Bが、棒金カセット50の幅方向に沿う姿勢のまま、ふらついたり、斜行したり、棒金保持機構80に対し遅れたりすることなく移動する。
【0039】
棒金保持機構80は、上記のように受けブロック96を一側下降状態とし押さえブロック97を他側下降状態として棒金Bを抱えつつ棒金カセット50の前端側に移動すると、保持している棒金Bが既に棒金カセット50に収納されている棒金Bの最後尾のものに当接した後に、受けブロック96が、既に棒金カセット50に収納されている棒金Bの最後尾のものに当接し、その移動の力を利用してこの棒金Bに乗り上げる。これにより、受けブロック96が上側に揺動させられることになり、付勢スプリング(図示せず)の付勢力で一側上昇状態となる。その結果、受けブロック96および押さえブロック97が共に棒金Bから離れ、棒金Bの受けおよび押さえが解除される。このとき、最後尾の棒金Bに接触する前に、最後尾の棒金Bに、受けブロック96および押さえブロック97で保持されていた棒金Bが当接して停止することになるが、後側の押さえブロック97は、保持していた棒金Bによって上方に揺動させられてこの棒金Bよりも前方に移動する。なお、棒金保持機構80が、受取位置に位置したときに、受けブロック96および押さえブロック97が既に棒金カセット50に収納されている棒金Bの最後尾のものに当接することがないように、棒金Bの収納スペース(満杯量)が設定されている。つまり、棒金カセット50の棒金Bを収納する収納スペースの後端部は、受取位置よりも前側に設定されている。
【0040】
キャリア本体95には、最上段の棒金カセット50の上側のキャリア本体95を除いて、下側および上側に磁気センサ140,141が取り付けられている。キャリア本体95に支持された下側の磁気センサ140は、直ぐ下側の棒金カセット50に収納されている棒金Bをスキャニングしてその磁気データを検出する。同じキャリア本体95に支持された上側の磁気センサは、直ぐ上側の棒金カセット50に収納されている棒金Bをスキャニングしてその磁気データを棒金カセット50の底板部に形成された図示略の検出溝を介して検出する。
【0041】
棒金カセット50の直ぐ上側に設けられたキャリア本体95の下側の磁気センサ140と同じ棒金カセット50の直ぐ下側に設けられたキャリア本体95の上側の磁気センサ141とが、互いにキャリア本体95の移動方向における前後左右の位置を合わせて対向し、互いの間にある棒金カセット50の底面と直交する方向に配置されていて、この棒金カセット50に収納された棒金Bの磁気データを検出する磁気データ検出部(金種精査手段)を構成している。つまり、磁気データ検出部は、棒金カセット50に収納された棒金Bを直径方向において挟むように配置された一対の磁気センサ140,141で構成されている。なお、最上段の棒金カセット50の上側のキャリア本体95には、下側の磁気センサ140のみが取り付けられており、上から二番目の棒金カセット50の上側のキャリア本体95の上側の磁気センサ141と対向して、最上段の棒金カセット50に収納されている棒金Bを検出する磁気データ検出部を構成する。また、最下段の棒金カセット50の下側には、キャリア91を構成するとともに磁気センサ141を支持するのみの最下キャリア本体95Aが保持板87から延出しており、この最下キャリア本体95Aには上向きに磁気センサ141が取り付けられている。この磁気センサ141は、最下段の棒金カセット50の上側のキャリア本体95の下側の磁気センサ140と対向して、最下段の棒金カセット50に収納されている棒金Bを検出する磁気データ検出部を構成する。
【0042】
上述した棒金保持機構80を前後方向に移動させると、磁気データ検出部の一対の磁気センサ140,141の間に棒金Bが通過されることとなり、磁気センサ140,141により棒金カセット50に収納された棒金Bの磁気データが検出される。制御部31は、すべての磁気データ検出部で検出した磁気データに基づいて、正常棒金の有無、何れの金種の棒金であるかを特定できなかった異常状態を含む異金種棒金の有無、棒金装填状態の姿勢異常の有無、および正常棒金の在り高を確認する。
【0043】
