説明

棚上物品落下防止用粘着テープ、該粘着テープの使用方法及び該粘着テープを有する本棚

【課題】棚に部分的に貼付するだけで、図書等の棚上物品の地震等による落下防止に有効であり、かつ通常時の出し入れ操作を阻害しない、棚上物品落下防止用粘着テ−プ、さらに該粘着テープの使用方法及び該粘着テープを有する本棚を提供。
【解決手段】粘着テ−プ10は、その第1の面12がマット状態で静摩擦係数が0.8以上である表面層14と、該表面層14の第1の面12の反対側の第2の面16にコロナ処理等の易接着処理によって接着された補強層18と、補強層18に接着され、粘着テープ10の使用時に除去される剥離紙又はライナー20とを有する。補強層18は、基材22と、基材22の面に塗布された粘着層24とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚上に載置された物品の落下防止用の粘着テープ、特には、本棚の棚面に並置された図書類の落下防止用粘着テープに関し、さらに該粘着テープの使用方法及び該粘着テープを有する本棚に関する。
【背景技術】
【0002】
棚の収納物が地震等により落下することを防止する手段としては、棚面に設けた突起物、棚の入口や下部に橋渡しした棒、紐又は板、さらには棚面全体に貼付した滑り止めシート等が知られている。例えば、滑り止め模様が形成された帯状体を設けた本棚を開示する特許文献1には、「第2図に示す如く、ゴム様弾性材料、例えばゴム、塩化ビニール、ポリウレタン樹脂の如き弾性を有する材料の表面に滑り止め模様(8)を形成した帯状体(9)を複数本、棚面(3)の長手方向に平行に配設して固定する」と記載されている。
【0003】
また例えば、滑り止め部を設けた棚用シートを開示する特許文献2には、「滑りやすい表部と、滑りにくい裏部とを備えたシート材10の表部の前端部11のみに、または前端部および後端部のみに、シート材に載置された物品の滑りを抑えるための滑り止め部20を設ける」と記載されている。
【0004】
さらに例えば、自動的に突起を形成する落下防止シートを開示する特許文献3には、「図7は図1に示す落下防止シートを収納物の下に敷いた使用状態の断面図である。図8は落下防止シートが収納物の滑りを止めた状態の断面図である」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭60−163051号公報
【特許文献2】特開2000−41770号公報
【特許文献3】特開平9−51826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本棚の入口にストッパー等を設ける場合、図書の出し入れがやりにくくなることがあり、また特殊な構造の棚等ではそのようなストッパーを設けることが難しいこともある。また特許文献1に記載の発明は、第1図における図書の左右方向への滑り止めには有効と思われるが、地震時の本棚からの落下防止に対しては十分な効果は得られない。
【0007】
また特許文献2又は3のように棚面全体に滑り止めシートを配置する場合、該シートと図書等の収納物との摩擦によって該収納物の出し入れがやり難くなる場合があり、また全面にシートを設けるためコスト面でも不利となる。
【0008】
そこで本発明は棚に部分的に貼付するだけで、図書(書類用ファイル並びにCD、DVD及びビデオテープ等の記録媒体を含む。以下同じ)等の棚上物品の地震等による落下防止に有効であり、かつ通常時の出し入れ操作を阻害しない、棚上物品落下防止用粘着テ−プ、さらに該粘着テープの使用方法及び該粘着テープを有する本棚(書類用ファイル並びにCD、DVD及びビデオテープ等の記録媒体用の棚を含む。以下同じ)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、第1の面がマット状態で静摩擦係数が0.8以上のウレタン樹脂フィルム又はオレフィンエラストマー樹脂フィルムからなる表面層と、前記表面層の前記第1の面の反対側の第2の面に取り付けられ、前記表面層の前記第2の面に取り付けられた面と反対側の面に粘着層を設けた補強層と、を有する、棚上物品落下防止用粘着テ−プを提供する。
【0010】
本発明の他の態様は、上記棚上物品落下防止用粘着テープを、棚面の図書出し入れ側の縁から25mm以上離隔しないように貼付した棚を含む、本棚を提供する。
【0011】
