説明

棘突起の横方向安定化拘束のための方法およびシステム

脊椎の屈曲を制限する脊椎インプラントには、隣接した脊椎突起を取り囲むための係留構造が含まれている。通常であれば、係留構造の一部として、弾性的に屈曲を制限しつつ、伸展を可能にする1対の追従性部材が備えられている。植込まれた後において、係留構造を安定させ、変位を防ぐために、追従性部材または係留構造の他の部分の間にクロス部材が備えられている。特に、クロス部材は、係留構造が1つ以上の追従性部材を含む場合に問題となる、棘突起上での係留構造の円周方向への回転または移動が起こらないように、デバイスの対称性を維持することに役立つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、概して医療の方法および装置に関する。より具体的には、本発明は、背痛またはその他の脊椎症状がある患者の脊椎の屈曲を制限する方法およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
慢性的な腰痛症の主な原因は、椎間板起因の痛みであり、椎間板破損としても知られている。椎間板起因の痛みに苦しむ患者は、若い傾向にあるが、背中に局所的な痛みがある以外は健康である。通常、椎間板起因の痛みは、脊椎のL4−L5またはL5−S1の接合部(図1)に位置する椎間板で生じる。痛みは、患者が(例えば、座るか、または前屈みになることによって)腰椎を曲げたときに悪化し、患者が(例えば、後方にのけ反って)腰椎を伸ばしたときに和らぐ傾向がある。椎間板起因の痛みがあると、患者が全く何もできない状態になる可能性があり、一部の患者では、働いたり、その他人生を楽しんだりする能力に劇的な影響を及ぼす可能性がある。
【0003】
椎間板起因の腰痛症のある患者が経験するこの痛みは、屈曲の不安定にあると考えることができ、他の症状で現れる屈曲の不安定にも関係している。これらの中で最も一般的なのが、脊椎すべり症であり、分節の屈曲によって分節の異常な並進運動が悪化する脊椎症状である。
【0004】
慢性の椎間板起因の痛みと診断された患者にとって、現在の治療の選択肢は非常に限られたもので、理学療法、マッサージ、抗炎症薬および鎮痛薬、筋弛緩薬、ならびに硬膜外ステロイド注射などの保存療法の方針に多くの患者が従っているが、一般的には相当な痛みに苦しみ続けている。脊椎固定手術を受けるという選択をする患者もいる。この手術は一般に、椎間板切除(椎間板の除去)に加えて、隣接した椎骨の固定が必要である。固定術は、元に戻すことができず、高額であり、高い罹患率を伴い、有効性が疑わしいという理由で、椎間板起因の痛みに対しては、通常推奨されていない。しかしながら、それらの欠点があるにもかかわらず、実行可能な代案が無いため、椎間板起因の痛みに対しては依然として脊椎固定術が一般的である。
【0005】
近年、椎間板起因の痛みに対して、より有効であると思われる低侵襲的な処置が提案されてきている。脊椎の屈曲を抑制しつつ、脊椎の自由な伸展を実質的に可能にする脊椎インプラントが設計されている。インプラントは脊椎突起の隣接する1つ以上の対の上に配置され、屈曲時に起こる脊椎突起の広がりに弾性的な制限を加える。そのようなデバイスおよびその使用方法は、2005年9月29日に公開され、本願と発明者が共通である、特許文献1に記載されている。
【0006】
図2に示すように、特許文献1に記載のインプラント10は、一般的には1対の追従性部材16によって接合された上側ストラップ部品12と下側ストラップ部品14とを備える。上側ストラップ12がL4の棘突起SP4の上部に配置されていことが示され、下側ストラップ14がL5の棘突起SP5の底部に伸びていることが示されている。追従性部材16は、一般的にはゴムブロック製バネなどの内部エレメントを含み、このエレメントは屈曲時に棘突起SP4とSP5とが離れるときに、ストラップが「弾性的に」または「追従的に」引き離され得るように、ストラップ12および14に取り付けられている。このような態様で、インプラントは、屈曲に抵抗する力を与える弾性引張力を脊椎突起にもたらす。この力は、突起がさらに離間するにつれて、一般的に不変のばね定数を伴って線形的に増加する。通常、ストラップ自体は基本的に追従性がないので、弾性および追従性の程度は、追従性部材16によってのみ、制御および提供される。
