説明

棚板

【課題】棚に架設するためのブラケットの収容空間を確保するとともに、棚板の側部に落下防止部材を安定して取り付けることができ、かつ、物品の載置作業や前出し作業を妨げることのない棚板を提供すること。
【解決手段】棚板100の載置面部110の側端又はその近傍に、落下防止部材200の下方に設けられた脚部220が差し込まれる差込孔111を形成するとともに、側壁部120の内面には、差込孔111に差し込まれた脚部220を保持する保持部121を形成して、ブラケットの収容空間内において脚部を固定できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品陳列等に供される棚に適用される棚板に関するものであって、特には、載置される物品が棚板側方から落下することを防止する落下防止部材が取り付けられる棚板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
商品陳列棚に用いられる棚板には、載置された物品が落下しないように、載置面部の側端に落下防止部材を設けることが行われている。既知の落下防止部材としては、例えば、図8(a)に示すように、ワイヤーを折り曲げて形成されるものや、図8(b)に示すように、プラスチック等の板材から形成されるもの等が知られており、これら落下防止部材20には、棚板の載置面部に差し込まれる部分となる脚部21が形成されている。
【0003】
一方、図9(a)及び(b)に示すように、従来の棚板10の載置面部11の側端には、落下防止部材20の脚部が差し込まれる差込孔12aや、落下防止部材20と同様の態様で形成される仕切り部材Sの脚部が差し込まれる複数の差込孔12bが設けられている。そして、図9(b)に示すように、棚板10の底面には、差込孔12bから差し込まれた仕切り部材Sの脚部を保持する保持孔14を備えた補強板13が配設されており、これによって仕切り部材Sのぐらつきを防止し、真っ直ぐに立設できるようにしている。
【0004】
しかしながら、落下防止部材20が取り付けられる棚板10の側端においては、図9(a)及び(b)に示すように、棚に架設させるためのブラケットBを収容する空間を底面側に設ける必要があるため、当該部分には保持孔が形成された部材を配設することができない場合がある。この場合には、図9(b)に示すように、当該部分にある差込孔12aに落下防止部材20の脚部21を差し込んでもこれを保持することができず、落下防止部材20を安定して立設させることができないという不具合を生じていた。
【0005】
そこで、板状部材からなる側部ガード(落下防止部材)の内方に差込辺を形成するとともに、棚板の上壁(載置面部)端部にガード用係合孔を形成し、側部ガード本体を棚板の側壁にあてがいながら、差込辺をガード用係合孔に差し込むことによって側壁ガードを取り付けるようにした棚板が提案されている(特許文献1参照)。当該棚板によれば、棚板の底面側の両側端部にブラケットを収容するスペースを設けても、落下防止部材を安定して取り付けることが可能である。しかしながら、上記側部ガードを棚板に取り付けたときには、差込辺の一部が載置面部側に突出してしまうため、物品の載置作業や前出し作業等を行う際に、物品が差込辺に引っかかるといった問題が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−73217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、棚に架設するためのブラケットの収容空間を確保するとともに、棚板の側部に落下防止部材を安定して取り付けることができ、かつ、物品の載置作業や前出し作業を妨げることのない棚板を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、本発明が採った手段は、物品が載置される載置面部と、該載置面部の側端から下方に延設される側壁部とを備えるとともに、前記載置面部の側端又はその近傍に物品の落下を防止する落下防止部材が配設される棚板であって、前記載置面部の側端又はその近傍には、前記落下防止部材の下方に設けられた脚部が差し込まれる差込孔が形成されるとともに、前記側壁部の内面には、前記差込孔に差し込まれた前記脚部を保持する保持部が形成されることを特徴とする棚板、である。
【0009】
すなわち、本発明に係る棚板は、落下防止部材の脚部を、棚板の載置面部の側端に形成した差込孔に差し込むとともに、この差し込まれた脚部を側壁部の内面に形成された保持部で保持することによって、ブラケットの収容空間内において脚部を固定できるようにするものである。これによって、落下防止部材を真っ直ぐに安定した状態で立設することが可能となる。
【0010】
ここで、保持部が、側壁部の一部を内面側に切り起こして形成される保持片であってもよい。これによれば、例えば溶接等の煩雑な加工をしなくとも保持部を容易に形成できるからである。
【0011】
また、棚板は、載置面部の前側端から下方に延設される前壁部を備え、該前壁部には、前記棚板の幅方向に延びる溝部が設けられてもよい。前壁部に溝部を設けることで、これを利用してプライスレールや仕切り部材等の補助部材を取り付けできるようになる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る棚板によれば、棚板の載置面部の側端に、落下防止部材の脚部が差し込まれる差込孔を形成し、さらに、側壁部の内面に脚部を保持する保持部を形成しているので、ブラケットの収容空間内において落下防止部材の脚部をしっかりと固定することができる。これにより、落下防止部材をぐらつくことなく安定した状態で取り付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1に係る棚板100及び落下防止部材200を示す斜視図である。