本発明のさらなる他の態様は、上記棚上物品落下防止用粘着テープの使用方法であって、前記棚上物品落下防止用粘着テープを、本棚の棚面の図書出し入れ側の縁から25mm以上離隔しないように部分的に貼付することを含む、使用方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る棚上物品落下防止用粘着テ−プは、本棚等の棚面に簡単に貼付でき、図書等の物品の出し入れも今までの棚と同様に行え、表面抵抗が大きいにもかかわらず補強層の剛性により該粘着テ−プの剥がれもなく、また不必要になれば簡単に剥離することもできる。さらに図書等の物品落下防止については非常に優れた性能を発揮する。
【0013】
本発明に係る落下防止用粘着テープは本棚への使用に特に適しており、また本棚の棚面の図書出し入れ側の縁から25mm以上離隔しないように部分的に貼付することにより、落下防止機能を維持しつつ図書の出し入れの作業性も確保される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る物品落下防止用粘着テープの基本構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る物品落下防止用粘着テープの基本構成を示す断面図である。
【図3】補強層を具備しない粘着テープの例を示す断面図である。
【図4】本発明に係る物品落下防止用粘着テープを本棚に適用した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の落下防止用粘着テ−プ(以下、粘着テープと略称する)の非限定的な実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る粘着テ−プ10を示す断面図である。粘着テ−プ10は、その第1の面12がマット状態で静摩擦係数が0.8以上である表面層14と、該表面層14の第1の面12の反対側の第2の面16にコロナ処理等の易接着処理によって接着された補強層18と、補強層18に接着され、粘着テープ10の使用時に除去される剥離紙又はライナー20とを有する。補強層18は、基材22と、基材22の両面に塗布された粘着層24とを有する。粘着層24としては、強接着かつ再剥離性のアクリル粘着剤が好ましい。
【0016】
表面層14は、ウレタン樹脂フィルム又はオレフィンエラストマー樹脂フィルムであり、その第1の面12には、表面粗さ2.0マイクロメートル以下、好ましくは0.5〜2.0マイクロメートルのマット処理が施されている。このような表面粗さにより、図書の出し入れを容易にし、さらに粘着テープへの塵埃等の付着を低減する効果が得られる。また表面層14及び補強層18は透明に構成してもよく、これにより本棚等に貼付したときに粘着テープ10が目立たなくなるという効果が得られる。
【0017】
また剥離紙20を除いた粘着テ−プ10の全体厚さは薄い方が好ましく、具体的には300マイクロメートル以下であることが好ましく、250マイクロメートル以下であることがさらに好ましい。逆に厚さが300マイクロメートルを超えると、例えば図書の出し入れ時に棚面と粘着テープとの間の段差に図書が当たりやすく、作業性が低下する。
【0018】
補強層18は、粘着テ−プ10の剛性を上げ、例えば本棚に用いたときは図書の出し入れの際に粘着テープ10がめくれることを防止するために使用するものであり、その基材22には好ましくはポリエステルフィルムが使用される。補強層18を構成する材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルホン(PSF)、ポリエステルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、透明ポリイミド(PI)などが挙げられる。本発明で特に好ましく用いられるものは、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。
【0019】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る粘着テ−プ30を示す断面図である。粘着テ−プ30が第1の実施形態の粘着テープ10と異なる点は、表面層14と補強層18の基材22との間に粘着剤がないことであり、例えば表面層成形時に、両面にプライマー処理を施したポリエステルフィルム等(例えば厚さ50マイクロメートル)の基材22と一体化させ、その後所定のドライ厚さ(例えば25マイクロメートル)のアクリル粘着剤24を基材22の片面(表面層14と反対側)に塗布し又は貼り合わせることにより、図2に示すような構造の粘着テ−プ30が得られる。他の部分については第1の実施形態と同等でよいので、詳細な説明は省略する。
【0020】