図8に示すように、棒金搬送部55には、各棒金カセット50の各前端部の前方位置、より具体的には、平行配置された棒金搬送部55の2つの縦型ベルトコンベア57の間で且つ、棒金カセット50の前端部に対向する前方位置に、それぞれ各棒金カセット50から取り出された棒金Bを検知する棒金検知センサS1が配置されている。棒金検知センサS1は、光学センサ、あるいは、磁気センサなどからなり、棒金取出部53により取り出されて互いに対向配置される棒金検知センサS1と棒金カセット50との間を横切った棒金Bを検知する。
【0044】
ここで、制御部31は、複数の棒金カセット50のうち一の棒金カセット50から棒金取出部53により棒金Bの取出し動作を行った際に、一の棒金カセット50に対応する棒金検知センサS1、すなわち一の棒金カセット50の前端部の前方に配置された棒金検知センサS1により棒金Bが検知されたと判定された場合に、当該取出し動作が正常に行われたことを検出する(確認手段)。一方、棒金取出部53によって上記一の棒金カセット50から棒金Bの取出し動作を行ったにもかかわらず、他の棒金カセット50に対応する棒金検知センサS1、すなわち他の棒金カセット50の前端部の前方に配置された棒金検知センサS1により棒金Bが検知されたと判定された場合に、当該取出し動作が異常であることを検出する(異常棒金検出手段)。
【0045】
上述した棒金Bの正常な取出しが検出された場合、棒金Bは載置片56に載置された状態で搬送方向の下流側に搬送され、この棒金Bが他の棒金カセット50に対応する棒金検知センサS1により検知されることとなるが、制御部31は、棒金Bが取り出された一の棒金カセット50に対応する棒金検知センサS1よりも棒金搬送部55の搬送方向の下流側にある棒金検知センサS1によって棒金Bが検知された場合に、検知された当該棒金Bを、異常な取出し動作による棒金Bではなく、棒金搬送部55によって搬送中の棒金Bであると認識する(認識手段)。
【0046】
また上述した棒金Bの取出し動作が異常であると検出された場合、制御部31は、異常な取出し動作が検出された棒金検知センサS1に対応する棒金カセット50の位置、より具体的には複数の棒金カセット50の中から異常取出し動作を検出した棒金検知センサS1の後方に対向配置された棒金カセット50の位置を特定する制御を行う。さらに制御部31は、棒金取出部53による残りの棒金取出し動作を停止させると共に、異常取出しされた棒金Bを棒金搬送部55により下方の後方搬送位置に搬送し、この後方搬送位置から後方搬送部42により機体後面側の上昇搬送位置に搬送し、さらに上昇搬送位置から上昇搬送部48によって異常な取出しがなされた棒金カセット50の後端部に向けて上昇搬送して、当該後端部の位置で収納振分部51によって当該棒金カセット50に棒金Bを戻す制御を行う(戻し制御手段)。
【0047】
また制御部31は、収納振分部51によって棒金Bを棒金カセット50に戻す制御が完了すると、棒金カセット50に収納されている棒金Bの金種を上述した磁気データ検出部により検出させる制御を実行する(実行手段)。この際、該当する棒金カセット50に収納されている棒金Bのうち、最も後方に収納されている棒金B、すなわち異常取出しされて棒金カセット50に戻された棒金Bの金種が、当該棒金カセット50に収納されるべき金種か否かを判定することで、異常取出しされた棒金Bが正常に棒金カセット50に戻されたことを確認する。
【0048】
また制御部31は、異常な取出し動作が行われた棒金Bが正常に棒金カセット50に戻されると、棒金出金部63への出金が完了していない未出金の棒金Bを特定する。より具体的には、異常な取出し動作が検出された際に、異常な取出しが行われた棒金Bが棒金カセット50に戻される制御が行われることで中断していた出金動作を再開するべく、異常な取出しが検出される前に棒金出金部63に出金された棒金Bの情報を図示略の記憶手段から読み出して、棒金出金部63へ未出金の棒金Bの金種ならびに本数を特定する。そして未出金の棒金Bを棒金取出部53により所定の棒金カセット50から順次取出して棒金搬送部55により棒金出金部63へ出金する制御を行う(出金継続手段)。
【0049】
