棚卸支援装置
【課題】ある特定の物品について棚卸をする場合、棚卸対象となる物品からの識別コードの取得作業を容易にする。
【解決手段】RFIDリーダによる近距離無線通信によって無線タグから読み取った一又は二以上の識別コードに対応付けられている品名を表示部に一覧表示し(候補一覧画面D)、入力部による品名指定によって一の識別コードの選択指定を許容し、選択指定された一の識別コードを棚卸対象としてメモリに記憶し(在庫一覧初期画面G)、RFIDリーダによる近距離無線通信によって無線タグから読み取った識別コードのうち、メモリに記憶した棚卸対象である識別コードと同一の識別コードの個数を実在庫数として求める(在庫一覧画面H)。
【解決手段】RFIDリーダによる近距離無線通信によって無線タグから読み取った一又は二以上の識別コードに対応付けられている品名を表示部に一覧表示し(候補一覧画面D)、入力部による品名指定によって一の識別コードの選択指定を許容し、選択指定された一の識別コードを棚卸対象としてメモリに記憶し(在庫一覧初期画面G)、RFIDリーダによる近距離無線通信によって無線タグから読み取った識別コードのうち、メモリに記憶した棚卸対象である識別コードと同一の識別コードの個数を実在庫数として求める(在庫一覧画面H)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚卸作業を支援する棚卸支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品等の物品に関して、記帳上の在庫数と実際の在庫数との差異を把握するために、棚卸と呼ばれる作業が行なわれる。本来、記帳上の在庫数と実際の在庫数とは一致していなければならない。ところが、盗難、紛失、記帳ミス等の諸般の原因により、記帳上の在庫数と実際の在庫数との不一致が起こり得る。そこで、そのような不一致を認識し、記帳上の在庫数を実際の在庫数に調整する作業が必要となる。これが棚卸である。
【0003】
近年では、情報処理技術を利用した棚卸が一般化している。つまり、在庫数の記帳は、各種の情報記憶媒体(ハードディスク、光メディア、不揮発性メモリ等)に対する電子データの記録による管理という形態でなされる。管理される電子データは、棚卸対象物を特定する識別コード、その品名、在庫数等である。つまり、識別コードに品名と在庫数とを対応付けて記憶するデータベースを構築し、在庫数の適宜の更新をもってその管理を行なう。そして、実際の在庫数の取得は、一例として、棚卸対象物にこれを特定する識別コードをシンボル化したコードシンボル(バーコード、2次元コード等)を付しておき、このコードシンボルをデータコードスキャナで読み取ることで識別コードを取得する、というような手法が広く普及している。
【0004】
特許文献1には、棚卸対象物に付したコードシンボルをデータコードスキャナで読み取って識別コードを取得し、取得した識別コードに基づいて棚卸処理を実行するようにした発明が記載されている(段落0064〜0070参照)。
【0005】
これに対して、近年、実際の在庫数の取得手法として注目を集めているのは、RFID(Radio Frequency IDentification)と呼ばれている近距離無線通信の技術である。この技術は、周知のように、ID情報(識別コード)を埋め込んだ無線タグとの間で、電磁界や電波などを用いた近距離(周波数帯によって数cm〜数m)の無線通信によって情報をやりとりする技術である。パッシブ型の無線タグの場合、内蔵バッテリを必要としないという優れた特長を有することから、個々の棚卸対象物に付した場合、バッテリ交換やバッテリ充電等の煩わしいメンテナンス作業が不要となる。そこで、個々の棚卸対象物にパッシブ型の無線タグを付しておけば、後はその無線タグに記録されている識別コードをRFIDリーダによって読み取るだけで、実際の在庫数を容易に取得することができる。
【0006】
特許文献2には、棚卸しという目的ではないものの、商品に無線タグを付しておき、商品の在庫管理にRFID技術を利用するようにした発明が記載されている(段落0013〜0023参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2007−249276公報
【特許文献2】特開2004−210427公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
RFID技術は、通信可能範囲にある複数個の無線タグから識別コードを一度に集めることができるという技術的な特性を有している。厳密には、複数個の無線タグと順番に近距離無線通信を確立し、それらの無線タグから識別コードをシリアルに取得するわけであるが、その所要時間の短さから、人間の感覚上、同時に複数の識別コードが収集されているような錯覚を生じさせる。これが、読み取り動作と読み取られる識別コードとが1対1の対応となるコードシンボルの読取技術に対するRFID技術の優位性である。とりわけ、我国において実用化が進んでいるUHF帯を用いた近距離無線通信では通信可能距離が数mと長く、同時に取得できる識別コードの個数が多い。
【0009】
このようなRFID技術の優位性を考慮すると、RFID技術を利用した棚卸は、全ての棚卸対象物に付されたICカードから識別コードを取得し、これをサーバ等に送信して在庫管理用のデータベースの登録データと比較対照して棚卸を実行する、というような棚卸手法(特許文献1の段落0067〜0070参照)への適性が高いことが良く分かる。
【0010】
ところが、商品等の物品を棚卸するに際しては、全ての物品について棚卸をするのではなく、ある特定の物品について棚卸をしたいというようなことがある。このような場合、オペレータは物品をしまっておく倉庫等に出向き、その場で棚卸作業をする必要がある。このような場合、コードシンボルの読取技術を利用する場合であれば、棚卸をしたい物品についてのみコードシンボルを次々に読み取り、識別コードを取得していけばよい。また、RFID技術を用いる場合であっても、通信距離が短い周波数帯のRFID技術を利用すれば、個々の物品に付された無線タグから識別コードを次々に取得することができる。この場合、RFIDリーダのアンテナを無線タグにかざすだけで良いため、データコードの読み取り作業に比べれば作業負担が少ない。
【0011】
しかしながら、データコードを読み取る場合でも、RFID技術を用いる場合でも、物品一つ一つから識別コードを取得するのは大変な作業であり、全体的には作業負担が極めて大きいという問題がある。
【0012】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、ある特定の物品について棚卸をする場合、棚卸対象となる物品からの識別コードの取得作業の容易化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の棚卸支援装置は、情報表示機能を有する表示部と、情報入力機能を有する入力部と、物品を識別する識別コードを記憶する無線タグとの間で近距離無線通信を実行するRFIDリーダと、を備え、情報処理を実行する情報処理部が、(1)前記RFIDリーダによる近距離無線通信によって無線タグから読み取った一又は二以上の識別コードに対応付けられている品名を前記表示部に一覧表示し、前記入力部による品名指定によって一の識別コードの選択指定を許容し、選択指定された一の識別コードを棚卸対象としてメモリに記憶する処理と、(2)前記RFIDリーダによる近距離無線通信によって無線タグから読み取った識別コードのうち、前記メモリに記憶した棚卸対象である識別コードと同一の識別コードの個数を実在庫数として求める処理と、を実行する。
【0014】
別の面から見た本発明の棚卸支援装置は、情報表示機能を有する表示部と、情報入力機能を有する入力部と、物品を識別する識別コードを記憶する無線タグとの間で近距離無線通信を実行するRFIDリーダと、を備え、情報処理を実行する情報処理部が、(1)前記RFIDリーダによる近距離無線通信によって無線タグから読み取った識別コードを棚卸対象としてメモリに記憶する処理と、(2)前記RFIDリーダによる近距離無線通信によって無線タグから読み取った識別コードのうち、前記メモリに記憶した棚卸対象である識別コードと同一の識別コードの個数を実在庫数として求める処理と、を実行する。
【0015】
更に別の面から見た本発明の棚卸支援装置は、情報表示機能を有する表示部と、情報入力機能を有する入力部と、物品を識別する識別コードを記憶する無線タグとの間で近距離無線通信を実行するRFIDリーダと、物品を識別する識別コードをシンボル化したコードシンボルを光学的に読み取って識別コードをデコードするデータコードリーダと、を備え、情報処理を実行する情報処理部が、(1)前記データコードリーダによってコードシンボルから読み取りデコードした識別コードを棚卸対象としてメモリに記憶する処理と、(2)前記RFIDリーダによる近距離無線通信によって無線タグから読み取った識別コードのうち、前記メモリに記憶した棚卸対象である識別コードと同一の識別コードの個数を実在庫数として求める処理と、を実行する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、棚卸対象となる物品の識別コードを現場で取得してメモリに記憶しておき、通信可能範囲にある複数個の無線タグから識別コードを一度に集めることができるというRFID技術の特性を生かした手法で容易に収集した識別コードの中から、メモリに記憶した識別コードと同一の識別コードの個数を実在庫数として求めるようにしたので、ある特定の物品について棚卸をする場合、棚卸対象となる物品からの識別コードの取得作業を容易にし、その作業負担を飛躍的に軽減することができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、在庫管理システム11が設置されている店舗S(倉庫S1+売場S2)の模式図である。店舗Sには、売場S2に倉庫S1が併設されている。物品としての商品ATLは、最初に倉庫S1に搬入され、倉庫S1に保管される。そして、必要に応じて、倉庫S1から売場S2に移される。倉庫S1から売場S2への商品の移動は、出入口GTを介して行なわれる。
【0019】
倉庫S1は、エントランス51から商品ATLを搬入できるようになっている。倉庫S1には、商品ATLである衣類をハンガー52で吊るして掛けるための複数個のハンガーラック53が設けられ、衣類を収納するための複数個の収納棚54が設けられている。また、倉庫S1の内部には、机55にサーバ201が設置されている。サーバ201は、その外観態様上、本体タワー202、液晶ディスプレイ203、キーボード204及びマウス等のポインティングデバイス205から構成されている。倉庫S1の内部には、更に、出入口GTの近傍の天井面に位置させて、無線中継器31が設置されている。この無線中継器31は、棚卸作業等に際して用いられる棚卸支援装置としてのハンディターミナル101(図2参照)と無線通信が自在であり、ハンディターミナル101とサーバ201との間のデータ通信を中継する。
【0020】
売場S2には、出入口GTの近傍に、チェックアウトカウンタ71が設置されている。チェックアウトカウンタ71には、POS端末301が載置されている。売場S2の詳細については省略する。
【0021】
ここで、個々の商品ATLには、商品タグ56が付されている。商品タグ56は、一例として、商品ATLである衣類の袖口に付けられたボタンに糸で結ばれている(図1中の丸内参照)。このような商品タグ56にはバーコード56aが印刷され、ICチップ56bが埋設されている。バーコード56aは、商品タグ56を付する商品ATLを特定するための識別コードをコードシンボル化している。ICチップ56bにもバーコード56aがシンボライズしている識別コードと同一の識別コードがデータ記録されている。
【0022】
また、ハンガーラック53には、ハンガー52に類似する形態の仕切板57が吊り下げられている。仕切板57は、商品ATLである衣類をその種類毎に区切る等の役割を果たしている。仕切板57には商品管理タグ58が貼付されている(図1中の丸内参照)。このような商品管理タグ58には管理用バーコード58aが印刷されており、管理用ICチップ58bが埋設されている。商品管理タグ58は、個々の商品ATLに付されてその商品を特定する商品タグ56とは異なり、個々の商品ATLを特定する役割は果たさない。商品管理タグ58が特定するのは、仕切板57によって仕切られた1又は2以上の同一の商品ATLの識別コードである。したがって、管理用バーコード58aがシンボライズし、管理用ICチップ58bが記憶するのは、仕切板57によって仕切られる1又は2以上の同一の商品ATLを特定する管理用の識別コードである。このような管理用の識別コードは、
管理用であることを示すコード+通常の識別コード
というコード体系を有している。
【0023】
以上説明した商品タグ56及び商品管理タグ58は、識別コードを記憶するICチップ56b及び管理用ICチップ58bを埋設しているので、それぞれ無線タグRTを構成する。
【0024】
図2は、ハンディターミナル101の正面図である。ハンディターミナル101は、携帯可能な薄型矩形形状のハウジング102の正面に表示部103と入力部104とを備える。表示部103は、一例として液晶表示パネルによって形成されている。入力部104は、表示部103に積層配置されたタッチパネル105と、ハウジング102の正面において表示部103の下方に配置されている各種のキーボタン106とによって形成されている。
【0025】
入力部104を形成するキーボタン106としては、確定ボタン106a、開始ボタン106b、送信ボタン106c、テンキー106d、ファンクションキー106e、及びコマンドキー106fが設けられている。
【0026】
ハンディターミナル101は、バーコード56a及び管理用バーコード58aの読み取り機能を果たすデータコードリーダ107と、ICチップ56b及び管理用ICチップ58bとの間での近距離無線通信を実行するRFIDリーダとしてのRFIDリーダライタ108とを内蔵している(図7参照)。
【0027】
図3は、在庫管理システム11のシステム概要を示すブロック図である。在庫管理システム11は、サーバ201と無線中継器31とPOS端末301とが構内ネットワーク401を介してデータ通信自在に接続されて構築されている。ハンディターミナル101は、無線中継器31を介して、構内ネットワーク401に接続されている機器であるサーバ201及びPOS端末301とデータ送受信可能である。
【0028】
図4は、サーバ201の電気的接続を示すブロック図である。サーバ201には、マイクロコンピュータ251が備えられており、このマイクロコンピュータ251が各部を駆動制御する。マイクロコンピュータ251は、各部を集中的に制御するCPU252に、バスラインBLを介してBIOS等の固定的情報を予め記憶するROM253と、各種情報を書き換え自在に記憶してワークエリア等として機能するRAM254と、V−RAM255とが接続されて構成されている。したがって、マイクロコンピュータ251は、情報処理を実行する情報処理部を構成する。図4では、CPU252、ROM253、RAM254及びV−RAM255のそれぞれを単一構成物として表示しているが、これらのCPU252、ROM253、RAM254及びV−RAM255は、複数の固体に分割されて構成されていてもよい。
【0029】
マイクロコンピュータ251には、バスラインBLを介してI/OインターフェースIFが接続されている。そして、I/OインターフェースIFには、入力コントローラ256、ビデオコントローラ257、HDD258、及びシリアルポート259が接続されている。
【0030】
I/OインターフェースIFに接続されている入力コントローラ256には、キーボード204及びポインティングデバイス205が接続されている。入力コントローラ256は、キーボード204及びポインティングデバイス205からの入力信号をマイクロコンピュータ251に取り込む。
【0031】
I/OインターフェースIFに接続されているビデオコントローラ257には、液晶ディスプレイ203が接続されている。ビデオコントローラ257は、画像データに基づいて液晶ディスプレイ203を駆動制御し、画像データに応じた画像を表示させる。
【0032】
I/OインターフェースIFに接続されているHDD258には、プログラムエリアPAが設けられている。プログラムエリアPAには、OS及びコンピュータプログラム等がインストールされている。HDD258のプログラムエリアPAにインストールされているコンピュータプログラムには、棚卸支援用のコンピュータプログラムが含まれている。
【0033】
サーバ201がHDD258のプログラムエリアPAにインストールしているOS及びコンピュータプログラム等は、サーバ201の起動時にその全部又は一部がRAM254にコピーされてCPU252にアクセスされる。CPU252は、RAM254をワークエリアとして使用しつつ、コピーされたOS及びコンピュータプログラムに従った処理を実行する。したがって、RAM254及びHDD258は、記憶部としての機能を提供することになる。