【0007】
理想的には、一般に図3に示すように、追従性部材16は、通常棘突起SP4とSP5との間で水平方向に並んで、離間している。しかしながら、一部の例において、図4に示すように、インプラント構造10が棘突起SP4およびSP5の周囲を円周方向に変位させられると、望ましい対称性が失われることもある。このような変位は、所望の処置に従って棘突起の屈曲を抑制するために均一で対称的な弾性力を提供する、インプラントの能力に影響を及ぼす可能性がある。
【0008】
このような理由から、椎間板起因の痛みで苦しむ患者の屈曲を抑制する改良された脊椎インプラントおよびその使用方法の提供が望ましいであろう。時間とともにデバイスがずれることなく、またはデバイスの対称性が失われることなく、改良されたデバイスが棘突起に対して所望の弾性力を提供するのであれば、特に望ましいであろう。これらの目的の一部は、以下に記載する発明によって満足されることになる。
【0009】
(背景技術の記述)
特許文献2については、上記において説明した。着目される他の特許および出願公開として以下が挙げられる。特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19、Re.36,221、特許文献20、特許文献21、特許文献22、特許文献23、特許文献24、特許文献25、特許文献26、特許文献27、特許文献28、特許文献29、特許文献30、特許文献31、特許文献32、特許文献33、特許文献34、特許文献35、特許文献36、特許文献37、特許文献38、特許文献39、特許文献40、特許文献41、特許文献42、特許文献43、特許文献44、特許文献45、特許文献46、特許文献47、特許文献48、特許文献49、特許文献50、特許文献51、特許文献52、特許文献53、特許文献54、特許文献55、特許文献56、特許文献57、特許文献58、特許文献59、特許文献60、特許文献61、特許文献62、特許文献63、特許文献64、特許文献65、および特許文献66。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/02161017号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0216017号明細書
【特許文献3】米国特許第4,966,600号明細書
【特許文献4】米国特許第5,011,494号明細書
【特許文献5】米国特許第5,092,866号明細書
【特許文献6】米国特許第5,116,340号明細書
【特許文献7】米国特許第5,282,863号明細書
【特許文献8】米国特許第5,395,374号明細書
【特許文献9】米国特許第5,415,658号明細書
【特許文献10】米国特許第5,415,661号明細書
【特許文献11】米国特許第5,449,361号明細書
【特許文献12】米国特許第5,456,722号明細書
【特許文献13】米国特許第5,462,542号明細書
【特許文献14】米国特許第5,496,318号明細書
【特許文献15】米国特許第5,540,698号明細書
【特許文献16】米国特許第5,609,634号明細書
【特許文献17】米国特許第5,645,599号明細書
【特許文献18】米国特許第5,725,582号明細書
【特許文献19】米国特許第5,902,305号明細書
【特許文献20】米国特許第5,928,232号明細書
【特許文献21】米国特許第5,935,133号明細書
【特許文献22】米国特許第5,964,769号明細書
【特許文献23】米国特許第5,989,256号明細書
【特許文献24】米国特許第6,053,921号明細書
【特許文献25】米国特許第6,312,431号明細書
【特許文献26】米国特許第6,364,883号明細書
【特許文献27】米国特許第6,378,289号明細書
【特許文献28】米国特許第6,391,030号明細書
【特許文献29】米国特許第6,468,309号明細書
【特許文献30】米国特許第6,436,099号明細書
【特許文献31】米国特許第6,451,019号明細書
【特許文献32】米国特許第6,582,433号明細書
【特許文献33】米国特許第6,605,091号明細書
【特許文献34】米国特許第6,626,944号明細書
【特許文献35】米国特許第6,629,975号明細書