ここで、上述した棒金取出部53は、図示略の操作パネルからユーザの出金操作が入力されると、入力された金種、本数などの情報に基づいて、棒金カセット50から1本ずつ棒金Bを棒金搬送部55に取出すこととなるが、この際、制御部31によって、棒金搬送部55の縦型ベルトコンベア57の搬送方向が上述した一の方向よりも棒金出金部63側、より具体的には、棒金Bを棒金出金部63へ搬送する方向の下流側に配置された棒金カセット50から順番に出金対象の棒金Bを取出す制御を行う(取出し制御手段)。これにより、棒金搬送部55の搬送速度と棒金取出部53の移動速度とが異なり、例えば、棒金搬送部55の搬送速度に比して棒金取出部53の移動速度が相対的に速い場合などに、搬送方向の上流側から搬送されてきた棒金が搬送方向の下流側から取り出された棒金と衝突したり、棒金取出部で取り出された順番と異なった順番に入れ替わって搬送されるのを、センサ等を用いて監視することなしに防止することができる。なお、上述した確認手段、異常棒金検出手段、認識手段、戻し制御手段、出金継続手段、実行手段、取出し制御手段は、制御部31で実行されるプログラムにより構成される。
【0050】
図1,9に示すように、棒金収納装置10および硬貨入出金機11は、共通の函体101内に収められている。この函体101は、機体前面側から見て右側の側壁102にヒンジ103が設けられ、このヒンジ103に前面パネル104が開閉自在に支持されている。この前面パネル104には、上述した棒金搬送部55、棒金出金部63、シュート61、および、機体前面側の搬送空間形成部58などが一体的に固定される。そのため、前面パネル104が、図9に示すように開放されることで、棒金搬送部55と棒金カセット50とが分離されるとともに、棒金搬送部55と包装部36とが分離される。さらに、前面パネル104を図9に示す機体左右方向に沿う位置まで開放可能であり、これにより、棒金カセット50の機体前面側に、前面パネル104および前面パネル104に一体化された棒金搬送部55などの機器が配置されない状態となる。
【0051】
一方、上述した棒金カセット50が上下方向に多段状に併設されてなる棒金収納部30は、図9、図10に示すように、機体前面側が開口する筺体105内に収められている。この筺体105には、棒金収納部30の他に上述した棒金取出部53、後方搬送部42、上昇搬送部48、および、収納振分部51が一体的に収められている。当該筺体105は、テーブル106によって下方から支持されており、このテーブル106が包装部36と棒金収納部30とを隔てる上述した中間壁部37に対して前後方向に移動可能に支持される。つまり、筺体105はテーブル106とともに函体101から前方へ引き出し可能であり、筺体105を引き出すことで棒金収納部30と棒金取出部53と後方搬送部42と上昇搬送部48と収納振分部51とが一度に引き出されることとなる。
【0052】
テーブル106には、筺体105の側壁107の下縁を前後方向に沿う凹溝を有したレール108が設けられている。このレール108は、函体101の右側壁109および中間側壁110の棒金収納部30側の内面に形成された図示略の突起部に対してスライド可能に支持される。ここで、筺体105の背面は、函体101の開口縁よりも前方に引き出し可能であり、この状態ではレール108が函体101に支持されることなくテーブル106のみで筺体105が支持される。また、筺体105の背面が函体101内にある状態では、レール108が函体101の突起部(図示せず)にスライド可能に支持される。さらにテーブル106には、筺体105よりも機体前面側の右下に、前方に突出する取っ手が形成される。この取っ手111をユーザが前後に押し引きすることで、上述したテーブル106およびレール108による支持構造により、容易に函体101から筺体105全体を引き出したり、収納したりすることが可能となっている。なお、取っ手111の位置は筺体105の前面側であれば右下位置以外の場所、例えば左下位置や左右中央の下位置に設けてもよい。なお、この実施形態では棒金取出部53も筺体105に一体的に取り付けられた場合を示しているが、棒金取出部53は棒金搬送部55側に設けるようにしてもよい。
【0053】
図11、図12に示すように、筺体105の後壁を構成する後壁部120と側壁107との間には、その上部と下部とにそれぞれ前後方向に沿って伸縮可能な伸縮ロッド130が離間機構として掛け渡して取り付けられ、この伸縮ロッド130を伸長させることで後壁部120が筺体本体121に対して後退および離間可能となっている。後壁部120には、上述した上昇搬送部48が固定されており、つまり後壁部120を筺体105の後縁から後退させることで、上昇搬送部48が棒金収納部30の後端部および後方搬送部42の後端部から後方に離間されるようになっている。