【0034】
I/OインターフェースIFに接続されているシリアルポート259には、ネットワークカード260が接続されている。ネットワークカード260は、サーバ201のマイクロコンピュータ251を構内ネットワーク401に接続させ、無線中継器31及びPOS端末301との間の相互のデータ通信を可能とする。この意味で、ネットワークカード260は、外部機器との間でデータ送受信を可能とするデータ送受信部としての機能をサーバ201に提供する。
【0035】
図5は、サーバ201のHDD258に記憶保存されている在庫管理マスタエリア271(在庫データベース)の記録データを示す模式図である。在庫管理マスタエリア271は、識別コードに対応付けて、倉庫内在庫数及び売場内陳列数を記憶している。倉庫内在庫数は、倉庫S1に収納されている対応する商品ATLの在庫数である。売場内陳列数は、売場S2に陳列等されている対応する商品ATLの在庫数である。このような在庫管理マスタエリア271における倉庫内在庫数及び売場内在庫数のデータは、一例として、ハンディターミナル101での入力操作により、あるいはサーバ201での入力操作により、自由に入力することが可能である。そして、POS端末301は、決済処理を実行すると、構内ネットワーク401を介して、決済処理した商品ATLの識別コードを決済報告としてサーバ201に送信する。これにより、サーバ201は、POS端末301から決済報告が上がってきた識別コードの商品ATLについて、在庫管理マスタエリア271の売場内在庫数を1つデクリメントする処理を実行する。こうして、在庫管理マスタエリア271のレコードが管理される。
【0036】
図6は、サーバ201のHDD258に記憶保存されている在庫ログエリア281の記録データを示す模式図である。在庫ログエリア281は、日付毎に、商品ATLの識別コードを記録し、倉庫内在庫数と売場内在庫数とのそれぞれについての理論在庫数、実在庫数及び差の値(実在庫数−理論在庫数)を記録している。「理論在庫数」というのは、基本的には、ハンディターミナル101やサーバ201での入力操作によって在庫管理マスタエリア271に入力された在庫数である。本実施の形態では、棚卸作業によって、倉庫S1又は売場S2内における商品ATLの実際の在庫数が取得され、これが「実在庫数」となる。そして、在庫ログエリア281において、理論在庫数の値を実在庫数の値に置き換えたログを記録すると共に、在庫管理マスタエリア271において、在庫数(倉庫内在庫数又は売場内在庫数)の値を実在庫数の値に置き換える。このような棚卸処理については、図10ないし図17を参照して後に詳細に説明する。
【0037】
図7は、ハンディターミナル101の電気的接続を示すブロック図である。ハンディターミナル101には、マイクロコンピュータ151が備えられており、このマイクロコンピュータ151が各部を駆動制御する。マイクロコンピュータ151は、各部を集中的に制御するCPU152に、バスラインBLを介してBIOSやコンピュータプログラム等の固定的情報を予め記憶するフラッシュROM153と、各種情報を書き換え自在に記憶してワークエリア等として機能するRAM154と、V−RAM155とが接続されて構成されている。したがって、マイクロコンピュータ151は、情報処理を実行する情報処理部を構成する。図7では、CPU152、フラッシュROM153、RAM154及びV−RAM155のそれぞれを単一構成物として表示しているが、これらのCPU152、フラッシュROM153、RAM154及びV−RAM155は、複数の固体に分割されて構成されていてもよい。
【0038】
マイクロコンピュータ151は、棚卸支援用のコンピュータプログラムを含む各種のコンピュータプログラムをフラッシュROM153に予めファームウェアとして記録している。そこで、マイクロコンピュータ151は、RAM154をメモリのワークエリアとして使用しながら、フラッシュROM153に予め記録されている各種のコンピュータプログラムに従った処理を実行する。
【0039】
マイクロコンピュータ151には、バスラインBLを介してI/OインターフェースIFが接続されている。そして、I/OインターフェースIFには、入力コントローラ156、ビデオコントローラ157、データコードリーダ107、RFIDリーダライタ108、及び無線通信モジュール158が接続されている。
【0040】
入力コントローラ156には、入力部104としてのタッチパネル105及びキーボタン106が接続されている。入力コントローラ156は、タッチパネル105及びキーボタン106からの入力信号をマイクロコンピュータ151に取り込む。
【0041】
ビデオコントローラ157には、表示部103が接続されている。ビデオコントローラ157は、画像データに基づいて表示部103を駆動制御し、画像データに応じた画像を表示部103に表示させる。
【0042】
データコードリーダ107は、商品タグ56及び商品管理タグ58に付されているバーコード56a及び管理用バーコード58aがシンボライズしている識別コードを光学的に読み取る。つまり、データコードリーダ107は、バーコード56a及び管理用バーコード58aに光照射してその反射光を受光素子、例えば2次元CCDアレイ等で受光し、受光素子の出力を2値化してデコードし、バーコード56a及び管理用バーコード58aがシンボライズしているコードシンボルから識別コードを抽出する。データコードリーダ107は、抽出した識別コードを出力する。マイクロコンピュータ151は、データコードリーダ107が出力した識別コードを認識する。
【0043】
RFIDリーダライタ108は、商品ATLに付されている無線タグRTとしての商品タグ56及び商品管理タグ58との間で近距離無線通信を実行し、それらの商品タグ56及び商品管理タグ58が記憶する識別コードを得る。この場合、RFIDリーダライタ108は、例えばUHF帯の近距離無線通信を無線タグRTである商品タグ56及び商品管理タグ58との間で実行する。RFIDリーダライタ108は、取得した識別コードを出力する。マイクロコンピュータ151は、RFIDリーダライタ108が出力した識別コードを認識する。
【0044】
図8は、ハンディターミナル101のフラッシュROM153に記憶保存されている品名ファイル171の記録データを示す模式図である。品名ファイル171は、識別コードに品名(テキストデータ)を対応付けて記憶保存している。したがって、マイクロコンピュータ151は、データコードリーダ107又はRFIDリーダライタ108が出力した識別コードを検索子として品名ファイル171を検索することで、対応する品名のテキストデータを取得することができる。そして、取得した品名のテキストデータに基づく品名表示を表示部103に表示することができる。
【0045】
図9は、棚卸支援処理に際してハンディターミナル101のRAM154のワークエリアに設定される仮記憶領域181を示す模式図である。ハンディターミナル101は、フラッシュROM153にファームウェアとして記録されている棚卸支援用のコンピュータプログラムに従ったCPU152による棚卸支援処理に際して、RAM154のワークエリア中の図9に示す仮記憶領域181にデータを一時記憶する。これらの仮記憶領域181として、棚卸支援用のコンピュータプログラムは、CPU152に、フラグ181a、棚卸対象領域181b、理論在庫数領域181c、カウンタ181d、及び差分値領域181eを、RAM154のワークエリアに設定させる。
【0046】
フラグ181aは、棚卸の対象が倉庫S1であるか売場S2であるかを区別するために用いられる。その詳細については、図11のフローチャートを参照のこと(例えば、ステップS104、S105等)。
【0047】
棚卸対象領域181bは、棚卸対象となる商品ATLの識別コードを記憶する領域である。その詳細については、図11〜図14のフローチャートを参照のこと(例えば、図11のステップS109、S110、S111等)。
【0048】
理論在庫数領域181cは、棚卸対象となる商品ATLについて、サーバ201が管理する在庫管理マスタエリア271に登録されている在庫数(理論在庫数)を一時記憶する領域である。その詳細については、図11のフローチャートを参照のこと(例えば、ステップS113〜S115等)。
【0049】
カウンタ181dは、棚卸対象領域181bに記憶した識別コードによって特定される商品ATLについて、RFIDリーダライタ108によって取得される識別コードからその商品ATLの実在庫数を求めるために利用されるカウンタ領域である。その詳細については、図11及び図16のフローチャートを参照のこと(例えば、図11のステップS118、図16のステップS118−1〜S118−8等)。
【0050】
差分値領域181eは、理論在庫数領域181cに記憶した理論在庫数とカウンタ181dの値である実在庫数との差の値を記憶する領域である。その詳細については、図11及び図16のフローチャートを参照のこと(例えば、図11のステップS118、図16のステップS118−6等)。
【0051】
図10は、ハンディターミナル101の画面遷移例を示す模式図である。ハンディターミナル101は、初期画面として、「在庫数入力」、「棚卸(倉庫)」及び「棚卸(売場)」というメニューを表示部103に表示している(図10中の画面1参照)。これをメニュー画面Aと呼ぶ。メニュー画面A中のメニューは、タッチパネル105によってタッチ指定可能なオブジェクトである。以下、ハンディターミナル101において、表示部103に表示されているメニュー選択によって開始される処理内容を図11〜図14、図16及び図17に基づいて説明する。
【0052】
図11〜図14及び図16のフローチャートに示す処理は、ハンディターミナル101のマイクロコンピュータ151がフラッシュROM153にファームウェア構成で記録しているコンピュータプログラムに従い実行する処理である。図17のフローチャートに示す処理は、サーバ201のマイクロコンピュータ251がHDD258のプログラムエリアPAにインストールしているコンピュータプログラムに従い実行する処理である。処理内容については図11〜図14及び図16のフローチャート及び図17のフローチャートを参照し、これに伴うハンディターミナル101の表示部103の画面遷移については図10を参照し、それぞれについて説明する。
【0053】
図11は、ハンディターミナル101での棚卸支援処理の流れを示すフローチャートである。ハンディターミナル101のCPU152は、「在庫数入力」、「棚卸(倉庫)」及び「棚卸(売場)」というメニューのいずれかがタッチパネル105でのタッチ指定によって選択されたこと、つまりメニュー選択の有無の判定に待機している(ステップS101)。この待機中、メニュー選択を判定すると(ステップS101のY)、それが「在庫数入力」であるかとどうかを判定する(ステップS102)。「在庫数入力」というメニューが選択されると(ステップS102のY)、在庫数入力処理が実行される(ステップS201)。この処理については説明を省略する。
【0054】
これに対して、CPU152は、在庫数入力の選択を判定しない場合(ステップS102のN)、「棚卸(倉庫)」と「棚卸(売場)」とのいずれのメニューが選択されたかを判定する(ステップS103)。そして、CPU152は、「棚卸(倉庫)」の選択を判定した場合には(ステップS103のY)、RAM154の仮記憶領域181に設定されるフラグ181a(図9参照)にF=0を設定する。これに対して、CPU152は、「棚卸(売場)」の選択を判定した場合には(ステップS103のN)、フラグ181a(図9参照)にF=1を設定する。そして、表示部103の画面を画面遷移させる。
【0055】
図10中、メニュー画面A(画面1)から「棚卸(倉庫)」又は「棚卸(売場)」が選択された場合に遷移する画面をプレ読取方法指定画面B(画面2)として例示する。プレ読取方法指定画面Bは、プレ読取方法として、「候補一覧」、「品番管理タグ」及び「品番管理コード」をメニュー表示している。プレ読取方法指定画面Bによって選択指定可能な「プレ読取方法」というのは、棚卸対象となる商品ATLの識別コードを取得するための方法を意味している。
【0056】
「候補一覧」というプレ読取方法は、RFIDリーダライタ108での読み取りによって取得した一又は二以上の識別コードによって特定される品名リスト(候補)から一の商品ATLを棚卸対象として選択する方法を意味する。
【0057】
「品番管理タグ」というプレ読取方法は、RFIDリーダライタ108での商品管理タグ58が内蔵する管理用ICチップ58bの読み取りによって取得した一の識別コードによって特定される商品ATLを棚卸対象として選択する方法を意味する。
【0058】
「品番管理コード」というプレ読取方法は、データコードリーダ107での商品管理タグ58の印刷されている管理用バーコード58aの読み取りによって取得した一の識別コードによって特定される商品ATLを棚卸対象として選択する方法を意味する。
【0059】
これらのプレ読取方法のメニュー表示は、タッチパネル105によってタッチ指定可能なオブジェクトである。そこで、「候補一覧」、「品番管理タグ」及び「品番管理コード」のいずれかをタッチパネル105によってタッチ指定することで、プレ読取方法の選択がなされる。
【0060】
図11に示すフローチャートの説明に戻る。ハンディターミナル101のCPU152は、プレ読取方法の選択を判定すると(ステップS106のY)、選択された方法が候補一覧かどうか(ステップS107)、品番管理タグかどうか(ステップS108)の判定を実行する。これにより、どのプレ読取方法が選択されたのかを判定することができる。つまり、CPU152は、ステップS107で候補一覧の選択を判定すると(ステップS107のY)、ステップS109のプレ読取処理(候補一覧)に進む。ステップS108で品番管理タグの選択を判定すると(ステップS108のY)、ステップS110のプレ読取処理(品番管理タグ)に進む。そして、ステップS108で品番管理タグの選択を判定しない場合には(ステップS108のN)、ステップS111のプレ読取処理(品番管理コード)に進む。
【0061】
ステップS109のプレ読取処理(候補一覧)については図12にその詳細を示し、ステップS110のプレ読取処理(品番管理タグ)については図13にその詳細を示し、ステップS111のプレ読取処理(品番管理コード)については図14にその詳細を示す。また、プレ読取処理に際してオペレータが実行すべき作業については、図15にその様子を示す。
【0062】
図12は、図11のフローチャート中のステップS109のプレ読取処理(候補一覧)の処理内容を詳細に示すフローチャートである。CPU152は、表示部103の表示をインストラクション画面C−1(図10中の画面3−1)に遷移させる(ステップS109−1)。図10に示すように、インストラクション画面C−1には、「対象となる商品の近くで開始ボタンを押して下さい。」とのインストラクションが示されている。
【0063】
図15は、オペレータがハンディターミナル101にプレ読取処理(図11のステップS109〜111)を実行させようとしている様子を示す模式図である。図15に示すように、オペレータは、インストラクション画面C−1に示されているインストラクションに従い、例えば倉庫S1内で、棚卸の対象となる商品ATLの近くに赴き、開始ボタン106b(図2参照)を押下する。CPU152は、開始ボタン106bの押下を判定すると(ステップS109−2のY)、RFIDリーダライタ108を起動する(ステップS109−3)。これにより、RFIDリーダライタ108は、UHF帯を用いた近距離無線通信を実行し、周辺に位置する無線タグRTである商品タグ56が内蔵するICチップ56b又は商品管理タグ58が内蔵する管理用ICチップ58bとの間で通信を確立する。これにより、RFIDリーダライタ108は、それらのICチップ56b又は管理用ICチップ58bから識別コードを取得し、取得した識別コードを出力する。これにより、CPU152は、識別コードの取得を判定し(ステップS109−4のY)、図8に示す品名ファイル171から、RFIDリーダライタ108が出力した識別コードに対応付けられている品名(テキストデータ)を取得し、候補一覧として表示部103に一覧表示する(ステップS109−5)。この際、管理用ICチップ58bが記憶する管理用の識別コードは、前述したように、
管理用であることを示すコード+通常の識別コード
というコード体系を採用している。そこで、品名ファイル171を検索するに際しては、「管理用であることを示すコード」を除いて通常の識別コードのみを抽出し、この抽出した通常の識別コードを検索の基礎とする。こうして表示部103に表示される画面は、候補一覧画面D(図10中の画面4)である。