【特許文献36】米国特許第6,652,527号明細書
【特許文献37】米国特許第6,652,585号明細書
【特許文献38】米国特許第6,656,185号明細書
【特許文献39】米国特許第6,669,729号明細書
【特許文献40】米国特許第6,682,533号明細書
【特許文献41】米国特許第6,689,140号明細書
【特許文献42】米国特許第6,712,819号明細書
【特許文献43】米国特許第6,689,168号明細書
【特許文献44】米国特許第6,695,852号明細書
【特許文献45】米国特許第6,716,245号明細書
【特許文献46】米国特許第6,761,720号明細書
【特許文献47】米国特許第6,835,205号明細書
【特許文献48】米国特許出願公開第2002/0151978号明細書
【特許文献49】米国特許出願公開第2004/0024458号明細書
【特許文献50】米国特許出願公開第2004/0106995号明細書
【特許文献51】米国特許出願公開第2004/0116927号明細書
【特許文献52】米国特許出願公開第2004/0117017号明細書
【特許文献53】米国特許出願公開第2004/0127989号明細書
【特許文献54】米国特許出願公開第2004/0172132号明細書
【特許文献55】米国特許出願公開第2005/0033435号明細書
【特許文献56】米国特許出願公開第2005/0049708号明細書
【特許文献57】米国特許出願公開第2006/0069447号明細書
【特許文献58】国際公開第01/28442号パンフレット
【特許文献59】国際公開第02/03882号パンフレット
【特許文献60】国際公開第02/051326号パンフレット
【特許文献61】国際公開第02/071960号パンフレット
【特許文献62】国際公開第03/045262号パンフレット
【特許文献63】国際公開第2004/052246号パンフレット
【特許文献64】国際公開第2004/073532号パンフレット
【特許文献65】欧州特許出願公開第EP0322334号明細書
【特許文献66】仏国特許出願公開第2681525号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、医師が脊椎の屈曲を制御したいと考えるような、椎間板起因の痛み、および脊椎すべり症などのその他脊椎症状を治療するために脊椎の屈曲を制限する脊椎インプラントおよび方法を提供する。脊椎インプラントは、少なくとも2つの棘突起を取り囲むように適合されている係留構造を備え、係留構造の少なくとも一部は、脊椎が屈曲するにつれて、つまり、患者が前屈みになって棘突起が離れるにつれて、弾性的に伸長して、棘突起に引張力を加えるように適合される。この係留構造は、2005年3月9日に出願された米国特許出願第11/076,469号、公開番号第2005/0216017号に詳述されている特定の構造のいずれかを備えてもよく、この全開示を参照によってここに援用する。
【0012】
特に、最も簡単な実施形態において、係留構造は単一の連続したループ状の材料を備えてもよく、所望の弾性を与えるためにループの全体または一部が追従性に材料で形成される。より一般的には、係留構造は、1つ以上の追従性部材によって接合された1つ以上のバンドセグメントを備え、バンド(単数または複数)は一般的に非伸長性であり、追従性部材(単数または複数)が所望の弾性を提供する。一部の例において、追従性部材はバネまたは弾性引張力を提供する他のエレメントを備えてもよく、バンド部材(単数または複数)がバネ部材の両端に取り付けられる。別の例では、追従性部材に弾性または他の圧縮エレメントを含めることもできる。この場合、圧縮部材の圧縮によって弾性がもたらされるように、バンド部材(単数または複数)が圧縮エレメントの対向した側に取り付けられる。
【0013】
好適な実施形態において、係留構造は、1対の追従性部材によって接合された1対のバンド部材を備え、上側バンド部材が上側の棘突起の上面に配置され、下側バンド部材が下側の棘突起の下面に配置される。通常、追従性部材は、上下の棘突起の間にある領域において水平方向に並ぶ。
【0014】