【図2】実施例1に係る棚板100の部分平面図である。
【図3】実施例1に係る棚板100の部分底面図である。
【図4】実施例1に係る棚板100の側面図である。
【図5】実施例1に係る棚板100に落下防止部材200を取り付けた状態を図1のA−A断面からみた部分断面図である。
【図6】実施例2に係る棚板100であって、(a)は部分斜視図であり、(b)は部分底面図である。
【図7】実施例3に係る棚板100の底面図である。
【図8】従来の落下防止部材20を示す斜視図である。
【図9】従来の棚板10であって、(a)は部分斜視図であり、(b)は(a)に示すA−A部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、商品陳列等に供される棚に適用される棚板であって、側部に物品の落下を防止するための落下防止部材を取り付けることができる棚板である。この棚板は、少なくとも載置面部と、側壁部とを有する。
【0015】
載置面部には、その側端又は近傍部分に、落下防止部材の脚部を差し込むための差込孔が形成される。差込孔は、取り付けようとする落下防止部材の脚部の形状に応じた形状に形成することができ、例えば、ワイヤーから形成される落下防止部材のように、断面が円形の脚部を差し込む場合には円形に形成することができ、プラスチックや金属等の板材から形成される落下防止部材のように平板状の脚部を差し込む場合には、長孔として形成することができる。また、差込孔の数及び位置は、取り付けようとする落下防止部材の脚部の数及び位置に応じて設定することができる。
【0016】
側壁部は、載置面部の側端から下方に延設され、棚板の側面を構成するものである。側壁部は、例えば、載置面部の側端部分を折曲形成する等して載置面部と一体に形成してもよいし、断面略L字形に形成した別部材を用意して、これを載置面部の底面側端部分にスポット溶接等の周知の手段を用いて載置面部に固着して形成してもよい。
【0017】
また、側壁部には、その内面に保持部が設けられる。保持部は、棚板に取り付けられた落下防止部材のぐらつきを防止して真っ直ぐに立設させるようにするために、載置面部に形成された差込孔に差し込まれた落下防止部材の脚部を保持するものである。従って、保持部は、差込孔の下方に位置するように形成される。また、保持部は、当該機能を発揮すし得るものであればその態様は特に限定されるものではなく、例えば、側壁部の一部を外面側から内面側に切り起こして形成したり、別部材で形成してスポット溶接等の手段によって側壁部の内面に固着して形成したりして落下防止部材の脚部をその外周面で保持するように形成することができる。
【0018】
また、本発明に係る棚板には、上述の載置面部と側壁部とに加えて、載置面部の前端から下方に延設される前壁部を設けてもよい。前壁部は、棚板の側壁部と同様に、載置面部の前端部分を折曲形成する等して載置面部と一体に形成してもよいし、例えば、断面略L字形に形成した別部材を用意して、これを載置面部の底面にスポット溶接等の周知の手段を用いて載置面部に固着して形成してもよい。
【0019】
また、前壁部には、棚板本体の幅方向に延びる溝部を設けてもよい。前壁部に溝部を設けることで、これをプライスレールや仕切り部材等の補助部材を取り付け部として利用できるようになるからである。前壁部に形成される溝部の態様としては、例えば、断面視略L型に折曲形成した起立片を有する部材を前壁部の下端側に配設し、この起立片と前壁部との間に形成される隙間を溝部とすることが考えられる。
【0020】
尚、本発明に係る棚板に適用される落下防止部材の態様は、脚部を差込孔に差し込んで棚板に取り付けできるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ワイヤーを折り曲げて形成されるものや、プラスチック等の板材から形成される既存の落下防止部材を用いることができる。
【0021】
以下に、本発明に係る棚板の実施例を図に基づいて説明する。
【実施例1】
【0022】
図1から図4には、本実施例に係る棚板100が示されている。図1に示すように、棚板100は、物品が載置される載置面部110と、この載置面部110の両側端から下方に延設される一対の側壁部120と、載置面部110の前端から下方に延設される前壁部130とを備える。
【0023】
図3及び図4に示すように、載置面部110の底面には、板材を断面略凹型に折り曲げ形成してなる補強部材140が、幅方向にわたって取り付けられている。この補強部材140は、棚板100よりも短い幅長さに形成されており、その両端と側壁部120との間には、図示しないブラケットを収容するための空間Xが形成されている。また、図2に示すように、載置面部110の側端には、後述する落下防止部材200の脚部220が差し込まれる細長形状の差込孔111が、前後方向に所定の間隔を空けて2箇所に穿設されている。
【0024】
側壁部120は、図1から図4に示すように、板材を断面略L字形に折曲形成してなる部材からなり、この側面が多載置面部110の側端と略面一となるように上面を載置面部110の底面にスポット溶接で固着されることによって形成されている。そして、この側壁部120の内面には、保持部として機能する保持片121が前後方向に所定の間隔空けて2箇所に形成されている。この保持片121は、差込孔111の真下となる位置に、側壁部120の一部を外面側から内面側へと切り起こして形成されている。
【0025】
また、図1及び図4に示すように、前壁部130には、断面視略L型に折曲形成された起立片131が設けられており、この起立片131と前壁部130との間に溝部Yが形成されている。
【0026】