【0064】
図10に示すように、候補一覧画面D(画面4)は、RFIDリーダライタ108が出力した識別コードに対応する商品ATLの品名を一覧表示し、タッチパネル105でのタッチ指定によってそのうちの一つの品名を選択指定可能にする。候補一覧画面Dには、「商品を選んで確定ボタンを押して下さい。」というインストラクションも表示されている。そこで、オペレータは、候補一覧画面D中、棚卸をしたい商品ATLをタッチパネル105でのタッチ指定によって選択指定する。これに応じて、候補一覧画面Dでは、選択指定された商品ATLの品名部分が強調表示される。そして、オペレータは、その強調表示された商品ATLの品名を確認し、確定ボタン106a(図2参照)を押下する。
【0065】
図12に示すフローチャートの説明に戻る。CPU152は、確定ボタン106aの押下を判定すると(ステップS109−6のY)、それに先立つべき商品ATLの品名選択を条件として(ステップS109−7のY)、候補一覧画面Dで選択された商品ATLを棚卸対象として確定する(ステップS109−9)。つまり、CPU152は、選択された商品ATLの識別コードをRAM154の仮記憶領域181に設定される棚卸対象領域181b(図9参照)に記憶する。
【0066】
なお、CPU152は、確定ボタン106aの押下に先立つべき商品ATLの品名選択がなかった場合には(ステップS109−7のN)、表示部103に商品ATLの品名を選択すべき旨のメッセージを表示する(ステップS109−8)。こうして、図11のフローチャート中のステップS109のプレ読取処理(候補一覧)が終了する。
【0067】
図13は、図11のフローチャート中のステップS110のプレ読取処理(品番管理タグ)の処理内容を詳細に示すフローチャートである。CPU152は、表示部103の表示をインストラクション画面C−2(図10中の画面3−2)に遷移させる(ステップS110−1)。図10に示すように、インストラクション画面C−2には、「対象となる品番管理タグに近づけて開始ボタンを押して下さい。」とのインストラクションが示されている。
【0068】
図15に示すように、オペレータは、インストラクション画面C−2に示されているインストラクションに従い、例えば倉庫S1内で、棚卸の対象となる商品ATLの近くに赴く。そして、その商品ATLを他の商品ATLから仕切って区別している仕切板57に貼付されている商品管理タグ58の近傍にハンディターミナル101を近づけ、開始ボタン106b(図2参照)を押下する。CPU152は、開始ボタン106bの押下を判定すると(ステップS110−2のY)、RFIDリーダライタ108を起動する(ステップS110−3)。この際、CPU152は、RFIDリーダライタ108に対して、弱パワーでの近距離無線通信によるRFID読み取りの実行を指示する。これにより、RFIDリーダライタ108は、UHF帯を用いた近距離無線通信を弱パワーで実行し、ハンディターミナル101に対面している無線タグRTである商品管理タグ58が内蔵する管理用ICチップ58bとの間で通信を確立する。これにより、RFIDリーダライタ108は、その管理用ICチップ58bから管理用の識別コードを取得し、取得した識別コードを出力する。これにより、CPU152は、識別コードの取得を判定し(ステップS110−4のY)、図8に示す品名ファイル171から、RFIDリーダライタ108が出力した識別コードに対応付けられている品名(テキストデータ)を取得し、表示部103に表示する(ステップS110−5)。この際、管理用の識別コードは、前述したように、
管理用であることを示すコード+通常の識別コード
というコード体系を採用している。そこで、品名ファイル171を検索するに際しては、「管理用であることを示すコード」を除いて通常の識別コードのみを抽出し、この抽出した通常の識別コードを検索の基礎とする。こうして表示部103に表示される画面は、品名確認画面E(図10中の画面5)である。
【0069】
図10に示すように、品名確認画面Eは、RFIDリーダライタ108が出力した識別コードに対応する商品ATLの品名を「選択した商品は××××ですか。」と表示し、更に、「よろしければ確定ボタンを押して下さい。」というインストラクションも表示する。そこで、オペレータは、選択した商品が正しいことを確認したならば、確定ボタン106a(図2参照)を押下する。
【0070】
図13に示すフローチャートの説明に戻る。CPU152は、確定ボタン106aの押下を判定すると(ステップS110−6のY)、品名確認画面Eに確認表示した商品ATLを棚卸対象として確定する(ステップS110−7)。つまり、CPU152は、その商品ATLの識別コードをRAM154の仮記憶領域181に設定される棚卸対象領域181b(図9参照)に記憶する。こうして、図11のフローチャート中のステップS110のプレ読取処理(品番管理タグ)が終了する。
【0071】
図14は、図11のフローチャート中のステップS111のプレ読取処理(品番管理コード)の処理内容を詳細に示すフローチャートである。CPU152は、表示部103の表示をインストラクション画面C−3(図10中の画面3−3)に遷移させる(ステップS111−1)。図10に示すように、インストラクション画面C−3には、「対象となる品番管理コードに合せて開始ボタンを押して下さい。」とのインストラクションが示されている。
【0072】
図15に示すように、オペレータは、インストラクション画面C−3に例示されているインストラクションに従い、例えば倉庫S1内で、棚卸の対象となる商品ATLの近くに赴く。そして、その商品ATLを他の商品ATLから仕切って区別している仕切板57に貼付されている商品管理タグ58に印刷されている管理用バーコード58aにハンディターミナル101を対面させ、開始ボタン106b(図2参照)を押下する。CPU152は、開始ボタン106bの押下を判定すると(ステップS111−2のY)、データコードリーダ107を起動する(ステップS111−3)。すると、データコードリーダ107は、ハンディターミナル101に対面している商品管理タグ58に印刷された管理用バーコード58aを読み取り、読み取ったデータをデコードして識別コードを抽出し、抽出した識別コードを出力する。これにより、CPU152は、識別コードの取得を判定し(ステップS111−4のY)、図8に示す品名ファイル171から、データコードリーダ107が出力した識別コードに対応付けられている品名(テキストデータ)を取得し、表示部103に表示する(ステップS111−5)。この際、管理用の識別コードは、前述したように、
管理用であることを示すコード+通常の識別コード
というコード体系を採用している。そこで、品名ファイル171を検索するに際しては、「管理用であることを示すコード」を除いて通常の識別コードのみを抽出し、この抽出した通常の識別コードを検索の基礎とする。こうして表示部103に表示される画面は、品名確認画面E(図10中の画面5)である。
【0073】
図10に示すように、品名確認画面Eは、データコードリーダ107が出力した識別コードに対応する商品ATLの品名を「選択した商品は××××ですか。」と表示し、更に、「よろしければ確定ボタンを押して下さい。」というインストラクションも表示する。そこで、オペレータは、選択した商品が正しいことを確認したならば、確定ボタン106a(図2参照)を押下する。
【0074】
図14に示すフローチャートの説明に戻る。CPU152は、確定ボタン106aの押下を判定すると(ステップS111−6のY)、品名確認画面Eに確認表示した商品ATLを棚卸対象として確定する(ステップS111−7)。つまり、CPU152は、その商品ATLの識別コードをRAM154の仮記憶領域181に設定される棚卸対象領域181b(図9参照)に記憶する。こうして、図11のフローチャート中のステップS111のプレ読取処理(品番管理コード)が終了する。
【0075】
図11に示すフローチャートの説明に戻る。CPU152は、棚卸対象の確定(図12のステップS109−9、図13のステップS110−7、図14のステップS111−7)を判定すると(ステップS112のY)、サーバ201に向けて、棚卸対象である商品ATLの在庫数の問い合わせを行なう(ステップS113)。この処理は、サーバ201のIPアドレスを宛先に指定した棚卸対象である商品ATLの在庫問合せ用の伝文を作成し、この伝文を無線通信モジュール158に無線送信させることによってなされる。在庫問合せ用の伝文には、ステップS104又はステップS105で設定されたF=0又はF=1のフラグ値も含まれる。つまり、在庫問合せ用の伝文には、
・サーバ201のIPアドレス
・自機のIPアドレス
・仮記憶領域181のフラグ181aに記憶されているフラグ値
・仮記憶領域181の棚卸対象領域181bに記憶されている商品ATLの識別コード
が含まれている。
【0076】
図10に示すように、ハンディターミナル101は、棚卸対象である商品ATLの在庫数の問い合わせ中、データ取得待ち画面F(図10中の画面6)を表示部103に表示し、オペレータに安心感を与える。
【0077】
ハンディターミナル101が無線通信モジュール158によって無線送信した伝文は、無線中継器31に受信される。そして、無線中継器31から構内ネットワーク401を介して、伝文で指定されている宛先であるサーバ201に送信される。サーバ201は、在庫問合せ用の伝文を受信すると(図17のステップS202のY参照)、図5に示す在庫管理マスタエリア271を検索し、問合せがあった商品ATLの在庫数を取得する。そして、取得した在庫数を、問合せ元であるハンディターミナル101のIPアドレスを宛先に指定して返信する(図17のステップS205〜S207参照)。この処理については、図17に基づいて後に詳しく述べる。サーバ201からの返信は、構内ネットワーク401を介して無線中継器31に送信される。無線中継器31は、サーバ201からの返信を無線送信する。無線送信されたサーバ201からの返信は、問合せ元であるハンディターミナル101のIPアドレスを宛先として指定されているので、問合せ元であるハンディターミナル101の無線通信モジュール158に受信される。無線通信モジュール158は、サーバ201からの返信に含まれている商品ATLの在庫数を出力する。これにより、ハンディターミナル101のCPU152は、商品ATLの在庫数を取得する。
【0078】
図11に示すフローチャートの説明に戻る。CPU152は、問合せをした商品ATLの在庫数の取得を判定すると(ステップS114のY)、図9に示すRAM154の仮記憶領域181に設定される理論在庫数領域181cに、取得値をメモリ記憶する(ステップS115)。つまり、取得した商品ATLの在庫数の値を理論在庫数領域181cに記憶する。そして、仮記憶領域181に設定される理論在庫数領域181cの値を反映した在庫一覧を表示部103に表示する(ステップS116)。この画面は、在庫一覧初期画面G(図10中の画面7)である。
【0079】
図10に示すように、在庫一覧初期画面Gは、「理論在庫」、「実在庫」及び「差」の表示欄を有する一覧表を表示し、「開始ボタンを押して下さい。」というメッセージを表示している。「理論在庫」は、サーバ201から送信されて仮記憶領域181の理論在庫数領域181cに記憶されている商品ATLの在庫数の値である。図10に示す例では、「理論在庫」が「18」と表示されている。在庫一覧初期画面Gでは、「実在庫」及び「差」はブランク表示となっている。
【0080】
オペレータは、在庫一覧初期画面Gに表示されているメッセージに従い、開始ボタン106b(図2参照)を押下する。そして、ハンディターミナル101を持ったまま、棚卸対象があることであろう場所を徘徊する。
【0081】
図11に示すフローチャートの説明に戻る。CPU152は、開始ボタン106bの押下を判定すると(ステップS117のY)、棚卸本処理を実行する(ステップS118)。この棚卸本処理については、図16にその詳細を示す。
【0082】
図16は、図11のフローチャート中のステップS118の棚卸本処理の処理内容を詳細に示すフローチャートである。CPU152は、RAM154の仮記憶領域181に設定したカウンタ181dの値を「0」とする(ステップS181−1)。そして、RFIDリーダライタ108を起動する(ステップS181−2)。これにより、RFIDリーダライタ108は無線タグRTである商品タグ56及び商品管理タグ58が内蔵するICチップ56b及び管理用ICチップ58bと近距離無線通信を実行し、それらのICチップ56bが記憶する識別コード及び管理用ICチップ58bが記憶する管理用の識別コードを取得し出力する。CPU152は、RFIDリーダライタ108が出力した識別コードの取得を判定すると(ステップS118−3のY)、仮記憶領域181の棚卸対象領域181b(図9参照)に一時記憶している識別コードとの一致不一致を判定する(ステップS118−4)。取得した識別コードが一時記憶されている識別コードと一致する場合には(ステップS118−4のY)、ステップS118−1で「0」に設定したカウンタ181dの値を1つインクリメントしてステップS118−6に進む。これに対して、不一致の場合には(ステップS118−4のN)、そのままステップS118−6に進む。
【0083】
ここで、ステップS118−4の判定処理において、CPU152は、取得した識別コードと棚卸対象領域181b(図9参照)に一時記憶されている識別コードとの一致不一致を判定する。この場合、棚卸対象領域181bに記憶されているのは、仕切板57に付されている商品管理タグ58から取得した管理用の識別コードではなく、商品ATLに付されている商品タグ56から取得した通常の識別コードである。したがって、ステップS118−3で取得を判定した識別コードが管理用の識別コードであった場合、ステップS118−4では必ず不一致判定がなされる。したがって、仮記憶領域181のカウンタ181d(図9参照)の値がインクリメントされるのは、ステップS118−3で取得を判定した識別コードが商品ATLに付されている商品タグ56から取得した通常の識別コードである場合に限られる。
【0084】
CPU152は、続くステップS118−6の処理として、仮記憶領域181を参照し、カウンタ181dの値から棚卸対象領域181bの値を減算し、その差の値を求める。そして、求めた差の値を仮記憶領域181の差分値領域181eに記憶する。
【0085】
次いで、CPU152は、図10に示す在庫一覧初期画面Gを在庫一覧画面H(図10中の画面8)に更新する(ステップS118−7)。つまり、在庫一覧初期画面Gでは、前述したように、「理論在庫」にサーバ201から送信されて仮記憶領域181の理論在庫数領域181cに記憶されている商品ATLの在庫数の値を表示し、「実在庫」及び「差」をブランク表示としている。これに対して、在庫一覧画面Hでは、カウンタ181dの値を「実在庫」に反映させ、差分値領域181eの値を「差」に反映させる。
【0086】
そこで、図10に示すように、在庫一覧画面Hでは、「理論在庫」、「実在庫」及び「差」のいずれの欄にも数値が表示されている。このような在庫一覧画面Hは、「理論在庫」、「実在庫」及び「差」の表示欄を有する一覧表に加え、「終了したら送信ボタンを押して下さい。」というメッセージを表示している。そこで、オペレータは、ハンディターミナル101を持ったまま、棚卸対象があることであろう場所を徘徊し終わったならば、送信ボタン106c(図2参照)を押下する。
【0087】
図16に示すフローチャートの説明に戻る。CPU152は、ステップS118−8において送信ボタン106cの押下を判定するまで、ステップS118−3〜ステップS118−8の処理を繰り返す。これにより、オペレータがハンディターミナル101を持ったまま棚卸対象があることであろう場所を全て徘徊し終われば、棚卸対象である商品ATLの実際の在庫数が仮記憶領域181のカウンタ181d(図9参照)に記憶されていることになる。図10に示す一例では、「理論在庫」が「18」、「実在庫」が「17」で、「差」が「−1」となっている。
【0088】
ここで、RFIDリーダライタ108は、UHF帯の周波数で近距離無線通信を実行する。このため、ステップS118−3〜ステップS118−8の処理を繰り返す間には、同一の無線タグRTから識別コードを何度も読み取ってしまう可能性があり、この場合には、正確な実在庫数が得られない。そこで、CPU152は、RFIDリーダライタ108によって一度通信が確立して識別コードを読み取った無線タグRTについては、識別コードが読み取り済みであることを示す既読データを無線タグRTの記憶領域(図示せず)に記録するよう、RFIDリーダライタ108を駆動制御する。こうしておけば、記憶領域に既読データが記録されている無線タグRTについてはカウンタ181dのインクリメント(ステップS118−5)を実行しないようにすることで、正確な実在庫数の把握が可能となる。しかも、無線タグRTに既読データを記録する場合、現在の棚卸処理を特定可能な棚卸用識別コード、例えば日付コードや枝番付き日付コードを既読コードに付しておくことで、カウンタ181dのインクリメント(ステップS118−5)を実行すべきでない既読データの特定が可能となる。これにより、既読データが次回の棚卸処理に影響を与えることがなくなり、何度でも棚卸処理も正確に行うことが可能となる。