本発明の特定の様態において、脊椎インプラントは、係留構造の対向した部分に結合された少なくとも1つのクロス部材を含み、クロス部材は、上述のように係留構造が棘突起を取り囲むときに、それらの棘突起の間にあるように配置される。特定の実施形態において、クロス部材は、水平方向に並んだ追従性部材の間に延在するが、別の実施形態においてはクロス部材を、棘突起上に配設されたバンドまたはループエレメントなど、係留構造の他の部分または構成部品に結合されることもできる。
【0015】
クロス部材(単数または複数)は、係留構造が棘突起上に植込まれた後に、係留構造を安定させる働きをする。特に、クロス部材(単数または複数)は、係留構造が1つ以上の追従性部材を含む場合に問題となる、棘突起上での係留構造の円周方向への回転または移動が起こらないように、デバイスの対称性を維持することに役立つ。さらに、クロス部材(単数または複数)は、水平方向に並んだ1対の追従性部材の間など、デバイスの両側間に横方向の間隔を選択的に維持してもよい。さらに、クロス部材(単数または複数)は、動的荷重および/または繰り返し荷重が原因となり得るデバイスの振動または正弦運動を防止または抑制することもできる。
【0016】
安定化機能に加えて、係留構造の初期の設置および位置決めにクロス部材は役立ち得る。例えば、水平方向に並んだ1対の追従性部材を含む係留構造は、原位置で導入され組み立てられればよく、このとき、追従性部材間の初期の水平配列を確立することにクロス部材が役立つ。あるいは、追従性部材が使用されない場合、クロス部材自体が上側バンドセグメントと下側バンドセグメントとをつなぐための連結点を提供することもできる。さらに、クロス部材(単数または複数)は、クロス部材(単数または複数)および他のバンドセグメントに対してバンドを回転または旋回させる枢着点を作り出すことができる。
【0017】
クロス部材(単数または複数)は、様々な特定の構成を有してもよい。最も一般的なクロス部材(単数または複数)は、例えば、ロッド、バー、ビームなどの形をとる概して剛性の構造を有する。しかし、別の例においては、クロス部材(単数または複数)は、相対的に可撓性であってもよく、場合によっては、素線、リボン、紐、バネ、縫合糸などの形をとってもよい。さらに別の構成において、係留構造が配置された後に係留構造の内側への動きの程度を制御できるように、クロス部材(単数または複数)は直線的に、圧縮可能であるが、伸展性のないものでもよい。さらに別の構成において、クロス部材(単数または複数)は、直線的に圧縮可能ではないが、係留構造の内側への動きまたは棘突起間領域への侵入を防ぐために、わずかに軸方向への伸展が可能なものでもよい。
【0018】
さらに、クロス部材(単数または複数)が係留構造に取り付けられる方法は数多くある。一般的には、クロス部材(単数または複数)が、対向した追従性部材(先に引用により援用した第’017号明細書中に示されるとおり、通常、追従性部材サブアセンブリのハウジング)に取り付けられ、取り付けを固定、半固定、枢動可能などにすることができる。第1の例示的な実施形態において、クロス部材は、1対の追従性部材に概してH形状の構成で強固に取り付けられる。別の例では、上述のとおり、連結は枢動可能としても非固定としてもよい。さらに、クロス部材を完全に可撓性にして、植込み後に追従性部材の間をわずかに動けるようにすることもできる。
【0019】
本発明の大部分の実施形態では、単一のクロス部材のみを使用することになるが、他の実施形態においては、2つ以上のクロス部材を使用してもよい。例えば、1対のクロス部材を係留構造の対向した部分の間に配置してもよく、この場合、上側クロス部材が上側の脊椎突起下面の直下に設置され、下側クロス部材が下側の脊椎突起上面に直接隣接して設置される。あるいは、そのようなクロス部材の対が追従性部材の上下に隣接して位置するなど、追従性部材にさらに近づけてクロス部材を設置してもよい。さらに別の実施形態において、棘突起またはそれ以外よって加えられた力に応じてクロス部材が移動可能なように、バンドまたは係留構造の他の部分にクロス部材を摺動自在に取り付けてもよい。
【0020】