実施例1に係る棚板100には、図1に示す形態の落下防止部材200が取り付けられる。落下防止部材200は、板状に形成されており、載置面部110の側部を囲う本体部210と、本体部を棚板100に立設させる脚部220と、棚板100の前端側角部を囲うストッパー部230を備える。脚部220は、本体部210の下方に所定の間隔を空けて2箇所に設けられている。また、ストッパー部230は、本体部210と略90°の角度をなすように本体部210の前端で折曲形成されており、その下方には、係止片231が形成されている。尚、落下防止部材200においては、ストッパー部230又は係止片231を省略して形成してもよい。
【0027】
図5には、棚板100に落下防止部材200を取り付けた状態が示されている。図5に示すように、落下防止部材200は、脚部220が差込孔111に差し込まれるとともに、保持片121で保持されることによって取り付けられる。このとき、脚部220は、保持片121と側壁部120の内面との間で挟まれるようにしてブラケットの収容空間X内で保持されるため、落下防止部材200が左右方向にぐらついたり傾いたりすることなく、真っ直ぐに立設されることとなる。さらに、ストッパー部230の下部に形成される係止片231は、棚板100の前壁部120に形成される溝部Yに係止されるので、落下防止部材200をより安定させることができる。
【0028】
また、図1に示すように、棚板100には溝部Yを利用して仕切り部材300を取り付けることもできる。仕切り部材300は、仕切り板310と、仕切り板310の前端に仕切り板310と直交する面として形成されるストッパー部320とを備える。そして、このストッパー部320の下端からは差込辺321が延設されており、これを溝部Yに差し込むことによって棚板100に取り付けられる。このように、溝部Yは仕切り部材300のような補助部材の取付部として利用することが可能である。
【0029】
このように、実施例1に係る棚板によれば、棚板の載置面部の側端に、落下防止部材の脚部が差し込まれる差込孔を形成し、さらに、側壁部の内面に脚部を保持する保持部を形成しているので、ブラケットの収容空間を確保しながら落下防止部材の脚部をしっかりと固定することができる。また、前壁部に溝部を設けているので、これを仕切り部材等の補助部材等の補助部材を取り付けるための取付部として利用することができる。
【実施例2】
【0030】
図6には、実施例2に係る棚板100が示されている。実施例2に係る棚板100は、実施例1に係る棚板100に改変を加えたものであって、図6(a)に示すように、ワイヤーを折曲形成してなる落下防止部材200を取り付けできるようにしている点において実施例1と相違している。このため、図6(b)に示すように、差込孔111は、それぞれ落下防止部材200の脚部220の形状に合わせて略円形に形成されており、保持片121もこれに応じた形状に形成されている。
【実施例3】
【0031】
図7には、実施例3に係る棚板100が示されている。実施例3に係る棚板100は、実施例1及び実施例2に係る棚板100にそれぞれ改変を加えたものであって、保持部を別部材から形成している点において実施例1及び実施例2と相違する。すなわち、図7(a)では、板状に形成された落下防止部材200の脚部220の形状に合わせた細長筒状の保持部材122を用いており、図7(b)では、ワイヤーを折曲形成してなる落下防止部材200の脚部220の形状に合わせた略円筒形状の保持部材122を用いている。そして、これらを側壁部120の内面かつ差込孔111の下方位置にスポット溶接にて固着して保持部を形成している。このように、保持部を保持部材122から形成することで、側壁部120に凹みを形成することなく外面をフラットに形成することができるので、棚板100の美観をより高めることができる。
【0032】
尚、本発明に係る棚板は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。例えば、棚板100の前壁部130に溝部が不要な場合には、起立片131を省略することもできる。また、本発明に係る棚板に適用される落下防止部材200の態様も上記実施例における態様に限定されるものではなく、脚部を差込孔に差し込んで棚板に取り付けできる態様のものを用いることができるとともに、差込孔及び保持部も脚部に応じた態様に形成することができる。
【符号の説明】
【0033】
100 棚板
110 載置面部
111 差込孔
120 側壁部
121 保持片(保持部)
122 保持部材(保持部)
130 前壁部
200 落下防止部材
220 脚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が載置される載置面部と、該載置面部の側端から下方に延設される側壁部とを備えるとともに、前記載置面部の側端又はその近傍に物品の落下を防止する落下防止部材が配設される棚板であって、
前記載置面部の側端又はその近傍には、前記落下防止部材の下方に設けられた脚部が差し込まれる差込孔が形成されるとともに、前記側壁部の内面には、前記差込孔に差し込まれた前記脚部を保持する保持部が形成されることを特徴とする棚板。
【請求項2】
保持部が、側壁部の一部を内面側に切り起こして形成される保持片であることを特徴とする請求項1に記載の棚板。
【請求項3】
棚板は、載置面部の前側端から下方に延設される前壁部を備え、
該前壁部には、前記棚板の幅方向に延びる溝部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の棚板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−161172(P2011−161172A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33493(P2010−33493)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000209223)棚橋工業株式会社 (23)
【Fターム(参考)】