本願発明に係る粘着テ−プを棚面に適用する場合、棚面の手前(図書出し入れ側)の縁と粘着テープとの距離(該縁の延びる方向に垂直な方向の距離)は0mm以上25mm未満が効果的である。また、本棚に収納された図書の落下防止性能を維持しながら貼りやすさや価格を考慮すると、テープ幅(棚面の手前の縁の延びる方向に垂直な方向の幅)は10mm以上とすることができ、20mm以上が好ましい。また該テープ幅は50mm以下とすることができ、30mm以下が好ましい。テープ幅が10mm以上あれば、図書の背が粘着テープ上に位置するようにばらつきなく本棚に収納された図書の落下防止性能を発揮することができ、テープ幅が20mm以上あれば、貼り位置のばらつきや図書の位置のばらつきの影響を受け難く、安定して図書を保持することができ、また図書の出し入れによる粘着テープの剥離も生じにくい。一方、テープ幅が30mmより大きいと、図書落下防止効果は30mmの場合と比較して大きくは向上せず、さらにテープ幅が50mm以上では50mmの場合と比べ落下防止効果の向上は見られない。
【実施例】
【0021】
以下、本発明に係る粘着テープの非限定的実施例を説明する。基本的には、実施例1〜4及び6の基本構成は図1に示すものと同等であり、実施例5の基本構成は図2に示すものと同等である。
【実施例1】
【0022】
表面粗さ1.2マイクロメートルにマット加工した工程紙上に熱可塑性ウレタン樹脂をTダイ法により押し出し、150マイクロメートル厚さの透明マットフィルムを得た。次に該透明マットフィルム面にコロナ処理を施して表面の濡れ指数を62にした後、住友スリーエム社製スコッチ(登録商標)両面粘着テ−プNo.416をラミネートして粘着テープを作製した。該粘着テープを幅20mm、長さ880mm(各棚面の横方向長さに概ね等しい値)の帯形状に切断し、本棚の棚面の手前(図書出し入れ側)の縁に概ね沿って(隙間無く)貼り付け、以下に述べるような地震振動実験を行い、本棚内の図書の落下率を測定した。結果を表1に示す。
【0023】
またテ−プ表面の静摩擦係数をJIS P8417に準じた方法により測定した。荷重は1Kgとし、オレフィンタイプのブックカバー(キハラ(株)製)の6cm×6cmの試験面積でおこなった。また図書の出し入れ試験は手で1000回の出し入れを行い、図書の引っかかりや出し入れ易さを判定した。結果を表1に示す。
【実施例2】
【0024】
実施例1と概ね同様であるが、粘着テープ幅を25mmにして同様の評価をおこなった。結果を表1に示す。
【実施例3】
【0025】
実施例1と概ね同様であるが、粘着テープ幅を50mmにして同様の評価をおこなった。結果を表1に示す。
【実施例4】
【0026】
実施例1と概ね同様であるが、粘着テープ幅を100mmにして同様の評価をおこなった。結果を表1に示す。
【実施例5】
【0027】
製熱可塑性ウレタン樹脂を、厚さ50マイクロメートルの両面プライマー処理したポリエステルフィルム上に押し出し、150マイクロメートル厚の一体化物を形成し、さらにウレタン面に表面粗さ1.2マイクロメートルの工程紙をラミネートしてマット状にした。さらにブチルアクリレート(BA)95%、アクリル酸(AA)3%及び酢酸ビニル(Vac)2%で共重合されたアクリル粘着剤にイソシアネート系架橋剤を混合したものをドライ厚さ25マイクロメートルで塗布乾燥後、25mm幅の粘着テープを作製して評価した。結果を表1に示す。
【実施例6】
【0028】
実施例6は、実施例1と表面層の材質が異なる。熱可塑性オレフィンエラストマー樹脂(エチレン・オクテン共重合体)を表面粗さ1.2マイクロメートルにマット加工した工程紙上にTダイ法により押し出し、150マイクロメートル厚さの透明マットフィルムを得た。次に該マットフィルム面にコロナ処理を施して表面の濡れ指数を58にした後、住友スリーエム社製スコッチ(登録商標)両面粘着テ−プNo.416をラミネートして粘着テープを作製した。該粘着テープを幅25mm、長さ880mmの帯形状に切断し、本棚の棚面の手前(図書出し入れ側)の縁に概ね沿って(隙間無く)貼り付け、実施例1と同様の試験をおこなった。結果を表1に示す。
【0029】
なお上記実施例1〜6はいずれも、粘着テープを棚面の図書出し入れ側(手前)の縁に概ね沿うように(隙間無く)貼付しているが、手前の縁から25mm離して粘着テープを貼付しても、図書落下防止に関して一定の効果が得られ、また15mm離して貼付した場合は実施例1〜6と比較して遜色ない効果が得られる。従って粘着テープは、棚面の手前の縁から25mm以上離隔しないように、好ましくは15mm以上離隔しないように貼付されることが好ましい。
【0030】
【表1】

【0031】
比較例1
図4の本棚の棚面に粘着テ−プを貼らずに、比較例1として上記実施例と同様の試験をおこなった。結果を表2に示す。
【0032】
比較例2