【0089】
CPU152は、送信ボタン106cの押下を判定すると(ステップS118−8のY)、棚卸結果送信伝文を作成し、サーバ201に送信して処理を修理する(ステップS118−9)。この処理は、サーバ201のIPアドレスを宛先に指定して棚卸結果送信伝文を作成し、この伝文を無線通信モジュール158に無線送信させることによってなされる。棚卸結果送信伝文には、ステップS104又はステップS105で設定されたF=0又はF=1のフラグ値も含まれる。つまり、棚卸結果送信伝文には、
・サーバ201のIPアドレス
・自機のIPアドレス
・仮記憶領域181のフラグ181aに記憶されているフラグ値
・仮記憶領域181の領域181cに記憶されている商品ATLの理論在庫数
・仮記憶領域181のカウンタ181dに記憶されている商品ATLの実在庫数
・仮記憶領域181の差分値領域181eに記憶されている差の値
が含まれている。
【0090】
ハンディターミナル101が無線通信モジュール158によって無線送信した伝文は、無線中継器31に受信される。そして、無線中継器31から構内ネットワーク401を介して、伝文で指定されている宛先であるサーバ201に送信される。
【0091】
図10に示すように、棚卸結果送信伝文の送信処理後(ステップS118−9)、ハンディターミナル101の表示部103の表示は、在庫一覧画面Hから棚卸処理終了画面I(図10中の画面9)に遷移する。棚卸処理終了画面Iには、「棚卸(倉庫)作業完了です。」というメッセージが表示され、更に、「メニュー」という表示がなされる。「メニュー」は、タッチパネル105によるタッチ指定が可能なオブジェクトである。そこで、タッチパネル105によって「メニュー」をタッチ指定すると、表示部103の画面表示はメニュー画面Aに復帰する。
【0092】
以上説明したように、本実施の形態のハンディターミナル101によれば、棚卸対象となる物品である商品ATLの識別コードを現場で取得してメモリであるRAM154(仮記憶領域181の棚卸対象領域181b)に記憶しておき、通信可能範囲にある複数個の無線タグRTから識別コードを一度に集めることができるというRFID技術の特性を生かした手法で容易に識別コードを収集することができる。そして、収集した識別コードの中から、RAM154(仮記憶領域181の棚卸対象領域181b)に記憶した識別コードと同一の識別コードの個数を実在庫数として求めるようにしたので、ある特定の商品ATLについて棚卸をする場合、棚卸対象となる商品ATLからの識別コードの取得作業を容易にし、その作業負担を飛躍的に軽減することができる。
【0093】
また、本実施の形態のハンディターミナル101によれば、個々の商品ATLの識別コードとその商品ATLの理論在庫数とを紐付けして記憶保存する図5に示す在庫管理マスタエリア271(在庫データベース)から、RAM154(仮記憶領域181の棚卸対象領域181b)に記憶した棚卸対象である識別コードに紐付けされている理論在庫数を取得することができる(図11のステップS113〜S115参照)。そして、取得した理論在庫数と求めた実在庫数と両者の差の値とを表示部103に表示するようにしたので(図10の在庫一覧画面H、図16のステップS118−7参照)、オペレータに理論在庫数と実在庫数との一致不一致をリアルタイムで示すことができる。しかも、そのような表示部103の表示は、棚卸作業の進行度合いをも示すことになるので、オペレータに作業の進展度合いを示して安心感を与えたり、作業終了の目安を理解させたりすることができる。
【0094】
更に、本実施の形態のハンディターミナル101によれば、求めた実在庫数を上位機であるサーバ201に向けて送信出力するようにしたので(図16のステップS118−9参照)、サーバ201での在庫管理処理に役立てることができる。以下、棚卸対象である商品ATLの実在庫数を受信した場合を含むサーバ201での処理内容を説明する。
【0095】
図17は、サーバ201でのイベント発生時の処理内容を示すフローチャートである。サーバ201のCPU252は、イベント発生の有無の判定に待機している(ステップS201)。そこで、CPU252は、イベントの発生を判定すると(ステップS201のY)、それが在庫問合せ(図11のステップS113参照)なのか(ステップS202)、棚卸結果送信伝文(図16のステップS118−9参照)の受信なのかを判定し(ステップS203)、いずれでもなければ他の処理を実行する(ステップS204)。
【0096】
サーバ201のCPU252は、発生したイベントが在庫問合せであったと判定した場合(ステップS202のY)、在庫問合せ用の伝文に含まれているフラグ値(図9のフラグ181aの値)を参照する(ステップS205)。F=0であれば(ステップS205のY)、倉庫S1内の棚卸が指定されているはずなので(図11のステップS103のY、ステップS104参照)、図5に示す在庫管理マスタエリア271を検索し、倉庫内在庫数を取得してハンディターミナル101に返信する(ステップS206)。この場合の倉庫内在庫数は、在庫問合せ用の伝文に含まれている商品ATLの識別コード(図9の棚卸対象領域181bに記憶されている識別コード)に対応する倉庫内在庫数である。その後、CPU252は処理を終了する。これに対して、F=0でなければ(ステップS205のN)、売場S2内の棚卸が指定されているはずなので(図11のステップS103のN、ステップS105参照)、図5に示す在庫管理マスタエリア271を検索し、売場内在庫数を取得してハンディターミナル101に返信する(ステップS207)。この場合の売場内在庫数は、在庫問合せ用の伝文に含まれている商品ATLの識別コード(図9の棚卸対象領域181bに記憶されている識別コード)に対応する売場内在庫数である。その後、CPU252は処理を終了する。
【0097】
以上のようにしてサーバ201が返信した倉庫内在庫数又は売場内在庫数は、前述したように、問合せ元であるハンディターミナル101のIPアドレスを宛先に指定するので、構内ネットワーク401を介して無線中継器31に送信され、無線中継器31から問合せ元であるハンディターミナル101に返信される。
【0098】
サーバ201のCPU252は、発生したイベントが棚卸結果送信伝文の受信であると判定した場合(ステップS203のY)、棚卸結果送信伝文に含まれているフラグ値(図9のフラグ181aの値)を参照する(ステップS208)。
【0099】
ステップS208の参照の結果、F=0であれば(ステップS208のY)、倉庫S1内の棚卸が指定されているはずである(図11のステップS103のY、ステップS104参照)。そこで、この場合、CPU252は、図6に示す在庫ログエリア281の倉庫内にログ記録を実行する。つまり、CPU252は、自らの時計回路(図示せず)によって計時可能な現在日時を在庫ログエリア281の「日時」にログ記録し、これに対応させて、「識別コード」、倉庫内在庫の「理論在庫数」、「実在庫数」及び「差」をログ記録する。
【0100】
在庫ログエリア281の「識別コード」には、棚卸結果送信伝文に含まれている商品ATLの識別コード(図9の棚卸対象領域181bに記憶されている識別コード)を反映させる。
【0101】
在庫ログエリア281の「理論在庫数」には、棚卸結果送信伝文に含まれている理論在庫数(仮記憶領域181の領域181cに記憶されている商品ATLの理論在庫数)の値を反映させる。
【0102】
在庫ログエリア281の「実在庫数」には、棚卸結果送信伝文に含まれている実在庫数(仮記憶領域181のカウンタ181dに記憶されている商品ATLの実在庫数)の値を反映させる。
【0103】
仮記憶領域181の「差」には、棚卸結果送信伝文に含まれている差の値(仮記憶領域181の差分値領域181eに記憶されている差の値)を反映させる。
【0104】
そして、CPU252は、棚卸結果送信伝文に含まれている差の値が「0」であるかどうかを判定する(ステップS210)。「0」であれば(ステップS210のY)、図5に示す在庫管理マスタエリア271に登録されている理論在庫数と棚卸作業の結果として得られた実在庫数とが一致していることになるので、そのまま処理を終了する。これに対して、「0」でなければ(ステップS210のN)、図5に示す在庫管理マスタエリア271に登録されている理論在庫数と棚卸作業の結果として得られた実在庫数とが一致していないので、これを一致させる必要がある。そこで、図5に示す在庫管理マスタエリア271の倉庫内在庫数を、棚卸結果送信伝文に含まれている実在庫数に更新し(ステップS211)、処理を終了する。この場合の倉庫内在庫数は、棚卸結果送信伝文に含まれている商品ATLの識別コード(図9の棚卸対象領域181bに記憶されている識別コード)に対応する倉庫内在庫数である。
【0105】
ステップS208の参照の結果、F=0でなければ(ステップS208のN)、売場S2内の棚卸が指定されているはずである(図11のステップS103のN、ステップS105参照)。そこで、この場合、CPU252は、図6に示す在庫ログエリア281の売場内にログ記録を実行する。つまり、CPU252は、自らの時計回路(図示せず)によって計時可能な現在日時を在庫ログエリア281の「日時」にログ記録し、これに対応させて、「識別コード」、売場内在庫の「理論在庫数」、「実在庫数」及び「差」をログ記録する。
【0106】
在庫ログエリア281の「識別コード」には、棚卸結果送信伝文に含まれている商品ATLの識別コード(図9の棚卸対象領域181bに記憶されている識別コード)を反映させる。
【0107】
在庫ログエリア281の「理論在庫数」には、棚卸結果送信伝文に含まれている理論在庫数(仮記憶領域181の領域181cに記憶されている商品ATLの理論在庫数)の値を反映させる。
【0108】
在庫ログエリア281の「実在庫数」には、棚卸結果送信伝文に含まれている実在庫数(仮記憶領域181のカウンタ181dに記憶されている商品ATLの実在庫数)の値を反映させる。
【0109】
仮記憶領域181の「差」には、棚卸結果送信伝文に含まれている差の値(仮記憶領域181の差分値領域181eに記憶されている差の値)を反映させる。
【0110】
そして、CPU252は、棚卸結果送信伝文に含まれている差の値が「0」であるかどうかを判定する(ステップS213)。「0」であれば(ステップS213のY)、図5に示す在庫管理マスタエリア271に登録されている理論在庫数と棚卸作業の結果として得られた実在庫数とが一致していることになるので、そのまま処理を終了する。これに対して、「0」でなければ(ステップS213のN)、図5に示す在庫管理マスタエリア271に登録されている理論在庫数と棚卸作業の結果として得られた実在庫数とが一致していないので、これを一致させる必要がある。そこで、図5に示す在庫管理マスタエリア271の倉庫内在庫数を、棚卸結果送信伝文に含まれている実在庫数に更新し(ステップS214)、処理を終了する。この場合の倉庫内在庫数は、棚卸結果送信伝文に含まれている商品ATLの識別コード(図9の棚卸対象領域181bに記憶されている識別コード)に対応する倉庫内在庫数である。
【0111】
以上説明したように、本実施の形態のサーバ201によれば、ハンディターミナル101からの棚卸結果送信伝文を受信した場合、必要に応じて図5に示す在庫管理マスタエリア271を更新し、図6に示す在庫ログエリア281にログを残すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の実施の一形態として、在庫管理システムが設置されている店舗(倉庫+売場)の模式図である。
【図2】ハンディターミナル(棚卸支援装置)の正面図である。
【図3】在庫管理システムのシステム概要を示すブロック図である。
【図4】サーバの電気的接続を示すブロック図である。
【図5】サーバのHDDに記憶保存されている在庫管理マスタエリア(在庫データベース)の記録データを示す模式図である。
【図6】サーバのHDDに記憶保存されている在庫ログエリアの記録データを示す模式図である。
【図7】ハンディターミナル(棚卸支援装置)の電気的接続を示すブロック図である。
【図8】ハンディターミナル(棚卸支援装置)のフラッシュROMに記憶保存されている品名ファイルの記録データを示す模式図である。
【図9】棚卸支援処理に際してハンディターミナル(棚卸支援装置)のRAMのワークエリアに設定される仮記憶領域を示す模式図である。
【図10】ハンディターミナル(棚卸支援装置)の画面遷移例を示す模式図である。
【図11】ハンディターミナル(棚卸支援装置)での棚卸支援処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】図11のフローチャート中のステップS109のプレ読取処理の処理内容を詳細に示すフローチャートである。
【図13】図11のフローチャート中のステップS110のプレ読取処理の処理内容を詳細に示すフローチャートである。
【図14】図11のフローチャート中のステップS111のプレ読取処理の処理内容を詳細に示すフローチャートである。
【図15】オペレータがハンディターミナル(棚卸支援装置)にプレ読取処理(図11のステップS109〜111)を実行させようとしている様子を示す模式図である。
【図16】図11のフローチャート中のステップS118の棚卸本処理の処理内容を詳細に示すフローチャートである。
【図17】サーバでのイベント発生時の処理内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0113】
56a…バーコード(コードシンボル)、103…表示部、104…入力部、107…データコードリーダ、108…RFIDリーダライタ(RFIDリーダ)、152…CPU(情報処理部)、154…RAM(メモリ)、201…サーバ(上位機)、271…在庫管理マスタエリア(在庫データベース)、ATL…商品(物品)、RT…無線タグ
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚卸作業を支援する棚卸支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品等の物品に関して、記帳上の在庫数と実際の在庫数との差異を把握するために、棚卸と呼ばれる作業が行なわれる。本来、記帳上の在庫数と実際の在庫数とは一致していなければならない。ところが、盗難、紛失、記帳ミス等の諸般の原因により、記帳上の在庫数と実際の在庫数との不一致が起こり得る。そこで、そのような不一致を認識し、記帳上の在庫数を実際の在庫数に調整する作業が必要となる。これが棚卸である。
【0003】
近年では、情報処理技術を利用した棚卸が一般化している。つまり、在庫数の記帳は、各種の情報記憶媒体(ハードディスク、光メディア、不揮発性メモリ等)に対する電子データの記録による管理という形態でなされる。管理される電子データは、棚卸対象物を特定する識別コード、その品名、在庫数等である。つまり、識別コードに品名と在庫数とを対応付けて記憶するデータベースを構築し、在庫数の適宜の更新をもってその管理を行なう。そして、実際の在庫数の取得は、一例として、棚卸対象物にこれを特定する識別コードをシンボル化したコードシンボル(バーコード、2次元コード等)を付しておき、このコードシンボルをデータコードスキャナで読み取ることで識別コードを取得する、というような手法が広く普及している。
【0004】
特許文献1には、棚卸対象物に付したコードシンボルをデータコードスキャナで読み取って識別コードを取得し、取得した識別コードに基づいて棚卸処理を実行するようにした発明が記載されている(段落0064〜0070参照)。
【0005】
これに対して、近年、実際の在庫数の取得手法として注目を集めているのは、RFID(Radio Frequency IDentification)と呼ばれている近距離無線通信の技術である。この技術は、周知のように、ID情報(識別コード)を埋め込んだ無線タグとの間で、電磁界や電波などを用いた近距離(周波数帯によって数cm〜数m)の無線通信によって情報をやりとりする技術である。パッシブ型の無線タグの場合、内蔵バッテリを必要としないという優れた特長を有することから、個々の棚卸対象物に付した場合、バッテリ交換やバッテリ充電等の煩わしいメンテナンス作業が不要となる。そこで、個々の棚卸対象物にパッシブ型の無線タグを付しておけば、後はその無線タグに記録されている識別コードをRFIDリーダによって読み取るだけで、実際の在庫数を容易に取得することができる。
【0006】