本発明のすべての実施形態において、クロス部材(単数または複数)が、伸展に対して全くまたはほとんど抵抗を示さない、すなわち、隣接した棘突起が互いに対して動くことが、全くまたはほとんどないことが望ましいことになる。クロス部材が、係留構造の露出した部分の間に延在する単一のロッド、バー、構造または他の可撓性のエレメントから成る場合に、通常、クロス部材の垂直高さは非常に小さくなり(一般的には、6mm未満、通常は、1mmから3mmの範囲)、クロス部材が2つの棘突起から等しく離れた位置に設置されている限り、最大に伸展した状態でもどちらかの棘突起にクロス部材が接触することはないであろう。しかしながら、別の例では、脊椎に屈曲が生じるときに、クロス部材が、一方または両方の棘突起に接触する可能性のある大きめの断面形状を有することもあり得る。そのような場合、クロス部材が折りたたみ可能なものであるか、またはそれとは別に一方または両方の突起に対する力を最小にするものであることが望ましい。
【0021】
通常、クロス部材は、上側および下側の棘突起の間に延在する棘間靭帯を貫通させて植込まれることになる。そのような場合は、最小の外傷で靭帯を通過することを可能にするために、クロス部材自体が相対的に薄型であることが望ましい。クロス部材または係留構造の他の部分が棘間靭帯を通過する必要がないように、対向した係留構造構成部品の少なくとも一方からクロス部材を取り外し可能にすることが望ましい場合が多い。
【0022】
本発明の別の態様において、脊椎の屈曲を安定化する方法には、屈曲を弾性的に制限するために、隣接した椎骨上の1対の隣接した棘突起に連続する係留構造を配置するステップが含まれる。係留構造が配置されると、突起が屈曲しているときに、突起を弾性的に引張る機械的特性を有する。本発明の原理に従うと、構造を安定させるため、特に係留構造が時間とともに円周方向に変位することを抑制するために、係留構造の対向した部分が機械的に、通常は棘間靭帯を貫通して結合される。
【0023】
例示的な実施形態において、係留構造の対向した部分は、追従性部材を備え、これが原位置で構造を安定させるために機械的に結合された追従性部材になる。一般的には、追従性部材は、少なくとも1つのクロス部材によって連結され、少なくとも1つのクロス部材が追従性部材に固定的または非固定的に取り付けられる。一部の実施形態において、クロス部材の一端は、一方の追従性部材に固定的に取り付けられてもよく、その一方で、他方の部材は他方の追従性部材に非固定的に取り付けられる。クロス部材自体は、剛性、半剛性または非剛性であってもよく、全ての場合において、クロス部材が脊椎の伸展にいかなる有意な抑制をもたらすことはない。好ましくは、クロス部材は、棘間靭帯の保全性に重大な損傷または障害を与えることなく棘間靭帯を貫通する。
【0024】
選択的に、上述の方法で、別の棘突起の(単数または複数の)対の周りに1つ以上の追加の係留構造を植込んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、脊椎突起(SP)、椎間関節(FJ)、椎弓板(L)、横突起(TP)および仙骨(S)を含む脊椎の腰部を示した概略図である。
【図2】図2は、米国特許出願公開第2005/0216017号に記載のタイプの脊椎インプラントを示した図である。
【図3】図3は、図2の脊椎インプラントが時間とともにどのようにずれる可能性があるのかを示した図である。
【図4】図4は、図2の脊椎インプラントが時間とともにどのようにずれる可能性があるのかを示した図である。
【図5】図5は、本発明の原理によるクロス部材を有する脊椎インプラントの第1の実施形態を示した図である。
【図6A】図6Aは、剛性クロス部材を有する図5の脊椎インプラントを示した図である。
【図6B】図6Bは、剛性クロス部材を有する図5の脊椎インプラントを示した図である。
【図7A】図7Aは、半剛性クロス部材を有する図5の脊椎インプラントを示した図である。
【図7B】図7Bは、半剛性クロス部材を有する図5の脊椎インプラントを示した図である。
【図8A】図8Aは、弾性クロス部材を有する図5のクロス部材を示した図である。
【図8B】図8Bは、弾性クロス部材を有する図5のクロス部材を示した図である。
【図9】図9は、本発明の装置および方法で有用なクロス部材の特定の実施形態を示した図である。
【図10】図10は、インプラント中の図9のクロス部材を示した図である。
【図11】図11は、対のクロス部材を有する本発明の実施形態を示した図である。