図1に示す構成において、表面層14を透明グロスウレタンフィルムとしたものを比較例2として上記実施例と同様の試験をおこなった。まず製熱可塑性ウレタン樹脂をポリエステルフィルム工程紙上にTダイ法により押し出し、150マイクロメートル厚さの透明グロスフィルムを得た。次に該グロスフィルム面にコロナ処理を施して表面の濡れ指数を62にした後、住友スリーエム社製スコッチ(登録商標)両面粘着テ−プNo.416をラミネートして粘着テープを作製した。該粘着テープを幅25mm、長さ880mmの帯状に切断し、本棚の棚面の手前(図書出し入れ側)の縁に概ね沿って(隙間無く)貼り付け、試験をおこなった。グロスフィルム表面の静摩擦係数は0.7であった。結果を表2に示す。
【0033】
比較例3
図1に示す構成において、表面層14を透明エンボスウレタンフィルムとしたものを比較例3として上記実施例と同様の試験をおこなった。まず製熱可塑性ウレタン樹脂を表面に凹凸加工(エンボス加工)した工程紙上にTダイ法により押し出し、150マイクロメートル厚さの透明エンボスウレタンフィルムを得た。次に該エンボスウレタンフィルム面にコロナ処理を施して表面の濡れ指数を62にした後、住友スリーエム社製スコッチ(登録商標)両面粘着テ−プNo.416をラミネートして粘着テープを作製した。該粘着テープを幅25mm、長さ880mmの帯状に切断し、本棚の棚面の手前(図書出し入れ側)の縁に概ね沿って(隙間無く)貼り付け、試験をおこなった。結果を表2に示す。
【0034】
比較例4
比較例4は実施例1と同様の粘着テ−プを使用するが、該粘着テープの貼付位置が実施例1とは異なる。該粘着シートを幅25mm、長さ880mmの帯形状に切断し、本棚の棚面の奥の縁概ね沿って貼り付け、試験をおこなった。結果を表2に示す。
【0035】
比較例5
図1に示す構成において、表面層14の厚さを200マイクロメートルの透明マットウレタンフィルムとしたものを比較例5として上記実施例と同様の試験をおこなった。まず熱可塑性ウレタン樹脂を、表面粗さ1.2マイクロメートルのマット工程紙上にTダイ法により押し出し、300マイクロメートル厚さの透明マットフィルムを得た。次に該透明マットフィルム面にコロナ処理を施して表面の濡れ指数を62にした後、住友スリーエム社製スコッチ(登録商標)両面粘着テ−プNo.416をラミネートして粘着テープを作製した。該粘着テープを幅25mm、長さ880mmの帯形状に切断し、本棚の棚面の手前(図書出し入れ側)の縁に概ね沿って(隙間無く)貼り付け、試験をおこなった。結果を表2に示す。
【0036】
比較例6
図3に示すように、図1、図2に示したような補強層18を具備せず、表面層14に粘着層24を貼付した粘着テープ40を、比較例6として上記実施例と同様の試験をおこなった。まず熱可塑性ウレタン樹脂を、表面粗さ1.2マイクロメートルのマット工程紙上にTダイ法により押し出し、150マイクロメートル厚さの透明マットフィルムを得た。次に該フィルム面にコロナ処理を施して表面の濡れ指数を62にした後、ブチルアクリレート(BA)95%、アクリル酸(AA)3%及び酢酸ビニル(Vac)2%で共重合されたアクリル粘着剤にイソシアネート系架橋剤を混合したものを、ドライ厚さ25マイクロメートルで剥離紙上に塗布乾燥して作製したATT(接着剤転写テープ)をラミネートして粘着テープを作製し、該粘着テープを幅25mm、長さ880mmの帯形状に切断し、本棚の棚面の手前(図書出し入れ側)の縁に概ね沿って(隙間無く)貼り付け、試験をおこなった。結果を表2に示す。
【0037】
【表2】

【0038】
ここで表1及び表2における各項目の詳細について説明する。
まず「表面層」については、図1〜図3の参照符号14で示す表面層に使用した材質を表記している。また「補強層」は、図1及び図2に示す補強層18に使用した材質を表記しており、図1のようにポリエステル基材の両面にアクリル粘着剤層を設けたものについては「PSA/PET/PSA」と表記し、図2のようにポリエステル基材の下面にのみアクリル粘着剤層を設けたものについては「PET/PSA」と表記している。なお「補強層」には該当しないが、図3のようにアクリル粘着剤のみでポリエステル基材のような補強層を有しないものについては、比較のため「PSA」と表記している。
【0039】
「静摩擦係数」は、JISP8417に規定する静摩擦係数測定方法に準じて測定した値であり、ハードカバー図書の表紙を6cm×6cmに切り出したものにキハラ(株)製アメニテイ抗菌B−コートのブックカバーをラミネートし、この上に1Kgの重りをのせて試験した。なお試験片は、ステンレス板に粘着テ−プを貼り付けたものを用いた。
【0040】