特許文献2には、棚卸しという目的ではないものの、商品に無線タグを付しておき、商品の在庫管理にRFID技術を利用するようにした発明が記載されている(段落0013〜0023参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2007−249276公報
【特許文献2】特開2004−210427公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
RFID技術は、通信可能範囲にある複数個の無線タグから識別コードを一度に集めることができるという技術的な特性を有している。厳密には、複数個の無線タグと順番に近距離無線通信を確立し、それらの無線タグから識別コードをシリアルに取得するわけであるが、その所要時間の短さから、人間の感覚上、同時に複数の識別コードが収集されているような錯覚を生じさせる。これが、読み取り動作と読み取られる識別コードとが1対1の対応となるコードシンボルの読取技術に対するRFID技術の優位性である。とりわけ、我国において実用化が進んでいるUHF帯を用いた近距離無線通信では通信可能距離が数mと長く、同時に取得できる識別コードの個数が多い。
【0009】
このようなRFID技術の優位性を考慮すると、RFID技術を利用した棚卸は、全ての棚卸対象物に付されたICカードから識別コードを取得し、これをサーバ等に送信して在庫管理用のデータベースの登録データと比較対照して棚卸を実行する、というような棚卸手法(特許文献1の段落0067〜0070参照)への適性が高いことが良く分かる。
【0010】
ところが、商品等の物品を棚卸するに際しては、全ての物品について棚卸をするのではなく、ある特定の物品について棚卸をしたいというようなことがある。このような場合、オペレータは物品をしまっておく倉庫等に出向き、その場で棚卸作業をする必要がある。このような場合、コードシンボルの読取技術を利用する場合であれば、棚卸をしたい物品についてのみコードシンボルを次々に読み取り、識別コードを取得していけばよい。また、RFID技術を用いる場合であっても、通信距離が短い周波数帯のRFID技術を利用すれば、個々の物品に付された無線タグから識別コードを次々に取得することができる。この場合、RFIDリーダのアンテナを無線タグにかざすだけで良いため、データコードの読み取り作業に比べれば作業負担が少ない。
【0011】
しかしながら、データコードを読み取る場合でも、RFID技術を用いる場合でも、物品一つ一つから識別コードを取得するのは大変な作業であり、全体的には作業負担が極めて大きいという問題がある。
【0012】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、ある特定の物品について棚卸をする場合、棚卸対象となる物品からの識別コードの取得作業の容易化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の棚卸支援装置は、情報表示機能を有する表示部と、情報入力機能を有する入力部と、物品を識別する識別コードを記憶する無線タグとの間で近距離無線通信を実行するRFIDリーダと、を備え、情報処理を実行する情報処理部が、(1)前記RFIDリーダによる近距離無線通信によって無線タグから読み取った一又は二以上の識別コードに対応付けられている品名を前記表示部に一覧表示し、前記入力部による品名指定によって一の識別コードの選択指定を許容し、選択指定された一の識別コードを棚卸対象としてメモリに記憶する処理と、(2)前記RFIDリーダによる近距離無線通信によって無線タグから読み取った識別コードのうち、前記メモリに記憶した棚卸対象である識別コードと同一の識別コードの個数を実在庫数として求める処理と、を実行する。
【0014】
別の面から見た本発明の棚卸支援装置は、情報表示機能を有する表示部と、情報入力機能を有する入力部と、物品を識別する識別コードを記憶する無線タグとの間で近距離無線通信を実行するRFIDリーダと、を備え、情報処理を実行する情報処理部が、(1)前記RFIDリーダによる近距離無線通信によって無線タグから読み取った識別コードを棚卸対象としてメモリに記憶する処理と、(2)前記RFIDリーダによる近距離無線通信によって無線タグから読み取った識別コードのうち、前記メモリに記憶した棚卸対象である識別コードと同一の識別コードの個数を実在庫数として求める処理と、を実行する。
【0015】
更に別の面から見た本発明の棚卸支援装置は、情報表示機能を有する表示部と、情報入力機能を有する入力部と、物品を識別する識別コードを記憶する無線タグとの間で近距離無線通信を実行するRFIDリーダと、物品を識別する識別コードをシンボル化したコードシンボルを光学的に読み取って識別コードをデコードするデータコードリーダと、を備え、情報処理を実行する情報処理部が、(1)前記データコードリーダによってコードシンボルから読み取りデコードした識別コードを棚卸対象としてメモリに記憶する処理と、(2)前記RFIDリーダによる近距離無線通信によって無線タグから読み取った識別コードのうち、前記メモリに記憶した棚卸対象である識別コードと同一の識別コードの個数を実在庫数として求める処理と、を実行する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、棚卸対象となる物品の識別コードを現場で取得してメモリに記憶しておき、通信可能範囲にある複数個の無線タグから識別コードを一度に集めることができるというRFID技術の特性を生かした手法で容易に収集した識別コードの中から、メモリに記憶した識別コードと同一の識別コードの個数を実在庫数として求めるようにしたので、ある特定の物品について棚卸をする場合、棚卸対象となる物品からの識別コードの取得作業を容易にし、その作業負担を飛躍的に軽減することができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、在庫管理システム11が設置されている店舗S(倉庫S1+売場S2)の模式図である。店舗Sには、売場S2に倉庫S1が併設されている。物品としての商品ATLは、最初に倉庫S1に搬入され、倉庫S1に保管される。そして、必要に応じて、倉庫S1から売場S2に移される。倉庫S1から売場S2への商品の移動は、出入口GTを介して行なわれる。
【0019】
倉庫S1は、エントランス51から商品ATLを搬入できるようになっている。倉庫S1には、商品ATLである衣類をハンガー52で吊るして掛けるための複数個のハンガーラック53が設けられ、衣類を収納するための複数個の収納棚54が設けられている。また、倉庫S1の内部には、机55にサーバ201が設置されている。サーバ201は、その外観態様上、本体タワー202、液晶ディスプレイ203、キーボード204及びマウス等のポインティングデバイス205から構成されている。倉庫S1の内部には、更に、出入口GTの近傍の天井面に位置させて、無線中継器31が設置されている。この無線中継器31は、棚卸作業等に際して用いられる棚卸支援装置としてのハンディターミナル101(図2参照)と無線通信が自在であり、ハンディターミナル101とサーバ201との間のデータ通信を中継する。
【0020】
売場S2には、出入口GTの近傍に、チェックアウトカウンタ71が設置されている。チェックアウトカウンタ71には、POS端末301が載置されている。売場S2の詳細については省略する。
【0021】
ここで、個々の商品ATLには、商品タグ56が付されている。商品タグ56は、一例として、商品ATLである衣類の袖口に付けられたボタンに糸で結ばれている(図1中の丸内参照)。このような商品タグ56にはバーコード56aが印刷され、ICチップ56bが埋設されている。バーコード56aは、商品タグ56を付する商品ATLを特定するための識別コードをコードシンボル化している。ICチップ56bにもバーコード56aがシンボライズしている識別コードと同一の識別コードがデータ記録されている。
【0022】
また、ハンガーラック53には、ハンガー52に類似する形態の仕切板57が吊り下げられている。仕切板57は、商品ATLである衣類をその種類毎に区切る等の役割を果たしている。仕切板57には商品管理タグ58が貼付されている(図1中の丸内参照)。このような商品管理タグ58には管理用バーコード58aが印刷されており、管理用ICチップ58bが埋設されている。商品管理タグ58は、個々の商品ATLに付されてその商品を特定する商品タグ56とは異なり、個々の商品ATLを特定する役割は果たさない。商品管理タグ58が特定するのは、仕切板57によって仕切られた1又は2以上の同一の商品ATLの識別コードである。したがって、管理用バーコード58aがシンボライズし、管理用ICチップ58bが記憶するのは、仕切板57によって仕切られる1又は2以上の同一の商品ATLを特定する管理用の識別コードである。このような管理用の識別コードは、
管理用であることを示すコード+通常の識別コード
というコード体系を有している。
【0023】
以上説明した商品タグ56及び商品管理タグ58は、識別コードを記憶するICチップ56b及び管理用ICチップ58bを埋設しているので、それぞれ無線タグRTを構成する。
【0024】
図2は、ハンディターミナル101の正面図である。ハンディターミナル101は、携帯可能な薄型矩形形状のハウジング102の正面に表示部103と入力部104とを備える。表示部103は、一例として液晶表示パネルによって形成されている。入力部104は、表示部103に積層配置されたタッチパネル105と、ハウジング102の正面において表示部103の下方に配置されている各種のキーボタン106とによって形成されている。
【0025】
入力部104を形成するキーボタン106としては、確定ボタン106a、開始ボタン106b、送信ボタン106c、テンキー106d、ファンクションキー106e、及びコマンドキー106fが設けられている。
【0026】
ハンディターミナル101は、バーコード56a及び管理用バーコード58aの読み取り機能を果たすデータコードリーダ107と、ICチップ56b及び管理用ICチップ58bとの間での近距離無線通信を実行するRFIDリーダとしてのRFIDリーダライタ108とを内蔵している(図7参照)。
【0027】
図3は、在庫管理システム11のシステム概要を示すブロック図である。在庫管理システム11は、サーバ201と無線中継器31とPOS端末301とが構内ネットワーク401を介してデータ通信自在に接続されて構築されている。ハンディターミナル101は、無線中継器31を介して、構内ネットワーク401に接続されている機器であるサーバ201及びPOS端末301とデータ送受信可能である。
【0028】
図4は、サーバ201の電気的接続を示すブロック図である。サーバ201には、マイクロコンピュータ251が備えられており、このマイクロコンピュータ251が各部を駆動制御する。マイクロコンピュータ251は、各部を集中的に制御するCPU252に、バスラインBLを介してBIOS等の固定的情報を予め記憶するROM253と、各種情報を書き換え自在に記憶してワークエリア等として機能するRAM254と、V−RAM255とが接続されて構成されている。したがって、マイクロコンピュータ251は、情報処理を実行する情報処理部を構成する。図4では、CPU252、ROM253、RAM254及びV−RAM255のそれぞれを単一構成物として表示しているが、これらのCPU252、ROM253、RAM254及びV−RAM255は、複数の固体に分割されて構成されていてもよい。
【0029】
マイクロコンピュータ251には、バスラインBLを介してI/OインターフェースIFが接続されている。そして、I/OインターフェースIFには、入力コントローラ256、ビデオコントローラ257、HDD258、及びシリアルポート259が接続されている。
【0030】
I/OインターフェースIFに接続されている入力コントローラ256には、キーボード204及びポインティングデバイス205が接続されている。入力コントローラ256は、キーボード204及びポインティングデバイス205からの入力信号をマイクロコンピュータ251に取り込む。
【0031】
I/OインターフェースIFに接続されているビデオコントローラ257には、液晶ディスプレイ203が接続されている。ビデオコントローラ257は、画像データに基づいて液晶ディスプレイ203を駆動制御し、画像データに応じた画像を表示させる。
【0032】
I/OインターフェースIFに接続されているHDD258には、プログラムエリアPAが設けられている。プログラムエリアPAには、OS及びコンピュータプログラム等がインストールされている。HDD258のプログラムエリアPAにインストールされているコンピュータプログラムには、棚卸支援用のコンピュータプログラムが含まれている。
【0033】
サーバ201がHDD258のプログラムエリアPAにインストールしているOS及びコンピュータプログラム等は、サーバ201の起動時にその全部又は一部がRAM254にコピーされてCPU252にアクセスされる。CPU252は、RAM254をワークエリアとして使用しつつ、コピーされたOS及びコンピュータプログラムに従った処理を実行する。したがって、RAM254及びHDD258は、記憶部としての機能を提供することになる。
【0034】
I/OインターフェースIFに接続されているシリアルポート259には、ネットワークカード260が接続されている。ネットワークカード260は、サーバ201のマイクロコンピュータ251を構内ネットワーク401に接続させ、無線中継器31及びPOS端末301との間の相互のデータ通信を可能とする。この意味で、ネットワークカード260は、外部機器との間でデータ送受信を可能とするデータ送受信部としての機能をサーバ201に提供する。
【0035】
図5は、サーバ201のHDD258に記憶保存されている在庫管理マスタエリア271(在庫データベース)の記録データを示す模式図である。在庫管理マスタエリア271は、識別コードに対応付けて、倉庫内在庫数及び売場内陳列数を記憶している。倉庫内在庫数は、倉庫S1に収納されている対応する商品ATLの在庫数である。売場内陳列数は、売場S2に陳列等されている対応する商品ATLの在庫数である。このような在庫管理マスタエリア271における倉庫内在庫数及び売場内在庫数のデータは、一例として、ハンディターミナル101での入力操作により、あるいはサーバ201での入力操作により、自由に入力することが可能である。そして、POS端末301は、決済処理を実行すると、構内ネットワーク401を介して、決済処理した商品ATLの識別コードを決済報告としてサーバ201に送信する。これにより、サーバ201は、POS端末301から決済報告が上がってきた識別コードの商品ATLについて、在庫管理マスタエリア271の売場内在庫数を1つデクリメントする処理を実行する。こうして、在庫管理マスタエリア271のレコードが管理される。
【0036】
図6は、サーバ201のHDD258に記憶保存されている在庫ログエリア281の記録データを示す模式図である。在庫ログエリア281は、日付毎に、商品ATLの識別コードを記録し、倉庫内在庫数と売場内在庫数とのそれぞれについての理論在庫数、実在庫数及び差の値(実在庫数−理論在庫数)を記録している。「理論在庫数」というのは、基本的には、ハンディターミナル101やサーバ201での入力操作によって在庫管理マスタエリア271に入力された在庫数である。本実施の形態では、棚卸作業によって、倉庫S1又は売場S2内における商品ATLの実際の在庫数が取得され、これが「実在庫数」となる。そして、在庫ログエリア281において、理論在庫数の値を実在庫数の値に置き換えたログを記録すると共に、在庫管理マスタエリア271において、在庫数(倉庫内在庫数又は売場内在庫数)の値を実在庫数の値に置き換える。このような棚卸処理については、図10ないし図17を参照して後に詳細に説明する。
【0037】
図7は、ハンディターミナル101の電気的接続を示すブロック図である。ハンディターミナル101には、マイクロコンピュータ151が備えられており、このマイクロコンピュータ151が各部を駆動制御する。マイクロコンピュータ151は、各部を集中的に制御するCPU152に、バスラインBLを介してBIOSやコンピュータプログラム等の固定的情報を予め記憶するフラッシュROM153と、各種情報を書き換え自在に記憶してワークエリア等として機能するRAM154と、V−RAM155とが接続されて構成されている。したがって、マイクロコンピュータ151は、情報処理を実行する情報処理部を構成する。図7では、CPU152、フラッシュROM153、RAM154及びV−RAM155のそれぞれを単一構成物として表示しているが、これらのCPU152、フラッシュROM153、RAM154及びV−RAM155は、複数の固体に分割されて構成されていてもよい。
【0038】