【図12】図12は、インプラント中の図11の脊椎インプラントを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここで、図5を参照すると、本発明の原理に従って構成された脊椎インプラント20は、上側ストラップ22、下側ストラップ24、および上側ストラップと下側ストラップとを接合する1対の追従性部材26を備える。一般的には、上側ストラップ22および下側ストラップ24は非伸長性であるが、追従性部材26に接合されることによって、破線で示すように、患者の脊椎が屈曲と伸展との間の中間位にあるときの収縮形状から、患者の脊椎が屈曲しているときの伸張形状(実線で示す)にまで伸張できる。先に引用により援用した先行の米国特許出願公開第2005/0216017号で概括的に記載してあるとおり、追従性部材26は、棘突起の伸展に逆らって働く力を与えることになる。特に、本発明によれば、クロス部材30が、追従性部材26の間に延在し、かつ、追従性部材26と接合する。クロス部材30は、棘間靭帯ISLを貫通している。
【0027】
図6Aおよび6Bに示すように、クロス部材30は、剛性であってもよく、図6Bに示すように、上側バンド22と下側バンド24とが引き離された場合でも、追従性部材がお互いに対して位置を変えないように、ほぼH形状の構成で追従性部材26に強固に取り付けられてもよい。あるいは、図7Bに示すように、上側バンド22が下側バンド24から引き離されたときに、クロス部材30が圧縮されるようにクロス部材30が半剛性(または、半追従性)であってもよい。第3の実施形態において、図8Aおよび8Bに示すように、クロス部材30は完全に弾性であってもよい。そのような例では、クロス部材30は、図8Bに示すように、追従性部材26が互いに対して垂直方向に変位することを許容する。
【0028】
図9は、図10に示すように、追従性部材26に結合できる、例示的なクロス部材50を示す。クロス部材50は剛性構造であり、脊椎インプラントを植込んでいるときに、追従性部材に取り付けてもよい(そして、選択的に取り外されてもよい)。クロス部材の端部52は、追従性部材の円筒体への取り付けに合わせて、成形されている。選択的な取り付けおよび取り外しのための、クロス部材の他の形状および構造も、当然のこととして容易に利用できる。
【0029】
図11に1対のクロス部材60を示す。クロス部材60は、エンドピース62を有し、エンドピースは、それぞれ対応するバンド22または24を受け入れるスロット64を有している。したがって、クロス部材60は、図12に示すように、追従性部材26の上下の面に直接配設することができる。図12に破線で示すように、脊椎突起SP4およびSP5の伸展を抑制しないように、通常、クロス部材60自体は柔軟である。
【0030】
以上、本発明の好適な実施形態について全部を記載してきたが、種々の代替物、変形物および等価物も使用可能である。したがって、上記は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものとして見なしてはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの棘突起を取り囲むように適合されている係留構造であって、脊椎が屈曲を受けるにつれて、該係留構造の少なくとも一部が弾性的に伸長して、該棘突起に引張力を加える、係留構造と、
該係留構造の対向した部分に結合され、該係留構造が該突起を取り囲むときに、該棘突起の間にあるように配置される少なくとも1つのクロス部材と
を備える脊椎インプラント。
【請求項2】
前記係留構造は、該係留構造が前記棘突起を取り囲むときに、該棘突起の対向した側にあるように配置される少なくとも2つの対向した追従性部材を備える、請求項1に記載の脊椎インプラント。
【請求項3】
前記クロス部材は、前記追従性部材に取り付けられ、かつ、該追従性部材の間に延在する、請求項2に記載の脊椎インプラント。
【請求項4】
少なくとも1つのクロス部材は、前記追従性部材に隣接する前記係留構造上の位置に取り付けられる、請求項2に記載の脊椎インプラント。
【請求項5】
前記脊椎インプラントは、少なくとも2つのクロス部材を備えており、少なくとも1つのクロス部材は、前記追従性部材の各端部に隣接する前記係留構造に結合される、請求項4に記載の脊椎インプラント。
【請求項6】
前記クロス部材は、前記棘突起の間の前記棘間靭帯を貫通するように適合される、請求項1に記載の脊椎インプラント。