「テープ幅」は、各棚面の手前(開口端寄り)の縁の延びる方向に垂直な粘着テープの幅であり、該粘着テープは該縁に概ね沿って(場所によっては2〜3mmの隙間がある場合はある)貼付した。但し比較例4については、棚面の手前の縁ではなくその反対側(奥側)の縁に沿って粘着テープを貼付した。
【0041】
「図書出し入れ試験結果」は、棚の左右上段において作業者が図書の出し入れを1000回行い、作業者が図書の出し入れ易さ(粘着テープによる引っかかりの有無等)を評価したものである。出し入れが非常にスムースであったものは「◎」、概ね良好であったものは「○」、粘着テープと図書との接触により出し入れに難があったものは「×」、「×」よりもさらに作業性が悪く実用性に欠けるものは「××」と表記した。
【0042】
「耐震試験結果(図書落下率)」については、図4に示すように、2×4段構成の本棚50を用意し、キハラ(株)製アメニテイ抗菌B−コートのブックカバーをかけた図書52を、背の部分を棚面の手前縁に揃えるようにして、各棚に14冊並べた(図書52は右上の棚内のもののみ図示)。この際、右列の棚の各棚面54には本願発明に係る粘着テープ10又は30を貼付して実施例として測定する一方、左列の棚は上記の比較例として測定した。該本棚をIMV(株)所有の試験機上に配置し、下記条件で地震振動試験をおこなった。
(1)東日本大震災の震度6弱相当(加速度:X軸415ガル、Y軸461ガル、Z軸251ガル)
(2)新潟県中越沖地震の震度6強相当(加速度:X軸681ガル、Y軸517ガル、Z軸416ガル)
実施例及び比較例それぞれについて、計56冊のうち落下した図書の冊数及びその割合を表記した。
【0043】
なお表1及び表2には記載されていないが、マット表面の表面粗さは非接触式の表面粗さ計(ZYGO社製NewView(登録商標)6000型)にて測定したものである。
【0044】
上記実施例では、本願発明に係る粘着テープを図書落下防止用として本棚の棚面に貼付しているが、本願発明はこのような用途に限られず、例えば食器棚の棚面に食器防止用として貼付したり、また複数の棚を特に固定手段を設けず段重ねする場合に、地震等による各棚間のずれを防止するために各棚間に挿入したりする用途にも適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
10、30 落下防止用粘着テープ
14 表面層
18 補強層
20 剥離紙
22 基材
24 粘着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面がマット状態で静摩擦係数が0.8以上のウレタン樹脂フィルム又はオレフィンエラストマー樹脂フィルムからなる表面層と、
前記表面層の前記第1の面の反対側の第2の面に取り付けられ、前記表面層の前記第2の面に取り付けられた面と反対側の面に粘着層を設けた補強層と、
を有する、棚上物品落下防止用粘着テ−プ。
【請求項2】
前記表面層の前記第1の面の表面粗さが0.5〜2.0マイクロメートルである、請求項1に記載の棚上物品落下防止用粘着テープ。
【請求項3】
前記補強層がポリエステルフィルムである、請求項1又は2に記載の棚上物品落下防止用粘着テープ。
【請求項4】
全体厚さが300マイクロメートル以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の棚上物品落下防止用粘着テープ。
【請求項5】
前記粘着層は、強接着かつ再剥離性のアクリル粘着剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の棚上物品落下防止用粘着テープ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の棚上物品落下防止用粘着テープを、棚面の図書出し入れ側の縁から25mm以上離隔しないように貼付した棚を含む、本棚。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の棚上物品落下防止用粘着テープの使用方法であって、
前記棚上物品落下防止用粘着テープを、本棚の棚面の図書出し入れ側の縁から25mm以上離隔しないように部分的に貼付することを含む、使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−288(P2013−288A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133503(P2011−133503)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)