【0054】
各伸縮ロッド130は、後壁部120の側壁122側面に固定されており、各伸縮ロッド130には、側壁122の位置の上下方向の内側にそれぞれ縦断面略コの字状に形成されたロック部支持部123が設けられる。このロック部支持部123には、左右方向に沿う軸部124が支持され、この軸部124に前後方向に延びるロックキー部材125が軸支されている。このロックキー部材125は、前後方向に沿う略水平な状態からその先端側が弾性部材Sにより付勢されつつ下方に向かって揺動可能となっている。
【0055】
ロックキー部材125の前部には、前方ほど高さ寸法が減少するように傾斜されたいわゆる先細り形状の先端部126と、この先端部126の後方上部に形成された凹部127とが設けられる。一方、ロックキー部材125に対向する筺体105の後縁には、左右方向外側に向かって突出するロックピン部材129が形成される。これらロックキー部材125とロックピン部材129との構成により、後壁部120が筺体105から後退された状態から、後壁部120が閉塞する側に前進されることで、ロックキー部材125の先端部126の傾斜部126aがロックピン部材129の下部に当接して後壁部120が閉塞されるほど先端部126が徐々に下方に押し下げられる。そして、後壁部120により筺体105の後部が完全に閉塞される位置では、弾性部材Sの弾性力によりロックキー部材125の先端部126が跳ね上がりロックピン部材129が凹部127に没入されてロックキー部材125がロックピン部材129に係合され、後壁部120の前後方向への移動が規制される。また、ロックキー部材125の後部には、各ロックピン部材129の係合を解除するための解除突起部131が後方に向かってそれぞれ延出形成される。
【0056】
後壁部120の後面には、図12に示すように、後壁部120の後面に沿う上下方向にスライド可能なロック解除操作部材142が取り付けられている。このロック解除操作部材142には、その上部にユーザが上方にスライド操作を行うためのつば部132が後方に向かって屈曲形成され、さらにスライド操作が行われた場合に上下の各解除突起部131を同時に上方へ押し上げる押圧突起部133が左右方向外側に向かって突出形成される。つまり、ロックピン部材129がロックキー部材125に係合された状態でユーザがロック解除操作部材142のつば部132を上方にスライド操作することで、ロック解除操作部材142の押圧突起部133によりロックキー部材125の解除突起部131が上方に移動される。これによりロックキー部材125の先端部が下方に揺動され、ロックピン部材129が凹部127の外部に移動されて、ロックピン部材129とロックキー部材125との係合が解除状態となり、この結果、後壁部120が後方へ移動可能となる。また、ユーザがつば部132のスライド操作を止めると、弾性部材Sの付勢力によりロックキー部材125が水平状態に戻ろうとして、解除突起部131がロック解除操作部材142の押圧突起部133を下方に押し下げ、つば部132がスライド操作前の初期位置に戻される。ここで、筺体105を函体101から引き出した状態において、図13に示すように、筺体105と函体101の開口部との間には後壁部120が後方へ移動する分だけクリアランスが確保されており、筺体105を函体101から下ろすことなしに、筺体105を函体101から引き出した状態のままで、上昇搬送部48を棒金収納部30の後端部から後方へ離間させての作業が可能となっている。
【0057】
したがって、上述した実施形態の棒金収納装置10によれば、複数の棒金カセット50の後端部の位置まで棒金Bを上昇させることが可能な上昇搬送部48と、棒金Bを棒金カセット50の後端部から収納させる収納振分部51とを、それぞれ伸縮ロッド130により棒金カセット50から離間させることができるので、上昇搬送部48に棒金Bの滞留などの異常が発生した場合に、棒金カセット50の後端部の位置から上昇搬送部48および収納振分部51を離間させて異常発生箇所に容易にアクセス可能となるため、保守性の向上を図ることができる。