【請求項7】
前記クロス部材は、前記棘突起の動きを制限しない、請求項1に記載の脊椎インプラント。
【請求項8】
前記クロス部材は、前記脊椎の伸展を実質的に制限しない状態にしておく、請求項1に記載の脊椎インプラント。
【請求項9】
前記クロス部材は、前記分節が伸展しているときに、最小の軸方向荷重を支持する、請求項1に記載の脊椎インプラント。
【請求項10】
前記クロス部材は、実質的に剛性である、請求項1に記載の脊椎インプラント。
【請求項11】
前記クロス部材は、少なくとも圧縮時において追従性である、請求項1に記載の脊椎インプラント。
【請求項12】
前記クロス部材は、伸展時および圧縮時において追従性である、請求項1に記載の脊椎インプラント。
【請求項13】
前記クロス部材は実質的に剛性であり、かつ、前記追従性部材に固定的に取り付けられることにより、該追従性部材と該クロス部材とは、剛性のH構造を備える、請求項2に記載の脊椎インプラント。
【請求項14】
脊椎の屈曲を制限する方法であって、
連続する係留構造を、隣接した1対の椎骨上の棘突起の上に配置することであって、該突起が屈曲しているときに、該係留構造が該突起を弾性的に引張る、ことと、
該係留構造が時間とともに円周方向に変位することを抑制するために、棘間靭帯を貫通する該係留構造の対向した部分を機械的に結合することと
を含む、方法。
【請求項15】
前記係留構造の前記対向した部分は追従性部材を備え、該追従性部材は機械的に結合される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記追従性部材は、クロス部材によって連結される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記クロス部材は、前記追従性部材に固定的に取り付けられる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記クロス部材は、前記追従性部材に非固定的に取り付けられる、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記クロス部材の一端は、前記追従性部材に固定的に取り付けられ、他端は非固定的に取り付けられる、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記係留構造の前記対向した部分は、剛性のクロス部材と結合される、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記係留構造の前記対向した部分は、非剛性のクロス部材と結合される、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記係留構造の前記対向した部分は、弾性のクロス部材と結合される、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記棘突起の伸展は、あまり抑制されない、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
前記棘間靭帯の完全性は、あまり損なわれない、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
別の対の隣接した椎骨上の棘突起の上に、少なくとも1つの追加の連続する係留構造を配置することと、前記棘間靭帯を貫通する該係留構造の対向した部分を機械的に結合することとをさらに含む、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−506695(P2010−506695A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533538(P2009−533538)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/081835
【国際公開番号】WO2008/051806
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(509108906)シンピライカ スパイン, インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】