マイクロコンピュータ151は、棚卸支援用のコンピュータプログラムを含む各種のコンピュータプログラムをフラッシュROM153に予めファームウェアとして記録している。そこで、マイクロコンピュータ151は、RAM154をメモリのワークエリアとして使用しながら、フラッシュROM153に予め記録されている各種のコンピュータプログラムに従った処理を実行する。
【0039】
マイクロコンピュータ151には、バスラインBLを介してI/OインターフェースIFが接続されている。そして、I/OインターフェースIFには、入力コントローラ156、ビデオコントローラ157、データコードリーダ107、RFIDリーダライタ108、及び無線通信モジュール158が接続されている。
【0040】
入力コントローラ156には、入力部104としてのタッチパネル105及びキーボタン106が接続されている。入力コントローラ156は、タッチパネル105及びキーボタン106からの入力信号をマイクロコンピュータ151に取り込む。
【0041】
ビデオコントローラ157には、表示部103が接続されている。ビデオコントローラ157は、画像データに基づいて表示部103を駆動制御し、画像データに応じた画像を表示部103に表示させる。
【0042】
データコードリーダ107は、商品タグ56及び商品管理タグ58に付されているバーコード56a及び管理用バーコード58aがシンボライズしている識別コードを光学的に読み取る。つまり、データコードリーダ107は、バーコード56a及び管理用バーコード58aに光照射してその反射光を受光素子、例えば2次元CCDアレイ等で受光し、受光素子の出力を2値化してデコードし、バーコード56a及び管理用バーコード58aがシンボライズしているコードシンボルから識別コードを抽出する。データコードリーダ107は、抽出した識別コードを出力する。マイクロコンピュータ151は、データコードリーダ107が出力した識別コードを認識する。
【0043】
RFIDリーダライタ108は、商品ATLに付されている無線タグRTとしての商品タグ56及び商品管理タグ58との間で近距離無線通信を実行し、それらの商品タグ56及び商品管理タグ58が記憶する識別コードを得る。この場合、RFIDリーダライタ108は、例えばUHF帯の近距離無線通信を無線タグRTである商品タグ56及び商品管理タグ58との間で実行する。RFIDリーダライタ108は、取得した識別コードを出力する。マイクロコンピュータ151は、RFIDリーダライタ108が出力した識別コードを認識する。
【0044】
図8は、ハンディターミナル101のフラッシュROM153に記憶保存されている品名ファイル171の記録データを示す模式図である。品名ファイル171は、識別コードに品名(テキストデータ)を対応付けて記憶保存している。したがって、マイクロコンピュータ151は、データコードリーダ107又はRFIDリーダライタ108が出力した識別コードを検索子として品名ファイル171を検索することで、対応する品名のテキストデータを取得することができる。そして、取得した品名のテキストデータに基づく品名表示を表示部103に表示することができる。
【0045】
図9は、棚卸支援処理に際してハンディターミナル101のRAM154のワークエリアに設定される仮記憶領域181を示す模式図である。ハンディターミナル101は、フラッシュROM153にファームウェアとして記録されている棚卸支援用のコンピュータプログラムに従ったCPU152による棚卸支援処理に際して、RAM154のワークエリア中の図9に示す仮記憶領域181にデータを一時記憶する。これらの仮記憶領域181として、棚卸支援用のコンピュータプログラムは、CPU152に、フラグ181a、棚卸対象領域181b、理論在庫数領域181c、カウンタ181d、及び差分値領域181eを、RAM154のワークエリアに設定させる。
【0046】
フラグ181aは、棚卸の対象が倉庫S1であるか売場S2であるかを区別するために用いられる。その詳細については、図11のフローチャートを参照のこと(例えば、ステップS104、S105等)。
【0047】
棚卸対象領域181bは、棚卸対象となる商品ATLの識別コードを記憶する領域である。その詳細については、図11〜図14のフローチャートを参照のこと(例えば、図11のステップS109、S110、S111等)。
【0048】
理論在庫数領域181cは、棚卸対象となる商品ATLについて、サーバ201が管理する在庫管理マスタエリア271に登録されている在庫数(理論在庫数)を一時記憶する領域である。その詳細については、図11のフローチャートを参照のこと(例えば、ステップS113〜S115等)。
【0049】
カウンタ181dは、棚卸対象領域181bに記憶した識別コードによって特定される商品ATLについて、RFIDリーダライタ108によって取得される識別コードからその商品ATLの実在庫数を求めるために利用されるカウンタ領域である。その詳細については、図11及び図16のフローチャートを参照のこと(例えば、図11のステップS118、図16のステップS118−1〜S118−8等)。
【0050】
差分値領域181eは、理論在庫数領域181cに記憶した理論在庫数とカウンタ181dの値である実在庫数との差の値を記憶する領域である。その詳細については、図11及び図16のフローチャートを参照のこと(例えば、図11のステップS118、図16のステップS118−6等)。
【0051】
図10は、ハンディターミナル101の画面遷移例を示す模式図である。ハンディターミナル101は、初期画面として、「在庫数入力」、「棚卸(倉庫)」及び「棚卸(売場)」というメニューを表示部103に表示している(図10中の画面1参照)。これをメニュー画面Aと呼ぶ。メニュー画面A中のメニューは、タッチパネル105によってタッチ指定可能なオブジェクトである。以下、ハンディターミナル101において、表示部103に表示されているメニュー選択によって開始される処理内容を図11〜図14、図16及び図17に基づいて説明する。
【0052】
図11〜図14及び図16のフローチャートに示す処理は、ハンディターミナル101のマイクロコンピュータ151がフラッシュROM153にファームウェア構成で記録しているコンピュータプログラムに従い実行する処理である。図17のフローチャートに示す処理は、サーバ201のマイクロコンピュータ251がHDD258のプログラムエリアPAにインストールしているコンピュータプログラムに従い実行する処理である。処理内容については図11〜図14及び図16のフローチャート及び図17のフローチャートを参照し、これに伴うハンディターミナル101の表示部103の画面遷移については図10を参照し、それぞれについて説明する。
【0053】
図11は、ハンディターミナル101での棚卸支援処理の流れを示すフローチャートである。ハンディターミナル101のCPU152は、「在庫数入力」、「棚卸(倉庫)」及び「棚卸(売場)」というメニューのいずれかがタッチパネル105でのタッチ指定によって選択されたこと、つまりメニュー選択の有無の判定に待機している(ステップS101)。この待機中、メニュー選択を判定すると(ステップS101のY)、それが「在庫数入力」であるかとどうかを判定する(ステップS102)。「在庫数入力」というメニューが選択されると(ステップS102のY)、在庫数入力処理が実行される(ステップS201)。この処理については説明を省略する。
【0054】
これに対して、CPU152は、在庫数入力の選択を判定しない場合(ステップS102のN)、「棚卸(倉庫)」と「棚卸(売場)」とのいずれのメニューが選択されたかを判定する(ステップS103)。そして、CPU152は、「棚卸(倉庫)」の選択を判定した場合には(ステップS103のY)、RAM154の仮記憶領域181に設定されるフラグ181a(図9参照)にF=0を設定する。これに対して、CPU152は、「棚卸(売場)」の選択を判定した場合には(ステップS103のN)、フラグ181a(図9参照)にF=1を設定する。そして、表示部103の画面を画面遷移させる。
【0055】
図10中、メニュー画面A(画面1)から「棚卸(倉庫)」又は「棚卸(売場)」が選択された場合に遷移する画面をプレ読取方法指定画面B(画面2)として例示する。プレ読取方法指定画面Bは、プレ読取方法として、「候補一覧」、「品番管理タグ」及び「品番管理コード」をメニュー表示している。プレ読取方法指定画面Bによって選択指定可能な「プレ読取方法」というのは、棚卸対象となる商品ATLの識別コードを取得するための方法を意味している。
【0056】
「候補一覧」というプレ読取方法は、RFIDリーダライタ108での読み取りによって取得した一又は二以上の識別コードによって特定される品名リスト(候補)から一の商品ATLを棚卸対象として選択する方法を意味する。
【0057】
「品番管理タグ」というプレ読取方法は、RFIDリーダライタ108での商品管理タグ58が内蔵する管理用ICチップ58bの読み取りによって取得した一の識別コードによって特定される商品ATLを棚卸対象として選択する方法を意味する。
【0058】
「品番管理コード」というプレ読取方法は、データコードリーダ107での商品管理タグ58の印刷されている管理用バーコード58aの読み取りによって取得した一の識別コードによって特定される商品ATLを棚卸対象として選択する方法を意味する。
【0059】
これらのプレ読取方法のメニュー表示は、タッチパネル105によってタッチ指定可能なオブジェクトである。そこで、「候補一覧」、「品番管理タグ」及び「品番管理コード」のいずれかをタッチパネル105によってタッチ指定することで、プレ読取方法の選択がなされる。
【0060】
図11に示すフローチャートの説明に戻る。ハンディターミナル101のCPU152は、プレ読取方法の選択を判定すると(ステップS106のY)、選択された方法が候補一覧かどうか(ステップS107)、品番管理タグかどうか(ステップS108)の判定を実行する。これにより、どのプレ読取方法が選択されたのかを判定することができる。つまり、CPU152は、ステップS107で候補一覧の選択を判定すると(ステップS107のY)、ステップS109のプレ読取処理(候補一覧)に進む。ステップS108で品番管理タグの選択を判定すると(ステップS108のY)、ステップS110のプレ読取処理(品番管理タグ)に進む。そして、ステップS108で品番管理タグの選択を判定しない場合には(ステップS108のN)、ステップS111のプレ読取処理(品番管理コード)に進む。
【0061】
ステップS109のプレ読取処理(候補一覧)については図12にその詳細を示し、ステップS110のプレ読取処理(品番管理タグ)については図13にその詳細を示し、ステップS111のプレ読取処理(品番管理コード)については図14にその詳細を示す。また、プレ読取処理に際してオペレータが実行すべき作業については、図15にその様子を示す。
【0062】
図12は、図11のフローチャート中のステップS109のプレ読取処理(候補一覧)の処理内容を詳細に示すフローチャートである。CPU152は、表示部103の表示をインストラクション画面C−1(図10中の画面3−1)に遷移させる(ステップS109−1)。図10に示すように、インストラクション画面C−1には、「対象となる商品の近くで開始ボタンを押して下さい。」とのインストラクションが示されている。
【0063】
図15は、オペレータがハンディターミナル101にプレ読取処理(図11のステップS109〜111)を実行させようとしている様子を示す模式図である。図15に示すように、オペレータは、インストラクション画面C−1に示されているインストラクションに従い、例えば倉庫S1内で、棚卸の対象となる商品ATLの近くに赴き、開始ボタン106b(図2参照)を押下する。CPU152は、開始ボタン106bの押下を判定すると(ステップS109−2のY)、RFIDリーダライタ108を起動する(ステップS109−3)。これにより、RFIDリーダライタ108は、UHF帯を用いた近距離無線通信を実行し、周辺に位置する無線タグRTである商品タグ56が内蔵するICチップ56b又は商品管理タグ58が内蔵する管理用ICチップ58bとの間で通信を確立する。これにより、RFIDリーダライタ108は、それらのICチップ56b又は管理用ICチップ58bから識別コードを取得し、取得した識別コードを出力する。これにより、CPU152は、識別コードの取得を判定し(ステップS109−4のY)、図8に示す品名ファイル171から、RFIDリーダライタ108が出力した識別コードに対応付けられている品名(テキストデータ)を取得し、候補一覧として表示部103に一覧表示する(ステップS109−5)。この際、管理用ICチップ58bが記憶する管理用の識別コードは、前述したように、
管理用であることを示すコード+通常の識別コード
というコード体系を採用している。そこで、品名ファイル171を検索するに際しては、「管理用であることを示すコード」を除いて通常の識別コードのみを抽出し、この抽出した通常の識別コードを検索の基礎とする。こうして表示部103に表示される画面は、候補一覧画面D(図10中の画面4)である。
【0064】
図10に示すように、候補一覧画面D(画面4)は、RFIDリーダライタ108が出力した識別コードに対応する商品ATLの品名を一覧表示し、タッチパネル105でのタッチ指定によってそのうちの一つの品名を選択指定可能にする。候補一覧画面Dには、「商品を選んで確定ボタンを押して下さい。」というインストラクションも表示されている。そこで、オペレータは、候補一覧画面D中、棚卸をしたい商品ATLをタッチパネル105でのタッチ指定によって選択指定する。これに応じて、候補一覧画面Dでは、選択指定された商品ATLの品名部分が強調表示される。そして、オペレータは、その強調表示された商品ATLの品名を確認し、確定ボタン106a(図2参照)を押下する。
【0065】
図12に示すフローチャートの説明に戻る。CPU152は、確定ボタン106aの押下を判定すると(ステップS109−6のY)、それに先立つべき商品ATLの品名選択を条件として(ステップS109−7のY)、候補一覧画面Dで選択された商品ATLを棚卸対象として確定する(ステップS109−9)。つまり、CPU152は、選択された商品ATLの識別コードをRAM154の仮記憶領域181に設定される棚卸対象領域181b(図9参照)に記憶する。
【0066】
なお、CPU152は、確定ボタン106aの押下に先立つべき商品ATLの品名選択がなかった場合には(ステップS109−7のN)、表示部103に商品ATLの品名を選択すべき旨のメッセージを表示する(ステップS109−8)。こうして、図11のフローチャート中のステップS109のプレ読取処理(候補一覧)が終了する。
【0067】
図13は、図11のフローチャート中のステップS110のプレ読取処理(品番管理タグ)の処理内容を詳細に示すフローチャートである。CPU152は、表示部103の表示をインストラクション画面C−2(図10中の画面3−2)に遷移させる(ステップS110−1)。図10に示すように、インストラクション画面C−2には、「対象となる品番管理タグに近づけて開始ボタンを押して下さい。」とのインストラクションが示されている。
【0068】
図15に示すように、オペレータは、インストラクション画面C−2に示されているインストラクションに従い、例えば倉庫S1内で、棚卸の対象となる商品ATLの近くに赴く。そして、その商品ATLを他の商品ATLから仕切って区別している仕切板57に貼付されている商品管理タグ58の近傍にハンディターミナル101を近づけ、開始ボタン106b(図2参照)を押下する。CPU152は、開始ボタン106bの押下を判定すると(ステップS110−2のY)、RFIDリーダライタ108を起動する(ステップS110−3)。この際、CPU152は、RFIDリーダライタ108に対して、弱パワーでの近距離無線通信によるRFID読み取りの実行を指示する。これにより、RFIDリーダライタ108は、UHF帯を用いた近距離無線通信を弱パワーで実行し、ハンディターミナル101に対面している無線タグRTである商品管理タグ58が内蔵する管理用ICチップ58bとの間で通信を確立する。これにより、RFIDリーダライタ108は、その管理用ICチップ58bから管理用の識別コードを取得し、取得した識別コードを出力する。これにより、CPU152は、識別コードの取得を判定し(ステップS110−4のY)、図8に示す品名ファイル171から、RFIDリーダライタ108が出力した識別コードに対応付けられている品名(テキストデータ)を取得し、表示部103に表示する(ステップS110−5)。この際、管理用の識別コードは、前述したように、
管理用であることを示すコード+通常の識別コード
というコード体系を採用している。そこで、品名ファイル171を検索するに際しては、「管理用であることを示すコード」を除いて通常の識別コードのみを抽出し、この抽出した通常の識別コードを検索の基礎とする。こうして表示部103に表示される画面は、品名確認画面E(図10中の画面5)である。
【0069】