また、棒金カセット50の後端部から上昇搬送部48および収納振分部51を後方にスライド移動させるだけで、上昇搬送部48および収納振分部51を棒金カセット50の後端部から離間させることができるため、棒金Bの滞留などの異常が発生した際に、簡単な手順で異常な棒金Bを取り除くことが可能になる。
【0058】
なお、以上これまで説明した実施形態においては、硬貨入出金機11に並設されてバラ硬貨から棒金Bを作成し収納する棒金収納装置10を例にとり説明したが、棒金Bが手作業で装填されて出金のみを行う棒金支払機にも、むろん適用可能である。
さらに、上述した実施形態では、伸縮ロッド130を介して上昇搬送部48を棒金収納部30の棒金カセット50の後端部から離間させる場合について説明したが、離間可能であれば、伸縮ロッド130による離間に限られるものではない。つまり、離間させる方向は後方に限られず、上昇搬送部48が棒金収納部30に対して離間可能であれば、例えば、レールを用いたスライド機構などを用いて上方や側方に離間させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
50 棒金カセット
81 駆動機構
91 キャリア
140,141 磁気センサ
B 棒金
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バラ硬貨を包装して棒金を作成する包装部と、
棒金を後端部から受入れて収納し前端部から取出し可能な金種別の複数の棒金カセットを上下方向に並設して備える棒金収納部と、
該棒金収納部と対向配置されて前記包装部により作成された棒金を所定の後方搬送位置まで搬送する棒金搬送部と、
前記棒金搬送部により所定の後方搬送位置まで搬送された棒金を前記棒金収納部の後方へ搬送する後方搬送部と、
該後方搬送部により前記棒金収納部の後方まで搬送された棒金を前記複数の棒金カセットのうち一の棒金カセットの後端部の位置まで選択的に上昇させる上昇搬送部と、
該上昇搬送部により上昇された棒金を前記棒金カセットの後端部から収納させる収納振分部と、を備えた棒金収納装置であって、
前記棒金カセットの後端部から前記上昇搬送部を離間させる離間機構を備えることを特徴とする棒金収納装置。
【請求項2】
前記離間機構は、前記上昇搬送部を後方にスライドさせて前記棒金カセットから前記上昇搬送部を離間させることを特徴とする請求項1に記載の棒金収納装置。
【請求項1】
バラ硬貨を包装して棒金を作成する包装部と、
棒金を後端部から受入れて収納し前端部から取出し可能な金種別の複数の棒金カセットを上下方向に並設して備える棒金収納部と、
該棒金収納部と対向配置されて前記包装部により作成された棒金を所定の後方搬送位置まで搬送する棒金搬送部と、
前記棒金搬送部により所定の後方搬送位置まで搬送された棒金を前記棒金収納部の後方へ搬送する後方搬送部と、
該後方搬送部により前記棒金収納部の後方まで搬送された棒金を前記複数の棒金カセットのうち一の棒金カセットの後端部の位置まで選択的に上昇させる上昇搬送部と、
該上昇搬送部により上昇された棒金を前記棒金カセットの後端部から収納させる収納振分部と、を備えた棒金収納装置であって、
前記棒金カセットの後端部から前記上昇搬送部を離間させる離間機構を備えることを特徴とする棒金収納装置。
【請求項2】
前記離間機構は、前記上昇搬送部を後方にスライドさせて前記棒金カセットから前記上昇搬送部を離間させることを特徴とする請求項1に記載の棒金収納装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−243004(P2012−243004A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111237(P2011−111237)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(500265501)ローレル精機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(500265501)ローレル精機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】
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