図10に示すように、品名確認画面Eは、RFIDリーダライタ108が出力した識別コードに対応する商品ATLの品名を「選択した商品は××××ですか。」と表示し、更に、「よろしければ確定ボタンを押して下さい。」というインストラクションも表示する。そこで、オペレータは、選択した商品が正しいことを確認したならば、確定ボタン106a(図2参照)を押下する。
【0070】
図13に示すフローチャートの説明に戻る。CPU152は、確定ボタン106aの押下を判定すると(ステップS110−6のY)、品名確認画面Eに確認表示した商品ATLを棚卸対象として確定する(ステップS110−7)。つまり、CPU152は、その商品ATLの識別コードをRAM154の仮記憶領域181に設定される棚卸対象領域181b(図9参照)に記憶する。こうして、図11のフローチャート中のステップS110のプレ読取処理(品番管理タグ)が終了する。
【0071】
図14は、図11のフローチャート中のステップS111のプレ読取処理(品番管理コード)の処理内容を詳細に示すフローチャートである。CPU152は、表示部103の表示をインストラクション画面C−3(図10中の画面3−3)に遷移させる(ステップS111−1)。図10に示すように、インストラクション画面C−3には、「対象となる品番管理コードに合せて開始ボタンを押して下さい。」とのインストラクションが示されている。
【0072】
図15に示すように、オペレータは、インストラクション画面C−3に例示されているインストラクションに従い、例えば倉庫S1内で、棚卸の対象となる商品ATLの近くに赴く。そして、その商品ATLを他の商品ATLから仕切って区別している仕切板57に貼付されている商品管理タグ58に印刷されている管理用バーコード58aにハンディターミナル101を対面させ、開始ボタン106b(図2参照)を押下する。CPU152は、開始ボタン106bの押下を判定すると(ステップS111−2のY)、データコードリーダ107を起動する(ステップS111−3)。すると、データコードリーダ107は、ハンディターミナル101に対面している商品管理タグ58に印刷された管理用バーコード58aを読み取り、読み取ったデータをデコードして識別コードを抽出し、抽出した識別コードを出力する。これにより、CPU152は、識別コードの取得を判定し(ステップS111−4のY)、図8に示す品名ファイル171から、データコードリーダ107が出力した識別コードに対応付けられている品名(テキストデータ)を取得し、表示部103に表示する(ステップS111−5)。この際、管理用の識別コードは、前述したように、
管理用であることを示すコード+通常の識別コード
というコード体系を採用している。そこで、品名ファイル171を検索するに際しては、「管理用であることを示すコード」を除いて通常の識別コードのみを抽出し、この抽出した通常の識別コードを検索の基礎とする。こうして表示部103に表示される画面は、品名確認画面E(図10中の画面5)である。
【0073】
図10に示すように、品名確認画面Eは、データコードリーダ107が出力した識別コードに対応する商品ATLの品名を「選択した商品は××××ですか。」と表示し、更に、「よろしければ確定ボタンを押して下さい。」というインストラクションも表示する。そこで、オペレータは、選択した商品が正しいことを確認したならば、確定ボタン106a(図2参照)を押下する。
【0074】
図14に示すフローチャートの説明に戻る。CPU152は、確定ボタン106aの押下を判定すると(ステップS111−6のY)、品名確認画面Eに確認表示した商品ATLを棚卸対象として確定する(ステップS111−7)。つまり、CPU152は、その商品ATLの識別コードをRAM154の仮記憶領域181に設定される棚卸対象領域181b(図9参照)に記憶する。こうして、図11のフローチャート中のステップS111のプレ読取処理(品番管理コード)が終了する。
【0075】
図11に示すフローチャートの説明に戻る。CPU152は、棚卸対象の確定(図12のステップS109−9、図13のステップS110−7、図14のステップS111−7)を判定すると(ステップS112のY)、サーバ201に向けて、棚卸対象である商品ATLの在庫数の問い合わせを行なう(ステップS113)。この処理は、サーバ201のIPアドレスを宛先に指定した棚卸対象である商品ATLの在庫問合せ用の伝文を作成し、この伝文を無線通信モジュール158に無線送信させることによってなされる。在庫問合せ用の伝文には、ステップS104又はステップS105で設定されたF=0又はF=1のフラグ値も含まれる。つまり、在庫問合せ用の伝文には、
・サーバ201のIPアドレス
・自機のIPアドレス
・仮記憶領域181のフラグ181aに記憶されているフラグ値
・仮記憶領域181の棚卸対象領域181bに記憶されている商品ATLの識別コード
が含まれている。
【0076】
図10に示すように、ハンディターミナル101は、棚卸対象である商品ATLの在庫数の問い合わせ中、データ取得待ち画面F(図10中の画面6)を表示部103に表示し、オペレータに安心感を与える。
【0077】
ハンディターミナル101が無線通信モジュール158によって無線送信した伝文は、無線中継器31に受信される。そして、無線中継器31から構内ネットワーク401を介して、伝文で指定されている宛先であるサーバ201に送信される。サーバ201は、在庫問合せ用の伝文を受信すると(図17のステップS202のY参照)、図5に示す在庫管理マスタエリア271を検索し、問合せがあった商品ATLの在庫数を取得する。そして、取得した在庫数を、問合せ元であるハンディターミナル101のIPアドレスを宛先に指定して返信する(図17のステップS205〜S207参照)。この処理については、図17に基づいて後に詳しく述べる。サーバ201からの返信は、構内ネットワーク401を介して無線中継器31に送信される。無線中継器31は、サーバ201からの返信を無線送信する。無線送信されたサーバ201からの返信は、問合せ元であるハンディターミナル101のIPアドレスを宛先として指定されているので、問合せ元であるハンディターミナル101の無線通信モジュール158に受信される。無線通信モジュール158は、サーバ201からの返信に含まれている商品ATLの在庫数を出力する。これにより、ハンディターミナル101のCPU152は、商品ATLの在庫数を取得する。
【0078】
図11に示すフローチャートの説明に戻る。CPU152は、問合せをした商品ATLの在庫数の取得を判定すると(ステップS114のY)、図9に示すRAM154の仮記憶領域181に設定される理論在庫数領域181cに、取得値をメモリ記憶する(ステップS115)。つまり、取得した商品ATLの在庫数の値を理論在庫数領域181cに記憶する。そして、仮記憶領域181に設定される理論在庫数領域181cの値を反映した在庫一覧を表示部103に表示する(ステップS116)。この画面は、在庫一覧初期画面G(図10中の画面7)である。
【0079】
図10に示すように、在庫一覧初期画面Gは、「理論在庫」、「実在庫」及び「差」の表示欄を有する一覧表を表示し、「開始ボタンを押して下さい。」というメッセージを表示している。「理論在庫」は、サーバ201から送信されて仮記憶領域181の理論在庫数領域181cに記憶されている商品ATLの在庫数の値である。図10に示す例では、「理論在庫」が「18」と表示されている。在庫一覧初期画面Gでは、「実在庫」及び「差」はブランク表示となっている。
【0080】
オペレータは、在庫一覧初期画面Gに表示されているメッセージに従い、開始ボタン106b(図2参照)を押下する。そして、ハンディターミナル101を持ったまま、棚卸対象があることであろう場所を徘徊する。
【0081】
図11に示すフローチャートの説明に戻る。CPU152は、開始ボタン106bの押下を判定すると(ステップS117のY)、棚卸本処理を実行する(ステップS118)。この棚卸本処理については、図16にその詳細を示す。
【0082】
図16は、図11のフローチャート中のステップS118の棚卸本処理の処理内容を詳細に示すフローチャートである。CPU152は、RAM154の仮記憶領域181に設定したカウンタ181dの値を「0」とする(ステップS181−1)。そして、RFIDリーダライタ108を起動する(ステップS181−2)。これにより、RFIDリーダライタ108は無線タグRTである商品タグ56及び商品管理タグ58が内蔵するICチップ56b及び管理用ICチップ58bと近距離無線通信を実行し、それらのICチップ56bが記憶する識別コード及び管理用ICチップ58bが記憶する管理用の識別コードを取得し出力する。CPU152は、RFIDリーダライタ108が出力した識別コードの取得を判定すると(ステップS118−3のY)、仮記憶領域181の棚卸対象領域181b(図9参照)に一時記憶している識別コードとの一致不一致を判定する(ステップS118−4)。取得した識別コードが一時記憶されている識別コードと一致する場合には(ステップS118−4のY)、ステップS118−1で「0」に設定したカウンタ181dの値を1つインクリメントしてステップS118−6に進む。これに対して、不一致の場合には(ステップS118−4のN)、そのままステップS118−6に進む。
【0083】
ここで、ステップS118−4の判定処理において、CPU152は、取得した識別コードと棚卸対象領域181b(図9参照)に一時記憶されている識別コードとの一致不一致を判定する。この場合、棚卸対象領域181bに記憶されているのは、仕切板57に付されている商品管理タグ58から取得した管理用の識別コードではなく、商品ATLに付されている商品タグ56から取得した通常の識別コードである。したがって、ステップS118−3で取得を判定した識別コードが管理用の識別コードであった場合、ステップS118−4では必ず不一致判定がなされる。したがって、仮記憶領域181のカウンタ181d(図9参照)の値がインクリメントされるのは、ステップS118−3で取得を判定した識別コードが商品ATLに付されている商品タグ56から取得した通常の識別コードである場合に限られる。
【0084】
CPU152は、続くステップS118−6の処理として、仮記憶領域181を参照し、カウンタ181dの値から棚卸対象領域181bの値を減算し、その差の値を求める。そして、求めた差の値を仮記憶領域181の差分値領域181eに記憶する。
【0085】
次いで、CPU152は、図10に示す在庫一覧初期画面Gを在庫一覧画面H(図10中の画面8)に更新する(ステップS118−7)。つまり、在庫一覧初期画面Gでは、前述したように、「理論在庫」にサーバ201から送信されて仮記憶領域181の理論在庫数領域181cに記憶されている商品ATLの在庫数の値を表示し、「実在庫」及び「差」をブランク表示としている。これに対して、在庫一覧画面Hでは、カウンタ181dの値を「実在庫」に反映させ、差分値領域181eの値を「差」に反映させる。
【0086】
そこで、図10に示すように、在庫一覧画面Hでは、「理論在庫」、「実在庫」及び「差」のいずれの欄にも数値が表示されている。このような在庫一覧画面Hは、「理論在庫」、「実在庫」及び「差」の表示欄を有する一覧表に加え、「終了したら送信ボタンを押して下さい。」というメッセージを表示している。そこで、オペレータは、ハンディターミナル101を持ったまま、棚卸対象があることであろう場所を徘徊し終わったならば、送信ボタン106c(図2参照)を押下する。
【0087】
図16に示すフローチャートの説明に戻る。CPU152は、ステップS118−8において送信ボタン106cの押下を判定するまで、ステップS118−3〜ステップS118−8の処理を繰り返す。これにより、オペレータがハンディターミナル101を持ったまま棚卸対象があることであろう場所を全て徘徊し終われば、棚卸対象である商品ATLの実際の在庫数が仮記憶領域181のカウンタ181d(図9参照)に記憶されていることになる。図10に示す一例では、「理論在庫」が「18」、「実在庫」が「17」で、「差」が「−1」となっている。
【0088】
ここで、RFIDリーダライタ108は、UHF帯の周波数で近距離無線通信を実行する。このため、ステップS118−3〜ステップS118−8の処理を繰り返す間には、同一の無線タグRTから識別コードを何度も読み取ってしまう可能性があり、この場合には、正確な実在庫数が得られない。そこで、CPU152は、RFIDリーダライタ108によって一度通信が確立して識別コードを読み取った無線タグRTについては、識別コードが読み取り済みであることを示す既読データを無線タグRTの記憶領域(図示せず)に記録するよう、RFIDリーダライタ108を駆動制御する。こうしておけば、記憶領域に既読データが記録されている無線タグRTについてはカウンタ181dのインクリメント(ステップS118−5)を実行しないようにすることで、正確な実在庫数の把握が可能となる。しかも、無線タグRTに既読データを記録する場合、現在の棚卸処理を特定可能な棚卸用識別コード、例えば日付コードや枝番付き日付コードを既読コードに付しておくことで、カウンタ181dのインクリメント(ステップS118−5)を実行すべきでない既読データの特定が可能となる。これにより、既読データが次回の棚卸処理に影響を与えることがなくなり、何度でも棚卸処理も正確に行うことが可能となる。
【0089】
CPU152は、送信ボタン106cの押下を判定すると(ステップS118−8のY)、棚卸結果送信伝文を作成し、サーバ201に送信して処理を修理する(ステップS118−9)。この処理は、サーバ201のIPアドレスを宛先に指定して棚卸結果送信伝文を作成し、この伝文を無線通信モジュール158に無線送信させることによってなされる。棚卸結果送信伝文には、ステップS104又はステップS105で設定されたF=0又はF=1のフラグ値も含まれる。つまり、棚卸結果送信伝文には、
・サーバ201のIPアドレス
・自機のIPアドレス
・仮記憶領域181のフラグ181aに記憶されているフラグ値
・仮記憶領域181の領域181cに記憶されている商品ATLの理論在庫数
・仮記憶領域181のカウンタ181dに記憶されている商品ATLの実在庫数
・仮記憶領域181の差分値領域181eに記憶されている差の値
が含まれている。
【0090】
ハンディターミナル101が無線通信モジュール158によって無線送信した伝文は、無線中継器31に受信される。そして、無線中継器31から構内ネットワーク401を介して、伝文で指定されている宛先であるサーバ201に送信される。
【0091】
図10に示すように、棚卸結果送信伝文の送信処理後(ステップS118−9)、ハンディターミナル101の表示部103の表示は、在庫一覧画面Hから棚卸処理終了画面I(図10中の画面9)に遷移する。棚卸処理終了画面Iには、「棚卸(倉庫)作業完了です。」というメッセージが表示され、更に、「メニュー」という表示がなされる。「メニュー」は、タッチパネル105によるタッチ指定が可能なオブジェクトである。そこで、タッチパネル105によって「メニュー」をタッチ指定すると、表示部103の画面表示はメニュー画面Aに復帰する。
【0092】
以上説明したように、本実施の形態のハンディターミナル101によれば、棚卸対象となる物品である商品ATLの識別コードを現場で取得してメモリであるRAM154(仮記憶領域181の棚卸対象領域181b)に記憶しておき、通信可能範囲にある複数個の無線タグRTから識別コードを一度に集めることができるというRFID技術の特性を生かした手法で容易に識別コードを収集することができる。そして、収集した識別コードの中から、RAM154(仮記憶領域181の棚卸対象領域181b)に記憶した識別コードと同一の識別コードの個数を実在庫数として求めるようにしたので、ある特定の商品ATLについて棚卸をする場合、棚卸対象となる商品ATLからの識別コードの取得作業を容易にし、その作業負担を飛躍的に軽減することができる。
【0093】
また、本実施の形態のハンディターミナル101によれば、個々の商品ATLの識別コードとその商品ATLの理論在庫数とを紐付けして記憶保存する図5に示す在庫管理マスタエリア271(在庫データベース)から、RAM154(仮記憶領域181の棚卸対象領域181b)に記憶した棚卸対象である識別コードに紐付けされている理論在庫数を取得することができる(図11のステップS113〜S115参照)。そして、取得した理論在庫数と求めた実在庫数と両者の差の値とを表示部103に表示するようにしたので(図10の在庫一覧画面H、図16のステップS118−7参照)、オペレータに理論在庫数と実在庫数との一致不一致をリアルタイムで示すことができる。しかも、そのような表示部103の表示は、棚卸作業の進行度合いをも示すことになるので、オペレータに作業の進展度合いを示して安心感を与えたり、作業終了の目安を理解させたりすることができる。
【0094】
更に、本実施の形態のハンディターミナル101によれば、求めた実在庫数を上位機であるサーバ201に向けて送信出力するようにしたので(図16のステップS118−9参照)、サーバ201での在庫管理処理に役立てることができる。以下、棚卸対象である商品ATLの実在庫数を受信した場合を含むサーバ201での処理内容を説明する。
【0095】
図17は、サーバ201でのイベント発生時の処理内容を示すフローチャートである。サーバ201のCPU252は、イベント発生の有無の判定に待機している(ステップS201)。そこで、CPU252は、イベントの発生を判定すると(ステップS201のY)、それが在庫問合せ(図11のステップS113参照)なのか(ステップS202)、棚卸結果送信伝文(図16のステップS118−9参照)の受信なのかを判定し(ステップS203)、いずれでもなければ他の処理を実行する(ステップS204)。
【0096】
サーバ201のCPU252は、発生したイベントが在庫問合せであったと判定した場合(ステップS202のY)、在庫問合せ用の伝文に含まれているフラグ値(図9のフラグ181aの値)を参照する(ステップS205)。F=0であれば(ステップS205のY)、倉庫S1内の棚卸が指定されているはずなので(図11のステップS103のY、ステップS104参照)、図5に示す在庫管理マスタエリア271を検索し、倉庫内在庫数を取得してハンディターミナル101に返信する(ステップS206)。この場合の倉庫内在庫数は、在庫問合せ用の伝文に含まれている商品ATLの識別コード(図9の棚卸対象領域181bに記憶されている識別コード)に対応する倉庫内在庫数である。その後、CPU252は処理を終了する。これに対して、F=0でなければ(ステップS205のN)、売場S2内の棚卸が指定されているはずなので(図11のステップS103のN、ステップS105参照)、図5に示す在庫管理マスタエリア271を検索し、売場内在庫数を取得してハンディターミナル101に返信する(ステップS207)。この場合の売場内在庫数は、在庫問合せ用の伝文に含まれている商品ATLの識別コード(図9の棚卸対象領域181bに記憶されている識別コード)に対応する売場内在庫数である。その後、CPU252は処理を終了する。
【0097】
以上のようにしてサーバ201が返信した倉庫内在庫数又は売場内在庫数は、前述したように、問合せ元であるハンディターミナル101のIPアドレスを宛先に指定するので、構内ネットワーク401を介して無線中継器31に送信され、無線中継器31から問合せ元であるハンディターミナル101に返信される。
【0098】
サーバ201のCPU252は、発生したイベントが棚卸結果送信伝文の受信であると判定した場合(ステップS203のY)、棚卸結果送信伝文に含まれているフラグ値(図9のフラグ181aの値)を参照する(ステップS208)。
【0099】
ステップS208の参照の結果、F=0であれば(ステップS208のY)、倉庫S1内の棚卸が指定されているはずである(図11のステップS103のY、ステップS104参照)。そこで、この場合、CPU252は、図6に示す在庫ログエリア281の倉庫内にログ記録を実行する。つまり、CPU252は、自らの時計回路(図示せず)によって計時可能な現在日時を在庫ログエリア281の「日時」にログ記録し、これに対応させて、「識別コード」、倉庫内在庫の「理論在庫数」、「実在庫数」及び「差」をログ記録する。
【0100】
在庫ログエリア281の「識別コード」には、棚卸結果送信伝文に含まれている商品ATLの識別コード(図9の棚卸対象領域181bに記憶されている識別コード)を反映させる。
【0101】
在庫ログエリア281の「理論在庫数」には、棚卸結果送信伝文に含まれている理論在庫数(仮記憶領域181の領域181cに記憶されている商品ATLの理論在庫数)の値を反映させる。
【0102】
在庫ログエリア281の「実在庫数」には、棚卸結果送信伝文に含まれている実在庫数(仮記憶領域181のカウンタ181dに記憶されている商品ATLの実在庫数)の値を反映させる。
【0103】
仮記憶領域181の「差」には、棚卸結果送信伝文に含まれている差の値(仮記憶領域181の差分値領域181eに記憶されている差の値)を反映させる。
【0104】
そして、CPU252は、棚卸結果送信伝文に含まれている差の値が「0」であるかどうかを判定する(ステップS210)。「0」であれば(ステップS210のY)、図5に示す在庫管理マスタエリア271に登録されている理論在庫数と棚卸作業の結果として得られた実在庫数とが一致していることになるので、そのまま処理を終了する。これに対して、「0」でなければ(ステップS210のN)、図5に示す在庫管理マスタエリア271に登録されている理論在庫数と棚卸作業の結果として得られた実在庫数とが一致していないので、これを一致させる必要がある。そこで、図5に示す在庫管理マスタエリア271の倉庫内在庫数を、棚卸結果送信伝文に含まれている実在庫数に更新し(ステップS211)、処理を終了する。この場合の倉庫内在庫数は、棚卸結果送信伝文に含まれている商品ATLの識別コード(図9の棚卸対象領域181bに記憶されている識別コード)に対応する倉庫内在庫数である。
【0105】
ステップS208の参照の結果、F=0でなければ(ステップS208のN)、売場S2内の棚卸が指定されているはずである(図11のステップS103のN、ステップS105参照)。そこで、この場合、CPU252は、図6に示す在庫ログエリア281の売場内にログ記録を実行する。つまり、CPU252は、自らの時計回路(図示せず)によって計時可能な現在日時を在庫ログエリア281の「日時」にログ記録し、これに対応させて、「識別コード」、売場内在庫の「理論在庫数」、「実在庫数」及び「差」をログ記録する。
【0106】
在庫ログエリア281の「識別コード」には、棚卸結果送信伝文に含まれている商品ATLの識別コード(図9の棚卸対象領域181bに記憶されている識別コード)を反映させる。
【0107】
在庫ログエリア281の「理論在庫数」には、棚卸結果送信伝文に含まれている理論在庫数(仮記憶領域181の領域181cに記憶されている商品ATLの理論在庫数)の値を反映させる。
【0108】
在庫ログエリア281の「実在庫数」には、棚卸結果送信伝文に含まれている実在庫数(仮記憶領域181のカウンタ181dに記憶されている商品ATLの実在庫数)の値を反映させる。
【0109】
仮記憶領域181の「差」には、棚卸結果送信伝文に含まれている差の値(仮記憶領域181の差分値領域181eに記憶されている差の値)を反映させる。
【0110】
そして、CPU252は、棚卸結果送信伝文に含まれている差の値が「0」であるかどうかを判定する(ステップS213)。「0」であれば(ステップS213のY)、図5に示す在庫管理マスタエリア271に登録されている理論在庫数と棚卸作業の結果として得られた実在庫数とが一致していることになるので、そのまま処理を終了する。これに対して、「0」でなければ(ステップS213のN)、図5に示す在庫管理マスタエリア271に登録されている理論在庫数と棚卸作業の結果として得られた実在庫数とが一致していないので、これを一致させる必要がある。そこで、図5に示す在庫管理マスタエリア271の倉庫内在庫数を、棚卸結果送信伝文に含まれている実在庫数に更新し(ステップS214)、処理を終了する。この場合の倉庫内在庫数は、棚卸結果送信伝文に含まれている商品ATLの識別コード(図9の棚卸対象領域181bに記憶されている識別コード)に対応する倉庫内在庫数である。
【0111】
以上説明したように、本実施の形態のサーバ201によれば、ハンディターミナル101からの棚卸結果送信伝文を受信した場合、必要に応じて図5に示す在庫管理マスタエリア271を更新し、図6に示す在庫ログエリア281にログを残すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の実施の一形態として、在庫管理システムが設置されている店舗(倉庫+売場)の模式図である。
【図2】ハンディターミナル(棚卸支援装置)の正面図である。
【図3】在庫管理システムのシステム概要を示すブロック図である。
【図4】サーバの電気的接続を示すブロック図である。
【図5】サーバのHDDに記憶保存されている在庫管理マスタエリア(在庫データベース)の記録データを示す模式図である。
【図6】サーバのHDDに記憶保存されている在庫ログエリアの記録データを示す模式図である。
【図7】ハンディターミナル(棚卸支援装置)の電気的接続を示すブロック図である。
【図8】ハンディターミナル(棚卸支援装置)のフラッシュROMに記憶保存されている品名ファイルの記録データを示す模式図である。
【図9】棚卸支援処理に際してハンディターミナル(棚卸支援装置)のRAMのワークエリアに設定される仮記憶領域を示す模式図である。
【図10】ハンディターミナル(棚卸支援装置)の画面遷移例を示す模式図である。
【図11】ハンディターミナル(棚卸支援装置)での棚卸支援処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】図11のフローチャート中のステップS109のプレ読取処理の処理内容を詳細に示すフローチャートである。
【図13】図11のフローチャート中のステップS110のプレ読取処理の処理内容を詳細に示すフローチャートである。
【図14】図11のフローチャート中のステップS111のプレ読取処理の処理内容を詳細に示すフローチャートである。
【図15】オペレータがハンディターミナル(棚卸支援装置)にプレ読取処理(図11のステップS109〜111)を実行させようとしている様子を示す模式図である。
【図16】図11のフローチャート中のステップS118の棚卸本処理の処理内容を詳細に示すフローチャートである。
【図17】サーバでのイベント発生時の処理内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0113】
56a…バーコード(コードシンボル)、103…表示部、104…入力部、107…データコードリーダ、108…RFIDリーダライタ(RFIDリーダ)、152…CPU(情報処理部)、154…RAM(メモリ)、201…サーバ(上位機)、271…在庫管理マスタエリア(在庫データベース)、ATL…商品(物品)、RT…無線タグ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理を実行する情報処理部と、
情報表示機能を有する表示部と、
情報入力機能を有する入力部と、
物品を識別する識別コードを記憶する無線タグとの間で近距離無線通信を実行するRFIDリーダと、
を備え、前記情報処理部は、
前記RFIDリーダによる近距離無線通信によって無線タグから読み取った一又は二以上の識別コードに対応付けられている品名を前記表示部に一覧表示し、前記入力部による品名指定によって一の識別コードの選択指定を許容し、選択指定された一の識別コードを棚卸対象としてメモリに記憶する処理と、
前記RFIDリーダによる近距離無線通信によって無線タグから読み取った識別コードのうち、前記メモリに記憶した棚卸対象である識別コードと同一の識別コードの個数を実在庫数として求める処理と、
を実行する棚卸支援装置。
【請求項2】
情報処理を実行する情報処理部と、
情報表示機能を有する表示部と、
情報入力機能を有する入力部と、
物品を識別する識別コードを記憶する無線タグとの間で近距離無線通信を実行するRFIDリーダと、
を備え、前記情報処理部は、
前記RFIDリーダによる近距離無線通信によって無線タグから読み取った識別コードを棚卸対象としてメモリに記憶する処理と、
前記RFIDリーダによる近距離無線通信によって無線タグから読み取った識別コードのうち、前記メモリに記憶した棚卸対象である識別コードと同一の識別コードの個数を実在庫数として求める処理と、
を実行する棚卸支援装置。
【請求項3】
情報処理を実行する情報処理部と、
情報表示機能を有する表示部と、
情報入力機能を有する入力部と、
物品を識別する識別コードを記憶する無線タグとの間で近距離無線通信を実行するRFIDリーダと、
物品を識別する識別コードをシンボル化したコードシンボルを光学的に読み取って識別コードをデコードするデータコードリーダと、
を備え、前記情報処理部は、
前記データコードリーダによってコードシンボルから読み取りデコードした識別コードを棚卸対象としてメモリに記憶する処理と、
前記RFIDリーダによる近距離無線通信によって無線タグから読み取った識別コードのうち、前記メモリに記憶した棚卸対象である識別コードと同一の識別コードの個数を実在庫数として求める処理と、
を実行する棚卸支援装置。
【請求項4】
前記情報処理部は、
個々の物品の識別コードとその物品の理論在庫数とを紐付けして記憶保存する在庫データベースから、前記メモリに記憶した棚卸対象である識別コードに紐付けされている理論在庫数を取得する処理と、
前記取得した理論在庫数と前記求めた実在庫数とを前記表示部に表示する処理と、
を実行する請求項1、2又は3記載の棚卸支援装置。
【請求項5】
前記情報処理部は、
前記取得した理論在庫数と前記求めた実在庫数との差の値を求める処理と、
前記求めた差の値を前記表示部に表示する処理と、
を実行する請求項4記載の棚卸支援装置。
【請求項6】
前記情報処理部は、前記求めた実在庫数を上位機に向けて送信出力する処理を実行する、請求項1ないし5のいずれか一記載の棚卸支援装置。
【請求項1】
情報処理を実行する情報処理部と、
情報表示機能を有する表示部と、
情報入力機能を有する入力部と、
物品を識別する識別コードを記憶する無線タグとの間で近距離無線通信を実行するRFIDリーダと、
を備え、前記情報処理部は、
前記RFIDリーダによる近距離無線通信によって無線タグから読み取った一又は二以上の識別コードに対応付けられている品名を前記表示部に一覧表示し、前記入力部による品名指定によって一の識別コードの選択指定を許容し、選択指定された一の識別コードを棚卸対象としてメモリに記憶する処理と、
前記RFIDリーダによる近距離無線通信によって無線タグから読み取った識別コードのうち、前記メモリに記憶した棚卸対象である識別コードと同一の識別コードの個数を実在庫数として求める処理と、
を実行する棚卸支援装置。
【請求項2】
情報処理を実行する情報処理部と、
情報表示機能を有する表示部と、
情報入力機能を有する入力部と、
物品を識別する識別コードを記憶する無線タグとの間で近距離無線通信を実行するRFIDリーダと、
を備え、前記情報処理部は、
前記RFIDリーダによる近距離無線通信によって無線タグから読み取った識別コードを棚卸対象としてメモリに記憶する処理と、
前記RFIDリーダによる近距離無線通信によって無線タグから読み取った識別コードのうち、前記メモリに記憶した棚卸対象である識別コードと同一の識別コードの個数を実在庫数として求める処理と、
を実行する棚卸支援装置。
【請求項3】
情報処理を実行する情報処理部と、
情報表示機能を有する表示部と、
情報入力機能を有する入力部と、
物品を識別する識別コードを記憶する無線タグとの間で近距離無線通信を実行するRFIDリーダと、
物品を識別する識別コードをシンボル化したコードシンボルを光学的に読み取って識別コードをデコードするデータコードリーダと、
を備え、前記情報処理部は、
前記データコードリーダによってコードシンボルから読み取りデコードした識別コードを棚卸対象としてメモリに記憶する処理と、
前記RFIDリーダによる近距離無線通信によって無線タグから読み取った識別コードのうち、前記メモリに記憶した棚卸対象である識別コードと同一の識別コードの個数を実在庫数として求める処理と、
を実行する棚卸支援装置。
【請求項4】
前記情報処理部は、
個々の物品の識別コードとその物品の理論在庫数とを紐付けして記憶保存する在庫データベースから、前記メモリに記憶した棚卸対象である識別コードに紐付けされている理論在庫数を取得する処理と、
前記取得した理論在庫数と前記求めた実在庫数とを前記表示部に表示する処理と、
を実行する請求項1、2又は3記載の棚卸支援装置。
【請求項5】
前記情報処理部は、
前記取得した理論在庫数と前記求めた実在庫数との差の値を求める処理と、
前記求めた差の値を前記表示部に表示する処理と、
を実行する請求項4記載の棚卸支援装置。
【請求項6】
前記情報処理部は、前記求めた実在庫数を上位機に向けて送信出力する処理を実行する、請求項1ないし5のいずれか一記載の棚卸支援装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−44724(P2010−44724A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210202(P2008−210202)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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